JPH1012479A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

積層セラミックコンデンサ

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JPH1012479A
JPH1012479A JP8160009A JP16000996A JPH1012479A JP H1012479 A JPH1012479 A JP H1012479A JP 8160009 A JP8160009 A JP 8160009A JP 16000996 A JP16000996 A JP 16000996A JP H1012479 A JPH1012479 A JP H1012479A
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layer
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dielectric
multilayer ceramic
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 誘電率が3000以上、絶縁抵抗をCR積で
表した場合に、室温及び125℃での絶縁抵抗がそれぞ
れ6000MΩ・μF、2000MΩ・μF以上と高
く、静電容量の温度特性がJIS規格のB特性及びEI
A規格のX7R特性を満足し、高温負荷、耐湿負荷等の
耐候性能に優れた、低コストの小型大容量の積層セラミ
ックコンデンサを提供する。 【解決手段】 (1−α−β){BaO}m・TiO2
αRe23+β(Mn1-xNix)O(ただし、Re23
は、Tb23、Dy23、Ho23、Er23、Yb2
3の中から選ばれる少なくとも1種類、0.0025
≦α≦0.020、0.0025≦β≦0.04、β/
α≦4、0≦x<1.0、1.000<m≦1.03
5)で表される主成分100モルに対して、副成分とし
て、酸化マグネシウムをMgOに換算して0.5〜3.
0モル、酸化珪素をSiO2に換算して0.2〜5.0
モル添加含有する誘電体層と内部電極はNi又はNi合
金によって構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器に用いら
れるセラミックコンデンサ、特にニッケルあるいはニッ
ケル合金からなる内部電極を有する積層セラミックコン
デンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、積層セラミックコンデンサの
製造工程は、以下のようなものが一般的である。まず、
その表面に内部電極となる電極材料を塗布したシート状
の誘電体セラミック層が準備される。誘電体セラミック
層としては、たとえばBaTiO3を主成分とする材料
が用いられる。次に、この電極材料を塗布したシート状
の誘電体セラミック層を積層して熱圧着し、一体化した
ものを自然雰囲気中において1250〜1350℃で焼
成することで、内部電極を有するセラミック積層体が得
られる。そして、このセラミック積層体の端面に、内部
電極と導通する外部電極を焼き付けることにより、積層
セラミックコンデンサが得られる。
【0003】従って、内部電極の材料としては、次のよ
うな条件を満たす必要がある。 1.セラミック積層体と内部電極とが同時に焼成される
ので、セラミック積層体が焼成される温度以上の融点を
有すること。
【0004】2.酸化性の高温雰囲気中においても酸化
されず、しかも誘電体セラミック層と反応しないこと。
【0005】このような条件を満足させる電極として
は、白金、金、パラジウムあるいは銀−パラジウム合金
などのような貴金属が用いられてきた。
【0006】しかしながら、これらの電極材料は優れた
特性を有する反面、高価であったため、積層セラミック
コンデンサに占める電極材料費の割合は30〜70%に
も達し、製造コストを上昇させる最大の要因となってい
た。
【0007】貴金属以外に高融点をもつものとしてN
i、Fe、Co、W、Mo等の卑金属があるが、これら
の卑金属は高温の酸化性雰囲気中では容易に酸化されて
しまい、電極としての役目を果たさなくなってしまう。
そのため、これらの卑金属を積層セラミックコンデンサ
の内部電極として使用するためには、誘電体セラミック
