JP3806210B2 - フィラメントワインディング成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラメントワインディングをするに際し、光を照射しながら行うことにより、成形品の厚さが厚い時においても、厚さに関係なく短時間で硬化が可能なフィラメントワインディング成形方法に関する。さらに詳しくは、使用する熱硬化性樹脂の可使時間を長くすることができ、反応性モノマーの揮発量が少なく、また成形品に厚さに関係なく短時間に硬化し、加熱による後硬化を必要としないフィラメントワインディング成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィラメントワインディング法による繊維強化成形物は、一般にロービング繊維強化材に熱硬化性樹脂を含浸させ、樹脂を含浸したロービング繊維強化材をマンドレルの外周に巻き付けて積層し、これを常温で又は外部より加熱して硬化させることにより成形している。含浸に使用される熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの重合性不飽和基を有する熱硬化性樹脂が一般に使用されている。通常これらの樹脂の重合は、過酸化物触媒系を用いたラジカル重合が行われ、常温から中温硬化用の触媒を使用して室温である程度まで予備硬化させた後、フィラメントワインディングした後、後硬化を行ったり、高温加熱硬化用の触媒を使用して加熱硬化を行っている。
しかし、常温硬化である程度硬化を進める場合には、可使時間に制限があって、その調整を行わなければならないため、トラブルが発生したり、また予備硬化反応に長時間の硬化時間を必要とするため、揮発性を有する反応性モノマー(スチレンモノマーなど)が硬化反応が進むに従い、揮発することが避けられず、このため作業現場の環境汚染を招き、また加熱装置内でも重合終了までに反応性モノマーが揮発し、樹脂組成物の配合比率の変化による性能の低下、樹脂量の損失と引火等の危険性などの不都合がある。また高温加熱硬化をする方法では硬化に長時間を要するだけでなく、大がかりな加熱装置を必要とし、さらに成形サイクルアップには多数のマンドレルや設備が必要となる。
【0003】
これらの欠点を解決する手段として、いくつかの提案がある。
まず成形サイクルアップのため、特開平4−224929号公報では、マンドレル内部へ生石灰と水を入れ、その化学反応熱により樹脂を硬化させるという方法も提案されているが、化学反応を利用するために、温度コントロールが困難であるといった問題点もあり、最終的には後硬化が必要な場合であり、根本的な解決に至っていない。
また、光を利用したフィラメントワインディング成形法の例として、特開平4−189534号公報では、中空の透明マンドレルを使用し、紫外線硬化触媒を配合した熱硬化性樹脂を繊維材料に含浸させ、透明マンドレル外周にワインディングして成形体を作り、この内外部から紫外線を照射することにより樹脂硬化する成形方法がある。この方法では特殊な透明マンドレルを必要とし、最終的にはワインディング終了後、空気遮断の環境下で遠赤外線硬化炉にて加熱による後硬化が必要とされており、困難な問題が多い。
【0004】
一方反応性モノマーの揮発の問題に対しては、熱硬化性樹脂中にワックスまたは変性ワックスなどの添加剤を添加することによりモノマーの揮発を抑制する方法が提案されている。この方法によれば反応性モノマーの揮発問題は緩和ないし克服できるが、ワックスの浮きむらなどによるトラブルや2次接着性の問題は解決できない。
H.Shreiber,Plastverarbeiter,33(4),404(1982),D.Scholz,14th.Reinf.Plast.Cong,p.71(1984)などの紫外線硬化の例に見られるように、紫外線を照射して熱硬化性樹脂を速硬化することにより、反応性モノマーの揮発の問題や可使時間の制約、成形サイクルの向上などの問題を解決するという方法の提案もある。しかし紫外線の使用は、樹脂に無機繊維、有機繊維、顔料、その他フィラーなどの充填材を充填した場合、あるいは成形品が厚くなった場合には、樹脂や充填材に光の透過が遮断されるために、成形体内部までに紫外線が届かず樹脂を十分に硬化させることができない欠点がある。
これとは別に近年、光重合開始剤の感光域を可視光域(感光波長域500nm)まで広げた光重合開始剤が開発され、特開昭60−8047、特開平6−298818に見られるように、紫外線硬化反応に比べ、内部まで硬化が可能となる提案がなされている。しかしこの場合においても、硬化する成形品の厚さには限界があり、充填材の多い場合においてはその厚さも薄くする必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、充填材を多く含む熱硬化性樹脂あるいは厚みの厚い成形品のフィラメントワインディングにおいても、繊維材料の種類、顔料、その他のフィラーの種類、配合量に影響されないで硬化することが可能であり、かつ加熱装置などの付帯設備、特殊なマンドレルなどが不要であり、短時間の硬化による大幅な成形サイクルアップが図れ、原料熱硬化性樹脂の可使時間(ポットライフ)の問題が解決できる新規なフィラメントワインディング成形方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 下記一般式(1)で示される有機ホウ素化合物と酸性化合物の組み合わせ、またはこの組み合わせにさらにヘキサアリールビイミダゾール化合物を組み合わせた光重合開始剤(A)を含有する不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂(B)を繊維材料(C)に含浸させ、可視光及び/または近赤外光領域を含む光の照射を行いながらワインディングを行うことを特長とするフィラメントワインディング成形方法。
【化2】
(式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基または置換シリル基を示し、Z + は陽イオンを示す。)
[2] 光重合開始剤(A)が、可視光及び/または近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤である上記[1]に記載のフィラメントワインディング成形方法、
[3] ワインディング終了後、さらに可視光および/または近赤外光領域を含む光を照射することを特徴とする上記[1]または[2]に記載のフィラメントワインディング成形方法、
[4] 繊維材料(C)が、ガラス繊維、カーボン繊維及びアラミド繊維の少なくとも1種からなる繊維材料である上記[1]に記載のフィラメントワインディング成形方法、および
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の成形方法によって製造されたフィラメントワインディング成形体、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される熱硬化性樹脂としては不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂(以下、両樹脂を併せて樹脂等と呼ぶ)の少なくともその1つを使用する。
不飽和ポリエステル樹脂の不飽和ポリエステルとしては、公知の方法により製造されるものでよく、具体的には無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸等の重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性不飽和多塩基酸またはその酸無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の多価アルコールをアルコール成分として反応させて製造されるものである。
