JPH10182980A - 水性樹脂、その製造法及びそれを含有する水性硬化性樹脂組成物 - Google Patents

水性樹脂、その製造法及びそれを含有する水性硬化性樹脂組成物

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JPH10182980A
JPH10182980A JP30637896A JP30637896A JPH10182980A JP H10182980 A JPH10182980 A JP H10182980A JP 30637896 A JP30637896 A JP 30637896A JP 30637896 A JP30637896 A JP 30637896A JP H10182980 A JPH10182980 A JP H10182980A
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伸一 工藤
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宏司 木下
Masataka Ooka
正隆 大岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とりわけ、優れた硬化性と、優れた保存安定
性とを兼備し、加えて、とりわけ、曝露時の光沢保持
性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性などの、いわゆる
耐久性にも優れる硬化塗膜を形成することが出来るとい
う、特に、被覆用組成物として、極めて実用性の高い水
性樹脂、該水性樹脂の製造法、ならびに該水性樹脂を含
有することから成る、水性硬化性樹脂組成物を提供する
ことにある。 【解決手段】 ポリエーテル鎖を有するセグメントと、
珪素原子に結合した水酸基を有する、分岐したポリシロ
キサン・セグメントとで以て構成され、しかも、これら
の両セグメントが、−C−Si−O−Si−なる結合を
介して複合化しているという特定の複合樹脂を、水に分
散ないしは溶解せしめることによってはじめて、上記し
た、水性樹脂の製造法を可能にし、併せて、かくして得
られる水性樹脂という特定の樹脂を用いることによっ
て、叙上のような効果が発現されるということを見出す
に及んで、見事に解決し得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る水性樹脂と、該水性樹脂の新規にして有用なる製造法
と、該水性樹脂を必須の成分として含有する、新規にし
て有用なる水性硬化性樹脂組成物とに関する。さらに詳
細には、本発明は、ポリエーテル鎖を有する重合体セグ
メント(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分
岐したポリシロキサン・セグメント(B)とで構成さ
れ、しかも、これらのセグメント(A)とセグメント
(B)とが、次の構造式(S−I)
【0002】
【化8】
【0003】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0004】で示される結合を介して複合化している形
の複合樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る、それぞれ、水性樹脂;該水性樹脂の製造法;ならび
に該水性樹脂を必須の成分として含有する、水性硬化性
樹脂組成物に関し、
【0005】とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性なら
びに耐酸性雨性などのような、いわゆる耐久性をはじめ
として、とりわけ、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐水性
などの諸性能にも優れる塗膜を形成することが出来て、
しかも、優れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備し
た水性樹脂を提供するというものであるし、該水性樹脂
の製造法をも提供するというものであるし、加えて、該
水性樹脂を含有する、硬化性にも優れるし、しかも、前
述したような耐久性をはじめとする諸性能に優れる硬化
塗膜を与える水性硬化性樹脂組成物をも提供するもので
ある。
【0006】
【従来の技術】これまでにも、塗料用の水性硬化性樹脂
組成物としては、塩基性基ないしは酸基と、水酸基のよ
うな、いわゆる官能基とを併有するビニル系重合体を、
酸性化合物あるいは塩基性化合物で以て中和せしめたの
ち、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂
と、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂またはアミノ樹
脂のような、種々の硬化剤とから成る水性硬化性樹脂組
成物が、幅広く、使用されている。
【0007】しかしながら、こうした、これまでに使用
されて来たような水性樹脂をベースとする水性硬化性樹
脂組成物から得られる硬化塗膜は、とりわけ、曝露時の
光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性などの耐
久性が不十分であり、したがって、高度の耐久性などが
要求されるような用途には、全くと言ってよいほど、利
用することが出来ない、という決定的なる問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く解決するべく、鋭意、研究を開始した。
【0009】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、とりわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐
酸性雨性などの耐久性に優れた硬化物を与えることがで
き、しかも、硬化性や保存安定性などにも優れる、新規
にして有用なる水性樹脂と、そうした水性樹脂の製造方
法とを提供することにもあるし、
【0010】併せて、かかる新規にして有用なる水性樹
脂を含有する、前述したような耐久性に加えて、とりわ
け、耐溶剤性、耐薬品性ならびに耐水性などの諸性能に
も優れるという、極めて実用性の高い水性硬化性樹脂組
成物をも提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、
【0012】ポリエーテル鎖を有する重合体セグメント
(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐した
ポリシロキサン・セグメント(B)とで以て構成され、
しかも、(A)および(B)なる此等の両セグメント
が、次の構造式(S−I)
【0013】
【化9】
【0014】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0015】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性
樹脂が、とりわけ、硬化性ならびに保存安定性などに優
れるということを見出して、該水性樹脂の製造法を確立
するとともに、
【0016】該水性樹脂を必須の成分として含有する水
性硬化性樹脂組成物が、とりわけ、光沢保持性、耐酸性
雨性ならびに耐曝露汚染性などの耐久性に優れるという
ことをも見出し、ひいては、上述したような発明が解決
しようとする課題を、見事に、解決することが出来ると
いうことを確信するに及んで、ここに、本発明を完成さ
せるに到った。
【0017】すなわち、本発明は、基本的には、それぞ
れ、ポリエーテル鎖を有する重合体セグメント(A)
と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
ロキサン・セグメント(B)とで構成され、しかも、
(A)および(B)なる此等の両セグメントが、次の構
造式(S−I)
【0018】
【化10】
【0019】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0020】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る水性樹脂(D)を提供しようとするものであるし、
【0021】併せて、該水性樹脂(D)の製造法ならび
に該水性樹脂(D)を必須の成分として含有する水性硬
化性樹脂組成物をも提供しようとするものであるし、
【0022】さらには、該水性樹脂(D)と、該水性樹
脂(D)中に含まれる官能基と反応する官能基とを併有
する化合物(E)とを含有することから成る水性硬化性
樹脂組成物をも提供しようとするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】このように、本願は、一つには、
分子中にポリエーテル鎖を有する重合体セグメント
(A;以下も同様)と、分子中に、珪素原子に結合した
水酸基を有する、分岐したポリシロキサン・セグメント
(B;以下も同様)とで以て構成され、しかも、(A)
および(B)なる此等の両セグメントが、次の構造式
(S−I)
【0024】
【化11】
【0025】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0026】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る、極めて実用性の高い水性樹脂(D)それ自体を請求
しようとするものであるし、
【0027】二つには、ポリエーテル鎖を有する重合体
セグメント(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有す
る分岐したポリシロキサン・セグメント(B)とで以て
構成され、しかも、(A)および(B)なる此等の両セ
グメントが、次の構造式(S−I)
【0028】
【化12】
【0029】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0030】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめることか
ら成る水性樹脂(D)の、新規にして有用なる製造法を
も請求しようとするものであるし、
【0031】三つには、ポリエーテル鎖を有する重合体
セグメント(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有す
る分岐したポリシロキサン・セグメント(B)とで以て
構成され、しかも、前記(A)と(B)とが、次の構造
式(S−I)
【0032】
【化13】
【0033】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0034】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る水性樹脂(D)を必須の成分として含有することから
成る、水性硬化性樹脂組成物を請求しようとするもので
あるし、
【0035】四つには、前記水性樹脂(D)と、水性樹
脂(D)中に含まれる官能基と反応する官能基を有する
化合物(E)とを含有することから成る、水性硬化性樹
脂組成物をも請求しようとするものである。
【0036】また、本願は、前記した複合樹脂(C)
が、特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併
有する重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基
および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
るポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめて得ら
れるものでるという、特定の水性樹脂をも請求しようと
するものであるし、
【0037】さらに、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリル
基以外の官能基とを有する重合体(a−2)と、珪素原
子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
加水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮
合反応せしめて得られるものであるという、特定の水性
樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0038】さらには、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併有する
重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する過程で、上記(a−1)と上記(b−2)とを
複合化せしめることによりに得られるものであるとい
う、特定の水性樹脂をも請求しようとするものである
し、
【0039】さらにまた、前記した複合樹脂(C)が、
特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリ
ル基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)の存在
下において、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記
(a−2)と上記(b−2)とを複合化せしめることに
よりに得られるものであるという、特定の水性樹脂をも
請求しようとするものであるし、
【0040】さらにはまた、前記した複合樹脂(C)
が、特に、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(b−1)の存在下において、ポリエーテル鎖と加水分
解性シリル基とを併有する重合体(a−1)を調製する
過程で、上記(a−1)と上記(b−1)とを複合化せ
しめることによりに得られるものであるという、特定の
水性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0041】そして、前記した複合樹脂(C)が、特
に、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
1)の存在下において、ポリエーテル鎖と加水分解性シ
リル基と、該シリル基以外の官能基とを併有する重合体
(a−2)を調製する過程で、上記(a−2)と上記
(b−1)とを複合化せしめることによりに得られるも
のであるという、特定の水性樹脂をも請求しようとする
ものであるし、
【0042】そしてまた、前記した複合樹脂(C)が、
特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併有す
る重合体(a−1)を調製する反応と、一分子中に少な
くとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有す
る珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合
した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)
を調製する反応とを、同一反応系において、並行して行
なう過程で、上記(a−1)と上記(b−2)とを複合
化せしめることにより得られるものであるという、特定
の水性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0043】そして更に、前記した複合樹脂(C)が、
特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリ
ル基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)を調製
する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する反応とを、同一
反応系において、並行して行なう過程で、上記(a−
2)と上記(b−2)とを複合化せしめることにより得
られるものであるという、特定の水性樹脂をも請求しよ
うとするものであるし、
【0044】そして更には、前記した重合体(a−2)
が、特に、加水分解シリル基以外の官能基として、それ
ぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル
基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基およ
び次の構造式(S−II)
【0045】
【化14】
【0046】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基を有するものである、特定
の水性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0047】そして更に亦、前記した重合体セグメント
(A)が、特に、ビニル系重合体セグメントであるとい
う、特定の水性樹脂をも請求しようとするものである
し、
【0048】そして更には亦、前記した重合体(a−
1)が、特に、ビニル系重合体であるという、特定の水
性樹脂をも請求しようとするものであるし、
【0049】あるいは、前記した重合体(a−2)が、
特に、ビニル系重合体であるという、特定の水性樹脂を
も請求しようとするものであるし、
【0050】あるいは亦、前記した重合体(a−1)
が、特に、それぞれ、加水分解性シリル基を有するビニ
ル系単量体、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤お
よび加水分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤よ
りなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物の存在
下に、ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体を必須成
分とする単量体をラジカル重合せしめて調製されるもの
である、特定の水性樹脂をも請求しようとするものであ
るし、
【0051】また、前記した重合体(a−2)が、特
に、それぞれ、加水分解性シリル基を有するビニル系単
量体、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤および加
水分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤よりなる
群から選ばれる、少なくとも1種の化合物の存在下に、
ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体と、加水分解性
シリル基以外の官能基を有するビニル系単量体とを必須
成分とする単量体をラジカル重合せしめて調製されるも
のであるという、特定の水性樹脂をも請求しようとする
ものであるし、
【0052】さらに、前記した重合体(a−1)中に含
まれる加水分解性シリル基が、特に、アルコキシシリル
基であるという、特定の水性樹脂をも請求しようとする
ものであるし、
【0053】さらには、前記した重合体(a−2)中に
含まれる加水分解性シリル基が、特に、アルコキシシリ
ル基であるという、特定の水性樹脂をも請求しようとす
るものであるし、
【0054】さらには、前記した、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有するポリシロキサン(b−1)が、特に、一分子中
に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基
を有する珪素化合物を必須成分とする珪素化合物類の加
水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物であるとい
う、特定の水性樹脂をも請求しようとするものである
し、
【0055】さらにまた、前記した、ポリシロキサン
(b−1)または(b−2)を調製する際に使用され
る、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
加水分解性基を有する珪素化合物が、特に、それぞれ、
テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラ
ン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水
分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物よりなる群
から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランであ
るという、特定の水性樹脂をも請求しようとするもので
あるし、
【0056】そして、前記した、ポリシロキサン(b−
1)中に含まれる加水分解性基が、特に、アルコキシ基
であるという、特定の水性樹脂をも請求しようとするも
のである。
【0057】また、前記した複合樹脂(C)が、特に、
ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併有する重合
体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/ま
たは珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロ
キサン(b−1)とを縮合反応せしめて得られるもので
あるという、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求しよ
うとするものであるし、
【0058】さらに、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリル
基以外の官能基とを有する重合体(a−2)と、珪素原
子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した
加水分解性基を併有するポリシロキサン(b−1)とを
縮合反応せしめて得られるものであるという、当該水性
樹脂の特定の製造法をも請求しようとするものである
し、
【0059】さらには、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併有する
重合体(a−1)の存在下において、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する過程で、上記(a−1)と上記(b−2)とを
複合化せしめることによりに得られるものであるとい
う、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとする
ものであるし、
【0060】さらにまた、前記した複合樹脂(C)が、
特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリ
ル基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)の存在
下において、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記
(a−2)と上記(b−2)とを複合化せしめることに
よりに得られるものである、当該水性樹脂の特定の製造
法をも請求しようとするものであるし、
【0061】さらにはまた、前記した複合樹脂(C)
が、特に、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(b−1)の存在下において、ポリエーテル鎖と加水分
解性シリル基を併有する重合体(a−1)を調製する過
程で、上記(a−1)と上記(b−1)とを複合化せし
めることによりに得られるものであるという、当該水性
樹脂の特定の製造法をも請求しようとするものである
し、
【0062】そしてまた、前記した複合樹脂(C)が、
特に、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
−1)の存在下において、ポリエーテル鎖と加水分解性
シリル基と、該シリル基以外の官能基とを併有する重合
体(a−2)を調製する過程で、上記(a−2)と上記
(b−1)とを複合化せしめることによりに得られるも
のであるという、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求
しようとするものであるし、
【0063】そして更に、前記した複合樹脂(C)が、
特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基を併有する
重合体(a−1)を調製する反応と、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する反応とを、同一反応系において、並行して行な
う過程で、前記(a−1)と(b−2)を複合化せしめ
ることにより得られるものであるという、当該水性樹脂
の特定の製造法をも請求しようとするものであるし、
【0064】そして更には、前記した複合樹脂(C)
が、特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該
シリル基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)を
調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原
子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分
解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分
岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応とを、
同一反応系において、並行して行なう過程で、上記(a
−2)と上記(b−2)とを複合化せしめることにより
得られるものであるという、当該水性樹脂の特定の製造
法をも請求しようとするものであるし、
【0065】そして更に亦、前記した重合体(a−2)
が、特に、加水分解シリル基以外の官能基として、それ
ぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル
基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基およ
び次の構造式(S−II)
【0066】
【化15】
【0067】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基を有するものであるとい
う、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとする
ものであるし、
【0068】そして更には亦、前記した重合体セグメン
ト(A)が、特に、ビニル系重合体セグメントである、
当該の水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとするも
のであるし、
【0069】また、前記した重合体(a−1)が、特
に、ビニル系重合体である、当該水性樹脂の特定の製造
法をも請求しようとするものであるし、
【0070】さらに、前記した重合体(a−2)が、特
に、ビニル系重合体である、当該水性樹脂の特定の製造
法をも請求しようとするものであるし、
【0071】さらには、前記した重合体(a−1)が、
特に、それぞれ、加水分解性シリル基を有するビニル系
単量体、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤および
加水分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤よりな
る群から選ばれる、少なくとも1種の化合物の存在下
に、ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体を必須成分
とする単量体をラジカル重合せしめて調製されるもので
あるという、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求しよ
うとするものであるし、
【0072】さらにまた、前記した重合体(a−2)
が、特に、それぞれ、加水分解性シリル基を有するビニ
ル系単量体、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤お
よび加水分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤よ
りなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合物の存在
下に、ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体と、加水
分解性シリル基以外の官能基を有するビニル系単量体と
を必須成分とする単量体をラジカル重合せしめて調製さ
れるものであるという、当該水性樹脂の特定の製造法を
も請求しようとするものであるし、
【0073】さらにはまた、前記した重合体(a−1)
中に含まれる加水分解性シリル基が、特に、アルコキシ
シリル基であるという、当該水性樹脂の特定の製造法を
も請求しようとするものであるし、
【0074】そして亦、前記した重合体(a−2)中に
含まれる加水分解性シリル基が、特に、アルコキシシリ
ル基であるという、当該水性樹脂の特定の製造法をも請
求しようとするものであるし、
【0075】そして更に、前記した、珪素原子に結合し
た水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性
基を有するポリシロキサン(b−1)が、特に、一分子
中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性
基を有する珪素化合物を必須成分とする珪素化合物類の
加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物であるとい
う、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求しようとする
ものであるし、
【0076】そして更に亦、前記した、ポリシロキサン
(b−1)または(b−2)を調製する際に使用され
