JP3816973B2 - 盛り上げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

盛り上げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、盛り上げ画像、特に、盲人用点字作成のために有効な熱転写シートに関し、更に詳しくは盲人用の点字画像と晴眼者(通常の視覚能力を有する者)用の墨字(指で読む点字に対して目で読むために書かれた文字)をいずれも形成し得る盛り上げ画像形成用熱転写シートおよびそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、日本語点字表記法などに従った盲人用の点字文書をコンピューターからの出力情報に応じて印字する場合、例えば、東洋ハイブリッド(株)製の点字プリンター「TP−32」による印字物のように、エンボスによって紙に触読できる突起を形成する方法が行われている。
【0003】
このような点字印刷物に墨字による読み取りがなをふることは、健常者と視覚障害者に対して同時に文字情報を提供することが可能となり、利用価値は非常に高いものと思われる。しかし、その実施のためには予め点字を記録する用紙に従来公知である墨字記録方法によって墨字を印字し、位置合わせをした上でエンボス法により点字を記録する手順をとる必要があり、一枚の印字に対して多大な手間と時間を必要としていた。
【0004】
このような問題点を解決するため、発泡性トナーと通常のトナーを用いた電子写真法により点字画像と墨字を同時に形成する技術が特開昭56−167156号公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この公報に提案の発明に基づいて、発泡性トナーと通常のトナーの併用により日本語点字標記法などによる盲人用の点字に墨字の読みがながふってある文書を作成した場合、墨字部分は良好に読み取れるが、点字部分は指による摩擦によって欠けが生じたり、容易に凸部の高さが減少(つぶれ)したり、被転写体から点画素の一部または全部が脱落するなど、触読に対する耐久性に問題があった。
【0006】
さらにはエンボスで厚手に形成された一般の点字と感触が大きく異なるため、触読性に劣るという問題があった。
【0007】
本発明はこのような実状に鑑みて創案されたものであり、その目的は、指による触読が容易で、触読による耐久性に優れた盲人用点字画像を形成することができ、かつ同一の熱転写シートを用いて一回の印字動作で墨字画像も形成することができる盛り上げ画像形成用熱転写シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、基材シートの一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層を有し、この膨張性インキ層の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層を有し、
前記膨張性インキ層に含有される樹脂バインダーの融点をmp1、前記熱溶融性着色層に含有される熱溶融性バインダーの融点をmp2とした場合、mp1>mp2であり、
基材シートの裏面側からの加熱条件によって、墨字を形成するための前記熱溶融性着色層の転写、盛り上げ画像を形成するための前記熱溶融性着色層および前記膨張性インキ層の転写と、を個別に可能とし、一回の印字動作で点字画像および墨字画像を同時に形成できるように構成される。
【0009】
また、本発明の好ましい態様として、熱溶融性着色層に含有される熱溶融性バインダーは、その数平均分子量が1000以下であるように構成される。
【0010】
また、本発明の好ましい態様として、熱溶融性着色層の表面側にさらに数平均分子量が1000以下である熱溶融性物質を主成分とする熱溶融層を設けるように構成される。
【0011】
また、本発明の好ましい態様として、膨張性インキ層に含有される熱溶融性バインダーは、その数平均分子量が1000以上30000以下であるように構成される。
【0012】
また、本発明の好ましい態様として、膨張性インキ層に含有される発泡剤が、易揮発性炭化水素を内包する熱膨張性マイクロカプセルであるように構成される。
【0013】
また、本発明の好ましい態様として、膨張性インキ層と基材シートの間に剥離性調整層が形成されるように構成される。
【0014】
また、本発明の好ましい態様として、膨張性インキ層と熱溶融性着色層の間に感熱接着層が形成されるように構成される。
【0016】
また、本発明の好ましい態様として、前記膨張性インキ層に含有される樹脂バインダーの融点をmp1、前記熱溶融性着色層に含有される熱溶融性バインダーの融点をmp2とした場合、mp1−mp2の差が30℃以上100℃以下であるように構成される。
【0017】
また、本発明は、基材シートの一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層を有し、この膨張性インキ層の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層を有する盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いた盛り上げ画像形成方法であって、
該方法は、前記熱転写シートと被転写体を重ね、基材シートの裏面側から熱溶融性着色層のみを溶融させて画像状に転写可能にできる第一の加熱を行ない墨字を形成させるとともに、基材シートの裏面側から膨張性インキ層を軟化させ転写可能にできる第二の加熱を画像状に行ない膨張性インキ層を画像状に転写し、当該転写された膨張性インキ層に熱を加えることにより前記転写された膨張性インキ層を膨張させて立体感のある盛り上げ画像を形成するように構成される。
【0018】
また、本発明の好ましい態様として、転写された膨張性インキ層に熱を加える手段が、光照射により行われるように構成される。
【0019】
また、本発明の好ましい態様として、照射される光の最大エネルギー波長が、1.0〜4.0μmであるように構成される。
【0020】