【0008】
またビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートであり、この場合の、原料としてのエポキシ樹脂とは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその高分子量同族体、ノボラック型ポリグリシジルエーテル類などが挙げられる。
また飽和ジカルボン酸及び/または不飽和ジカルボン酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基の飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルにエポキシ基を有するα、β−不飽和カルボン酸エステルを反応させて得られる飽和ポリエステルまたは不飽和ポリエステルのポリエステル(メタ)アクリレートである。
【0009】
末端カルボキシルポリエステルに用いる飽和ジカルボン酸としては、活性不飽和基を有していないジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられる。不飽和ジカル酸としては、活性不飽和基を有しているジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付可物などの多価アルコールなどが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの製造に用いるエポキシ基を有するα、β−不飽和カルボン酸エステルとしては、グリシジルメタクリレートが代表例として挙げられる。
【0010】
樹脂等に用いられる不飽和ポリエステルあるいはビニルエステルは、不飽和度の比較的高いものが好ましく、不飽和基当量(不飽和基1個当たりの分子量)が100〜800程度のものを用いる。不飽和基当量100未満のものは合成できない。一方不飽和基当量が800を越えると高硬度の硬化物が得られない。
【0011】
本発明において使用される不飽和ポリエステル樹脂あるいはビニルエステル樹脂は、通常、前記の不飽和ポリエステルあるいはビニルエステルにスチレンモノマーなどの反応性モノマーを配合したものである。本発明の樹脂等に配合される反応性モノマーは、複合材料を製造する際に樹脂の粘度を下げることにより、繊維材料、顔料、フィラーなどとの混練性、含浸性を高め、かつ成形製品の硬度、強度、耐薬品性、耐水性等を向上させるために重要である。反応性モノマーの配合量としては不飽和ポリエステル及び/またはビニルエステル100重量部に対して10〜250重量部、好ましくは20〜100重量部配合される。配合量が10重量部未満では、樹脂等が高粘度のため成形困難となり、一方250重量部を超える量では、高硬度の製品が得られず、耐熱性が不足し、FRP材料として好ましくない。
この場合、スチレンモノマーの一部または全部を、クロルスチレン、メチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の他の重合性モノマーを本発明の主旨を損なわぬ範囲で代替し、使用することも可能である。
【0012】
本発明で使用されるロービング繊維強化材は、有機及び/または無機繊維であり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維等の公知のものが使用される。むろんこれらの繊維を組み合わせて使用してもよく、その使用量は一般に成形品の10〜80容量%、好ましくは40〜70容量%である。ロービング繊維強化材が80容量%を超えると樹脂が均一に含浸した成形品を得にくくなり、10容量%を下回ると成形品の機械的強度が低下する。
【0013】
本発明で必要に応じて使用される顔料としては特に制限されないが、例えば有機顔料及び無機顔料を挙げることができ、その使用量は重合硬化性を考慮すると樹脂等100重量部に対して0〜20重量部、好ましくは0〜10重量部である。
【0014】
本発明に使用される光重合開始剤(A)としては、可視光領域に感光性を有するもの及び/または近赤外光領域に感光性を有するものを使用する。可視光が透過し易い配合系では可視光重合開始剤単独及び/または可視光重合開始剤の組み合わせの系でよく、可視光が透過し難い配合系では近赤外光重合開始材単独及び/または可視光重合開始剤の組み合わせの系を使用する。
【0015】
本発明に使用される近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤としては、特に制限されないが、特開平3−111402号公報、特開平3−179003号公報、特開平4−146905号公報、特開平4−261405号公報、特開平4−261406号公報、特開平5−194619号公報等に詳細に記載されている陽イオン染料とホウ素系化合物との組み合わせなどが挙げられる。
【0016】
近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤としては、例えば一般式(2)
D+ ・A- ・・・・・(2)
(式中、D+ は近赤外光領域に感光性を有するメチン、ポリメチン、シアニン、キサンテン、オキサジン、チアジン、アリールメタン、ピリリウム系色素陽イオンであり、A- 各種陰イオンを示す。)
で表される近赤外光領域に吸収を持つ陽イオン染料と、一般式(1)
【化3】
(式中、Z+ は近赤外光領域に感光性を有しない任意の陽イオンを示し、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換シリル基を示す。)
で表されるホウ素系化合物を組合わせた光重合開始剤が好ましい。
陽イオン染料「D+ 」の具体例を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
陽イオン「Z+ 」の例としては、可視光及び近赤外光領域に感光性を有しない4級アンモニウム陽イオン、4級ピリジニウム陽イオン、キノリニウム陽イオン、ジアゾニウム陽イオン、テトラゾリウム陽イオン、ホスホニウム陽イオン、(オキソ)スルホニウム陽イオン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム等の金属陽イオン、フラビリウム、ピラニウム塩等の酸素原子上に陽イオン電荷を持つ(有機)化合物、トロピニウム、シクロプロピリウム等の炭素陽イオン、ヨードニウム等のハロゲン陽イオン、砒素、コバルト、パラジウム、クロム、チタン、スズ、アンチモン等の金属化合物の陽イオン等が挙げられる。
このホウ素化合物は陽イオン染料の色を消色するために組合わせて使用するものであり、陰イオンが同じであっても陽イオンは(D+ )と異なるものを使用することが必要である。
【0019】
一般式(2)で表される陽イオン染料のカウンターアニオンであるA- は、p−トルエンスルホネートイオン、有機カルボキシレートイオン、パークロレートイオン、ハライドイオン等の任意のイオンであるが、一般式(3)
【化4】
(式中、R5 、R6 、R7 及びR8 はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、ハロゲン原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基または置換シリル基を示す。)