る、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
加水分解性基を有する珪素化合物が、特に、それぞれ、
テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラ
ン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水
分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物よりなる群
から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランであ
るという、当該水性樹脂の特定の製造法をも請求しよう
とするものであるし、
【0077】そして更にはまた、前記した、ポリシロキ
サン(b−1)中に含まれる加水分解性基が、特に、ア
ルコキシ基であるという、当該水性樹脂の特定の製造法
をも請求しようとするものである。
【0078】そして、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基を併有する重
合体(a−1)と、珪素原子に結合した水酸基および/
または珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシ
ロキサン(b−1)とを縮合反応せしめて得られるもの
であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求し
ようとするものであるし、
【0079】また、前記した複合樹脂(C)が、特に、
ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリル基以
外の官能基とを併有する重合体(a−2)と、珪素原子
に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合
反応せしめて得られるものであるという、特定の水性硬
化性樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0080】さらに、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを有する重
合体(a−1)の存在下において、一分子中に少なくと
も2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪
素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した
水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を調
製する過程で、上記(a−1)と上記(b−2)とを複
合化せしめることにより得られるものであるという、特
定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするもので
あるし、
【0081】さらには、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリル
基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)の存在下
において、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結
合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合
せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐した
ポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、上記(a
−2)と上記(b−2)とを複合化せしめることにより
に得られるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組
成物をも請求しようとするものであるし、
【0082】さらにまた、前記した複合樹脂(C)が、
特に、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b
−1)の存在下において、ポリエーテル鎖と加水分解性
シリル基とを併有する重合体(a−1)を調製する過程
で、上記(a−1)と上記(b−1)とを複合化せしめ
ることにより得られるものであるという、特定の水性硬
化性樹脂組成物をも請求しようとするものであるし、
【0083】さらにはまた、前記した複合樹脂(C)
が、特に、珪素原子に結合した水酸基および/または珪
素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(b−1)の存在下において、ポリエーテル鎖と加水分
解性シリル基と、該シリル基以外の官能基とを併有する
重合体(a−2)を調製する過程で、上記(a−2)と
上記(b−1)とを複合化せしめることにより得られる
ものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請
求しようとするものであるし、
【0084】そして亦、前記した複合樹脂(C)が、特
に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併有する
重合体(a−1)を調製する反応と、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合し
た水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−2)を
調製する反応とを、同一反応系において、並行して行な
う過程で、上記(a−1)と上記(b−2)とを複合化
せしめることにより得られるものであるという、特定の
水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするものである
し、
【0085】そして更に、前記した複合樹脂(C)が、
特に、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリ
ル基以外の官能基とを併有する重合体(a−2)を調製
する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に
結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮
合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する反応とを、同一
反応系において、並行して行なう過程で、上記(a−
2)と上記(b−2)とを複合化せしめることにより得
られるものであるという、特定の水性硬化性樹脂組成物
をも請求しようとするものであるし、
【0086】そして更には、前記した重合体(a−2)
が、特に、加水分解シリル基以外の官能基として、それ
ぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシル
基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基およ
び次の構造式(S−II)
【0087】
【化16】
【0088】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基を有するものであるとい
う、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとする
ものであるし、
【0089】そして更に亦、前記した重合体セグメント
(A)が、特に、ビニル系重合体セグメントであるとい
う、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとする
ものであるし、
【0090】そして更には亦、前記した重合体(a−
1)が、特に、ビニル系重合体であるという、特定の水
性硬化性樹脂組成物をも請求しようとするものである
し、
【0091】あるいは、前記した重合体(a−2)がビ
ニル系重合体であるという、特定の水性硬化性樹脂組成
物をも請求しようとするものであるし、
【0092】あるいは亦、前記した重合体(a−1)
が、特に、加水分解性シリル基を有するビニル系単量
体、加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤および加水
分解性シリル基を有するラジカル重合開始剤よりなる群
から選ばれる、少なくとも1種の化合物の存在下に、ポ
リエーテル鎖を有するビニル系単量体を必須成分とする
単量体をラジカル重合せしめて調製されるものであると
いう、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとす
るものであるし、
【0093】また、前記した重合体(a−2)が、特
に、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体、加水
分解性シリル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シ
リル基を有するラジカル重合開始剤よりなる群から選ば
れる、少なくとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテ
ル鎖を有するビニル系単量体と、加水分解性シリル基以
外の官能基を有するビニル系単量体とを必須成分とする
単量体をラジカル重合せしめて調製されることものであ
るという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しよう
とするものであるし、
【0094】さらに、前記した重合体(a−1)中に含
まれる加水分解性シリル基が、特に、アルコキシシリル
基であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求
しようとするものであるし、
【0095】さらには、前記した重合体(a−2)中に
含まれる加水分解性シリル基が、特に、アルコキシシリ
ル基であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請
求しようとするものであるし、
【0096】さらに亦、前記した、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有するポリシロキサン(b−1)が、特に、一分子中
に少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基
を有する珪素化合物を必須成分とする珪素化合物類の加
水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物であるとい
う、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しようとする
ものであるし、
【0097】さらには亦、前記した、ポリシロキサン
(b−1)または(b−2)を調製する際に使用され
る、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
加水分解性基を有する珪素化合物が、特に、それぞれ、
テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキシシラ
ン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部分加水
分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物よりなる群
から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシランであ
るという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求しよう
とするものであるし、
【0098】そして亦、前記した、ポリシロキサン(b
−1)中に含まれる加水分解性基が、特に、アルコキシ
基であるろいう、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求
しようとするものであるし、
【0099】そして更には、前記した化合物(E)が、
特に、それぞれ、珪素原子に結合した水酸基および/ま
たは珪素原子に結合した加水分解性基を有する化合物、
一分子中にイソシアネート基と珪素原子に結合した加水
分解性基とを併有する化合物、一分子中にエポキシ基と
珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合物、
ポリイソシアネート化合物、ブロック・ポリイソシアネ
ート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネ
ート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド基含
有化合物、ポリカルボキシ化合物およびポリヒドロキシ
化合物よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の化合
物であるという、特定の水性硬化性樹脂組成物をも請求
しようとするものである。
【0100】以下に、本発明を、さらに一層、詳細に、
説明することにする。
【0101】本発明に係る水性樹脂(D)とは、水性化
のための親水性を付与するためのポリエーテル鎖を有す
る重合体セグメント(A)と、耐久性などを付与するた
めの珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
ロキサン・セグメント(B)とで構成されるものであ
り、しかも、(A)と(B)なる此等の両セグメント
が、次の構造式(S−I)
【0102】
【化17】
【0103】〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサン・セグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0104】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめて得られ
る形の樹脂を指称するものである。
【0105】当該水性樹脂(D)を構成する、ポリエー
テル鎖を有する重合体セグメント(A)とは、たとえ
ば、それぞれ、各種のポリエーテル鎖が重合体の末端部
分および/または重合体の側鎖部分にブロックの形で、
あるいはグラフトの形で結合した構造を有する、ポリエ
ーテル系重合体以外の重合体セグメントを指称するもの
である。
【0106】かかる重合体セグメント(A)として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、それぞれ、
アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニ
ルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体またはポリ
オレフィン系重合体の如き、各種のビニル系重合体に基
づくセグメントなどであるし、さらには、ポリエステル
樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体などの
ような、ビニル系重合体以外の重合体に基づくセグメン
トなどである。
【0107】これらのうちでも特に望ましいものとして
は、ビニル系重合体セグメントまたはポリウレタン系重
合体セグメントなどが挙げられるし、さらに、此のビニ
ル重合体セグメントのうちでも特に望ましいものとして
は、アクリル系重合体セグメントが挙げられる。
【0108】また、かかる重合体セグメント(A)中に
含まれる、ポリエーテル鎖として特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、ポリオキシエチレン鎖、ポリ
オキシプロピレン鎖またはポリオキシブチレン鎖の如
き、各種のポリオキシアルキレン鎖などであるし、さら
には、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)鎖の
如き、前記したオキシアルキレン部分がランダムに共重
合された形のものなどであるとか、あるいはポリオキシ
エチレン−ポリオキシプロピレン鎖の如き、相異なれる
ポリオキシアルキレン鎖がブロック状に結合した形のも
のなどである。
【0109】そして、これらのうちでも、ポリエーテル
鎖の親水性などの面からは、オキシエチレン単位または
オキシプロピレン単位を有する形のものの使用が、特に
望ましい。
【0110】そしてまた、こうしたポリエーテル鎖のう
ち、該ポリエーテル鎖の平均分子量としては、水溶性な
いしは水分散性などの面からは、約200〜約10,0
00の範囲内が適切であるし、好ましくは、400〜
8,000の範囲内が適切であるし、最も好ましくは、
600〜6,000の範囲内が適切である。
【0111】重合体セグメント(A)において、かかる
ポリエーテル鎖の量としては、重合体セグメント(A)
の1,000グラム(g)当たりのポリエーテル鎖のグ
ラム数として、約10〜約990gの範囲内が適切であ
るし、好ましくは、20〜900gの範囲内が適切であ
るし、最も好ましくは、40〜800gの範囲内が適切
である。
【0112】次いで、前記した水性樹脂(D)を構成し
ているポリシロキサン・セグメント(B)は、その反応
性の官能基として、珪素原子に結合した水酸基を有し、
しかも、その原料成分の少なくとも一部分として、後掲
するような、それぞれ、オルガノトリアルコキシシラン
や、テトラアルコキシシランなどのような、3官能また
は4官能シラン化合物を使用することによって、分岐構
造を導入せしめた形のものである。
【0113】また、前記した複合樹脂(C)における重
合体セグメント(A)と、此のポリシロキサン・セグメ
ント(B)との比率は、(A):(B)なる重量割合と
して、5:95〜99:1程度になるように、好ましく
は、15:85〜95:5になるように、さらに好まし
くは、20:80〜85:15になるように設定するの
がよい。
【0114】此の重合体セグメント(A)の重量割合が
約5%未満になるように設定すると、どうしても、ポリ
シロキサン・セグメント(B)が多すぎるために、とり
わけ、耐アルカリ性などに乏しい硬化塗膜が得られるよ
うになったり、水性樹脂(D)の安定性が劣るようにな
ってしまったりするし、一方、重合体セグメント(A)
の重量割合が約99%を超えて余りにも多くなるような
場合には、どうしても、ポリシロキサン・セグメント
(B)が少なすぎるために、高度の耐久性などを有する
硬化塗膜が得られ難くなるので、いずれの場合も好まし
くない。
【0115】かかる水性樹脂(D)の前駆体である複合
樹脂(C)を調製するには、(1)予め調製した、セグ
メント(A)を形成するための前駆体である、それぞ
れ、重合体(a−1)または(a−2)と、セグメント
(B)を形成するための前駆体であるポリシロキサン
(b−1)とを、前掲した構造式(S−I)で示される
結合を介して複合化するように縮合反応せしめる方法、
【0116】(2)(b−1)の存在下に、重合体(a
−1)または(a−2)を調製する反応を行なう過程
で、前掲した構造式(S−I)で示される結合を介して
複合化するように、重合体(a−1)または(a−2)
とポリシロキサン(b−1)とを縮合反応せしめる方
法、
【0117】(3)重合体(a−1)または(a−2)
の存在下に、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
たポリシロキサン(b−2)を調製する反応を行なう過
程で、前掲した構造式(S−I)で示される結合を介し
て複合化するように、重合体(a−1)または(a−
2)とポリシロキサン(b−2)とを縮合反応せしめる
方法などであるとか、
【0118】さらには、(4)重合体(a−1)または
(a−2)を調製する反応と、前記したポリシロキサン
(b−2)を調製する反応とを、同時並行的に行なう過
程で、前掲した構造式(S−I)で示される結合を介し
て複合化するように、重合体(a−1)または(a−
2)とポリシロキサン(b−2)とを縮合反応せしめる
方法などのような、種々の方法を適用することが出来
る。
【0119】そして、これらの、セグメント(A)とセ
グメント(B)とを、前掲した構造式(S−I)で示さ
れる結合を介して複合化せしめるには、前記した重合体
(a−1)または(a−2)として、分子中に加水分解
性シリル基を有している形のものを使用すればよい。
【0120】次いで、前記した複合樹脂(C)の調製方
法について、詳しく述べることにする。
【0121】まず、当該複合樹脂(C)を調製する際に
使用される重合体の一つである、ポリエーテル鎖と加水
分解性シリル基とを併有する重合体(a−1)とは、た
とえば、分子末端部分および/または側鎖部分に結合し
た、上述したようなポリエーテル鎖を有し、しかも、加
水分解性シリル基をも有する、ポリエーテル系以外の重
合体を指称するものである。
【0122】そして、かかる重合体(a−1)中に含ま
れる加水分解性シリル基とは、次のような一般式(S−
III)
【0123】
【化18】
【0124】〔ただし、式中のR1 はアルキル基、ア
リール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R2
は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキ
シ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキ
シ基またはアルケニルオキシ基を表わすものとし、ま
た、aは0あるいは1または2なる整数であるものとす
る。〕
【0125】で示されるような、加水分解されてシラノ
ール基を生成する基を指称するものであって、しかも、
該加水分解性シリル基それ自体が、直接に、炭素原子と
共有結合することにより、あるいはシロキサン結合を介
して、炭素原子と共有結合することにより、此の重合体
(a−1)に結合しているものであると規定される。
【0126】そして、かかるポリエーテル鎖の末端部分
には、水酸基やカルボキシル基などの反応性の官能基を
存在しているものであってもよいし、メトキシ基または
エトキシ基の如き、各種のアルコキシ基などで以て封鎖
された形で、反応性の官能基を有しないものであっても
よい。
【0127】斯かる重合体(a−1)として特に代表的
なるもののみを例示するにとどめるならば、アクリル系
重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル
系重合体または芳香族ビニル系重合体の如き、各種のビ
ニル系重合体;あるいはポリエステル樹脂、アルキド樹
脂またはポリウレタン系重合体などである。
【0128】これらのうちでも特に望ましいものとして
は、ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体などが
挙げられるし、さらに、此のビニル重合体のうちでも特
に望ましいものとしては、アクリル系重合体が挙げられ
る。
【0129】斯かる重合体(a−1)のうちの、此のビ
ニル系重合体を調製するには、たとえば、(i) 分子
中に加水分解性シリル基を有するビニル系単量体と、ポ
リエーテル鎖を有するビニル系単量体を共重せしめた
り、前記した両タイプの単量体と、これらの単量体と共
重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめる方法
であるとか、
【0130】(ii) 分子中に加水分解性シリル基を
有する連鎖移動剤および/または分子中に加水分解性シ
リル基を有するラジカル重合開始剤の存在下に、ポリエ
ーテル鎖を有するビニル系単量体を重合せしめたり、あ
るいは該単量体と共重合可能なる其の他の単量体とを共
重合せしめる方法であるとか、
【0131】(iii) 分子中に加水分解性シリル基
を有する連鎖移動剤および/または分子中に加水分解性
シリル基を有するラジカル重合開始剤の存在下に、分子
中に加水分解性シリル基を有するビニル系単量体と、ポ
リエーテル鎖を有するビニル系単量体とを共重合せしめ
たり、分子中に加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤
および/または分子中に加水分解性シリル基を有するラ
ジカル重合開始剤の存在下に、前記した両タイプの単量
体と、これらの単量体と共重合可能なる其の他の単量体
とを共重合せしめる方法であるとか、
【0132】(iv) 予め調製しておいた、水酸基と
ポリエーテル鎖とを併有するビニル系重合体に、3−イ
ソシアナートプロピルトリエトキシシランのような、各
種のイソシアナート基含有シラン化合物を反応せしめる
という方法
【0133】などのような、公知慣用の種々の方法を適
用することが出来るが、これらのうちでも、上記(i)
〜(iii)なる方法によるのが、特に簡便であるので
推奨され得よう。
【0134】当該重合体(a−1)を調製する際に使用
される、斯かる加水分解性シリル基含有ビニル系単量体
とは、前掲したような構造式(S−III)で示される
加水分解性シリル基を有する単量体を指称するものであ
って、こうした単量体として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラ
ン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(2
−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラ
ン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、2
−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、2−(メ
チルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、3−ト
リメトキシシリルプロピルビニルエーテルまたは3−ト
リエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
【0135】あるいは3−(メチルジメトキシシリル)
プロピルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラ
ンまたは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチ
ルジクロロシランなどである。
【0136】また、当該重合体(a−1)を調製する反
応を行なうに当たって使用される、上記した、加水分解
性シリル基を有する連鎖移動剤とは、上述したような加
水分解性シリル基と、メルカプト基、塩素原子、臭素原
子またはヨウ素原子のような、いわゆる遊離ラジカルに
よって活性化される基ないしは原子とを併有する化合物
を指称するものである。
【0137】かかる連鎖移動剤として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエト
キシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−メルカプトプロピルメチルジクロロシラ
ン、3−メルカプトプロピルジメチルクロロシラン、3
−ブロモプロピルトリメトキシシランまたは3−ブロモ
プロピルトリエトキシシランなどである。
【0138】さらにまた、当該重合体(a−1)を調製
する際に使用される、上記した、加水分解性シリル基を
有するラジカル重合開始剤とは、上述したような、いわ
ゆる加水分解性シリル基を有する化合物を指称するもの
であって、これらのうちでも特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、
【0139】2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−
トリメトキシシリルブチロニトリル)、2,2’−アゾ
ビス−(2−メチル−4−トリエトキシシリルブチロニ
トリル)、2,2’−アゾビス−(2−メチル−4−ジ
メトキシメチルシリルブチロニトリル)、2,2’−ア
ゾビス−(2−メチル−4−ジエトキシメチルシリルブ
チロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキ
シメチル)プロピオニトリル]または4,4’−アゾビ
ス(4−シアノバレリックアシッド)の如き、活性水素
含有基を有する各種のアゾ系開始剤を、
【0140】たとえば、3−イソシアナートプロピルト
リエトキシシランまたは3−イソシアナートプロピルメ
チルジメトキシシシランの如き、イソシアナートシラン
とを反応せしめることによって得られる、アミド結合あ
るいはウレタン結合を介して、加水分解性シリル基が結
合した形のアゾ系化合物の如き、各種のアゾ系化合物;
【0141】あるいはtert−ブチルパーオキシ−
2,2−ジメチル−3−トリメトキシシリルプロパノエ
ート、tert−ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル
−3−トリエトキシシリルプロパノエート、tert−
ブチルパーオキシ−2,2−ジメチル−3−ジメトキシ
メチルシリルプロパノエート、tert−ブチルパーオ
キシ−2,2−ジメチル−3−ジエトキシメチルシリル
プロパノエート、tert−ブチルパーオキシ−3−メ
チル−5−トリメトキシシリルヘキサノエートまたはt
ert−ブチルパーオキシ−4−エチル−5−トリメト
キシシリルヘキサノエートの如き、各種の過酸化物など
である。
【0142】引き続いて、当該重合体(a−1)を調製
する際に使用される、前記した、ポリエーテル鎖を有す
るビニル系単量体としては、前掲したような各種のポリ
エーテル鎖を有する、それぞれ、(メタ)アクリル酸エ
ステル系、クロトン酸エステル系、イタコン酸エステル
系、フマル酸エステル系あるいはビニルエーテル系など
のような、種々の単量体などが挙げられる。
【0143】かかるポリエーテル鎖を有するビニル系単
量体(以下、ポリエーテル鎖含有ビニル系単量体ともい
う。)として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ールもしくはオキシエチレン単位とオキシプロピレン単
位とを併有するポリエーテルジオールの如き、ポリエー