本発明の盛り上げ画像形成用熱転写シートは、基材シートの一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層を有し、この膨張性インキ層の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層を有する構成をとるために、熱転写に際して、例えば、サーマルヘッドで一定のエネルギーE1を加えた場合は、表面にコートされた熱溶融性着色層のみが転写される。この一方で、E1よりも強い一定のエネルギーE2が加わった場合は、膨張性インキ層まで軟化され、熱溶融性着色層が転写されたその上に膨張性インキ層が転写される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の盛り上げ画像形成用熱転写シート(以下、単に『熱転写シート30』と称する)の一例を図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示されるように、本発明の熱転写シート30は、基材シート1の一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層3を有し、この膨張性インキ層3の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層5を有している。
基材シート1は、従来の熱転写シートに使用されているものと同じ基材シートを用いることができ、熱転写時の熱に耐えられるものであれば特に制限されるものではない。好ましい基材シートとしては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマーなどの延伸、又は未延伸フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙などがある。
【0023】
このような基材シート1の厚さは、その強度及び熱伝導性が適切になるよう、材料に応じて適宜変更することができるが、好ましくは2〜100μm、さらに好ましくは、3〜25μmである。
【0024】
膨張性インキ層3は、本実施例の場合、上述のごとく発泡剤および樹脂バインダーを含有している。
【0025】
本発明で使用する発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’ジニトロソ−N,N’ジメチルテレフタルアミド、P−トルエンスルホニルヒドラジド、ヒドラゾルカルボンアミド、P−トルエンスルホニルアジド、アセトン−P−スルホニルヒドラゾン等の有機系発泡剤;重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤;内部に低温で揮発する溶媒を含有した熱膨張性マイクロカプセル等が挙げられる。本発明では、これらの中でも特に熱膨張性マイクロカプセルを用いるのが好ましい。熱膨張性マイクロカプセル含有の場合には、でき上がった画像形成物に高い弾力性が発現し、耐久性に極めて優れた効果を発揮する。
【0026】
熱膨張性マイクロカプセルは、低温で揮発する炭化水素を熱可塑性樹脂からなる壁材の内部に包含させたカプセル構造をとるものであり、本発明においては光照射(加熱)等によって、未発泡状態の10〜150倍までに体積が膨張するものである。
【0027】
熱膨張性マイクロカプセルに内包させる炭化水素は、塩化メチル、臭化メチル、トリクロロエタン、ジクロロエタン、n−ブタン、n−ヘプタン、n−プロパン、n−ヘキサン、n−ペンタン、イソブタン、イソヘプタン、ネオペンタン、石油エーテル、フレオンなどのフッ素原子をもつ脂肪族炭化水素、あるいは、これらの炭化水素の複合混合体などを用いることができる。
【0028】
熱膨張性マイクロカプセルの壁材は、塩化ビニリデン、塩化ビニル、アクリロニトリル、スチレン、ポリカーボネート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニルのポリマー、あるいはこれらの樹脂の共重合体や混合物などを用いることができ、さらに必要に応じて架橋剤を使用することも可能である。
【0029】
熱膨張性マイクロカプセルの粒径は、直径0.1〜50μmであることが好ましく、さらに0.1〜30μmであることが好ましい。
【0030】
このような熱膨張性マイクロカプセルの市販品としては、例えば、松本油脂製薬(株)製造の「マツモトマイクロスフェアー」シリーズのF−20、F−30、F−40、F−50、F80S、F82、F80VS、F100などや、日本フェライト(株)製造の「エクスパンセル」シリーズを挙げることができる。
【0031】
膨張性インキ層3における熱膨張性マイクロカプセルの含有割合は、樹脂バインダー100重量部に対して30重量部以上から200重量部以下であることが好ましく、特に、50重量部以上から150重量部以下であることが好ましい。30重量部未満の場合は、膨張性インキ層3が十分に膨張せず、200重量部を超えると点字画像などの触読に対する耐久性が不足してくる傾向にある。
【0032】
膨張性インキ層3の樹脂バインダーを構成する材料は、例えば、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニルやポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、アクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、又は加硫ゴムや未加硫ゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。ゴム系樹脂としては、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、合成イソプレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリイソプレインゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、塩素化ブチルゴムなどの合成ゴムや天然ゴムなどの未加硫ゴム、あるいは加硫ゴムが挙げられる。特に好ましいものとしては、ポリエステル、アクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、及びゴム系樹脂を挙げることができる。
