JPH0952450A - 盛り上げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

盛り上げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方法

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JPH0952450A
JPH0952450A JP7225888A JP22588895A JPH0952450A JP H0952450 A JPH0952450 A JP H0952450A JP 7225888 A JP7225888 A JP 7225888A JP 22588895 A JP22588895 A JP 22588895A JP H0952450 A JPH0952450 A JP H0952450A
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JP7225888A
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Masanori Torii
政典 鳥井
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一つのサーマルヘッドで点字と墨字とを転写
可能にし、簡易に印刷ができる盛り上げ画像形成用熱転
写シートおよびそれを用いた画像形成方法を提供するこ
とにある。さらに、形成された点字は、指による触読が
容易で、触読による耐久性に優れたものとなる盛り上げ
画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方
法を提供する。 【解決手段】 基材シートの上に、発泡剤および樹脂バ
インダーを含有する膨張性インキ層と、着色性物質およ
び熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層とを面
順次に備えてなるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、盛り上げ画像、特
に、盲人用点字作成のために有効な熱転写シートに関
し、更に詳しくは盲人用の点字画像と晴眼者(通常の視
覚能力を有する者)用の墨字(指で読む点字に対して目
で読むために書かれた文字)をいずれも形成し得る盛り
上げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形
成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、日本語点字表記法などに従った盲
人用の点字文書を、コンピューターからの出力情報に応
じて印字する場合、例えば、東洋ハイブリッド(株)製
の点字プリンター「TP−32」による印字物のよう
に、エンボスによって紙に触読できる突起を形成する方
法が行われている。
【0003】このような点字印刷物に墨字による読み取
りがなをふることは、健常者と視覚障害者に対して同時
に文字情報を提供することが可能となり、利用価値は非
常に高いものと思われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
エンボス法を用いた点字プリンターを使用する場合に
は、点字用の印字ヘッドを用いて墨字を転写させること
は現実的には不可能であり、点字用の印字ヘッドとは別
に、墨字印刷のための画像形成用ヘッドを新たに用意す
る必要があった。2種のタイプの画像形成のために2種
の画像形成用ヘッドを個別に用意した場合、その印字方
法も極めて複雑になり一枚の印字物を作成するのに多大
な手間と時間を必要としていた。
【0005】また、形成される点字に要求される機能と
して、指による触読が容易であること、触読による耐久
性に優れること等が必要である。
【0006】本発明はこのような実状に鑑みて創案され
たものであり、その目的は一つのサーマルヘッドで点字
と墨字とを転写可能にし、簡易に印刷ができる盛り上げ
画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方
法を提供することにある。
【0007】さらに、形成された点字は、指による触読
が容易で、触読による耐久性に優れたものとなる盛り上
げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の盛り上げ画像形成用熱転写シート
は、基材シートの上に、発泡剤および樹脂バインダーを
含有する膨張性インキ層と、着色性物質および熱溶融性
バインダーを含有する熱溶融性着色層とを面順次に備え
てなるように構成した。
【0009】また、本発明の好ましい態様として、膨張
性インキ層に含有される樹脂バインダーは、その数平均
分子量が1000以上30000以下であるように構成
される。
【0010】また、本発明の好ましい態様として、膨張
性インキ層に含有される発泡剤が、易揮発性炭化水素を
内包する熱膨張性マイクロカプセルであるように構成さ
れる。
【0011】また、本発明の好ましい態様として、膨張
性インキ層の上に剥離性調整層が形成されるように構成
される。
【0012】また、本発明の好ましい態様として、膨張
性インキ層と熱溶融性着色層の間に感熱接着層が形成さ
れるように構成される。
【0013】また、本発明は、基材シートの上に、発泡
剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層と、
着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融
性着色層とを面順次に備えてなる盛り上げ画像形成用熱
転写シートを用いた盛り上げ画像形成方法であって、該
方法は、前記熱転写シートと被転写体を重ね、基材シー
トの裏面側から加熱し、熱溶融性着色層を溶融させて画
像状に転写させて墨字を形成させる工程と、基材シート
の裏面側から加熱し、膨張性インキ層を軟化させ膨張性
インキ層を画像状に転写させる工程と、当該転写された
膨張性インキ層に熱を加えることにより前記転写された
膨張性インキ層を膨張させる工程とを含むように構成さ
れる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の盛り上げ画像形成