テルジオール類のモノ(メタ)アクリル酸エステル類;
前掲したポリエーテルジオール類のモノクロトン酸エス
テル類;前掲したポリエーテルジオール類のモノビニル
エーテル類;
【0144】モノメトキシ化ポリエチレングリコール、
モノメトキシ化ポリプロピレングリコールもしくはオキ
シエチレン単位とオキシプロピレン単位とを併有するポ
リエーテルジオールのモノメトキシ化物の如き、各種の
モノアルコキシ化ポリエーテルジオール類の(メタ)ア
クリル酸エステル;前掲した各種のモノアルコキシ化ポ
リエーテルジオール類のモノクロトン酸エステル類;さ
らには、前掲した各種のモノアルコキシ化ポリエーテル
ジオール類のビニルエーテル類などである。
【0145】そして、かかる単量体中に含まれるポリエ
ーテル鎖の平均分子量としては、水溶性あるいは水分散
性の面からは、約200〜約10,000の範囲内が適
切であるし、好ましくは、400〜8,000の範囲内
が適切であるし、最も好ましくは、600〜6,000
の範囲内が適切である。
【0146】かかるポリエーテル鎖を有する単量体類と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
「ブレンマーPE−90、PE−200もしくはPE−
350またはPME−100、PME−200もしくは
PME−400」[以上、日本油脂(株)製品];「R
MA−564、RMA−568またはRMA−111
4」[以上、日本乳化剤(株)製品];「NKエステル
M−20G、M−40G、M−90GまたはM−230
G」あるいは[以上、新中村化学工業(株)製品]など
である。
【0147】そしてまた、前述した(i)〜(iii)
なる方法に従って、斯かるポリエーテル鎖含有ビニル系
重合体(a−1)を調製するに当たって重合せしめるべ
きビニル系単量体としては、それぞれ、(i)と(ii
i)とにおいては、ポリエーテル鎖含有ビニル系単量体
と加水分解性シリル基含有ビニル系単量体との併用系の
みであってもよいし、
【0148】前述した(ii)なる方法においては、ポ
リエーテル鎖含有ビニル系単量体のみであってもよい
が、これらに加えて、さらに、これらの各ビニル系単量
体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体をも併用す
ることも出来る。
【0149】このような、共重合可能なる其の他のビニ
ル系単量体として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ(i)−ブ
チル(メタ)アクリレート〔イソブチル(メタ)アクリ
レート〕、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートま
たはラウリル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C
22なる炭素数を有する、1級ないしは2級のアルキル
アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;
【0150】ベンジル(メタ)アクリレートまたは2−
フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種のア
ラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メ
タ)アクリレートまたはイソボロニル(メタ)アクリレ
ートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アクリレー
ト類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレートまたは
4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如き、各種
のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;
【0151】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエンの如き、
各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニ
ルまたは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン酸ビニ
ルエステル類;
【0152】クロトン酸メチルまたはクロトン酸エチル
の如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメ
チルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマ
レート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネ
ートまたはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各種の
不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0153】(メタ)アクリロニトリルまたはクロトノ
ニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、
クロロトリフルオロエチエレンまたはヘキサフルオロプ
ロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビ
ニルまたは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化オレ
フィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−
ブテンまたは1−ヘキセンの如き、各種のα−オレフィ
ン類;
【0154】エチルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテル、イソブチルビニルエーテルまたはn−ヘキシ
ルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエーテ
ル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシル
ビニルエーテルまたは4−メチルシクロヘキシルビニル
エーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエーテル
類;
【0155】あるいはN,N−ジメチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−
(メタ)アクリロイルピロリジンまたはN−ビニルピロ
リドンの如き、各種の3級アミド基含有単量体類などで
ある。
【0156】以上に掲げられたような種々の単量体を用
いて、当該ビニル系重合体(a−1)を調製するには、
溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのよ
うな、公知慣用の種々の重合法を適用することが出来る
が、それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジ
カル重合法によるのが、最も簡便であるので、推奨され
よう。
【0157】此の溶液ラジカル重合法を適用する際に
は、前述したような、加水分解性シリル基を有するラジ
カル重合開始剤を必須成分として共存させ、ビニル系単
量体のラジカル重合を行なうケースがある。
【0158】かかる加水分解性シリル基を有するラジカ
ル重合開始剤を使用しない場合には、加水分解性シリル
基を有しない形のラジカル重合開始剤を使用しても、あ
るいは使用しなくてもよいが、ラジカル重合反応を円滑
に進行せしめる上からは、ラジカル重合開始剤を使用す
るのが望ましい。
【0159】そして、加水分解性シリル基を有するラジ
カル重合開始剤を、必須の成分として使用して、ラジカ
ル重合を行なうに当たっては、加水分解性シリル基を有
するラジカル重合開始剤を単独で用いることも出来る
し、加水分解性シリル基を有しない形のラジカル重合開
始剤を併用することも出来る。
【0160】かかる加水分解性シリル基を有しない形の
ラジカル重合開始剤としては、勿論ながら、公知慣用の
種々の化合物が使用できるけれども、それらのうちでも
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0161】2,2’−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)または2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0162】あるいはtert−ブチルパーオキシピバ
レート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、t
ert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イドもしくはアセチルパーオキサイド、
【0163】またはジ−tert−ブチルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイド
ロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メ
チルエチルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピ
ルパーオキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類な
どである。
【0164】また、溶液ラジカル重合法を適用するに際
して使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤
のいずれをも使用することが出来るし、しかも、それら
は、単独使用でも2種類以上の併有でもよいことは、勿
論である。
【0165】それらのうちでも特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンまたは
シクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環式
系の炭化水素類;
【0166】トルエン、キシレンまたはエチルベンゼン
の如き、各種の芳香族炭化水素類;ギ酸メチル、ギ酸エ
チル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルもしくは酢酸n−ア
ミルまたはエチレングリコールモノメチルエーテルアセ
テート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテ
ートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテルア
セテートの如き、各種のエステル類;
【0167】メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−
アミルアルコール、i−アミルアルコールまたはter
t−アミルアルコール
【0168】あるいはエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルまたは
エチレングリコールモノn−ブチルエーテルの如き、各
種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトンまたは
シクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0169】あるいは亦、ジメトキシエタン、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルまた
はジ−n−ブチルエーテルの如き、各種のエーテル類;
クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素、トリ
クロロエタンまたはテトラクロロエタンの如き、各種の
塩素化炭化水素類などであるし、さらには、N−メチル
ピロリドン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセト
アミドまたはエチレンカーボネートなどである。
【0170】以上に掲げたような、それぞれ、単量体
類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣
用の溶液ラジカル重合法を適用することによって、目的
とする、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを併有
するビニル系重合体(a−1)を調製することが出来
る。
【0171】本発明に係る水性樹脂(D)の前駆体であ
る、前記した複合樹脂(C)を調製するに際して用いら
れる、もう一方の重合体である、ポリエーテル鎖と加水
分解性シリル基と、該シリル基以外の官能基とを併有す
る重合体(a−2)とは、前掲したような、ポリエーテ
ル鎖と加水分解性シリル基とに加えて、該加水分解性シ
リル基以外の、公知慣用の種々の官能基をも有する形の
重合体を指称するものである。
【0172】そして、当該重合体(a−2)中に導入せ
しめるべき、加水分解性シリル基以外の官能基として特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、水酸基、
ブロックされた水酸基、カルボキシル基、ブロックされ
たカルボキシル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、
シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2
級アミド基、カーバメート基および次の構造式(S−I
I)
【0173】
【化19】
【0174】で示されるような官能基などである。
【0175】ここにおいて、上記した2級アミド基は、
N−ヒドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチル
アミド基または次のような構造式(S−IV)
【0176】
【化20】 −C(O)−NH−CH(OR3 )−COOR4 (S−IV)
【0177】〔ただし、式中のR3 は水素原子、炭素
数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすも
のとし、また、R4 は炭素数が1〜8なるアルキル基
またはアリール基を表わすものとする。)
【0178】で示されるような官能基をも包含するとい
うものである。
【0179】また、これらの種々の官能基は、当該重合
体(a−2)中に、1種のみを導入し含有せしめるよう
にしてもよいし、2種以上を導入し含有せしめるように
することも出来る。
【0180】加水分解性シリル基以外の、前掲したよう
な各種の官能基のうちでも特に望ましいもののみを例示
するにとどめれば、水酸基、ブロックされた水酸基、カ
ルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボ
ン酸無水基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エ
ポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート
基または前掲した構造式(S−II)で示されるような
官能基などである。
【0181】こうした各種の官能基を有する重合体(a
−2)として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、アクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合
体、ビニルエステル系重合体または芳香族ビニル系重合
体のような、各種のビニル系重合体;あるいはポリエス
テル樹脂、アルキド樹脂またはポリウレタン系重合体な
どである。
【0182】これらのうちでも特に望ましいものとして
は、ビニル系重合体またはポリウレタン系重合体などが
挙げられるし、さらに、此のビニル重合体のうちでも特
に望ましいものとしては、アクリル系重合体が挙げられ
る。
【0183】また、当該重合体(a−2)のうちの、此
のビニル系重合体を調製するには、公知慣用の種々の方
法を利用し適用することができるが、それらのうちで
も、(v) 水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキ
シル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無
水基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基また
は前掲した構造式(S−II)で示されるような官能基
などで代表される、加水分解性シリル基以外の各種の官
能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官能基
を有する単量体と、
【0184】加水分解性シリル基含有ビニル系単量体
と、ポリエーテル鎖を有するビニル系量体とを共重合せ
しめたり、前掲したような三タイプの単量体と、これら
と共重合可能なる其の他のビニル系単量体とを共重合せ
しめる方法であるとか、
【0185】(vi) 加水分解性シリル基含有連鎖移
動剤および/または加水分解性シリル基含有ラジカル重
合開始剤の存在下に、それぞれ、水酸基、ブロックされ
た水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシ
ル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、シクロカーボ
ネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、
カーバメート基または前掲した構造式(S−II)で示
されるような官能基などで代表される、加水分解性シリ
ル基以外の各種の官能基よりなる群から選ばれる、少な
くとも1種の官能基を有する単量体と、ポリエーテル鎖
を有するビニル系単量体を共重合せしめたり、前掲した
ような二タイプの単量体類と、これらと共重合可能なる
其の他の単量体とを共重合せしめる方法であるとか、
【0186】(vii) 加水分解性シリル基含有連鎖
移動剤および/または加水分解性シリル基含有ラジカル
重合開始剤の存在下に、それぞれ、水酸基、ブロックさ
れた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキ
シル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、シクロカー
ボネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド
基、カーバメート基または前掲した構造式(S−II)
で示されるような官能基などで代表される、加水分解性
シリル基以外の各種の官能基よりなる群から選ばれる、
少なくとも1種の官能基を有する単量体と、
【0187】加水分解性シリル基含有ビニル系単量体
と、ポリエーテル鎖を有するビニル系単量体とを共重合
せしめたり、前掲したような三タイプの単量体類と、こ
れらと共重合可能なる其の他の単量体とを共重合せしめ
る方法などが挙げられるが、こうした諸々の方法による
のが、特に簡便である。
【0188】こうした諸々の方法によって、特に、当該
重合体(a−2)のうちの、此のビニル系重合体(a−
2)を調製する際に使用される、加水分解性シリル含有
ビニル系単量体、加水分解性シリル基含有連鎖移動剤、
加水分解性シリル基含有ラジカル重合開始剤、ポリエー
テル鎖を有するビニル系単量体および此等と共重合可能
なる其の他のビニル系単量体として特に代表的なものの
みを例示するにとどめれば、前述したビニル系重合体
(a−1)を調製する際に使用されるものとして、それ
ぞれについて、すでに、例示して来たような、各種の単
量体などである。
【0189】また、此のビニル系重合体(a−2)を調
製する際に使用される、水酸基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0190】2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまた
は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如き、
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒド
ロキシエチルビニルエーテルまたは4−ヒドロキシブチ
ルビニルエーテルの如き、各種の水酸基含有ビニルエー
テル類;
【0191】2−ヒドロキシエチルアリルエーテルの如
き、各種の水酸基含有アリルエーテル類;前掲したよう
な各種の水酸基含有単量体類と、ε−カプロラクトンな
どで以て代表されるような、種々のラクトン類との付加
物;あるいはグリシジル(メタ)アクリレートなどで以
て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽和単量
体と、酢酸などで以て代表されるような、種々の酸類と
の付加物などであるし、
【0192】さらには、(メタ)アクリル酸などで以て
代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カ
ーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)など
で以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイ
ド系化合物以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加
物などのような種々の水酸基含有単量体類などである。
【0193】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、ブロックされた水酸基を有するビニル
系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、2−トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)アク
リレート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)アク
リレート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエーテ
ルまたは4−トリメチルシロキシブチルビニルエーテル
の如き、特開昭62−283163号公報に開示されて
いるような、各種のシリルエーテル基含有ビニル系単量
体類;
【0194】2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アク
リロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランまたは
2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメ
チルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報
に開示されているような、各種のアセタール基ないしは
ケタール基含有含有ビニル系単量体類;
【0195】あるいは3−〔2−(メタ)アクリロイル
オキシ〕エチルオキサゾリジン、2,2−ジメチル−3
−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾ
リジンまたは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−
(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリジンの
如き、各種のオキサゾリジン基含有ビニル系単量体類な
どである。
【0196】また、此のビニル系重合体(a−2)を調
製する際に使用される、酸基含有ビニル系単量体のう
ち、遊離のカルボキシル基を有するビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メ
タ)アクリル酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリ
レート、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフ
マル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸類;
【0197】イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−
n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−
n−ブチル、フマル酸モノメチルまたはフマル酸モノ−
n−ブチルの如き、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価
アルコール類との、各種のモノエステル類(ハーフエス
テル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビ
ニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエス
テル類;
【0198】無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリ
カルボン酸の無水物類と、前掲したような各種の水酸基
含有ビニル系単量体類との付加反応生成物などである
し、さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含
有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られ
るような各種の単量体類などである。
【0199】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、ブロックされたカルボキシル基を有す
る単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、トリメチルシリル(メタ)アクリレート、ジメ
チル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレートま
たははトリメチルシリルクロトネートの如き、特開昭6
2−254876号公報に開示されているような、各種
のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0200】1−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパン
または2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフ
ランの如き、特開平5−222134号公報に開示され
ているような、各種の、ヘミアセタールエステル基ない
しはヘミケタールエステル基含有単量体類;あるいはt
ert−ブチル(メタ)アクリレートまたはtert−
ブチルクロトネートの如き、各種のtert−ブチルエ
ステル基含有単量体類などである。
【0201】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、カルボン酸無水基含有単量体として特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、無水マレ
イン酸、無水シトラコン酸または無水イタコン酸の如
き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無水物類;無水アク
リル酸または無水メタクリル酸の如き、各種の不飽和モ
ノカルボン酸の無水物類;あるいはアクリル酸またはメ
タクリル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸と、酢酸、
プロピオン酸または安息香酸などのような、種々の飽和
カルボン酸との混合酸無水物などである。
【0202】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、3級アミノ基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0203】2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ートもしくは4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリ
レートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]
エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル類;
【0204】ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール
またはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ基
含有芳香族ビニル系単量体類;
【0205】N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピ
ルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−
ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N
−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミ
ドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモ
ルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アク
リルアミド類;
【0206】N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチ
ルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロ
ピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミ
ノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ
基含有クロトン酸アミド類;
【0207】あるいは2−ジメチルアミノエチルビニル
エーテル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、
3−ジメチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−
ジメチルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3
級アミノ基含有ビニルエーテル類などである。
【0208】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、シクロカーボネート基含有ビニル系単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、
【0209】2,3−カーボネートプロピル(メタ)ア
クリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピ
ル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル
(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネ
ートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4
−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−
カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、6,7−
カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチ
ル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレー
トもしくは7,8−カーボネートオクチル(メタ)アク
リレート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテ
ル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートまた
はジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの
如き、5員環のシクロカーボネート基含有ビニル系単量
体類などをはじめ、
【0210】さらには、〔5−N−(メタ)アクリロイ
ルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−
ジオキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アク
リロイルオキシ}エチルカルバモイルオキシ〕メチル−
5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチ
ル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−
ジオキサン−2−オンまたは4−(5−エチル−2−オ
キソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチル
スチレンの如き、6員環のシクロカーボネート基含有ビ
ニル系単量体類である。
【0211】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、エポキシ基含有ビニル系単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)
アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシ
ド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニ
ルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、種
々の化合物などである。
【0212】当該ビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、1級アミド基ないしは2級アミド基含
有ビニル系単量体として特に代表的なるもののみを例示
するにとどめるならば、(メタ)アクリルアミド、N−
イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド、N−ビニルフォルムアミド、メチ
ル(メタ)アクリルアミドグリコレート、メチル(メ
タ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテル、N−
メチロール(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシ
メチル(メタ)アクリルアミド、2−イソシアナートエ
チル(メタ)アクリレートとアセチルアセトンまたはア
セト酢酸エステル類との付加反応物の如き、種々の化合
物などである。
【0213】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、カーバメート基含有ビニル系単量体と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0214】N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メ
チル、N−(メタ)アクリロイルカルバミン酸エチル、
N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルカルバ
ミン酸エチル、2−カルバモイルオキシエチル(メタ)
アクリレート、2−(N−メチルカルバモイルオキシ)
エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルカルバ
モイルオキシ)エチル(メタ)アクリレートまたは3−
イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネ
ートと、2−ヒドロキシプロピルカーバメートとの付加
反応物;
【0215】2−イソシアナートエチル(メタ)アクリ
レートと、フェノールとの付加反応物;2−イソシアナ
ートエチル(メタ)アクリレートと、エタノールとの付
加反応物;あるいは2−イソシアナートエチル(メタ)
アクリレートと、メチルエチルケトオキシムとの付加反
応物のような種々の化合物などである。
【0216】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、前掲した構造式(S−II)で示され
るような官能基を有するビニル系単量体として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナ
ートエチル(メタ)アクリレートまたは3−イソプロペ
ニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの如
き、各種のイソシアナート基含有ビニル系単量体と、ε
−カプロラクタムまたはγ−ブチロラクタムの如き、各
種のアミド化合物との付加反応物のような種々の化合物
などである。
【0217】此のビニル系重合体(a−2)を調製する
際に使用される、前掲したような種々の官能基のうちの
2種以上の官能基を併有するビニル系単量体として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、モノ−(2
−ヒドロキシエチル)イタコネートまたはモノ−(2,
3−カーボネートプロピル)イタコネートなどのような
種々の化合物などである。
【0218】また、前述した、それぞれ、(v)〜(v
ii)なる方法に従って、斯かるビニル系重合体(a−
2)を調製するに当たって重合せしめるべきビニル系単
量体としては、(v)と(vii)とにおいては、ポリ
エーテル鎖含有ビニル系単量体と、加水分解性シリル基
含有ビニル系単量体と、前掲したような、加水分解性シ
リル基以外の官能基を有するビニル系単量体との3成分
系であってもよいし、
【0219】一方、(vi)においては、ポリエーテル
鎖含有ビニル系単量体と、前掲したような、加水分解性
以外の官能基を有するビニル系単量体との2成分系であ
ってもよいが、これらに加えて、さらに、これらの各ビ
ニル系単量体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体
をも併用することが出来る。
【0220】かかる共重合可能なる其の他のビニル系単
量体としては、前述したビニル系重合体(a−1)を調
製するに当たり、ポリエーテル鎖含有ビニル系単量体あ
るいは加水分解性シリル基を含有する単量体と共重合可
能なる其の他の単量体として、すでに、例示して来たよ
うな種々のビニル系単量体類などが挙げられる。
【0221】さらに、此のビニル系重合体(a−2)を
調製するには、前述したビニル系重合体(a−1)を調
製する際に使用されるものとして、すでに、例示して来
たような、それぞれ、溶剤類および重合開始剤類を使用
して、公知慣用の種々の方法に従って、溶液ラジカル重
合せしめれようにすればよい。
【0222】以上に掲げたような、単量体類、重合開始
剤類および有機溶剤類を使用して、公知慣用の溶液ラジ
カル重合法を適用することによって、目的とするポリエ
ーテル鎖と加水分解性シリル基と、該シリル基以外の官
能基とを併有するビニル系重合体(a−2)を調製する
ことが出来る。
【0223】以上に述べて来たような、それぞれ、ビニ
ル系重合体(a−1)または(a−2)中に導入される
べき加水分解性シリル基量としては、それぞれの重合体
の固形分の1,000グラム当たりの加水分解性シリル
基のモル数として、大約0.005〜大約3モルの範囲
内が適切であり、好ましくは、0.01〜2モルの範囲
内が適切であるし、さらに一層好ましくは、0.05〜
1モルの範囲内が適切である。
【0224】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、本発明に係る水性硬化性組成物からの硬化物の、
とりわけ、耐久性などが低下するようにもなるし、一
方、約3モルを超えて余りにも多くなる場合には、複合
樹脂(C)の調製の際に、どうしても、反応溶液の粘度
が上昇するようになり、ひいては、ゲル化が起きてしま
うなどの不都合があるので、いずれの場合も好ましくな
い。
【0225】したがって、上述したような好ましい量の
加水分解性シリル基が導入されるように、それぞれ、加
水分解性シリル基含有単量体、加水分解性シリル基含有
連鎖移動剤あるいは加水分解性シリル基含有重合開始剤
の使用量を、適切に設定する必要がある。
【0226】また、ビニル系重合体(a−1)または
(a−2)中に導入されるべきポリエーテル鎖の量とし
ては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当
たりのポリエーテル鎖のグラム数として、約10〜約9
90gの範囲内が適切であるし、好ましくは、20〜9
00gの範囲内が適切であるし、最も好ましくは、40
〜800gの範囲内が適切である。
【0227】したがって、上述したような好ましい量の
ポリエーテル鎖が導入されるように、分子中にポリエー
テル鎖を有するビニル系単量体の使用量を、適切に設定
する必要がある。
【0228】さらに、ビニル系重合体(a−2)中に導
入されるべき、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸
基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、
カルボン酸無水基、3級アミノ基、シクロカーボネート
基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバ
メート基または前掲した構造式(S−II)で示される
官能基などによって代表される、加水分解性シリル基以
外の官能基を有するビニル系単量体のうちの少なくとも
1種のビニル系単量体の共重合量としては、ビニル系重
合体(a−2)の固形分の1,000グラム当たりの官
能基のモル数として、約0.1〜約5モルの範囲内が適
切であり、好ましくは、0.2〜3モルの範囲内が適切
であるし、さらに一層好ましくは、0.3〜2モルの範
囲内が適切である。
【0229】勿論、約0.1モル未満の場合には、此の
ビニル系重合体(a−2)の効果が発現され得なくな
り、ひいては、本発明に係る水性樹脂などにも、大きく
作用して来るようになるし、一方、約5モルを超えて余
りに多くなる場合には、どうしても、とりわけ、硬化物
の耐水性ならびに耐薬品性などが低下するようにもなる
ので、いずれの場合も好ましくない。
【0230】また、これらのビニル系重合体(a−1)
または(a−2)の数平均分子量としては、大約500
〜大約200,000の範囲内が、好ましくは、1,0
00〜10,000の範囲内が適切であるし、一層好ま
しくは、1,500〜50,000の範囲内が適切であ
る。
【0231】これらのビニル系重合体(a−1)または
(a−2)の数平均分子量が、約500未満の場合に
は、どうしても、とりわけ、硬化性や、硬化物の機械的
強度などが劣るようになるし、一方、約200,000
を超えて余りにも高くなる場合には、どうしても、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低く
なったり、塗装作業性なども劣るようになったり、さら
には、とりわけ、硬化塗膜の外観が低下したりするの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0232】ビニル系重合体(a−1)として、それぞ
れ、重合性不飽和二重結合を有する、ポリエステル樹脂
またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合体以外
の重合体の存在下に、加水分解性シリル基含有ビニル系
単量体と、ポリエーテル鎖含有ビニル系単量体とを必須
成分とする単量体類を、ラジカル重合せしめることによ
って得られる、加水分解性シリル基とポリエーテル鎖と
を併有するビニル系重合体セグメントをグラフト化せし
めた形の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを
使用することも出来る。
【0233】また、ビニル系重合体(a−2)として、
それぞれ、重合性不飽和二重結合を有する、ポリエステ
ル樹脂またはアルキド樹脂などのような、ビニル系重合
体以外の重合体の存在下に、加水分解性シリル基含有ビ
ニル系単量体と、ポリエーテル鎖含有ビニル系単量体
と、該加水分解性シリル基以外の官能基を有するビニル
系単量体とを必須成分とする単量体類を、ラジカル重合
せしめることによって得られる、ポリエーテル鎖と加水
分解性シリル基と、該シリル基以外の官能基とを併有す
るビニル系重合体セグメントをグラフト化せしめた形
の、ポリエステル樹脂またはアルキド樹脂などを使用す
ることも出来る。
【0234】重合体(a−1)のうちのポリウレタン系
重合体を調製するには、各種のジヒドロキシ化合物およ
び各種のジイソシアネート化合物に加えて、加水分解性
シリル基を導入するための原料成分として、加水分解性
シリル基を有するジアミン化合物または加水分解性シリ
ル基を有するモノアミン化合物を使用し、さらに、ポリ
エーテル鎖を導入するための原料成分として、メトキシ
ポリエチレングリコールまたはメトキシポリプロピレン
グリコールの如き、片末端に1個の活性水素含有基を有
するポリエーテル化合物などのような、公知慣用の種々
の原料成分を使用して、特開昭51−90391号公
報、特開昭55−73729号公報または特開昭60−
255817号公報に開示されているような種々の方法
を適用するようにすればよい。
【0235】重合体(a−2)のうちのポリウレタン系
重合体を調製するには、前記したポリウレタン系重合体
(a−1)を調製する際に使用されるものとして、すで
に、掲げたような、公知慣用の種々の原料類に加えて、
加水分解性シリル基以外の、前掲したような各種の官能
基を有し、しかも、イソシアネート基と反応する活性水
素を有する基を、1個または2個、有するような種々の
化合物を原料成分として使用して、公知慣用の種々の方
法を適用するようにすればよい。
【0236】ポリウレタン系重合体(a−2)を調製す
る際に使用される、加水分解性シリル基以外の、前掲し
たような各種の官能基を有し、しかも、イソシアネート
基と反応する活性水素を有する基を、1個または2個、
有する化合物として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソ
ラン−2−オン、グリシドール、N−メチルジエタノー
ルアミン、2−ヒドロキシエチルカーバメートまたは2
−ヒドロキシプロピルカーバメートの如き、官能基と水
酸基とを併有する、各種の化合物などである。
【0237】前述したような方法で以て調製されるポリ
ウレタン系重合体(a−1)または(a−2)中に導入
されるべき加水分解性シリル基の量としては、それぞれ
の重合体の固形分1,000グラム当たり、大約0.0
05〜大約3モルの範囲内が適切であり、好ましくは、
0.01〜2モルの範囲内が適切であるし、さらに一層
好ましくは、0.05〜1モルの範囲内が適切である。
【0238】約0.005モル未満の場合には、どうし
ても、ポリウレタン系重合体(a−1)または(a−
2)と、ポリシロキサン(b−1)との間の複合化反応
が進行しずらくなり、ひいては、得られる硬化物の、と
りわけ、耐久性などが低下するようになるし、一方、約
3モルを超えて余りにも多くなる場合には、前述したよ
うな複合化反応時の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル
化を惹起してしまうようになるなどの不都合が認められ
るようにもなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0239】また、ポリウレタン系重合体(a−1)ま
たは(a−2)中に導入されるべきポリエーテル鎖の量
としては、それぞれの重合体の固形分の1,000グラ
ム当たりのポリエーテル鎖のグラム数として、約10〜
約990gの範囲内が適切であるし、好ましくは、20
〜900gの範囲内が適切であるし、最も好ましくは、
40〜800gの範囲内が適切である。
【0240】さらに、ポリウレタン系重合体(a−2)
中に導入されるべき、加水分解性シリル基以外の官能基
の少なくとも1種の存在量としては、ポリウレタン系重
合体(a−2)の固形分の1,000グラム当たり、約
0.1〜約5モルの範囲内が適切であり、好ましくは、
0.2〜3モルの範囲内が適切であるし、さらに一層好
ましくは、0.3〜2モルの範囲内が適切である。
【0241】また、ポリウレタン系重合体(a−1)ま
たは(a−2)の数平均分子量としては、大約500〜
大約100,000の範囲内が、好ましくは、1,00
0〜50,000の範囲内が適切であるし、一層好まし
くは、1,500〜30,000の範囲内が適切であ
る。
【0242】ポリウレタン系重合体(a−1)または
(a−2)の数平均分子量が、約500未満の場合に
は、どうしても、硬化性や硬化物の機械的強度などが劣
るようになるし、一方、約100,000を超えて余り
にも高くなる場合には、どうしても、本発明に係る水性
硬化性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、塗
装作業性などにも劣るようになったり、さらには、硬化
塗膜の外観が低下したりするようにもなるので、いずれ
の場合も好ましくない。
【0243】次いで、本発明において用いられる水性樹
脂(D)の前駆体である、複合樹脂(C)を調製するに
当たって使用される、他方の成分である、前記した、珪
素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合
した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)と
は、たとえば、一般的に、シラノール基と呼称されるよ
うな、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を有する形のポリシロキサン
を指称するものである。
【0244】ここにおいて、珪素原子に結合した加水分
解性基とは、たとえば、珪素原子に結合した、それぞ
れ、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、
アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ
基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基または
アルケニルオキシ基の如き、加水分解されて、シラノー
ル基を生成する形の種々の基を指称するものである。
【0245】こうしたポリシロキサン(b−1)として
特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、一分
子中に、少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめること
によって調製される、該珪素化合物の加水分解縮合物、
あるいは斯かる珪素化合物を部分加水分解縮合せしめる
ことによって調製される部類の、該珪素化合物の部分加
水分解縮合物などである。
【0246】前記した、一分子中に、少なくとも2個
の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
物の加水分解縮合ないしは部分加水分解縮合によって、
当該ポリシロキサン(b−1)を調製する際に使用され
る、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
物としては、公知慣用の種々の化合物が、いずれも、使
用できるけれども、それらのうちでも特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、次のような一般式(S−
V)
【0247】
【化21】 R5bSiR64−b (S−V)
【0248】〔ただし、式中のR5 は、それぞれ、置
換基を有していても有していなくてもよい、アルキル
基、アリール基、アラルキル基またはアルケニル基なる
1価の有機基を、R6 は水素原子、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノ
キシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオ
キシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を表
わすものとし、また、bは0あるいは1または2なる整
数であるものとする。〕
【0249】で以て示される珪素化合物;これらの珪素
化合物の1種の部分加水分解縮合によって得られる部分
加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の2種以上の
混合物の部分加水分解縮合によって得られる部分共加水
分解縮合物;
【0250】あるいは
【0251】
【化22】(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH
2 Si(OCH2 CH3 )3
【0252】または
【0253】
【化23】(CH3 CH2 O)3 SiCH2 CH2
CH2 Si(OCH2 CH3 )3
【0254】などのような、一分子中に2個以上の加水
分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0255】前掲したような一般式(S−V)で示され
る珪素化合物として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシ
ランまたはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種の
テトラアルコキシシラン類;
【0256】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エ
チルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメト
キシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブ
チルトリメトキシシランもしくはn−ブチルトリエトキ
シシラン、
【0257】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメ
トキシシラン、
【0258】または2−トリメトキシシリルエチルビニ
ルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエー
テル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテ
ル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ
エトキシシランもしくは3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシランの如き、各種のオルガノトリアルコキシ
シラン類;
【0259】ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジ
エトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランもし
くはジ−n−ブチルジエトキシシラン、
【0260】またはジフェニルジメトキシシラン、ジフ
ェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシ
シラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェ
ニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエー
テル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニル
エーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメ
チルジメトキシシランもしくは3−グリシドキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、の如き、各種のジオルガノ
ジアルコキシシラン類;
【0261】テトラクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロ
ロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロ
ロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルト
リクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジ
クロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェ
ニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシランま
たは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジ
クロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0262】あるいはテトラアセトキシシラン、メチル
トリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラ
ン、ジメチルジアセトキシシランまたはジフェニルジア
セトキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類など
である。
【0263】これらの加水分解性基含有珪素化合物のう
ちでも、ポリシロキサン(b−1)を調製する際に使用
される化合物として特に望ましいもののみを例示するに
とどめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリア
ルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラン、
それらの部分加水分解縮合物または其れらの部分共加水
分解縮合物などであるし、さらには、各種のクロルシラ
ン類の部分加水分解縮合物などである。
【0264】そして、かかるポリシロキサン(b−1)
を調製するに当たり、珪素化合物の少なくとも一部分と
して、オルガノトリアルコキシシランの如き、各種の3
官能の珪素化合物またはテトラアルコキシシランの如
き、各種の4官能の珪素化合物などのような、いわゆる
分岐構造を導入するのに適した化合物を使用することに
よって、複合樹脂(C)を構成するポリシロキサン・セ
グメントに、分岐した構造を導入せしめることが出来
る。
【0265】また、当該珪素化合物として、特に、4官
能の珪素化合物を使用する際には、重合体(a−1)ま
たは(a−2)と、ポリシロキサン(b−1)との間の
複合化反応中のゲル化の防止のめにも、2官能ないしは
3官能の珪素化合物を併用することが望ましい。
【0266】斯かるポリシロキサン(b−1)を調製す
るに際して、前掲したような各種の珪素化合物に加え
て、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシ
シラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエ
トキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルク
ロロシランまたはトリフェニルクロロシランのような、
一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を1個のみ
有する、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用するこ
とが出来る。
