JPH09508262A - トロンボポエチン - Google Patents

トロンボポエチン

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JPH09508262A
JPH09508262A JP7518499A JP51849995A JPH09508262A JP H09508262 A JPH09508262 A JP H09508262A JP 7518499 A JP7518499 A JP 7518499A JP 51849995 A JP51849995 A JP 51849995A JP H09508262 A JPH09508262 A JP H09508262A
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イートン,ダン・エル
ドゥ・ソバージュ,フレドリック・ジ
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ジェネンテク,インコーポレイテッド
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    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/524Thrombopoietin, i.e. C-MPL ligand
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
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    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 分離されたトロンボポエチン(TPO)、TPOをコードしている分離されたDNA、およびTPOを製造し精製する組換えまたは合成法が開示される。TPOの種々の型が、血液細胞、特に巨核球および巨核球祖先細胞の増幅、分化または成熟に影響を及ぼすことが示される。したがって、これらの化合物は血小板減少症の処置に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 トロンボポエチン 発明の分野 本発明は、造血細胞、特に血小板祖先細胞の生存、増殖、分化または成熟に影 響する蛋白の分離、精製および組換えまたは化学合成に関するものである。特に 本発明は、サイトカインレセプタースーパーファミリーの一員であるmplに結 合しこれを活性化できる蛋白リガンドをコードしている核酸のクローニングおよ び発現に関するものである。本発明はさらに、血小板減少症を包含する免疫また は造血疾患を処置するための、単独でのまたは他のサイトカインと組み合わせた これらの蛋白の用途に関するものである。 発明の背景 I.造血系 造血系は、全ての哺乳動物の生存に必要であることが知られている、高度に専 門化した成熟血液細胞を産生する。これらの成熟細胞は、酸素および二酸化炭素 を輸送するために専門化した赤血球、細胞および抗体仲介免疫反応を司るTおよ びBリンパ球、血餅の形成のために専門化した血小板または栓球、ならびに清掃 屋としておよび感染と戦うための補助細胞として専門化した顆粒球およびマクロ ファージを包含する。顆粒球はさらに、別個の機能を有する専門化した細胞型で ある、好中球、好酸球、好塩基球および肥満細胞に細分化される。驚くべき事に 、これらの専門化した成熟血液細胞は全て、主として骨髄に見いだされる多能性 (または全能性)幹細胞と呼ばれる一つの共通する原始細胞型から誘導される( デクスター等、Ann.Rev.Cell Biol.、3巻423−441頁[1987])。 高度に専門化した成熟血液細胞は、哺乳動物の生涯を通じて絶えず大量に生産 されねばならない。これら専門化した血液細胞の大半は、わずか数時間ないし数 週間しか機能的に活性であり続けない運命にある(クロンカイト等、Blood Cell s、2巻263−284頁[1976])。したがって、哺乳動物の正常で安定 した状態の血液細胞の要求を支えるためには、成熟血液細胞、原始幹細胞自身、 ならびに原始および成熟細胞の間にある全ての中間体または系統が決定付けられ ている祖先セルラインの連続的再生が必要である。 造血系の核心には多能性幹細胞がある。これらの細胞は比較的少数であって、 増殖により自己再生を受け娘幹細胞を産生し、または一連の分化工程においてだ んだん成熟する系統制限された祖先細胞へと変換され、最終的には高度に専門化 した成熟血液細胞を形成する。 例えば、幹細胞から誘導されCFC−Mixと呼称される或る種の多能性祖先 細胞は、増殖(自己再生)および発達を受け、異なった骨髄細胞の全て:赤血球 、好中球、巨核球(血小板の先祖)、マクロファージ、好塩基球、好酸球、およ び肥満細胞、を含むコロニーを作る。リンパ系統の別の祖先細胞は、T細胞およ びB細胞への増殖および発達を受ける。 さらに、CFC−Mix祖先細胞および骨髄細胞の間には、それらの子孫への 中間体になることが決定付けられている別の列の祖先細胞が存在する。系統に制 限されるこれらの祖先細胞は、それらの生成する子孫を基に分類される。即ち、 知られている骨髄性細胞の直接の先祖は、赤血球に対しては赤血球コロニー形成 単位(CFU−E)、好中球およびマクロファージに対しては顆粒球/マクロフ ァージコロニー形成細胞(GM−CFC)、巨核球に対しては巨核球コロニー形 成細胞(Meg−CFC)、好酸球に対しては好酸球コロニー形成細胞(Eos −CFC)、そして肥満細胞に対しては好塩基球コロニー形成細胞(Bas−C FC)である。多能性幹細胞および成熟血液細胞の間のその他の中間体の先祖は 既知である(下記を参照されたい)か、または異なった程度の系統制限および自 己再生能を持つことが発見される可能性があろう。 正常な造血細胞系の根底にある原則は、多能性が失われ系統制限および成熟が 獲得されるにつれて自己再生能が低下する事のようである。したがって、造血細 胞スペクトルの一端には、自己再生する能力、および様々な系統特異的な、分化 方向の決定付けられている祖先細胞の全てに分化する能力を有する多能性幹細胞 が存在する。この能力は、原始幹細胞が造血細胞系全体に再度位置を占める骨髄 移植治療の基礎である。該スペクトルの他端には、高度に系統制限された祖先と 、自己再生能は喪失したが成熟した機能的活性を獲得したそれらの子孫とが存在 する。 幹細胞および系統制限された祖先細胞の増殖および発達は、様々な造血成長因 子またはサイトカインにより注意深く調節されている。これらの成長因子のイン ビボでの役割は複雑であり、完全には理解されていない。インターロイキン3( IL−3)のような幾つかの成長因子は、多能性幹細胞と、例えば巨核球を包含 する、分化方向を決定付けられた幾つかの系統の祖先細胞の両方を刺激すること ができる。顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のような 別の因子は、最初、その作用がGM−CFCに限定されていると考えられていた 。しかしながら後に、GM−CSFは、とりわけ巨核球の増殖および発達にも影 響を及ぼしていることが発見された。即ち、IL−3およびGM−CSFは、そ の強さは異なっているものの、部分重複する生物活性を有することが判明した。 より近年になり、インターロイキン6(IL−6)およびインターロイキン11 (IL−11)はいずれも単独ではmegコロニー形成に明らかな影響力を持た ないが、IL−3と相乗的に作用して巨核球の成熟を刺激する(ヨネムラ等、Ex p.Hematol.、20巻1011−1016頁[1992])。 このように、造血成長因子は1またはそれ以上の系統の成長および分化に影響 するかも知れず、単一の祖先細胞セルラインへの影響において他の成長因子と部 分重複するかも知れず、または他の因子と相乗的に作用するかも知れない。 さらに造血成長因子は、全能性幹細胞から、分化方向の決定付けられている系 統制限された様々な祖先を経て成熟血液細胞に至る細胞発達の異なった段階でそ れらの作用を表すことができるようである。例えば、エリスロポエチン(epo )は成熟赤血球の祖先細胞の増殖をのみ亢進するように見える。IL−3はその 作用をより早く行使し、原始幹細胞および中間体系統制限祖先細胞に影響を及ぼ すように見える。幹細胞因子(SCF)のような他の成長因子はさらにより原始 的な細胞の発達に影響を及ぼし得る。 任意の血液細胞またはそれらの祖先の生存、増殖、分化または成熟に影響する 新規な造血成長因子は、特に、疾病により惹起されたまたは照射もしくは化学療 法後の減衰した造血系の再確立を援助するために役立つという事が、前記の事か ら理解されるであろう。 II.巨核球形成 − 血小板の産生 巨核球形成および血小板産生の調節は、マズーア、Exp.Hematol.、15巻24 8頁[1987]およびホフマン、Blood、74巻1196−1212頁[19 89]により総説されている。簡潔に述べると、骨髄多能性幹細胞が巨核球の、 赤血球の、そして骨髄球のセルラインに分化する。幹細胞と巨核球の間には、分 化方向の決定された巨核球祖先細胞の階層があると信じられている。少なくとも 三つのクラスの巨核球祖先細胞、即ち、バースト形成単位巨核球(BFU−MK )、コロニー形成単位巨核球(CFU−MK)、および軽密度巨核球祖先細胞( LD−CFU−MK)が同定されている。巨核球の成熟それ自体は、標準的形態 学上の判断基準に基づく段階に分離された発達の連続体である。巨核球(MKま たはmeg)ファミリーの最も早期に認識できる成員は巨核芽球である。この細 胞は、最初、好塩基性細胞質と、緩い、幾分網状のクロマチンおよび数個の仁を 伴う僅かに不規則な核とを有する直径20ないし30μmのものである。後に巨 核芽球は32個までの核を含み得る(プロイプロイド)が、細胞質は依然として まばらで未熟なままである。成熟が進むにつれて、核はより分葉および濃縮し、 細胞質はその量を増加させそしてより好酸性且つ顆粒性となる。このファミリー の最も成熟した細胞は、その辺縁に血小板を放出する外観を与えるかも知れない 。正常では、巨核球の10%未満が芽球段階であり、50%以上が成熟している 。巨核球系列に一般に適用される自由裁量による形態学的分類は、最も初期の型 に対して巨核芽球;中間の形に対して前巨核球または好塩基性巨核球;そして後 期の型に対して成熟(好酸性、顆粒、または血小板産生性)巨核球である。成熟 巨核球では、細胞質の線維が類洞空間へと伸張し、そこでこれらは分離して個々 の血小板へと破片化している(ウィリアムズ等、Hematology、1972)。 巨核球形成は幾つかの調節因子を含むと信じられている(ウィリアムズ等、Br .J.Haematol.、52巻173頁[1982]およびウィリアムズ等、J.Cell Phy s iol.110巻101頁[1982])。巨核球形成の初期の段階は、有糸分裂性 であり、CFU−MKからの細胞増殖およびコロニー形成開始と関わっていると されているが、血小板の数による影響は受けない(バースタイン等、J.Cell Phy siol.、109巻333頁[1981]およびキムラ等、Exp.Hematol.、13巻 1048頁[1985])。