JPH10101745A - 吸液性樹脂およびその製造方法 - Google Patents
吸液性樹脂およびその製造方法Info
- Publication number
- JPH10101745A JPH10101745A JP9204630A JP20463097A JPH10101745A JP H10101745 A JPH10101745 A JP H10101745A JP 9204630 A JP9204630 A JP 9204630A JP 20463097 A JP20463097 A JP 20463097A JP H10101745 A JPH10101745 A JP H10101745A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid
- absorbent resin
- solution
- weight
- polymerization
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
少ない吸液性樹脂を提供する。 【解決手段】 環状N−ビニルラクタムを含む単量体成
分と、アリル基含有化合物を含む架橋性成分とを、得ら
れる吸液性樹脂に対して親和性を有する溶液中で共重合
させることにより、ゲル状の架橋重合体を得る。その
後、該架橋重合体を乾燥させて吸液性樹脂とする。上記
の溶液としては、水および溶解度パラメータ9( cal /
cm3 ) 1/2 以上の親水性有機溶媒から選ばれる少なくと
も一種の溶媒が挙げられ、そのなかでも水が最も好まし
い。
Description
々の溶液に対する吸液性に優れると共に可溶成分が少な
く、広範囲の用途に好適に用いられる吸液性樹脂および
その製造方法に関するものである。
造を有する水膨潤性ポリマーは、その吸液性や保液性を
利用した種々の分野への適用が考えられている。例え
ば、紙おむつ等の衛生材料、生理用品、コンタクトレン
ズ、化粧品、塗料、接着剤、止水剤、土壌改良剤等の用
途、あるいは薬物徐放制御などの医療分野での利用研究
が行われている。
リマーは、様々な方法で製造されるが、工業的にしばし
ば用いられる方法として、一種類または複数種のビニル
化合物を単量体としてラジカル重合等の方法で付加重合
することにより重合体を得るに際し、当該ビニル化合物
と共重合可能なビニル基等の官能基を複数個有する化合
物(すなわち、架橋剤)とを共重合させることによりポ
リマー鎖中に架橋点を導入する方法が知られている。
ては、例えば、ポリアクリル酸系の吸液性樹脂や、ポリ
ビニルアセトアミド系の吸液性樹脂(特開平4−230
250号公報、特開平8−59743号公報参照)等が
知られている。
吸液性樹脂は、何れも、吸液性、特に塩等を多く含む電
解質の溶液を吸液する吸液性が充分であるとは言い難
い。このため、上記従来の吸液性樹脂は、種々の水溶性
物質を含む電解質溶液を吸液して保持する必要がある用
途分野に用いる場合には、使用上の制限を受けるという
問題点を有している。このため、さらに吸液性が向上し
た吸液性樹脂およびその製造方法が求められている。
は、水性液体と接触した場合に、比較的多量の可溶成分
が溶出してくる。このため、上記ポリアクリル酸系の吸
液性樹脂は、安全性および耐久性に問題がある。
たものであり、その目的は、従来よりも吸液性が高く、
しかも可溶成分が少ない吸液性樹脂およびその製造方法
を提供することにある。
的を達成すべく鋭意検討した結果、環状N−ビニルラク
タムを含む単量体成分と、アリル基含有化合物を含む架
橋性単量体とを共重合させてゲル状の吸液性樹脂を得る
ことにより、従来よりも吸液性が高く、しかも可溶成分
が少ない吸液性樹脂を得ることができることを見いだし
て本発明を完成させるに至った。
製造方法は、上記の課題を解決するために、環状N−ビ
ニルラクタムを含む単量体成分と、アリル基含有化合物
を含む架橋性単量体とを、得られる吸液性樹脂に対して
親和性を有する溶液中で共重合させてゲル状の吸液性樹
脂を得ることを特徴としている。
法は、上記の課題を解決するために、環状N−ビニルラ
クタムを含む単量体成分と、アリル基含有化合物を含む
架橋性単量体とを溶液中で共重合させる工程を含み、上
記工程において、得られる吸液性樹脂中間体は、上記溶
液をその内部に保持した状態で架橋されることを特徴と
している。
法は、上記の課題を解決するために、請求項1または2
記載の吸液性樹脂の製造方法において、上記溶液が、水
および/または溶解度パラメータ9( cal /cm3 ) 1/2
以上の親水性有機溶媒であることを特徴としている。
法は、上記の課題を解決するために、請求項1〜3の何
れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方法において、上記
溶液中の単量体濃度を、25重量%〜80重量%の範囲内に
調整することを特徴としている。
法は、上記の課題を解決するために、請求項1〜4の何
れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方法において、上記
単量体成分中の環状N−ビニルラクタムの含有量が40モ
ル%以上であることを特徴としている。
法は、上記の課題を解決するために、請求項1〜5の何
れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方法において、上記
アリル基含有化合物が、ジアリルアミン、トリアリルア
ミン、テトラアリロキシエタン、トリアリルシアヌレー
ト、トリアリルイソシアヌレート、(ポリ)エチレング
リコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパント
リアリルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一
種の化合物であることを特徴としている。
法は、上記の課題を解決するために、請求項1〜6の何
れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方法において、上記
環状N−ビニルラクタムがN−ビニルピロリドンおよび
/またはN−ビニルカプロラクタムであることを特徴と
している。
タムを含む単量体成分と、アリル基含有化合物を含む架
橋剤とを得られる吸液性樹脂に対して親和性を有する溶
液中で共重合させることで、得られる吸液性樹脂やその
中間体が、重合反応中に沈殿することなく、均一に重合
が進行する。このため、重合の制御が容易であり、しか
も、上記吸液性樹脂中間体が、上記の溶液によって膨潤
し、その内部に溶液を保持した状態で架橋されるため、
吸液性樹脂中間体表面および内部において均一な架橋を
行うことができる。従って、上記の構成によれば、吸液
性、特に高濃度の電解質溶液や有機溶媒に対する吸液性