【0267】前掲したような各種の珪素化合物を加水分
解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによっ
て、ポリシロキサン(b−1)として使用される加水分
解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得ることが出来
るが、その際に、触媒を使用してもよいし、使用しなく
てもよいが、これらの縮合反応を容易に進行せしめると
いう面からは、触媒を使用することが望ましい。
【0268】ここにおいて、触媒を使用する場合には、
公知慣用の種々の触媒のいずれをも使用することが出来
るし、しかも、それらは、単独使用でも、2種類以上の
併用でもよいことは、勿論である。
【0269】斯かる触媒として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、
各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイ
ソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0270】水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの
如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネー
トまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン
酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル
酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0271】鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如
き、各種の金属のナフテン酸塩;あるいはオクチル酸塩
の如き、各種の金属カルボン酸塩類;あるいは亦、アル
ミニウムトリスアセチルアセトネートの如き、各種のア
ルミニウム化合物;
【0272】さらには、1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビ
シクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−
ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABC
O)、トリ−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジ
ルアミンまたはブチルアミンもしくはオクチルアミン、
【0273】またはモノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−
メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールも
しくは1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のア
ミン化合物類;
【0274】テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロ
ピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアン
モニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモ
ニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオ
クチルメチルアンモニウム塩もしくはo−トリフルオロ
メチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種
の4級アンモニウム塩類であって、
【0275】さらには亦、代表的なる対アニオンとし
て、それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレ
ートまたはハイドロオキサイドなどを有する、種々の4
級アンモニウム塩類などである。
【0276】使用されるべき斯かる触媒の量としては、
加水分解ないしは部分加水分解に供される珪素化合物に
対して、約0.000001〜約10重量%の範囲内
が、好ましくは、0.000005〜5重量%の範囲内
が、特に好ましくは、0.00001〜1重量%の範囲
内が適切である。
【0277】また、前述したような反応に用いられる水
の量としては、かかる珪素化合物の珪素原子に結合して
いる加水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以
上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さ
らに好ましくは、0.2モル以上が適切である。
【0278】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用
上、好ましくないけれども、此の水の量が、5モルと
か、10モルとか、珪素原子に結合している加水分解性
基の1モルに対して、過剰となるように使用すること
は、一向に、支障が無い。
【0279】そして、これらの触媒および水の添加は、
一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混
合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加して
もよいことは、勿論である。
【0280】斯かる反応の反応温度としては、0℃〜1
50℃程度が適切であり、好ましくは、20℃〜100
℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力として
は、常圧、加圧または減圧下の、いずれの条件において
も行なうことが出来る。
【0281】そして、こうした反応の副生成物である、
それぞれ、アルコールや水などが、引き続いて行なわれ
る、重合体(a−1)または(a−2)と、ポリシロキ
サン(b−1)との複合化反応を妨げたり、得られる水
性硬化性樹脂組成物の安定性などを低下させたりするよ
うであれば、蒸留などの手段によって、系外に除くこと
が出来るし、そうした問題が無いような場合には、その
まま、系内に存在させておいても、一向に、支障は無
い。
【0282】また、かかる反応にあっては、有機溶剤を
使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌
などが、容易に、行なえるようにするためにも、有機溶
剤を使用することが望ましい。
【0283】ここにおいて、斯かる有機溶剤を使用する
場合には、公知慣用の種々の有機溶剤の、いずれをも使
用することが出来るし、しかも、それらは、単独使用で
も2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0284】その際に使用される有機溶剤としては、ビ
ニル系重合体(a−1)または(a−2)を調製する際
に使用できるものとして、すでに、掲げて来たような種
々のものを使用することが出来る。
【0285】そして、斯かる有機溶剤を使用して、当該
ポリシロキサン(b−1)を調製するに際しては、一分
子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した加水分解性
基を有する珪素化合物の、斯かる有機溶剤中における濃
度としては、5重量%程度以上にすることが望ましい。
【0286】また、当該ポリシロキサン(b−1)とし
て、市販のポリシロキサンを使用することも出来るが、
そのようなポリシロキサンとして特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、シラノール基あるいは珪素原
子に結合したメトキシ基を有するポリシロキサンとして
市販されているような、それぞれ、「TSR−160ま
たは165」[東芝シリコーン(株)製の商品名]、
「SH−6018」[東レ・ダウコーニング・シリコー
ン(株)製の商品名]あるいは「GR−100、908
または950」[昭和電工(株)製の商品名]などで以
て代表されるような、線状、環状または分岐状(分枝
状)あるいはラダー(型)構造を有する、加水分解縮合
物ないしは部分加水分解縮合物などである。
【0287】前記した(3)あるいは(4)なる方法に
より、複合樹脂(C)を調製する際には、一分子中に少
なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有
する珪素化合物を加水分解縮合せしめて、珪素原子に結
合した水酸基を有する分岐したポリシロキサン(b−
2)が調製されるが、その際に使用される、一分子中に
少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を
有する珪素化合物としては、
【0288】ポリシロキサン(b−1)を調製する際に
使用されるものとして前掲したような、各種の珪素化合
物を使用することが出来る。
【0289】そして、かかるポリシロキサン(b−2)
を調製するに当たり、珪素化合物の少なくとも一部分と
して、オルガノトリアルコキシシランの如き、各種の3
官能の珪素化合物またはテトラアルコキシシランの如
き、各種の4官能の珪素化合物などの分岐構造を導入す
るのに適した化合物を使用せしめることによって、複合
樹脂(C)を構成するポリシロキサン・セグメントに分
岐した構造を導入せしめることが出来る。
【0290】また、水性樹脂(D)の硬化性と、耐久性
などとの面からは、ポリシロキサン(b−1)または
(b−2)を構成する全珪素原子のうちの、10モル%
以上が、好ましくは、20モル%以上が、さらに好まし
くは、30モル%以上が、メチルトリアルコキシシラン
類、メチルトリクロロシラン、フェニルトリアルコキシ
ラン類またはフェニルトリクロロシランのような、いわ
ゆる3官能シラン化合物に由来するものを使用すること
が適切である。
【0291】次いで、前記した重合体(a−1)または
(a−2)と、前記したポリシロキサン(b−1)と
を、前述したような、それぞれ、(1)あるいは(2)
なる方法で以て複合化せしめることによって、複合樹脂
(C)を調製する方法について述べることにする。
【0292】これらの、(1)あるいは(2)なる方法
によって、重合体(a−1)または(a−2)と、ポリ
シロキサン(b−1)とを複合化せしめるに当たり、重
合体(a−1)または(a−2)とポリシロキサン(b
−1)の複合化反応をスムーズに進行させるために、触
媒を添加することが出来るが、斯かる触媒としては、ポ
リシロキサン(b−1)を調製する際に使用されるもの
として、すでに、掲げて来たような種々の触媒類を、そ
のまま、使用することが出来る。
【0293】そして、ポリシロキサン(b−1)を調製
する過程で使用された触媒が、該ポリシロキサン(b−
1)中に残留している場合には、殊更に、触媒を添加せ
ずとも、こうした、該ポリシロキサン(b−1)中に残
留している触媒のみでも、当該複合化反応を促進せしめ
ることが可能である。
【0294】これらの、(1)あるいは(2)なる方法
によって複合化せしめる場合に使用される触媒の量とし
ては、重合体(a−1)または(a−2)と、ポリシロ
キサン(b−1)との合計量に対して、約0.0001
〜約10重量%の範囲内が、好ましくは、0.0005
〜3重量%の範囲内が、特に好ましくは、0.0005
〜1重量%の範囲内が適切である。
【0295】また、重合体(a−1)または(a−2)
と、ポリシロキサン(b−1)との間の複合化反応をス
ムーズに進行せしめるためには、重合体(a−1)また
は(a−2)中に含まれる加水分解性シリル基の加水分
解と、ポリシロキサン(b−1)中に、場合によっては
含まれる、珪素原子に結合した加水分解性基の加水分解
とを円滑に進行せしめることが望ましく、したがって、
こうした複合化反応を、水の存在下で以て行なうこと
が、特に望ましい。
【0296】つまり、(2)なる方法で以て複合樹脂
(C)を調製する場合には、ポリシロキサン(b−1)
に加えて、さらに、水が共存する系で以て、重合体(a
−1)または(a−2)を調製する反応を行なうことに
なる。
【0297】そして、ポリシロキサン(b−1)を調製
する際に使用された水が、此のポリシロキサン(b−
1)中に残留している場合には、殊更に、水を添加せず
とも、こうした、該ポリシロキサン(b−1)中に残留
している水のみでも、当該複合化反応を行なうことも可
能である。
【0298】これらの、(1)あるいは(2)なる方法
によって複合化反応を行なうに際して使用される水の量
としては、重合体(a−1)または(a−2)中に含ま
れる加水分解性シリル基に結合している加水分解性基
と、ポリシロキサン(b−1)中に存在している、珪素
原子に結合している加水分解性基との合計量の1モルに
対して、約0.05モル以上が、好ましくは、0.1モ
ル以上が適切であるし、さらに好ましくは、0.5モル
以上が適切である。
【0299】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなり易いので、好まし
くない。
【0300】また、水の使用量を大過剰に設定しても、
反応中に、不溶物が析出して来るなどの不都合が生じな
い限り、支障なく、複合化反応を行なうことが出来る
が、ポリシロキサン(b−1)中に珪素原子に結合して
いる加水分解性基が存在する場合には、このような加水
分解性基の1モルに対して、水の使用量を、概ね、10
モル以下に、好ましくは、5モル以下に、より好ましく
は、3.5モル以下に設定するのが適切であるし、
【0301】ポリシロキサン(b−1)中に珪素原子に
結合している加水分解性基が存在しないような場合にお
いては、重合体(a−1)または(a−2)中に含まれ
る加水分解性シリル基に結合している加水分解性基の1
モルに対して、約500モル以下に、好ましくは、30
0モル以下に、より好ましくは、200モル以下に設定
するのが適切である。
【0302】(1)なる方法によって複合樹脂(C)を
調製する際の反応温度としては、0〜150℃程度が適
切であるし、好ましくは、20℃〜100℃程度が適切
である。
【0303】また、(2)なる方法によって複合樹脂
(C)を調製する際の反応温度としては、40〜150
℃程度が適切であるし、好ましくは、60℃〜120℃
程度が適切である。
【0304】次いで、前述した重合体(a−1)または
(a−2)と、前述したポリシロキサン(b−2)と
を、前述した、それぞれ、(3)あるいは(4)なる方
法で以て複合化せしめることによって、複合樹脂(C)
を調製する方法について述べることにする。
【0305】これらの方法に従えば、上述したように、
珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
加水分解縮合せしめることによって、ポリシロキサン
(b−2)を調製する過程で以て、目的とする複合樹脂
(C)が調製される。
【0306】かかる処方で以て複合樹脂(C)を調製す
るに当たり、反応系に、水が添加されるが、かかる水の
量としては、前述したポリシロキサン(b−2)の調製
のために使用される、珪素化合物の珪素原子に結合して
いる加水分解性基の1モルに対して、約0.05モル以
上が、好ましくは、0.1モル以上が適切であるし、さ
らに好ましくは、0.5モル以上が適切である。
【0307】約0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなってしまい、実用
上、好ましくない。水の使用量を大過剰に設定しても、
反応中に不溶物が析出して来るなどの不都合が生じない
限り、支障なく、複合化反応を行なうことが出来るが、
加水分解性基の1モルに対して、水の使用量を、概ね、
10モル以下に、好ましくは、5モル以下に、より好ま
しくは、3.5モル以下に設定するのが適切である。
【0308】また、ポリシロキサン(b−2)を調製す
る過程で複合化反応を行なって、当該複合樹脂(C)を
調製するに当たり、珪素化合物の加水分解反応を促進
し、さらに、かくして生成したポリシロキサン(b−
2)と、重合体(a−1)または(a−2)との複合化
反応をスムーズに進行させるために、触媒を添加するこ
とが出来るが、斯かる触媒としては、ポリシロキサン
(b−1)を調製する際に使用されるものとして、すで
に、掲げて来たような種々の触媒類を、そのまま、使用
することが出来る。
【0309】次いで、前述した、それぞれ、(3)また
は(4)なる方法に従って複合化せしめる場合に使用さ
れる触媒の量としては、重合体(a−1)または(a−
2)と、ポリシロキサン(b−2)との合計量に対し
て、約0.0001〜約10重量%なる範囲内が、好ま
しくは、0.0005〜3重量%なる範囲内が、特に好
ましくは、0.0005〜1重量%なる範囲内が適切で
ある。
【0310】そして、これらの触媒および水の添加は、
一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混
合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加して
もよいことは、勿論である。
【0311】まず、(3)なる方法によって複合樹脂
(C)を調製する際の反応温度としては、0〜150℃
程度が適切であり、好ましくは、20℃〜120℃程度
が適切である。
【0312】また、(4)なる方法によって複合樹脂
(C)を調製する際の反応温度としては、40〜150
℃程度が適切であり、好ましくは、60℃〜100℃程
度が適切である。
【0313】こうした、(1)〜(4)なる諸々の方法
により、目的とする複合樹脂(C)を調製するに当た
り、重合体(a−1)または(a−2)と、ポリシロキ
サン(b−1)または(b−2)との使用割合は、当該
複合樹脂(C)における重合体セグメント(A)と、ポ
リシロキサン・セグメント(B)との比率が、(A):
(B)なる重量割合として、5:95〜99:1程度に
なるように、好ましくは、15:85〜95:5になる
ように、さらに好ましくは、20:80〜85:15に
なるように設定するのがよい。
【0314】重合体(a−1)または(a−2)を調製
する過程で、当該複合樹脂(C)を調製するべき、これ
らの、それぞれ、(2)あるいは(4)なる方法におい
て、重合体(a−1)または(a−2)を調製するため
の条件、あるいは重合体(a−1)または(a−2)の
目標性状値としては、重合体(a−1)または(a−
2)の調製方法として、すでに、記述して来たような条
件あるいは性状値と合致するようなものでなければなら
ない。
【0315】さらに、こうした複合化反応にあっては、
有機溶剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、
攪拌などが容易に行なえるようにするためには、ビニル
系重合体(a−1)を調製する際に使用できるものとし
て、すでに、掲げたような、種々の有機溶剤類を使用す
ることが望ましい。
【0316】とくに、重合体(a−1)または(a−
2)の調製と、ポリシロキサン(b−2)の調製とを並
行して行なう、前述した(4)なる方法においては、不
溶解物質の析出を防止して、反応中のゲル化を防ぎ、円
滑に反応を進行せしめる観点からも、反応系を均一に保
つことが望ましく、そのためにも、有機溶剤を使用する
ことが必要不可欠である。
【0317】ここにおいて、有機溶剤を使用する場合に
は、それらは、単独使用でも2種類以上の併用でもよい
ことは、勿論である。
【0318】(1)〜(4)なる方法に従って複合化反
応を行なうに際しての、各成分の合計濃度は、該反応に
より生成する複合樹脂(C)の、複合化反応終了時点で
の濃度として、5重量%程度以上に、好ましくは、10
重量%以上に、さらに好ましくは、20重量%以上にな
るように設定することが望ましい。そして、この濃度の
調整は、前掲したような各種の有機溶剤類で以て行なう
ことが出来る。
【0319】上述のようにして、当該複合樹脂(C)を
調製することが出来るが、かかる複合樹脂中に含まれる
水;ビニル系重合体(a−1)または(a−2)中に含
有されていた有機溶剤;複合化反応時に添加した有機溶
剤;あるいは複合化反応に伴って生成するアルコールな
どの溶剤類は、除去せずとも、そのままで、水に分散な
いしは溶解せしめることも出来るし、必要に応じて、蒸
留操作などによって除去することも出来る。
【0320】上述のようにして得られる複合樹脂(C)
を、水に分散ないしは溶解せしめることによって、前記
した水性樹脂(D)が調製される。
【0321】複合樹脂(C)から、当該水性樹脂(D)
を調製するには、公知慣用の種々の方法を適用すること
が出来る。たとえば、複合樹脂(C)に対して、単に、
水を添加せしめるか、あるいは複合樹脂(C)を、水に
対して加えることによって水中に分散せしるか、あるい
は溶解せしめることによって、目的とする水性樹脂
(D)を製造することが出来る。
【0322】また、必要に応じて、このようにして調製
される水性樹脂(D)中に含まれる有機溶剤を、加熱お
よび/または減圧下に、部分的に、あるいは完全に除去
せしめることによって、有機溶剤の含有率が低い、ある
いは有機溶剤を含有しない水性樹脂(D)を調製するこ
とが出来る。
【0323】このようにして調製される水性樹脂(D)
中に含まれる官能基は、重合体(a−1)と、ポリシロ
キサン(b−1)または(b−2)とに由来する、シラ
ノール基のみであるか、さらに、場合によっては含有さ
れるようになる、珪素原子に結合した加水分解性基とで
あり、
【0324】あるいは重合体(a−2)と、ポリシロキ
サン(b−1)または(b−2)とに由来する、シラノ
ール基のみであるか、さらに、場合によっては含有され
るようになる、珪素原子に結合した加水分解性基とであ
り、
【0325】さらには、重合体(a−2)に由来する、
それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキシ
ル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基また
は構造式(S−II)で示されるような官能基などの、
加水分解性シリル基以外の官能基の、少なくとも1種の
ものである。
【0326】こうした水性樹脂(D)を調製する過程
で、加水分解性シリル基以外の官能基を有するビニル系
単量体として、特に、酸基として、それぞれ、ブロック
した酸基あるいは酸無水基を有するビニル系単量体を使
用して合成されたビニル系重合体(a−2)を使用した
場合には、
【0327】斯かるブロックした酸基あるいは酸無水基
のうちの少なくとも一部分は、前述したような複合化反
応を行なう過程で以て、加水分解、酸触媒分解、熱分解
あるいはアルコリシスなどによって、遊離の酸基に変換
される可能性がある。
【0328】また、当該水性樹脂(D)を調製する際
に、加水分解性シリル基以外の官能基を有するビニル系
単量体として、それぞれ、ブロックされた水酸基、エポ
キシ基またはシクロカーボネート基含有単量体を使用し
て合成されたビニル系重合体(a−2)を使用した場合
には、前述した複合化反応の段階で以て、
【0329】さらには、複合化樹脂(C)を水に分散す
るか、あるいいは水に溶解する段階で以て、これらの官
能基の少なくとも一部分は、加水分解、酸触媒分解ある
いはアルコリシスなどによって、遊離の水酸基に変換さ
れることもある。
【0330】そして、斯かるブロックされた水酸基、エ
ポキシ基またはシクロカーボネート基の種類とか、ある
いは前述した複合化反応の条件であるとか、引き続いて
行なう、水に対する分散ないしは溶解の条件などによっ
ては、こうした、各種の官能基は、完全に、遊離の水酸
基に変換されることもある。
【0331】このようにして調製される当該水性樹脂
(D)から、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物を調製
するには、一つには、当該水性樹脂(D)は、それ自体
で、自己硬化性を有するという処から、当該樹脂(D)
を必須の成分として含有する形の、いわゆる自己硬化性
の樹脂組成物とするようにすればよいし、
【0332】二つには、当該水性樹脂(D)に対して、
さらに、前記した化合物(E)を配合せしめることによ
って、当該樹脂(D)中に含まれる官能基と、化合物
(B)中に含まれる官能基との間の、いわゆる架橋反応
をも利用する形の硬化性樹脂組成物とするようにすれば
よい。
【0333】後者の形の硬化性樹脂組成物の調製、つま
り、上記した、二つ目の態様に従う水性硬化性樹脂組成
物の調製に際して使用される此の化合物(E)とは、前
述した水性樹脂(D)中に含まれる、前述したような各
種の官能基と反応する官能基を少なくとも1種有する、
公知慣用の種々の化合物を指称するものであり、こうし
た官能基として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、
【0334】イソシアネート基、ブロックされたイソシ
アネート基、水酸基、ブロックされた水酸基、カルボキ
シル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無
水基、アミノ基、シクロカーボネート基、鎖状カーボネ
ート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カ
ーバメート基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシメチル
アミノ基、N−アルコキシメチルアミノ基、カルボニル
基、アセトアセチル基、シラノール基、珪素原子に結合
した加水分解性基または次の構造式(S−IV)
【0335】
【化24】 −C(O)−NH−CH(OR3 )−COOR4 (S−IV)
【0336】〔ただし、式中のR3 は水素原子、炭素
数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わすも
のとし、また、R4 は炭素数が1〜8なるアルキル基
またはアリール基を表わすものとする。〕
【0337】で示されるような官能基などである。
【0338】そして、此の化合物(E)中に含まれる官
能基は、水性樹脂(D)中に含まれる官能基の種類に応
じて、適宜、選択される。
【0339】そのような組み合わせとして特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、シラノール基−シラ
ノール基、シラノール基−アルコキシシリル基、アルコ
キシシリル基−アルコキシシリル基、カルボキシル基−
エポキシ基、カルボキシル基−シクロカーボネート基、
3級アミノ基−エポキシ基、水酸基−N−ヒドロキシメ
チルアミノ基、水酸基−イソシアネート基または水酸基
−ブロック・イソシアネート基などである。
【0340】当該化合物(E)としては、水性樹脂
(D)中に含まれる官能基によっては、前述したような
種々の官能基のうちの2種以上を有するものであっても
よい。
【0341】また、当該化合物(E)としては、比較
的、分子量の低い化合物に加えて、各種の樹脂類を使用
することも出来るが、このような樹脂類として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、アクリル樹脂ま
たはフッ素樹脂の如き、各種のビニル系重合体などをは
じめ、さらには、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポ
リウレタン樹脂またはエポキシ樹脂などである。
【0342】そして、当該化合物(E)として、特に、
前記した官能基を2種以上有するような化合物を使用す
る場合には、当該化合物(E)としては、特に、ビニル
系重合体を使用するのが簡便である。
【0343】当該化合物(E)として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水酸
基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有
する化合物、一分子中にイソシアネート基と珪素原子に
結合した加水分解性基とを併有する化合物、一分子中に
エポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有
する化合物、一分子中にアミノ基と珪素原子に結合した
加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート
化合物、ブロック・ポリイソシアネート化合物、
【0344】ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネ
ート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド基含
有化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリヒドロキシ化合
物、ポリアジリジン化合物、ポリアクリレート化合物、
ポリカーボジイミド化合物、ブロックされた水酸基を有
する化合物、ポリアミン化合物、少なくとも2個のカル
ボン酸無水基を有する化合物またはポリオキサゾリン化
合物などであり、これらの諸々の化合物類は、単独使用
であってもよいし、2種以上の併用であってもよいこと
は、勿論、可能である。
【0345】これらのうちでも特に望ましいものとして
は、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する化合物、一分子中にイ
ソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを
併有する化合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結
合した加水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシア
ネート化合物、ブロック・ポリイソシアネート化合物、
ポリエポキシ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、
アミノ樹脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポ
リカルボキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物などが