層とともに中性または還元性雰囲気中で焼成する必要が
ある。しかしながら、従来の誘電体セラミック材料で
は、このような中性または還元性雰囲気で焼成すると著
しく還元してしまい、半導体化してしまうという欠点が
あった。
【0008】このような欠点を克服するために、たとえ
ば特公昭57−42588号公報に示されるように、チ
タン酸バリウム固溶体において、バリウムサイト/チタ
ンサイトの比を化学量論比より過剰にした誘電体セラミ
ック材料や、特開昭61−101459号公報に示され
るようにチタン酸バリウム固溶体にLa、Nd、Sm、
Dy、Y等の希土類酸化物を添加した誘電体セラミック
材料が考えだされた。
【0009】また、誘電率の温度変化を小さくしたもの
として、たとえば特開昭62−256422号に示され
るBaTiO3−CaZrO3−MnO−MgO系の組成
や、特公昭61−14611号のBaTiO3−(M
g,Zn,Sr,Ca)O−B23−SiO2系の組成
の誘電体セラミック材料が提案されてきた。
【0010】このような誘電体セラミック材料を使用す
ることによって、還元性雰囲気で焼成しても半導体化し
ないセラミック積層体を得ることができ、内部電極とし
てニッケル等の卑金属を使用した積層セラミックコンデ
ンサの製造が可能になった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】近年のエレクトロニク
スの発展に伴い電子部品の小型化が急速に進行し、積層
セラミックコンデンサも小型化、大容量化の傾向が顕著
になってきた。
【0012】そのため、誘電体セラミック材料の高誘電
率化と誘電体セラミック層の薄層化が急激な勢いで進ん
でいる。従って、高誘電率で、誘電率の温度変化が小さ
く、信頼性に優れる誘電体セラミック材料に対する需要
が大きくなっている。
【0013】しかしながら、特公昭57−42588号
公報や、特開昭61−101459号公報に示される誘
電体セラミック材料は、大きな誘電率が得られるもの
の、得られたセラミック積層体の結晶粒が大きくなり、
積層セラミックコンデンサにおける誘電体セラミック層
の厚みが10μm以下のような薄膜になると、1つの層
中に存在する結晶粒の数が減少し、信頼性が低下してし
まうという欠点があった。また、誘電率の温度変化も大
きいという問題もあり、市場の要求に十分に対応できて
いるとはいえない。
【0014】一方、特開昭62−256422号公報に
示される誘電体セラミック材料では、誘電率が比較的高
く、得られたセラミック積層体の結晶粒も小さく、誘電
率の温度変化も小さいものの、CaZrO3や焼成過程
で生成するCaTiO3が、Mnなどとともに二次相を
生成しやすいため、高温での信頼性に問題があった。
【0015】また、特公昭61−14611号公報に示
される誘電体セラミック材料では、得られる誘電率が2
000〜2800であり、積層セラミックコンデンサの
小型大容量化という点で不利であるという欠点があっ
た。さらに、EIA規格で規定されているX7R特性、
すなわち、温度範囲−55℃〜+125℃の間で静電容
量の変化率が±15%以内を満足し得ないという問題が
あった。
【0016】また、特公昭63−10386号に開示さ
れている非還元性誘電体セラミックでは、絶縁抵抗およ
び容量の温度変化率が主成分であるBaTiO3の結晶
粒径に大きく影響を受け、安定した特性を得るための制
御が困難である。さらに、絶縁抵抗値も静電容量値との
積(CR積)で示した場合1000〜2000(Ω・
F)であり、実用的であるとは言えなかった。
【0017】さらに、上記組成を始めとして、これまで
提案されている非還元性誘電体セラミックでは、高温負
荷寿命試験での絶縁抵抗の劣化については種々の改善が
なされているものの、耐湿負荷試験での絶縁抵抗の劣化
についてはあまり改善されていなかった。
【0018】上記の問題点を解決すべく、特開平05−
09066号、特開平05−09067号、特開平05
−09068号の組成が提案されている。しかし、その
後のさらなる小型大容量化の要求により、誘電体セラミ
ック層の薄層化と並行して信頼性に対する市場要求がよ
り厳しくなり、さらに信頼性に優れた薄層化対応の誘電
体セラミック材料への要求が高まってきている。従っ
て、高温、高湿下での信頼性特性に優れた小型大容量の
積層セラミックコンデンサを提案する必要が生じてき
た。