に優れると共に、可溶成分の少ない吸液性樹脂を安定し
て得ることができる。
は、上記の課題を解決するために、塩化ナトリウムの20
重量%水溶液、塩化カルシウムの20重量%水溶液、塩化
マグネシウムの20重量%水溶液に対するそれぞれの吸液
倍率の合計が、90以上であり、かつ、可溶成分が20重量
%以下であることを特徴としている。
含む電解質溶液を吸液する吸液性が充分であるから、種
々の水溶性物質を含む電解質溶液を吸液して、安定に保
持することが可能となる。よって、上記吸液性樹脂は、
種々の電解質溶液の保持を制御する必要がある各分野に
好適に用いることができる。しかも、上記吸液性樹脂
は、可溶成分が20重量%以下と少なく、耐久性に優れる
と共に、安全性が必要とされる分野にも好適に用いるこ
とができる。
いて詳しく説明する。本発明にかかる吸液性樹脂は、環
状N−ビニルラクタムを含む単量体成分と、アリル基含
有化合物を含む架橋性単量体とを共重合させてなる架橋
重合体であり、本発明にかかる上記吸液性樹脂の製造方
法は、上記環状N−ビニルラクタムを含む単量体成分
と、アリル基含有化合物を含む架橋性単量体(以下、架
橋剤と記す)とを溶液ゲル重合させることにより、ゲル
状の吸液性樹脂を得ることを特徴としている。
体成分と架橋剤とを、実質上、均一に溶解させた溶液重
合を行うことで、重合後は、得られる架橋重合体と溶液
とが一体化したゲル状物を形成する重合を示す。上記重
合反応では、該重合反応中に生成する架橋重合体あるい
はその中間体が析出し、沈殿することなく重合が進行す
る。
いて原料として用いられる上記環状N−ビニルラクタム
としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラ
クタム、N−ビニルイミダゾリン等が挙げられる。これ
ら環状N−ビニルラクタムは、一種類のみを用いてもよ
いし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。これ
ら環状N−ビニルラクタムのなかでも、N−ビニルピロ
リドンおよび/またはN−ビニルカプロラクタムが好ま
しく、単量体および得られる吸液性樹脂の安全性の観点
から、N−ビニル−2−ピロリドンが特に好ましい。
N−ビニルラクタム以外のその他の単量体、即ち、上記
環状N−ビニルラクタムと共重合可能な単量体を、上記
吸液性樹脂が備えるべき性能を損なわない範囲内で含ん
でいてもよい。上記その他の単量体としては、具体的に
は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、ビニル
スルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレ
ート、およびそれらのアルカリ金属塩またはアンモニウ
ム塩;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよ
びその4級化物;(メタ)アクリルアミド、メトキシポ
リエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シアルキル(メタ)アクリレート、N−イソプロピル
(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
いてもよいし、適宜、二種類以上を混合して用いてもよ
い。これらその他の単量体のなかでも、(メタ)アクリ
ル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸、スルホアルキル(メタ)アクリレート、
およびそれらのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその
4級化物、(メタ)アクリルアミド、メトキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選
択される少なくとも一種の単量体が特に好ましい。
クタムの割合は、好ましくは40モル%以上であり、さら
に好ましくは60モル%以上であり、特に好ましくは80モ
ル%以上であり、最も好ましくは100 モル%である。上
記単量体成分における環状N−ビニルラクタムの割合が
40モル%未満であれば、耐塩性、すなわち塩濃度の高い
溶液に対する吸液性に乏しいものとなる。また、エタノ
ールや炭酸プロピレン(4-Metyl-1,3-dioxolan-2-one)
等の有機溶媒や高濃度無機塩を含有する水溶液を吸収さ
せる場合には、上記単量体成分は、環状N−ビニルラク
タムを80モル%以上、特に好ましくは 100モル%含有し
ていることが望ましい。
いて原料として用いられる架橋剤は、アリル基含有化合
物を必須成分として含んでいる。一分子中にアリル基を
1個有する架橋性の単量体としては、例えば、アリルメ
タクリレートやアリルグリシジルエーテル等が挙げられ
る。このうち、アリルグリシジルエーテルは、アクリル
酸等、酸基を有する単量体を共重合する場合に用いるこ
とができる。
する架橋性の単量体としては、ジアリルアミン、トリア
リルアミン、テトラアリロキシエタン、トリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレート、(ポリ)エチ
レングリコールジアリルエーテル、ジアリルエーテル、
トリメチロールプロパントリアリルエーテル、アリルス
ルフィド、アリルジスルフィド、ジアリルウレア、トリ
メリット酸トリアリル、ジアリルジメチルアンモニウム
クロライド、ジアリルシュウ酸ナトリウム、フタル酸ジ
アリルやコハク酸ジアリル等の多塩基酸のジアリルエス
テル等が挙げられる。
有する架橋性の単量体であれば、特に限定されるもので
はないが、一分子中にアリル基を2個以上含有する架橋
性の単量体であることが好ましい。上記アリル基含有化
合物のなかでも、ジアリルアミン、トリアリルアミン、
テトラアリロキシエタン、トリアリルシアヌレート、ト
リアリルイソシアヌレート、(ポリ)エチレングリコー
ルジアリルエーテル、ジアリルエーテル、トリメチロー
ルプロパントリアリルエーテルからなる群より選ばれる
少なくとも一種の化合物が、反応性が良好であり、か
つ、入手が容易であると共に、少量で高い架橋効率を得
ることができるので好ましい。
以外の架橋性の単量体を、本発明の効果を阻害しない範
囲内で含んでいてもよい。上記アリル基含有化合物以外
の架橋性の単量体としては、具体的には、例えば、N,N'
−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、N,N'−ジビニル−2−イミダゾリジ
ノン、N,N'−1,4 −ブチレンビス(N−ビニルアセトア
ミド)等が挙げられるが、重合性を示すエチレン性不飽
和二重結合を分子内に2個以上有する化合物であれば、
特に限定されるものではない。また、上記単量体成分
