JPH0988237A - プレキャスト部材及びこれを用いたコンクリート柱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製作が容易で様々な柱寸法に対応することが
できる矩形コンクリート柱と、その構築のためのＰＣａ
部材を提供すること。 【解決手段】 一本のコンクリート柱を形成するために
要する剪断補強筋１２，２２，３２の本数を四分割し、
この分割した各剪断補強筋の各一辺１２ａ，２２ａを四
組のコンクリート平板１１，２１，３１のそれぞれ異な
る所定位置に埋設してＰＣａ部材１０，２０，３０を形
成する。また、このＰＣａ部材を組み立てて内部に、鉄
筋４２、鉄骨または鋼管のうち一以上を配置し、さら
に、内部にコンクリート４３を打設してコンクリート柱
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、矩形コンクリート
柱を形成するためのプレキャストコンクリート部材と、
このプレキャスト部材を用いて形成したコンクリート柱
に関する。

【０００２】

【従来の技術】矩形コンクリート柱を形成する場合、従
来、中空の矩形断面を有するプレキャストコンクリート
部材（以下、本明細書中において「ＰＣａ部材」とい
う。）を柱の型枠として使用することが提案されてい
る。これは、ＰＣａ部材の中に鉄筋、鉄骨または鋼管等
を配置し、内部に現場打ちコンクリートを打設して、こ
れらを一体に形成して柱を構築するものである。従来、
かようなＰＣａ部材は、矩形柱形状の外型枠の内部に内
型枠を貫入して配置し、外型枠と内型枠との間に補強筋
を配置した後にコンクリートを充填して製作している。
また、これとは異なる製作方法としては、いわゆる遠心
成形法があり、これは正方形断面の柱状型枠の内部に補
強筋を配置して、このなかにコンクリートを流し込んだ
後、柱状型枠の中心軸を中心にして回転させ、コンクリ
ートの厚さが均等なＰＣａ部材を製作するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかる従来の外型枠と
内型枠とを用いた製造方法においては、これら型枠間に
コンクリートを充填して隅々まで行き渡らせることが困
難であり、型枠の建込みや脱型に手間が掛かり作業効率
が低いという問題点がある。また、前記遠心成形法にお
いては、柱状型枠を回転させるために特殊な設備が必要
で膨大な費用が掛かり、さらに、遠心力によってコンク
リートを型枠内部に分散させるため長方形断面の柱には
適用できないという問題点がある。以上のように矩形コ
ンクリート柱を構築するため、中空の矩形断面を有する
ＰＣａ部材を使用すると、そのＰＣａ部材の製作のため
に様々な問題が生じる。

【０００４】本発明は上記問題点を解消するためになさ
れたものであり、その目的は、矩形コンクリート柱を構
築するためのＰＣａ部材であって、製作が容易で、且
つ、様々な柱寸法に対応することができるＰＣａ部材を
提供することにある。

【０００５】本発明の別の目的は、ＰＣａ部材を使用し
た製作が容易な矩形コンクリート柱を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的に鑑
みてなされたものであって、その要旨は、矩形断面のコ
ンクリート柱を構成するプレキャスト板であって、コン
クリート平板と、一辺を所定間隔で前記コンクリート平
板に埋設した複数の剪断補強筋とを備えるプレキャスト
部材ある。

【０００７】また、本発明の別の要旨は、矩形断面のコ
ンクリート柱を形成するための四個のプレキャスト部材
であって、一本のコンクリート柱を形成するために要す
る剪断補強筋の本数を四分割し、この分割した各剪断補
強筋の各一辺を四組のコンクリート平板のそれぞれ異な
る所定位置に埋設してなるプレキャスト部材にある。

【０００８】さらに、本発明の別の要旨は、一本のコン
クリート柱を形成するために要する剪断補強筋の本数を
四分割し、この分割した剪断補強筋のそれぞれ一辺を四
組のコンクリート平板の異なる所定位置に埋設して四個
のプレキャスト部材を形成し、この四個のプレキャスト
部材を組み立てて内部に、鉄筋、鉄骨または鋼管のうち
一以上を配置し、さらに、内部にコンクリートを打設し
てなるコンクリート柱にある。

