JP2003286355A - 硬化性プリプレグシート及びその製造方法と硬化方法 - Google Patents

硬化性プリプレグシート及びその製造方法と硬化方法

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JP2003286355A
JP2003286355A JP2002090909A JP2002090909A JP2003286355A JP 2003286355 A JP2003286355 A JP 2003286355A JP 2002090909 A JP2002090909 A JP 2002090909A JP 2002090909 A JP2002090909 A JP 2002090909A JP 2003286355 A JP2003286355 A JP 2003286355A
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Kenji Miura
賢治 三浦
Tomio Yamamoto
富生 山本
Kazuo Otani
和男 大谷
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Showa Highpolymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プリプレグシートを光硬化後、防汚性や耐候性
を付与するための最終塗装をする工程を必要とせず、且
つ、廃棄物も少なくする硬化性プリプレグシート及びそ
の製造方法と硬化方法を提供する。 【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/また
はビニルエステル樹脂100重量部および(B)紫外光
領域から近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤
0.01〜10重量部を含有する組成物を、熱可塑性プ
ラスチックフィルムを接着したシート状の繊維強化材に
含浸し、Bステージまで予備重合させた硬化性プリプレ
グシートおよび、これに可視光領域の光を照射し、硬化
後の表面に熱可塑性プラスチックフィルムを残す硬化方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FRP成形,建築
・土木分野等における構造物の補修,補強,防水等に使
用する樹脂と繊維強化材及び/または充填材からなる成
形用のシート状,ロール状,管状,筒状等、各種形状の
硬化性プリプレグシート及びその製造方法と硬化方法に
関する。
【0002】
【従来技術】強度を必要とする成形品,建造物の構造材
などに使用する強化繊維プラスチック(以下、FRPと
いう。)としては、ガラス繊維,カーボン繊維等の無機
質または有機質の補強材とエポキシ樹脂,不飽和ポリエ
ステル樹脂,ビニルエステル樹脂(エポキシアクリレー
ト樹脂ともいう)などの、いわゆる熱硬化性樹脂を組み
合わせたものが使用されている。屋上,ベランダ,駐車
場,廊下,プールなどの土木建築物のコンクリートやモ
ルタルなどの上に防水被覆体として使用する防水材を例
にとると、求められる特性としては、土木建築物の振動
や落下物の衝撃に耐え、下地コンクリートやモルタルの
亀裂に十分追従し、耐アルカリ性を有し、下地との高い
接着性を有することが挙げられる。従来、コンクリート
やモルタルのライニング材としてアスファルトやウレタ
ン樹脂が用いられていたが十分でなく、近年では不飽和
ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂で柔軟性を有す
るものと繊維強化材を組み合わせたFRP工法がよく用
いられている。
【0003】しかし、不飽和ポリエステル樹脂やビニル
エステル樹脂を用いてライニング施工などをする場合、
通常、過酸化物触媒による常温硬化が行われ、完全に硬
化するまで長時間を要する。硬化に時間がかかりすぎる
と作業性が低下するばかりか、揮発性を有する反応性モ
ノマ−(スチレンモノマ−など)が揮発するため、作業
現場の大気汚染を招き、樹脂組成物の配合比率の変化に
よる性能の低下、樹脂量の損失と引火等の危険性を招
く。また、直接過酸化物触媒を取り扱うため爆発などの
危険を常に伴い、現実そのような事故も発生している。
更に、現場で過酸化物触媒をスポイトで量り樹脂に混合
するといった煩雑な操作を伴い、また温度によりゲル化
時間が大きく異なるため、触媒量の加減が難しく、可使
時間の調整に失敗するトラブルが多い。
【0004】これらの欠点を解決する手段として、樹脂
中の揮発性モノマーを他の高沸点化合物に置き換えるな
どして、現場の大気汚染や硬化性の改良がなされている
が、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂系の
過酸化物触媒による常温硬化系の完全に硬化するまで長
時間を要するという問題点や直接過酸化物触媒を取り扱
うことによる危険性、過酸化物触媒添加操作の煩雑さ、
可使時間の調整が難しいといった問題は解決されていな
い。その様な問題を解決するため、特開平10−716
61号公報に見られるように、不飽和ポリエステル樹脂
をガラス繊維等に含浸させたものを予備重合(Bステー
ジ化)した光硬化型のプリプレグシートがあるが、硬化
後に表面のフィルムを剥がして完成とするため、防汚性
や耐候性を付与するために最終塗装をする工程が必要で
あり、また、廃棄物が出るという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした現
状に鑑み、プリプレグシートを光硬化後、防汚性や耐候
性を付与するための最終塗装をする工程を必要とせず、
且つ、廃棄物も少なくする硬化性プリプレグシート及び
その製造方法と硬化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは以上の如き課
題を有する硬化性プリプレグシート及びその製造方法と
硬化方法について鋭意検討した結果、不飽和ポリエステ
ル樹脂やビニルエステル樹脂と紫外光領域から近赤外光
領域に感光性を有する光重合開始剤を含有する組成物を
熱可塑性プラスチックフィルムを接着したシート状の繊
維強化材に含浸し、Bステージまで予備重合させること
により製造した硬化性プリプレグシートが上記目的に適
うものであることを見出し、本発明に到達した。
【0007】即ち本発明は以下の硬化性プリプレグシー
ト及びその製造方法と硬化方法を提供するものである。 1.(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニル
エステル樹脂100重量部および(B)紫外光領域から
