JP3039386B2 - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents
積層セラミックコンデンサInfo
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Description
れる積層セラミックコンデンサ、特に、ニッケルまたは
ニッケル合金からなる内部電極を有する中高圧コンデン
サに適した積層セラミックコンデンサに関する。
製造工程は以下のようなものが一般的である。まず、そ
の表面に内部電極となる電極材料を塗布したシート状の
誘電体セラミック層が準備される。誘電体セラミック層
としては、たとえばBaTiO3を主成分とする材料が
用いられる。次に、この電極材料を塗布したシート状の
誘電体セラミック層を積層して熱圧着し、一体化したも
のを自然雰囲気中において1250〜1350℃で焼成
することによって、内部電極を有するセラミック積層体
が得られる。そして、このセラミック積層体の端面に、
内部電極と導通する外部電極を焼き付けることにより、
積層セラミックコンデンサが得られる。
うな条件を満たす必要がある。 1.セラミック積層体と内部電極とが同時に焼成される
ので、セラミック積層体が焼成される温度以上の融点を
有すること。
されず、しかも誘電体セラミック層と反応しないこと。
は、白金、金、パラジウムあるいは銀−パラジウム合金
などのような貴金属が用いられてきた。しかしながら、
これらの電極材料は優れた特性を有する反面、高価であ
ったため、積層セラミックコンデンサに占める電極材料
費の割合は30〜70%にも達し、製造コストを上昇さ
せる最大の要因となっていた。
i、Fe、Co、W、Mo等の卑金属があるが、これら
の卑金属は高温の酸化性雰囲気中では容易に酸化されて
しまい、電極としての役目を果たさなくなってしまう。
そのため、これらの卑金属を積層セラミックコンデンサ
の内部電極として使用するためには、誘電体セラミック
層とともに中性または還元性雰囲気中で焼成する必要が
ある。しかしながら、従来の誘電体セラミック材料で
は、このような中性または還元性雰囲気で焼成すると著
しく還元してしまい、半導体化してしまうという欠点が
あった。
ば、特公昭57−42588号公報に示されるように、
チタン酸バリウム固溶体において、バリウムサイト/チ
タンサイトの比を化学量論比より過剰にした誘電体セラ
ミック組成物や、特開昭61−101459号公報に示
されるように、チタン酸バリウム固溶体にLa、Nd、
Sm、Dy、Y等の希土類酸化物を添加した誘電体セラ
ミック組成物が提案された。
として、たとえば特開昭62−256422号に示され
るBaTiO3−CaZrO3−MnO−MgO系の組成
や、特公昭61−14611号に示されるBaTiO3
−(Mg,Zn,Sr,Ca)O−B2O3−SiO2系
の組成の誘電体セラミック組成物が提案されてきた。
することによって、還元性雰囲気で焼成しても半導体化
しないセラミック積層体を得ることができ、内部電極と
してニッケル等の卑金属を使用した積層セラミックコン
デンサの製造が可能となった。
スの発展に伴い電子部品の小型化が急速に進行し、積層
セラミックコンデンサも小型化、大容量化の傾向が顕著
になってきた。従って、高誘電率で、誘電率の温度変化
が小さく、かつ、絶縁破壊電圧が高く、信頼性に優れる
誘電体セラミック組成物に対する需要が大きくなってい
る。
公報や、特開昭61−101459号公報に示される誘
電体セラミック組成物は、大きな誘電率が得られるもの
の、得られたセラミック積層体の結晶粒が大きくなり、
積層セラミックコンデンサにおける誘電体セラミック層
の厚みが10μm以下のような薄膜になると、1つの層
中に存在する結晶粒の数が減少し、信頼性が低下してし
まうという欠点があった。また、誘電率の温度変化も大
きいという問題点もあり、市場の要求に十分対応できて