が、カルボキシル基やスルホン酸基等の酸基を有する単
量体を含む場合には、酸基と反応することのできる官能
基を分子内に2個以上有する化合物を用いることができ
る。このような化合物としては具体的には、例えば、
(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、エ
チレンジアミン、ポリエチレンイミン、(ポリ)エチレ
ングリコール、グリセリン等が挙げられる。
成分に対する架橋剤の添加量は、重合条件や単量体成分
の組成等にもよるが、単量体成分に対し、 0.001モル%
〜5モル%の範囲内が好ましく、0.01モル%〜2モル%
の範囲内がさらに好ましい。上記架橋剤の使用量が 0.0
01モル%よりも少なければ、架橋した重合体が得られ
ず、水溶性の樹脂となる。一方、上記架橋剤の使用量が
5モル%よりも多ければ、水の吸収による膨潤が阻害さ
れて、吸液性能が劣化した不溶性の樹脂となる。尚、上
記単量体成分が90モル%以上の環状N−ビニルラクタム
を含む場合には、上記架橋剤の使用量は0.01モル%〜2
モル%の範囲内であることが好ましい。
溶液としては、得られる架橋性重合体に対して親和性を
有する溶液が用いられる。上記の溶液としては、上記の
単量体成分や架橋剤を溶解し、重合後、得られる架橋性
重合体と均一なゲルを形成し得るものであれば、特に限
定されるものではないが、具体的には、水、溶解度パラ
メータ9( cal /cm3 ) 1/2 以上好ましくは10( cal /
cm3 ) 1/2 以上の親水性有機溶媒、または水と上記親水
性有機溶媒との混合溶媒等が用いられる。
プロピレンカーボネート(溶解度パラメータ13.3( cal
/cm3 ) 1/2 ;以下、有機溶媒の例示における括弧内の
数字は溶解度パラメータを示す)、エチレンカーボネー
ト(14.7)、ジメチルカーボネート(9.9) 、γ−ブチルラ
クトン(12.6)、1,4 −ジオキサン(10.0)、テトラヒドロ
フラン(9.1) 、メタノール(14.5)、エタノール(12.7)、
エチレングリコール(14.6)、グリセリン(16.5)等が挙げ
られる。
脂にアルコールやプロピレンカーボネート等の親水性有
機溶媒を吸液させて用いる場合、環状N−ビニルラクタ
ムを含む単量体成分の重合を上記有機溶媒中で行い、得
られるゲル状の吸液性樹脂を所望の形状に成形して用い
ることもできる。また、上記有機溶媒中には、芳香剤、
薬剤、電解質等を添加しておくこともできる。
の極性を表すファクターとして一般に用いられる値であ
る。本発明においては、上記の溶解度パラメータに対し
て、ポリマーハンドブック第3版(WILEY INTERSCIENCE
社発行) 527頁〜 539頁に記載されている溶媒の溶解度
パラメータδ( cal /cm3 ) 1/2 の値を適用することと
する。また、上記の頁に記載されていない溶媒の溶解度
パラメータに関しては、該ポリマーハンドブックの 524
頁に記載されているSmallの式に、同 525頁に記載
されているHoyの凝集エネルギー定数を代入して導か
れる値を適用することとする。
記親水性有機溶媒との混合溶媒であり、最も好ましくは
水単独である。上記の溶液として水を用いて水溶液重合
(水溶液ゲル重合)を行うことにより、より吸液性に優
れる共に、より可溶成分が少ない吸液性樹脂を得ること
ができる。しかも、水溶液重合を行うことで、取り扱い
性が向上すると共に、重合熱の除去がより一層容易にな
る。
m3 ) 1/2 よりも小さい疎水性の有機溶媒、例えば、シ
クロヘキサン(8.2)やヘキサン(7.3)を上記の溶液とし
て用いると、重合反応中に架橋重合体およびその中間体
が上記溶媒から析出し、沈殿するため、均一な重合を行
うことができなくなる。また、溶解度パラメータが9(
cal /cm3 ) 1/2 よりも大きい場合であっても、疎水性
の有機溶媒、例えばベンゼン(9.2)を用いた場合には、
重合反応中に架橋重合体およびその中間体が上記溶媒か
ら析出し、沈殿するため、均一な重合を行うことができ
ない。このため、上記疎水性の有機溶媒を単独で用いる
ことによりいわゆる沈殿重合を行った場合、重合の制御
が困難となる。しかも、該沈殿重合により架橋重合体お
よびその中間体は、上記沈殿重合に用いられる溶媒を殆
ど吸液せず、ゲルを形成しないことから、得られる架橋
重合体およびその中間体は、その内部に溶液を保持して
いない。このため、上記架橋重合体中間体は、その内部
において均一な架橋を行うことができない。従って、こ
のように架橋重合体およびその中間体が重合反応中に析
出、沈殿するいわゆる沈殿重合を行った場合、吸液性に
優れ、かつ、可溶成分が少ない吸液性樹脂を得ることが
できなくなる。
は、一般的に、粒径が約1μm以下と非常に細かい。こ
のため、沈殿重合で得られた架橋重合体を吸液剤として
の用途に使用する場合、ゲルとしての保形性を保つこと
は困難である。また、このように粒径が非常に細かな架
橋重合体を吸液剤として用いる場合、粉塵が発生し、衛
生上、問題が生じることがある。しかも、吸液時に継粉
が生じ、充分な吸液性を発揮することが困難となること
がある。従って、このような架橋重合体を吸液剤として
使用することは適当ではない。
む単量体成分と、アリル基含有化合物を含む架橋剤とを
溶液ゲル重合させている。このため、本発明では、得ら
れる架橋性重合体やその中間体が、重合反応中に沈殿す
ることなく、均一に重合が進行する。このため、重合の
制御が容易である。しかも、本発明では、重合反応にお
いて、架橋性重合体中間体が、上記の溶液によって膨潤
し、その内部に溶液を保持した状態で架橋される。この
ため、上記架橋性重合体中間体内部には、架橋剤が均一
に分散され、この結果、架橋性重合体中間体表面および
内部において均一な架橋を行うことができる。従って、
本発明によれば、吸液性に優れ、かつ、可溶成分の少な
い吸液性樹脂(架橋重合体)を得ることができる。
合させる方法としては、例えば、(a) 上記単量体成分お
よび架橋剤を、水および/または上記親水性有機溶媒に
溶解させて共重合させる方法、(b) 上記の単量体成分お
よび架橋剤を溶解させた水溶液を、必要により分散剤の
存在下、疎水性有機溶媒中に懸濁させて重合させる方法
等が挙げられる。
中には、例えば、(i) ベルトやバット上、あるいは、ビ
ーカー等の容器中で静置重合する方法や、(ii)双腕型ニ
ーダー中で、必要に応じて撹拌しながら重合する方法、
(iii) 単量体成分および架橋剤を含む溶液を、不織布や
フィルム等の基材に塗工した後、上記基材上で単量体成
分の重合を行う方法等が含まれる。特に、上記(iii) の
方法を用いれば、重合体と基材とが一体化した複合体を
得ることができる。
される方法として、例えば、上記単量体成分および架
橋剤を含む溶液を重合開始剤の存在下で静置あるいは撹
拌しながら重合させる方法、上記単量体成分および架