【0019】それゆえに、本発明の主たる目的は、誘電
率が3000以上、絶縁抵抗を静電容量との積(CR
積)で表した場合に、室温及び125℃での絶縁抵抗が
それぞれ6000MΩ・μF、2000MΩ・μF以上
と高く、静電容量の温度特性がJIS規格で規定されて
いるB特性及びEIA規格で規定されているX7R特性
を満足し、さらには、高温負荷、耐湿負荷等の耐候性能
に優れた、低コストの小型大容量の積層セラミックコン
デンサを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような目
的に鑑みてなされたものである。本発明の積層セラミッ
クコンデンサは、複数の誘電体セラミック層と、それぞ
れの端縁が前記誘電体セラミック層の両端面に露出する
ように前記誘電体セラミック層間に形成された複数の内
部電極と、露出した前記内部電極に電気的に接続される
ように設けられた外部電極とを含む積層セラミックコン
デンサにおいて、前記誘電体セラミック層が、不純物と
して含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が0.02重
量%以下のチタン酸バリウムと、酸化テルビウム、酸化
ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸
化イッテルビウムのうち、少なくとも1種類の希土類酸
化物と、酸化マンガン、および酸化ニッケルとからな
り、次の組成式、 (1−α−β){BaO}m・TiO2+αRe23+β
(Mn1-xNix)O (ただし、Re23は、Tb23、Dy23、Ho
23、Er23、Yb23の中から選ばれる少なくとも
1種類、α、β、m、xは、0.0025≦α≦0.0
20、0.0025≦β≦0.04、β/α≦4、0≦
x<1.0、1.000<m≦1.035)で表される
主成分100モルに対して、副成分として、酸化マグネ
シウムをMgOに換算して0.5〜3.0モル、酸化珪
素をSiO2に換算して0.2〜5.0モル添加含有
し、前記内部電極はニッケルまたはニッケル合金によっ
て構成されることに特徴がある。
【0021】また、本発明の積層セラミックコンデンサ
においては、前記外部電極は、導電性金属粉末またはガ
ラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層によっ
て構成されていることが好ましい。また、前記外部電極
は、導電性金属粉末またはガラスフリットを添加した導
電性金属粉末の焼結層からなる第1層と、その上のメッ
キ層からなる第2層とからなることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の積層セラミックコンデンサは、誘
電体セラミック層の材料として、チタン酸バリウム、酸
化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、
酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化マンガン、
及び酸化ニッケルの組成比を上述したように調整し、酸
化マグネシウム、及び酸化珪素を上述した範囲内に添加
含有させた誘電体セラミック材料を用いることによっ
て、還元性雰囲気中で焼成しても、その特性を劣化させ
ることなく焼成することができ、静電容量の温度特性が
JIS規格で規定されているB特性及びEIA規格で規
定されているX7R特性を満足し、室温及び高温におけ
る絶縁抵抗が高く、信頼性が高い積層セラミックコンデ
ンサを得ることができる。
【0023】なお、本発明においては、チタン酸バリウ
ム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミ
ウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化マン
ガン、及び酸化ニッケルという誘電体セラミック材料の
主成分のうち、そのチタン酸バリウム中に不純物として
存在するSrO、CaO等のアルカリ土類金属酸化物、
Na2O、K2O等のアルカリ金属酸化物、その他Al2
3、SiO2等の酸化物の中で、特にNa2O、K2O等
のアルカリ金属酸化物の含有量が電気的特性に大きく影
響することを確認している。つまり、チタン酸バリウム
中に不純物として存在するアルカリ金属酸化物量を0.