いるとはいえない。
示される誘電体セラミック組成物では、誘電率が比較的
高く、得られたセラミック積層体の結晶粒も小さく、誘
電率の温度変化も小さいものの、CaZrO3や焼成過
程で生成するCaTiO3が、Mnなどとともに二次相
を生成しやすいため、高温での信頼性に問題があった。
される誘電体セラミック組成物では、得られる誘電率が
2000〜2800であり、積層セラミックコンデンサ
の小型大容量化という点で不利であるという欠点があっ
た。さらに、EIA規格で規定されているX7R特性、
すなわち、温度範囲−55〜+125℃の間で静電容量
の変化率が±15%以内を満足しえないという問題点が
あった。
電体セラミック組成物では、高温負荷寿命試験での絶縁
抵抗の劣化については種々の改善がなされているもの
の、耐湿負荷試験での絶縁抵抗の劣化についてはあまり
改善されていなかった。
る積層セラミックコンデンサには、絶縁破壊電圧が高い
ということが要求されている。しかし、その後のさらな
る小型大容量化の要求によって、誘電体セラミック層の
薄層化と平行して絶縁耐力に対する市場要求がより厳し
くなり、さらに絶縁耐力に優れた薄層化対応の誘電体セ
ラミック組成物への要求が高まってきている。従って、
絶縁耐力に優れた小型大容量の積層セラミックコンデン
サを提案する必要が生じてきた。
電率が3000以上、絶縁抵抗が静電容量との積(CR
積)で表した場合に、室温および125℃での絶縁抵抗
がそれぞれ6000MΩ・μF、2000MΩ・μF以
上と高く、静電容量の温度特性がJIS規格で規定され
ているB特性およびEIA規格で規定されているX7R
特性を満足し、高温負荷、耐湿負荷等の耐候性能に優
れ、さらには絶縁耐力に優れた低コストの小型大容量の
積層セラミックコンデンサを提供することである。
的に鑑みてなされたものである。本発明の積層セラミッ
クコンデンサは、複数の誘電体セラミック層と、それぞ
れの端縁が前記誘電体セラミック層の両端面に露出する
ように前記誘電体セラミック層間に形成された複数の内
部電極と、露出した前記内部電極に電気的に接続される
ように設けられた外部電極を含む積層セラミックコンデ
ンサにおいて、前記誘電体セラミック層が、不純物とし
て含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が0.02重量
%以下のチタン酸バリウムと、酸化ユーロピウム、酸化
ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、
酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化
イッテルビウムとからなり、次の組成式、 {BaO}m・TiO2+αRe2O3+β・MnO (ただし、 Re2O3はEu2O3、Gd2O3、Tb
2O3、Dy2O3、Ho203、Er2O3、 Tm2O3、Y
b2O3の中から選ばれる少なくとも1種類、α、β、m
は、 0.0005≦α≦0.027 0.002≦β≦0.054 β/α≦ 5 1.000<m≦1.035)で表される成分を100
重量部に対して、副成分として、Li2O−(Si,T
i)O2−Al2O3−ZrO2系の酸化物を0.2〜
3.0重量部含有した材料によって構成され、前記内部
電極はニッケルまたはニッケル合金によって構成される
ことに特徴がある。
においては、前記Li2O−(Si,Ti)O2−Al2
O3−ZrO2系の酸化物が、{Li2O,(SiwTi
1-w)O2,M}(ただし、0.30≦w≦1.0、Mは
Al2O3およびZrO2から選ばれる少なくとも1種
類)の三角図としたときに(単位はモル%)、 A(20,80, 0) B(10,80,10) C(10,70,20) D(35,45,20) E(45,45,10) F(45,55, 0) (ただし、直線A−F上の組成の場合は0.3≦w≦