で表される4配位ホウ素陰イオンが特に好ましい。
【0020】
上記一般式(2)の陽イオン染料と一般式(1)のホウ素系化合物を併用することで近赤外光によって分解反応が起こり、陽イオン染料の色が消色するとともに重合が開始され、比較的波長が長い近赤外光の高い光透過性のために、従来の紫外領域の光では硬化が困難であった比較的肉厚の成形品あるいは繊維材料、充填材などの入った複合材でもより光硬化することができるようになった。光重合開始剤として使用する陽イオン染料の色は消色反応により無色化されるが、消色反応は不可逆反応であるので陽イオン染料の色が硬化物の色相を損なうことがない。
一般式(2)で示される陽イオン染料と一般式(1)で示されるホウ素系化合物の比率は任意であるが、10/1〜1/50(重量比)の範囲が好ましい。なお硬化反応及び色素の消色反応を効率的に行わせるためには、ホウ素系化合物をやや多く使用することが好ましく、1/1〜1/50(重量比)の範囲が特に好ましい。一般式(2)の陽イオン染料と一般式(1)のホウ素系化合物の比が1/1未満では陽イオン染料の消色反応が完全に行われず、硬化物の色相を損なうことがあり、一方1/50を超える範囲ではホウ素系化合物が折出し、十分な重合反応が行われない。
【0021】
本発明の光重合開始剤として、他の組み合わせに使用される有機ホウ素化合物としては、上記の一般式(1)で表される有機ホウ素化合物と同一である。
そしてこれと組み合わせる酸性化合物としては、例えば一般にブレンステッド酸として知られている無機酸、例えば塩酸、硫酸、硝酸など、あるいは有機酸である酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、アジピン酸、(メタ)アクリル酸、安息香酸、フタル酸類などのカルボン酸類、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類等が挙げられる。またフェノール、アルコール類などの水酸基含有化合物、各種チオール類などのメルカプト基を有する化合物、及びルイス酸として知られる電子対を受け取って共有結合を作り得る物質、例えば塩化アルミニウム、塩化第二スズ、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素などを用いることが出来る。これらの酸については、例えばモリソン・ボイド著「有機化学」第3判3項に詳細な説明がある。
またこれ以外にも酸性イオン交換樹脂、カーボンブラック、アルミナなど固体表面に酸性の活性点を有する物質、あるいは塩化水素、亜硫酸ガスなどの酸性気体化合物も用いることが出来る。
これらの酸性化合物の中で、(無水)マレイン酸、フマル酸、あるいはそれらのハーフェステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸などの重合性不飽和基を有する酸性化合物あるいはそれらの官能基を有するオリゴマーあるいはポリマー類などが好んで用いられる。
【0022】
さらにそのもの自体は酸性物質ではなく、加熱、空気中の水分、酸素などの作用により分解あるいは反応して酸性化合物を発生する化合物も本発明の潜在性酸性化合物に該当する。光照射により分解して酸性化合物を発生する物質も知られており、例えば光カチオン重合開始剤と呼ばれている化合物も本発明の光潜在性酸性化合物に該当する。
光カチオン開始剤は、ジアゾニウム化合物、スルホニウム化合物、ヨードニウム化合物金属錯体化合物など様々な化合物が知られており、「機能材料」1985年10月号5項、「UV・EB硬化技術の応用と市場」シーエムシー社1989年発行78項などに詳細な記述がある。これらの潜在性酸性化合物と呼ぶべき化合物の中では、入手の容易性、経済性、組成物中の安定性、操作性などを勘案すると光あるいは熱によって酸を発生する化合物が望ましい。さらに好ましくは熱によっての酸発生であり、特に加熱により分解して酸を発生する有機スルホニウム化合物が好適である。
この有機スルホニウム化合物は一般に3個の置換基(アルキル基、アリール基など)を有するスルホニウム陽イオン部分と、対イオンである陰イオンとのイオン対から構成されるが、化合物の安定性、酸性化合物の発生能、発生する酸性化合物の酸強度などの観点からスルホニウム塩の置換基の、少なくとも1個が(置換)フェニル基、(置換)ナフチル基などのアリール基であることが望ましい。例えば好ましい化合物としてトリフェニルスルホニウム、ジフェニルスルホニウムなどの陽イオン部分を持つスルホニウム化合物が挙げられる。
開始剤を配合した樹脂組成物の可使時間(ポットライフ)が十分に長い時間必要とされる場合などは、有機ホウ素化合物と酸性化合物が開始剤の配合時に反応の開始が始まるような場合は好ましくないので、潜在性酸性化合物としては熱あるいは光などの刺激によって酸性化合物を用いることが望ましい。
【0023】
また、有機ホウ素化合物と酸性化合物にヘキサアリールビイミダゾール化合物を組み合わせて光照射すると、硬化がより促進され著しい効果が見られる。ヘキサアリールビイミダゾール化合物として具体的には、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−クロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o,p−ジクロロフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール、ビス(2−o−ブロモフェニル−4,5−ジフェニル)イミダゾール等が挙げられる。ヘキサアリールビミダゾール化合物に関して、詳しくは特公昭41−3545に記載がある。
【0024】
有機ホウ素化合物と(潜在性)酸性化合物及び/またヘキサアリールビイミダゾールを組み合わせた重合開始剤の使用量は、樹脂等の種類、繊維材料の種類、量、厚み等によって最適値が異なるが、一般には樹脂等100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部である。重合開始剤組成物の使用量が0.01重量部未満では、重合が不十分になり易く、また20重量部を超える量では経済的に不利な上、硬化物の物性低下などが起こる。
樹脂等が酸性化合物をあらかじめ含有する場合においては、不飽和ポリエステル樹脂あるいはビニルエステル樹脂に含まれる(無水)マレイン酸、フマル酸、あるいはそれらのハーフエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、末端にそれらカルボン酸のカルボキシル基を有するオリゴマー、あるいはポリマーであってもよく、また樹脂等に任意の酸性化合物を添加した形のものであっても良い。この場合、不飽和ポリエステル樹脂またはビニルエステル樹脂としての酸価が0.1〜100mgKOH/g、好ましくは5〜50mgKOH/gである。
【0025】
重合開始剤中の有機ホウ素化合物と(潜在性)酸性化合物の組成比は、重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。有機ホウ素化合物及び/または潜在性酸性化合物がこの比率よりも少なすぎる場合は、十分に硬化ができず、また有機ホウ素化合物及び/または潜在性酸性化合物がこの比率よりも多すぎる場合は、経済的に不利な上、硬化物の物性低下などが起こる。
