JP3806209B2 - フィラメントワインディング成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光照射により短時間で硬化が可能なフィラメントワインディング成形方法に関する。さらに詳しくは、繊維材料としてガラス繊維を使用した厚物組成物やカーボン繊維、アラミド繊維などを使用した組成物でも、可視光領域の光及び熱を発生する光源による光照射のみで光硬化と比較的低温の熱硬化を同時に行い、後硬化を必要としないことを特徴とするフィラメントワインディング成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィラメントワインディング成形法による繊維強化プラスチックの成形は、一般に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維材料をマンドレルにワインディングした後、この成形体を加熱硬化してなされる。フィラメントワインディング成形に使用される熱硬化性樹脂の中には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの重合性不飽和基を有する樹脂があるが、通常これら樹脂の硬化は過酸化物触媒系を用いたラジカル重合が行われ、常温から中温硬化用の触媒を使用して室温である程度まで硬化させ後、加熱による後硬化を行ったり、高温硬化用の触媒を使用して加熱硬化を行っている。
しかし、この方法では硬化に長時間を要し、大がかりな加熱装置が必要であり、さらに成形性の向上には多数のマンドレルや設備が必要となる。また、常温硬化である程度硬化を進める場合には、原料樹脂の可使時間の調整を行わなければならないため、使用前の硬化や硬化時間の不必要な延長などのトラブルが発生したり、また加熱硬化を必要とする場合には成形時に揮発性を有する反応性モノマー(スチレンモノマーなど)が揮発するため作業現場の環境汚染を招き易く、あるいは加熱装置内でも重合終了までにモノマーが揮発し、樹脂組成物の配合比率の変化による性能の低下、樹脂量の損失と引火等の危険性を招くなどの問題がある。
【0003】
これらの欠点を解決する手段として、いくつかの提案がある。
まず成形サイクルアップのため特開平4−224929号公報では、マンドレル内部へ生石灰と水を入れ、その化学反応熱により樹脂の硬化を促進させるという方法が提案されているが、化学反応を利用するために、温度コントロールが困難であるといった問題点もあり、最終的には後硬化の工程が必要な場合があり根本的な解決に至っていない。
また、反応性モノマーの揮発の問題に対しては、熱硬化性樹脂中にワックスまたは変性ワックスなどの添加剤を添加する方法の提案がある。この方法によれば反応性モノマーの揮発の問題は緩和ないし克服できるが、ワックスの浮きむらなどによるトラブルや2次接着性の問題は解決できない。
【0004】
反応性モノマーの揮発の防止の問題点を解決するために、常温でも速硬化となる光硬化の利用が期待できる。不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂のFRPの光硬化の例としては、特公昭60−8047号公報、特開平6−298818などがあり、アシルフォスフィンオキシドやビスアシルフォスフィンオキシドを開始剤に不飽和ポリエステル樹脂組成物を、高圧水銀灯で12.7mmまで硬化させる例が示されている。
しかし、ここでは人体に有害であり、透過性が低い紫外線を利用しているため、成形品がさらに厚くなったり、光が透過しにくい繊維強化材を使用したり、樹脂に顔料などの充填材を含有する場合の例は示されていない。またこの中では350〜500nmあるいは300〜450nmの光が有効で、光源としては高圧水銀灯や日光が有効であるとしているが、厚物などで有効な500nm以上の長波長を利用した例はない。
光硬化をフィラメントワインディング成形に応用とした例としては、Y.OKAMOTO,Society of Manufacturing Engineers,TECHNICAL PAPER,EM94−111(1994)や特開平5−208451、特開平5−269869、特開平5−24042、特開平6−190933、特開平6−34450などがあるが、いずれも紫外線を使っており照射のみでの完全硬化は得られていない。さらに充填材を含有する組成物や厚物の成形には当然問題が残る。
したがってこれらの光硬化を利用した成形では、いずれも紫外線から500nm程度の低波長の光を利用するため、光が透過しにくい繊維強化材を使用したり、樹脂に顔料などの充填材を含有する場合、あるいは成形品が厚くなった場合など繊維強化材や充填材に光を吸収されるときは、内部まで十分に硬化させることができない欠点があった。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした現状を鑑み、人体に安全な光線を利用した光照射のみで短時間で硬化することが可能であり、加熱装置等の付帯設備を必要とせず、作業環境を悪化する反応性モノマーの揮発をできるだけ抑え、且つ大幅な成形サイクルアップが図れ、同時に原料熱硬化性樹脂の可使時間(ポットライフ)の問題も解決でき、さらに各種繊維や充填材を含有する組成物においても速やかな硬化が可能なフィラメントワインディング成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 可視光に感光性を有するアシルホスフィンオキサイド系化合物と、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物との組み合わせである、光熱重合開始剤(A)を含有する不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂(B)を繊維材料(C)に含浸させ、ワインディングを行った後、可視光領域の及び赤外領域の熱を発生する光源で光照射を行い、脂を硬化させることを特徴とするフィラメントワインディング成形方法、
[2] 繊維材料がガラス繊維及び/またはカーボン繊維及び/またはアラミド繊維である上記[1]に記載のフィラメントワインディング成形方法、