【0033】
このような樹脂バインダーに用いる樹脂の数平均分子量は1000以上であることが好ましい。
【0034】
数平均分子量が1000未満であるカルナウバワックスやパラフィンワックスやみつろうなどの天然ワックス、あるいは同じく数平均分子量が1000未満であるポリエチレンワックスやステアリン酸やアーマーワクックスなどの合成ワックスを樹脂バインダーの主成分として用いた場合、形成された点字画像は非常にもろくなるおそれがある。
【0035】
また、このような低分子量バインダーは、盛り上げ画像形成のために、熱転写シートから転写した画像を膨張(発泡)させる際に、軟化あるいは溶融することによって、粘性が非常に低下しやすい。このため、バインダーが被転写体(被転写基材)に滲み込んでしまったり、形成される点字画像の周囲に流れ出るおそれがあり、熱膨張性マイクロカプセルが被転写体(被転写基材)上に保持されにくくなるという不都合を生じる。
【0036】
被転写体に点字などの微細な盛り上げ画像を熱転写する際、加熱が行われた箇所のみ過不足無く転写することが正確な画像を形成するために極めて重要である。このため、膨張性インキ層3の樹脂バインダーは、熱転写時に所望の部分のみが箔切れをして転写する必要がある。このためには、樹脂バインダーの数平均分子量は30000以下であることが好ましく、25000以下であることが特に好ましい。
【0037】
また、点字画像などの触読による破損に対する耐久性が特に要求される場合には、樹脂バインダーの分子量が大きい方が良好な点字画像を得ることができ、このためには樹脂バインダーの数平均分子量は3000以上であることが好ましく、10000以上であることが特に好ましい。
【0038】
すなわち、点字画像などの盛り上げ画像形成の正確さと触読による破損に対する耐久性を考慮すると、樹脂バインダーは数平均分子量が1000以上かつ30000以下であることが好ましく、さらに好ましくは3000以上かつ25000以下、特に好ましくは10000以上25000以下である。
【0039】
また、熱溶融型転写層が一定の熱転写シート剥離条件下において、任意に破断(箔切れ)するためには、バインダー樹脂は適度な引張破断強度を持つことが好ましい。すなわち、JIS−K−7127に規定される引張破断伸度が50%以上かつ2000%以下であることが好ましく、100%以上かつ1000%以下であることがさらに好ましい。
【0040】
引張破断伸度が50%未満である場合にはバインダー樹脂として必要な強度が不足し、点字画像の触読による破損に対する耐久性が劣り、さらに熱転写が行われる前に転写シート上で膨張性インキ層3にひびが入りやすくなるといった問題を生じる。一方、この値が2000%を超えると点字画像の輪郭に応じた部分で膨張性インキ層3が破断しにくくなり、点字画像に切れ残った箔が付着して触読性を低下させたり、点字画像の一部に欠落を生じるといった問題を生じる。
【0041】
膨張性インキ層3には、必要に応じて着色剤を添加することができる。
【0042】
着色剤は、膨張性インキ層3を基材シート1上に塗布形成するにあたって支障をきたさない範囲において任意に添加量を選ぶことができる。すなわち、膨張性インキ層3の塗布に用いる溶媒または分散媒に対して、均一に溶解又は分散する着色剤から選ばれることが好ましい。
【0043】
例えば、膨張性インキ層3が水を分散媒とする水分散体を塗布して形成される場合、選択される着色剤は水に対して、均一に分散または溶解するものの中から選ばれることが好ましく、グレーもしくは黒色に着色するためにはカーボンブラックの水分散体を使用することができ、有彩色に着色するためには各々の色に対応する水溶性又は水分散性の有機顔料又は無機顔料を使用することができる。
【0044】
同様に、膨張性インキ層3が水と有機溶剤の混合液や、有機溶剤に、溶解されたものである場合、着色剤はかかる溶媒又は分散媒に対して均一に分散又は溶解するものの中から選ばれることが好ましく、この場合も所望の色相、彩度、明度に応じて任意の着色が可能であることはいうまでもない。
【0045】
また、熱転写シート上に膨張性インキ層3を形成した時点では無色ではあるが、熱転写時の熱エネルギーや、後述する発泡のための熱等のエネルギーが加えられることにより発色するものであってもよいし、被転写体にあらかじめ塗布されているものと接触することにより発色するものであってもよいし、加熱発泡させたり盛り上げ画像を指で触ることで発色あるいは他の色に変化するものであってもかまわない。
【0046】
さらに、膨張性インキ層3に良好な熱伝導性および溶融転写性を与えるために、熱良伝導性物質を膨張性インキ層3に添加することができる。このような物質としては、銅やアルミニウムや酸化錫や二硫化モリブデンなどの、金属あるいは金属酸化物あるいは金属硫化物よりなる粉末や微粉末やウイスカー、又はカーボンブラックなどの炭素質物質などを用いることができる。
【0047】
膨張性インキ層3は、前記の基材シート1の一方の面に、上記のごとき樹脂に必要に応じて架橋剤や架橋反応促進触媒などの必要な添加剤を加えたものを、適当な有機溶剤、有機溶剤と水との混合体、又は水に溶解したり、あるいは分散させた溶液又は分散体を例えばグラビアコート、スクリーン版による塗布、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、エアーナイフコートなどの通常の方法で塗布および乾燥することによって形成する。
【0048】
膨張性インキ層3の厚みは、10μm〜100μmが好ましく、20μm〜80μmであることが好ましい。
【0049】
このような膨張性インキ層3の上には、着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層5が形成される。
【0050】
熱溶融性着色層5に含有される熱溶融性バインダーとしては、ワックスが好適に用いられ、より具体的には、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を挙げることができる。