用熱転写シート(以下、単に『熱転写シート30』と称
する)の一例を図面を参照しながら説明する。
【0015】図1に示されるように、本発明の熱転写シ
ート30は、基材シート1の一方の面に発泡剤および樹
脂バインダーを含有する膨張性インキ層3と、着色性物
質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層
5とを面順次に有している。ここでいう、面順次とは、
膨張性インキ層3と熱溶融性着色層5とが基材シート1
の上に重なることなく略同一平面上に交互隣接した状態
で、配置されていることをいう。
【0016】図1および図2には、基材シート1の長手
方向に膨張性インキ層3と熱溶融性着色層5とが交互に
配置されているものが一例として示されているが、基材
シート1の幅を大きくして幅方向にも膨張性インキ層3
と熱溶融性着色層5とを交互隣接した状態で配置させて
もよい。また、図1には、膨張性インキ層3と熱溶融性
着色層5のそれぞれの形状として、略正方形のものが例
示してあるが、この形状にかかわらず、面順次に配置で
きる形状であれば特に限定されるものではない。
【0017】基材シート1は、従来の熱転写シートに使
用されているものと同じ基材シートを用いることがで
き、熱転写時の熱に耐えられるものであれば特に制限さ
れるものではない。好ましい基材シートとしては、例え
ば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカ
ーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチ
レン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケ
ン化物、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマーなどの延
伸、又は未延伸フィルム、コンデンサー紙、パラフィン
紙などがある。
【0018】このような基材シート1の厚さは、その強
度及び熱伝導性が適切になるよう、材料に応じて適宜変
更することができるが、好ましくは2〜100μm、さ
らに好ましくは、3〜25μmである。
【0019】このような基材シート1の上には上述のご
とく膨張性インキ層3と熱溶融性着色層5とが面順次に
形成配置されるわけであるが、ここではまず最初に膨張
性インキ層3について詳細に説明する。
【0020】膨張性インキ層3は、本実施例の場合、上
述のごとく発泡剤および樹脂バインダーを含有してい
る。
【0021】本発明で使用する発泡剤としては、例え
ば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’ジ
ニトロソ−N,N’ジメチルテレフタルアミド、P−ト
ルエンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾルカルボンアミ
ド、P−トルエンスルホニルアジド、アセトン−P−ス
ルホニルヒドラゾン等の有機系発泡剤;重炭酸ナトリウ
ム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等の無機系
発泡剤;内部に低温で揮発する溶媒を含有した熱膨張性
マイクロカプセル等が挙げられる。本発明では、これら
の中でも特に熱膨張性マイクロカプセルを用いるのが好
ましい。熱膨張性マイクロカプセル含有の場合には、で
き上がった画像形成物に高い弾力性が発現し、耐久性に
極めて優れた効果を発揮する。
【0022】熱膨張性マイクロカプセルは、低温で揮発
する炭化水素を熱可塑性樹脂からなる壁材の内部に包含
させたカプセル構造をとるものであり、本発明において
は光照射(加熱)等によって、未発泡状態の10〜15
0倍までに体積が膨張するものである。
【0023】熱膨張性マイクロカプセルに内包させる炭
化水素は、塩化メチル、臭化メチル、トリクロロエタ
ン、ジクロロエタン、n−ブタン、n−ヘプタン、n−
プロパン、n−ヘキサン、n−ペンタン、イソブタン、
イソヘプタン、ネオペンタン、石油エーテル、フレオン
などのフッ素原子をもつ脂肪族炭化水素、あるいは、こ
れらの炭化水素の複合混合体などを用いることができ
る。
【0024】熱膨張性マイクロカプセルの壁材は、塩化
ビニリデン、塩化ビニル、アクリロニトリル、スチレ
ン、ポリカーボネート、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、酢酸ビニルのポリマー、あるいはこれらの
樹脂の共重合体や混合物などを用いることができ、さら
に必要に応じて架橋剤を使用することも可能である。
【0025】熱膨張性マイクロカプセルの粒径は、直径
0.1〜50μmであることが好ましく、さらに0.1
〜30μmであることが好ましい。
【0026】このような熱膨張性マイクロカプセルの市
販品としては、例えば、松本油脂製薬(株)製造の「マ
ツモトマイクロスフェアー」シリーズのF−20、F−
30、F−40、F−50、F80S、F82、F80
VS、F100などや、日本フェライト(株)製造の
「エクスパンセル」シリーズを挙げることができる。
【0027】膨張性インキ層3における熱膨張性マイク
ロカプセルの含有割合は、樹脂バインダー100重量部
に対して30重量部以上から200重量部以下であるこ
とが好ましく、特に、50重量部以上から150重量部
以下であることが好ましい。30重量部未満の場合は、
膨張性インキ層3が十分に膨張せず、200重量部を超
えると点字画像などの触読に対する耐久性が不足してく
る傾向にある。
【0028】膨張性インキ層3の樹脂バインダーを構成
する材料は、例えば、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル
やポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステ
ルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートや
ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ
スチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリロニトリ
ル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニ
トリル−塩化ビニリデン共重合体、又は加硫ゴムや未加
硫ゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。ゴム系樹脂
としては、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーン
ゴム、合成イソプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴ
ム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレ
ン−プロピレンゴム、ポリイソプレインゴム、ブタジエ
ンゴム、ニトリルゴム、塩素化ブチルゴムなどの合成ゴ
ムや天然ゴムなどの未加硫ゴム、あるいは加硫ゴムが挙
げられる。特に好ましいものとしては、ポリエステル、
アクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、及びゴム系樹脂を挙げることができる。
【0029】このような樹脂バインダーに用いる樹脂の
数平均分子量は1000以上であることが好ましい。
【0030】数平均分子量が1000未満であるカルナ
ウバワックスやパラフィンワックスやみつろうなどの天
然ワックス、あるいは同じく数平均分子量が1000未
満であるポリエチレンワックスやステアリン酸やアーマ
ーワクックスなどの合成ワックスを樹脂バインダーの主
成分として用いた場合、形成された点字画像は非常にも
ろくなるおそれがある。
【0031】また、このような低分子量バインダーは、
盛り上げ画像形成のために、熱転写シートから転写した
画像を膨張(発泡)させる際に、軟化あるいは溶融する
ことによって、粘性が非常に低下しやすい。このため、
バインダーが被転写体(被転写基材)に滲み込んでしま
ったり、形成される点字画像の周囲に流れ出るおそれが
あり、熱膨張性マイクロカプセルが被転写体(被転写基
材)上に保持されにくくなるという不都合を生じる。
【0032】被転写体に点字などの微細な盛り上げ画像
を熱転写する際、加熱が行われた箇所のみ過不足無く転
写することが正確な画像を形成するために極めて重要で
ある。このため、膨張性インキ層3の樹脂バインダー
は、熱転写時に所望の部分のみが箔切れをして転写する
必要がある。このためには、樹脂バインダーの数平均分
子量は30000以下であることが好ましく、2500
0以下であることが特に好ましい。
【0033】また、点字画像などの触読による破損に対
する耐久性が特に要求される場合には、樹脂バインダー
の分子量が大きい方が良好な点字画像を得ることがで
き、このためには樹脂バインダーの数平均分子量は30
00以上であることが好ましく、10000以上である
ことが特に好ましい。
【0034】すなわち、点字画像などの盛り上げ画像形
成の正確さと触読による破損に対する耐久性を考慮する
と、樹脂バインダーは数平均分子量が1000以上かつ
30000以下であることが好ましく、さらに好ましく
は3000以上かつ25000以下、特に好ましくは1
0000以上25000以下である。
【0035】また、熱溶融型転写層が一定の熱転写シー
ト剥離条件下において、任意に破断(箔切れ)するため
には、バインダー樹脂は適度な引張破断強度を持つこと
が好ましい。すなわち、JIS−K−7127に規定さ
れる引張破断伸度が50%以上かつ2000%以下であ
ることが好ましく、100%以上かつ1000%以下で
あることがさらに好ましい。
【0036】引張破断伸度が50%未満である場合には
バインダー樹脂として必要な強度が不足し、点字画像の
触読による破損に対する耐久性が劣り、さらに熱転写が
行われる前に転写シート上で膨張性インキ層3にひびが
入りやすくなるといった問題を生じる。一方、この値が
2000%を超えると点字画像の輪郭に応じた部分で膨
張性インキ層3が破断しにくくなり、点字画像に切れ残
った箔が付着して触読性を低下させたり、点字画像の一
部に欠落を生じるといった問題を生じる。
【0037】膨張性インキ層3には、必要に応じて着色
剤を添加することができる。
【0038】着色剤は、膨張性インキ層3を基材シート
1上に塗布形成するにあたって支障をきたさない範囲に
おいて任意に添加量を選ぶことができる。すなわち、膨
張性インキ層3の塗布に用いる溶媒または分散媒に対し
て、均一に溶解又は分散する着色剤から選ばれることが
好ましい。
【0039】例えば、膨張性インキ層3が水を分散媒と
する水分散体を塗布して形成される場合、選択される着
色剤は水に対して、均一に分散または溶解するものの中
から選ばれることが好ましく、グレーもしくは黒色に着
色するためにはカーボンブラックの水分散体を使用する
ことができ、有彩色に着色するためには各々の色に対応
する水溶性又は水分散性の有機顔料又は無機顔料を使用
することができる。
【0040】同様に、膨張性インキ層3が水と有機溶剤
の混合液や、有機溶剤に、溶解されたものである場合、
着色剤はかかる溶媒又は分散媒に対して均一に分散又は
溶解するものの中から選ばれることが好ましく、この場
合も所望の色相、彩度、明度に応じて任意の着色が可能
であることはいうまでもない。
【0041】また、熱転写シート上に膨張性インキ層3
を形成した時点では無色ではあるが、熱転写時の熱エネ
ルギーや、後述する発泡のための熱等のエネルギーが加
えられることにより発色するものであってもよいし、被
転写体にあらかじめ塗布されているものと接触すること
により発色するものであってもよいし、加熱発泡させた
り盛り上げ画像を指で触ることで発色あるいは他の色に
変化するものであってもかまわない。
【0042】さらに、膨張性インキ層3に良好な熱伝導
性および溶融転写性を与えるために、熱良伝導性物質を
膨張性インキ層3に添加することができる。このような
物質としては、銅やアルミニウムや酸化錫や二硫化モリ
ブデンなどの、金属あるいは金属酸化物あるいは金属硫
化物よりなる粉末や微粉末やウイスカー、又はカーボン
ブラックなどの炭素質物質などを用いることができる。
【0043】膨張性インキ層3は、前記の基材シート1
の一方の面に、上記のごとき樹脂に必要に応じて架橋剤
や架橋反応促進触媒などの必要な添加剤を加えたもの