また、さらに速硬化にするために有機ホウ素化合物と酸性化合物にヘキサアリールビイミダゾールを組み合わせる場合、有機ホウ素化合物/ヘキサアリールビイミダゾール比は、重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。ヘキサアリールビイミダゾールがこの比率よりも少なすぎる場合はその効果が現れず、多すぎる場合は経済的に不利な上、可視光下での可使時間(ポットライフ)が短くなり、硬化物の物性低下などが起こる。
【0026】
可視光領域に感光性を有する可視光重合開始剤としては、例えば山岡ら、「表面」、27(7),548(1989)、佐藤ら、「第3回 ポリマー材料フォーラム要旨集」、IBP18(1994)に記載の、カンファーキノン、ベンジル、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、メチルチオキサントン、ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフルオロフェニル)等の単独の可視光重合開始剤の他、有機過酸化物/色素系、ジフェニルヨードニウム塩/色素、ビイミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカプトベンゾチアゾール/チオピリリウム塩、金属アレーン/シアニン色素など、特公昭45−37377号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール/ラジカル発生剤等の公知の複合開始剤系などを挙げることができる。
また、紫外光から可視光領域まで感光性を有する公知の、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−メチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を使用することもできる。例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:Darocour1173、チバガイギー(株)製)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(チバガイギー(株)製)を75%/25%の割合で混合された商品名イルガキュアー1700(チバガイギー(株)製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO BASF(株)製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:Darocur1173、チバガイギー(株)製)と2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO、BASF(株)製)を50%/50%の割合で混合された商品名:Darocur4265等がある。可視光重合開始剤としては380〜780nmの波長域に感光性を有する光重合開始剤であればよく、それらを組み合わせて使用してもよい。また、有機ホウ素化合物と耐性化合物の組み合わせに可視光及び/または近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤を組み合わせてもよい。
【0027】
前述の近赤外光重合開始剤の組み合わせと同様、可視光領域に感光性を有する光重合開始剤においても、可視光吸収陽イオン染料とホウ素系化合物との組み合わせを光重合開始剤として用いることもできる。その際に用いる可視光吸収陽イオン染料の例としては、陽イオン染料の陽イオン部分として有効な成分の構造を表2に挙げることができる。なおこの場合、陰イオンは、近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤と同様に、p−トルエンスルホネートイオン、有機カルボキシレートイオン、パークロレートイオン、ハライドイオン等の任意のイオンであってもよい。好ましくは4配位ホウ素陰イオンの化合物である。
【0028】
【表2】
【0029】
近赤外光重合開始剤のみを使用して成形する場合、その使用量は樹脂等の種類、強化繊維の種類、量、厚さ等によって最適値が異なるが、一般には樹脂等100重合部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部である。近赤外光重合開始剤の使用量が0.01重量部未満では重合が不十分になり易く、20重合部を越える量では経済的に不利な上、硬化物の物性低下などが起こる。
【0030】
可視光重合開始剤単独及び/または近赤外光重合開始剤の組合わせの系を使用して成形する場合、その使用量は樹脂等の種類、強化繊維の種類、量、厚み等によって最適値が異なるが、一般には樹脂等100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部である。可視光重合開始剤組成物の使用量が0.01重量部未満では重合が不十分になり易く、20重量部を超える量では経済的に不利な上、硬化物の物性低下などが起こる。
可視光重合開始剤に近赤外光重合開始剤を併用する場合、その組成比は重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。
可視光重合開始剤の一例であるヘキサアリールビイミダゾール化合物と水素供与性化合物の複合重合開始剤を使用する場合、その組成比は任意であるが、重量比で1/20〜20/1、好ましくは5/1〜1/5である。
【0031】
近赤外光重合開始剤と可視光重合開始剤と併用する場合、その組成比は重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。
近赤外光重合開始剤と可視光重合開始剤の比が0.1/5未満では、内部の硬化が不十分である。一方、前記比が5/0.1を超える量では、表面の硬化が不十分になる。
【0032】
本発明において、近赤外光とは780〜1200nmの波長領域の光線、可視光とは380〜780nmの波長領域の光線を示す。
本発明の成形方法に使用される光源としては、380〜1200nmの波長領域の光を出す光原であればよく、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、近赤外光ランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、白熱灯、陽光ランプ、太陽光等を使用することができる。また、各種ランプを組み合わせて使用することもできる。
また、より速い硬化速度を得るためにはエネルギー順位の高い短波長の領域の光が有効であるが、樹脂組成物の厚さが厚い時、短波長領域の光を透過しにくいカーボン繊維、アラミド繊維等の繊維強化材や顔料などを使用した場合は、硬化にばらつきが起き易い。この場合には380nm以上の波長で長波長領域に分布の多い光の照射が有効であり、ハロゲンランプ、近赤外光ランプ、赤外ランプ等がある。
【0033】
ランプの照射時間としては、光源の有効波長、出力、照射距離、組成物の厚さ、充填物の量により異なるため、一概に規定できないが、0.01時間以上、好ましくは0.05時間以上すればよい。
【0034】
本発明の、フィラメントワインディング成形方法においては、特殊なワインディング装置、マンドレル等は必要なく、既存のワインディング装置に成形品の厚さ等により目的に合ったランプを設置し、強化繊維と樹脂との含浸槽に遮蔽板を設けるのみでよい。
【0035】
本発明のフィラメントワインディング成形方法においては、可視光及び/または近赤外光に感光性を有する光重合性触媒を配合した樹脂等を含浸した繊維材料に対し、可視光及び/または近赤外光を含む可視光を照射しながらワインディングすることでよく、特別な加熱装置等の付帯設備、あるいは特殊なマンドレル等が不要で、成形品の厚さに関係なく、短時間の硬化による大幅な成形サイクルアップを図ることができ経済性に優れている。また、反応性モノマーの揮発や可使時間の問題が解決でき、各種繊維を充填した組成物においても硬化することが可能であり、使用する光も安全である。
