JPH10182768A - フィラメントワインディング成形方法 - Google Patents
フィラメントワインディング成形方法Info
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- JPH10182768A JPH10182768A JP8357152A JP35715296A JPH10182768A JP H10182768 A JPH10182768 A JP H10182768A JP 8357152 A JP8357152 A JP 8357152A JP 35715296 A JP35715296 A JP 35715296A JP H10182768 A JPH10182768 A JP H10182768A
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Abstract
装置等の付帯設備を必要とせず、反応性モノマーの揮発
をできるだけ抑え、大幅な成形サイクルアップが図れ、
同時にポットライフの問題も解決でき、各種充填材を含
有する組成物においても速やかな硬化が可能なフィラメ
ントワインディング成形方法の提供。 【解決手段】 アシルホスフィンオキサイド系化合物と
可視光及び熱による重合性も有する光熱重合開始剤の組
み合わせである重合開始剤を含有する不飽和ポリエステ
ル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂を繊維材料に含
浸させ、ワインディングを行った後、可視光領域及び熱
を発生する光源で光照射を行い、温度上昇下においてさ
らに可視光領域の光を含む光源で光照射を行い、樹脂を
硬化させるフィラメントワインディング成形方法。
Description
間で硬化が可能なフィラメントワインディング成形方法
に関する。さらに詳しくは、繊維材料としてガラス繊維
を使用した厚物組成物やカーボン繊維、アラミド繊維な
どを使用した組成物でも、可視光領域の光及び熱を発生
する光源による光照射のみで光硬化と比較的低温の熱硬
化を同時に行い、後硬化を必要としないことを特徴とす
るフィラメントワインディング成形方法に関する。
る繊維強化プラスチックの成形は、一般に熱硬化性樹脂
を含浸させた繊維材料をマンドレルにワインディングし
た後、この成形体を加熱硬化してなされる。フィラメン
トワインディング成形に使用される熱硬化性樹脂の中に
は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂など
の重合性不飽和基を有する樹脂があるが、通常これら樹
脂の硬化は過酸化物触媒系を用いたラジカル重合が行わ
れ、常温から中温硬化用の触媒を使用して室温である程
度まで硬化させ後、加熱による後硬化を行ったり、高温
硬化用の触媒を使用して加熱硬化を行っている。しか
し、この方法では硬化に長時間を要し、大がかりな加熱
装置が必要であり、さらに成形性の向上には多数のマン
ドレルや設備が必要となる。また、常温硬化である程度
硬化を進める場合には、原料樹脂の可使時間の調整を行
わなければならないため、使用前の硬化や硬化時間の不
必要な延長などのトラブルが発生したり、また加熱硬化
を必要とする場合には成形時に揮発性を有する反応性モ
ノマー(スチレンモノマーなど)が揮発するため作業現
場の環境汚染を招き易く、あるいは加熱装置内でも重合
終了までにモノマーが揮発し、樹脂組成物の配合比率の
変化による性能の低下、樹脂量の損失と引火等の危険性
を招くなどの問題がある。
つかの提案がある。まず成形サイクルアップのため特開
平4−224929号公報では、マンドレル内部へ生石
灰と水を入れ、その化学反応熱により樹脂の硬化を促進
させるという方法が提案されているが、化学反応を利用
するために、温度コントロールが困難であるといった問
題点もあり、最終的には後硬化の工程が必要な場合があ
り根本的な解決に至っていない。また、反応性モノマー
の揮発の問題に対しては、熱硬化性樹脂中にワックスま
たは変性ワックスなどの添加剤を添加する方法の提案が
ある。この方法によれば反応性モノマーの揮発の問題は
緩和ないし克服できるが、ワックスの浮きむらなどによ
るトラブルや2次接着性の問題は解決できない。
決するために、常温でも速硬化となる光硬化の利用が期
待できる。不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹
脂のFRPの光硬化の例としては、特公昭60−804
7号公報、特開平6−298818などがあり、アシル
フォスフィンオキシドやビスアシルフォスフィンオキシ
ドを開始剤に不飽和ポリエステル樹脂組成物を、高圧水
銀灯で12.7mmまで硬化させる例が示されている。
しかし、ここでは人体に有害であり、透過性が低い紫外
線を利用しているため、成形品がさらに厚くなったり、
光が透過しにくい繊維強化材を使用したり、樹脂に顔料
などの充填材を含有する場合の例は示されていない。ま
たこの中では350〜500nmあるいは300〜45
0nmの光が有効で、光源としては高圧水銀灯や日光が