近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤0.01〜
10重量部を含有する組成物を、熱可塑性プラスチック
フィルムを接着したシート状の繊維強化材に含浸し、B
ステージまで予備重合させたものであることを特徴とす
る硬化性プリプレグシート。 2.(B)の光重合開始剤が少なくとも2種であり、
(A)の樹脂および(B)の光重合開始剤を含有する組
成物を、熱可塑性プラスチックフィルムを接着したシー
ト状の繊維強化材に含浸し、(A)の樹脂中のラジカル
重合性不飽和基の一部を重合させると共に、少なくとも
1種の光重合開始剤およびラジカル重合性不飽和基の一
部が残存するような波長の光で処理したものである上記
1の硬化性プリプレグシート。 3.光重合開始剤が、500nm以上の波長の可視光あ
るいは近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤と、
500nm未満の可視光および/または紫外光領域に感
光性を有する光重合開始剤の組み合わせである上記2の
硬化性プリプレグシート。 4.熱可塑性プラスチックフィルムと反対側の面が、剥
がすことのできるフィルムで被覆されたものである上記
1〜3の何れかの硬化性プリプレグシート。 5.ロール状に巻き取られた形状を有する上記1〜4の
いずれかの硬化性プリプレグシート。 6.(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/またはビニル
エステル樹脂100重量部および(B)紫外光領域から
近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤0.01〜
10重量部を含有する組成物を、熱可塑性プラスチック
フィルムを接着したシート状の繊維強化材に含浸した
後、可視光及び/または近赤外光の照射によりBステー
ジまで予備重合することを特徴とする硬化性プリプレグ
シートの製造方法。 7.上記1〜5のいずれかの硬化性プリプレグシートに
可視光領域の光を照射し、硬化後の表面に熱可塑性プラ
スチックフィルムを残すことを特徴とする硬化性プリプ
レグシートの硬化方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において(A)成分として
不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂(以下、
両樹脂を併せて樹脂等と呼ぶこともある)が使用され
る。不飽和ポリエステル樹脂の原料として用いられる不
飽和ポリエステルは、公知の方法により製造されるもの
でよく、具体的には無水フタル酸,イソフタル酸,テレ
フタル酸,テトラヒドロフタル酸,アジピン酸,セバチ
ン酸等の重合性不飽和結合を有していない飽和多塩基酸
またはその無水物とフマル酸,無水マレイン酸,マレイ
ン酸,イタコン酸等の活性不飽和結合を有している不飽
和多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチ
レングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレング
リコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ブタンジ
オ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジ
オ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,
3−プロパンジオ−ル、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジオ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノ−
ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物、ビ
スフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等の多価
アルコ−ルをアルコ−ル成分として反応させて製造され
るものである。
【0009】またビニルエステル樹脂としては、公知方
法により製造されるものであってよく、エポキシ樹脂に
不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸
を反応させて得られる樹脂、あるいは飽和ジカルボン酸
及び/または不飽和ジカルボン酸と多価アルコ−ルから
得られる末端カルボキシル基の飽和ポリエステルまたは
不飽和ポリエステルとα,β−不飽和カルボン酸エステ
ル基を含有するエポキシ化合物を反応させて得られる樹
脂が挙げられる。原料としてのエポキシ樹脂としては、
ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル及びその高分子
量同族体,ノボラック型ポリグリシジルエ−テル類等が
挙げられる。
【0010】末端カルボキシル基の飽和ポリエステルに
用いる飽和ジカルボン酸としては、活性不飽和基を有し
ていないジカルボン酸、例えばフタル酸,イソフタル
酸,テレフタル酸,テトラヒドロフタル酸,アジピン
酸,セバチン酸等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸と
しては、活性不飽和基を有しているジカルボン酸、例え
ばフマル酸,マレイン酸,無水マレイン酸,イタコン酸
等が挙げられる。多価アルコ−ル成分としては、例えば
エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレ
ングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,2−ブタ
ンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタ
ンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−
1,3−プロパンジオ−ル、2,2−ジメチル−1,3
−プロパンジオ−ル、シクロヘキサン−1,4−ジメタ
ノ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加
物、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物等
の多価アルコールが挙げられる。ビニルエステルの製造
に用いるα、β−不飽和カルボン酸エステル基を含有す
るエポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレ−ト
が代表例として挙げられる。
【0011】(A)成分の樹脂等に用いられる不飽和ポ