【0036】
【実施例】
以下に示す実施例、比較例により、本発明の内容をより具体的に説明するが、各例中の「部」、「%」は重量基準を示す。また、成形品の硬度、強度については、JIS K−6911に準拠して測定を行い、バーコル硬度は934−1型を使用した。
【0037】
(実施例1)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−802:昭和高分子(株)製]100部に、紫外光から可視光領域まで感光性を有するアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤[商品名イルガキュア−1700:チバガイギ−(株)製、以下I−1700と称す。]:1.0部を混合したものを、ガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]にガラスロービング含有率48vol%となるように含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、380〜1200nmの波長領域を含む光源である2KWメタルハライドランプ[商品名ダイナビーム2:東芝ライテック(株)製:以下ランプ1と称す。]を使用して、1mの距離から光を照射しながら、樹脂を含浸したガラスロービングを平板状のマンドレルに厚さが15mmとなるまで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向となるようにワインディングを行った。ワインディングの時間は40分である。さらにワインディング終了後も引き続き光照射を続けたところ、15分で十分に硬化した。この成形品のバーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は55分であった。その結果を表3に示す。
【0038】
(実施例2)
実施例1において、光重合開始剤を2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール[和光純薬(株)製:以下HABIと略す。]:0.5部、2−メルカプトベンゾチアゾール[和光純薬(株)製:以下MBTと略す。]:0.5部[HABI/MBTの組み合わせ=可視光領域に感光性を有する光重合開始剤]、ガラスロービング含有率49vol%に変更した以外は、実施例1とまったく同様に操作を行ったところワインディング終了後30分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は70分であった。その結果を表3に示す。
【0039】
(実施例3)
実施例1における光重合開始剤を、商品名:ダロキュアー4265:1.0部[チバガイギー(株)製:以下D−4265と称す。]、ガラスロービング含有率50vol%に変更した以外は実施例1と全く同様に操作を行ったところ、ワインディング終了後25分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は65分であった。その結果を表3に示す。
【0040】
(実施例4)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−802:昭和高分子(株)製]100部に、テトラ−n−ブチルアンモニウム・トリフェニル−n−ブチルボレート[昭和電工(株)製:以下P3Bと略す。ホウ素化合物]:0.5部と光/熱潜在性酸発生剤(スルホニウム化合物)[CI−2855:日本曹達(株)製]1.0部を混合したものをガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]にガラスロービング含有率50vol%となるように含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、380〜1200nmの波長領域を含む光源であるランプ1を使用して、1mの距離から光を照射しながら、樹脂を含浸したガラスロービングを平板状のマンドレルに厚さが15mmとなるまで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向となるようにワインディングを行った。ワインディングの時間は40分である。さらにワインディング終了後も引き続き光照射を続けたところ、5分で十分に硬化した。この成形品のバーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は45分であった。その結果を表3に示す。
【0041】
(比較例1)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−802(昭和高分子(株)製)]:100部に光重合開始剤1−1700:1.0部を混合したものを、ガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、樹脂の含浸したガラスロービング含有率49vol%のガラスロービングを平板状のマンドレルに厚さが12mmとなるまで繊維が一方向となるようにワインディングを行った。ワインディング終了後、ランプ1を1mの距離から60分照射したが表面から10mm程度までしか硬化せず、それ以上の深さまでは十分に硬化していなかった。全体としてもバーコル硬度、曲げ強度は実用レベルには達していなかった。
【0042】
(比較例2)
比較例1の光重合開始剤をHABI:0.5部、MBT:0.5部ガラスロービング含有率47vol%に変更した以外は比較例1と全く同様に操作したが、硬化は表面から6mm程度であり、内部はゲル化したが裏面は未硬化であった。バーコル硬度、曲げ強度は測定不能であった。
【0043】
(比較例3)
比較例1の光重合開始剤をD−4265:1.0部、ガラスロービング含有率49vol%に変更した以外は比較例1と全く同様に操作したが、硬化は表面から7mm程度であり、内部はゲル化したが裏面は未硬化であった。バーコル強度、曲げ強度は測定不能であった。
【0044】
(比較例4)
実施例1の光重合開始剤を、過酸化物触媒(中温硬化用)、商品名パークミルH−80[日本油脂(株)製]:1.0部とナフテン酸マンガン(Mn:6%)0.1部を混合したものに変更し、ガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、ガラスロービング含有率約51vol%に樹脂を含浸したガラスロービングを、平板状のマンドレルに厚さが15mmとなるまで繊維が一方向となるようにワインディングを行った。ワインディング終了後、室温で3時間予備硬化させ、その後80℃で1時間加熱硬化させたが、バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度共に十分に発現していなかった。そこで、それをさらに80℃で2時間後硬化したものについてもバーコル硬度、曲げ強度の測定を行ったところ、バーコル硬度、曲げ強度はようやく実施例1のレベルに達した。ワインディング開始から硬化終了(予備硬化時間を除く、後硬化終了まで)までの成形時間は、520分であった。その結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
(実施例5)