有効であるとしているが、厚物などで有効な500nm
以上の長波長を利用した例はない。光硬化をフィラメン
トワインディング成形に応用とした例としては、Y.O
KAMOTO,Society of Manufac
turing Engineers,TECHNICA
L PAPER,EM94−111(1994)や特開
平5−208451、特開平5−269869、特開平
5−24042、特開平6−190933、特開平6−
34450などがあるが、いずれも紫外線を使っており
照射のみでの完全硬化は得られていない。さらに充填材
を含有する組成物や厚物の成形には当然問題が残る。し
たがってこれらの光硬化を利用した成形では、いずれも
紫外線から500nm程度の低波長の光を利用するた
め、光が透過しにくい繊維強化材を使用したり、樹脂に
顔料などの充填材を含有する場合、あるいは成形品が厚
くなった場合など繊維強化材や充填材に光を吸収される
ときは、内部まで十分に硬化させることができない欠点
があった。
状を鑑み、人体に安全な光線を利用した光照射のみで短
時間で硬化することが可能であり、加熱装置等の付帯設
備を必要とせず、作業環境を悪化する反応性モノマーの
揮発をできるだけ抑え、且つ大幅な成形サイクルアップ
が図れ、同時に原料熱硬化性樹脂の可使時間(ポットラ
イフ)の問題も解決でき、さらに各種繊維や充填材を含
有する組成物においても速やかな硬化が可能なフィラメ
ントワインディング成形方法を提供することを目的とす
る。
イド系化合物と可視光に感光性を有し、且つ熱による重
合性も有する光熱重合開始剤の組み合わせである重合開
始剤(A)を含有する不飽和ポリエステル樹脂及び/ま
たはビニルエステル樹脂(B)を繊維材料(C)に含浸
させ、ワインディングを行った後、可視光領域の及び赤
外領域の熱を発生する光源で光照射を行い、温度上昇下
においてさらに可視光領域の光を含む光源で光照射を行
い、樹脂を硬化させることを特徴とするフィラメントワ
インディング成形方法。 (2)可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合
性を有する光熱重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダ
ゾール化合物と水素供与性化合物との組み合わせである
(1)記載のフィラメントワインディング成形方法、及
び (3)繊維材料がガラス繊維及び/またはカーボン繊維
及び/またはアラミド繊維である(1)記載のフィラメ
ントワインディング成形方法を開発することにより上記
の課題を解決した。
としては、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル
樹脂(以下、両樹脂を併せて樹脂等と呼ぶこともある)
のうち、少なくともその一つを使用する。不飽和ポリエ
ステル樹脂の不飽和ポリエステルとしては、公知の方法
により製造されるものでよく、具体的には無水フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有
していない飽和多塩基酸またはその無水物とフマル酸、
無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不
飽和多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3
−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等
の多価アルコールをアルコール成分として反応させて製
造されるものである。
レート系樹脂)のビニルエステルとしては、公知の方法
により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一
塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応さ
せて得られるエポキシ(メタ)アクリレートであり、こ
の場合の原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族
体、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類などが挙げ
られる。また飽和ジカルボン酸及び/または不飽和ジカ
ルボン酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシ
ル基の飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルに、
エポキシ基を有するα、β−不飽和カルボン酸エステル
を反応させて得られる飽和ポリエステルまたは不飽和ポ
リエステルのポリエステル(メタ)アクリレートであ
る。
和ジカルボン酸としては、活性不飽和基を有していない
ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン
酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、活