橋剤を含む溶液に、電子線やγ線等を照射して重合させ
る方法、上記単量体成分および架橋剤を含む溶液を、
不織布や微孔性のフィルム等の基材に塗工し、基材上で
直接重合させる方法等が挙げられる。
上記(b) の方法を採用する場合における上記疎水性有機
溶媒としては、具体的には、前述したシクロヘキサンや
シクロヘプタン等が挙げられるが、水と均一に混合しな
い有機溶媒であれば、特に限定されるものではない。上
記(b) の方法を採用する場合、重合反応は、上記水溶液
中で進行する。従って、上記の単量体成分および架橋剤
を溶解させた水溶液に対する疎水性有機溶媒の使用量
は、特に限定されるものではないが、例えば、上記の水
溶液に対して、重量比で2倍〜10倍の割合で用いればよ
い。また、上記分散剤としては、具体的には、ソルビタ
ンモノステアレートやソルビタンモノパルミテート、エ
チルセルロース等の界面活性剤が挙げられるが、特に限
定されるものではない。尚、上記分散剤の使用量も特に
限定されるものではない。
た場合にも、上記の単量体成分と架橋剤とは、得られる
架橋性重合体に対して親和性を有する上記の溶液中で共
重合されてゲルを形成する。本発明において、上記の溶
液(吸液性樹脂に対して親和性を有する溶液)中におけ
る単量体の割合は、25重量%〜80重量%の範囲内である
ことが好ましい。上記単量体成分の濃度が25重量%未満
であれば、架橋した重合体が得られず、得られた重合体
が水等に溶解してしまう虞れがある。また、架橋した重
合体が得られた場合でも、重合後のゲル状重合体を解砕
することが困難となる。さらに、得られたゲル状重合体
の乾燥に長い時間を必要とし、乾燥中に重合体が劣化し
てしまうことがある。一方、単量体成分の濃度が80重量
%を越えると、重合の制御が困難となり、吸液性能に優
れた架橋重合体が得られなくなったり、架橋が不均一と
なり、可溶成分が増加してしまう虞れがある。
開始させる際には、重合開始剤、或いは、紫外線や電子
線等の活性エネルギー線等を用いることができる。
しては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々
の重合開始剤を用いることができる。上記重合開始剤の
なかでも、アゾ系開始剤、具体的には、例えば、2,2'−
アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2'−ア
ゾビス〔2−(N−アリルアミジノ)プロパン〕2塩酸
塩、2,2'−アゾビス{2−〔N−(2−ヒドロキシエチ
ル)アミジノ〕プロパン}2塩酸塩等のアゾアミジン化
合物、2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン〕2塩酸塩等の環状アゾアミジン化合
物、2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキ
シエチル)プロピオンアミド〕等のアゾアミド化合物、
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が好ましく、2,2'−
アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2'−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等がさらに好ま
しい。また、上記の重合反応を行う際に、溶媒として水
を用いる場合には、環状N−ビニルラクタムの重合性お
よび得られる吸液性樹脂の吸液性能等の観点から、2,2'
−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩等に代表
される水溶性アゾ系開始剤を用いることが特に好まし
い。さらに、上記重合開始剤として酸化性ラジカル重合
開始剤を用いる場合には、還元剤を併用してレドックス
重合を行ってもよい。
体成分の組成やその濃度および重合条件等により異なる
が、一般に、単量体成分1モルに対し0.01g〜5gの範
囲内であり、好ましくは0.05g〜1gの範囲内である。
上記重合開始剤の使用量が0.01g未満であれば、重合が
開始しなかったり、未重合の単量体成分が多くなったり
するという不都合を生じることがある。また、上記重合
開始剤が5gを越えると、重合の制御が困難となり、吸
液性能に優れた架橋重合体が得られなくなる虞れがあ
る。
限定されるものではないが、一般に0℃〜95℃の範囲内
であり、好ましくは20℃〜80℃の範囲内である。重合温
度が0℃よりも低い場合には、重合時間が長くなり過
ぎ、架橋重合体を効率的に得ることができなくなるので
好ましくない。また、重合温度が 95 ℃を越えると、重
合の制御が困難となり、吸液性に優れた吸液性樹脂を得
ることができなくなる虞れがある。
するように、重合温度や、単量体成分、架橋剤、および
溶液の種類や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定
すればよい。また、その他、圧力等の重合条件も特に限
定されるものではない。
を含む単量体成分と、アリル基含有化合物を含む架橋性
単量体とを溶液ゲル重合させることで、均一な架橋反応
を行うことができ、架橋効率が良く、べとつき感の少な
い解砕し易いゲル状の架橋重合体(ゲル状重合体)を得
ることができる。
体は、そのまま、或いは、必要に応じて洗浄や解砕等の
所定の操作を行なった後、乾燥される。上記ゲル状重合
体の乾燥方法としては、特に限定されるものではなく、
例えば、熱風乾燥、ドラムドライヤー等を用いた薄膜乾
燥、減圧乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥等、従来公知の種
々の乾燥方法を用いることができる。尚、この場合の上
記ゲル状重合体の乾燥温度は、特に限定されるものでは
ない。
ジェットミル等により、粉砕等の操作を行なって細粒化
した後、必要に応じてふるい分け等の分級操作を行なう
ことが望ましい。
る吸液性樹脂の可溶成分を低減させることができると共
に、吸液倍率が高く、しかも取り扱い性に優れた吸液性
樹脂を得ることができる。上記の製造方法により得られ
た吸液性樹脂は、塩化ナトリウムの20重量%水溶液、塩
化カルシウムの20重量%水溶液、塩化マグネシウムの20
重量%水溶液に対するそれぞれの吸液倍率の合計が90以
上という、高濃度の塩を含む電解質溶液に対する優れた
吸液性を有し、かつ、水可溶成分が20重量%以下と少な
いものとなる。また上記吸液性樹脂は、良好な保液性能
を有し、通常の使用条件下においては、一度、保液した
ものが外部に漏出することがない。
ば、吸液性、特に高濃度の電解質溶液に対する吸液性に
優れると共に、可溶成分の少ない吸液性樹脂を、汎用の
化合物を用いて安定に得ることができる。また、上記架
橋剤がアリル基含有化合物を含むことで、架橋効率を向