1.0)の6点を結ぶ6本の直線で囲まれた領域の内部
または線上にあることが好ましい。
においては、前記外部電極は、導電性金属粉末またはガ
ラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層によっ
て構成されていることが好ましい。また、前記外部電極
は、導電性金属粉末またはガラスフリットを添加した導
電性金属粉末の焼結層からなる第1層と、その上のメッ
キ層からなる第2層とからなるのが好ましい。
て説明する。本発明の積層セラミックコンデンサは、誘
電体セラミック層の材料として、チタン酸バリウム、酸
化ユーロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、
酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウ
ム、酸化ツリウム、および酸化イッテルビウムの組成比
を上述したように調整し、酸化マンガンおよびSiO2
−TiO2−MO系の酸化物を上述した範囲内に添加含
有させた誘電体セラミック組成物を用いることによっ
て、還元性雰囲気中で焼成しても、その特性を劣化させ
ることなく焼成することができ、静電容量の温度特性が
JIS規格で規定されているB特性およびEIA規格で
規定されているX7R特性を満足し、室温、高温の絶縁
抵抗の高い、高信頼性で絶縁耐力の優れた積層セラミッ
クコンデンサを得ることができる。
セラミック層中の希土類酸化物の分散性が向上し、凝集
が起こらないので、積層セラミックコンデンサの誘電体
セラミック層の厚みを薄くしても絶縁耐力の低下を防ぐ
ことができる。
ち、チタン酸バリウム中に不純物として存在するSr
O、CaO等のアルカリ土類金属酸化物、Na2O、K2
O等のアルカリ金属酸化物、その他Al2O3、SiO2
等の酸化物のうち、特にNa2O、K2O等のアルカリ金
属酸化物の含有量が電気的特性に大きく影響することを
確認している。つまり、チタン酸バリウム中に不純物と
して存在するアルカリ金属酸化物を0.02重量%以下
にすることによって、3000以上の誘電率が得られる
ことを確認している。
(Si,Ti)O2−Al2O3−ZrO2系の酸化物を添
加させることによって、焼結性がよくなるとともに、絶
縁耐力が向上することも確認している。
用いて誘電体セラミック層を形成すれば、内部電極とし
て卑金属であるニッケルまたはニッケル合金を用いるこ
とができる。
のではない。具体的には、例えば、Ag、Pd、Ag−
Pd、Cu、Cu合金などの種々の導電性金属粉末の焼
結層、または、上記導電性金属粉末とB2O3−Li2O
−SiO2−BaO系、B2O3−SiO2−BaO系、L
i2O−SiO2−BaO系、B2O3−SiO2−ZnO
系などの種々のガラスフリットとを配合した焼結層によ
って構成されていればよい。より好ましくは、この焼結
層の上にメッキ層を被覆する場合であり、メッキ層はN
i、Cu、Ni−Cu合金等からなるメッキ層のみでも
よいし、さらにその上に半田、錫等のメッキ層を有して
もよい。
体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。
デンサについて説明する。図1は本実施例の積層セラミ
ックコンデンサの概略断面図、図2は本実施例の内部電
極を有する誘電体セラミック層の概略平面図、図3は本
実施例のセラミック積層体の分解斜視図を示す。
は、図1に示すように、内部電極4を介在して複数枚の
誘電体セラミック層2a、2bを積層して得られたセラ
ミック積層体3の両端面に、外部電極5、及びニッケ
ル、銅などのメッキ第1層6、半田、錫などのメッキ第
2層7が形成された直方体形状のチップタイプである。
ンサ1の製造方法について、製造工程順に説明する。ま
ず、セラミック積層体3を形成する。このセラミック積