性不飽和基を有しているジカルボン酸、例えばフマル
酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙
げられる。多価アルコール成分としては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,
3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビ
スフェノールAのプロピレンオキサイド付可物などの多
価アルコールなどが挙げられる。ポリエステル(メタ)
アクリレートの製造に用いるエポキシ基を有するα、β
−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタ
クリレートが代表例として挙げられる。
るいはビニルエステルは、不飽和度の比較的高いものが
好ましく、不飽和基当量(不飽和基1個当たりの分子
量)が100〜800程度のものを用いる。不飽和基当
量100未満のものは合成できない。しかし不飽和基当
量が800を越えると高硬度の硬化物が得られない。
テル樹脂あるいはビニルエステル樹脂は、通常、前記の
不飽和ポリエステルあるいはビニルエステルにスチレン
モノマーなどの反応性モノマーを配合したものである。
本発明の樹脂等に配合される反応性モノマーは、複合材
料を製造する際に樹脂の粘度を下げることにより、繊維
材料、顔料、フィラーなどとの混練性、含浸性を高め、
かつ成形製品の硬度、強度、耐薬品性、耐水性等を向上
させるために重要である。反応性モノマーの配合量とし
ては不飽和ポリエステル及び/またはビニルエステル1
00重量部に対して10〜250重量部、好ましくは2
0〜100重量部配合される。配合量が10重量部未満
では、樹脂等が高粘度のため成形困難となり、一方25
0重量部を超える量では、高硬度の製品が得られず、耐
熱性が不足し、FRP材料として好ましくない。この場
合、スチレンモノマーの一部または全部を、クロルスチ
レン、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメ
タクリレート等の他の重合性モノマーを本発明の主旨を
損なわぬ範囲で代替し、使用することも可能である。
は、有機及び/または無機繊維であり、例えばガラス繊
維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレ
ート繊維、ビニロン繊維等の公知のものが使用される。
むろんこれらの繊維を組み合わせて使用してもよく、そ
の使用量は一般に成形品の10〜80容量%、好ましく
は40〜70容量%である。ロービング繊維強化材が8
0容量%を超えると樹脂を均一に含浸した成形品を得に
くくなり、10容量%を下回ると成形品の機械的強度が
低下する。
ては特に制限されないが、例えば有機顔料及び無機顔料
を挙げることができ、その使用量は重合硬化性を考慮す
ると樹脂等100重量部に対して0〜20重量部、好ま
しくは0〜10重量部である。
有するアシルホスフィンオキサイド系化合物は、ある温
度以上において可視光を照射することにより極めて高い
重合開始能力を有するが、常温付近ではほとんど分解す
ることなく安定なものが好ましく、例えば2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商
品名Darocur11173、チバガイギー(株)
製)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(チ
バガイギー(株)製)を75/25(重量比)の割合で
混合された商品名イルガキュアー1700(チバガイギ
ー(株)製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジ
フェニルホスフィンオキサイド(商品名Lucirin
TPO、BASF(株)製)、Darocur117
3とLucirin TPOを50/50(重量比)の
割合で混合された商品名Darocur4265等に代
表される市販されているものを挙げることができる。
は、ある温度以上、化合物の種類により一定していない
が、約60℃以上、多くの化合物では好ましくは70℃
以上、より好ましくは80℃以上において可視光を照射
することにより活性化するものである。この系の光重合
開始剤の重合開始能は極めて高いものであるが、常温近
辺では可視光または近赤外光を照射してもほとんど分解
せず重合開始能がほとんどないものである。
っても重合性を有する光熱重合開始剤としては、ヘキサ
アリールビイミダゾール化合物と水素供与製化合物の組
み合わせがあり、具体的にはビス(2,4,6−トリス
フェニル)イミダゾール、ビス(2−o−クロロフェニ
ル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o
−,p−ジクロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミ
ダゾール、ビス(2−o,ブロモフェニル−4,5−ジ
フェニル)イミダゾール、等が挙げられる。ヘキサアリ