ポリエステル樹脂[商品名リゴラック1557:昭和高分子(株)製]:100部に、HABI:0.5部、MBT:0.5部、1−1700:1.0部を混合した樹脂を、ガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]に、含浸させその後十分に余剰樹脂を除き、ガラスロービング含有量が50vol%としたものにランプ1と380〜1200nmの近赤外光領域に主波長分布を持つ光源であるIKWハロゲンランプ[商品名AL−スポットライト:アールディエス(株)製:以下ランプ2と称す。]を、それぞれ1m、50cmの距離で光を照射しながら、樹脂の含浸したガラスロービングを平板状のマンドレルに厚さが20mmとなるまで、マンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向となるようにワイディングを行った。ワインディング終了後、さらに引き続き光照射を続けたところ、20分で硬化が完了した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は80分であった。その結果を表4に示す。
【0047】
(実施例6)
実施例5の光重合開始剤を、1,1,5,5−テトラキス(p−ジフェニルアミノフェニル)−2,4−ペンタジエニル・トリフェニル−n−ブチルボレート[昭和電工(株)製:以下IRBと略す。:近赤外光吸収性陽イオン染料]:0.05部、テトラ−n−ブチルアンモニウム・トリフェニル−n−ブチルボレート[昭和電工(株)製:以下P3Bと略す。ホウ素化合物]:0.25部[IRBとP3Bを組み合わせた近赤外光領域に感光性を有する複合光重合開始剤]、I−1700:1.0部、ガラスロービング含有率49vol%に変更した以外は、実施例4と全く同様に操作したところ、ワインディング終了後30分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は90分であった。その結果を表4に示す。
【0048】
(実施例7)
実施例5の光重合開始剤を、IRB:0.5部、P3B:0.25部、HABI:0.5部、MBT:0.5部、ガラスロービング含有率48vol%に変更した以外は、実施例4と全く同様に操作したところ、ワインディング終了後25分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は85分であった。その結果を表4に示す。
【0049】
(比較例5)
ポリエステル樹脂、商品名リゴラック1557[昭和高分子(株)製]:100部に、HABI:0.5部、MBT:0.5部、I−1700:1.0部を混合したものを、ガラスロービング(4026TX/日東紡(株)製)に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、ガラスロービング含有率約49vol%となるように樹脂の含浸したガラスロービングを、平板状のマンドレルに厚さが20mmとなるまで繊維が一方向となるようにワインディングを行った。ワインディング終了後、ランプ1及びランプ2をそれぞれ1m、50cmの距離で40分照射したところ硬化した。バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例5の2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は100分であった。その結果を表4に示す。
【0050】
(比較例6)
比較例5における光重合開始剤を、IRB:0.05部、P3B:0.25部、1−1700:1.0部、ガラスロービング含有率47vol%に変更した以外は、比較例5と全く同様に操作したところ、ワインディング終了後60分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定した結果、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例6の2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は120分であった。その結果を表4に示す。
【0051】
(比較例7)
比較例5における光重合開始剤を、IRB:0.05部、P3B:0.25部、HABI:0.5部、MBT:0.5部に変更した以外は、比較例5と全く同様に操作したところ、ワインディング終了後50分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例6の2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は110分であった。その結果を表4に示す。
【0052】
(比較例8)
比較例5における光重合開始剤を、過酸化物触媒、商品名パーメックN[日本油脂(株)製]:1.0部とナフテン酸コバルト(Co:6%):0.5部、ガラスロービング含有率51vol%に変更した以外は、比較例5と全く同様に操作を行った。ワインディング終了後、室温で24時間硬化させたが、バーコル硬度、曲げ強度共に十分に発現していなかった。そこで、それをさらに120℃で2時間後硬化したものについてバーコル硬度、曲げ強度の測定を行った結果、バーコル硬度、曲げ強度はようやく実施例5のレベルに達した。ワインディング開始から硬化終了(室温硬化を除く、後硬化終了まで)までの成形時間は、180分であり、ワインディング終了後の全時間は、26時間必要であった。結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
(実施例8)
ポリエステル樹脂、商品名リゴラック2141[昭和高分子(株)製]:100部にIRB:0.05部、P3B:0.25部、I−1700:2.0部、リゴラックカラーRC843グレー[昭和高分子(株)製]:0.5部を混合したものを、ガラスロービング[4026TX/日東紡(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、ガラスロービング含有率が49vol%のものに、ランプ1を用いて1mの距離から光を照射しながら、樹脂の含浸したガラスロービングを平板状のマンドレルにマンドレル回転速度24回転/分で、厚さが10mmとなるまで繊維が一方向になるようにワインディングを行った。さらにワインディング終了後も引き続き光照射を続けたところ、25分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は55分であった。その結果を表5に示す。
【0055】
(比較例9)
ポリエステル樹脂、商品名リゴラック2141[昭和高分子(株)製]:100部にIRB:0.95部、P3B:0.25部、I−1700:2.0部、リゴラックカラーRC843グレー[昭和高分子(株)製]:0.5部を混合したものを、ガラスロービング[4026TX:日東紡(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、ガラスロービング含有率が50vol%となるように樹脂の含浸したガラスロービングを、平板状のマンドレルに厚さが10mmとなるまで繊維が一方向となるようにワインディングを行った。ワインディング終了後、ランプ1を1mの距離で照射したところ40分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例7の約2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は70分であった。その結果を表5に示す。
【0056】