02重量%以下にすることで、3000以上の誘電率が
得られることを確認している。
【0024】また、誘電体セラミック層中に酸化珪素を
添加する理由は、焼成過程の比較的高温状態において、
その焼成雰囲気をNi/NiOの平衡酸素分圧付近の酸
素分圧に調整することによって、焼結性が良くなるとと
もに、耐湿負荷特性が向上するからである。
【0025】上述したような誘電体セラミック材料を用
いて誘電体セラミック層を形成すれば、内部電極として
卑金属であるニッケルまたはニッケル合金を用いること
ができる。また、ニッケル、ニッケル合金とともに、セ
ラミック粉末を少量添加することも可能である。
【0026】また、外部電極の組成は特に限定されるも
のではない。具体的には、例えば、Ag、Pd、Ag−
Pd、Cu、Cu合金などの種々の導電性金属粉末の焼
結層、または、上記導電性金属粉末とB23−Li2
−SiO2−BaO系、B23−SiO2−BaO系、L
2O−SiO2−BaO系、B23−SiO2−ZnO
系などの種々のガラスフリットとを配合した焼結層によ
って構成されていればよい。また、少量であれば、導電
性金属粉末と、ガラスフリットとともに、セラミック粉
末を添加してもよい。より好ましくは、この焼結層の上
にメッキ層を被覆する場合であり、メッキ層はNi、C
u、Ni−Cu合金等からなるメッキ層のみでもよい
し、さらにその上に半田、錫、等のメッキ層を有しても
よい。
【0027】次に、本発明を実施例に基づき、さらに具
体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0028】
【実施例】本発明の一実施例である積層セラミックコン
デンサについて説明する。図1は本実施例の積層セラミ
ックコンデンサの概略断面図、図2は本実施例の内部電
極を有する誘電体セラミック層の概略平面図、図3は本
実施例のセラミック積層体の分解斜視図を示す。
【0029】本発明に係る積層セラミックコンデンサ1
は、図1に示すように、内部電極4を介在して複数枚の
誘電体セラミック層2a、2bを積層して得られたセラ
ミック積層体3の両端面に外部電極5、及びニッケル、
銅などのメッキ第1層6、半田、錫などのメッキ第2層
7が形成された直方体形状のチップタイプである。
【0030】次に、本発明に係る積層セラミックコンデ
ンサ1の製造方法について製造工程順に説明する。ま
ず、セラミック積層体3を形成する。このセラミック積
層体3は次のようにして製造される。図2に示すよう
に、チタン酸バリウムと、酸化テルビウム、酸化ジスプ
ロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッ
テルビウムの中から選ばれる1種類以上の希土類酸化物
と、酸化マンガン、及び酸化ニッケル、酸化マグネシウ
ム、及び酸化珪素を主成分とする酸化物からなる材料粉
末をスラリー化してシート状とした誘電体セラミック層
2a(グリーンシート)を用意し、その一面にニッケル
及びニッケル合金からなる内部電極4を形成する。な
お、内部電極4を形成する方法は、スクリーン印刷など
による形成でも、蒸着、メッキ法による形成でもどちら
でも構わない。
【0031】内部電極4を有する誘電体セラミック層2
bは必要枚数積層され、図3に示す如く、内部電極を有
しない誘電体セラミック層2aにて挟んで圧着し、積層
体とする。その後、この積層された誘電体セラミック層
2a、2b、・・・、2b、2aを還元雰囲気中、所定
の温度にて焼成し、セラミック積層体3が形成される。
【0032】次に、セラミック積層体3の両端面に、内
部電極4と接続するように、二つの外部電極5が形成さ
れる。この外部電極5の材料としては、内部電極4と同
じ材料を使用することができる。また、銀、パラジウ
ム、銀−パラジウム合金、銅、銅合金等が使用可能であ
り、また、これらの金属粉末にB23-SiO2-BaO
系ガラス、Li2O-SiO2-BaO系ガラスなどのガラ
スフリットを添加したものも使用されるが、積層セラミ
ックコンデンサの使用用途、使用場所などを考慮に入れ
て、適当な材料が選択される。また、外部電極5は、材
料となる金属粉末ペーストを、焼成により得たセラミッ
ク積層体1に塗布して焼き付けることで形成されるが、
焼成前に塗布して、セラミック積層体1と同時に形成し
てもよい。この後、外部電極5上にニッケル、銅などの
メッキを施し、メッキ第1層6を形成する。最後に、こ