ーツビイミダゾール化合物に関しては、詳しくは特公昭
41−3545に記載がある。この可視光に感光性を有
しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤
としてのヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供
与製化合物の組み合せにおいては、可視光及び赤外光な
どの熱を発生する光を含む光照射により重合を開始さ
せ、反応熱により組成物の温度を上昇させ、アシルホス
フィンオキサイド系化合物の活性化を促すものである。
も重合性を有する光熱重合開始剤と共に使用される水素
供与製化合物は、上記ヘキサアリールビイミダゾール化
合物に水素を供与してラジカルとなり、重合開始剤とし
て機能する化合物であり、3級アミン化合物、メルカプ
ト化合物、活性メチレン基を有する化合物が挙げられる
が、特に1,3−ジカルボニル化合物、複素環を有する
メルカプト化合物が望ましい。さらに好ましくは2−メ
ルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトクロロベン
ゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2
−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプ
トベンゾオキサゾールである。
視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有す
る光熱重合開始剤を組み合わせた開始剤の使用量は、樹
脂等の種類、強化繊維の種類、量、厚み等によって最適
値が異なるが、一般には樹脂量100重量部に対して
0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量
部である。光重合開始剤組成物の使用量が0.01重量
部未満では、重合が不十分になり易く、また20重量部
を超える量では経済的に不利な上、硬化物の物性低下等
が起こる。
ド系化合物と可視光に感光性を有しつつ且つ熱によって
も重合性を有する光熱重合開始剤の組成比は、重量比で
0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/
0.5である。可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっ
ても重合性を有する光熱重合開始剤の比率がこの範囲よ
りも少なすぎる場合は、可視光の透過しにくい組成物の
硬化ができず、またアシルホスフィンオキサイドの比率
がこの範囲よりも少なすぎる場合は、硬化に時間がかか
る。アシルホスフィンオキサイド系化合物と可視光に感
光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重
合開始剤共にその比率がこの範囲よりも多すぎる場合
は、経済的に不利な上、硬化物の物性低下等が起こる。
0nmの波長領域の光線を示す。本発明の成形方法に使
用される光源としては、380〜780nmの波長領域
の光を出し、且つ可視光と共に樹脂組成物に吸収され熱
を与える光源であればよく、例えばメタルハライドラン
プ、キセノンランプ、近赤外光ランプ、ナトリウムラン
プ、ハロゲンランプ、白熱灯、陽光ランプ、太陽光等を
使用することができる。また、可視光のみのランプと、
樹脂に吸収され樹脂温度を高める能力のあるランプとを
組合わせて使用することもできる。より早い硬化速度を
得るためにはエネルギー順位の高い短波長の領域の光が
有効であるが、樹脂組成物の厚さが厚い時、短波長領域
の光を透過しにくいカーボン繊維、アラミド繊維等の繊
維強化材や顔料などを使用した場合は、照射面は硬化し
ても薄くとも裏面までは完全に硬化し難いことが多い。
このような場合には380〜780nmの範囲の可視光
領域の光源であっても、長波長領域の波長分布が多く、
吸収されて熱の発生の多い光線の照射が有効であり、ハ
ロゲンランプ、近赤外光ランプ、赤外ランプ等が有効に
使用できる。樹脂組成物を硬化するためのランプの照射
時間としては、光源の有効波長、出力、照射距離、組成
物の厚さ、充填物の量などにより異なるため一概に規定
できないが、0.01時間以上、好ましくは0.05時
間以上照射すればよい。
方法においては、可視光に感光性を有するアシルホスフ
ィンオキサイド系化合物に可視光に感光性を有しつつ且
つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤を組み合
わせた複合光重合開始剤を使用することにより、光重合
開始剤を添加した樹脂であっても常温で放置してもゲル
化の危険はなく、ポットライフが長いため可使時間の問
題がなく、且つ光源からの可視光及び緩やかな輻射熱の
みで、可視光の透過し難い部分も完全硬化できる。ワイ
ンディング工程と硬化工程を完全に分離ができ、ワイン
ディング終了後に可視光及び熱を出す光源(ランプ)で
光照射することにより完全硬化が可能であるので、特別
な加熱装置等の付帯設備を必要とせず、短時間で硬化が