(実施例9)
実施例8における光重合開始剤を、HABI:0.8部、MBT:1.0部、I−1700:2.0部、ガラスロービング含有率50vol%に変更し、更に光照射を、ランプ1及びランプ2をそれぞれ1m、50cmの照射距離に変更した以外は、実施例7と全く同様に操作を行ったところ、ワインディング終了後15分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定した結果、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、裏表の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は、45分であった。その結果を表5に示す。
【0057】
(実施例10)
ポリエステル樹脂、商品名リゴラック2141[昭和高分子(株)製]:100部にIRB:0.1部、P3B:0.5部(近赤外光開始剤)、リゴラックカラーRC843グレー[昭和高分子(株)製]:0.5部を混合したものを、ガラスロービング[4026TX/日東紡(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、ガラスロービング含有率が約49vol%のものに、ランプ1に780nm以下カットフィルターIR−78[富士写真フィルム(株)製]を併用した近赤外光の光源を用いて1mの距離から光を照射しながら、樹脂を含浸したガラスロービングを平板状のマンドレルに、マンドレル回転速度24回転/分で、厚さが10mmとなるまで繊維が一方向になるようにワインディングを行った。さらにワインディング終了後も引き続き光照射を続けたところ、40分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は70分であった。その結果を表5に示す。
【0058】
(比較例10)
比較例9における光重合開始剤を、HABI:0.8部、MBT:1.0部、I−1700:2.0部、ガラスロービング含有率50vol%に変更し、さらに光照射をランプ1及び2を、それぞれ1m、50cmの照射距離に変更した以外は、比較例9と全く同様に操作を行ったところ、ワインディング終了後30分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例9の2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は60分であった。その結果を表5に示す。
【0059】
(比較例11)
比較例9における光重合開始剤を、過酸化物触媒(中温硬化用)[商品名パークミルH−80:日本油脂(株)製]:1.0部とナフテン酸マンガン(Mn:6%)0.1部、ガラスロービング含有率48vol%に変更した以外は、比較例9と全く同様にワインディングを行った。ワインディング終了後、室温でマンドレルを回転させながら3時間予備硬化させ、その後80℃で1時間加熱硬化させたが、バーコル硬度、曲げ強度も測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度共に十分に発現していなかった。そこで、それをさらに80℃で2時間後硬化したものについてもバーコル硬度、曲げ強度の測定を行ったところ、バーコル硬度、曲げ強度はようやく実施例9のレベルに達した。ワインディング開始から硬化終了(予備硬化時間を除く、後硬化終了まで)までの成形時間は210分であった。ワインディング終了後の硬化に必要とする全時間は6時間である。結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
(実施例11)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシH−630:昭和高分子(株)製]:100部に、光重合開始剤IRB:0.1部、P3B:0.5部、I−1700:2.0部を混合したものを、カーボンロービング[商品名トレカT300B:6000−50B:東レ(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、カーボンロービング含有率49vol%のものに、ランプ1及びランプ2をそれぞれ1m、50cmの距離で光を照射しながら、樹脂の含浸したカーボンロービングを平板上のマンドレルに厚さが2mmとなるまでマンドレル回転速度を24回転/分で、繊維が一方向になるようにワインディングを行った。さらにワインディング終了後も引き続き光照射を続けたところ、20分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度の測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は50分であった。その結果を表6に示す。
【0062】
(実施例12)
実施例11における光重合開始剤をHABI:0.8部、MBT:1.0部、I−1700:2.0部、カーボンロービング含有率51vol%に変更した以外は、実施例9と全く同様に操作を行ったところ、ワインディング終了後15分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度の測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は、45分であった。その結果を表6に示す。
【0063】
(比較例12)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシH−630:昭和高分子(株)製]:100部に光重合開始剤IRB:0.1部、P3B:0.5部、1−1700:2.0部を混合したものを、カーボンロービング[商品名トレカT300B:6000−50B:東レ(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、カーボンロービング含有率51vol%とした樹脂含浸カーボンロービングを、平板状のマンドレルに厚さが2mmとなるまでマンドレル回転速度24回転/分で繊維が一方向になるようにワインディングを行った。ワインディング終了後、ランプ1及びランプ2を、それぞれ1m、50cmの距離で、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させながら光を照射したところ40分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例10の2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化カ終了までの成形時間は70分であった。その結果を表6に示す。
【0064】
(比較例13)
比較例12における光重合開始剤を、HABI:0.8部、MBT:1.0部、I−1700:2.0部、カーボンロービング含有率50vol%に変更した以外は、比較例12と全く同様に操作したところ、ワインディング終了後30分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例11の2倍の時間を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は60分であった。その結果を表6に示す。
【0065】
(比較例14)