【0051】
このような熱溶融性バインダーとしてのワックスの数平均分子量は、200〜1000、好ましくは、400〜1000がよい。
【0052】
そして、この熱溶融性着色層5に含有される熱溶融性バインダーの融点をmp2、前記膨張性インキ層3に含有される熱溶融性バインダーの融点をmp1とした場合、これらの関係は、mp1>mp2であり、さらに、mp1−mp2の差が30℃以上、より好ましくは、30〜100℃の範囲にあるのがよい。このような関係を満たさないと、低印字エネルギーで表層の熱溶融性着色層5のみを転写しいわゆる墨字の部分を形成するとともに、高印字エネルギーで熱溶融性着色層5と膨張性インキ層3を転写させていわゆる点字の元となる部分を形成することができないという不都合が生じる。
【0053】
また、熱溶融性着色層5に含有される着色性物質としては、カーボンブラックや水分散性顔料等が用いられる。水分散性顔料としては、例えば、富士色素株式会社製の“FUJI SP RED 5126”や、“FUJI SP BLUE 6002 ”等が挙げられる。
【0054】
このような着色性物質は通常、熱溶融性着色層5の熱溶融性バインダー100重量部あたり固形分で、1〜10重量部程度含有される。このような熱溶融性着色層5の厚さは、0.5〜5.0μm程度とされる。
【0055】
このような熱溶融性着色層5に、前記膨張性インキ層3で使用される樹脂を少量、例えば、1〜30wt%、より好ましくは、5〜20wt%含有させることによって、熱溶融性着色層5の成分を含有している被転写体10に対する膨張性インキ層3の接着性を向上させることができる。この添加量が少な過ぎると接着性向上の効果が少なく、また、多過ぎると、墨字のみを転写する際の転写性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0056】
このような熱転写シート30において、図2に示されるように膨張性インキ層3と基材シート1との間に剥離性調整層2を設けることは好ましい態様である。また、さらに図3に示されるように膨張性インキ層3と熱溶融性着色層5との間に感熱接着層4を設け、熱溶融性着色層5の表面に熱溶融層6を設けることも好ましい態様である。
【0057】
剥離性調整層2は、熱転写シート30を用いて盛り上げ画像を形成する際、膨張性インキ層3の画像形成箇所のみを被転写体に剥離、接着するためのものであり、熱転写シート30と膨張性インキ層3との加熱時の剥離性を調整するものである。
【0058】
剥離性調整層2は、図4に示されるように、基材シート1の膨張性インキ層3から分離し、転写された熱溶融性着色層5aおよび膨張性インキ層3aとともに被転写体10側に剥離し転写する剥離層2a;図5に示されるように転写された後も基材シート1側に残り、膨張性インキ層3を剥離し易くして被転写体10に転写された熱溶融性着色層5aおよび膨張性インキ層3aを構成する離型層2b;および図6に示されるように転写時の熱で剥離性調整層が溶融し凝集力が低下し層内分離して膨張性インキ層3を剥離して、被転写体10に転写された熱溶融性着色層5aおよび膨張性インキ層3aを構成する層分離層2cの3種類がある。
【0059】
また、剥離層2aと離型層2bとを併用することもできる。
【0060】
剥離性調整層が、剥離層2a、又は、層分離層2cである場合は、転写された膨張性インキ層3aの最表面に剥離層、又は層分離層も転写されることになるため、このような剥離性調整層を形成する樹脂は、膨張性インキ層3aの膨張性を阻害しないものを選定することが必要である。また、剥離層2aは、盛り上げ画像の保護層としての効果をもつが、触読するときの指触感を損なうものであってはならない。
【0061】
離型層2bを形成する樹脂は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレンなどのようにそれ自身が離型性をもつもの、アクリル系樹脂、線状ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、酢酪酸セルロースなどのワニスに、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ワックス、脂肪酸アミドなどの離型剤を加えたものや、上記樹脂を種々の架橋剤で架橋させたものを使用することができる。例えば、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジイソシアネートをトリメチロールプロパンに付加させたアダクト体やビウレット体やトリマーなどのポリイソシアネート、エポキシ基やアジリジン基やオキサゾリン基を有する架橋剤、メラミンなどの架橋剤、アルミニウムや亜鉛やチタンやジルコニウムなどのキレート化剤を使用することができる。好ましくは、架橋したシリコーン樹脂や、又はポリイソシアネートで架橋した離型剤を含むアクリル樹脂やポリエステルである。そして、その塗布は、グラビアコート、ロールコートなどの通常の方法で行われ、塗布厚みは0.05〜5.00μmが好ましく、0.10〜2.00μmであることがさらに好ましい。
【0062】
剥離層2aを形成する樹脂は、膨張性インキ層3の加熱速度を阻害しない熱可塑性樹脂の中から塗布被膜を形成できるものから選択する。そして、触読を容易にできるようにマット剤であるシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機物や、ポリカーボネート、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの有機物の微粒子を分散させることもできる。
【0063】
また、剥離層2aに前記の発泡剤、特に、熱膨張性マイクロカプセルを含ませることにより、転写画像とともに膨張(発泡)させて触読を容易にすることもできる。
【0064】