【０００９】本発明において、コンクリート平板は一枚
の板体であっても良く、また二枚の板体であっても良
く、さらに適所にスリットが形成された一枚の板体であ
っても良い。すなわち、プレキャスト部材によって形成
するコンクリート柱に壁を一体に設ける場合、壁が連設
される柱面には二枚の板体を備えるプレキャスト部材
か、又は適所にスリットが形成された一枚の板体を備え
るプレキャスト部材を配置し、壁が連設されない柱面に
は一枚の板体を備えるプレキャスト部材を配置して柱を
形成し、壁を二枚の板体間またはスリットから延設す
る。

【００１０】本発明においては、一枚の板体からなるコ
ンクリート平板、二枚の板体からなるコンクリート平
板、また、スリットが形成された一枚の板体からなるコ
ンクリート平板のそれぞれを一組のコンクリート平板と
数えており、したがって、四組のコンクリート平板と
は、上記のうち何れかを４組集めたものである。

【００１１】

【実施例】以下に、この発明の一実施例を図を参照して
説明する。図１(a)(c)(e)は本発明のＰＣａ部材の斜視
図であり、図１(b)は図１(a)の断面図であり、図１(d)
は図１(c)の断面図である。また図２(a)は本発明のＰＣ
ａ部材における帯筋の配置を説明するための平面図であ
り、図３乃至図５は本発明のコンクリート柱を組み立て
る手順を説明するための説明図である。

【００１２】図１(a)において、本発明のプレキャスト
部材１０，２０，３０は、コンクリート平板１１，２
１，３１と、剪断補強筋としての帯筋１２，２２，３２
とで主要部を構成する。なお、プレキャスト部材１０は
壁が連設されない柱面に配置され、プレキャスト部材２
０，３０は壁が一体に連設する柱面に配置され、プレキ
ャスト部材２０では板体２１ａと２１ｂとの間から壁を
延設し、プレキャスト部材３０ではスリット３５から壁
を延設する。

【００１３】前記プレキャスト部材１０においてコンク
リート平板１１は、一枚の板体に形成し、長手方向に組
立て筋１３，１３を埋設し、この組立て筋１３，１３に
交差する方向に複数の帯筋１２を埋設し、現場打ちコン
クリートが接触する表面に凹形状の複数のコッター１４
を形成する。ここで、組立て筋１３，１３はコンクリー
トのひび割れ防止のために埋設されると共に、帯筋１２
の一辺１２ｃの上に配置し、結束線等によって結束して
帯筋１２を固定する。なお、組立て筋１３，１３に替え
てラス網等をコンクリート平板１１に埋設しても同様に
コンクリートのひび割れ防止効果は期待できる。

【００１４】前記プレキャスト部材２０，３０はプレキ
ャスト部材１０とは異なる実施態様であって、それぞれ
コンクリート平板２１，３１以外は同様の構成からな
る。すなわち、プレキャスト部材２０はコンクリート平
板２１を所定間隔で同一平面に並行に配置した二枚の板
体２１ａ，２１ｂで構成する点において、プレキャスト
部材１０とは異なり、また、プレキャスト部材３０はコ
ンクリート平板３１を長手方向の所定箇所にスリット３
５が形成された一枚の板体で構成する点において、プレ
キャスト部材１０とは異なる。

【００１５】次に、前記複数の帯筋１２，２２，３２の
配筋間隔や本数について説明するが、これらは全て同様
であるので、以下、便宜上帯筋１２のみについて説明す
る。本発明では、図３(a)に示したように四枚のプレキ
ャスト部材１０を矢印Ｐの方向に動かして、図３(b)の
ように重ね合わせて一本のコンクリート柱を構築する。
したがって、一本のコンクリート柱を形成するそれぞれ
のプレキャスト部材１０において、帯筋１２はそれぞれ
異なる位置に埋設しなければならず、その本数は四枚合
わせたときに一本のコンクリート柱を形成するために要
する本数となれば良い。