上させることができ、架橋剤の使用量を抑え、所望する
吸液性樹脂を安価に製造することができる。
く含む電解質溶液を吸液する吸液性が充分であるから、
種々の水溶性物質を含む電解質溶液を吸液して、安定に
保持することが可能となる。よって、上記吸液性樹脂
は、種々の電解質溶液の保持を制御する必要がある各分
野に好適に用いることができる。
触した場合の可溶成分が20重量%以下と少なく、耐久性
に優れると共に、安全性が必要とされる分野にも好適に
用いることができる。尚、上記可溶成分は、できるだけ
少ない方が好ましいが、耐久性の点からは、20重量%以
下であれば充分であり、安全性の点からも、例えば、紙
おむつ等の衛生材料や生理用品、塗料、接着剤、土壌改
良剤、光ケーブルや電線ケーブル用止水材等の用途に用
いる場合には、20重量%以下であれば充分である。ま
た、上記の吸液性樹脂を食品の保存剤等、さらに高い安
全性を要する用途に用いる場合には、単量体成分と架橋
剤との組み合わせや添加量等を適宜設定することによ
り、可溶成分をさらに抑えることができる。
コンタクトレンズ、化粧品、塗料、接着剤、止水剤、土
壌改良剤等の用途、および、薬物徐放制御等の医療分野
等、吸液性を必要とされる各種分野に好適に用いること
ができる。また、上記吸液性樹脂は、大きな脱水圧力下
においても高濃度の塩を含む溶液の吸液性に優れ、しか
も、可溶成分も20重量%以下と少ないので、海底ケーブ
ルの止水材等に用いると長期に渡って優れた止水性能を
示す。さらに、上記吸液性樹脂は、従来困難であった例
えば炭酸プロピレン等の有機溶媒やアルコール等の親水
性有機溶媒の吸液性にも優れることから、これら有機溶
媒等の回収や、人体に有害性を有する有機溶媒の吸引の
防止、ドラックデリバリーシステム、徐放性薬剤、芳香
剤用ゲル化剤や固形燃料等の用途に好適に用いることが
できると共に、電池用のゲル化剤等の用途にも好適に用
いることができる。
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、吸液性樹脂の吸液倍率は、
以下の方法で測定した。
布製のティーバッグの中に入れ、ヒートシールにより封
入した。このティーバッグを、試験溶液中に室温で浸漬
した。24時間後にティーバッグを引き上げ、遠心分離器
機を用いて1300rpmで3分間液切りを行った後、
上記ティーバッグの重量W1 (g)を測定した。別
途、同様の操作を架橋重合体を用いないで行い、そのと
きのティーバッグの重量W0 (g)をブランクとして求
めた。吸液倍率は次式
添加して16時間撹拌した後、予め秤量した濾紙およびメ
ンブランフィルターで濾過した。次いでこの濾液をエバ
ポレータで濃縮した後、秤量瓶中で105 ℃で乾燥し、残
査の重量(g)を測定した。可溶成分量は、次式
た環状N−ビニルラクタムであるN−ビニル−2−ピロ
リドン(mw 111.1)55.5g(0.5mol)、アリル基含有化合
物としてのシアヌル酸トリアリル(mw 249.3)0.0374
g、および水 129.5gを互いに混合して単量体成分の水
溶液を調製した。上記単量体成分における環状N−ビニ
ルラクタムの含有量は 100モル%、水溶液中における単
量体成分の濃度は30重量%、N−ビニル−2−ピロリド
ンに対するシアヌル酸トリアリルの割合は0.03モル%で
ある。
で溶存酸素を追い出すと共に、反応系を窒素ガス置換し
た。続いて、上記水溶液に重合開始剤としての2,2'−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩 0.125gを添
加し、 250mlのビーカー中、窒素雰囲気下で2時間重合
させてゲル状重合体を得た。
5mmの大きさに裁断し、窒素雰囲気下、 120℃で3時
間乾燥させた。尚、上記ゲル状重合体はべとつき感が少
なく、ハサミで容易に裁断することができた。その後、
乾燥物を粉砕し、メッシュの大きさが 850μmおよび 1
50μmの各ふるいでふるって、 850μmのふるいを通過
し、 150μmのふるい上に残る粒径を有する吸液性樹脂
(以下、吸液性樹脂(1)と記す)を得た。その後、上
記吸液性樹脂(1)の可溶成分並びに各種試験溶液中で
の吸液倍率を上述した方法により測定した。上記測定結
果を併せて表1に示す。
ら下段に順に示すように、純水、生理食塩水( 0.9重量
%食塩水)、人工尿、人工海水(商品名:アクアマリン
S、八洲薬品株式会社製)、塩化ナトリウムの20重量%
水溶液、塩化カルシウムの20重量%水溶液、塩化マグネ
シウムの20重量%水溶液、メタノール(MeOH)、エ
タノール(EtOH)、エチレングリコール(EG)、
炭酸プロピレンをそれぞれ用いた。
配合量は、以下の通りである。 人工尿の組成 各組成の配合量 硫酸ナトリウム 0.200 重量% 塩化カリウム 0.200 重量% 塩化マグネシウム6水和物 0.050 重量% 塩化カルシウム2水和物 0.025 重量% リン酸2水素アンモニウム 0.035 重量% リン酸水素2アンモニウム 0.015 重量% 脱イオン水 99.475 重量% 〔比較例1〕従来の吸液性樹脂である市販のポリアクリ
ル酸系吸液性樹脂(商品名:アクアリックCA、株式会
社日本触媒製、以下、比較吸液性樹脂(1)と記す)に
ついて、実施例1と同様の測定方法により可溶成分、並
びに、各種試験溶液中での吸液倍率を測定した。尚、上
記比較吸液性樹脂(1)は、実施例1と同様に各ふるい
でふるって、吸液性樹脂(1)と粒径を揃えた。上記測
定結果を併せて表1に示す。
報に記載に相当する吸液性樹脂として、N−ビニルアセ
トアミド系吸液性樹脂(商品名:NA−010、昭和電
工株式会社製、以下、比較吸液性樹脂(2)と記す)を
用い、実施例1と同様の測定方法により可溶成分、並び
に、各種試験溶液中での吸液倍率を測定した。尚、上記
比較吸液性樹脂(2)は、実施例1と同様に各ふるいで
ふるって、吸液性樹脂(1)と粒径を揃えた。上記測定
結果を表1に示す。
酸トリアリルの添加量を0.0374gから0.0623gに変更し
た以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って吸液性
樹脂(以下、吸液性樹脂(2)と記す)を得た。尚、上
記N−ビニル−2−ピロリドンに対するシアヌル酸トリ
アリルの割合は0.05モル%である。上記吸液性樹脂
(2)の可溶成分並びに純水および生理食塩水中での吸
液倍率を実施例1と同様の方法により測定した。上記測
定結果を表2に示す。
酸トリアリルに代えてアリル系架橋剤としてのテトラア
リロキシエタン0.0635gを用いた以外は、実施例1と同
様の反応・操作を行って吸液性樹脂(以下、吸液性樹脂
(3)と記す)を得た。尚、上記N−ビニル−2−ピロ
リドンに対するテトラアリロキシエタンの割合は0.05モ
ル%である。上記吸液性樹脂(3)の可溶成分並びに純