使用する熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、線状ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ウレタン、アクリロニトリル、ポリイソブチレン、ネオプレン、天然ゴム等の溶液あるいはディスパージョンがある。好ましくは、膨張性インキ層3の発泡剤である炭化水素のバリア層となる塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、アクリロニトリルやアクリル樹脂である。そして、その塗布は、グラビアコート、ロールコート、エアーナイフコートなどの通常の方法で行われ、塗布厚みは、0.05〜5.00μmが好ましく、0.10〜2.00μmであることがさらに好ましい。
【0065】
層分離層2cを形成するための樹脂は、熱転写シートから膨張性インキ層3を転写するときの熱で、熱溶解して凝集力を低下させるものであり、天然ワックスや合成ワックス、熱可塑性樹脂等から選定できる。例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、フィシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、シリコーンワックスなどの種々のワックス類、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル、アクリル系樹脂、ポリウレタンなどの単独あるいは混合物がある。低分子ポリエチレンを主とするものである。そして、その塗布は、熱溶融したり、溶剤に加熱溶融したり、溶液にしたり、あるいはディスパージョンの状態のものを、グラビアコート、ロールコート、エアーナイフコートなどの通常の方法で行われる。塗布厚みは、0.05〜5.00μmが好ましく、0.10〜2.00μmであることがさらに好ましい。
【0066】
また、別の態様として、膨張性インキ層3および剥離性調整層2に用いる樹脂が、熱拡散性色素に対して染着性を有している場合、剥離性調整層に任意の色の熱拡散性色素を添加することができる。
【0067】
このように形成することにより、膨張性インキ層3を塗布する際の乾燥工程における熱によって、剥離性調整層2に添加した熱拡散性色素が拡散することにより、膨張性インキ層3を任意に着色することができ、熱膨張性マイクロカプセル(または、発泡剤)とバインダー樹脂とを水に分散または溶解した液体の塗布および乾燥によって形成される膨張性インキ層3を、水に不溶または分散困難な熱拡散性色素によって染色することが可能になる。
【0068】
熱拡散性色素としては、従来公知の染料はいずれも使用可能であり、特に制限されるものではない。例えば、好ましい染料として、赤色染料として、MS Red G、Macrolex Red Violet R 、Ceres Red 7B、Samaron Red HBSL、Resolin Red F3BS等が挙げられ、また、黄色染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL 、PTY-52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、また、青色染料としては、カヤセットブルー714 、ワクソリンブルーAP-FW 、ホロンブリリアントブルーS-R 、MSブルー100 等が挙げられる。また、これらの熱拡散性色素を一種類のみならず二種類以上任意に混合して希望の色調を得ることも可能である。
【0069】
さらに、前述のごとく図3に示されるように膨張性インキ層3と熱溶融性着色層5との間に感熱接着層4を設けることや、前記熱溶融性着色層5の上に熱溶融層6を設けることは好ましい態様である。感熱接着層4は、膨張性インキ層3を比較的に低温度で転写するために設けられる。転写温度が高くて、膨張(発泡)温度になると、熱膨張性マイクロカプセルが、高さ以外の平面方向にも膨張することがあり、点字画像などの触読に対する耐久性が不足してくることがあるからである。熱溶融層6は、熱溶融性着色層5を転写する際に発生し得るいわゆる字汚れを防止するために形成される。熱溶融層6は、数平均分子量が1000以下である熱溶融性物質を主成分して含有しており、具体的には、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス等が用いられる。熱溶融層6の厚さは、0.1〜2.0μm程度である。
【0070】
また、感熱接着層4に使用できる材料は、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックスなどのワックス;アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、塩素化ブチルゴムなどの合成ゴム;天然ゴムなどの未加硫ゴム;ポリ酢酸ビニルやポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂を単独、あるいは適宜に混合したものである。また、感熱接着層4に、熱膨張性マイクロカプセルを混入することにより、発泡させ、点字などの盛り上げ画像の触読を容易にすることもできる。
【0071】
熱転写シート30を用いて盛り上げ画像を被転写体10に転写するための加熱手段としてサーマルヘッドを使用する場合、基材シート1の膨張性インキ層3が形成されていない側より加熱が行われる。この加熱面に耐熱性、滑り性、あるいはこれらの両物性を持たせるための耐熱滑性層を設けることが好ましい。耐熱滑性層は、耐熱性のある樹脂と熱離型剤または滑剤の働きをする物質とを基本的な構成成分とする。種々の熱可塑性樹脂を公知の架橋剤によって架橋させることは樹脂の耐熱性を向上させるために有効な方法であり、例えば、熱可塑性樹脂の側鎖や分子末端に水酸基がある場合、ポリイソシアネートなどの架橋剤を用いることができる。架橋剤を使用する場合は、必要に応じて触媒を使用する。
【0072】
上述してきたような盛り上げ画像形成用の熱転写シート30を用いた画像形成方法について説明する。特に、本発明では、1枚の熱転写シート30で盲人用の点字画像と晴眼者(通常の視覚能力を有する者)用の墨字(指で読む点字に対して目で読むためにかかれた文字)の双方を1回の印字動作で併記して形成することができることに特徴があるが、各々の形成状態の理解を容易にするために墨字を形成する場合と、点字画像を形成する場合とに分けて説明する。