成熟の後期段階は、非有糸分裂性であり、核の倍数 体化および細胞質成熟と関連があり、そして恐らくは末梢の血小板数によるフィ ードバック機構で調節されている(オデル等、Blood、48巻765頁[197 6]およびエブ等、Blood、32巻787頁[1968])。 明確なそして特異的な巨核球コロニー刺激因子(MK−CSF)の存在が論じ られてきた(マズーア、Exp.Hematol.、15巻340−350頁[1987]) 。しかしながら、殆どの論者は、血小板産生のように生存にとって極めて重大な 過程は、この過程を独占的に司るサイトカインによって調節されているであろう と信じている。巨核球/血小板特異的サイトカインが存在するという仮説は30 年以上もの間、研究の根拠を提供してきた。しかしながら、現在のところそのよ うなサイトカインは、特異なMK−CSF(TPO)として精製され、配列決定 されそして検定により確立されていない。 実験的に作り出された血小板減少症(ヒル等、Exp.Hematol.、14巻752頁 [1986])およびヒト胚腎臓条件培地[CM](マクドナルド等、J.Lab.Cl in.Med.、85巻59頁[1975])から、ならびに人間の増殖性貧血および 特発性血小板減少性紫斑病の尿抽出物(カワキタ等、Blood、6巻556頁[1 983])および血漿(ホフマン等、J.Clin.Invest.、75巻1174頁[19 85])から、MK−CSFが部分精製されたと報告されてはいるが、それらの 生理機能は殆どの場合なお知られていない。 アメリカヤマゴボウ分裂促進因子により活性化された脾臓細胞(PWM−Sp CM)およびマウス骨髄単球セルラインWEHI−3(WEHI−3CM)の条 件培地を巨核球増強物質として使用した。PWM−SpCMはCFU−MKの増 殖を亢進する因子を含み(メトカーフ等、Pro.Natl.Acad.Sci.USA、72巻17 44−1748頁[1975];ケセンベリー等、Blood、65巻214頁[1 985];およびN.N.イスコーヴ、ヘマトポエティック・セル・ディファレ ンシエーション、分子および細胞生物学に関するICN−UCLAシンポジウム 、10巻、ゴールド等編[ニューヨーク、アカデミー・プレス]37−52頁[ 1978])、それらの一つがインターロイキン3(IL−3)、多系統コロニ ー刺激因子である(マルチCSF[バースタイン、Blood Cells、11巻469 頁[1986])。この培地中のその他の因子はまだ同定および分離されていな い。WEHI−3は、比較的大量のIL−3およびより少量のGM−CSFを分 泌するマウス骨髄単球セルラインである。IL−3は、広範囲の造血細胞の成長 を強化することが見いだされている(イール等、J.Immunol.、13巻282頁[ 1983])。IL−3は、ごく初期の多能性前駆体の誘導および極めて大きな 混合造血コロニーの形成において、エリスロポエチン(EPO)およびインター ロイキン1(IL−1)の両者を包含する既知の造血ホルモンまたは成長因子の 多くと相乗作用することが見いだされている(バーテルメッツ等、J.Cell Physi ol.、122巻362−369頁[1985]およびワレン等、Cell、46巻6 67−674頁[1988])。 巨核球強化物質のその他の供給源は、マウス肺、骨、マクロファージセルライ ン、腹膜滲出液細胞およびヒト胚腎臓細胞の条件培地に見いだされている。幾つ かの相反するデータ(マズーア、Exp.Hematol.、15巻340−350頁[19 87])にも拘わらず、単球ではなく活性化Tリンパ球が巨核球形成を増強する 役割を果たしているという幾つかの証拠がある(ガイスラー等、Br.J.Haematol. 、60巻233−238頁[1985])。これらの発見は、インターロイキン のような活性化Tリンパ球分泌物がMKの発達の調節因子であるかも知れないと いうことを示唆している(ガイスラー等、Exp.Hematol.、15巻845−853 頁[1987])。精製エリスロポエチンEPOを用いた巨核球形成に関する幾 つかの研究(ヴァインチェンカー等、Blood、54巻940頁[1979];マ クレオド等、Nature、261巻492−4頁[1976];およびウィリアムズ 等、Exp.Hematol.、12巻734頁[1984])は、このホルモンがMKコロ ニー形成において増強効果を有することを示している。この事は、無血清および 血清 含有培養においてそしてアクセサリー細胞不在下でも証明された(ウィリアムズ 等、Exp.Hematol.、12巻734頁[1984])。巨核球発達の四細胞段階で 関与するPWM−SpCMの効果に反して、EPOは、巨核球形成の一および二 細胞段階でより関与が大きいとされた。巨核球発達の初期および後期の両者に及 ぼすこれらの因子の相互作用は、なお解明されねばならない。 幾つかの研究室から導き出されたデータは、個別的にMKコロニー刺激活性を 有する唯一の多系統因子は、GM−CSFおよびIL−3ならびに、より程度は 低いがB細胞刺激因子IL−6であることを示唆している(イケブチ等、Proc.N atl.Acad.Sci.USA、84巻9035頁[1987])。より近年になって、幾人 かの著者が、IL−11および白血病阻害因子(LIF)はIL−3と相乗的に 作用して巨核球の大きさと倍数性を増大させると報告した(ヨネムラ等、Britis h Journal of Hematology、84巻16−23頁[1983];バースタイン等 、J.Cell.Physiol.、153巻305−312頁[1992];メトカーフ等、B lood、76巻50−56頁[1990];メトカーフ等、Blood、77巻215 0−2153頁[1991];ブルーノ等、Exp.Hematol.、19巻378−38 1頁[1991];およびヨネムラ等、Exp.Hematol.、20巻1011−101 6頁[1992])。 その他の興味深い文献は、エプスタイン等、米国特許第4962091号;チ ョング、米国特許第4879111号;フェルナンデス等、米国特許第4604 377号;ウィスラー等、米国特許第4512971号;ゴットリープ、米国特 許第4468379号;ベネット等、米国特許第5215895号;コーガン等 、米国特許第5250732号;キムラ等、Eur.J.Immunol.、20(9)巻19 27−1931頁[1990];シーコー等、J.of Immunol.、144(4)巻 1484−1489頁[1990];ワレン等、J.of Immunol.、140(1) 巻94−99頁[1988];ワレン等、Exp.Hematol.、17(11)巻109 5−1099頁[1989];ブルーノ等、Exp.Hematol.、17(10)巻10 38−1043頁[1989];タニカワ等、Exp.Hematol.、17(8)巻88 3−888頁[1989];コイケ等、Blood、75(12)巻2286−22 9 1頁[1990];ローテム、Blood、75(5)巻1545−1551頁[1 989];レニック等、Blood、73(7)巻1828−1835頁[1989 ];およびクルターバック等、Blood、73(6)巻1504−1512頁[1 989]を包含する。 III.血小板減少症 血小板は血液凝固機構の決定的要素である。血小板減少症と呼ばれる循環レベ ルの血小板の涸渇は、様々な臨床状態および疾病を引き起こす。血小板減少症は 一般に、リットル当たり150x109以下の血小板数として定義される。血小 板減少症の主たる原因は、血小板の寿命に基づいて大きく三つの範疇に分けるこ とができる。即ち、(1)骨髄による血小板の産生障害、(2)脾臓での血小板 の破壊(脾腫)、または、(3)末梢循環における血小板の破壊の増加(例えば 自己免疫血小板減少症または化学および照射療法)である。加えて、血小板の少 ない大量の血液製剤を迅速に投与された患者においては、希釈による血小板減少 症を発症するかも知れない。 血小板減少症の臨床的な出血の発現は、血小板減少症の重篤度、その原因、お よび起こり得る随伴凝固障害に依存する。一般に、血小板数が1リットル当たり 20および100x109の間の患者は、外傷後過度の出血の危険性があり、血 小板数が1リットル当たり20x109以下の患者は自然出血し得る。この後者 の患者は、免疫およびウイルスの危険を随伴する血小板輸血の候補者である。い かなる血小板減少症の程度についても、その原因が血小板生産の低下である場合 の出血傾向は、血小板破壊の増加の場合よりも重篤である。後者の状況において は、血小板の代謝回転を加速すれば、若齢の、大きな、そして止血の点でより有 効な血小板の循環がもたらされる。血小板減少症は、下に簡潔に記載される様々 な疾患からもたらされ得る。より詳細な説明は、A.I.シャフナー、「血小板 減少症および血小板機能の疾患」、インターナル・メディスン、3版、ジョン・ J.ハットン等編、リトル・ブラウン・アンド・Co.、ボストン/トロント/ ロンドン[1990]に見いだすことができる。 (a)血小板産生障害による血小板減少症 先天性血小板減少症の原因には、体質性再生不良性貧血(ファンコニ症候群) および、骨格奇形を随伴し得る先天性無巨核球性血小板減少症が包含される。血 小板産生の後天性疾患は、巨核球の過形成または無効な血小板形成のいずれかに よって引き起こされる。巨核球過形成は、骨髄無形成(特発型または化学療法剤 もしくは照射療法による骨髄抑制を包含する)、骨髄線維症、白血病、および転 移腫瘍または肉芽腫による骨髄の侵襲を包含する様々な状態からもたらされ得る 。幾つかの状況においては、毒素、感染性物質、または薬物が比較的選択的に血 小板形成を妨害する。例には、アルコールおよび或る種のウイルス感染により引 き起こされる一過性血小板減少症ならびにサイアザイド利尿剤の投与に随伴する 緩和な血小板減少症が包含される。最後に、巨赤芽球の工程に二次的な無効血小 板形成(葉酸またはB12欠乏)もまた、通常共存する貧血および白血球減少症と 共に血小板減少症を引き起こし得る。 血小板産生低下に起因する血小板減少症の現行の処置は、骨髄の機能不全の根 底にある原因の同定と逆転に依っている。同種免疫はさらなる血小板輸注への不 応性を導くかも知れないため、血小板輸注は、通常、重篤な出血合併症を持つ患 者のために、または外科処置の間に適用するためにとっておかれる。重篤な血小 板減少症が原因の粘膜出血は、抗フィブリン溶解剤の経口または静脈内投与によ って緩和され得る。しかしながら、もし抗フィブリン溶解剤が播種性血管内凝固 (DIC)の患者に用いられると、血栓症の合併症が発症するかも知れない。 (b)脾臓による血小板の破壊に起因する血小板減少症 いかなる原因による脾腫も、緩和なないし中等度の血小板減少症を随伴し得る 。これは、下に論じられる免疫仲介血小板減少症の場合の脾臓による血小板の積 極的な破壊とは対照的に、主として脾臓の血小板破壊の受動的工程(脾機能亢進 症)である。脾機能亢進症の最も一般的な原因はアルコール性硬変による門脈高 血圧からのうっ血性脾腫であるが、他の型のうっ血性、浸潤性、またはリンパ球 増殖性脾腫もまた血小板減少症を随伴する。脾機能亢進症単独の結果としては、 血小板数は一般に1リットル当たり50x109を下回ることはない。 (c)非免疫仲介性血小板破壊による血小板減少症 血小板減少症は、種々の非免疫学的過程による血小板破壊の加速から起こり得 る。