を、適当な有機溶剤、有機溶剤と水との混合体、又は水
に溶解したり、あるいは分散させた溶液又は分散体を例
えばグラビアコート、スクリーン版による塗布、グラビ
ア版を用いたリバースロールコーティング法、エアーナ
イフコートなどの通常の方法で塗布および乾燥すること
によって形成する。
【0044】膨張性インキ層3の厚みは、10μm〜1
00μmが好ましく、20μm〜80μmであることが
好ましい。
【0045】また、図3に示されるように膨張性インキ
層3と基材シート1との間に剥離性調整層2を設けるこ
とは好ましい態様である。また、さらに図3に示される
ように膨張性インキ層3の上に感熱接着層4を設けるこ
とも好ましい態様である。
【0046】剥離性調整層2は、熱転写シート30を用
いて盛り上げ画像を形成する際、膨張性インキ層3の画
像形成箇所のみを被転写体に剥離、接着するためのもの
であり、熱転写シート30と膨張性インキ層3との加熱
時の剥離性を調整するものである。
【0047】剥離性調整層2は、図4に示されるよう
に、基材シート1の膨張性インキ層3から分離し、転写
された膨張性インキ層3aとともに被転写体10側に剥
離し転写する剥離層2a;図5に示されるように転写さ
れた後も基材シート1側に残り、膨張性インキ層3を剥
離し易くして被転写体10に転写された膨張性インキ層
3aを構成する離型層2b;および図6に示されるよう
に転写時の熱で剥離性調整層が溶融し凝集力が低下し層
内分離して膨張性インキ層3を剥離して、被転写体10
に転写された膨張性インキ層3aを構成する層分離層2
cの3種類がある。
【0048】また、剥離層2aと離型層2bとを併用す
ることもできる。
【0049】剥離性調整層が、剥離層2a、又は、層分
離層2cである場合は、転写された膨張性インキ層3a
の最表面に剥離層、又は層分離層も転写されることにな
るため、このような剥離性調整層を形成する樹脂は、膨
張性インキ層3aの膨張性を阻害しないものを選定する
ことが必要である。また、剥離層2aは、盛り上げ画像
の保護層としての効果をもつが、触読するときの指触感
を損なうものであってはならない。
【0050】離型層2bを形成する樹脂は、シリコーン
樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレ
ンなどのようにそれ自身が離型性をもつもの、アクリル
系樹脂、線状ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセター
ル、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、酢酪酸セルロ
ースなどのワニスに、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ワ
ックス、脂肪酸アミドなどの離型剤を加えたものや、上
記樹脂を種々の架橋剤で架橋させたものを使用すること
ができる。例えば、イソホロンジイソシアネート、キシ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジイソシアネ
ートをトリメチロールプロパンに付加させたアダクト体
やビウレット体やトリマーなどのポリイソシアネート、
エポキシ基やアジリジン基やオキサゾリン基を有する架
橋剤、メラミンなどの架橋剤、アルミニウムや亜鉛やチ
タンやジルコニウムなどのキレート化剤を使用すること
ができる。好ましくは、架橋したシリコーン樹脂や、又
はポリイソシアネートで架橋した離型剤を含むアクリル
樹脂やポリエステルである。そして、その塗布は、グラ
ビアコート、ロールコートなどの通常の方法で行われ、
塗布厚みは0.05〜5.00μmが好ましく、0.1
0〜2.00μmであることがさらに好ましい。
【0051】剥離層2aを形成する樹脂は、膨張性イン
キ層3の加熱速度を阻害しない熱可塑性樹脂の中から塗
布被膜を形成できるものから選択する。そして、触読を
容易にできるようにマット剤であるシリカ、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無
機物や、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体などの有機物の微粒子を分散させる
こともできる。
【0052】また、剥離層2aに前記の発泡剤、特に、
熱膨張性マイクロカプセルを含ませることにより、転写
画像とともに膨張(発泡)させて触読を容易にすること
もできる。
【0053】使用する熱可塑性樹脂は、アクリル系樹
脂、線状ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、
ポリアミド、ウレタン、アクリロニトリル、ポリイソブ
チレン、ネオプレン、天然ゴム等の溶液あるいはディス
パージョンがある。好ましくは、膨張性インキ層3の発
泡剤である炭化水素のバリア層となる塩化ビニル−塩化
ビニリデン共重合体、アクリロニトリルやアクリル樹脂
である。そして、その塗布は、グラビアコート、ロール
コート、エアーナイフコートなどの通常の方法で行わ
れ、塗布厚みは、0.05〜5.00μmが好ましく、
0.10〜2.00μmであることがさらに好ましい。
【0054】層分離層2cを形成するための樹脂は、熱
転写シートから膨張性インキ層3を転写するときの熱
で、熱溶解して凝集力を低下させるものであり、天然ワ
ックスや合成ワックス、熱可塑性樹脂等から選定でき
る。例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウ
バワックス、パラフィンワックス、フィシャートロプシ
ュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツ
ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワック
ス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性
ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーン
ワックスなどの種々のワックス類、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリアミ
ド、ポリエステル、アクリル系樹脂、ポリウレタンなど
の単独あるいは混合物がある。低分子ポリエチレンを主
とするものである。そして、その塗布は、熱溶融した
り、溶剤に加熱溶融したり、溶液にしたり、あるいはデ
ィスパージョンの状態のものを、グラビアコート、ロー
ルコート、エアーナイフコートなどの通常の方法で行わ
れる。塗布厚みは、0.05〜5.00μmが好まし
く、0.10〜2.00μmであることがさらに好まし
い。
【0055】また、別の態様として、膨張性インキ層3
および剥離性調整層2に用いる樹脂が、熱拡散性色素に
対して染着性を有している場合、剥離性調整層に任意の
色の熱拡散性色素を添加することができる。
【0056】このように形成することにより、膨張性イ
ンキ層3を塗布する際の乾燥工程における熱によって、
剥離性調整層2に添加した熱拡散性色素が拡散すること
により、膨張性インキ層3を任意に着色することがで
き、熱膨張性マイクロカプセル(または、発泡剤)とバ
インダー樹脂とを水に分散または溶解した液体の塗布お
よび乾燥によって形成される膨張性インキ層3を、水に
不溶または分散困難な熱拡散性色素によって染色するこ
とが可能になる。
【0057】熱拡散性色素としては、従来公知の染料は
いずれも使用可能であり、特に制限されるものではな
い。例えば、好ましい染料として、赤色染料として、MS
Red G、Macrolex Red Violet R 、Ceres Red 7B、Sama
ron Red HBSL、Resolin Red F3BS等が挙げられ、また、
黄色染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL 、
PTY-52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、ま
た、青色染料としては、カヤセットブルー714 、ワクソ
リンブルーAP-FW 、ホロンブリリアントブルーS-R、MS
ブルー100 等が挙げられる。また、これらの熱拡散性色
素を一種類のみならず二種類以上任意に混合して希望の
色調を得ることも可能である。
【0058】さらに、前述のごとく図3に示されるよう
に膨張性インキ層3の上に感熱接着層4を設けることは
好ましい態様である。感熱接着層4は、膨張性インキ層
3を比較的に低温度で転写するために設けられる。転写
温度が高くて、膨張(発泡)温度になると、熱膨張性マ
イクロカプセルが、高さ以外の平面方向にも膨張するこ
とがあり、点字画像などの触読に対する耐久性が不足し
てくることがあるからである。
【0059】感熱接着層4に使用できる材料は、マイク
ロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフ
ィンワックスなどのワックス;アクリルゴム、スチレン
−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプ
レンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、塩素化ブチ
ルゴムなどの合成ゴム;天然ゴムなどの未加硫ゴム;ポ
リ酢酸ビニルやポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂;ポ
リエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレー
トなどのポリエステル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共
重合体、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を単独、あるい
は適宜に混合したものである。また、感熱接着層4に、
熱膨張性マイクロカプセルを混入することにより、発泡
させ、点字などの盛り上げ画像の触読を容易にすること
もできる。
【0060】熱転写シート30を用いて盛り上げ画像を
被転写体10に転写するための加熱手段としてサーマル
ヘッドを使用する場合、基材シート1の膨張性インキ層
3が形成されていない側より加熱が行われる。この加熱
面に耐熱性、滑り性、あるいはこれらの両物性を持たせ
るための耐熱滑性層を設けることが好ましい。耐熱滑性
層は、耐熱性のある樹脂と熱離型剤または滑剤の働きを
する物質とを基本的な構成成分とする。種々の熱可塑性
樹脂を公知の架橋剤によって架橋させることは樹脂の耐
熱性を向上させるために有効な方法であり、例えば、熱
可塑性樹脂の側鎖や分子末端に水酸基がある場合、ポリ
イソシアネートなどの架橋剤を用いることができる。架
橋剤を使用する場合は、必要に応じて触媒を使用する。
【0061】ついで、このような膨張性インキ層3と組
み合わされてシート1上に、図1に示されるごとく面順
次に形成配置される熱溶融性着色層5について説明す
る。熱溶融性着色層5は、いわゆる墨字を形成するため
に設けられた層であり、一般的に文字等を印字するため
の熱転写層である。
【0062】熱溶融性着色層5は前述したように、着色
性物質および熱溶融性バインダーを含有している。
【0063】熱溶融性着色層5に含有される熱溶融性バ
インダーとしては、ワックスを主成分とし、その他ワッ
クスと乾性油、樹脂、鉱油、セルロースおよびゴムの誘
導体等の混合物が用いられる。ワックスとしては、例え
ば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワック
ス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワッ
クス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、
鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キ
ャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワック
ス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることがで
きる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混
合して用いてもよい。
【0064】このような熱溶融性着色層5の厚みは0.