【0073】
▲1▼墨字を形成する場合
前記熱転写シート30と被転写体10を重ね、熱転写シート30の熱溶融性着色層5が溶融転写できる温度で第一の加熱を画像形状に行ない被転写体10に圧着する。その後、画像状に形成された熱溶融性着色層5を熱転写シート30より剥離して被転写体10側に転写させる。この場合、第一の加熱によっては、膨張性インキ層3は溶融転写されない。すなわち、第一の加熱とは、熱溶融性着色層5のみが溶融転写できる温度での加熱であって、かつ、膨張性インキ層3は溶融転写されない温度での加熱である。ちなみに、mp1>mp2であることは前述した通りである。
【0074】
▲2▼点字画像を形成する場合
前記熱転写シート30と被転写体10を重ね、熱転写シート30の熱溶融性着色層5はもとより膨張性インキ層3が転写できる温度で第二の加熱を画像形状に行ない被転写体10に圧着する。その後、画像状に形成された熱溶融性着色層5および膨張性インキ層3を熱転写シート30より剥離して被転写体10側に転写させる。この場合、熱溶融性着色層5が被転写体10に含浸状態になっている上に、膨張性インキ層3が軟化転写されている。すなわち、第二の加熱とは、熱溶融性着色層5および膨張性インキ層3が転写できる温度での加熱である。しかる後、被転写体10に転写された画像を発泡させるための熱エネルギーが転写画像に付与され、転写された膨張性インキ層3は膨張(発泡)して立体感のある点字等の盛り上げ画像となる。熱エネルギーの付与手段には、種々の付与手段が使用でき、例えば、オーブンによる加熱や、電熱線による熱風加熱や赤外線照射加熱やレーザー光線照射加熱や、電磁気加熱等の加熱方式、及び被転写体を加熱ロールに接触させる加熱方式等が挙げられる。これらの中でも、特に、光り照射による方法が好ましい。照射される光の最大エネルギー波長は、1.0〜4.0μmであるものが好ましい。
【0075】
なお、前記熱溶融性着色層5は被転写体10に含浸した状態で存在するので、一種の目止め効果を奏する。
【0076】
熱転写を行う際に使用される被転写体10の形状としては、シート状態、小巻き状態やカード状態などの種々の形態がある。そして、その素材はセルロースなどの天然繊維に限定されず、ビニロンやナイロンやポリエステルやアクリルなどの合成繊維、ステンレスなどの金属繊維、アルミナやシリケートなどの無機繊維、炭素繊維、キチン繊維、キトサン繊維などを用いて抄き上げたものなどいずれのものも使用できる。天然繊維を用いた紙類としては、例えば上質紙、中質紙、コピー用紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、ケント紙、板紙、図面用紙、カード用紙、更紙、グラシン紙、新聞用紙、コンデンサー用紙などを挙げることができる。さらに、種々の熱可塑性樹脂を原料に用いて製造されたプラスチックフィルム類であるポリエチレンテレフタレートフィルムやポリ塩化ビニルフィルムやポリエチレンナフタレートフィルムやポリイミドフィルム、同じく熱可塑性樹脂類を抄く工程を経ずに紙状に加工した合成紙類(例えば、王子油化製、ユポFPG−150)なども使用することができる。
【0077】
なお、被転写体10は溶融した熱溶融性着色層5を十分に吸収できる表面形状を持っていることが必要である。先行して転写している熱溶融性着色層5が発泡のための加熱で溶融し、転写した盛り上げ画像が発泡操作中に剥離してしまう現象が生じてしまうからである。この観点からみれば特に、コピー用紙等の天然紙を用いることが好ましい。
【0078】
上記の熱転写シート30から被転写体10に画像を転写する際に使用する加熱手段、すなわち、熱エネルギーの付与手段は、コンピューターからの画像情報に応じて加熱量をコントロールできる(前記第一の加熱および第二の加熱を所定のパターンに応じて同時に行う)従来公知の種々の方法がいずれも使用できる。例えば、ワードプロセッサーに用いられる感熱溶融転写方式用サーマルヘッド、ビデオプリンターに用いられる感熱昇華転写方式サーマルヘッドや、レーザー印字方式プリンターに用いられるレーザーヘッドなどを用いることができる。さらに、熱転写シートの背面側に通電発熱層を設けた場合、通電加熱型溶融転写方式用通電ヘッドを用いることも可能である。
【0079】
このように本発明の熱転写シートを用いることにより、墨字と点字が併記された印字物を1回の印字動作で容易に出力することが可能となる。つまり、視覚障害者と健常者が同一の情報を一枚の出力物から得られることが可能となるのである。
【0080】
また、従来のエンボス方式によって印字される点字と異なり、点字画像が形成された裏面に凹状の窪みが発生せず、晴眼者のための墨字印字が施された紙などの反対面などに墨字情報を損なうことなく点字を印刷することができる。よって、例えば金銭の支払い内容などを記録したレシートの裏面や表面、通常の文字印刷が施された名刺の裏面や表面、さらには磁気情報が記録されたプリペイドカードの表面、あるいは航空券や乗車券などの表面や裏面に印刷することもでき応用範囲は極めて広い。
【0081】
なお、本明細書においては、特に、本発明の熱転写シートが効果的な点字を例にとって詳細に説明したが、盛り上げ画像は特に点字ではなく、絵柄や記号、文字であってもかまわない。そして、盛り上げ画像をスタンプ(凸版)として用いることもできる。
【0082】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0083】
〔実施例1〕
基材シート1として、膨張性インキ層を形成する面の裏面に耐熱処理を施した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。このフィルム表面に、均一塗布が可能なように攪拌された下記組成の膨張性インキ層塗布液1を厚みが30μmとなるようにリバースロールコートで塗布および乾燥し、膨張性インキ層3を形成した。
【0084】
Figure 0003816973
次いで、この膨張性インキ層3の上に、下記の組成からなる熱溶融性着色層塗布液1を塗布厚さが2.0μmとなるようにダイレクトグラビアコートで塗布乾燥して熱溶融性着色層5を形成した。