この型の疾患は、播種性血管内凝固、静脈内補綴器具、血液の過度の身体循 環、および血栓症性栓球紫斑病のような血栓症性微小血管障害を包含する。これ ら全ての状況において、人工的表面または異常な脈管内膜に暴露された循環血小 板は、これらの部位で消費されるかまたは損傷を受け、次いで網内系により早々 と一掃される。播種性血管内凝固(DIC)の起こる病的状態または異常は、ブ ラウンワルド等(編)、ハリソンズ・プリンシプルズ・オブ・インターナル・メ ディスン、11版、1478頁、マクグロウ・ヒル[1987]に極めて詳細に 開示されている。心臓弁および大動脈内バルーンを包含する静脈内補綴器具は緩 和なないし中等度の破壊的血小板減少症を引き起こし得、心肺バイパスまたは血 液透析を受けている患者における一過性血小板減少症は、過度の身体循環におけ る血小板の消耗または損傷から引き起こされ得る。 (d)薬物誘発性免疫血小板減少症 100以上の薬物が免疫学的に仲介される血小板減少症に関わっている。しか しながら、キニジン、キニン、金、スルホンアミド類、セファロチン、およびヘ パリンのみが良く性格決定されているに過ぎない。薬物誘発性血小板減少症は極 めて重篤であることが多く、そして典型的には、患者が感作薬物療法を受けてい る最中に、数日のうちに急激に起こる。 (e)免疫(自己免疫)血小板減少性紫斑病(ITP) 成人のITPは、自己免疫血小板破壊を特徴とする慢性疾患である。自己抗体 は通常IgGであるが、他の免疫グロブリンもまた報告されている。ITPの自 己抗体は血小板の膜GPIIbIIIaに付随していることが判明しているが、血小板 抗原の特異性は殆どの場合同定されていない。感作された血小板の血管外破壊は 脾臓および肝臓の網内系で起こる。ITPの全症例の半数以上は特発性であるが 、多くの患者は、基礎となるリウマチ性もしくは自己免疫疾患(例えば、全身性 紅斑性狼瘡)またはリンパ球増殖性疾患(例えば慢性リンパ球性白血病)を有す る。 (f)HIV誘発ITP ITPはますますHIV感染の一般的合併症となっており(モリス等、Ann.In tern.Med.、96巻714−717頁[1982])、後天性免疫不全症候群( AIDS)と診断された患者、AIDS関連複合体を有する患者、およびAID Sの徴候は無いがHIVに感染している患者のいずれにおいても、疾病の進行の 任意の段階で起こり得る。HIV感染は、細胞性免疫機能の深刻な不全ならびに 日和見感染および悪性腫瘍の発生によって最終的に特徴付けられる、伝染性疾患 である。HIVによる感染が招く主たる免疫学的異常は、CD4細胞表面糖蛋白 を発現するTリンパ球の進行性涸渇および機能不全である(レイン等、Ann.Rev. Immunol.、3巻477頁[1985])。恐らくCD4ヘルパー/インデューサ ーT細胞機能の喪失が、細胞性および液性免疫の深刻な不全の根底にあり、これ が、AIDSの特徴である日和見感染および悪性腫瘍につながるのであろう(H .レイン、上記)。 HIVに随伴するITPの機構は未知であるが、これは、HIVに随伴しない ITPの機構とは相違すると信じられている(ワルシュ等、N.Eng.J.Med.、31 1巻635−639頁[1984];およびラトナー、Am.J.Med.、86巻19 4−198頁[1989])。 IV.血小板減少症のための現行の治療 血小板減少症の患者の処置に対する治療的アプローチは、臨床状況の重篤度お よび緊急性に支配される。その処置はHIV付随性と非HIV関連性血小板減少 症について似通っており、幾つかの異なった治療的アプローチが用いられてはい るが、その治療にはなお論争がある。 血小板減少症と診断された患者の血小板数は、グルココルチコイド(例えばプ レドニソロン)療法によってうまく増加したが、殆どの患者においてその反応は 不完全であるか、またはグルココルチコイドの用量が減らされもしくはその投与 が中断されると再発が起こる。HIV付随性ITPを有する患者での研究に基づ き、幾人かの研究者は、グルココルチコイド療法がAIDSの素因を招くかも知 れないと示唆している。グルココルチコイドは通常、血小板数が20x109/ リットル未満に下がった時、または自然出血が起こる時に投与される。 グルココルチコイドに対し不応性の患者に対しては、化合物: 4−(2−クロロフェニル)−9−メチル−2−[3−(4−モルホリニル) −3−プロパノン−1−イル]6H−チエノ[3,2,f][1,2,4]トリ アゾロ[4,3,a][1,4]ジアゼピン(WEB2086) を使用して非HIV付随性ITPの重篤な症例が首尾良く処置された。血小板数 37000−58000/μlの患者をWEB2086で処置し、1−2週間の 処置の後、血小板数は140000−190000/μlに増加した(EP36 1077およびローマン等、Lancet、1147[1988])。 後天性無巨核球性血小板減少症紫斑病(AATP)のための最適な処置は不確 定であるが、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、ヒト胸腺組織に対するウマ抗血 清が、長期の完全な寛解を産むことが示された(トリンブル等、Am.J.Hematol. 、37巻126−127頁[1991])。しかしながら、最近の報告は、AT Gの造血効果はチメロサルに帰することができ、ここでこの蛋白は恐らく水銀担 体として作用していると指摘している(パネラ等、Cancer Research、50巻4 429−4435頁[1990])。 脾臓切除術で良好な結果が報告されている。脾臓切除術は、多くの患者におい て血小板破壊の主たる部位および自己抗体産生の主たる源を除去する。この手法 は、多数の患者において長期の無処置寛解をもたらす。しかしながら、一般に、 免疫が傷つけられている患者では外科的手法は回避すべきであるから、脾臓切除 術は、血小板減少症の重篤な症例(例えば、重篤なHIV付随ITP)、2ない し3週間のグルココルチコイド処置に応答しない患者、またはグルココルチコイ ド投与の中断後に応答の持続が達成されない患者にのみ推奨される。現在の科学 知識に基づいた時、脾臓切除術が患者をAIDSに罹患させ易くするかどうかは 明らかでない。 プレドニソロン療法および脾臓切除術に加えて、或る種の細胞毒性物質、例え ばビンクリスチン、およびアジドチミジン(AZT)ジドブジン)もまたHIV 誘発ITPを処置する見込みがある。しかしながらその結果は予備的なものであ る。 前記のことから、血小板減少症を処置する一つの方法は、巨核球またはその前 駆体の血小板産生型への分化および成熟を加速することのできる物質を得ること であるという事が理解できるであろう。一般に「トロンボポエチン」(TPO) と呼ばれるこのような物質の同定に、かなりの努力が費やされてきた。文献中に 一般的に見いだされるTPOの別名は、血小板形成刺激因子(TSF)、巨核球 コロニー刺激因子(MK−CSF)、巨核球刺激因子および巨核球強化物質を包 含する。TPOの活性は、古く1959年に観察されており(ラック等、Med.Ex p.、1巻125頁)、この物質を特性決定し精製する試みが今日まで続けられて きた。TPO活性ポリペプチドの部分的精製の報告が存在するものの(例えば、 タイリーン等、J.Biol.Chem.、262巻3262[1987]およびホフマン等 、J.Clin.Invest.、75巻1174頁[1985])、他は、TPOはそれ自身 独立した実体ではなく、単に既知ホルモンの多機能の具現であるとしている(I L−3、スパロウ等、Prog.Clin.Biol.Res.、215巻123頁[1986]) 。その形態または起源に拘わらず、血小板形成活性を有する分子には有意な治療 的価値があろう。TPOとして明確に同定された蛋白は無いが、推定的サイトカ インレセプターであるmplが血小板形成シグナルを変換し得るという最近の発 見には、かなりの関心が集まっている。 V.mplは巨核球形成サイトカインレセプターである。 造血細胞の増殖および成熟は、多能性幹細胞の増殖および多系統分化を正にま たは負に調節する因子により緊密に調節されていると信じられている。これらの 作用は、特異的細胞表面レセプターに対する細胞外蛋白因子の高親和性結合を介 して仲介される。これらの細胞表面レセプターは、かなりの相同性を共有し、そ して一般にサイトカインレセプタースーパーファミリーの成員として分類される 。このスーパーファミリーの成員は、IL−2(βおよびγ鎖)(ハタケヤマ等 、Science、244巻551−556頁[1989];タケシタ等、Science、2 57巻379−382頁[1991]);IL−3(イトウ等、Science、24 7巻324−328頁[1990];ゴーマン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、8 7巻5459−5463頁[1990];キタムラ等、Cell、66巻1165− 1174頁[1991a];キタムラ等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻50 8 2−5086頁[1991b])、IL−4(モスレイ等、Cell、59巻335 −348頁[1989]、IL−5(タカキ等、EMBO J.、9巻4367−43 74頁[1990];タヴァーニア等、Cell、66巻1175−1184頁[1 991]、IL−6(ヤマサキ等、Science、241巻825−828頁[19 88];ヒビ等、Cell、63巻1149−1157頁[1990])、IL−7 (グッドウィン等、Cell、60巻941−951頁[1990])、IL−9( ルノー等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻5690−5694頁[1992] )、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(ギアリング等 、EMBO J.、8巻3667−3676頁[1991];ハヤシダ等、Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA、244巻9655−9659頁[1990])、顆粒球コロニー刺 激因子(G−CSF)(フクナガ等、Cell、61巻341−350頁[1990 a];フクナガ等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻8702−8706頁[1 990b];ラーセン等、J.Exp.Med.、172巻1559−1570頁[199 0])、EPO(ドゥアンドレア等、Cell、57巻277−285頁[1989 ];ジョーンズ等、Blood、76巻31−35頁[1990])、白血病阻害因 子(LIF)(キアリング等、EMBO J.、10巻2839−2848頁[199 1])、オンコスタチンM(OSM)(ローズ等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、8 8巻8641−8645頁[1991])のためのレセプター、そしてさらにプ ロラクチン(ブーティン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88巻7744−774 8頁[1988]:エダリー等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻2112−2 116頁[1989])、成長ホルモン(GH)(リュング等、Nature、330 巻537−543頁[1987])および繊毛神経栄養因子(CNTF)(デイ ヴィス等、Science、253巻59−63頁[1991]のためのレセプターをも 包含する。 