のメッキ第1層6の上に半田、錫などのメッキ第2層7
を形成し、チップ型の積層セラミックコンデンサ1が製
造される。以下では、より詳細な実施例について説明す
る。
【0033】(実施例1)まず,出発原料として種々の
純度のTiCl4とBa(NO32とを準備して秤量し
た後、蓚酸により蓚酸チタニルバリウム(BaTiO
(C24)・4H2O)として沈澱させ、沈殿物を得
た。この沈澱物を1000℃以上の温度で加熱分解させ
て、表1に示す4種類のチタン酸バリウム(BaTiO
3)を合成した。
【0034】次に、純度99%以上のTb23、Dy2
3、Ho23、Er23、Yb23、MnO、Ni
O、MgOと、酸化珪素をSiO2換算で20重量%含
有したコロイドシリカを準備した。
【0035】
【表1】
【0036】これらの原料を表2、表3に示す組成比と
なるように配合したのち、ボールミルにより湿式混合
し、蒸発乾燥、整粒を行い原料粉末を得た。
【0037】この原料粉末に、ポリビニルブチラール系
バインダー及びエタノール等の有機溶剤を加えて、ボー
ルミルにより湿式混合し、セラミックラリーを調整し
た。しかる後、このセラミックラリーをドクターブレー
ド法によりシート成形し、厚み11μmの矩形のグリー
ンシートを得た。次に、上記セラミックグリーンシート
上に、Niを主体とする導電ペーストを印刷し、内部電
極を構成するための導電ペースト層を形成した。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】導電ペースト層が形成されたセラミックグ
リーンシートを導電ペーストの引き出されている側が互
い違いとなるように複数枚積層し、積層体を得た。得ら
れた積層体を、N2雰囲気中にて350℃の温度に加熱
し、バインダーを燃焼させた後、酸素分圧10-8〜10
-11MPaのH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気
中において表3に示す温度で2時間焼成し、セラミック
焼結体を得た。
【0041】得られたセラミック焼結体表面を走査型電
子顕微鏡にて、倍率1500倍で観察し、グレインサイ
ズを測定した。
【0042】焼成後、得られた焼結体の両端面にB23
−Li2O−SiO2−BaO系のガラスフリットを含有
する銀ペーストを塗布し、N2雰囲気中において600
℃の温度で焼き付け、内部電極と電気的に接続された外
部電極を形成した。
【0043】上記のようにして得られた積層セラミック
コンデンサの外形寸法は、幅;1.6mm、長さ;3.
2mm、厚さ;1.2mmであり、内部電極間に介在す
る誘電体セラミック層の厚みは8μmである。
【0044】また、有効誘電体セラミック層の総数は1
9であり、一層当たりの対向電極の面積は、2.1mm
2である。
【0045】静電容量(C)及び誘電体損失(tan
δ)は、自動ブリッジ式測定器を用いて周波数1kH
z、1Vrms、温度25℃にて測定し、静電容量から
誘電率(ε)を算出した。次に、絶縁抵抗(R)を測定
するために、絶縁抵抗計を用い、16Vの直流電圧を2
分間印加して、25℃、125℃での絶縁抵抗(R)を
測定し、静電容量(C)と絶縁抵抗(R)との積、すな
わちCR積を求めた。また、温度変化に対する静電容量
の変化率を測定した。
【0046】なお、温度変化に対する静電容量の変化率
については、20℃での静電容量を基準とした−25℃
と85℃での変化率(ΔC/C20℃)と、25℃での静
電容量を基準とした−55℃と125℃での変化率(Δ
C/C25℃)および−55℃〜125℃の範囲内で絶対
値としてその変化率が最大である値(|ΔC|max)
を示した。
【0047】また、高温負荷寿命試験として、各試料を
36個ずつ、温度150℃にて直流電圧を100V印加
して、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。なお、高温
負荷寿命試験は、各試料の絶縁抵抗値(R)が106Ω
以下になったときの時間を寿命時間とし、その平均寿命
時間を示す。
【0048】さらに、耐湿負荷試験として、各試料を7
2ケずつ、2気圧(相対湿度100%)、温度121℃
にて直流電圧を16V印加した場合において、250時
間経過するまでに絶縁抵抗値(R)が106Ω以下にな
った試料の個数を示す。以上の結果を表4に示した。
【0049】
【表4】