【0085】
Figure 0003816973
次いで、この熱溶融性着色層5の上に、下記の組成からなる熱溶融層塗布液1を塗布厚さが1.0μmとなるようにダイレクトグラビアコートで塗布乾燥して熱溶融層6を形成した。
【0086】
Figure 0003816973
このように作製した熱転写シートの熱溶融層6、熱溶融性着色層5および膨張性インキ層3側を厚さ150μmの上質紙に重ね合わせて、熱転写シートの背面からサーマルヘッド(KMT−85−6MPD2−HTV)を用いて、所定画像の墨字群および所定パターンの点字(予定)群を転写した。
【0087】
この場合、サーマルヘッドにパルス状に電圧を加えるパルス幅を調整することで印字エネルギーを調整して、一回の印字動作で墨字群と点字(予定)群を同時に転写した。
【0088】
すなわち、熱転写シートの墨字群の転写箇所に、ヘッド印加電圧12.0V、印字速度33.3ms/line、印加パルス幅6.0ms/lineの印字条件でサーマルヘッドを部分的に加熱することによって熱溶融性着色層5(熱溶融層6も含む)のみを転写させて、所定の墨字群(文字)を記入し、この一方で点字(予定)群の転写箇所に、ヘッド印加電圧12.0V、印字速度33.3ms/line、印加パルス幅16.0ms/lineの印字条件でサーマルヘッドを部分的に加熱することによって熱溶融性着色層5(熱溶融層6も含む)および膨張性インキ層3を転写させ、点字の文書を構成する直径約1mmの点画素を転写した。
【0089】
次に、転写シートを被転写紙から剥離した後、最大エネルギー波長が1.2μmである赤外線ヒーター(ヘレウス株式会社製短波長赤外線ラジエター:ZKB600/80G)で5cmの距離をおいて被転写紙に赤外線を20秒間照射した。これにより、転写された膨張性インキ層3を膨張させ、点字群を構成して、この点字群と前記の墨字群とが混在した実施例1のサンプルを作製した。
【0090】
この画素サンプルに関し、点字群(部分)については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であり、点字文書として良好に触読できることが確認された。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなかった。
【0091】
また、この画素サンプルの墨字群(部分)については、極めて鮮明に印字がおこなわれていることが確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写されており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する墨字パターンが良好に転写されていることが確認された。
【0092】
〔実施例2〕
上記実施例1において、膨張性インキ層塗布液1を下記に示される膨張性インキ層塗布液2にかえ、さらに上記実施例1に示される要領にしたがって熱転写シートを作製した。
【0093】
Figure 0003816973
このように作製した熱転写シートを用いて上記実施例1の場合と同様な要領で転写実験を行って、点字群と墨字群とが混在した実施例2の画素サンプルを作製した。
【0094】
この画素サンプルに関し、点字群(部分)については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であり、点字文書として良好に触読できることが確認された。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなかった。
【0095】
また、この画素サンプルの墨字群(部分)については、極めて鮮明に印字がおこなわれていることが確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写されており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する墨字パターンが良好に転写されていることが確認された。
【0096】
〔実施例3〕
上記実施例1において、膨張性インキ層塗布液1を下記に示される膨張性インキ層塗布液3にかえ、さらに上記実施例1に示される要領にしたがって熱転写シートを作製した。
【0097】
Figure 0003816973
このように作製した熱転写シートを用いて上記実施例1の場合と同様な要領で転写実験を行って、点字群と墨字群とが混在した実施例3の画素サンプルを作製した。
【0098】
この画素サンプルに関し、点字群(部分)については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であり、点字文書として良好に触読できることが確認された。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなかった。
【0099】
また、この画素サンプルの墨字群(部分)については、極めて鮮明に印字がおこなわれていることが確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写されており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する墨字パターンが良好に転写されていることが確認された。
【0100】
〔実施例4〕
上記実施例1において、基材シート1と膨張性インキ層3との間に下記の剥離性調整層塗布液をグラビア印刷にて塗布、乾燥して剥離性調整層2(乾燥厚さ1.0μm)を設け、膨張性インキ層3と熱溶融性着色層5との間に下記の感熱接着層塗布液をグラビア印刷にて塗布、乾燥して感熱接着層4(乾燥厚さ2.0μm)を設けて熱転写シートを作製した。
【0101】
Figure 0003816973
このように作製した熱転写シートを用いて上記実施例1の場合と同様な要領で転写実験を行って、点字群と墨字群とが混在した実施例4の画素サンプルを作製した。
【0102】