挙げられる。
【0346】前記した、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪
素化合物のうちでも特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、前掲したような一般式(S−V)で以て示
される珪素化合物;これらの珪素化合物の加水分解物あ
るいは加水分解縮合物;これらの珪素化合物の1種の部
分加水分解縮合によって得られる部分加水分解縮合物;
または此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合
によって得られる部分共加水分解縮合物などである。
【0347】これらのうちでも、此の珪素化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、テトラ
メトキシシランおよびテトラエトキシシラン、それらの
部分加水分解縮合物、それらの部分共加水分解縮合物ま
たは珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する、線状、分岐状ないし
は環状の、あるいはラダー状のシリコーン樹脂などであ
る。
【0348】前記した、一分子中に、それぞれ、イソシ
アネート基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併
せ有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示
するにとどめることにするならば、
【0349】3−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ンまたは3−イソシアナートプロピルメチルジエトキシ
シランの如き、珪素化合物;
【0350】あるいは前掲したような、加水分解性シリ
ル基含有ビニル系単量体と、後掲するようなイソシアネ
ート基含有ビニル系単量体とからなる種々の共重合体ま
たは此等の両単量体を、該両単量体と共重合可能なる、
それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビ
ニルエーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフ
ィン系のような種々のビニル単量体類などと共重合せし
めることによって得られる、エポキシ基と加水分解性シ
リル基とを併有する、それぞれ、アクリル系共重合体、
ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系
共重合体のような種々のビニル系共重合体類などであ
る。
【0351】前記した、一分子中に、それぞれ、エポキ
シ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有す
る化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するに
とどめるならば、
【0352】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランまた
は3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの
如き、珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分加
水分解縮合によって得られる部分加水分解縮合物;ある
いは此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合に
よって得られる部分共加水分解縮合物;
【0353】「EGM−202」[東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の、珪素原子に結合したメトキ
シ基と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状
のポリシロキサンの商品名];「KP−392」[信越
化学(株)製の、3−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシランの部分加水分解縮合物の商品名];
【0354】あるいは亦、前掲したような各種のエポキ
シ基含有ビニル単量体と、同じく、前掲したような各種
の加水分解性シリル基含有ビニル系単量体とからなる種
々の共重合体または此等の両単量体を、該両単量体と共
重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニル
エステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系ないし
はフルオロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せ
しめることによって得られる、エポキシ基と加水分解性
シリル基とを併有するアクリル系共重合体、ビニルエス
テル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の
如き、種々のビニル系共重合体類などである。
【0355】ここにおいて、上記したポリイソシアネー
ト化合物として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメ
タン−4,4’−ジイソシアネートの如き、各種の芳香
族ジイソシアネート類;
【0356】メタ−キシリレンジイソシアネートまたは
α,α,α’,α’−テトラメチル−メタ−キシリレン
ジイソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシア
ネート類;
【0357】ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチル
シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナー
トシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナ
ートシクロヘキサンまたはイソホロンジイソシアネート
の如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート
類;
【0358】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を、多価アルコール類と付加反応せしめることによっ
て得られる、イソシアネート基を有する各種のプレポリ
マー類などをはじめ、
【0359】さらには、前掲したような各種のポリイソ
シアネート類を環化三量化せしめることによって得られ
る、イソシアヌレート環を有する各種のプレポリマー
類;
【0360】あるいは前掲したような各種のポリイソシ
アネート類と、水とを反応せしめることによって得られ
る、ビウレット構造を有する各種のポリイソシアネート
類;
【0361】さらには亦、2−イソシアナートエチル
(メタ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−
ジメチルベンジルイソシアネートまたは(メタ)アクリ
ロイルイソシアネートの如き、各種の、イソシアネート
基を有するビニル単量体の単独重合体;
【0362】あるいは此等のイソシアネート基含有ビニ
ル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、
(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテ
ル系、芳香族、ビニル系またはフルオロオレフィン系ビ
ニル単量体類などと共重合せしめることによって得られ
る、
【0363】それぞれ、イソシアネート基含有アクリル
系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロ
オレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合
体類などである。
【0364】そして、かかるポリイソシアネート化合物
のうちにあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪
族、アラルキル系ないしは脂環式ジイソシアネート化合
物、それらの各種のジイソシアネート化合物から誘導さ
れる、種々のタイプのプレポリマーあるいはイソシアネ
ート基含有ビニル系重合体などの使用が、特に望ましい
ということである。
【0365】また、上記したブロック・ポリイソシアネ
ート化合物として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、前掲したような各種のポリイソシアネート化
合物を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロッ
ク化せしめることによって得られる種々のブロック・ポ
リイソシアネート化合物や、
【0366】イソシアネート基を環化二量化せしめるこ
とによって得られる種々のウレトジオン構造を含む化合
物のように、熱によって、イソシアネート基が再生する
という部類の化合物などである。
【0367】そして、かかるブロック・ポリイソシアネ
ート化合物を調製する際に使用されるブロック剤として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノ
ール、エタノール、ベンジルアルコールまたは乳酸エス
テルの如き、各種のアルコール類;
【0368】フェノール、サリチル酸エステルまたはク
レゾールの如き、各種のフェノール性水酸基含有化合物
類;またはε−カプロラクタム、2−ピロリドンまたは
アセトアニリドの如き、各種のアマイド類;
【0369】あるいはアセトンオキシムまたはメチルエ
チルケトオキシムの如き、各種のオキシム類などである
し、さらには、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルま
たはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン化合
物類などである。
【0370】また、上記したポリエポキシ化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレ
ングリコール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ
ール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール
または水添ビスフェノールAの如き、各種の脂肪族ない
しは脂環式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0371】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールSまたはビスフェノ
ールFの如き、各種の芳香族系ジオールのポリグリシジ
ルエーテル類;上掲したような芳香族系ジオール類のエ
チレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加体の如
き、該芳香族系ジオール誘導体類のジグリシジルエーテ
ル類;
【0372】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールまたはポリテトラメチレングリコールの如
き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエ
ーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタ
ンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル
酸、テレフタル酸またはトリメリット酸の如き、各種の
脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジル
エステル類;
【0373】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネンま
たはビニルシクロヘキセンの如き、各種の炭化水素系ジ
エンの種々のビスエポキシド類;ビス(3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル)アジペートまたは3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロ
ヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポリエ
ポキシ化合物;あるいはポリブタジエンまたはポリイソ
プレンの如き、各種のジエンポリマーの種々のエポキシ
化物;
【0374】あるいは「EX−612」[ナガセ化成工
業(株)製の、ソルビトールポリグリシジルエーテルの
商品名];「EGM−400」[東レ・ダウコーニング
・シリコーン(株)製の、3−グリシドキシプロピルを
有する、環状のポリシロキサンの商品名];
【0375】あるいは亦、前掲したような各種のエポキ
シ基含有ビニル単量体の種々の単独重合体;または此等
のエポキシ基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可
能なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステ
ル系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフル
オロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめる
ことによって得られるような、それぞれ、エポキシ基含
有アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体また
はフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニ
ル系共重合体類などである。
【0376】さらに、上記したポリシクロカーボネート
化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、前掲したような各種のポリエポキシ化合物を、た
とえば、触媒の存在下に、二酸化炭素と反応せしめて、
このエポキシ基を、シクロカーボネート基に変換するこ
とによって得られる5員環シクロカーボネート基含有ポ
リシクロカーボネート化合物;あるいは前掲したような
各種のシクロカーボネート基含有ビニル単量体の種々の
単独重合体、
【0377】または此等のシクロカーボネート基含有ビ
ニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、
(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテ
ル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニ
ル単量体類などと共重合せしめることによって得られ
る、それぞれ、シクロカーボネート基含有アクリル系共
重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレ
フィン系共重合体のような、種々のビニル系共重合体類
などである。
【0378】引き続いて、上記したアミノ樹脂として特
に代表的なるもののみを例示するにとどめるならば、メ
ラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、尿素ま
たはグリコウリルの如き、各種のアミノ基含有化合物
を、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドの如き、
各種のアルデヒド化合物(ないしはアルデヒド供給物
質)と反応せしめることによって得られるような部類
の、アルキロール基を有する種々のアミノ樹脂;
【0379】あるいは斯かるアルキロール基を有するア
ミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノール
またはi−ブタノール(イソブタノール)の如き、各種
の低級アルコールと反応せしめることによって得られる
形の、種々のアルコキシアルキル基含有アミノ樹脂など
である。
【0380】また、上記した、1級ないしは2級アミド
基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、前述したビニル系重合体(a−2)の調製
の際に、加水分解性シリル基以外の官能基を有するビニ
ル系単量体の一部として、すでに、例示して来ているよ
うな、1級ないしは2級アミド基を有する、種々のビニ
ル系単量体の単独重合体、
【0381】または此等の1級ないしは2級アミド基含
有ビニル系単量体を、該単量体と共重合可能なる、それ
ぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニル
エーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン
系ビニル単量体類などと共重合せしめることによって得
られる、1級ないしは2級アミド基を有する、各種のア
クリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフ
ルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系
共重合体類などである。
【0382】さらに、上記したポリカルボキシ化合物と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、セバチン酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸ま
たはクエン酸などのような種々の低分子量の化合物など
であるし、さらには、
【0383】ビニル系重合体(a−2)の調製の際に、
酸基含有ビニル系単量体の一部として、すでに、例示し
て来ているような、カルボキシル基を有する、種々のビ
ニル単量体の単独重合体、
【0384】または此等のカルボキシル基含有ビニル単
量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル
単量体類などと共重合せしめることによって得られる、
カルボキシル基を有する、各種のアクリル系共重合体、
ビニルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系
共重合体のような、種々のビニル系共重合体類などであ
る。
【0385】さらにまた、上記したポリヒドロキシ化合
物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコールまたはグリセリンなどのような種々の低
分子化合物などであるし、あるいは、ポリエチレングリ
コールまたはポリプロピレングリコールなどをはじめ、
さらには、ビニル系重合体(a−2)の調製の際に、加
水分解性シリル基以外の官能基含有ビニル系単量体の一
部として、すでに、例示しているような、水酸基を有す
る、種々のビニル単量体の単独重合体、
【0386】または此等の水酸基含有ビニル単量体を、
該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリ
ル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビ
ニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類など
と共重合せしめることによって得られる、水酸基を有す
る、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重
合体またはフルオロオレフィン系共重合体のような、種
々のビニル系共重合体類などである。
【0387】こうした化合物(E)を、水性樹脂(D)
に配合せしめる際、この化合物(E)が、それ自体、水
溶性のものであったり、水分散体であったり、あるいは
或る程度の親水性を有するようなものであったりする場
合には、当該化合物(E)が、水性樹脂(D)中に、均
一に溶解ないしは均一に分散した形の組成物を得ること
が出来る。
【0388】しかしながら、当該化合物(E)の親水性
が低い場合には、水性樹脂(D)と混合せしめようとし
ても、均一に溶解ないしは分散した形の組成物を得るこ
とは出来ないようになるが、このような場合には、公知
慣用の種々の方法によって、当該化合物(E)中に、い
わゆる親水性基などを導入せしめることによって、当該
化合物(E)それ自体の親水性を向上せしめ、均一なる
形の組成物を得ることが出来る。
【0389】当該化合物(E)が重合体である場合に
は、当該化合物(E)としては、無溶剤液状物、有機溶
剤溶液、水溶液または水分散体のいずれの形態であって
も使用することができる。そして、当該化合物(E)そ
れ自体がビニル重合体である場合には、エマルジョン重
合体として使用するのも好適である。
【0390】前記した水性樹脂(D)と、当該化合物
(E)とから成る水性硬化性樹脂組成物を調製するに
は、当該化合物(E)それ自体が、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有する化合物である場合には、水性樹脂(D)の固形
分の100重量部に対して、当該化合物(E)の固形分
量が、約0.1〜約200重量部の範囲内、好ましく
は、0.5〜150重量部の範囲内、一層好ましくは、
1〜100重量部の範囲内となるように配合するように
すればよい。
【0391】また、当該化合物(E)が、一分子中にイ
ソシアネート基と、珪素原子に結合した加水分解性基と
を併有する化合物、ポリイソシアネート化合物またはブ
ロック・ポリイソシアネート化合物である場合には、水
性樹脂(D)中に含まれる、それぞれ、イソシアネート
基またはブロック・イソシアネート基と反応する官能基
の1当量に対して、
【0392】当該化合物(E)中に含まれる、それぞ
れ、イソシアネート基またはブロック・イソシアネート
基の量が約0.1〜約10当量の範囲内、好ましくは、
0.3〜5当量の範囲内、一層好ましくは、0.5〜2
当量の範囲内となるように、当該化合物(E)を配合す
るようにすればよい。
【0393】また、当該化合物(E)が、一分子中にエ
ポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有す
る化合物、ポリエポキシ化合物あるいはポリシクロカー
ボネート化合物である場合には、水性樹脂(C)中に含
まれる、それぞれ、エポキシ基またはシクロカーボネー
ト基と反応する官能基の1当量に対して、
【0394】当該化合物(E)中に含まれるエポキシ基
量および/またはシクロカーボネート基量の合計量が、
約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、0.5
〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7〜2当
量の範囲内となるように、当該化合物(E)を配合する
ようにすればよい。
【0395】続いて、当該化合物(E)が、特に、アミ
ノ樹脂である場合には、水性樹脂(D)の固形分の10
0重量部に対して、当該化合物(E)の固形分量が、約
5〜約200重量部の範囲内、好ましくは、10〜15
0重量部の範囲内、一層好ましくは、15〜100重量
部の範囲内となるように配合するようにすればよい。
【0396】また、当該化合物(E)が、特に、1級な
いしは2級アミド基を有する化合物である場合には、水
性樹脂(D)中に含まれる1級ないしは2級アミド基と
反応する官能基の1当量に対して、
【0397】当該化合物(E)中に含まれる1級ないし
は2級アミド基量が、約0.2〜約5.0当量の範囲
内、好ましくは、0.5〜3.0当量の範囲内、一層好
ましくは、0.7〜2当量の範囲内となるように、化合
物(E)を配合するようにすればよい。
【0398】さらに、当該化合物(E)が、特に、ポリ
カルボキシ化合物である場合には、水性樹脂(D)中に
含まれるカルボキシル基と反応する官能基の1当量に対
して、
【0399】当該化合物(E)中に含まれるカルボキシ
ル基量が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましく
は、0.5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、
0.7〜2当量の範囲内となるように、当該化合物
(E)を配合するようにすればよい。
【0400】また、当該化合物(E)が、特に、ポリヒ
ドロキシ化合物である場合には、水性樹脂(D)に含ま
れる、ヒドロキシ基と反応する官能基の1当量に対し
て、
【0401】当該化合物(E)中に含まれる水酸基量
が、約0.2〜約5.0当量の範囲内、好ましくは、
0.5〜3.0当量の範囲内、一層好ましくは、0.7
〜2当量の範囲内となるように、化合物(E)を配合す
るようにすればよい。
【0402】上述のようにして調製される、それぞれ、
水性樹脂(D)を必須の成分として含有する、本発明に
係る水性硬化性樹脂組成物;あるいは水性樹脂(D)
に、さらに、化合物(E)をも配合せしめてなる、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物は、着色顔料を含まない
クリヤーな組成物として使用することも出来るし、ま
た、公知慣用の種々の有機系あるいは無機系の顔料を含
有する形の着色組成物として、使用することも出来る。
【0403】また、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
には、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリン
グ剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤または可塑剤などのような、公知慣用の種々の添
加剤類などをも配合せしめた形で以て、種々の用途に利
用することが出来る。
【0404】前掲したような種々の添加剤類のうちで
も、上記した硬化触媒として特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、前述したようなポリシロキサン
(b−1)の調製に使用されるものとして、すでに、例
示して来ているような各種の触媒類などであるが、
【0405】さらに、これらの諸々の化合物に加えて、
テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウ
ム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホ
スホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピ
ル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩また
はベンジルホスホニウム塩類などであって、
【0406】対アニオンとして、たとえば、それぞれ、
フルオライド、クロライド、ブロマイドまたはカルボキ
シレートの如き、各種のアニオンを有するような、種々
の化合物をも使用することが出来る。
【0407】そして、本発明に係る水性硬化性樹脂組成
物に、常温での充分なる硬化性を付与する上からは、硬
化触媒を添加することが望ましい。
【0408】硬化触媒の添加量としては、前記した水性
硬化性樹脂組成物中に含まれる固形分の全量に対して、
約0.0001〜約5重量%の範囲内が適切であるし、
好ましくは、0.001〜3重量%の範囲内が適切であ
るし、さらに好ましくは、0.002〜2重量%の範囲
内が適切である。
【0409】かくして得られる、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物は、該水性硬化性樹脂組成物を構成してい
る、それぞれ、水性樹脂(D)の種類によって、(E)
成分の有無によって、(E)成分を添加した場合には、
その種類と使用量とによって、硬化触媒の有無によっ
て、硬化触媒を添加した場合には、その種類と使用量と
によって、最適なる硬化条件は異なるけれども、室温
で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せしめるか、
【0410】あるいは約80〜約250℃程度の温度範
囲で、約30秒間〜約2時間程度のあいだ、焼き付けを
行なうことによって、実用性の高い、目的とする硬化物
を得ることが出来る。
【0411】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、耐久
性などに極めて優れる硬化物を与えるものであるという
処から、該水性樹脂を必須の成分として含有する、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上
塗り用塗料、建築外装用塗料、あるいは建材用塗料など
の、種々の塗料用に利用することが出来るし、さらに
は、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用ならびに
表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも、利用す
ることが出来る。
【0412】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本
発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるもの
ではない。なお、以下において、部および%は、特に断
りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0413】参考例1〔重合体(a−1)の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素導入
管を備えた反応容器に、イソプロパノール(IPA)の
470部を仕込んで、窒素ガスの通気下に、80℃にま
で昇温した。
【0414】次いで、同温度で、スチレン(ST)の1
00部、メチルメタアクリレート(MMA)の300
部、n−ブチルメタクリレート(BMA)の184部、