可能で大幅な成形サイクルアップをすることができる。
また硬化の反応温度はそれほど高いことが必要ない上、
温度が上昇しても反応が早く、反応性モノマーの揮発の
問題が解決でき、各種繊維を充填した組成物においても
硬化することが可能であり、経済性にも優れ、使用する
光も安全である。
内容を詳細に説明するが、各例中の「部」、「%」は重
量基準を示す。 (実施例1)ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−
802:昭和高分子(株)製]:100部に2,2’−
ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テ
トラフェニル−1,2’−ビイミダゾール[和光純薬
(株)製:以下HABIと略す。]:0.5部、2−メ
ルカプトベンゾチアゾール[和光純薬(株)製:以下M
BTと略す。]:0.5部[HABI/MBTの組み合
わせた可視光領域に感光性を有しつつ熱によっても重合
開始性を有する光熱重合開始剤]、可視光領域に感光性
を有するアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤
[商品名 ルシリンTPO:BASF(社)製:以下T
POと称す。]:2.0部を混合した樹脂組成物を、ガ
ラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]に含
浸させ、ガラスロービング含有率約50vol%となる
ように十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロ
ービングを平板状のマンドレルに厚さが20mmとなる
まで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向
となるようにワインディングを行った。ワインディング
終了後、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させ
ながら、380〜1200nmの波長領域を含む光源で
ある2KWメタルハライドランプ[商品名ダイナビーム
2:東芝ライテック(株)製:以下ランプ1と称す。]
と近赤外光領域に主分光分布を持つ光源である1KWの
ハロゲンランプ[商品名AL−スポットライト:アール
ディエス(株)製:以下ランプ2と称す。]を同時に使
用して70cmの距離で光照射したところ、40分で硬
化した。この場合光の照射をしない裏面の最高温度が8
5℃に達した。JIS K−6911によるバーコル硬
度の測定を934−1型で行い、また曲げ強度も測定し
たところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあ
り、表裏の差は全くなかった。その結果を表1に示す。
リポキシR−802:昭和高分子(株)製]:100部
に、TPO:2.0部を混合した樹脂組成物を使用した
以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。80分間
光照射しても裏面までは硬化が出来なかった。裏面の温
度は85℃であった。その結果を表1に示す。
品名G−200:昭和高分子(株)製]:100部にH
ABI:0.7部、MBT:1.0部、紫外光から可視
光領域まで感光性を有するアシルフォスフィンオキサイ
ド系光重合開始剤[商品名イルガキュアー−1700:
チバガイギー(株)製:、以下1−1700と称
す。]:2.0部を混合し、さらにグレーの顔料[商品
名リゴラックカラーRC843グレー:昭和高分子
(株)製]:0.5部を混合した樹脂組成物を、ガラス
ロービング(4026TX:日東紡(株)製」に含浸さ
せ、ガラスロービング含有率約50vol%となるよう
に十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロービ
ングを平板上のマンドレルに厚さが10mmとなるま
で、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向と
なるようにワインディングを行った。ワインディング終
了後、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させな
がら、ランプ1とランプ2を同時に使用して1mの距離
で光照射したところ30分で硬化した。この時の裏面の
温度は81℃に達した。JIS K=6911によるバ
ーコル硬度の測定を934−1型で行い、また曲げ強度
も測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベ
ルにあり、表裏の差は全くなかった。その結果を表1に
示す。
品名G−200:昭和高分子(株)製]:100部にI
−1700:2.0部を混合した樹脂組成物を使用した
こと以外は、実施例2と全く同様の操作を行ったが、6
0分間光照射しても裏面の硬化が出来なかった。裏面の
温度は75℃であった。その結果を表1に示す。
リポキシH−630:昭和高分子(株)製]:100部
に、HABI:0.7部、I−1700:1.0部を混