リエステルおよびビニルエステルは、不飽和度の比較的
高いものが好ましく、不飽和基当量(不飽和基1個当た
りの分子量)が100〜800程度のものが好適であ
る。不飽和基当量が100未満のものでは(A)成分に
適う樹脂等が合成できない。また、不飽和基当量が80
0を超えると高硬度の硬化物が得られない。
【0012】本発明において使用される不飽和ポリエス
テル樹脂やビニルエステル樹脂は、前記の不飽和ポリエ
ステルやビニルエステルに、スチレンモノマ−に代表さ
れる不飽和基を有するモノマーを配合したものである。
(A)成分に配合される不飽和基を有するモノマーは、
複合材料を製造する際に繊維強化材及びフィラ−との混
練性,含浸性を高め、かつ成形製品の硬度,強度,耐薬
品性,耐水性等を向上させるために重要であり、不飽和
ポリエステルあるいはビニルエステル100重量部に対
して10〜250重量部、好ましくは20〜100重量
部使用される。使用量が10重量部未満では、高粘度の
ため成形が困難となり、250重量部を超える量では、
高硬度の製品が得られず、耐熱性が不足し、FRP材料
として好ましくない。スチレンモノマ−以外の不飽和基
を有するモノマーとしては、クロルスチレン,ビニルト
ルエン,ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、メ
チル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)アクリレー
ト、n―ブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコ
−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の(メタ)アクリロイル
基を有する重合性モノマ−などがあり、本発明の主旨を
損なわない範囲でスチレンモノマ−に代替し、使用する
ことも可能である。
【0013】本発明において(B)成分として紫外光領
域から近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤が使
用される。この(B)成分のうち、500nm以上の波
長の可視光領域あるいは近赤外光領域に感光性を有する
光重合開始剤としては、一般式(1) D+ ・A- ・・・(1) 〔D+ は可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有する
メチン,ポリメチン,シアニン,キサンテン,オキサジ
ン,チアジン,アリールメタン及びピリリウム系色素陽
イオンのうちの少なくとも1種であり、A- は各種陰イ
オンを示す。〕で表される近赤外光領域に吸収をもつ陽
イオン染料と、一般式(2)
【0014】
【化1】
【0015】〔Z+ は任意の陽イオンを示し、R1 ,R
2 ,R3 及びR4 はそれぞれ独立してアルキル基, アリ
ール基, アシル基, アラルキル基, アルケニル基, アル
キニル基, シリル基, 複素環基, ハロゲン原子, 置換ア
ルキル基, 置換アリール基, 置換アシル基, 置換アラル
キル基, 置換アルケニル基, 置換アルキニル基,置換シ
リル基または置換複素環基を示す。〕で表される有機ホ
ウ素化合物(増感剤)を組み合わせた光重合開始剤が好
ましい。
【0016】また、一般式(2)における陽イオン「Z
+ 」の例としては、可視光領域あるいは近赤外光領域に
感光性を有しない4級アンモニウム陽イオン,4級ピリ
ジニウム陽イオン,4級キノリニウム陽イオン,ジアゾ
ニウム陽イオン,テトラゾリウム陽イオン,スルホニウ
ム陽イオン,オキソスルホニウム陽イオン,ナトリウ
ム,カリウム,リチウム,マグネシウム,カルシウム等
の金属陽イオン、フラビリウム,ピラニウム塩等の酸素
原子上に陽イオン電荷を持つ(有機)化合物、トロピリ
ウム,シクロプロピリウム等の炭素陽イオン、ヨードニ
ウム等のハロゲニウム陽イオン、砒素,コバルト,パラ
ジウム,クロム,チタン,スズ,アンチモン等の金属化
合物の陽イオン等が挙げられる。
【0017】このように有機ホウ素化合物と可視光領域
あるいは近赤外光領域に感光波長を有するカチオン色素
とを組み合わせることによって、感光領域の波長の光照
射を受けた色素が励起され、有機ホウ素化合物と電子授
受を行うことで色素が消色すると共にラジカルが発生
し、共存する重合性不飽和化合物の重合反応が起こる。
この重合反応では、従来の紫外線重合反応などと異な
り、発生ラジカルをコントロールしやすく、樹脂中の不
飽和基の一部をラジカル重合したところで容易に止める
ことが出来る。また、可視光領域あるいは近赤外光領域
の長波長を使用するため、充填材や顔料など添加された
系でも容易に反応を進めることができるという特徴を持
っている。上記陽イオン染料とホウ素系化合物との組み
合わせの例については、特開平3−111402号公
報,特開平3−179003号公報,特開平4−146
905号公報,特開平4−261405号公報,特開平
4−261406号公報,特開平5−194619号公
報などに詳細な記載がある。
【0018】陽イオン染料の「D+ 」の具体例を第1表
及び第2表に示す。これらの陽イオン染料の中でも好ま
しくはシアニン系、スチリル系陽イオン染料及びトリア
リールメタン系染料が使用される。シアニン系、スチリ
ル系陽イオン染料は、一般に有機ホウ素系化合物との電
子授受が起こりやすいので本発明の反応を容易に起こし
やすいなどの点で好ましい。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】一般式(1)で表される陽イオン染料のカ
ウンターアニオンであるA- は、p−トルエンスルホネ
ートイオン,有機カルボキシレートイオン,パークロレ
ートイオン,ハライドイオン等の任意の陰イオンである
が、一般式(3)
【0024】
【化2】
【0025】〔R5 ,R6 ,R7 及びR8 は、それぞれ
独立してアルキル基,アリール基,アシル基,アラルキ
ル基,アルケニル基,アルキニル基,シリル基,複素環
基,ハロゲン原子,置換アルキル基,置換アリール基,
置換アシル基,置換アラルキル基,置換アルケニル基,
置換アルキニル基,置換シリル基または置換複素環基を
示す。〕で表される4配位ホウ素陰イオンが特に好まし
い。
【0026】本発明の有機ホウ素化合物と近赤外光ある
いは可視光吸収性陽イオン染料化合物との組成比は、重
量で1/5〜1/0.05、好ましくは1/1〜1/
0.1である。色素の消色反応及びラジカル発生効率の
観点から、一般には有機ホウ素化合物を陽イオン染料よ
りも多く用いることが好ましい。
【0027】可視光領域に感光性を有する可視光重合開
始剤としては、例えば山岡等、「表面」、27(7)、
548(1989)、佐藤等、「第3回ポリマー材料フ