この画素サンプルに関し、点字群(部分)については、『点字高さ』および『発泡体強度』を評価した。その結果、『点字高さ』は200μm以上であり、点字文書として良好に触読できることが確認された。また、『発泡体強度』については、熱膨張した点画素が指触によっても潰れたりちぎれたりすることは殆ど無く、触読を繰り返しても触読性に変化は認められなかった。
【0103】
また、この画素サンプルの墨字群(部分)については、極めて鮮明に印字がおこなわれていることが確認された。すなわち、墨字画素が過不足なく転写されており、エネルギーを加えた画像パターンに対応する墨字パターンが良好に転写されていることが確認された。
【0104】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明の盛り上げ画像形成用熱転写シートは、基材シートの一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層を有し、この膨張性インキ層の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層を有する構成を採択しているので、同一の熱転写シートを用いて一回の印字動作で点字画像および墨字画像を同時に形成することができる。さらに転写によって形成された点字画像は、指による触読が容易で、触読による耐久性についても優れた効果を発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】盛り上げ画像形成用熱転写シートの断面概略図である。
【図2】盛り上げ画像形成用熱転写シートの他の好適な実施例を示す断面概略図である。
【図3】盛り上げ画像形成用熱転写シートの他の好適な実施例を示す断面概略図である。
【図4】剥離性調整層を設けた、盛り上げ画像形成用熱転写シートの剥離状況を示す断面概略図である。
【図5】剥離性調整層を設けた、盛り上げ画像形成用熱転写シートの剥離状況を示す断面概略図である。
【図6】剥離性調整層を設けた、盛り上げ画像形成用熱転写シートの剥離状況を示す断面概略図である。
【符号の説明】
1…基材シート
2…剥離性調整層
3…膨張性インキ層
4…感熱接着層
5…熱溶融性着色層
6…熱溶融層
10…被転写体
30…盛り上げ画像形成用熱転写シート

Claims (11)

  1. 基材シートの一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層を有し、この膨張性インキ層の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層を有し、
    前記膨張性インキ層に含有される樹脂バインダーの融点をmp1、前記熱溶融性着色層に含有される熱溶融性バインダーの融点をmp2とした場合、mp1>mp2であり、
    基材シートの裏面側からの加熱条件によって、墨字を形成するための前記熱溶融性着色層の転写、盛り上げ画像を形成するための前記熱溶融性着色層および前記膨張性インキ層の転写と、を個別に可能とし、一回の印字動作で点字画像および墨字画像を同時に形成できるように構成されてなることを特徴とする盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  2. 前記熱溶融性着色層に含有される熱溶融性バインダーは、その数平均分子量が1000以下であることを特徴とする請求項1記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  3. 前記熱溶融性着色層の表面側にさらに数平均分子量が1000以下である熱溶融性物質を主成分とする熱溶融層を設けることを特徴とする請求項2記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  4. 前記膨張性インキ層に含有される樹脂バインダーは、その数平均分子量が1000以上30000以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  5. 前記膨張性インキ層に含有される発泡剤が、易揮発性炭化水素を内包する熱膨張性マイクロカプセルであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  6. 前記膨張性インキ層と基材シートの間に剥離性調整層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  7. 前記膨張性インキ層と熱溶融性着色層の間に感熱接着層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  8. 前記膨張性インキ層に含有される樹脂バインダーの融点をmp1、前記熱溶融性着色層に含有される熱溶融性バインダーの融点をmp2とした場合、mp1−mp2の差が30℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の盛り上げ画像形成用熱転写シート。
  9. 基材シートの一方の面に発泡剤および樹脂バインダーを含有する膨張性インキ層を有し、この膨張性インキ層の上に着色性物質および熱溶融性バインダーを含有する熱溶融性着色層を有する盛り上げ画像形成用熱転写シートを用いた盛り上げ画像形成方法であって、
    該方法は、前記熱転写シートと被転写体を重ね、基材シートの裏面側から熱溶融性着色層のみを溶融させて画像状に転写可能にできる第一の加熱を行ない墨字を形成させるとともに、基材シートの裏面側から膨張性インキ層を軟化させ転写可能にできる第二の加熱を画像状に行ない膨張性インキ層を画像状に転写し、当該転写された膨張性インキ層に熱を加えることにより前記転写された膨張性インキ層を膨張させて立体感のある盛り上げ画像を形成することを特徴とする盛り上げ画像形成方法。
  10. 前記転写された膨張性インキ層に熱を加える手段が、光照射により行われることを特徴とする請求項9に記載の盛り上げ画像形成方法。
  11. 照射される光の最大エネルギー波長が、1.0〜4.0μmである請求項10に記載の盛り上げ画像形成方法。
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