層体3は次のようにして製造される。図2に示すよう
に、チタン酸バリウムと、酸化ユーロピウム、酸化ガド
リニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化
ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッ
テルビウムの中から選ばれる少なくとも1種類の希土類
酸化物と、酸化マンガンと、Li2O−(Si,Ti)
O2−Al2O3−ZrO2を主成分とする酸化物とからな
る材料粉末をスラリー化してシート状とした誘電体セラ
ミック層2a(グリーンシート)を用意し、その一面に
ニッケル及びニッケル合金からなる内部電極4を形成す
る。なお、内部電極4を形成する方法は、スクリーン印
刷などによる形成でも、蒸着、メッキ法による形成でも
どちらでも構わない。
bは必要枚数積層され、図3に示す如く、内部電極を有
しない誘電体セラミック層2aにて挟んで圧着し、積層
体とする。その後、この積層された誘電体セラミック層
2a、2b、・・・、2b、2aを還元雰囲気中、所定
の温度にて焼成し、セラミック積層体3が形成される。
部電極4と接続するように、二つの外部電極5が形成さ
れる。この外部電極5の材料としては、内部電極4と同
じ材料を使用することができる。また、銀、パラジウ
ム、銀−パラジウム合金、銅、銅合金等が使用可能であ
り、また、これらの金属粉末にB2O3−SiO2−Ba
O系ガラス、Li2O−SiO2−BaO系ガラスなどの
ガラスフリットを添加したものも使用されるが、積層セ
ラミックコンデンサの使用用途、使用場所などを考慮に
入れて適当な材料が選択される。また、外部電極5は、
材料となる金属粉末ペーストを、焼成により得たセラミ
ック積層体3に塗布して、焼き付けることで形成される
が、焼成前に塗布して、セラミック積層体3と同時に形
成してもよい。この後、外部電極5上にニッケル、銅な
どのメッキを施し、メッキ第1層6を形成する。最後
に、このメッキ第1層6の上に、半田、錫などのメッキ
第2層7を形成し、チップ型の積層セラミックコンデン
サ1が製造される。以下では、より詳細な実施例につい
て説明する。
純度のTiCl4とBa(NO3)とを準備して秤量した
後、蓚酸により蓚酸チタニルバリウム{BaTiO(C
2O4)・4H2O}として沈殿させ、沈殿物を得た。こ
の沈殿物を1000℃以上の温度で加熱分解させて、表
1の4種類のチタン酸バリウム(BaTiO3)を合成
した。
30TiO2・0.70SiO2)−0.10Al2O
3(モル比)の組成割合になるように、各成分の酸化
物、炭酸塩および水酸化物を秤量し、混合粉砕後、蒸発
乾燥して粉末を得た。この粉末をアルミナルツボ中にお
いて、1300℃まで加熱溶融した後、急冷し、粉砕す
ることによって、平均粒径が1μm以下の酸化物粉末を
得た。
比mを調整するためのBaCO3と純度99%以上のE
u2O3、Gd2O3、Tb2O3、Dy2O3、Ho203、E
r2O3、Tm2O3、Yb2O3、MnOとを準備した。こ
れらの原料粉末と上記酸化物粉末を表2に示す誘電体セ
ラミック組成物の主成分が得られるように配合し、配合
物を得た。この配合物にポリビニルブチラール系バイン
ダーおよびエタノール等の有機溶剤を加えて、ボールミ
ルにより湿式混合し、セラミックスラリーを調整した。
このセラミックスラリーをドクターブレード法によりシ
ート成形し、厚み11μmの矩形のグリーンシートを得
た。次に、このセラミックグリーンシート上に、Niを
主体とする導電ペーストをスクリーン印刷し、内部電極
を構成するための導電ペースト層を形成した。
リーンシートを導電ペーストの引き出されている側が互
い違いとなるように複数枚積層し、積層体を得た。この
積層体を、N2雰囲気中にて350℃の温度に加熱し、
バインダーを燃焼させた後、酸素分圧10-9〜10-12