サイトカインレセプタースーパーファミリーの成員は三つの機能的範疇に分け ることができる(総説についてはニコラ等、Cell、67巻1−4頁[1991] を参照されたい)。第一のクラスは、エリスロポエチンレセプター(EPO−R )または顆粒球コロニー刺激因子レセプター(G−CSF−R)のような一本鎖 レセプターを含み、これらは細胞外ドメインを介してリガンドと高い親和性で結 合 し、さらに細胞内シグナルを作り出す。第二のクラスのレセプター、いわゆるα サブユニットは、インターロイキン6レセプター(IL6−R)、顆粒球−マク ロファージコロニー刺激因子レセプター(GM−CSF−R)、インターロイキ ン3レセプター(IL3−Rα)およびサイトカインレセプタースーパーファミ リーのその他の成員を包含する。これらのαサブユニットは、リガンドを低い親 和性で結合させるが、細胞内シグナルを変換することはできない。シグナルを送 ることのできる高親和性レセプターは、αサブユニットと、βサブユニットと呼 ばれるサイトカインレセプターの第三のクラスの成員、例えば三つのαサブユニ ットIL3−RαおよびGM−CSF−Rに対する共通のβサブユニット、βc 、との間のヘテロ二量体によって生成される。 mplがサイトカインレセプタースーパーファミリーの一員であるという証拠 は、配列の相同性(ギアリング、EMBO J、8巻3667−3676頁[1988 ];バザン、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻6834−6938頁[1990 ];デイヴィス等、Science、253巻59−63頁[1991]およびヴィゴ ン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻5640−5644頁[1992])お よび増殖のシグナルを変換するその能力に由来する。 マウスc−mplの分子クローニングから導き出された蛋白配列は、この蛋白 が他のサイトカインレセプターと相同性であることを明らかにしている。細胞外 ドメインは465アミノ酸残基を含んでおり、二つのサブドメインで構成され、 その各々は4個の高度に保存されたシステイン、ならびにN末端サブドメインお よびC末端サブドメインに特別なモチーフを持っている。リガンド結合細胞外ド メインは、類似の二重βバレル折り畳み構造形態を有すると予想される。この二 重の細胞外ドメインは、IL−3、IL−5およびGM−CSFレセプターに共 通するシグナル変換鎖ならびにLIFの低親和性結合ドメインと極めて相同的で ある(ヴィゴン等、Oncogene、8巻2607−2615頁[1983])。した がって、mplはサイトカインレセプターの低親和性リガンド結合クラスに属し ているかも知れない。 マウスmplと成熟ヒトmplPとの比較は、これら二つの蛋白が81%の配 列一致を示すことを明らかにしている。より詳細には、N末端およびC末端細胞 外サブドメインは、各々75%および80%の配列一致を共有している。最も保 存されたmpl領域は、91%のアミノ酸一致を示す細胞質ドメインであり、貫 膜ドメイン付近の37残基から成る配列が、両方の種で一致している。したがっ て、mplは、サイトカインレセプタースーパーファミリーの最も保存された成 員の一つであると報告されている(ヴィゴン、上記)。 mplが増殖シグナルを変換できる機能的レセプターであるという証拠は、m pl細胞質ドメインを持つ既知のサイトカインに対して高親和性を有するサイト カインレセプター由来の細胞外ドメインを含むキメラレセプターの組み立てに依 っている。mplに対する既知のリガンドは報告されていないことから、IL− 4RまたはG−CSFRのようなクラス1サイトカインレセプター由来の細胞外 ドメインを結合させるキメラ高親和性リガンドを組み立てる必要があった。ヴィ ゴン等、上記、は、G−CSFRの細胞外ドメインをc−mplの貫膜および細 胞質ドメインの両者と融合させた。IL−3依存性セルライン、BAF/B03 (Ba/F3)を、全長のG−CSFR対照と共にG−CSFR/mplキメラ によりトランスフェクトさせた。このキメラによりトランスフェクトさせた細胞 は、サイトカインIL−3またはG−CSFの存在下で等しく良好に生育した。 同様に、G−CSFRでトランスフェクトさせた細胞もまた、IL−3またはG −CSFいずれかの中で良好に生育した。成長因子の不在下では全ての細胞が死 滅した。同様の実験が、スコダ等、EMBO J.、12(7)巻2645−2653 頁[1993]によって行われたが、ここでは、ヒトIL−4レセプター(hI L−4−R)の細胞外および貫膜ドメインの両方をマウスmpl細胞質ドメイン に融合させ、マウスIL−3依存Ba/F3セルライン中にトランスフェクトさ せた。野生型hIL−4−RでトランスフェクトさせたBa/F3細胞は、種特 異的IL−4またはIL−3のいずれかの存在下で正常に増殖した。hIL−4 R/mplでトランスフェクトさせたBa/F3細胞はhIL−4の存在下で( IL−3の存在下または不在下で)正常に増殖し、Ba/F3細胞においてmp l細胞 質ドメインが増殖シグナルを変換するために必要な全ての要素を含んでいること を立証した。 これらのキメラ実験は、mpl細胞質ドメインの増殖シグナル伝達能を証明し ているが、mpl細胞外ドメインがリガンドを結合できるかどうかに関してはわ からない。これらの結果は、少なくとも二つの可能性、即ち、mplはEPO− RまたはG−CSFRのような一本鎖(クラス1)レセプターであるか、または これはIL−3のようなα−サブユニットを要するシグナル変換β−サブユニッ ト(クラス3)であるという可能性に合致する(スコダ等、上記)。 VI.mplリガンドはトロンボポエチン(TPO)である。 上に記載のように、血清は、様々な他のサイトカインと相乗的に作用して巨核 球の成長および成熟を促進する、時にはトロンボポエチン(TPO)と呼ばれる 特異な因子を含むことが示唆された。多数のグループによりかなりの努力が費や されてきたにも拘わらず、このような天然の因子は血清または他のいかなる供給 源からも分離されたことはなかった。mplが巨核球刺激因子を直接結合させる ことができるかどうかは未知であるとしても、最近の実験は、mplが、無形成 性骨髄の患者の血清に見いだされる因子または因子群からの増殖シグナルの変換 に関わっていることを証明している(メシア等、Blood、82(5)巻1395 −1401頁[1993])。 IL−1α、IL−3、IL−4、IL−6、IL−11、SCF、EPO、 G−CSF、およびGM−CSFとは別個の特異な血清コロニー形成因子がmp lを介して増殖シグナルを変換するという証拠は、原始および分化方向が決定付 けられた造血セルラインにおけるc−mpl発現の分布の調査ならびにこれらセ ルラインの一つにおけるmplアンチセンスの研究に由来する。 免疫精製されたヒト造血細胞での逆転写酵素(RT)−PCRを使用して、メ シア等、上記、は、強いmpl mRNAメッセージはCD34+精製された細胞 、巨核球および血小板にのみ見いだされることを証明した。骨髄(BM)から精 製されたCD34+細胞は、全BM細胞の約1%をなし、全系統の原始および分 化方向を決定付けられた祖先細胞に富んでいる(例えば、赤血球、顆粒球マクロ ファ ージ、および巨核球)。 mplアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、無形成性骨髄の患者由来 の血清(巨核球コロニー刺激活性[MK−CSA]の豊富な供給源)で培養され た多能性CD34+細胞からの巨核球コロニー形成を抑制することが示された。 この同じアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、赤血球または顆粒球マク ロファージコロニー形成には影響を及ぼさなかった。 mplがリガンドを直接結合させるかどうか、そして巨核球形成を引き起こす ことが示された血清因子がmplを介して働いているかどうかは未だ不明であっ た。しかしながら、もしmplが事実リガンドと直接結合するならば、そのアミ ノ酸配列は、高度に保存され、そしてヒトおよびマウスのmpl細胞外ドメイン の間のかなりの配列一致のために、種交差反応性を有すると思われるという事が 示唆された(ヴィゴン等、上記[1993])。 VII.目的 前記の事柄に鑑み、当分野では、血小板減少症の処置における治療用途のため の、造血細胞、特に巨核球またはその先祖の増殖、分化および成熟を刺激できる 分子を分離および同定する必要性が、現在、そして継続して、あることが理解さ れるであろう。このような分子はmplリガンドであり、したがって、細胞の成 長および分化におけるそれらの役割を評価するため、係るリガンドを分離するさ らなる必要性が存在すると信じられる。 従って、巨核球の成熟血小板産生型への増殖、分化および/または成熟を刺激 することのできる薬学上純粋な分子を得ることが本発明の一つの目的である。 造血疾患、特に血小板減少症の処置における治療用途のための型で当該分子を 提供することが、もう一つの目的である。 mplとして知られるサイトカインスーパーファミリーレセプターをインビボ で結合することのできる蛋白リガンドを分離、精製および特異的に同定し、増殖 シグナルを変換することが、本発明のさらなる目的である。 係る蛋白リガンドをコードしている核酸分子を提供し、そして、これらの核酸 分子を用いて診断および治療用途のために組換え細胞培養中でmpl結合リガン ドを生成させることが、また別の目的である。 それらのアミノ酸配列変異体、変異体糖蛋白型および共有結合誘導体を包含す る、該蛋白リガンドの誘導体および修飾された型を提供することがさらに別の目 的である。 mplリガンドおよびヘテロローガスな蛋白を結びつけた融合ポリペプチド型 およびそれらの共有結合誘導体を提供することが、さらなる目的である。 血小板および赤血球祖先細胞の両方の増殖および成長を調節することのできる 蛋白を産生させるための、mplリガンドをEPO配列からのアミノ酸付加およ び置換と結びつけた変異体ポリペプチド型を提供することが、さらなる目的であ る。 mplリガンドまたはその融合型に対する抗体を作製するための免疫原を製造 すること、および係るリガンドを結合することのできる抗体を取得することが、 さらに別の目的である。 本発明のこれらのおよびその他の目的は、本明細書を全体として考える時、当 業者には明らかであろう。 発明の要約 本発明の目的は、巨核球の成熟血小板産生型への増殖、成熟および/または分 化を刺激することのできる、「mplリガンド」(ML)または「トロンボポエ チン」(TPO)と呼ばれる、分離された哺乳動物の巨核球形成性増殖および成 熟促進蛋白を提供することによって達成される。 