2〜10μm程度が好ましい。
【0065】また、熱溶融性着色層5に含有される着色
性物質としては、有機または無機の顔料あるいは染料の
うち、記録材料として良好な特性を有するもの、例え
ば、十分な着色濃度を有し、光や熱等により変褪色しな
いものが好ましい。着色剤は、イエロー、マゼンタ、シ
アン等を使用することができるが、高濃度で明瞭な文字
や記号等の情報を転写印字できる黒色の着色剤が好まし
い。
【0066】このような着色性物質は通常、熱溶融性着
色層5の熱溶融性バインダー100重量部あたり、1〜
10重量部程度含有される。このような熱溶融性着色層
5の厚さは、0.5〜5.0μm程度とされる。
【0067】また、図7に示されるように、熱溶融性着
色層5の表面には地汚れ防止のための表面コート層7を
設けたり、熱溶融性着色層5と基材シート1との間に剥
離性調整層8を設けたりすることも好ましい態様であ
る。地汚れ防止のための表面コート層7としては、数平
均分子量が1000以下である熱溶融性物質を主成分と
して含有しており、具体的には、マイクロクリスタリン
ワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、
フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエ
チレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛
ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペト
ロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪
酸アミド等が用いられる。表面コート層7の厚さは、
0.1〜5.0μm程度とされる。剥離性調整層8の材
質としては、上述した剥離性調整層2の材料から適宜選
定して用いればよい。
【0068】上述してきたような盛り上げ画像形成用の
熱転写シート30を用いた画像形成方法について説明す
る。特に、本発明では、1枚の熱転写シート30を用
い、一つのサーマルヘッドで盲人用の点字画像と晴眼者
(通常の視覚能力を有する者)用の墨字(指で読む点字
に対して目で読むためにかかれた文字)の双方を個々の
印字動作で併記して形成することができることに特徴が
ある。以下、墨字を形成する場合と、点字画像を形成す
る場合とに分けて説明する。
【0069】墨字を形成する場合 前記熱転写シート30と被転写体10を重ね、熱転写シ
ート30の熱溶融性着色層5が溶融転写できる温度で、
熱溶融性着色層5が存在する裏面側から加熱を画像形状
に行ない被転写体10に圧着する。その後、画像状に形
成された熱溶融性着色層5を熱転写シート30より剥離
して被転写体10側に転写させる。
【0070】点字画像を形成する場合 前記熱転写シート30と被転写体10を重ね、膨張性イ
ンキ層3が転写できる温度で、膨張性インキ層3が存在
する裏面側から加熱を画像形状に行ない被転写体10に
圧着する。その後、画像状に形成された膨張性インキ層
3を熱転写シート30より剥離して被転写体10側に転
写させる。
【0071】しかる後、被転写体10に転写された画像
を発泡させるための熱エネルギーが転写画像に付与さ
れ、転写された膨張性インキ層3は膨張(発泡)して立
体感のある点字等の盛り上げ画像となる。熱エネルギー
の付与手段には、種々の付与手段が使用でき、例えば、
オーブンによる加熱や、電熱線による熱風加熱や赤外線
照射加熱やレーザー光線照射加熱や、電磁気加熱等の加
熱方式、及び被転写体を加熱ロールに接触させる加熱方
式等が挙げられる。これらの中でも、特に、光り照射に
よる方法が好ましい。照射される光の最大エネルギー波
長は、1.0〜4.0μmであるものが好ましい。
【0072】熱転写を行う際に使用される被転写体10
の形状としては、シート状態、小巻き状態やカード状態
などの種々の形態がある。そして、その素材はセルロー
スなどの天然繊維に限定されず、ビニロンやナイロンや
ポリエステルやアクリルなどの合成繊維、ステンレスな
どの金属繊維、アルミナやシリケートなどの無機繊維、
炭素繊維、キチン繊維、キトサン繊維などを用いて抄き
上げたものなどいずれのものも使用できる。天然繊維を
用いた紙類としては、例えば上質紙、中質紙、コピー用
紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、ケント紙、板
紙、図面用紙、カード用紙、更紙、グラシン紙、新聞用
紙、コンデンサー用紙などを挙げることができる。さら
に、種々の熱可塑性樹脂を原料に用いて製造されたプラ
スチックフィルム類であるポリエチレンテレフタレート
フィルムやポリ塩化ビニルフィルムやポリエチレンナフ
タレートフィルムやポリイミドフィルム、同じく熱可塑
性樹脂類を抄く工程を経ずに紙状に加工した合成紙類
(例えば、王子油化製、ユポFPG−150)なども使
用することができる。
【0073】上記の熱転写シート30から被転写体10
に画像を転写する際に使用する加熱手段、すなわち、熱
エネルギーの付与手段は、コンピューターからの画像情
報に応じて加熱量をコントロールできる従来公知の種々
の方法がいずれも使用できる。例えば、ワードプロセッ
サーに用いられる感熱溶融転写方式用サーマルヘッド、
ビデオプリンターに用いられる感熱昇華転写方式サーマ
ルヘッドや、レーザー印字方式プリンターに用いられる
レーザーヘッドなどを用いることができる。さらに、熱
転写シートの背面側に通電発熱層を設けた場合、通電加
熱型溶融転写方式用通電ヘッドを用いることも可能であ
る。
【0074】このように本発明の熱転写シートを用いる
ことにより、墨字と点字が併記された印字物を一つのサ
ーマルヘッドを用いて個々の印字動作で容易に出力する
ことが可能となる。つまり、視覚障害者と健常者が同一
の情報を一枚の出力物から得られることが可能となるの
である。
【0075】また、従来のエンボス方式によって印字さ
れる点字と異なり、点字画像が形成された裏面に凹状の
窪みが発生せず、晴眼者のための墨字印字が施された紙
などの反対面などに墨字情報を損なうことなく点字を印
刷することができる。よって、例えば金銭の支払い内容
などを記録したレシートの裏面や表面、通常の文字印刷
が施された名刺の裏面や表面、さらには磁気情報が記録
されたプリペイドカードの表面、あるいは航空券や乗車
券などの表面や裏面に印刷することもでき応用範囲は極
めて広い。
【0076】なお、本明細書においては、特に、本発明
の熱転写シートが効果的な点字を例にとって詳細に説明
したが、盛り上げ画像は特に点字ではなく、絵柄や記
号、文字であってもかまわない。そして、盛り上げ画像
をスタンプ(凸版)として用いることもできる。
【0077】なお、本発明の類似の画像形成方法とし
て、膨張性インキ層転写用リボンと、熱溶融性着色層用
リボンとをそれぞれ別に用意し、被転写体に逐次転写を
行うことによっても本発明と同様な印字結果物が得られ
る。
【0078】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げて本発明
をさらに詳細に説明する。
【0079】〔実施例1〕基材シート1として、膨張性
インキ層を形成する面の裏面に耐熱処理を施した厚さ6
μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備し
た。このフィルム表面に、均一塗布が可能なように攪拌
された下記組成の膨張性インキ層塗布液1を厚みが30
μmとなるようにダイレクトグラビアコートで塗布およ
び乾燥し、膨張性インキ層3を形成した。なお塗布に際
しては、最終的に面順次の構造がとれるように、一定間
隔の未塗布部分を形成した塗布パターンとした。
【0080】 (膨張性インキ層塗布液1) ・ポリエステル水分散液 (東洋紡績(株)製、バイロナールMD−1930、固形分濃度30% 樹脂の数平均分子量25000) … 40重量部 ・熱膨張性マイクロカプセル (松本油脂製薬(株)製、マツモトマイクロスフェアーF−20VS) … 15重量部 ・水 … 20重量部 次いで、膨張性インキ層3に隣接する未塗布部分に、下
記の組成からなる熱溶融性着色層塗布液1を塗布厚さが
2.0μmとなるようにダイレクトグラビアコートで塗
布乾燥して熱溶融性着色層5を形成した。これによっ
て、図1に示されるごとく面順次の構造が形成された。
【0081】 (熱溶融性着色層塗布液1) ・カルナウバワックス水溶液 (コニシ(株)製、WE−95、固形分濃度30%) …100重量部 ・赤色顔料水分散液 (富士色素(株)製、FUJI SP RED 5126) … 10重量部 ・水 … 50重量部 このように作製した熱転写シートの熱溶融性着色層5お
よび膨張性インキ層3側を厚さ150μmの上質紙に重
ね合わせて、熱転写シートの背面からサーマルヘッド
(KMT−85−6MPD2−HTV)を用いて、所定
画像の墨字群および所定パターンの点字(未膨張の状
態)群を順次転写した。
【0082】この場合、墨字群と点字(未膨張の状態)
群との位置合わせのために、熱転写シートおよびサーマ
ルヘッドは適宜移動させた。
【0083】サーマルヘッドへの加熱条件は、ヘッド印
加電圧12.0V、印字速度33.3ms/line、
印加パルス幅6ms/line(墨字群)および16m
s/line(点字群)とした。なお、点字の文書は、
直径約1mmの点画素を転写することによって構成し
た。
【0084】次に、転写シートを被転写紙から剥離した
後、最大エネルギー波長が1.2μmである赤外線ヒー
ター(ヘレウス株式会社製短波長赤外線ラジエター:Z
KB600/80G)で5cmの距離をおいて被転写紙
に赤外線を20秒間照射した。これにより、転写された
膨張性インキ層3を膨張させ、点字群を構成して、この
点字群と前記の墨字群とが混在した実施例1のサンプル
を作製した。
【0085】この画素サンプルに関し、点字群(部分)
については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価
した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であ
り、点字文書として良好に触読できることが確認され
た。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画
素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど
無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなか
った。
【0086】また、この画素サンプルの墨字群(部分)
については、極めて鮮明に印字がおこなわれていること
が確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写さ
れており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する
墨字パターンが良好に転写されていることが確認され
た。
【0087】〔実施例2〕上記実施例1において、膨張
性インキ層塗布液1を下記に示される膨張性インキ層塗
布液2にかえ、さらに上記実施例1に示される要領にし
たがって熱転写シートを作製した。
【0088】 (膨張性インキ層塗布液2) ・ポリエステル樹脂 (ダイセル化学工業(株)製、PLACCEL H1P 樹脂の数平均分子量10000) … 20重量部 ・熱膨張性マイクロカプセル (松本油脂製薬(株)製、マツモトマイクロスフェアーF−30VS) … 25重量部 ・トルエン …200重量部 このように作製した熱転写シートを用いて上記実施例1
の場合と同様な要領で転写実験を行って、点字群と墨字
群とが混在した実施例2の画素サンプルを作製した。
【0089】この画素サンプルに関し、点字群(部分)
については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価
した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であ
り、点字文書として良好に触読できることが確認され
た。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画
素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど
無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなか
った。
【0090】また、この画素サンプルの墨字群(部分)
については、極めて鮮明に印字がおこなわれていること
が確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写さ
れており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する
墨字パターンが良好に転写されていることが確認され
た。
【0091】〔実施例3〕上記実施例1において、膨張
性インキ層塗布液1を下記に示される膨張性インキ層塗
布液3にかえ、さらに上記実施例1に示される要領にし
たがって熱転写シートを作製した。
【0092】 (膨張性インキ層塗布液3) ・ポリエステル水分散液 (東洋紡績(株)製、バイロナールMD−1930、固形分濃度30% 樹脂の数平均分子量25000) … 40重量部 ・熱分解型発泡剤 (炭酸水素ナトリウム) … 15重量部 ・水 … 20重量部 このように作製した熱転写シートを用いて上記実施例1
の場合と同様な要領で転写実験を行って、点字群と墨字
群とが混在した実施例3の画素サンプルを作製した。
【0093】この画素サンプルに関し、点字群(部分)
については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価
した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であ
り、点字文書として良好に触読できることが確認され
た。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画
素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど
無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなか
った。
【0094】また、この画素サンプルの墨字群(部分)
については、極めて鮮明に印字がおこなわれていること