n−ブチルアクリレート(BA)の86部、3−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTM
S)の30部および数平均分子量が約1,000なるメ
トキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEG
MA)の300部からなる混合物と、IPAの350部
と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート(TBPO)の50部とからなる混合物とを、別
々に、4時間かけて滴下した。
【0415】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が54.6%で、か
つ、数平均分子量が12,800なる、ポリエーテル鎖
およびトリメトキシシリル基を併有する目的重合体の溶
液を得た。以下、これを(a−1−1)と略記する。
【0416】参考例2(同上) 参考例1と同様の反応容器に、IPAの470部を仕込
んで、窒素ガスの通気下に、80℃にまで昇温した。
【0417】次いで、同温度で、STの100部、MM
Aの300部、BMAの214部、BAの86部および
PEGMAの300部からなる混合物と、IPAの45
0部とTBPOの50部とからなる混合物と、3−メル
カプトプロピルトリメトキシシランの24部とを、それ
ぞれ、別々に、4時間かけて滴下した。
【0418】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌することによって、不揮発分が54.6%で、か
つ、数平均分子量が7,000なる、ポリエーテル鎖お
よびトリメトキシシリル基を併有する目的重合体の溶液
を得た。以下、これを(a−1−2)と略記する。
【0419】参考例3および4〔重合体(a−2)の調
製例〕 単量体の種類および使用量と、重合開始剤の使用量と
を、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同
様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有す
る、各種の目的重合体(a−2)を得た。それらの重合
体は、同表に示すように略記をする。
【0420】
【表1】
【0421】《第1表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0422】「AA」………………………アクリル酸の
略記
【0423】「2−HEMA」……………2−ヒドロキ
シエチルメタクリレートの略記
【0424】
【表2】
【0425】《第1表の脚注》数平均分子量を示す各数
値は、いずれも、百分の一となっているので、百倍(つ
まり、「×100」)をした値が、真のものである。
【0426】参考例5および6〔重合体(R−1)およ
び(R−2)の調製例〕 単量体の種類および使用量と、重合開始剤の使用量と
を、第1表に示すように変更した以外は、参考例1と同
様に重合を行なって、同表に示すような性状値を有する
目的重合体(R−1)および(R−2)を得た。それら
の重合体は、同表に示すように略記する。
【0427】
【表3】
【0428】
【表4】
【0429】《第1表の脚注》参考例5で得られた「R
−1」は、対照用樹脂1を調製する際に使用するための
重合体である。
【0430】参考例6で得られた「R−2」は、対照用
樹脂2を調製する際に使用するための重合体である。
【0431】参考例7〔対照用樹脂1の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、重合体(R−1)の903部を仕込んだ。次
いで、室温で、攪拌下に、イオン交換水の750部を、
30分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、溶剤であ
るIPAを除くことによって、不揮発分が35.1%な
る、対照用の水性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂
1と略記する。
【0432】参考例8〔対照用樹脂2の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、重合体(R−2)の907部を仕込んだ。次
いで、室温で、攪拌下に、イオン交換水の750部を、
30分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、溶剤であ
るIPAを除くことによって、不揮発分が35.8%な
る、対照用の水性樹脂を得た。以下、これを対照用樹脂
2と略記する。
【0433】実施例1
【0434】本例は、本発明に係る水性樹脂それ自体の
調製についての一実施態様を、あるいは本発明に係る、
それぞれ製造法ならびに水性硬化性の水性樹脂(D)の
それ自体の調製についての一実施態様を示すためのもの
である。
【0435】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の一実施態様を示すための
ものである。
【0436】温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏
斗を備えた反応容器に、フェニルトリメトキシシラン
(PTMS)の354部およびIPAの355部を仕込
んで、80℃にまで昇温した。
【0437】次いで、同温度で、「AP−3」[大八化
学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェー
トの商品名]の2.9部と、イオン交換水の96部と
を、5分間を要して滴下し、同温度で、4時間のあいだ
攪拌を行なった。核磁気共鳴分析( 1H−NMR)で
以て反応混合物の分析を行ない、PTMSの加水分解
が、100%進行していることを確認した。
【0438】しかるのち、参考例1で得られた重合体
(a−1−1)の1,422部を添加し、同温度で、4
時間のあいだ攪拌を行なって、ポリシロキサンと、重合
体(a−1−1)との縮合物を調製した。
【0439】次いで、この縮合物を、1H−NMRで分
析した処、此の重合体(a−1−1)中に含まれていた
トリメトキシシリル基の加水分解が、100%進行して
いることが判明した。
【0440】引き続いて、同温度で、イオン交換水の
1,404部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除
くことによって、不揮発分が37.6%なる目的水性樹
脂を得た。以下、これを(D−1)と略記する。
【0441】しかるのち、此の水性樹脂(D−1)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−1)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0442】実施例2
【0443】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体の調製についての、更なる一実施態様を示、あるいは
本発明に係る、それぞれ製造法ならびに水性硬化性の水
性樹脂(D)のそれ自体の調製についての、更なる一実
施態様を示すためのものである。
【0444】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0445】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
356部およびIPAの355部を仕込んで、80℃に
まで昇温した。
【0446】次いで、同温度で、「AP−3」の2.9
部と、イオン交換水の96部とを、5分間を要して滴下
し、同温度で、4時間のあいだ攪拌を行なった。1H−
NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSの加
水分解が、100%進行していることを確認した。
【0447】しかるのち、参考例3で得られた重合体
(a−2−1)の1,422部を添加し、同温度で、4
時間のあいだ攪拌を行なって、ポリシロキサンと、重合
体(a−2−1)との縮合物を調製した。
【0448】次いで、この縮合物を、1H−NMRで分
析した処、此の重合体(a−2−1)に含まれていたト
リメトキシシリル基の加水分解が、100%進行してい
ることが判明した。
【0449】引き続いて、同温度で、イオン交換水の
1,404部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類を除く
ことによって、不揮発分が37.6%なる目的水性樹脂
を得た。以下、これを(D−2)と略記する。
【0450】しかるのち、此の水性樹脂(D−2)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−2)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0451】実施例3
【0452】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体の調製についての、更なる一実施態様を、あるいは本
発明に係る、それぞれ製造法ならびに水性硬化性の水性
樹脂(D)のそれ自体の調製についての、更なる一実施
態様を示すためのものである。
【0453】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0454】実施例1と同様の反応容器に、参考例2で
得られた重合体(a−1−2)の538部、PTMSの
354部、メチルトリエトキシシラン(MTES)の
1,271部およびIPAの756部を仕込んで、80
℃にまで昇温した。
【0455】次いで、同温度で、「AP−3」の14.
4部と、イオン交換水の482部とを、5分間を要して
滴下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1
H−NMRで以て反応混合物の分析を行ない、重合体
(a−1−2)に含有されていたトリメトキシシリル
基、PTMSおよびMTESの加水分解が、100%進
行していることを確認した。
【0456】しかるのち、同温度で、イオン交換水の
1,018部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類を除く
ことによって、不揮発分が35.2%なる目的水性樹脂
を得た。以下、これを(D−3)と略記する。
【0457】しかるのち、此の水性樹脂(D−3)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−3)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0458】実施例4
【0459】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体の調製についての、更なる一実施態様を、あるいは本
発明に係る、それぞれ製造法ならびに水性硬化性の水性
樹脂(D)のそれ自体の調製についての、更なる一実施
態様を示すためのものである。
【0460】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0461】実施例1と同様の反応容器に、参考例4で
得られた重合体(a−2−2)の1,083部、PTM
Sの354部、MTESの318部、ジメチルジメトキ
シシラン(DMDMS)の86部およびIPAの417
部を仕込んで、80℃にまで昇温した。
【0462】次いで、同温度で、「AP−3」の6.9
部と、イオン交換水の231部とを、5分間を要して滴
下し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。核磁
気共鳴分析( 1H−NMR)で以て反応混合物の分析
を行ない、重合体(a−1−2)に含有されていたトリ
メトキシシリル基、PTMS、MTESおよびDMDM
Sの加水分解が、100%進行していることを確認し
た。
【0463】引き続いて、同温度で、イオン交換水の
1,269部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除
くことによって、不揮発分が35.2%なる目的水性樹
脂を得た。以下、これを(D−4)と略記する。
【0464】しかるのち、此の水性樹脂(D−4)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−4)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0465】実施例5
【0466】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体の調製についての、更なる一実施態様を、あるいは本
発明に係る、それぞれ製造法ならびに水性硬化性の水性
樹脂(D)のそれ自体の調製についての、更なる一実施
態様を示すためのものである。
【0467】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0468】実施例1と同様の反応容器に、PTMSの
354部およびIPAの835部を仕込んで、80℃に
まで昇温した。
【0469】次いで、同温度で、「AP−3」の2.9
部と、イオン交換水の96部とを、5分間を要して滴下
し、同温度で、4時間のあいだ撹拌を行なった。1H−
NMRで以て反応混合物の分析を行ない、PTMSの加
水分解が、100%進行していることを確認した。
【0470】さらに、同温度で、STの100部、MM
Aの300部、BMAの184部、BAの221部、P
EGMAの300部およびMPTMSの30部からなる
混合物と、IPAの350部と、TBPOの50部とか
らなる混合物とを、別々に、4時間に亘って滴下した。
【0471】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌を行なって複合樹脂を得た。この複合樹脂を1H
−NMRで分析した処、MPTMSに含まれていたトリ
メトキシシリル基の加水分解が、100%進行している
ことが判明した。
【0472】しかるのち、同温度で、イオン交換水の
1,404部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸
留で、メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除
くことによって、不揮発分が36.3%なる目的水性樹
脂を得た。以下、これを(D−5)と略記する。
【0473】しかるのち、此の水性樹脂(D−5)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−5)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0474】実施例6
【0475】本例もまた、本発明に係る水性樹脂それ自
体の調製についての、更なる一実施態様を、あるいは本
発明に係る、それぞれ製造法ならびに水性硬化性の水性
樹脂(D)のそれ自体の調製についての、更なる一実施
態様を示すためのものである。
【0476】したがって、本例は、一つには、本発明に
係る水性樹脂それ自体の調製例と、二つには、本発明に
係る、当該水性樹脂の製造法の、更なる一実施態様を示
すためのものである。
【0477】参考例1と同様の反応容器に、PTMSの
552部と、IPAの940部とを仕込んで、窒素ガス
の通気下に、80℃にまで昇温した。
【0478】次いで、同温度で、「AP−3」の3.7
部およびイオン交換水の124部の混合物と、STの1
00部、MMAの300部、BMAの134部、BAの
86部、PEGMAの300部、2−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートの50部およびMPTMSの30部
の混合物と、IPAの350部と、2,2’−アゾビス
−(2−メチルブチロニトリル)の50部とからなる混
合物とを、別々に、4時間に亘って滴下した。
【0479】滴下終了後も、同温度で、16時間のあい
だ攪拌して複合樹脂を得た。この複合樹脂を、 1H−
NMRで以て分析した処、PTMSおよびMPTMSの
加水分解反応は、100%進行していることが確認でき
た。
【0480】次いで、同温度で、イオン交換水の1,3
96部を、30分間かけて滴下したのち、減圧蒸留で、
メタノールと、IPAなどのアルコール類とを除くこと
によって、不揮発分が38.4%なる目的水性樹脂を得
た。以下、これを(D−6)と略記する。
【0481】しかるのち、此の水性樹脂(D−6)を、
40℃に、1ヵ月間のあいだ保存したが、保存後の水性
樹脂において、ゲル化や、沈澱物の析出などの異状は、
全く、認められずに、此の水性樹脂(D−6)は、極め
て、保存安定性に優れるものであることが判明した。
【0482】実施例7〜14
【0483】これらの一連の実施例は、いずれも、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物の調製の一実施態様を、
ならびに更なる一実施態様を示すためのものである。
【0484】まず、水性樹脂(D)の一部と、顔料と、
エチレングリコールモノブチルエーテルとの混合物を、
サンドミルを使用して分散せしめ、顔料重量濃度(PW
C)が60%なる、各種のミルベースを調製せしめ、次
いで、それぞれのミルベースに、水性樹脂(D)の残り
の全量を添加して、混合せしめることによって、各種の
白色ベースを調製した。
【0485】そして、それぞれの白色ベースに対して、
必要に応じて、化合物(E)および硬化触媒を配合せし
めることによって、PWCが35%なる、各種の白色塗
料を調製した。
【0486】このように調製される、それぞれの白色塗
料に使用した、水性樹脂(D)、顔料、エチレングリコ
ールモノブチルエーテル、化合物(E)および硬化触媒
の使用比率は、第2表に示す通りである。
【0487】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、予め、ポリエステル/メラミン系の塗料が塗装さ
れ、焼き付けされた塗装鋼板であって、しかも、水研ぎ
された此の鋼板上に、乾燥膜厚が約40マイクロ・メー
ター(μm)となるように、アプリケーターで塗布せし
め、次いで、第2表に示すような硬化条件で以て、各種
の硬化塗膜を得た。
【0488】此処において得られた、本発明に係る水性
硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれ
もが、とりわけ、外観に優れるものであることが明らか
となった。それぞれの塗膜についての諸性能の評価判定
を行なった。それらの結果は、まとめて、第2表に示
す。
【0489】比較例1および2 まず、それぞれ、参考例7または8で得られた、対照用
樹脂1または2の一部と、顔料と、エチレングリコール
モノブチルエーテルとの混合物を、サンドミルを使用し
て分散せしめ、PWCが60%なる、各種のミルベース
を調製し、次いで、それぞれのミルベースに、対照用樹
脂1または2の残りの全量を添加して、混合せしめるこ
とによって、各種の白色ベースを調製した。
【0490】そして、それぞれの白色ベースに対して、
必要に応じて、化合物(E)および硬化触媒を配合せし
めるということによって、PWCが35%なる、各種の
白色塗料を調製した。
【0491】上記のように調製される、それぞれの白色
塗料に使用した、対照用樹脂1または2、顔料、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、化合物(E)および
硬化触媒の使用比率は、第2表に示す通りである。
【0492】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、実施例7と同様にして、塗布せしめ、同表に示すよ
うな硬化条件で以て硬化せしめることによって、各種の
硬化塗膜を得た。
【0493】此処において得られた、対照用樹脂1また
は2を含有することから成る、対照用の水性硬化性樹脂
組成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、外観
に優れるものであった。それぞれの塗膜についての諸性
能の評価判定を行なった。それらの結果は、まとめて、
第2表に示す。
【0494】
【表5】
【0495】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0496】「DBTDO」…………ジブチル錫ジオク
トエートの略記
【0497】「EGMBE」…………エチレングリコー
ルモノブチルエーテルの略記
【0498】「CR−97」は、「タイペーク CR−
97」の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型
酸化チタンの商品名である。
【0499】
【表6】
【0500】《第2表の脚注》「耐候性」は、サンシャ
イン・ウエザオメーターによる、2,000時間に及ぶ
曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面反射率(%)
なる光沢値を、未曝露時における、塗膜の同上の光沢値
で以て除して、それを、100倍した値(光沢保持率:
%)を表示したものである。
【0501】その値が大きいほど、耐候性が良好である
ことを示している。
【0502】「耐汚染性」は、屋外において、2ヵ月間
に及ぶ曝露を行なったのちの塗膜と、未曝露時の塗膜と
の色差△Eを表示したものである。その値が、0に近い
ほど、耐汚染性が良好であるということを示している。
【0503】「耐酸性」は、「耐酸性雨性」の代用試験
として行なうものであり、それぞれの硬化塗膜の表面上
に、10%硫酸水溶液の0.1ミリ・リットルを載せた
試験板を、60℃の熱風乾燥器中に、30分間のあいだ
保持したのち、塗膜表面を水洗乾燥してから、その表面
の状態を、目視により評価判定した。その際の評価判定
の基準は、次の通りである。
【0504】 ◎…エッチングなし ○…若干ながら、エッチングあり △…光沢が低下している ×…エッチングが著しい
【0505】「耐アルカリ性」は、それぞれの試験板
を、5%水酸化ナトリウム水溶液中に、室温下におい
て、24時間のあいだ浸漬せしめたのちに、塗膜表面
を、各別に、水洗し乾燥してから、その表面状態を、目
視により評価判定したものである。
【0506】
【表7】
【0507】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0508】「GPTMS」……………3−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランの略記
【0509】「S−695」は、「ウォーターゾル S
−695」の略記であって、大日本インキ化学工業
(株)製の、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂
水溶液;不揮発分=66%の商品名である。
【0510】「TOMAAc」…………トリオクトルメ
チルアンモニウムアセテートの略記
【0511】
【表8】
【0512】
【表9】
【0513】《第2表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。
【0514】「エチルシリケート40」は、コルコート
(株)製の、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合
物の商品名である。
【0515】
【表10】
【0516】実施例15
【0517】本例は、各種の水性樹脂についての、とり
わけ、保存安定性の評価判定を行なっているものであ
る。
【0518】実施例1〜6において得られた、各種の水
性樹脂(D)を、40℃に、1ヵ月間のあいだ保存せし
めたのち、実施例7〜14と同様の方法で以て、各種の
白色ベースを調製し、さらに必要に応じて、化合物
(E)および硬化触媒をも配合せしめることによって、
PWCが35%なる各種の白色塗料を調製した。
【0519】かくして得られた、それぞれの白色塗料に
使用した、水性樹脂(D)、顔料、エチレングリコール
モノブチルエーテル、化合物(E)および硬化触媒の使
用比率は、第2表に示す通りである。
【0520】次いで、実施例7〜14と同様の方法で以
て、それぞれの白色塗料を試験塗板上に塗布せしめ、し
かるのち、第2表に示すような硬化条件で以て硬化せし
めることによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0521】此処において得られた、40℃に、1ヵ月
間のあいだ保存したのちの水性樹脂より調製された白色
ベースを含有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物
を用いた、それぞれの塗膜は、いずれもが、とりわけ、
外観に優れるものであると共に、それぞれの塗膜の諸性
能が、第2表に示すような結果と、殆ど、差異が認めら
れなかった。
【0522】此等の各事実から、水性樹脂(D)は、と
りわけ、保存安定性に優れるものであると判断されよ
う。
【0523】以上に詳説した通り、本発明に係る水性樹
脂は、ポリエーテル鎖を有する重合体セグメント(A)
と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
ロキサンセグメント(B)で構成され、且つ、前記
(A)と(B)とが、下記の構造式(S−I)
【0524】
【化25】
【0525】〔ただし、式中、炭素原子および炭素原子
に結合した珪素原子は、重合体セグメント(A)の一部
分を構成し、酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロ
キサンセグメント(B)の一部分を構成するものとす
る。〕
【0526】で示される結合を介して複合化している複
合樹脂(C)を、水に分散ないしは溶解せしめるとい
う、斬新なる製造方法により得られるものであり、優れ
た硬化性ならびに優れた保存安定性を兼備するという、
極めて実用性の高いものである。
【0527】また、こうした水性樹脂を必須の成分とし
て含有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、と
りわけ、光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性
などのような、いわゆる耐久性などに優れる塗膜を形成
することの出来る、極めて実用性の高いものである。
【0528】
【発明の効果】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、優
れた硬化性と、優れた保存安定性とを兼備するというも
のであり、こうした水性樹脂を必須の成分として含有す
る、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、とりわけ、
曝露時の光沢保持性、耐曝露汚染性ならびに耐酸性雨性
などの、いわゆる耐久性に優れる硬化塗膜を形成するこ
との出来る、特に、被覆用組成物として、極めて実用性
の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 101/10 C08L 101/10 C09D 187/00 C09D 187/00

Claims (62)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエーテル鎖を有する重合体セグメン
    ト(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐し
    たポリシロキサン・セグメント(B)とで構成され、か
    つ、前記(A)と(B)とが、次の構造式(S−I) 【化1】 〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロキサン・セグ
    メント(B)の一部分を構成するものとする。〕で示さ
    れる結合を介して複合化している複合樹脂(C)を、水
    に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂。
  2. 【請求項2】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエーテ
    ル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−1)
    と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
    に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン(b−
    1)とを縮合反応せしめて得られるものである、請求項
    1に記載の水性樹脂。
  3. 【請求項3】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエーテ
    ル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基以
    外の官能基とを有する重合体(a−2)と、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合反
    応せしめて得られるものである、請求項1に記載の水性
    樹脂。
  4. 【請求項4】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエーテ
    ル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−1)
    の存在下において、一分子中に少なくとも2個の、珪素
    原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水
    分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する
    分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する過程で、
    上記した、それぞれ、重合体(a−1)とポリシロキサ
    ン(b−2)とを複合化せしめることにより得られるも
    のである、請求項1に記載の水性樹脂。