この実質上均質な蛋白は、(1)精製すべきmplリガンド分子を含有する供 給源の血漿を、固定されたレセプターポリペプチド、特に、支持体上に固定され たmplまたはmpl融合ポリペプチドと、精製すべきmplリガンド分子が固 定されたレセプターポリペプチド上に選択的に吸着されるような条件下で、接触 させ、(2)この固定されたレセプターポリペプチドおよびその支持体を洗浄し て、非吸着物質を除去し、そして、(3)mplリガンド分子を、それらが吸着 されている固定されたレセプターポリペプチドから、溶離緩衝液によって溶出す る、ことからなる方法によって、天然供給源から精製することができる。好まし くは、この天然供給源は、mplリガンドを含有する哺乳動物の血漿または尿で ある。所望によりこの哺乳動物は再生不良性であり、固定されたレセプターはm pl−IgG融合物である。 所望により、好ましい巨核球形成性増殖および成熟促進蛋白は、合成または組 換え手段により作成された、分離された実質上均質なmplリガンドポリペプチ ドである。 本発明に係る「mplリガンド」ポリペプチドまたは「TPO」は、好ましく は、高度に精製された実質上均質なブタmplリガンドポリペプチドのアミノ酸 配列と少なくとも通算70%の配列一致、そしてこのブタmplリガンドポリペ プチドの「EPOドメイン」と少なくとも80%の配列一致を有する。所望によ り、本発明に係るmplリガンドは、図1(配列番号1)に供される成熟アミノ 酸配列を有する成熟ヒトmplリガンド(hML)またはその変異体もしくは転 写後修飾された型であるか、または、成熟ヒトmplリガンドと約80%の配列 一致を有する蛋白である。所望により、mplリガンド変異体は、成熟ヒトmp lリガンド(hML)のフラグメント、特にアミノ末端または「EPOドメイン 」フラグメントである。好ましくは、このアミノ末端フラグメントは、第一およ び第四のシステイン残基の間のヒトML配列の実質上全てを保持しているが、そ の領域外の実質的な付加、除去または置換を含むこともある。この態様に従うと 、当該フラグメントポリペプチドは、式: X−hML(7−151)−Y [式中、hML(7−151)はCys7からCys151(両端の番号を含む)ま でのヒトTPO(hML)アミノ酸配列を表し;Xは、Cys7のアミノ基また は成熟hMLもしくはそのアミノ酸残基伸長物の1もしくはそれ以上のアミノ末 端アミノ酸残基、例えばMet、Tyrまたは、蛋白分解的開裂部位(例えば因 子Xaまたはトロンビン)を含むリーダー配列を表し;そしてYは、Cys151 のカルボキシ末端基または成熟hMLもしくはその伸長物の1もしくはそれ以上 のカルボキシ末端アミノ酸残基を表す] によって表すことができる。 所望により、mplリガンドポリペプチドまたはそのフラグメントは、ヘテロ ローガスなポリペプチドと融合させることができる(キメラ)。好ましいヘテロ ローガスなポリペプチドは、サイトカイン、コロニー刺激因子またはインターロ イキンもしくはそのフラグメント、特にkitリガンド(KL)、IL−1、I L−3、IL−6、IL−11、EPO、GM−CSFまたはLIFである。所 望による好ましいヘテロローガスポリペプチドは、免疫グロブリン鎖、特にヒト IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgD、IgMま たはそれらのフラグメント、特にIgG重鎖の不変ドメインを含むものである。 本発明の別の態様は、生物学的に活性であり、且つ好ましくはヒトmplでト ランスフェクトされたIL−3依存性Ba/F3細胞のDNA中への標識された ヌクレオチド(例えば、3H−チミジン)の取り込みを刺激することのできる、 分離されたmplアゴニストを含む組成物を提供する。所望によりこのmplア ゴニストは生物活性なmplリガンドであり、そして好ましくはマウス血小板リ バウンド検定において循環血小板への35Sの取り込みを刺激することができる。 好適なmplアゴニストは、hML153、hML(R153A、R154A)、 hML2、hML3、hML4、mML、mML2、mML3、pML、および pML2またはそれらのフラグメントを包含する。 別の態様において、本発明はmplリガンドに結合することのできる分離され た抗体を提供する。mplリガンドに結合できる分離された抗体は、所望により 第二のポリペプチドと融合していてよく、該抗体またはその融合物は、固定され たmplについて上に記載されたような供給源からmplリガンドを分離および 精製するために使用することができる。この態様のさらなる側面において、本発 明は、該抗体を、リガンドの含有が疑われる試料、特に血清試料と接触させ、結 合が起こっているか否かを検出することからなる、インビトロまたはインビボで mplリガンドを検出する方法を提供する。 さらなる態様において、本発明は、mplリガンドまたはそのフラグメントを コードしている核酸分子であって、その核酸分子が所望により検出し得る原子団 で標識されていてよい、分離された核酸分子、および、mplリガンドをコード している配列を有する核酸分子に対し相補的であるか、または中等度ないし高度 緊縮条件下でこれとハイブリダイズする配列を有する核酸分子を提供する。好ま しい核酸分子は、ヒト、ブタ、およびマウスmplリガンドをコードしているも のであり、RNAおよびDNA、ゲノムおよびcDNAの両者を包含する。この 態様のさらなる側面において、該核酸分子はmplリガンドをコードしているD NAであり、さらに、複製可能なベクターを含んでおり、ここで該DNAはベク ターにより形質転換された宿主により認識される調節配列と機能的に結合してい る。所望により、このDNAは、図1の5'−3'(配列番号2)、3'−5'に供 される配列を有するcDNAまたはそれらのフラグメントである。この側面はさ らに、該ベクターにより形質転換された宿主細胞、好ましくはCHO細胞、およ び、該DNAを用いてmplリガンドの生産をさせる方法であって、好ましくは 該mplリガンドをコードしているcDNAを形質転換させた宿主細胞の培養で 発現させ、このmplリガンドを宿主細胞または宿主細胞培養から回収すること からなる方法を包含する。この方法により製造されたmplリガンドは、好まし くはヒトmplリガンドである。 本発明はさらに、治療上有効な量のmplリガンドを哺乳動物に投与すること からなる、造血疾患、とりわけ血小板減少症を有する哺乳動物を処置する方法を 包含する。所望によりこのmplリガンドは、サイトカイン、とりわけコロニー 刺激因子またはインターロイキンと組み合わせて投与されてよい。好ましいコロ ニー刺激因子またはインターロイキンは、kitリガンド(KL)、LIF、G −CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO、IL−1、IL−3、IL−6 、およびIL−11を包含する。 本発明はさらに、 (1)TPOを含有する細胞を破壊または溶菌し、 (2)所望により、可溶性物質をTPOを含有する不溶性物質から分離し、 (3)不溶性物質中のTPOを可溶化緩衝剤で可溶化し、 (4)可溶化されたTPOを他の可溶性および不溶性物質から分離し、 (5)酸化還元緩衝液中でTPOを再折り畳みし、そして、 (6)正しく折り畳まれたTPOを誤折り畳みされたTPOから分離する、 ことからなる、TPO産生微生物からTPO(ML)を分離および精製するため の方法を包含する。 この方法は、TPOを含有する不溶性物質を、カオトロピック剤で可溶化する ことを提供しており、ここでこのカオトロピック剤は、グアニジンの塩、チオシ アン酸ナトリウム、または尿素から選択される。この方法はさらに、可溶化され たTPOを、遠心、ゲル濾過および逆相クロマトグラフィーから選ばれる1また はそれ以上の工程によって他の可溶性および不溶性物質から分離することを提供 している。この方法の再折り畳み工程は、酸化および還元剤の両者を含む酸化還 元緩衝液を提供している。一般に、酸化剤は酸素または少なくとも1個のジスル フィド結合を含む化合物であり、還元剤は少なくとも1個の遊離スルフヒドリル を含む化合物である。好ましくは、酸化剤は酸化型グルタチオン(GSSG)お よびシスチンから選ばれ、還元剤は還元型グルタチオン(GSH)およびシステ インから選ばれる。最も好ましくは、酸化剤は酸化型グルタチオン(GSSG) であり、還元剤は還元型グルタチオン(GSH)である。酸化剤のモル比は還元 剤のモル比と等しいかまたはより大であることもまた好ましい。酸化還元緩衝液 はさらに、好ましくはCHAPSおよびCHAPSOから選ばれ少なくとも1% のレベルで存在する洗浄剤を含有する。酸化還元緩衝液はさらに、好ましくは約 0.1−0.5Mの濃度範囲のNaCl、および好ましくは15%以上の濃度の グリセロールを含有する。酸化還元緩衝液のpHは、好ましくは約pH7.5− pH9.0の範囲であり、再折り畳み工程は4度で12−48時間実施する。再 折り畳み工程は、EPOドメインのアミノ末端に最も近いCysとカルボキシ末 端に最も近いCysの間にジスルフィド結合が形成された、生物活性なTPOを 生成する。 本発明はさらに、 (1)微生物の少なくとも細胞外膜を溶菌し、 (2)TPOを含有する溶菌液をカオトロピック剤で処理し、 (3)このTPOを再折り畳みし、そして、 (4)不純物および誤折り畳みされたTPOを正しく折り畳まれたTPOから 分離する、 ことからなる、生物活性なTPOを微生物から精製するための方法を包含する。 図面の簡単な説明 図1は、ヒトmplリガンド(hML)cDNAの導き出されたアミノ酸配列 (配列番号1)およびコード化ヌクレオチド配列(配列番号2)を示す図である 。ヌクレオチドは各列の始まりに番号を付してある。5'および3'非翻訳領域を 小文字で示す。アミノ酸残基は配列上部に、成熟mplリガンド(ML)蛋白配 列のSer1で始まる番号を付してある。推定のエクソン3の境界を矢印で示し 、可能性あるNグリコシル化部位に囲みを付す。システイン残基を配列上部の点 により示す。下線を付した配列は、ブタ血漿から精製されたmplリガンドから 決定されたN末端配列に対応する。 図2は、mplリガンド3H−チミジン取り込み検定に用いられる手順を示す 図である。様々な供給源由来のmplリガンドの存在を決定するために、5%C O2および空気中37℃の加湿インキュベーター中でmpl P Ba/F3細胞 を24時間IL−3を欠乏させた。IL−3欠乏後、この細胞を、希釈試料有り または無しの96ウェル培養皿に蒔き、細胞培養インキュベーター中で24時間 培養した。最後の6−8時間は3H−チミジン1μCiを含有する無血清RPM I培地20μlを各ウェルに加えた。次にこの細胞を96ウェルフィルター板に 収穫し、水で洗浄した。次いでこのフィルターを計数した。 図3は、APPのBa/F3−mpl細胞増殖の刺激に及ぼすプロナーゼ、D TTおよび熱の影響を示す図である。APPのプロナーゼ消化については、プロ ナーゼ(ベーリンガー・マンハイム)または牛血清アルブミンをAffi−ゲル 10(バイオラド)と結合させ、APPと共に18時間37℃で個別にインキュ ベートした。続いて樹脂を遠心により除去し、上清を検定した。APPはまた、 80℃に4分間加熱し、または100μM DTTとしその後PBSに対して透 析した。 図4は、フェニル−トヨパール、ブルー−セファロースおよびウルトラリンク −mplカラムからのmplリガンド活性の溶出を示す図である。