が確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写さ
れており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する
墨字パターンが良好に転写されていることが確認され
た。
【0095】〔実施例4〕上記実施例1において、基材
シート1と膨張性インキ層3との間に下記の剥離性調整
層塗布液をグラビア印刷にて塗布、乾燥して剥離性調整
層2(乾燥厚さ1.0μm)を設け、膨張性インキ層3
の上に下記の感熱接着層塗布液をグラビア印刷にて塗
布、乾燥して感熱接着層4(乾燥厚さ2.0μm)を設
けて熱転写シートを作製した。
【0096】 (剥離性調整層塗布液) ・ポリメタクリル酸エステル樹脂 (三菱レイヨン(株)製、ダイヤナールBR−85) … 10重量部 ・メチルエチルケトン … 50重量部 ・トルエン … 50重量部 (感熱接着層塗布液) ・ポリエステル水分散液 (東洋紡績(株)製、バイロナールMD−1930、固形分濃度30% 樹脂の数平均分子量25000) … 20重量部 ・水 … 10重量部 このように作製した熱転写シートを用いて上記実施例1
の場合と同様な要領で転写実験を行って、点字群と墨字
群とが混在した実施例4の画素サンプルを作製した。
【0097】この画素サンプルに関し、点字群(部分)
については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価
した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であ
り、点字文書として良好に触読できることが確認され
た。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画
素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど
無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなか
った。
【0098】また、この画素サンプルの墨字群(部分)
については、極めて鮮明に印字がおこなわれていること
が確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写さ
れており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する
墨字パターンが良好に転写されていることが確認され
た。
【0099】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の盛り上げ
画像形成用熱転写シートは、基材シートの上に、発泡剤
および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層と、着
色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性
着色層とを面順次に備えてなる構成を採択しているの
で、同一の熱転写シートを用いて一つのサーマルヘッド
で点字画像および墨字画像を転写形成することができ
る。さらに転写によって形成された点字画像は、指によ
る触読が容易で、触読による耐久性についても優れた効
果を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】盛り上げ画像形成用熱転写シートの概略斜視図
である。
【図2】盛り上げ画像形成用熱転写シートの断面図であ
る。
【図3】盛り上げ画像形成用熱転写シートの膨張性イン
キ層形成部分の他の好適な実施例を示す断面概略図であ
る。
【図4】剥離性調整層を設けた、盛り上げ画像形成用熱
転写シートの剥離状況を示す断面概略図である。
【図5】剥離性調整層を設けた、盛り上げ画像形成用熱
転写シートの剥離状況を示す断面概略図である。
【図6】剥離性調整層を設けた、盛り上げ画像形成用熱
転写シートの剥離状況を示す断面概略図である。
【図7】盛り上げ画像形成用熱転写シートの熱溶融性着
色層形成部分の他の好適な実施例を示す断面概略図であ
る。
【符号の説明】
1…基材シート 2…剥離性調整層 3…膨張性インキ層 4…感熱接着層 5…熱溶融性着色層 7…表面コート層 8…プライマー層 10…被転写体 30…盛り上げ画像形成用熱転写シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7416−2H B41M 5/26 A 7416−2H L

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの上に、発泡剤および樹脂バ
    インダーを含有する膨張性インキ層と、着色性物質およ
    び熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層とを面
    順次に備えてなることを特徴とする盛り上げ画像形成用
    熱転写シート。
  2. 【請求項2】 前記膨張性インキ層に含有される樹脂バ
    インダーは、その数平均分子量が1000以上3000
    0以下であることを特徴とする請求項1に記載の盛り上
    げ画像形成用熱転写シート。
  3. 【請求項3】 前記膨張性インキ層に含有される発泡剤
    が、易揮発性炭化水素を内包する熱膨張性マイクロカプ
    セルであることを特徴とする請求項1または請求項2の
    いずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  4. 【請求項4】 前記膨張性インキ層と基材シートの間に
    剥離性調整層が形成されていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項3のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用
    熱転写シート。
  5. 【請求項5】 前記膨張性インキ層の上に感熱接着層が
    形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4
    のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  6. 【請求項6】 基材シートの上に、発泡剤および樹脂バ
    インダーを含有する膨張性インキ層と、着色性物質およ
    び熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層とを面
    順次に備えてなる盛り上げ画像形成用熱転写シートを用
    いた盛り上げ画像形成方法であって、 該方法は、前記熱転写シートと被転写体を重ね、基材シ
    ートの裏面側から加熱し、熱溶融性着色層を溶融させて
    墨字を形成させる工程と、基材シートの裏面側から加熱
    し、膨張性インキ層を軟化させ膨張性インキ層を画像状
    に転写させる工程と、当該転写された膨張性インキ層に
    熱を加えることにより前記転写された膨張性インキ層を
    膨張させる工程とを含むことを特徴とする盛り上げ画像
    形成方法。
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