【0050】表1、表2、表3、表4から明らかなよう
に、本発明の積層セラミックコンデンサは誘電率εが3
000以上と高く、誘電体損失tanδは2.5%以下
で、温度に対する静電容量の変化率が、−25℃〜85
℃での範囲でJIS規格に規定するB特性規格及び、−
55℃と125℃での範囲内でEIA規格に規定するX
7R特性規格を満足する。
【0051】しかも、25℃、125℃での絶縁抵抗を
CR積で表したときに、それぞれ6000MΩ・μF、
2000MΩ・μF以上と高い値を示す。また、平均寿
命時間が300時間以上と長く、耐湿負荷試験での不良
の発生は認められない。さらに、焼成温度も1300℃
以下と比較的低温で焼結可能であり、結晶粒径について
も1μm以下と小さい。なお、結晶粒径が1μm以下で
あることによって、1つの誘電体セラミック層中に存在
する結晶粒の数を増やすことができ、積層セラミックコ
ンデンサのセラミック積層体の厚みを薄くしても信頼性
の低下を防止することができる。
【0052】ここで、本発明の組成限定理由について説
明する。 (1−α−β){BaO}m・TiO2+αRe23+β
(Mn1-xNix)O(ただし、Re23は、Tb23
Dy23、Ho23、Er23、Yb23の中から選ば
れる少なくとも1種類)において、αを0.0025≦
α≦0.020の範囲に限定したのは、試料番号1のよ
うに、Re23量αが0.0025未満の場合には、静
電容量の温度変化率も大きく、125℃での絶縁抵抗が
低くなる。さらに、平均寿命時間が極端に短くなるから
である。
【0053】一方、試料番号18のようにRe23量α
が0.020を超える場合には、誘電率が3000を越
えず、25℃、125℃での絶縁抵抗が低下し、平均寿
命時間が短くなるとともに、耐湿負荷試験での不良が発
生する。また、焼結温度が高くなるからである。
【0054】また、βを0.0025≦β≦0.04の
範囲に限定したのは、試料番号2のように(Mn,N
i)O量βが0.0025未満の場合には、還元性雰囲
気で焼成したとき誘電体セラミックが還元され、半導体
化して絶縁抵抗が低下してしまうからである。
【0055】一方、試料番号19のように(Mn,N
i)O量βが0.04を超える場合には、25℃、12
5℃での絶縁抵抗が、それぞれ6000MΩ・μF、2
000MΩ・μFを満足せず、平均寿命時間が300時
間よりも短くなる。さらに、静電容量の温度変化率が大
きくなり、EIA規格のX7R特性を満足しなくなるか
らである。
【0056】また、β/αをβ/α≦4の範囲に限定し
たのは、試料番号21のように、Re23量αと(M
n,Ni)O量βの比率β/αが4よりも大きい場合に
は、静電容量の温度変化率が大きくなり、さらには12
5℃での絶縁抵抗が、2000MΩ・μFを満足せず、
平均寿命時間が300時間よりも短くなるからである。
【0057】また、xを0≦x<1.0の範囲に限定し
たのは、試料番号20のように、NiO量xが1.0の
場合には、25℃、125℃での絶縁抵抗が、それぞれ
6000MΩ・μF、2000MΩ・μFを満足せず、
平均寿命時間が300時間よりも短くなるからである。
【0058】また、mを1.000<m≦1.035の
範囲に限定したのは、試料番号3及び試料番号4のよう
に、チタン酸バリウムのモル比mが1.000以下の場
合には、還元性雰囲気で焼成したとき誘電体セラミック
が還元され、半導体化して絶縁抵抗が低下してしまった
り(試料番号3)、絶縁抵抗が低下し、平均寿命時間も
短くなるため、セラミック積層体の厚みの薄層化に十分
に対応できない(試料番号4)からである。
【0059】一方、試料番号22のように、モル比mが
1.035を超える場合には、焼結性が極端に悪くなる
からである。
【0060】また、酸化マグネシウムをMgOに換算し
て0.5〜3.0モルの範囲に限定したのは、試料番号
5のように、MgOの量が0.5モル未満の場合には、
絶縁抵抗が低下し、静電容量の温度変化率がJIS規格
が規定するところのB特性規格を満足するものの、EI
A規格が規定するところのX7R特性規格を満足するこ
とができないからである。
【0061】一方、試料番号23のようにMgOの量が
3.0モルを超える場合には、焼結温度が高くなり、誘
電率が3000以下となり、また、耐湿負荷試験での不
良率が極端に多くなるからである。
【0062】また、酸化珪素をSiO2に換算して0.