MPaのH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気中
において表3に示す温度で2時間焼成し、セラミック焼
結体を得た。
面にB2O3−Li2O−SiO2−BaO系のガラスフリ
ットを含有する銀ペーストを塗布し、N2雰囲気中にお
いて600℃の温度で焼付け、内部電極と電気的に接続
された外部電極を形成した。
コンデンサの外形寸法は幅;5.0mm、長さ;5.7
mm、厚さ;2.4mmであり、内部電極間に介在する
誘電体セラミック層の厚みは58μmであった。また、
有効誘電体セラミック層の総数は32であり、一層当た
りの対向電極の面積は16.3×10-6m2であった。
した。静電容量(C)および誘電損失(tanδ)は自
動ブリッジ式測定器を用いて、周波数1KHz、1Vr
ms、温度25℃にて測定し、静電容量から誘電率
(ε)を算出した。次に、絶縁抵抗(R)を測定するた
めに、絶縁抵抗計を用い、630Vの直流電圧を2分間
印加して25℃、125℃での絶縁抵抗(R)を測定
し、静電容量(C)と絶縁抵抗(R)との積、すなわち
CR積を求めた。また、温度変化に対する静電容量の変
化率を測定した。
については、20℃での静電容量を基準とした−25℃
と85℃での変化率(ΔC/C20)と、25℃での静電
容量を基準とした−55℃と125℃での変化率(ΔC
/C25)および−55℃〜125℃の範囲内で絶対値と
してその変化率が最大である値(|ΔC|max)を示し
た。
個づつ、温度150℃にて直流電圧を1000V印加し
て、その絶縁抵抗の経時変化を測定した。なお、高温負
荷寿命試験は各試料の絶縁抵抗値(R)が106Ω以下
になったときの時間を寿命時間とし、その平均寿命時間
を示す。
/秒でAC電圧及びDC電圧をそれぞれ印加し、AC電
圧およびDC電圧での破壊電圧を測定した。
発明の積層セラミックコンデンサは誘電率が3000以
上と高く、誘電損失tanδは1.7%以下で、温度に
対する静電容量の変化率が−25℃〜+85℃での範囲
でJIS規格に規定されているB特性規格を満足し、−
55℃と125℃での範囲内でEIA規格に規定されて
いるX7R特性規格を満足する。
CR積で表したときに、それぞれ6000Ω・F以上、
2000Ω・F以上と高い値を示す。また、絶縁破壊電
圧がAC電圧で12〜13kV/mm、DC電圧で14
〜15kV/mmと大きい値を示す。さらに、平均寿命
時間が600時間以上と長く、焼成温度も1300℃以
下と比較的低温で焼成可能である。
明する。 {BaO}m・TiO2+αRe2O3+β・MnO(ただ
し、Re2O3はEu2O3、Gd2O3、Tb2O3、Dy2
O3、Ho203、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3の中か
ら選ばれる少なくとも1種類)において、αを0.00
05≦α≦0.027の範囲に限定したのは、試料番号
1のように、Re2O3添加量αが0.0005未満の場
合、誘電率が3000以下と小さく、25℃、125℃
のCR積が小さいこと、また、平均寿命時間が短くなる
からである。
量αが0.027を超える場合には、焼成温度が高くな
り、誘電率が3000以下と小さくなり、CR積も小さ
く、絶縁破壊電圧もAC電圧,DC電圧ともに小さくな
り、かつ、平均寿命時間も短くなるからである。
範囲に限定したのは、試料番号2のように、MnO添加
量βが0.002未満の場合、還元雰囲気で焼成したと
きに磁器が還元され、半導体化して絶縁抵抗が低下して
しまうからである。
量βが0.054を超える場合には、25℃、125℃
のCR積の低下、絶縁破壊電圧の低下、平均寿命時間の
低下が見られるからである。
たのは、試料番号20のように、β/αが5を超える場
合には、25℃、125℃のCR積の低下、絶縁破壊電
圧の低下、平均寿命時間の低下が見られるからである。
範囲に限定したのは、試料番号3及び試料番号4のよう