比較例12における光重合開始剤を、過酸化物触媒、商品名バーメックN[日本油脂(株)製]:1.2部とナフテン酸コバルト(Co:6%):0.5部、カーボンロービング含有率50vol%に変更した以外は、比較例12と全く同様に操作を行った。ワインディング終了後、室温で24時間硬化させたが、バーコル硬度、曲げ強度共には十分に発現していなかった。そこで、それをさらに120℃で2時間後硬化したものについてバーコル硬度、曲げ強度の測定を行ったところ、バーコル硬度、曲げ強度はようやく実施例9のレベルに達した。ワインディング開始から硬化終了(室温硬化を除く、後硬化終了まで)までの成形時間は150分、予備硬化も含めて全体の硬化時間は26時間を必要とした。結果を表6に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
(実施例13)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−808:昭和高分子(株)製]:100部に、IRB:0.1部、P3B:0.5部、I−1700:2.0部を混合したものを、アラミドロービング[商品名テクノーラT−240:帝人(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、アラミドロービング含有率50vol%としたものに、ランプ1及びランプ2を、それぞれ1m、50cmの距離で光を照射しながら、樹脂の含浸したアラミドロービングを平板状のマンドレルに回転速度24回転/分で厚さが3mmとなるまで、繊維が一方向となるようにワインディングを行った。さらにワインディング終了後も引き続き光り照射を続けたところ、ワインディング終了後20分で硬化した。バーコル高度、曲げ強度の測定した結果、バーコル高度、曲げ強度は実用レベルにあり表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は45分であった。その結果を表7に示す。
【0068】
(実施例14)
実施例12における光重合開始剤を、HABI:0.8部、MBT:1.0部、I−1700:2.0部、アラミドロービング含有率49vol%に変更した以外は、実施例11と全く同様に操作したところ、ワインディング終了後25分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度の測定した結果、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかった。ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は50分であった。その結果を表7に示す。
【0069】
(比較例15)
ビニルエステル樹脂[商品名リポキシR−808:昭和高分子(株)製]:100部に、IRB:0.1部、P3B:0.5部、I−1700:2.0部を混合したものを、アラミドロービング[商品名テクノーラT−240:帝人(株)製]に含浸させ、その後十分に余剰樹脂を除き、アラミドロービング含有率48vol%とした樹脂含浸アラミドロービングを、平板状のマンドレルに回転速度24回転/分で厚さが3mmとなるまで、繊維が一方向になるようにワインディングを行った。ワインディング終了後、ランプ1及び2をそれぞれ1m、50cmの距離で、マンドレルを回転速度24回転/分で回転させながら光を照射したところ40分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定した結果、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例12の2倍を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は65分であった。その結果を表7に示す。
【0070】
(比較例16)
比較例15における光重合開始剤を、HABI:0.8部、MBT:1.0部、I−1700:2.0部、アラミドロービング含有率50vol%にした以外は、比較例15と全く同様に操作を行ったところ45分で硬化した。バーコル硬度、曲げ強度を測定したところ、バーコル硬度、曲げ強度は実用レベルにあり、表裏の差は全くなかったが、硬化時間は実施例13の約2倍を要し、ワインディング開始から硬化終了までの成形時間は70分であった。その結果を表7に示す。
【0071】
(比較例17)
比較例15における光重合開始剤を、過酸化物触媒、商品名バーメックN[日本油脂(株)製]:1.2部とナフテン酸コバルト(Co:6%):0.5部、アラミドロービング含有率49vol%に変更した以外は、比較例15と全く同様に操作を行った。ワインディング終了後、室温で24時間硬化させたが、バーコル硬度、曲げ強度共には十分に発現していなかった。そこで、それをさらに120℃で2時間後硬化したのもについてバーコル硬度、曲げ強度の測定を行ったところ、バーコル硬度、曲げ強度はようやく実施例12のレベルに達した。ワインディング開始から硬化終了まで(室温硬化を除く、後硬化終了まで)までの成形時間は、145分、予備硬化を含め全硬化時間は26時間を必要とした。結果を表7に示す。
【0072】
【表7】
【0073】
【発明の効果】
本発明のフィラメントワインディング成形方法においては、可視光及び/または近赤外光に感光性を有する光重合性触媒を配合した樹脂等を含浸させた繊維材料を使用して、ワインデイングを行いながら樹脂含浸繊維材料に可視光及び/または近赤外光を含む光を照射することにより、特殊な加熱装置等の付帯設備、あるいは特殊なマンドレル等を必要とせずに成形が可能である。
さらに従来のワインディング終了後に硬化させる成形方法に比較して、ワインディング終了後の硬化時間を大幅に短縮することが可能となり、大幅な成形サイクルアップをすることができ経済性に優れている。
さらに、可視光及び/または近赤外光開始剤での光硬化においては、硬化可能な成形品の厚さには限界があったが、本成形方法では厚さに関係なく、また、各種繊維、顔料等を充填した組成物においても硬化することが可能であり、硬化反応においての反応性モノマーの揮発や可使時間(ポットライフ)の問題が解決でき、使用する光も紫外線とは異なり作業者にとって安全な光源であるなど極めて優れたフィラメントワインディング成形方法である。
【表1】
【表1】
Claims (5)
- 下記一般式(1)で示される有機ホウ素化合物と酸性化合物の組み合わせ、またはこの組み合わせにさらにヘキサアリールビイミダゾール化合物を組み合わせた光重合開始剤(A)を含有する不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニルエステル樹脂(B)を繊維材料(C)に含浸させ、可視光及び/または近赤外光領域を含む光の照射を行いながらワインディングを行うことを特長とするフィラメントワインディング成形方法。
- 光重合開始剤(A)が、可視光及び/または近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤である請求項1に記載のフィラメントワインディング成形方法。
- ワインディング終了後、さらに可視光および/または近赤外光領域を含む光を照射することを特徴とする請求項1または2に記載のフィラメントワインディング成形方法。
- 繊維材料(C)が、ガラス繊維、カーボン繊維及びアラミド繊維の少なくとも1種からなる繊維材料である請求項1に記載のフィラメントワインディング成形方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の成形方法によって製造されたフィラメントワインディング成形体。
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