mpl親和カ ラムからの画分4−8は、このカラムから溶離されたピーク活性画分であった。 図5は、溶離されたウルトラリンク−mpl画分のSDS−PAGEを示す図 である。画分2−8それぞれ200μlに、−20℃の1mM HClを含有す るアセトン1mlを加えた。3時間後、−20℃の試料を遠心し、得られたペレ ットを−20℃のアセトンで2x洗浄した。このアセトンペレットを引き続きS DS−可溶化緩衝液30μlに溶解し、100μM DTTとし、90℃に5分 間加熱した。次にこの試料を4−20%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分 離し、蛋白を銀染色によって可視化した。 図6は、SDS−PAGEからのmplリガンド活性の溶離を示す図である。 mpl−親和カラムからの画分6を、非還元条件下で4−20%SDS−ポリア クリルアミドゲル上で分離した。電気泳動後、このゲルを12の等しい領域に薄 く切り、実施例に記載のように電気溶出した。電気溶出された試料をPBS中に 透析し、1/20希釈で検定した。ゲルの標定に用いられたMr標準はノヴェッ クス・マーク12標準であった。 図7は、mplリガンド涸渇APPがヒト巨核球形成に及ぼす効果を示す図で ある。mplリガンド涸渇APPは、1mlを1mlのmpl−親和カラム(7 00μg mpl−IgG/ml NHS−スーパーロース、ファルマシア)に通 すことにより作成した。ヒト末梢幹細胞培養を10%APPまたは10%mpl リガンド涸渇APPとし、12日間培養した。巨核球形成を実施例に記載のよう に定量した。 図8は、mpl−IgGがAPPによるヒト巨核球形成の刺激に及ぼす効果を 示す図である。ヒト末梢幹細胞培養をAPPで10%とし、12日間培養した。 0、2および4日目にmpl−IgG(0.5μg)またはANP−R−IgG (0.5μg)を加えた。12日後、巨核球形成を実施例に記載のように定量し た。二重の試料の平均をグラフ化し、実際の二重のデータを括弧に入れて付記す る。 図9は、mplリガンドをコードしているヒトゲノムDNAの390bpフラ グメントの両方の鎖を示す図である。「エクソン3」(配列番号3)の導き出さ れたアミノ酸配列、コード化配列(配列番号4)、およびその相補体(配列番号 5)を示す。 図10は、成熟ヒトmplリガンド(hML)(配列番号6)および成熟ヒト エリスロポエチン(hEPO)(配列番号7)の導き出されたアミノ酸配列を示 す図である。ヒトmplリガンドについて予想されるアミノ酸配列をヒトエリス ロポエチン配列と並べる。同一のアミノ酸に囲みを付し、最適の並置のために導 入された間隙をダッシュにより示す。可能性あるNグリコシル化部位に、hML については実線で、hEPOについては破線で下線を付す。エリスロポエチン活 性にとって重要な二つのシステインを大きな点により示す。 図11は、成熟ヒトmplリガンドイソ型hML(配列番号6)、hML2( 配列番号8)、hML3(配列番号9)、およびhML4(配列番号10)の導 き出されたアミノ酸配列を示す図である。同一のアミノ酸に囲みを付し、最適の 並置のために導入された間隙をダッシュにより示す。 図12A、12Bおよび12Cは、Ba/F3−mpl細胞増殖(A)、巨核 球糖蛋白GPIIbIIIaに特異的な放射標識されたマウスIgGモノクローナル抗 体を用いて定量されたインビトロヒト巨核球形成(B)、および血小板リバウン ド検定において測定されたマウス栓球形成(C)に及ぼすヒトmplリガンドの 効果を示す図である。 293細胞をCaPO4法(C.ゴーマン、DNA Cloning:A New Approach、2 巻143−190頁[1985])により、pRK5ベクター単独、pRK5− hMLまたはpRK5−ML153を用いて一夜トランスフェクトさせた(pRK 5−ML153は、hMLの残基153の後にPCRによって停止コドンを導入す ることにより作成された)。次に培地を36時間条件設定し、実施例1に記載の ようにBa/F3−mplの細胞増殖について(A)またはインビトロヒト巨核 球形成について(B)検定した。巨核球形成は、巨核球特異的糖蛋白GPIIbIIIa に対する125I放射標識されたマウスIgGモノクローナル抗体(HP1−ID )を用いて記載のように定量した(グラント等、Blood、69巻1334−13 3 9頁[1987])。インビボ血小板産生に及ぼす部分精製された組換えML( rML)の効果(C)は、T.P.マクドナルド、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、1 44巻1006−10012頁(1973)に記載のリバウンド栓球増加検定を 用いて決定した。部分精製されたrMLは、組換えMLを含有する条件培地20 0mlから調製した。この培地をPBSで平衡化した2mlブルー−セファロー スカラムに通し、このカラムをPBSで洗浄し、尿素およびNaCl各2Mを含 有するPBSで溶出した。活性画分をPBS中に透析し、エントドキシンを含ま ないBSAで1mg/mlとした。この試料は1単位/ml未満のエンドトキシ ンを含んでいた。マウスに、64000、32000または16000単位のr MLまたは賦形剤のみを注射した。各群は6匹のマウスで構成されていた。各群 の平均および標準偏差を示す。メジアンを比較する二端T検定によりp値を決定 した。 図13は、ヒトmplリガンドイソ型および変異体の効果をBa/F3−mp l細胞増殖検定で比較する図である。hML、偽似、hML2、hML3、hM L(R153A、R154A)、およびhML153を実施例1に記載のように様 々な希釈で検定した。 図14A、14Bおよび14Cは、ヒトmplリガンド(hML)またはヒト TPO(hTPO)の導き出されたアミノ酸配列(配列番号1)およびヒトゲノ ムDNAコード化配列(配列番号11)を示す図である。ヌクレオチドおよびア ミノ酸残基は各列の始まりに番号を付す。 図15は、精製された293−rhML332および精製された293−rhM L153のSDS−PAGEを示す図である。 図16は、ヌクレオチド配列:マウスMLイソ型のオープンリーディングフレ ームのcDNAコード化(配列番号12)および導き出されたアミノ酸配列(配 列番号13)を示す図である。この成熟マウスmplリガンドイソ型は、推定の 全長mMLより4個少ない331のアミノ酸残基を含んでおり、よってmML2 と命名する。ヌクレオチドは各列の始まりに番号を付す。アミノ酸残基は配列上 部にSer1で始まる番号を付す。可能性あるNグリコシル化部位に下線を付す 。 システイン残基は配列上部の点により示す。 図17は、このマウスMLイソ型(mML)のcDNA配列(配列番号14) および予想蛋白配列(配列番号15)を示す図である。ヌクレオチドは各列の始 まりに番号を付す。アミノ酸残基は配列上部にSer1で始まる番号を付す。こ の成熟マウスmplリガンドイソ型は335のアミノ酸残基を含むので、mML と命名される全長のmplリガンドであると信じられる。シグナル配列を破線の 下線で示し、開裂されそうな点を矢印で示す。5'および3'非翻訳領域を小文字 で示す。択一的スプライシングの結果として見いだされる2個の除去(mML2 およびmML3)に下線を付す。4個のシステイン残基を点により示す。7個の 可能性あるNグリコシル化部位に囲みを付す。 図18は、ヒトNLイソ型hML3の導き出されたアミノ酸配列(配列番号9 )およびmML3と命名されたマウスMLイソ型(配列番号16)を比較する図 である。ヒトmplリガンドの予想アミノ酸配列をマウスmplリガンド配列と 並べる。同一のアミノ酸に囲みを付し、最適な並置のために導入された間隙をダ ッシュで示す。アミノ酸は各列の始まりに番号を付す。 図19は、マウスML(配列番号17)、ブタML(配列番号18)およびヒ トML(配列番号6)由来の成熟MLイソ型の予想アミノ酸配列を比較する図で ある。アミノ酸は、最適な並置のために導入されたダッシュで示される間隙を入 れて並べる。アミノ酸は各列の始まりに番号を付し、同一の残基に囲みを付す。 可能性あるNグリコシル化部位を陰付きの囲みで表し、システイン残基を点で示 す。可能性あるプロテアーゼ開裂部位である保存された二塩基アミノ酸モチーフ に下線を付す。三つの種(ML2)全てに存在することが判明した4個のアミノ 酸除去に太線の囲みで輪郭を付す。 図20は、ブタMLイソ型(pML)のcDNA配列(配列番号19)および 予想される蛋白配列(配列番号18)を示す図である。このブタmplリガンド イソ型は332アミノ酸残基を含み、pMLと命名される全長のブタmplリガ ンドであると信じられる。ヌクレオチドは各列の始まりに番号を付す。アミノ酸 残基は配列上部にSer1で始まる番号を付す。 図21は、ブタMLイソ型(pML2)のcDNA配列(配列番号20)およ び予想成熟蛋白配列(配列番号21)を示す図である。このブタmplリガンド イソ型は328のアミノ酸残基を含み、pML2と命名される全長ブタmplリ ガンドの4残基除去型である。ヌクレオチドは各列の始まりに番号を付す。アミ ノ酸残基は配列上部にSer1で始まる番号を付す。 図22は、全長ブタMLイソ型pML(配列番号18)およびpML2と命名 されたブタMLイソ型(配列番号21)の導き出されたアミノ酸配列を比較する 図である。pMLの予想アミノ酸配列をpML2配列と並置する。同一のアミノ 酸に囲みを付し、最適の並置のために導入された間隙をダッシュで示す。アミノ 酸は各列の始まりに番号を付す。 図23は、CHO−rhTPO332の産生のための宿主CHO−DP12細胞 のトランスフェクトに使用されるプラスミドpSVI5.ID.LL.MLORF (「全長」またはTPO332)の適切な特徴を示す図である。 図24は、CHO−rhTPO153の産生のための宿主CHO−DP12細胞 のトランスフェクトに使用されるプラスミドpSVI5.ID.LL.MLEPO −D(「末端切除された」またはTPO153)の適切な特徴を示す図である。 図25A、25B、および25Cは、正常なマウスの血小板(A)、赤血球( B)、および白血球(C)に及ぼすE.coli−rhTPO(Met-1、15 3)の効果を示す図である。6匹の雌性C57B6マウス2群にPBS緩衝液ま たはE.coli−rhTPO(Met-1、153)0.3μgのいずれか(1 00μl皮下)を毎日注射した。0日目および3−7日目に40μlの血液を眼 窩洞より採取した。この血液を直ちに市販の希釈剤10mlで希釈し、完全血球 数をセローノ・ベイカー・ヘマトロジー・アナライザー9018で得た。このデ ータを平均値±平均値の標準誤差として表す。 図26A、26Bおよび26Cは、近致死量を照射されたマウスの血小板(A )、赤血球(B)および(C)白血球に及ぼすE.coli−rhTPO(Me t-1、153)の効果を示す図である。10匹の雌性C57B6マウス2群に13 7 Cs線源からの750cGyガンマ線で近致死量の照射を行い、PBS緩衝液 ま たはE.coli−rhTPO(Met-1、153)3.0μgのいずれか(1 00μl皮下)を毎日注射した。0日目およびその後の中間時点で40μlの血 液を眼窩洞より採取した。この血液を直ちに市販の希釈剤10mlで希釈し、完 全血球数をセローノ・ベイカー・ヘマトロジー・アナライザー9018で得た。 