ォーラム要旨集」、IBP18(1994)に記載の、
カンファーキノン,ベンジルトリメチルベンゾイルジフ
ェニルフォスフィンオキサイド,メチルチオキサント
ン,ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ(ペンタフ
ルオロフェニル)等の単独の可視光重合開始剤の他、有
機過酸化物/色素系,ジフェニルヨードニウム塩/色
素,イミダゾール/ケト化合物,ヘキサアリールビイミ
ダゾール化合物/水素供与性化合物,メルカプトベンゾ
チアゾール/チオピリリウム塩,金属アレーン/シアニ
ン色素など特公昭45―37377号公報に記載のヘキ
サアリールビイミダゾール/ラジカル発生剤等の公知の
複合開始剤系などを挙げることができる。
【0028】また、紫外光領域から可視光領域まで感光
性を有する開始剤として、アシルホスフィンオキサイド
化合物が有効である。その具体例としては、ビス(2,
6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサ
イド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−
ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6
−ジクロルベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフ
ィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)
−4−ビフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6
−ジクロルベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフ
ィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)
−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−
ジクロルベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサ
イド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−クロ
ルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジク
ロルベンゾイル)−2,2−ジメトキシフェニルホスフ
ィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)
−ドデシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジク
ロルベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオ
キサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)
−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビ
ス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベン
ゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサ
イド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメト
キシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオ
キサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,
5−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル
−1−ナフトイル)−4−ビフェニルホスフィンオキサ
イド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エト
キシビフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチ
ル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサ
イド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロ
ピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル
−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフ
ィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)
−4−メトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−ト
リメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,6−ジフェニルベンゾイル−ジフェニルホスフ
ィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル−ジフ
ェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラ
メチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、
2,6−ジクロルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオ
キサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェ
ニルホスフィンオキサイド、2−フェニル−6−メチル
ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2,6
−ジブロムベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,8−ジメチルナフタリン−1−カルボニル−ジ
フェニルホスフィンオキサイド、1,3−ジメトキシナ
フタリン−2−カルボニル−ジフェニルホスフィンオキ
サイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニル
ホスフィン酸メチルエステル、2,6−ジメチルベンゾ
イル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,6−
ジクロルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエス
テルなどを挙げることができる。
【0029】具体的には、例えば2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:D
arocur1173、チバスペシャルティーケミカル
ズ(株)製)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)
−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイ
ド(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)を75
%/25%の割合で混合された商品名イルガキュア−1
700(チバスペシャルティーケミカルズ(株)製)、
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルーケトン
(商品名:イルガキュアー184、チバスペシャルティ
ーケミカルズ(株)製)とビス(2,6−ジメトキシベ
ンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィ
ンオキサイド(チバスペシャルティーケミカルズ(株)
製)を75%/25%の割合で混合された商品名イルガ
キュアー1800(チバスペシャルティーケミカルズ
(株)製)、50%/50%の割合で混合された商品名
イルガキュアー1850(チバスペシャルティーケミカ
ルズ(株)製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾ
イル)−フェニルホスフィンオキサイド(商品名:イル
ガキュアー819、チバスペシャルティーケミカルズ
(株)製)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフ
ェニルホスフィンオキサイド(商品名:Lucirin
TPO、BASF(株)製)、2−ヒドロキシ−2−
メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:D
arocur1173、チバスペシャルティーケミカル
ズ(株)製)と2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジ
フェニルホスフィンオキサイド(商品名:Luciri
n TPO、BASF(株)製)を50%/50%の割
合で混合された商品名:Darocur4265等があ
る。
【0030】可視光開始剤としては380nm〜780
nmの波長域に感光性を有する光重合開始剤であればよ
く、それらを組み合わせて使用してもよい。また、紫外
線重合開始剤としては、前記の(ビス)アシルホスフィ
ンオキサイド系重合開始剤の他,アセトフェノン系,ベ
ンジルケタール系,を始めとする公知の重合開始剤を使
用することができるが、短波長の紫外線ではFRP構成
での光透過性が低いことから、比較的長波長、好ましく
は300nm以上の波長域に感光性を有する(ビス)ア
シルホスフィンオキサイド系の重合開始剤を使用するこ
とが好ましい。
【0031】本発明では熱重合開始剤を併用しても良
い。この場合、プリプレグシートは、熱硬化性の機能を
備えた光硬化性プリプレグシートにしても良いし、加熱
により最終硬化させる熱硬化性プリプレグシートにして
も良い。この熱重合開始剤は、加熱によりラジカルを発
生する有機過酸化物触媒、アゾ化合物などであり、例え
ばベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジターシャリーブ
チルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−
2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、
3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒ
ドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミ
ルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビ
ス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカー
ボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘ
キサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド
などが使用できる。保存安定性が良好でジクミルパーオ
キサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、t−
ブチルハイドロパーオキサイドなどは特に有効である。
【0032】光硬化性プリプレグシートの場合、紫外光
領域から近赤外光領域に感光性を有する少なくとも2種
の光重合開始剤の使用量は、樹脂等100重量部に対し
て0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重
量部である。光重合開始剤の使用量が0.01重量部未
満では増粘反応や増粘後の重合が不十分になり易く、ま
た20重量部を越える量では硬化物の強度が不足する。
Bステージ化反応用の光重合開始剤とBステージ化物を
本硬化させる光重合開始剤とを併用する場合、その組成
比は、重量比で0.1/5〜5/0.1、好ましくは
0.5/5〜5/0.5である。Bステージ化用光重合
開始剤と本硬化用光重合開始剤の比が0.1/5未満で
は、光硬化性プリプレグ組成物にBステージ化用光重合
開始剤の感光波長の光照射をしても増粘反応が進まない
場合があり、一方、Bステージ化用光重合開始剤と本硬
化用光重合開始剤の比が5/0.1を越える量では増粘
反応が進みすぎてしまう場合がある。
【0033】熱硬化性プリプレグシートの場合、紫外光
領域から近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤と
熱重合開始剤の合計の使用量は、樹脂等100重量部に
対して0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜1
5重量部である。光重合開始剤組成物のその使用量が
0.01重量部未満では増粘反応や増粘後の重合が不十
分になり易く、また20重量部を越える量では硬化物の
強度が不足する。Bステージ化反応用の光重合開始剤と
Bステージ化物を本硬化させる熱重合開始剤とを併用す
る場合、その組成比は、重量比で0.1/5〜5/0.