[3] ヘキサアリールビイミダゾール化合物が、ビス(2,4,6−トリスフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−クロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−,p−ジクロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール及びビス(2−o,ブロモフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾールから選ばれた少なくとも一種である上記[1]請求項1に記載のフィラメントワインディング方法、
[4] 水素供与性化合物が3級アミン化合物、メルカプト化合物及び1,3−ジカルボニル化合物から選ばれた少なくとも一種である上記[1]に記載のフィラメントワインディング方法、および
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の成形方法によって製造されたフィラメントワインディング成形体、を開発することにより上記の課題を解決した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂(以下、両樹脂を併せて樹脂等と呼ぶこともある)のうち、少なくともその一つを使用する。
不飽和ポリエステル樹脂の不飽和ポリエステルとしては、公知の方法により製造されるものでよく、具体的には無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有していない飽和多塩基酸またはその無水物とフマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の多価アルコールをアルコール成分として反応させて製造されるものである。
【0008】
またビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート系樹脂)のビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートであり、この場合の原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類などが挙げられる。
また飽和ジカルボン酸及び/または不飽和ジカルボン酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基の飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルに、エポキシ基を有するα、β−不飽和カルボン酸エステルを反応させて得られる飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルのポリエステル(メタ)アクリレートである。
【0009】
末端カルボキシルポリエステルに用いる飽和ジカルボン酸としては、活性不飽和基を有していないジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、活性不飽和基を有しているジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付可物などの多価アルコールなどが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの製造に用いるエポキシ基を有するα、β−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレートが代表例として挙げられる。
【0010】
樹脂等に用いられる不飽和ポリエステルあるいはビニルエステルは、不飽和度の比較的高いものが好ましく、不飽和基当量(不飽和基1個当たりの分子量)が100〜800程度のものを用いる。不飽和基当量100未満のものは合成できない。しかし不飽和基当量が800を越えると高硬度の硬化物が得られない。
【0011】
本発明において使用される不飽和ポリエステル樹脂あるいはビニルエステル樹脂は、通常、前記の不飽和ポリエステルあるいはビニルエステルにスチレンモノマーなどの反応性モノマーを配合したものである。本発明の樹脂等に配合される反応性モノマーは、複合材料を製造する際に樹脂の粘度を下げることにより、繊維材料、顔料、フィラーなどとの混練性、含浸性を高め、かつ成形製品の硬度、強度、耐薬品性、耐水性等を向上させるために重要である。反応性モノマーの配合量としては不飽和ポリエステル及び/またはビニルエステル100重量部に対して10〜250重量部、好ましくは20〜100重量部配合される。配合量が10重量部未満では、樹脂等が高粘度のため成形困難となり、一方250重量部を超える量では、高硬度の製品が得られず、耐熱性が不足し、FRP材料として好ましくない。
この場合、スチレンモノマーの一部または全部を、クロルスチレン、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の他の重合性モノマーを本発明の主旨を損なわぬ範囲で代替し、使用することも可能である。
【0012】
本発明で使用されるロービング繊維強化材は、有機及び/または無機繊維であり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維等の公知のものが使用される。
むろんこれらの繊維を組み合わせて使用してもよく、その使用量は一般に成形品の10〜80容量%、好ましくは40〜70容量%である。ロービング繊維強化材が80容量%を超えると樹脂を均一に含浸した成形品を得にくくなり、10容量%を下回ると成形品の機械的強度が低下する。
【0013】
本発明で必要に応じて使用される顔料としては特に制限されないが、例えば有機顔料及び無機顔料を挙げることができ、その使用量は重合硬化性を考慮すると樹脂等100重量部に対して0〜20重量部、好ましくは0〜10重量部である。
【0014】
本発明に使用される可視光領域に感光性を有するアシルホスフィンオキサイド系化合物は、ある温度以上において可視光を照射することにより極めて高い重合開始能力を有するが、常温付近ではほとんど分解することなく安定なものが好ましく、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名Darocur11173、チバガイギー(株)製)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(チバガイギー(株)製)を75/25(重量比)の割合で混合された商品名イルガキュアー1700(チバガイギー(株)製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名Lucirin TPO、 BASF(株)製)、Darocur1173とLucirin TPOを50/50(重量比)の割合で混合された商品名Darocur4265等に代表される市販されているものを挙げることができる。