このデータを平均値±平均値の標準誤差として表す。 図27A、27Bおよび27Cは、正常なマウスの(A)血小板(栓球)、( B)赤血球、および(C)白血球に及ぼすCHO−rhTPO332の効果を示す 図である。6匹の雌性C57B6マウス2群にPBS緩衝液またはCHO−rh TPO3320.3μgのいずれか(100μl皮下)を毎日注射した。0日目およ び3−7日目に40μlの血液を眼窩洞より採取した。この血液を直ちに市販の 希釈剤10mlで希釈し、完全血球数をセローノ・ベイカー・ヘマトロジー・ア ナライザー9018で得た。このデータを平均値±平均値の標準誤差として表す 。 図28は、様々なセルラインから得られたrhTPOの様々な型に対する用量 反応曲線を示す図である。用量反応曲線は、以下のセルライン由来のrhTPO に対して組み立てられた:CHOからのhTPO332(チャイニーズハムスター 卵巣細胞からの全長);hTPOMet -1 153(N末端メチオニンを有するE.co liから誘導された末端切除型);hTPO332(ヒト293細胞からの全長T PO);Met無し155 E−Coli(大腸菌由来の末端メチオニン無しの 末端切除型[rhTPO155])。6匹の雌性C57B6マウスの群に、群に応 じてrhTPOを毎日7日間注射した。完全血球数測定のため、40μlの血液 を毎日眼窩より採取した。上に示したデータは種々の処置について見られた最大 効果であり、(met153E−Coli)を除き、これは処置の7日目に起こ った。上記の「met153E−Coli」群では、最大効果は5日目に見られ た。データを平均値±平均値の標準誤差として表す。 図29は、CHO細胞で産生された全長および「切り取られた」型のrhTP Oの活性を、大腸菌からの末端切除型と比較する用量反応曲線を示す図である。 6匹の雌性C57B6マウスの群に、種々の型のrhTPO 0.3μgを毎日 注射した。2−7日目に、完全血球数測定のため、40μlの血液を眼窩より採 取した。処置群は、大腸菌由来のTPOの末端切除型TPO153;およそ80− 90%の全長および10−20%の切り取られた型を含む全長TPO、TPO33 2 (混合画分):TPO332(30K画分)=元の「混合」調製物からの精製 された切り取られた画分;TPO332(70K画分)=元の「混合」調製物か らの精製全長TPO画分。データを平均値±平均値の標準誤差として表す。 図30は、TPOを測定するためのKIRA ELISA検定を示す図である 。この図は、MPL/Rse.gDキメラおよび親レセプターの関連部分ならび に最終組み立て物(図の右部分)、ならびにこの検定の関連工程を示す流れ図( 図の左部分)を示す。 図31は、操作の各工程を示すKIRAELISA検定のためのフローチャー トである。 図32A−32Lは、実施例17のRse.gDの発現に使用されるためのp SVI17.ID.LL発現ベクターのヌクレオチド配列(配列番号22)を示す 図である。 図33は、プラスミドpMP1の製造の模式的表現である。 図34は、プラスミドpMP21の製造の模式的表現である。 図35は、プラスミドpMP151の製造の模式的表現である。 図36は、プラスミドpMP202の製造の模式的表現である。 図37は、プラスミドpMP172の製造の模式的表現である。 図38は、プラスミドpMP210の製造の模式的表現である。 図39は、pMP210プラスミドバンクからの五つの最良のTPOクローン の表である(配列番号23、24、25、26、27および28)。 図40は、プラスミドpMP41の製造の模式的表現である。 図41は、プラスミドpMP57の製造の模式的表現である。 図42は、プラスミドpMP251の製造の模式的表現である。 発明の詳細な説明 I.定義 一般に以下の語または句は、説明、実施例、および請求の範囲に使用される場 合、示される定義を有する。 「カオトロピック剤」とは、水溶液および適当な濃度において、蛋白の正常な 二次および三次構造の維持を司る力を少なくとも部分的に破壊することにより、 該蛋白の空間的コンフィギュレーションまたはコンホメーションに変化を起こす ことのできる化合物を指す。このような化合物は、例えば、尿素、グアニジンH Cl、およびチオシアン酸ナトリウムを包含する。蛋白にコンホメーションの作 用を及ぼすには、高濃度、通常4−9Mのこれらの化合物が必要である。 「サイトカイン」とは、細胞間仲介物質として別の細胞に作用する、一つの細 胞集団により放出される蛋白の総称である。係るサイトカインの例は、リンホカ イン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンである。成長ホルモン、 インシュリン様成長因子、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン 、牛成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インシュリン、プロイイン シュリン、リラキシン、プロリラキシン、糖蛋白ホルモン類、例えば卵胞刺激ホ ルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体化ホルモン(L H)、造血成長因子、肝細胞成長因子、線維芽細胞成長因子、プロラクチン、胎 盤ラクトゲン、腫瘍壊死因子−α(TNF−αおよびTNF−β)、ミュレリア ン阻害物質、マウスゴナドトロピン付随ペプチド、インヒビン、アクチビン、血 管内皮細胞成長因子、インテグリン、神経成長因子、例えばNGF−β、血小板 成長因子、トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF−αおよび TGF−β、インシュリン様成長因子−Iおよび−II、エリスロポエチン(EP O)、骨誘導因子、インターフェロン、例えばインターフェロン−α、−β、お よび−γ、コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ−CSF(M− CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)および顆粒球−C SF(G−CSF)、インターロイキン(IL)、例えばIL−1、IL−1α 、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、 IL−9、IL−11、IL−12ならびにLIF、SCF、およびkit−リ ガンドを包含するその他のポリペプチド因子である。本明細書中使用される前記 の語は、天然供給源からのまたは組換え細胞培養からの蛋白の包含を意味する。 同様に、こ れらの語は、生物活性な等価物、例えば1またはそれ以上のアミノ酸によってア ミノ酸配列が相違、またはグリコシル化の型もしくは程度が相違している等価物 を包含することを意図している。 「mplリガンド」、「mplリガンドポリペプチド」、「ML」、「トロン ボポエチン」または「TPO」は本明細書中、互換的に使用され、mpl、サイ トカインレセプタースーパーファミリーの一員に結合する特性を持ち、そして下 に定義されるようなMLの生物学的性質を有する任意のポリペプチドを含む。生 物学的性質の例は、ヒトmplPでトランスフェクトさせたIL−3依存Ba/ F3細胞のDNAへの標識されたヌクレオチド(例えば3H−チミジン)の取り 込みを刺激する能力である。生物学的性質のもう一つの例は、マウス血小板リバ ウンド検定において循環血小板中への35Sの取り込みを刺激する能力である。こ の定義は、本明細書に記載の再生不良性ブタ血漿のようなmplリガンド供給源 から、またはヒトを包含する他の動物種のような別の供給源から分離された、ま たは、組換えもしくは合成法により製造された該ポリペプチドを包含し、また、 その機能的誘導体、フラグメント、対立遺伝子、イソ型および類似体を含む変異 体型を包含する。 「mplリガンドフラグメント」または「TPOフラグメント」は、1または それ以上のアミノ酸残基または炭水化物単位が除去された、天然に存在する成熟 全長mplリガンドまたはTPO配列の一部分である。除去されるアミノ酸残基 は、N末端もしくはC末端または内部を包含する該ペプチドのどこにあってもよ い。このフラグメントは、mplリガンドに共通する少なくとも一つの生物学的 性質を共有するであろう。mplリガンドフラグメントは典型的には、再生不良 性ブタ血漿またはヒトもしくはマウスリガンドから分離されるリガンドを包含す る哺乳動物から分離されたmplリガンド、とりわけそのEPOドメインの配列 と同一の、少なくとも10、15、20、25、30、または40アミノ酸残基 の連続する配列を有するであろう。N末端フラグメントの代表例はhML153ま たはTPO(Met-11−153)である。 本明細書に定義される「mplリガンド変異体」または「mplリガンド配列 変異体」とは、組換え細胞培養または再生不良性ブタ血漿から分離されたmpl リガンドまたは図1に記載の導き出された配列(配列番号1)を有するヒトリガ ンドと100%未満の配列一致を有する、下に定義される生物活性mplリガン ドを意味する。通常、生物活性なmplリガンド変異体は、再生不良性ブタ血漿 から分離されたmplリガンドまたは成熟マウスもしくはヒトリガンドまたはそ のフラグメントと少なくとも70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ま しくは少なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約85%、さらに好ま しくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%のアミノ 酸配列一致を有するアミノ酸配列を有するであろう(図1[配列番号1]を参照 されたい)。 「キメラmplリガンド」は、全長のmplリガンドを含むポリペプチド、ま たは第二のヘテロローガスポリペプチドと融合または結合したその1もしくはそ れ以上のフラグメント、またはそれらの1もしくはそれ以上のフラグメントであ る。このキメラは、mplリガンドに共通する少なくとも一つの生物学的性質を 共有するであろう。第二のポリペプチドは典型的にはサイトカイン、免疫グロブ リンまたはそのフラグメントであろう。 「分離されたmplリガンド」、「高度に精製されたmplリガンド」および 「実質上均質なmplリガンド」は互換的に使用され、mplリガンド供給源か ら精製され、または組換えもしくは合成法により製造され、(1)スピニングカ ップシークエネーターまたは入手し得る最良の市販アミノ酸シークエネーターを 使用することにより、または本出願の出願日現在公表されている方法により修飾 された、少なくとも15および好ましくは20アミノ酸残基のN末端または内部 アミノ酸配列を取得するに十分な程、または、(2)クマシーブルーもしくは好 ましくは銀染色を用いる非還元もしくは還元条件下でのSDS−PAGEにより 均質に至るに十分な程、他のペプチドもしくは蛋白を実質上含まない、mplリ ガンドを意味する。本明細書における均質性とは、他の供給源蛋白による、約5 %未満の汚染を意味する。 