1、好ましくは0.5/5〜5/0.5である。Bステ
ージ化用光重合開始剤と本硬化用熱重合開始剤の比が
0.1/5未満では、熱硬化性プリプレグにBステージ
化用光重合開始剤の感光波長の光照射をしても増粘反応
が進まない場合があり、一方、Bステージ化用光重合開
始剤と本硬化用熱重合開始剤の比が5/0.1を越える
量では増粘反応が進みすぎてしまう場合がある。
【0034】本発明で使用される熱可塑性プラスチック
フィルムに接着するシート状の繊維強化材における熱可
塑性プラスチックフィルムとしては、ビニロンフィル
ム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレ
ンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエステルフィル
ム、ポリウレタンフィルム等が挙げられる。これらの熱
可塑性プラスチックフィルムに接着するシート状の繊維
強化材は、有機繊維や無機繊維の何れでも良く、例えば
ガラス繊維,炭素繊維,アラミド繊維,ポリエチレンテ
レフタレート繊維,ビニロン繊維,ポリエステル繊維,
アミド繊維,金属繊維,セラミック繊維等の公知のもの
が使用され、マット,クロス,不織布などの形状のもの
であってよい。むろんこれらの繊維を二種以上組み合わ
せて使用してもよい。また、これらの繊維強化材は、市
販されているものを使用しても良いし、例えば熱可塑性
プラスチックフィルムを繊維強化材に熱融着したものを
使用しても良い。また、これらの繊維強化材を更に積層
しても良い。
【0035】また、本発明の硬化性プリプレグシートに
は充填材を添加してもよい。使用される充填材は、無機
質フィラー,有機質フィラーまたはポリマーであり、無
機質フィラーとしては、例えば水酸化アルミニウム,炭
酸カルシウム,タルク,クレー,ガラス粉,シリカ,硫
酸バリウム,酸化チタン,セメントなどの公知のものが
使用されるが、硬化性プリプレグシートに難燃性を付与
する場合は、水酸化アルミニウムが有効である。また、
水酸化アルミニウム以外に、ハロゲン系,リン系などの
公知の難燃剤を使用することができる。勿論、これらの
無機質フィラーを組み合わせて使用することもできる。
充填材の使用量は、樹脂100重量部に対して1〜30
0重量部、好ましくは100〜200重量部である。充
填材が300重量部より多い場合、粘度が高すぎて作業
性が低下し、泡が残りやすく強度が低下する。さらに本
発明では、公知の方法で揺変性を付与してもよく、揺変
剤としては、例えばシリカパウダー(エアロジルタイ
プ)、マイカパウダー、炭酸カルシウムパウダーなどを
重合性不飽和化合物100重量部に対して0.1〜50
重量部添加する方法などがある。
【0036】この他、本発明の硬化性プリプレグシート
に配合できる有機充填材またはポリマーとしては、低収
縮剤としても効果のあることが知られているポリスチレ
ン,ポリ酢酸ビニル,ポリメチルメタクリレート,ポリ
エチレン,ポリ塩化ビニリデンマイクロバルーン,ポリ
アクリロニトリルマイクロバルーン等が使用できる。低
収縮剤として使用する場合のその使用量は樹脂100重
量部に対して0〜40重量部、好ましくは0〜30重量
部である。低収縮剤の使用量が40重量部を越える量で
は、粘度が高くなりすぎて成形性が低下すると共に、硬
化物表面の平滑性、耐熱性が低下する。また、本発明に
おいて顔料を使用することができる。その種類の制限は
特になく、有機顔料及び無機顔料が使用可能である。そ
の時の配合量は、樹脂100重量部に対し、多くとも2
0重量部、好ましくは10重量部までの量である。
【0037】本発明のプリプレグシートに配合できる紫
外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系,サリチル酸エ
ステル系,ベンゾトリアゾール系,ベンゾエート系,シ
アノアクリレート系などの公知のものを使用することが
出来る。具体的には、ベンゾフェノン系として2,4−
ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、2,2' −ジ−ヒドロキ
シ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2' −ジ−ヒド
ロキシ−4,4' −メトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−o−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2,
2' −ジ−ヒドロキシ−4,4' −ジメトキシ−5,
5' −ジスルホベンゾフェノン−ジ−ソジウム、2−ヒ
ドロキシ−4(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)
プロポキシベンゾフェノン、サリチル酸エステル系とし
てフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリ
シレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾ
トリアゾール系として2(2' −ヒドロキシ−5' −メ
チルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2' −ヒドロ
キシ−3' ,5' −ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2(2' −ヒドロキシ−3' −t−ブチル
−5' −メチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾ
ール、2(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−t−ブ
チルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2