【0015】
このアシルホスフィンオキサイド系化合物は、ある温度以上、化合物の種類により一定していないが、約60℃以上、多くの化合物では好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上において可視光を照射することにより活性化するものである。この系の光重合開始剤の重合開始能は極めて高いものであるが、常温近辺では可視光または近赤外光を照射してもほとんど分解せず重合開始能がほとんどないものである。
【0016】
また可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤としては、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物の組み合わせがあり、具体的にはビス(2,4,6−トリスフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−クロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−,p−ジクロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o,ブロモフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、等が挙げられる。ヘキサアリービイミダゾール化合物に関しては、詳しくは特公昭41−3545に記載がある。
この可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤としてのヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物の組み合せにおいては、光の透過しにくいカーボン繊維を使用した場合等に可視光及び赤外光などの熱を発生する光を含む光照射により重合を開始、反応熱により組成物の温度を上昇させ、アシルホスフィンオキサイド系化合物の活性化を促すものである。
【0017】
可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤と共に使用される水素供与性化合物は、上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物に水素を供与してラジカルとなり、重合開始剤として機能する化合物であり、3級アミン化合物、メルカプト化合物、活性メチレン基を有する化合物が挙げられるが、特に1,3−ジカルボニル化合物、複素環を有するメルカプト化合物が望ましい。さらに好ましくは2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトクロロベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールである。
【0018】
アシルホスフィンオキサイド系化合物と可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤を組み合わせた開始剤の使用量は、樹脂等の種類、強化繊維の種類、量、厚み等によって最適値が異なるが、一般には樹脂量100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部である。光重合開始剤組成物の使用量が0.01重量部未満では、重合が不十分になり易く、また20重量部を超える量では経済的に不利な上、硬化物の物性低下等が起こる。
【0019】
重合開始剤中のアシルホスフィンオキサイド系化合物と可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤の組成比は、重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤の比率がこの範囲よりも少なすぎる場合は、可視光の透過しにくい組成物の硬化ができず、またアシルホスフィンオキサイドの比率がこの範囲よりも少なすぎる場合は、硬化に時間がかかる。アシルホスフィンオキサイド系化合物と可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤共にその比率がこの範囲よりも多すぎる場合は、経済的に不利な上、硬化物の物性低下等が起こる。
【0020】
本発明において、可視光とは380〜780nmの波長領域の光線を示す。
本発明の成形方法に使用される光源としては、380〜780nmの波長領域の光を出し、且つ可視光と共に樹脂組成物に吸収され熱を与える光源であればよく、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、近赤外光ランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、白熱灯、陽光ランプ、太陽光等を使用することができる。また、可視光のみのランプと、樹脂に吸収され樹脂温度を高める能力のあるランプとを組合わせて使用することもできる。
より早い硬化速度を得るためにはエネルギー順位の高い短波長の領域の光が有効であるが、樹脂組成物の厚さが厚い時、短波長領域の光を透過しにくいカーボン繊維、アラミド繊維等の繊維強化材や顔料などを使用した場合は、照射面は硬化しても薄くとも裏面までは完全に硬化し難いことが多い。このような場合には380〜780nmの範囲の可視光領域の光源であっても、長波長領域の波長分布が多く、吸収されて熱の発生の多い光線の照射が有効であり、ハロゲンランプ、近赤外光ランプ、赤外ランプ等が有効に使用できる。
樹脂組成物を硬化するためのランプの照射時間としては、光源の有効波長、出力、照射距離、組成物の厚さ、充填物の量などにより異なるため一概に規定できないが、0.01時間以上、好ましくは0.05時間以上照射すればよい。
【0021】