  5. 【請求項5】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエーテ
    ル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基以
    外の官能基とを有する重合体(a−2)の存在下におい
    て、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する過程で、上記した、それ
    ぞれ、重合体(a−2)とポリシロキサン(b−2)と
    を複合化せしめることによりに得られるものである、請
    求項1に記載の水性樹脂。
  6. 【請求項6】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下に
    おいて、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基とを有す
    る重合体(a−1)を調製する過程で、上記した、それ
    ぞれ、重合体(a−1)とポリシロキサン(b−1)と
    を複合化せしめることによりに得られるものである、請
    求項1に記載の水性樹脂。
  7. 【請求項7】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下に
    おいて、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と此の加
    水分解性シリル基以外の官能基とを有する重合体(a−
    2)を調製する過程で、上記した、それぞれ、(a−
    2)と(b−1)とを複合化せしめることによりに得ら
    れるものである、請求項1に記載の水性樹脂。
  8. 【請求項8】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエーテ
    ル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−1)
    を調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素
    原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を加水
    分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有する
    分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応と
    を、同一反応系において、並行して行なう過程で、上記
    した、(a−1)とポリシロキサン(b−2)とを複合
    化せしめることにより得られるものである、請求項1に
    記載の水性樹脂。
  9. 【請求項9】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエーテ
    ル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基以
    外の官能基とを有する重合体(a−2)を調製する反応
    と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合した
    加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめ
    て、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリシ
    ロキサン(b−2)を調製する反応とを、同一反応系に
    おいて、並行して行なう過程で、上記した、それぞれ、
    重合体(a−2)とポリシロキサン(b−2)とを複合
    化せしめることにより得られるものである、請求項1に
    記載の水性樹脂。
  10. 【請求項10】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解シリル基以外の官能基として、水酸基、ブロックされ
    た水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシ
    ル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、シクロカーボ
    ネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、
    カーバメート基および次の構造式(S−II) 【化2】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基を有するものである、請求項3、5、7ま
    たは9に記載の水性樹脂。
  11. 【請求項11】 前記した重合体セグメント(A)が、
    ビニル系重合体セグメントである、請求項1に記載の水
    性樹脂。
  12. 【請求項12】 前記した重合体(a−1)がビニル系
    重合体である、請求項2、4、6または8のいずれかに
    記載の水性樹脂。
  13. 【請求項13】 前記した重合体(a−2)がビニル系
    重合体である、請求項3、5、7または9のいずれかに
    記載の水性樹脂。
  14. 【請求項14】 前記した重合体(a−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテル鎖を有す
    るビニル系単量体を必須成分とする単量体をラジカル重
    合せしめて調製されるものである、請求項2、4、6ま
    たは8のいずれかに記載の水性樹脂。
  15. 【請求項15】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテル鎖を有す
    るビニル系単量体と、加水分解性シリル基以外の官能基
    を有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラ
    ジカル重合せしめて調製されるものである、請求項3、
    5、7または9のいずれかに記載の水性樹脂。
  16. 【請求項16】 前記した重合体(a−1)中に含まれ
    る加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基である、
    請求項2、4、6または8のいずれかに記載の水性樹
    脂。
  17. 【請求項17】 前記した重合体(a−2)中に含まれ
    る加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基である、
    請求項3、5、7または9のいずれかに記載の水性樹
    脂。
  18. 【請求項18】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)が、一分子中に少なくとも
    2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素
    化合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物
    ないしは部分加水分解縮合物である、請求項2、3、6
    または7のいずれかに記載の水性樹脂。
  19. 【請求項19】 前記した、一分子中に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項4、5、8、9または18のいずれか
    に記載の水性樹脂。
  20. 【請求項20】 前記したポリシロキサン(b−1)中
    に含まれる加水分解性基がアルコキシ基である、請求項
    2、3、6、7または18のいずれかに記載の水性樹
    脂。
  21. 【請求項21】 ポリエーテル鎖を有する重合体セグメ
    ント(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐
    したポリシロキサン・セグメント(B)とで構成され、
    かつ、前記(A)と(B)とが、次の構造式(S−I) 【化3】 〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロキサン・セグ
    メント(B)の一部分を構成するものとする。〕で示さ
    れる結合を介して複合化している複合樹脂(C)を、水
    に分散ないしは溶解せしめることを特徴とする、水性樹
    脂(D)の製造法。
  22. 【請求項22】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−
    1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素
    原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
    (b−1)とを縮合反応せしめて得られるものである、
    請求項21に記載の製造法。
  23. 【請求項23】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基
    以外の官能基とを有する重合体(a−2)と、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合
    反応せしめて得られるものである、請求項21に記載の
    製造法。
  24. 【請求項24】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−
    1)の存在下において、一分子中に少なくとも2個の、
    珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
    加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
    する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する過程
    で、上記した、それぞれ、重合体(a−1)とポリシロ
    キサン(b−2)とを複合化せしめることによりに得ら
    れるものである、請求項21に記載の製造法。
  25. 【請求項25】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基
    以外の官能基とを有する重合体(a−2)の存在下にお
    いて、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合し
    た加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せし
    めて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリ
    シロキサン(b−2)を調製する過程で、上記した、そ
    れぞれ、(a−2)と(b−2)とを複合化せしめるこ
    とによりに得られるものである、請求項21に記載の製
    造法。
  26. 【請求項26】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基を有す
    る重合体(a−1)を調製する過程で、上記した、それ
    ぞれ、(a−1)と(b−1)とを複合化せしめること
    によりに得られるものである、請求項21に記載の製造
    法。
  27. 【請求項27】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と此の
    加水分解性シリル基以外の官能基とを有する重合体(a
    −2)を調製する過程で、上記した、それぞれ、(a−
    2)と(b−1)とを複合化せしめることによりに得ら
    れるものである、請求項21に記載の製造法。
  28. 【請求項28】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−
    1)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、
    珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
    加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
    する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応
    とを、同一反応系において、並行して行なう過程で、上
    記した、それぞれ、(a−1)と(b−2)とを複合化
    せしめることにより得られることを特徴とする、請求項
    21に記載の製造法。
  29. 【請求項29】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基
    以外の官能基とを併有する重合体(a−2)を調製する
    反応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合
    した加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せ
    しめて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポ
    リシロキサン(b−2)を調製する反応とを、同一反応
    系において、並行して行なう過程で、上記した、それぞ
    れ、(a−2)と(b−2)とを複合化せしめることに
    より得られるものである、請求項21に記載の製造法。
  30. 【請求項30】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解シリル基以外の官能基として、水酸基、ブロックされ
    た水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシ
    ル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、シクロカーボ
    ネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、
    カーバメート基および次の構造式(S−II) 【化4】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基を有するものである、請求項23、25、
    27または29のいずれかに記載の製造法。
  31. 【請求項31】 前記した重合体セグメント(A)がビ
    ニル系重合体セグメントである、請求項21に記載の製
    造法。
  32. 【請求項32】 前記した重合体(a−1)がビニル系
    重合体である、請求項22、24、26または28のい
    ずれかに記載の製造法。
  33. 【請求項33】 前記した重合体(a−2)がビニル系
    重合体である、請求項23、25、27または29のい
    ずれかに記載の製造法。
  34. 【請求項34】 前記した重合体(a−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテル鎖を有す
    るビニル系単量体を必須成分とする単量体をラジカル重
    合せしめて調製されるものである、請求項22、24、
    26または28のいずれかに記載の製造法。
  35. 【請求項35】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテル鎖を有す
    るビニル系単量体と、加水分解性シリル基以外の官能基
    を有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラ
    ジカル重合せしめて調製されるものである、請求項2
    3、25、27または29のいずれかに記載の製造法。
  36. 【請求項36】 前記した重合体(a−1)中に含まれ
    る加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請
    求項22、24、26または28のいずれかに記載の製
    造法。
  37. 【請求項37】 前記した重合体(a−2)中に含まれ
    る加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基である、
    請求項23、25、27または29のいずれかに記載の
    製造法。
  38. 【請求項38】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)が、一分子中に少なくとも
    2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素
    化合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物
    ないしは部分加水分解縮合物である、22、23、26
    または27のいずれかに記載の製造法。
  39. 【請求項39】 前記した、一分子中に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項24、25、28、29または38の
    いずれかに記載の製造法。
  40. 【請求項40】 前記した、ポリシロキサン(b−1)
    中に含まれる加水分解性基がアルコキシ基である、請求
    項22、23、26、27または38のいずれかに記載
    の製造法。
  41. 【請求項41】 ポリエーテル鎖を有する重合体セグメ
    ント(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐
    したポリシロキサン・セグメント(B)とで構成され、
    かつ、上記した、それぞれ、セグメント(A)とセグメ
    ント(B)とが、次の構造式(S−I) 【化5】 〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロキサン・セグ
    メント(B)の一部分を構成するものとする。〕で示さ
    れる結合を介して複合化している複合樹脂(C)を、水
    に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂(D)と
    を、必須の成分として、含有することを特徴とする、水
    性硬化性樹脂組成物。
  42. 【請求項42】 ポリエーテル鎖を有する重合体セグメ
    ント(A)と、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐
    したポリシロキサン・セグメント(B)とで構成され、
    かつ、上記した、それぞれ、セグメント(A)とセグメ
    ント(B)とが、次の構造式(S−I) 【化6】 〔ただし、式中の炭素原子および炭素原子に結合した珪
    素原子は、重合体セグメント(A)の一部分を構成し、
    酸素原子に結合した珪素原子は、ポリシロキサン・セグ
    メント(B)の一部分を構成するものとする。〕で示さ
    れる結合を介して複合化している複合樹脂(C)を、水
    に分散ないしは溶解せしめて得られる水性樹脂(D)
    と、該水性樹脂(D)中に含まれる官能基と反応する官
    能基を有する化合物(E)とを、必須の成分として、含
    有することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  43. 【請求項43】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−
    1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素
    原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
    (b−1)とを縮合反応せしめて得られるものである、
    請求項41または42に記載の組成物。
  44. 【請求項44】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基
    以外の官能基とを有する重合体(a−2)と、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)とを縮合
    反応せしめて得られるものである、請求項41または4
    2に記載の組成物。
  45. 【請求項45】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−
    1)の存在下において、一分子中に少なくとも2個の、
    珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
    加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
    する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する過程
    で、上記した、それぞれ、重合体(a−1)とポリシロ
    キサン(b−2)とを複合化せしめることによりに得ら
    れるものである、請求項41または42に記載の組成
    物。
  46. 【請求項46】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基
    以外の官能基とを有する重合体(a−2)の存在下にお
    いて、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合し
    た加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せし
    めて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリ
    シロキサン(b−2)を調製する過程で、上記した、そ
    れぞれ、重合体(a−2)とポリシロキサン(b−2)
    とを複合化せしめることによりに得られるものである、
    請求項41または42に記載の組成物。
  47. 【請求項47】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、ポリエーテルと加水分解性シリル基とを有す
    る重合体(a−1)を調製する過程で、上記した、重合
    体(a−1)とポリシロキサン(b−1)とを複合化せ
    しめることによりに得られるものである、請求項41ま
    たは42に記載の組成物。
  48. 【請求項48】 前記した複合樹脂(C)が、珪素原子
    に結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加
    水分解性基を有するポリシロキサン(b−1)の存在下
    において、ポリエーテル鎖と加水分解性シリル基と此の
    加水分解性シリル基以外の官能基とを有する重合体(a
    −2)を調製する過程で、上記した、それぞれ、重合体
    (a−2)とポリシロキサン(b−1)とを複合化せし
    めることによりに得られるものである、請求項41また
    は42に記載の組成物。
  49. 【請求項49】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基とを有する重合体(a−
    1)を調製する反応と、一分子中に少なくとも2個の、
    珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物を
    加水分解縮合せしめて、珪素原子に結合した水酸基を有
    する分岐したポリシロキサン(b−2)を調製する反応
    とを、同一反応系において、並行して行なう過程で、上
    記した、それぞれ、重合体(a−1)とポリシロキサン
    (b−2)とを複合化せしめることにより得られるもの
    である、請求項41または42に記載の組成物。
  50. 【請求項50】 前記した複合樹脂(C)が、ポリエー
    テル鎖と加水分解性シリル基と此の加水分解性シリル基
    以外の官能基とを有する重合体(a−2)を調製する反
    応と、一分子中に少なくとも2個の、珪素原子に結合し
    た加水分解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せし
    めて、珪素原子に結合した水酸基を有する分岐したポリ
    シロキサン(b−2)を調製する反応とを、同一反応系
    において、並行して行なう過程で、上記した、それぞ
    れ、重合体(a−2)とポロシロキサン(b−2)とを
    複合化せしめることにより得られるものである、請求項
    41または42に記載の組成物。
  51. 【請求項51】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解シリル基以外の官能基として、水酸基、ブロックされ
    た水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシ
    ル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、シクロカーボ
    ネート基、エポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、
    カーバメート基および次の構造式(S−II) 【化7】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基を有するものである、請求項44、46、
    48または50のいずれかに記載の組成物。
  52. 【請求項52】 前記した重合体セグメント(A)がビ
    ニル系重合体セグメントである、請求項41または42
    に記載の組成物。
  53. 【請求項53】 前記した重合体(a−1)がビニル系
    重合体である、請求項43、45、47または49のい
    ずれかに記載の組成物。
  54. 【請求項54】 前記した重合体(a−2)がビニル系
    重合体である、請求項44、46、48または50のい
    ずれかに記載の組成物。
  55. 【請求項55】 前記した重合体(a−1)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテル鎖を有す
    るビニル系単量体を必須成分とする単量体をラジカル重
    合せしめて調製されるものである、請求項43、45、
    47または49のいずれかに記載の組成物。
  56. 【請求項56】 前記した重合体(a−2)が、加水分
    解性シリル基を有するビニル系単量体、加水分解性シリ
    ル基を有する連鎖移動剤および加水分解性シリル基を有
    するラジカル重合開始剤よりなる群から選ばれる、少な
    くとも1種の化合物の存在下に、ポリエーテル鎖を有す
    るビニル系単量体と、加水分解性シリル基以外の官能基
    を有するビニル系単量体とを必須成分とする単量体をラ
    ジカル重合せしめて調製されるものである、請求項4
    4、46、48または50のいずれかに記載の組成物。
  57. 【請求項57】 前記した重合体(a−1)中に含まれ
    る加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請
    求項43、45、47または49のいずれかに記載の組
    成物。
  58. 【請求項58】 前記した重合体(a−2)中に含まれ
    る加水分解性シリル基がアルコキシシリル基である、請
    求項44、46、48または50のいずれかに記載の組
    成物。
  59. 【請求項59】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(b−1)が、一分子中に少なくとも
    2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素
    化合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物
    ないしは部分加水分解縮合物である、43、44、47
    または48のいずれかに記載の組成物。
  60. 【請求項60】 前記した、一分子中に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである、請求項45、46、49、50または59の
    いずれかに記載の組成物。
  61. 【請求項61】 前記した、ポリシロキサン(b−1)
    中に含まれる加水分解性基がアルコキシ基である、請求
    項43、44、47、48または59のいずれかに記載
    の組成物。
  62. 【請求項62】 前記した化合物(E)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネート基
    と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合
    物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分
    解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合
    物、ブロック・ポリイソシアネート化合物、ポリエポキ
    シ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹
    脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカルボ
    キシ化合物およびポリヒドロキシ化合物よりなる群から
    選ばれる、少なくとも1種の化合物である、請求項41
    または42に記載の組成物。
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