(2' −ヒドロキシ−3' ,5' −ジ−t−アミルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2(2' −ヒドロキシ−
5' −t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
(2' −ヒドロキシ−5' −t−オクチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール、ベンゾエート系として2' ,4' −
ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンゾエート、シアノアクリレート系とし
てエチル−2−シアノ−3,5−ジフェニルアクリレー
トなどが挙げられる。
【0038】紫外線吸収剤の使用量は樹脂100重量部
に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜2
重量部である。紫外線吸収剤の使用量が5重量部を越え
る量では、物性低下を招き、0.01重量部より少ない
と紫外線吸収剤としての効果が現れない。また、これら
の紫外線吸収剤に、ラジカル例えばアルキルラジカルや
過酸化物ラジカルを捕獲し安定化する公知のヒンダード
アミン系の安定剤を併用することもできる。公知のもの
としてはヒンダードされたピペリジン環を持った構造の
ものが一般的である。
【0039】本発明において光硬化性プリプレグシート
の場合、透明なフィルムを使用した上に、さらに遮光の
ためのフィルムを併用することが望ましい。この場合、
光を完全に遮断するフィルムでも良いが、作業上肉眼で
下地が見えるセロハンや着色フィルムなどのプリプレグ
中に存在する光重合開始剤の感光波長域の光をできるだ
け通さないフィルムが望ましい。
【0040】本発明において、紫外光とは280〜38
0nm、可視光とは380〜780nm、近赤外光と
は、780〜1200nmの波長領域の光線を指す。ま
た、初期原料材料状のプレポリマーをAステージと云う
のに対して、さらに反応を段階的に進めて分子量や溶融
粘度を上昇させた段階をBステージ、最終硬化させた段
階をCステージと云う。本発明において、樹脂等のBス
テージ化反応のプリプレグシートの製造に使用される光
源としては、光重合開始剤の感光波長域に分光分布を有
する光源であれば良く、例えば近赤外ランプ,ナトリウ
ムランプ,ハロゲンランプ,蛍光灯,メタルハライドラ
ンプなどを使用することができる。また、これらのラン
プあるいは広い波長域の光を光源に波長カットフィルタ
ーを組み合わせてBステージ化に必要な波長を選択して
照射することもできる。Bステージ化反応に使用する波
長は、エネルギーレベルの低い長波長側の光が望まし
く、特に近赤外光を使用するとBステージ化反応を制御
しやすい。
【0041】Bステージ化するためのランプの照射時間
としては、光源の有効波長域,出力,照射距離,組成物
の厚さ等が異なるため一概に規定できないが、0.01
時間以上、好ましくは0.05時間以上照射すればよ
い。このようにして製造された本発明の硬化性プリプレ
グシートは、光硬化性プリプレグシートでは残存する光
重合開始剤により光照射により速やかに本硬化でき、熱
硬化性プリプレグシートでは残存する熱重合開始剤によ
り加熱することにより速やかに硬化できる。硬化性プリ
プレグシートの本硬化に使用できる光源としては、残存
する光重合開始剤の感光波長域に分光分布を有する光源
であればよく、例えば太陽光,メタルハライドランプ,
ハロゲンランプ,紫外線ランプなどがある。
【0042】
【実施例】次に実施例および比較例により、本発明の内
容を具体的に説明する。なお、各例中の「部」は重量基
準を示す。
【0043】実施例1 ビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)製、商品名:リ
ポキシR−802)100部に第1表の番号3に示す
1,1,5,5−テトラキス(p−ジエチルアミノフェ
ニル)−2,4−ペンタジエニル・トリフェニル−n−
ブチルボレート(昭和電工製:以下、IRBと略す。近
赤外光吸収性陽イオン染料)0.03部とテトラ−n−
ブチルアンモニウム・トリフェニル−n−ブチルボレー
ト(昭和電工製、以下、P3Bと略す。ホウ素化合物)
0.15部を組み合わせたBステージ化用近赤外光重合
開始剤、Bステージ化物を本硬化する紫外光から可視光
領域まで感光性を有するビスアシルフォスフィンオキサ
イド系重合開始剤(商品名、イルガキュア1800:チ
バスペシャルティーケミカルズ(株)製、以下、I−1
800と略す)1.0部、ベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤(シプロ化成(株)製、商品名:シーソーブ70
5)0.2部を添加し、光硬化性樹脂組成物を得た。次
に、30cm×30cmの厚さ3mmのポリエステルフ
ェルトにポリウレタンフィルムを熱融着されたシート
に、樹脂含有率が70重量%となるように含浸させたも
のを透明PETフィルムで被覆し、380〜1200n
mの波長域を含む光源であるAL−スポットライト(A
LF−10)1KW(アールディエス製)に500nm
以下カットフィルターであるSC−50(富士フィルム
(株)製)を併用して、20cmの距離で照射したとこ
ろ2分でBステージ化し、その後1分光照射を続けても
Bステージ状態は変わらなかった。そこで3分間光照射
後のBステージ状態のものを光硬化性プリプレグとし、
30℃、暗所における保存安定性を調べたところ6ヶ月
以上プリプレグの硬さは変化なかった。また、30℃、
暗所6ヶ月保存後の光硬化性プリプレグシートのPET
フィルムを剥がし、昭和高分子(株)製の硬化型イソシ
アネート系プライマー:UM−50Pで処理したコンク
リート歩道板に貼り付けて2KWメタルハライドランプ
の下1mの距離に置き10分間光照射したところ硬化
し、表面にポリウレタンフィルムが接着したままの硬化
物を得た。この硬化物は1年間屋外暴露したが、表面に
ポリウレタンフィルムが接着したままで外観に異常はな
かった。