本発明のフィラメントワインディング成形方法においては、可視光に感光性を有するアシルホスフィンオキサイド系化合物に可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤を組み合わせた複合光重合開始剤を使用することにより、光重合開始剤を添加した樹脂であっても常温で放置してもゲル化の危険はなく、ポットライフが長いため可使時間の問題がなく、且つ光源からの可視光及び緩やかな輻射熱のみで、可視光の透過し難い部分も完全硬化できる。
ワインディング工程と硬化工程を完全に分離ができ、ワインディング終了後に可視光及び熱を出す光源(ランプ)で光照射することにより完全硬化が可能であるので、特別な加熱装置等の付帯設備を必要とせず、短時間で硬化が可能で大幅な成形サイクルアップをすることができる。また硬化の反応温度はそれほど高いことが必要ない上、温度が上昇しても反応が早く、反応性モノマーの揮発の問題が解決でき、各種繊維を充填した組成物においても硬化することが可能であり、経済性にも優れ、使用する光も安全である。
【0022】
【実施例】
以下に示す実施例、比較例により、本発明の内容を詳細に説明するが、各例中の「部」、「%」は重量基準を示す。
(実施例1)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−802:昭和高分子(株)製]:100部に2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール[和光純薬(株)製:以下HABIと略す。]:0.5部、2−メルカプトベンゾチアゾール[和光純薬(株)製:以下MBTと略す。]:0.5部[HABI/MBTの組み合わせた可視光領域に感光性を有しつつ熱によっても重合開始性を有する光熱重合開始剤]、可視光領域に感光性を有するアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤[商品名 ルシリンTPO:BASF(社)製:以下TPOと称す。]:2.0部を混合した樹脂組成物を、ガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]に含浸させ、ガラスロービング含有率約50vol%となるように十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロービングを平板状のマンドレルに厚さが20mmとなるまで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向となるようにワインディングを行った。
ワインディング終了後、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させながら、380〜1200nmの波長領域を含む光源である2KWメタルハライドランプ[商品名ダイナビーム2:東芝ライテック(株)製:以下ランプ1と称す。]と近赤外光領域に主分光分布を持つ光源である1KWのハロゲンランプ[商品名AL−スポットライト:アールディエス(株)製:以下ランプ2と称す。]を同時に使用して70cmの距離で光照射したところ、40分で硬化した。この場合光の照射をしない裏面の最高温度が85℃に達した。JIS K−6911によるバーコル硬度の測定を934−1型で行い、また曲げ強度も測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。その結果を表1に示す。
【0023】
(比較例1)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−802:昭和高分子(株)製]:100部に、TPO:2.0部を混合した樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と全く同様の操作を行った。80分間光照射しても裏面までは硬化が出来なかった。裏面の温度は85℃であった。その結果を表1に示す。
【0024】
(実施例2)
不飽和ポリエステル樹脂[商品名G−200:昭和高分子(株)製]:100部にHABI:0.7部、MBT:1.0部、紫外光から可視光領域まで感光性を有するアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤[商品名イルガキュアー−1700:チバガイギー(株)製:、以下1−1700と称す。]:2.0部を混合し、さらにグレーの顔料[商品名リゴラックカラーRC843グレー:昭和高分子(株)製]:0.5部を混合した樹脂組成物を、ガラスロービング(4026TX:日東紡(株)製」に含浸させ、ガラスロービング含有率約50vol%となるように十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロービングを平板上のマンドレルに厚さが10mmとなるまで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向となるようにワインディングを行った。
ワインディング終了後、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させながら、ランプ1とランプ2を同時に使用して1mの距離で光照射したところ30分で硬化した。この時の裏面の温度は81℃に達した。JIS K=6911によるバーコル硬度の測定を934−1型で行い、また曲げ強度も測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。その結果を表1に示す。
【0025】
(比較例2)
不飽和ポリエステル樹脂[商品名G−200:昭和高分子(株)製]:100部にI−1700:2.0部を混合した樹脂組成物を使用したこと以外は、実施例2と全く同様の操作を行ったが、60分間光照射しても裏面の硬化が出来なかった。裏面の温度は75℃であった。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0003806209
【0027】