に、チタン酸バリウムのモル比mが1.000以下の場
合には、還元性雰囲気で焼成したとき誘電体セラミック
が還元され、半導体化して絶縁抵抗が低下してしまった
り(試料番号3)、AC電圧,DC電圧ともに絶縁破壊
電圧が小さくなり、CR積も小さくなり、平均寿命時間
も短くなる(試料番号4)からである。
1.035を超える場合には、焼結性が極端に悪くなる
からである。
2O3−ZrO2系の酸化物の添加量を0.2〜3.0重
量部の範囲に限定したのは、試料番号5のように、酸化
物の量が0.2重量部未満の場合には、焼結不足となる
からである。
加量が3.0重量部を超える場合には、誘電率が300
0を超えず、誘電体損失は2.0%を超え、CR積も2
5℃では6000M・Ωを、125℃では2000M・
Ωを超えず、AC電圧の絶縁破壊電圧は12kV/mm
を超えず、DC電圧の絶縁破壊電圧は14kV/mmを
超えず、平均寿命時間も短いからである。
含まれるアルカリ金属酸化物の含有量を0.02重量%
以下としたのは、試料番号23のように、アルカリ金属
酸化物の含有量が0.02重量%を越える場合には、誘
電率の低下を生じるからである。
て、表1のAのチタン酸バリウムを用いて、Ba1.0350
・TiO2+0.0010Tb2O3+0.0030Dy2
O3+0.0040MnO(モル比)の原料を準備し、
1200〜1500℃で加熱して作製した表4に示す平
均粒径1μm以下のLi2O−(Si,Ti)O2−Al
2O3−ZrO2系の酸化物を添加して、実施例1と同様
の方法で内部電極と電気的に接続された銀からなる外部
電極を形成した積層セラミックコンデンサを作製した。
なお、作製した積層セラミックコンデンサの外形寸法な
どは、実施例1と同様である。また、電気的特性の測定
方法は実施例1と同条件で行った。以上の結果を表5に
示した。
Li2O−(Si,Ti)O2−Al2O3−ZrO2系の
酸化物を添加含有した誘電体セラミック層から構成され
る積層セラミックコンデンサは、誘電率が3000以上
と高く、誘電体損失tanδは1.7%以下で温度に対
する静電容量の変化率が、−25℃〜85℃での範囲で
JIS規格に規定されているB特性規格を満足し、−5
5℃と125℃での範囲内でEIA規格に規定されてい
るX7R特性規格を満足する。
CR積で表したときに、それぞれ6000Ω・F以上、
2000Ω・F以上と高い値を示す。また、絶縁破壊電
圧がAC電圧で12〜13kV/mm、DC電圧で14
〜15kV/mmと大きい値を示す。さらに、平均寿命
時間が600時間以上と長く、焼成温度も1300℃以
下と比較的低温で焼成可能である。
i,Ti)O2−Al2O3−ZrO2系の酸化物は、図4
に示す三角図としたときに、Li2Oが20モル%,
(Si,Ti)O2が80モル%,Mが0モル%の組成
を示す点Aと、Li2Oが10モル%,(Si,Ti)
O2が80モル%,Mが10モル%の組成を示す点B
と、Li2Oが10モル%,(Si,Ti)O2が70モ
ル%,Mが20モル%の組成を示す点Cと、Li2Oが
35モル%,(Si,Ti)O2が45モル%,Mが2
0モル%の組成を示す点Dと、Li2Oが45モル%,
(Si,Ti)O2が45モル%,Mが10モル%の組
成を示す点Eと、Li2Oが45モル%,(Si,T
i)O2が55モル%,Mが0モル%の組成を示す点F
との6点を結ぶ6本の直線で囲まれた領域の内部または
その直線上の範囲外にある試料番号113〜117につ
いては、焼結不足となるか,焼結しても誘電率が小さく
なったり、誘電損失が大きくなったり、100V/mm
の交流電圧を印加したときの誘電損失が大きくなった
り、25℃、125℃共にCR積が小さくなったり、絶
縁破壊電圧(交流電圧、直流電圧ともに)が小さく、ま
た、平均寿命時間が極端に短くなるので好ましくない。
であっても、点A−F上の組成であり、かつ、w=1.