【0044】比較例1 ポリウレタンフィルムが熱融着されていない以外は、実
施例1と同様のポリエステルフェルトを使用し、上下に
PETフィルムを使用してBステージ化したものの片側
のPETフィルムを剥がして実施例1と同様にコンクリ
ート歩道板に貼り付けて光硬化した。硬化後に表面のP
ETフィルムを剥がして実施例1と同様に1年間屋外暴
露したところ、外観は黄変し、汚れの付着も見られた。
【0045】実施例2 不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子(株)製、商品
名:リゴラックM−543)100部にトリエチルアミ
ン1.0部に、IRB0.03部とP3B0.15部を
組み合わせたBステージ化用近赤外光重合開始剤(I−
1800):1.0部を混合し、熱硬化性樹脂組成物を
得た。次に、熱硬化性樹脂組成物の片面にポリエチレン
フィルムを融着したポリエステル不織布(10cm×1
0m、厚さ0.5mm)に、樹脂含有率が70重量%と
なるように含浸させた後、透明PETフィルムで被覆し
プリプレグ組成物−1を得た。次に、380〜1200
nmの波長域を含む光源であるAL−スポットライト
(ALF−10)1KW(アールディエス(株)製)に
500nm以下カットフィルターであるSC−50(富
士フィルム(株)製)を併用して、点灯したランプ全面
から20cmの距離のところに、プリプレグ組成物−1
を30cm/分の速さで通過させてBステージ化を行
い、その後PETフィルムを剥がしながら直径15cm
の紙管にポリエチレンフィルムが上になるように巻き取
った。以上の工程を連続して行い、融着したポリエチレ
ンフィルムが離型フィルムの役割も兼ねた巻取り型の光
硬化型プリプレグシートを製造した。この光硬化性プリ
プレグシートは、現場で剥離フィルムという廃棄物がな
く、光硬化後にポリエチレンフィルムが保護フィルムと
して残存する機能を有するものである。
【0046】
【発明の効果】本発明の硬化性プリプレグシートは、光
硬化後にポリエチレンフィルムが保護フィルムとして残
存する機能を有し、防汚性や耐候性を付与するための最
終塗装をする工程を必要とせず、且つ現場で剥離フィル
ムという廃棄物がなくなる。従って、本発明の硬化性プ
リプレグシートは、FRP成形,建築・土木分野等にお
ける構造物の補修,補強,防水等に極めて有利に使用す
ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA01 AA05 AA07 AB05 AB06 AB09 AB10 AB11 AB28 AB29 AB33 AC02 AC07 AD09 AD34 AD38 AE02 AG03 AH02 AH21 AJ04 AJ16 AJ22 AK02 AK05 AL01 AL17 4J027 AB06 AB07 AB08 AB15 AB16 AB17 AB18 AB22 AB23 AB24 AE01 AE02 AE03 AE07 BA05 BA07 BA18 BA20 CA34 CB03 CB10 CC04 CC05 CD02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)不飽和ポリエステル樹脂及び/ま
    たはビニルエステル樹脂100重量部および(B)紫外
    光領域から近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤
    0.01〜10重量部を含有する組成物を、熱可塑性プ
    ラスチックフィルムを接着したシート状の繊維強化材に
    含浸し、Bステージまで予備重合させたものであること
    を特徴とする硬化性プリプレグシート。
  2. 【請求項2】 (B)の光重合開始剤が少なくとも2種
    であり、(A)の樹脂および(B)の光重合開始剤を含
    有する組成物を、熱可塑性プラスチックフィルムを接着
    したシート状の繊維強化材に含浸し、(A)の樹脂中の
    ラジカル重合性不飽和基の一部を重合させると共に、少
    なくとも1種の光重合開始剤およびラジカル重合性不飽
    和基の一部が残存するような波長の光で処理したもので
    ある請求項1に記載の硬化性プリプレグシート。
  3. 【請求項3】 光重合開始剤が、500nm以上の波長
    の可視光あるいは近赤外光領域に感光性を有する光重合
    開始剤と、500nm未満の可視光および/または紫外
    光領域に感光性を有する光重合開始剤の組み合わせであ
    る請求項2に記載の硬化性プリプレグシート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性プラスチックフィルムと反対側
    の面が、剥がすことのできるフィルムで被覆されたもの
    である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性プリプレ
    グシート。
  5. 【請求項5】 ロール状に巻き取られた形状を有する請
    求項1〜4のいずれかに記載の硬化性プリプレグシー
    ト。
  6. 【請求項6】 (A)不飽和ポリエステル樹脂及び/ま
    たはビニルエステル樹脂100重量部および(B)紫外
    光領域から近赤外光領域に感光性を有する光重合開始剤
    0.01〜10重量部を含有する組成物を、熱可塑性プ
    ラスチックフィルムを接着したシート状の繊維強化材に
    含浸した後、可視光及び/または近赤外光の照射により
    Bステージまで予備重合することを特徴とする硬化性プ
    リプレグシートの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性
    プリプレグシートに可視光領域の光を照射し、硬化後の
    表面に熱可塑性プラスチックフィルムを残すことを特徴
    とする硬化性プリプレグシートの硬化方法。
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