合したものを、カーボンロービング[商品名トレカT3
00部:6000−50B:東レ(株)製]に含浸さ
せ、カーボンロービング含有率約50vol%になるよ
うに十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロー
ビングを平板上のマンドレルに厚さが2mmとなるま
で、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向と
なるようにワインディングを行った。ワインディング終
了後、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させな
がら、ランプ1とランプ2を同時に使用して1mの距離
で光照射したところ30分で硬化した。裏面の温度は8
0℃に達した。JIS K−6911によるバーコル硬
度の測定を934−1型で行ったところ、バーコル硬度
は表裏の差は全くなかった。その結果を表2に示す。
リポキシH−630:昭和高分子(株)製]:100部
にI−1700:1.0部を混合した樹脂組成物を使用
すること以外は実施例3と全く同様の操作を行ったが、
60分間光照射しても裏面の硬化が出来なかった。裏面
の温度は82℃であった。その結果を表2に示す。
リポキシR−808:昭和高分子(株)製]:100部
にHABI:0.8部、MBT:1.2部、I−170
0:1.0部を混合したものを、アラミドロービング
[商品名テクノーラT−240:帝人(株)製]に含浸
させ、アラミドロービング含有量約60vol%になる
ように十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したアラミド
ロービングを平板状のマンドレルに、マンドレル回転速
度24回転/分で厚さが3mmとなるまで繊維が一方向
となるようにワインディングを行った。ワインディング
終了後、マンドレルを使用して70cmの距離で光照射
したところ40分で硬化した。裏面の温度は84℃に達
した。JIS I−6911によるバーコル硬度の測定
を934−1型で行ったところ、バーコル硬度は表裏の
差は全く実用レベルにあった。その結果を表2に示す。
リポキシR−808:昭和高分子(株)製]:100部
にI−1700:1.0部を混合した樹脂組成物を使用
した以外は、実施例4と全く同様の操作を行ったが、8
0分間光照射をしても裏面の硬化が出来なかった。裏面
の温度は86℃であった。
ルホスフィンオキサイド系化合物と可視光に感光性を有
しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤
の組み合わせである重合開始剤を含有する、不飽和ポリ
エステル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂を繊維材
料に含浸させ、ワインディング成形した後、可視光領域
の光及び熱を発生する光源で光照射を行い、樹脂を硬化
させるフィラメントワインディング成形する方法であ
る。ここで使用する重合開始剤を含む樹脂組成物は常温
においては可視光の照射を受けてもまったくゲル化しな
いものである。したがってこの樹脂組成物は安定な粘度
に保持することができ、ワインディング加工も容易にで
きるという利点がある。この場合、従来の光硬化では困
難であった光の透過性を阻害する繊維材料または顔料の
ごとき充填材をを含む原材料系のものであっても、ある
いは肉厚の厚い成形体であっても可視光領域の光及び熱
を発生する光源で光照射を行うことにより短時間で硬化
ができるフィラメントワインディングである。特に特別
な加熱装置を必要とせずに、単に可視光及び熱を発生す
る光源(ランプ)で光照射を行うだけで良いので装置的
には簡単化でき、また樹脂組成物中の反応性モノマーの
揮発も少なくて済むので作業環境を悪化することが少な
いワインディング成形方法である。
Claims (3)
- 【請求項1】 可視光に感光性を有するアシルホスフィ
ンオキサイド系化合物と可視光に感光性を有し、且つ熱
による重合性も有する光熱重合開始剤の組み合わせであ
る重合開始剤(A)を含有する不飽和ポリエステル樹脂
及び/またはビニルエステル樹脂(B)を繊維材料
(C)に含浸させ、ワインディングを行った後、可視光
領域の及び赤外領域の熱を発生する光源で光照射を行
い、温度上昇下においてさらに可視光領域の光を含む光
源で光照射を行い、樹脂を硬化させることを特徴とする
フィラメントワインディング成形方法。 - 【請求項2】 可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっ
ても重合性を有する光熱重合開始剤が、ヘキサアリール
ビイミダゾール化合物と水素供与性化合物との組み合わ
せである請求項1記載のフィラメントワインディング成
形方法。 - 【請求項3】 繊維材料がガラス繊維及び/またはカー
ボン繊維及び/またはアラミド繊維である請求項1記載
のフィラメントワインディング成形方法。
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