水および生理食塩水中での吸液倍率を実施例1と同様の
方法により測定した。上記測定結果を表2に示す。
た環状N−ビニルラクタムであるN−ビニル−2−ピロ
リドン 100部、アリル基含有化合物としてのトリアリル
イソシアヌレート0.09部、およびエタノール3331部を互
いに混合して単量体溶液を調製した。上記単量体溶液中
における単量体成分の濃度は30重量%、N−ビニル−2
−ピロリドンに対するトリアリルイソシアヌレートの割
合は0.05モル%である。
込んで溶存酸素を追い出すと共に、反応系を窒素ガス置
換した。続いて、上記単量体溶液に重合開始剤としての
2,2'−アゾビス(2,4 −ジメチルバレロニトリル)0.45
部を添加した後、上記単量体溶液を仕込んだ反応容器を
50℃の湯浴に浸して重合反応を開始させた。重合開始か
ら2時間経過後、透明なゲル状重合体が得られた。
した後、該ゲル状重合体 0.67 g(固形分換算で吸液性
樹脂約 0.2gに相当する)を正確に秤量し、5cm四方
の不織布製のティーバッグの中に入れ、ヒートシールに
より封入した。その後、このティーバッグを、室温で24
時間、エタノール中に浸漬して上記ゲル状重合体にさら
にエタノールを吸液させた。そして、前述した吸液倍率
の測定方法(a)と同様の測定方法により、上記ゲル状
重合体の乾燥物(吸液性樹脂)のエタノールに対する吸
液倍率を求めた。上記ゲル状重合体の乾燥物のエタノー
ルに対する吸液倍率は30.8(g/g)であった。
脂(1)は、比較吸液性樹脂(1)と比べて、試験溶液
としての純水および人工尿においてのみ吸液性能が劣っ
ていたが、他の試験溶液、特に、高濃度の各塩溶液や、
アルコール類や不凍液に用いられるエチレングリコー
ル、炭酸プロピレンなどの有機溶媒については、極めて
大きな吸液性能を有している。このため、吸液性樹脂
(1)は、上記試験溶液の吸液による回収や、人体に有
害性を有する有機溶媒の吸引の防止、ドラックデリバリ
ーシステム、徐放性薬剤、芳香剤用ゲル化剤や固形燃料
等に好適に用いられることが判る。
は少ないものの、吸液性、特に、高濃度の各塩溶液や、
炭酸プロピレンなどの有機溶媒の吸液性が充分ではな
い。本実施例で得られた吸液性樹脂(1)は、比較吸液
性樹脂(2)と比べて、例えば、塩化ナトリウムの20重
量%水溶液、塩化カルシウムの20重量%水溶液、塩化マ
グネシウムの20重量%水溶液に対するそれぞれの吸液倍
率の合計が、90(g/g)以上、炭酸プロピレンの吸液
倍率が2(g/g)以上というように、試験された各溶
液の全てに対して、優れた吸液性能をそれぞれ示してい
る。このため、上記吸液性樹脂(1)は、種々な試験溶
液に対して、従来より好適に用いられるものであること
が判る。
吸液性樹脂(1)・(2)と比べて、本願の吸液倍率の
測定方法のように、遠心分離器にて1300rpm、3分間
の液切りといった、大きな脱水圧力下においても、良好
な保液性能を有するものであり、通常の使用条件下にお
いては、一度、保液したものが外部に漏出することが防
止されている。よって、本発明の吸液性樹脂は、保液し
たものが外部に漏出することによる弊害が回避されたも
のとなっている。
発明によれば、アリル基含有化合物の種類や添加量によ
り、得られる吸液性樹脂の可溶成分をより一層低減させ
ることが可能であることが判る。さらに、実施例4の結
果から、本発明の製造方法で得られた吸液性樹脂は、親
水性有機溶媒の吸液性にも優れていることが判る。従っ
て、本発明の製造方法により得られた吸液性樹脂は、有
機溶媒の回収等の用途にも好適に用いることができるこ
とが判る。
方法は、以上のように、環状N−ビニルラクタムを含む
単量体成分と、アリル基含有化合物を含む架橋性単量体
とを、得られる吸液性樹脂に対して親和性を有する溶液
中で共重合させてゲル状の吸液性樹脂を得る方法であ
る。
法は、以上のように、環状N−ビニルラクタムを含む単
量体成分と、アリル基含有化合物を含む架橋性単量体と
を溶液中で共重合させる工程を含み、上記工程におい
て、得られる吸液性樹脂中間体は、上記溶液をその内部
に保持した状態で架橋される方法である。
法は、以上のように、請求項1または2記載の吸液性樹
脂の製造方法において、上記溶液が、水および/または
溶解度パラメータ9( cal /cm3 ) 1/2 以上の親水性有
機溶媒である構成である。
法は、以上のように、請求項1〜3の何れか1項に記載
の吸液性樹脂の製造方法において、上記溶液中の単量体
濃度を、25重量%〜80重量%の範囲内に調整する構成で
ある。
法は、以上のように、請求項1〜4の何れか1項に記載
の吸液性樹脂の製造方法において、上記単量体成分中の
環状N−ビニルラクタムの含有量が40モル%以上である
構成である。
法は、以上のように、請求項1〜5の何れか1項に記載
の吸液性樹脂の製造方法において、上記アリル基含有化
合物が、ジアリルアミン、トリアリルアミン、テトラア
リロキシエタン、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート、(ポリ)エチレングリコールジアリ
ルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテ
ルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であ
る構成である。
法は、以上のように、請求項1〜6の何れか1項に記載
の吸液性樹脂の製造方法において、上記環状N−ビニル
ラクタムがN−ビニルピロリドンおよび/またはN−ビ
ニルカプロラクタムである構成である。
タムを含む単量体成分と、アリル基含有化合物を含む架
橋剤とを得られる吸液性樹脂に対して親和性を有する溶
液中で共重合させることで、得られる吸液性樹脂やその
中間体が、重合反応中に沈殿することなく、均一に重合
が進行する。このため、重合の制御が容易であり、しか
も、上記吸液性樹脂中間体が、上記の溶液によって膨潤
し、その内部に溶液を保持した状態で架橋されるため、
吸液性樹脂中間体表面および内部において均一な架橋を
行うことができる。従って、上記の構成によれば、吸液
性、特に高濃度の電解質溶液や有機溶媒に対する吸液性
に優れると共に、可溶成分の少ない吸液性樹脂を安定し
て得ることができるという効果を奏する。
のように、塩化ナトリウムの20重量%水溶液、塩化カル
シウムの20重量%水溶液、塩化マグネシウムの20重量%
水溶液に対するそれぞれの吸液倍率の合計が、90以上で
あり、かつ、可溶成分が20重量%以下である構成であ
る。
性樹脂は、塩等を多く含む電解質溶液を吸液する吸液性
が充分であるから、種々の水溶性物質を含む電解質溶液
を吸液して、安定に保持することが可能となる。よっ
て、上記吸液性樹脂は、種々の電解質溶液の保持を制御
する必要がある各分野に好適に用いることができる。し
かも、上記吸液性樹脂は、可溶成分が20重量%以下と少