【００１６】例えば、図２では、説明のために四枚分の
帯筋１２を一枚のコンクリート平板１１の上に配置した
図を示したが、図２のように、あるプレキャスト部材１
０にはコンクリート平板１１の実線の位置に帯筋１２を
配し、これとは異なるプレキャスト部材１０には点線の
位置に帯筋１２を配し、同様に、他の二枚のプレキャス
ト部材１０にもそれぞれ二点鎖線又は一点鎖線の位置に
帯筋１２を配することにより、四枚のプレキャスト部材
１０を形成しても良い。なお、帯筋１２は、図２のよう
に、各プレキャスト部材１０において等間隔、且つ、同
数に配置するといった態様に限定されること無く、四枚
のプレキャスト部材１０を突き合わせたときに所定間隔
で柱一本分の帯筋１２を備えるようにすれば良い。

【００１７】以上のように形成したプレキャスト部材１
０，２０，３０によって柱を構築する場合、プレキャス
ト部材１０，２０，３０のうちの適当な四枚を図３(b)
(c)のように組合せて、矩形のプレキャスト部材組立体
４０を形成し、このプレキャスト部材組立体４０の周り
の適当な箇所に図４(a)(b)に示したような固定具４１を
設けて仮固定する。そして、コンクリート構築物の施工
現場で、揚重機等によってこの仮固定されたプレキャス
ト部材組立体４０を吊り上げ、予め組み立てられた柱の
鉄筋、鉄骨または鋼管をその内部に貫装する。例えば、
鉄筋コンクリート柱を構築する場合には、図５に示した
ように予め組み立てられた主筋４２が帯筋１２の内側に
位置するようにプレキャスト部材組立体４０を配置す
る。プレキャスト部材組立体４０の配置後、内部にコン
クリート４３を打設し、コンクリート４３が硬化したら
固定具４１をはずし、鉄筋コンクリート柱は完成する。

【００１８】

【発明の効果】本発明では、コンクリート平板に複数の
剪断補強筋を埋設してプレキャスト部材を形成するた
め、製作が容易で、且つ、様々な柱寸法に対応すること
ができ、四枚のプレキャスト部材を突き合わせれば容易
に矩形コンクリート柱の外郭（型枠）を形成することが
できる。したがって、従来のように製作が困難な中空矩
形断面のＰＣａ部材を使用しなくても、矩形コンクリー
ト柱を容易に形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a)(c)(e)は本発明のＰＣａ部材の斜視図であ
り、(b)は(a)の断面図であり、(d)は(c)の断面図であ
る。

【図２】本発明のＰＣａ部材の帯筋の配置を説明するた
めの平面図である。

【図３】本発明のコンクリート柱を組み立てる手順を説
明するための説明図である。

【図４】本発明のコンクリート柱を組み立てる手順を説
明するための説明図である。

【図５】本発明のコンクリート柱を組み立てる手順を説
明するための説明図である。

【符号の説明】

１０，２０，３０ プレキャスト部材 １１，２１，３１ コンクリート平板 １２，２２，３２ 帯筋（剪断補強筋） １２ａ，２２ａ 剪断補強筋の各一辺 ４２ 主筋（鉄筋） ４３ コンクリート

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 矩形断面のコンクリート柱を構成するプ
   レキャスト板であって、コンクリート平板と、一辺を所
   定間隔で前記コンクリート平板に埋設した複数の剪断補
   強筋とを備えるプレキャスト部材。
2. 【請求項２】 矩形断面のコンクリート柱を形成するた
   めの四個のプレキャスト部材であって、 一本のコンクリート柱を形成するために要する剪断補強
   筋の本数を四分割し、この分割した各剪断補強筋の各一
   辺を四組のコンクリート平板のそれぞれ異なる所定位置
   に埋設してなるプレキャスト部材。
3. 【請求項３】 一本のコンクリート柱を形成するために
   要する剪断補強筋の本数を四分割し、この分割した剪断
   補強筋のそれぞれ一辺を四組のコンクリート平板の異な
   る所定位置に埋設して四個のプレキャスト部材を形成
   し、この四個のプレキャスト部材を組み立てて内部に、
   鉄筋、鉄骨または鋼管のうち一以上を配置し、さらに、
   内部にコンクリートを打設してなるコンクリート柱。