0の場合には、試料番号119、121のように焼結性
が極端に低下するので好ましくない。また、w=0.3
0未満の場合には試料番号122のように焼結性が極端
に低下するので好ましくない。
として、蓚酸法により作製した粉末を用いたが、これに
限定するものではなく、アルコキシド法あるいは水熱合
成法により作製されたチタン酸バリウム粉末を用いても
よい。これらの粉末を用いることにより、本実施例で示
した特性よりも向上することも有り得る。また、酸化ユ
ーロピウム,酸化ガドリニウム,酸化テルビウム,酸化
ジスプロシウム,酸化ホルミウム,酸化エルビウム,酸
化ツリウム,酸化イッテルビウム,酸化マンガンなども
酸化物粉末を用いたが、これに限定されるものではな
く、本発明の範囲の誘電体セラミック層を構成するよう
に配合すれば、アルコキシド、有機金属などの溶液を用
いても、得られる特性を何ら損なうものではない。
いれば、誘電体セラミック層が還元雰囲気中で焼成して
も還元されず、半導体化しない誘電体セラミック組成物
から構成されているので、電極材料として卑金属である
ニッケル及びニッケル合金を用いることができ、130
0℃以下と比較的低温で焼成可能であるため、積層セラ
ミックコンデンサのコストダウンを図ることができる。
た積層セラミックコンデンサは、誘電率が3000以上
あり、しかも、絶縁抵抗も高く、高温下、高湿下での特
性劣化のない優れた特性を示す。さらに、誘電体セラミ
ック層中の希土類酸化物の分散性が向上し、凝集箇所が
ないので、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミッ
ク層の厚みを薄くしても、絶縁耐力が高く、しかも、小
型で大容量の積層セラミックコンデンサを得ることがで
きる。
ンサの概略断面図。
体セラミック層の概略平面図。
解斜視図。
O2系の酸化物の組成範囲を示す3成分組成図。
Claims (4)
- 【請求項1】 複数の誘電体セラミック層と、 それぞれの端縁が前記誘電体セラミック層の両端面に露
出するように前記誘電体セラミック層間に形成された複
数の内部電極と、 露出した前記内部電極に電気的に接続されるように設け
られた外部電極を含む積層セラミックコンデンサにおい
て、 前記誘電体セラミック層が、 不純物として含まれるアルカリ金属酸化物の含有量が
0.02重量%以下のチタン酸バリウムと、 酸化ユーロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウ
ム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビ
ウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウムとからなり、 次の組成式、 {BaO}m・TiO2+αRe2O3+βMnO (ただし、Re2O3はEu2O3、Gd2O3、Tb2O3、
Dy2O3、Ho203、Er2O3、Tm2O3、Yb2O3の
中から選ばれる少なくとも1種類、 α、β、mは、 0.0005≦α≦0.027 0.002≦β≦0.054 β/α≦ 5 1.000<m≦1.035)で表される主成分100
重量部に対して、 副成分として、Li2O−(Si,Ti)O2−Al2O3
−ZrO2系の酸化物を0.2〜3.0重量部含有した
材料によって構成され、 前記内部電極はニッケルまたはニッケル合金によって構
成されることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。 - 【請求項2】 前記Li2O−(Si,Ti)O2−Al
2O3−ZrO2系の酸化物が、{Li2O,(SiwTi
1-w)O2,M}(ただし、0.30≦w≦1.0、Mは
Al2O3およびZrO2から選ばれる少なくとも1種
類)の三角図としたときに(単位はモル%)、 A(20,80, 0) B(10,80,10) C(10,70,20) D(35,45,20) E(45,45,10) F(45,55, 0) (ただし、直線A−F上の組成の場合は0.3≦w≦
1.0)の6点を結ぶ6本の直線で囲まれた領域の内部
または線上にあることを特徴とする請求項1に記載の積
層セラミックコンデンサ。 - 【請求項3】 前記外部電極は、導電性金属粉末または
ガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層によ
って構成されていることを特徴とする請求項1または請
求項2に記載の積層セラミックコンデンサ。 - 【請求項4】 前記外部電極は、導電性金属粉末または
ガラスフリットを添加した導電性金属粉末の焼結層から
なる第1層と、その上のメッキ層からなる第2層とから
なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
積層セラミックコンデンサ。
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