なく、耐久性に優れると共に、安全性が必要とされる分
野にも好適に用いることができるという効果を奏する。
Claims (8)
- 【請求項1】環状N−ビニルラクタムを含む単量体成分
と、アリル基含有化合物を含む架橋性単量体とを、得ら
れる吸液性樹脂に対して親和性を有する溶液中で共重合
させてゲル状の吸液性樹脂を得ることを特徴とする吸液
性樹脂の製造方法。 - 【請求項2】環状N−ビニルラクタムを含む単量体成分
と、アリル基含有化合物を含む架橋性単量体とを溶液中
で共重合させる工程を含み、 上記工程において、得られる吸液性樹脂中間体は、上記
溶液をその内部に保持した状態で架橋されることを特徴
とする吸液性樹脂の製造方法。 - 【請求項3】上記溶液が、水および/または溶解度パラ
メータ9( cal /cm3 ) 1/2 以上の親水性有機溶媒であ
ることを特徴とする請求項1または2記載の吸液性樹脂
の製造方法。 - 【請求項4】上記溶液中の単量体濃度を、25重量%〜80
重量%の範囲内に調整することを特徴とする請求項1〜
3の何れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方法。 - 【請求項5】上記単量体成分中の環状N−ビニルラクタ
ムの含有量が40モル%以上であることを特徴とする請求
項1〜4の何れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方法。 - 【請求項6】上記アリル基含有化合物が、ジアリルアミ
ン、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、
(ポリ)エチレングリコールジアリルエーテル、トリメ
チロールプロパントリアリルエーテルからなる群より選
ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする
請求項1〜5の何れか1項に記載の吸液性樹脂の製造方
法。 - 【請求項7】上記環状N−ビニルラクタムがN−ビニル
ピロリドンおよび/またはN−ビニルカプロラクタムで
あることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載
の吸液性樹脂の製造方法。 - 【請求項8】塩化ナトリウムの20重量%水溶液、塩化カ
ルシウムの20重量%水溶液、塩化マグネシウムの20重量
%水溶液に対するそれぞれの吸液倍率の合計が、90以上
であり、かつ、可溶成分が20重量%以下であることを特
徴とする吸液性樹脂。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9204630A JPH10101745A (ja) | 1996-08-08 | 1997-07-30 | 吸液性樹脂およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21029396 | 1996-08-08 | ||
JP8-210293 | 1996-08-08 | ||
JP9204630A JPH10101745A (ja) | 1996-08-08 | 1997-07-30 | 吸液性樹脂およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10101745A true JPH10101745A (ja) | 1998-04-21 |
Family
ID=26514563
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9204630A Pending JPH10101745A (ja) | 1996-08-08 | 1997-07-30 | 吸液性樹脂およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10101745A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001226431A (ja) * | 2000-02-10 | 2001-08-21 | Nippon Shokubai Co Ltd | ビニルピロリドン系重合体の製造法 |
JP2017043778A (ja) * | 2015-08-28 | 2017-03-02 | 株式会社日本触媒 | N−ビニルラクタム系架橋重合体の製造方法及びn−ビニルラクタム系架橋重合体 |
WO2018008760A1 (ja) | 2016-07-08 | 2018-01-11 | 株式会社日本触媒 | N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
JP2018043516A (ja) * | 2016-07-26 | 2018-03-22 | 株式会社日本触媒 | インク用吸収剤 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5443284A (en) * | 1977-09-12 | 1979-04-05 | Toray Ind Inc | Dope for forming soft contact lens |
JPS5615839A (en) * | 1979-07-20 | 1981-02-16 | Kureha Chem Ind Co Ltd | Gel for filtration |
-
1997
- 1997-07-30 JP JP9204630A patent/JPH10101745A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5443284A (en) * | 1977-09-12 | 1979-04-05 | Toray Ind Inc | Dope for forming soft contact lens |
JPS5615839A (en) * | 1979-07-20 | 1981-02-16 | Kureha Chem Ind Co Ltd | Gel for filtration |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001226431A (ja) * | 2000-02-10 | 2001-08-21 | Nippon Shokubai Co Ltd | ビニルピロリドン系重合体の製造法 |
JP2017043778A (ja) * | 2015-08-28 | 2017-03-02 | 株式会社日本触媒 | N−ビニルラクタム系架橋重合体の製造方法及びn−ビニルラクタム系架橋重合体 |
CN109415456A (zh) * | 2016-07-08 | 2019-03-01 | 株式会社日本触媒 | N-乙烯基内酰胺系交联聚合物、化妆料、油墨用吸收剂和吸收性复合体 |