(実施例3)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシH−630:昭和高分子(株)製]:100部に、HABI:0.7部、MBT:1.0部、I−1700:1.0部を混合したものを、カーボンロービング[商品名トレカT300部:6000−50B:東レ(株)製]に含浸させ、カーボンロービング含有率約50vol%になるように十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロービングを平板上のマンドレルに厚さが2mmとなるまで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向となるようにワインディングを行った。
ワインディング終了後、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させながら、ランプ1とランプ2を同時に使用して1mの距離で光照射したところ30分で硬化した。裏面の温度は80℃に達した。JIS K−6911によるバーコル硬度の測定を934−1型で行ったところ、バーコル硬度は表裏の差は全くなかった。その結果を表2に示す。
【0028】
(比較例3)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシH−630:昭和高分子(株)製]:100部にI−1700:1.0部を混合した樹脂組成物を使用すること以外は実施例3と全く同様の操作を行ったが、60分間光照射しても裏面の硬化が出来なかった。裏面の温度は82℃であった。その結果を表2に示す。
【0029】
(実施例4)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−808:昭和高分子(株)製]:100部にHABI:0.8部、MBT:1.2部、I−1700:1.0部を混合したものを、アラミドロービング[商品名テクノーラT−240:帝人(株)製]に含浸させ、アラミドロービング含有量約60vol%になるように十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したアラミドロービングを平板状のマンドレルに、マンドレル回転速度24回転/分で厚さが3mmとなるまで繊維が一方向となるようにワインディングを行った。
ワインディング終了後、マンドレルを使用して70cmの距離で光照射したところ40分で硬化した。裏面の温度は84℃に達した。JIS I−6911によるバーコル硬度の測定を934−1型で行ったところ、バーコル硬度は表裏の差は全く実用レベルにあった。その結果を表2に示す。
【0030】
(比較例4)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−808:昭和高分子(株)製]:100部にI−1700:1.0部を混合した樹脂組成物を使用した以外は、実施例4と全く同様の操作を行ったが、80分間光照射をしても裏面の硬化が出来なかった。裏面の温度は86℃であった。
【0030】
【表2】
Figure 0003806209
【0031】
【発明の効果】
本発明は、可視光に感光性を有するアシルホスフィンオキサイド系化合物と可視光に感光性を有しつつ且つ熱によっても重合性を有する光熱重合開始剤の組み合わせである重合開始剤を含有する、不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂を繊維材料に含浸させ、ワインディング成形した後、可視光領域の光及び熱を発生する光源で光照射を行い、樹脂を硬化させるフィラメントワインディング成形する方法である。
ここで使用する重合開始剤を含む樹脂組成物は常温においては可視光の照射を受けてもまったくゲル化しないものである。したがってこの樹脂組成物は安定な粘度に保持することができ、ワインディング加工も容易にできるという利点がある。この場合、従来の光硬化では困難であった光の透過性を阻害する繊維材料または顔料のごとき充填材をを含む原材料系のものであっても、あるいは肉厚の厚い成形体であっても可視光領域の光及び熱を発生する光源で光照射を行うことにより短時間で硬化ができるフィラメントワインディングである。
特に特別な加熱装置を必要とせずに、単に可視光及び熱を発生する光源(ランプ)で光照射を行うだけで良いので装置的には簡単化でき、また樹脂組成物中の反応性モノマーの揮発も少なくて済むので作業環境を悪化することが少ないワインディング成形方法である。

Claims (5)

  1. 可視光に感光性を有するアシルホスフィンオキサイド系化合物と、ヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物との組み合わせである、光熱重合開始剤(A)を含有する不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂(B)を繊維材料(C)に含浸させ、ワインディングを行った後、可視光領域の及び赤外領域の熱を発生する光源で光照射を行い、樹脂を硬化させることを特徴とするフィラメントワインディング成形方法。
  2. 繊維材料がガラス繊維及び/またはカーボン繊維及び/またはアラミド繊維である請求項1に記載のフィラメントワインディング成形方法。
  3. ヘキサアリールビイミダゾール化合物が、ビス(2,4,6−トリスフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−クロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−,p−ジクロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール及びビス(2−o,ブロモフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾールから選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載のフィラメントワインディング方法。
  4. 水素供与性化合物が3級アミン化合物、メルカプト化合物及び1,3−ジカルボニル化合物から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載のフィラメントワインディング方法。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の成形方法によって製造されたフィラメントワインディング成形体。
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