2〜5.0モルの範囲に限定したのは、試料番号6のよ
うに、SiO2の量が0の場合、未焼結となるからであ
る。また、試料番号7のように、0.2モル未満の場
合、焼結温度が高くなるとともに、絶縁抵抗が低くな
り、耐湿負荷試験での不良率が極端に多くなるからであ
る。
【0063】一方、試料番号24のように、SiO2
量が5.0を超える場合には、誘電率が3000を越え
ず、125℃での絶縁抵抗が2000MΩ・μFを満足
しないからである。
【0064】また、チタン酸バリウム中に不純物として
含まれるアルカリ金属酸化物の含有量を0.02重量%
以下としたのは、試料番号25のように、チタン酸バリ
ウムに不純物として含有されるアルカリ金属量が0.0
2重量%を超える場合には、誘電率の低下を生じるから
である。
【0065】なお、上記実施例では、チタン酸バリウム
として、蓚酸法により作製した粉末を用いたが、これに
限定するものではなく、アルコキシド法あるいは水熱合
成法により作製されたチタン酸バリウム粉末を用いても
よい。これらの粉末を用いることにより、本実施例で示
した特性よりも向上することも有り得る。
【0066】また、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウ
ム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビ
ウム、酸化マンガン、および酸化ニッケルなども、酸化
物粉末を用いたが、これに限定されるものではなく、本
発明の範囲の誘電体セラミック層を構成するように配合
すれば、アルコキシド、有機金属などの溶液を用いて
も、得られる特性を何等損なうものではない。
【0067】
【発明の効果】本発明の積層セラミックコンデンサを用
いれば、誘電体セラミック層が還元性雰囲気中で焼成し
ても還元されず、半導体化しない誘電体セラミック材料
から構成されているので、電極材料として卑金属である
ニッケル及びニッケルを合金を用いることができ、13
00℃以下と比較的低温で焼成可能であるため、積層セ
ラミックコンデンサのコストダウンを図ることが可能で
ある。
【0068】また、この誘電体セラミック材料を用いた
積層セラミックコンデンサは、電率が3000以上あ
り、しかもこのように高誘電率であるにもかかわらず誘
電率の温度変化が小さい。さらに、絶縁抵抗も高く、高
温下、高湿下での特性劣化のない優れた特性を示す。
【0069】また、結晶粒径が1μm以下と小さく、誘
電体層を薄層化しても、従来の積層セラミックコンデン
サのように層中に存在する結晶粒の量が少なくならな
い。このため、信頼性が高く、しかも小型で大容量の積
層セラミックコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である積層セラミックコンデ
ンサの概略断面図。
【図2】本発明の一実施例である内部電極を有する誘電
体セラミック層の概略平面図。
【図3】本発明の一実施例であるセラミック積層体の分
解斜視図。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ 2a 誘電体セラミック層 2b 内部電極を有する誘電体セラミック層 3 セラミック積層体 4 内部電極 5 外部電極 6 メッキ第1層 7 メッキ第2層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の誘電体セラミック層と、 それぞれの端縁が前記誘電体セラミック層の両端面に露
    出するように前記誘電体セラミック層間に形成された複
    数の内部電極と、 露出した前記内部電極に電気的に接続されるように設け
    られた外部電極とを含む積層セラミックコンデンサにお
    いて、 前記誘電体セラミック層が、 不純物として含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が
    0.02重量%以下のチタン酸バリウムと、 酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウ
    ム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウムのうち、少な
    くとも1種類の希土類酸化物と、 酸化マンガン、および酸化ニッケルとからなり、 次の組成式、 (1−α−β){BaO}m・TiO2+αRe23+β
    (Mn1-xNix)O (ただし、Re23は、Tb23、Dy23、Ho
    23、Er23、Yb23の中から選ばれる少なくとも
    1種類、α、β、m、xは、 0.0025≦α≦0.020、 0.0025≦β≦0.04、 β/α≦4、 0≦x<1.0、 1.000<m≦1.035) で表される主成分100モルに対して、 副成分として、酸化マグネシウムをMgOに換算して
    0.5〜3.0モル、酸化珪素をSiO2に換算して
    0.2〜5.0モル添加含有し、 前記内部電極はニッケルまたはニッケル合金によって構
    成されることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
  2. 【請求項2】 前記外部電極は、導電性金属粉末または
    ガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層によ
    って構成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    積層セラミックコンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記外部電極は、導電性金属粉末または
    ガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層から
    なる第1層と、その上のメッキ層からなる第2層とから
    なることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれ
    かに記載の積層セラミックコンデンサ。
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