WO2018008758A1 (ja) | 2016-07-08 | 2018-01-11 | 株式会社日本触媒 | N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
WO2018008759A1 (ja) | 2016-07-08 | 2018-01-11 | 株式会社日本触媒 | N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
WO2018008760A1 (ja) | 2016-07-08 | 2018-01-11 | 株式会社日本触媒 | N-ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
JPWO2018008759A1 (ja) * | 2016-07-08 | 2019-03-07 | 株式会社日本触媒 | N−ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
JPWO2018008758A1 (ja) * | 2016-07-08 | 2019-04-04 | 株式会社日本触媒 | N−ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
EP3482823A4 (en) * | 2016-07-08 | 2020-06-03 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | LACTAM-BASED CROSS-LINKED N-VINYL POLYMER, COSMETIC, ABSORBENT FOR INK AND ABSORBING COMPOSITION |
JP2020189983A (ja) * | 2016-07-08 | 2020-11-26 | 株式会社日本触媒 | N−ビニルラクタム系架橋重合体、化粧料、インク用吸収剤及び吸収性複合体 |
US11173472B2 (en) | 2016-07-08 | 2021-11-16 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | N-vinyl lactam-based crosslinked polymer, cosmetic, absorbent agent for ink, and absorbent composite |
US11786763B2 (en) | 2016-07-08 | 2023-10-17 | Nippon Shokubai Co., Ltd. | N-vinyl lactam-based crosslinked polymer, cosmetic, absorbent agent for ink, and absorbent composite |
JP2018043516A (ja) * | 2016-07-26 | 2018-03-22 | 株式会社日本触媒 | インク用吸収剤 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2922216B2 (ja) | 高吸水性ポリマー製造法 | |
US4735987A (en) | Method for manufacture of high-expansion type absorbent polymer | |
JP3957004B2 (ja) | 不飽和アミノアルコールで架橋された水膨潤性ポリマー、その製造及び使用 | |
JPH09502221A (ja) | 水性液吸収性粉末状ポリマー、その製造方法および吸収材としての用途 | |
US10391195B2 (en) | Super-absorbing polymers with rapid absorption properties and method for producing the same | |
CN113307904B (zh) | 一种吸水性树脂的制备方法 | |
JPS634843B2 (ja) | ||
JP2018145210A (ja) | 新規アクリル酸架橋重合体およびその使用 | |
JPS61271303A (ja) | 吸水性樹脂の製造方法 | |
JP2901368B2 (ja) | 耐塩性吸水性樹脂の製造方法 | |
JP4550256B2 (ja) | 吸水性樹脂の製造法 | |
JP2017031299A (ja) | 発泡親水性架橋重合体およびその製造方法 | |
JPH10101745A (ja) | 吸液性樹脂およびその製造方法 | |
US6103425A (en) | Liquid-absorbing resin, manufacturing method thereof and gel composition | |
KR100290255B1 (ko) | 수-팽윤성가교고분자,그의제조방법및팽윤된가교고분자의세공체적측정방법 | |
JP3328649B2 (ja) | 耐塩性吸水性樹脂の製造方法 | |
JPH11199602A (ja) | 吸水性ポリマーおよびその製造方法 | |
JPH10101886A (ja) | ゲル状組成物および電池 | |
JP2679732B2 (ja) | 耐光性、耐熱性に優れた吸水ゲル組成物 | |
JPH105582A (ja) | 吸液性樹脂およびその製造方法 | |
JPH02242809A (ja) | 耐塩性吸水性樹脂の製造法 | |
JP2927911B2 (ja) | 高吸水性ポリマーおよびその製造法 | |
KR101120828B1 (ko) | 양성 고분자 가교체 및 제조방법 | |
JP2960495B2 (ja) | 吸水剤及びその製造方法 | |
TWI704177B (zh) | 吸水性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040302 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051018 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051025 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051222 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20051222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060718 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070410 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070828 |