「mplリガンド」または「分離されたmplリガンド」のいずれかと共に使 用される場合、「生物学的性質」とは、血小板形成活性を有すること、または、 mplリガンド(天然または変性コンホメーションの如何に拘わらず)もしくは そのフラグメントにより直接的または間接的に惹起または遂行されるインビボエ フェクターもしくは抗原機能もしくは活性を意味する。エフェクター機能とは、 mpl結合および任意の担体結合活性、mplのアゴニズムまたはアンタゴニズ ム、特に複製を包含する増殖シグナルの変換、DNA調節機能、他のサイトカイ ンの生物活性の調節、レセプター(特にサイトカイン)活性化、不活性化、上方 または下方調節、細胞の成長または分化等を包含する。抗原機能とは、天然mp lリガンドに対して作製された抗体と交差反応できるエピトープまたは抗原部位 の所有を意味する。mplリガンドポリペプチドの主要な抗原機能は、それが、 再生不良性ブタ血漿から分離されたmplリガンドに対して作製された抗体と、 少なくとも約106l/moleの親和性で結合することである。普通、該ポリ ペプチドは、少なくとも約107l/moleの親和性で結合する。最も好まし くは、抗原的に活性なmplリガンドポリペプチドは、上記エフェクター機能の うち一つを有するmplリガンドに対して作製された抗体と結合するポリペプチ ドである。「生物活性」を定義するために使用される抗体は、組換え細胞培養ま たは再生不良性ブタ血漿から分離されたmplリガンドを完全フロイントアジュ バント中に調合し、この調合物を皮下注射し、そしてmplリガンド抗体の力価 がプラトーに達するまでこの調合物の腹腔内注射により免疫反応を追加免疫する ことによって作成されるウサギポリクローナル抗体である。 「mplリガンド」または「分離されたmplリガンド」のいずれかと共に使 用される場合、「生物活性な」とは、血小板形成活性を示す、または再生不良性 ブタ血漿から分離される、もしくは本明細書に記載の組換え細胞培養中で発現さ れる、mplリガンドのエフェクター機能を共有する、mplリガンドまたはポ リペプチドを意味する。本発明に係るmplリガンドまたはポリペプチドの主要 な既知のエフェクター機能は、mplへの結合、および、ヒトmplPでトラン スフェクトさせたIL−3依存Ba/F3細胞のDNAへの標識ヌクレオチド(3 H−チミジン)の取り込みの刺激である。本発明に係るmplリガンドまたはポ リペプチドのもう一つの既知のエフェクター機能は、マウス血小板リバウンド検 定における循環血小板への35Sの取り込みを刺激する能力である。さらに別の知 られているmplリガンドのエフェクター機能は、巨核球糖蛋白GPIIbIIIaに 特異的な放射標識されたモノクローナル抗体を用いることにより定量され得る、 インビトロヒト巨核球形成の刺激能力である。 mplリガンド配列に関する「パーセントアミノ酸配列一致」とは、本明細書 において、同類置換は配列一致の一部とは考えずに、最大の配列一致パーセント を達成するために、必要ならば間隙を導入して配列を並べた後の、再生不良性ブ タ血漿から分離されたmplリガンド配列、または、図1に記載される導き出さ れたアミノ酸配列(配列番号1)を有するマウスもしくはヒトのリガンド中の残基 と一致する、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。m plリガンド配列へのN末端、C末端、または内部伸長、除去または挿入は配列 一致または相同性に影響を及ぼすとはみなさない。したがって、同一の配列を有 すると考えられる生物活性なmplリガンドポリペプチドの例は、プレプロ−m plリガンド、プロ−mplリガンド、および成熟mplリガンドを包含する。 「mplリガンド微細配列決定」は、その方法が十分感受性である限り、任意 の適当な標準法によって達成することができる。一つのこのような方法において は、SDSゲルまたは最終的HPLC工程から得られた高度に精製されたポリペ プチドを、120Aフェニルチオヒダントイン(PTH)アミノ酸分析機を備え たモデル470Aアプライド・バイオシステムズ・気相シークエンサーを用いて 自動化エドマン(フェニルイソチオシアナート)分解により直接配列決定する。 さらに、化学的(例えばCNBr、ヒドロキシアミン、2−ニトロ−5−チオシ アノベンゾアート)または酵素的(例えばトリプシン、クロストリパイン、スタ フィロコッカスプロテアーゼ)消化とその後のフラグメント精製(例えばHPL C)によって製造されたmplリガンドフラグメントを同様に配列決定すること ができる。PTHアミノ酸はクロムパーフェクトデータシステム(ジャスティス ・イノヴェーションズ、パロ・アルト、CA)を用いて分析する。配列の解釈を 、 ヘンゼル等、J.Chromatograthy、404巻41−52頁[1987]に記載のよ うにVAX 11/785ディジタル・イクイップメント・Co.コンピュータ ー上で実施する。所望により、HPLC画分のアリコートを5−20%SDS− PAGE上で電気泳動し、PVDF膜(プロブロット、AIB、フォスターシテ ィー、CA)に電気的に転移させ、クマシーブリリアントブルーで染色すること もできる(マトゥサーディアラ、J.Biol.Chem.、262巻10035−1003 8頁[1987]。染色により同定された特異蛋白をブロットから切り取り、N 末端配列決定を上記の気相シークエネーターで実施する。内部蛋白配列について は、HPLC画分を減圧下に乾燥し(スピードヴァク)、適当な緩衝液に再懸濁 し、臭化シアン、Lys特異的酵素Lys−C(ワコー・ケミカルズ、リッチモ ンド、VA)、またはAsp−N(ベーリンガー・マンハイム、インディアナポ リス、IN)で消化する。消化後、得られたペプチドを、混合物として配列決定 するか、または、0.1%TFA中のプロパノール勾配で展開するC4カラム上 でのHPLC分解後に気相配列決定する。 「血小板減少症」とは、血液1リットルにつき150x109未満の血小板数 として定義される。 「血小板形成活性」とは、巨核球または巨核球前駆体がこれらの細胞の血小板 産生型へと増殖、分化および/または成熟する事を加速することを構成する生物 活性として定義される。この活性は、インビボマウス血小板リバウンド合成検定 、ヒト白血病巨核芽球セルライン(CMK)のための抗血小板イムノアッセイ( 抗GPIIbIIIa)により測定される血小板細胞表面抗原検定の誘導、および巨核 芽球セルライン(DAMI)における多能化の誘導を包含する様々な検定で測定 することができる。 「トロンボポエチン」(TPO)とは、血小板形成活性を有する、または哺乳 動物において血清の血小板数を増加させることのできる化合物として定義される 。TPOは好ましくは、内因性血小板数を少なくとも10%、より好ましくは5 0%増加させることができ、最も好ましくは人間の血小板数を血液1リットル当 たり150x109以上に上昇させることができる。 「分離されたmplリガンド核酸」とは、生物活性なmplリガンドもしくは そのフラグメントをコードしている16好ましくは20またはそれ以上の連続し たヌクレオチド塩基を含むRNAもしくはDNAであるか、該RNAもしくはD NAに相補的であるか、または該RNAもしくはDNAとハイブリダイズして中 等度ないし緊縮条件下で安定に結合し続ける。このRNAまたはDNAは、普通 天然供給源に付随している少なくとも一つの汚染源核酸を含まず、好ましくは他 のいかなる哺乳動物のRNAまたはDNAをも実質上含まない。「普通付随して いる少なくとも一つの汚染源核酸を含まない」という句は、該核酸がその供給源 または天然細胞中に存在してはいるが、異なった染色体位置にある、またはその 他の状態でその供給源細胞に正常では見いだされない核酸配列と隣接している場 合を包含する。分離されたmplリガンド核酸の例は、ヒト、マウスまたはブタ mplリガンドと少なくとも75%の配列一致、より好ましくは少なくとも80 %、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは90%、最も好まし くは95%の配列一致を共有する生物活性なmplリガンドをコードしているR NAまたはDNAである。 発現に言及する場合の「調節配列」とは、特定の宿主生物における機能的に結 合したコード化配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核生物に好適な調 節配列は、例えば、プロモーター、所望によりオペレーター配列、リボソーム結 合部位、そして恐らくはまだあまり理解されていない配列を包含する。真核生物 細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用す ることが知られている。 核酸に言及する場合の「機能的に結合した」とは、当該核酸が別の核酸配列と 機能的な関係に位置することを意味する。例えば、プレ配列または分泌リーダー のためのDNAは、それがポリペプチドの分泌に参加するプレ蛋白として発現さ れるならば、そのポリペプチドのためのDNAと機能的に結合しており;プロモ ーターまたはエンハンサーは、それがコード化配列の転写に影響するならば、そ の配列と機能的に結合しており;または、リボソーム結合部位は、それが翻訳を 促進するように位置しているならば、コード化配列と機能的に結合している。一 般に、「機能的に結合した」とは、結合しているDNA配列が隣接しており、そ して分泌リーダーの場合には、隣接し且つ読み取り枠内にある。しかしながら、 エンハンサーは隣接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーシ ョンにより達成される。もしそのような部位が存在しない場合、常法に従って合 成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用する。 要素に言及する場合の「外因性」とは、その細胞にとって外来性であるか、ま たはその細胞にとってホモローガスではあるがその要素が通常見いだされない宿 主細胞核酸内の位置にある、核酸を意味する。 「細胞」、「セルライン」、および「細胞培養」は本明細書中、互換的に用い られ、係る表現は或る細胞またはセルラインの子孫全てを包含する。したがって 、例えば、「形質転換体」および「形質転換された細胞」というような語は、第 一番目の対象細胞および、転移の回数に拘わらずそれから誘導された培養を包含 する。全ての子孫は、故意のまたは偶然の突然変異のために、DNA含有量が厳 密に同一ではないかも知れないということもまた理解される。最初に形質転換さ れた細胞においてスクリーニングされたものと同じ機能または生物活性を有する 突然変異体子孫が包含される。明確な表記が意図される場合、それは文脈から明 らかであろう。 「プラスミド」は、独立した複製起点を有する自立的に複製する環状DNA分 子であり、本明細書では、大文字および/または数字の前および/または後の小 文字「p」によって表記される。本発明における出発プラスミドは、市販品を入 手できるか、無制限に一般に入手できるか、または公表されている方法に従って 係る入手可能なプラスミドから組み立てることができる。加えて、その他の等価 なプラスミドが当分野で知られており、当業者には明らかであろう。 DNAに言及する場合の「制限酵素消化」とは、DNA配列の或る位置または 部位にのみ作用する酵素でそのDNAの内部ホスホジエステル結合を触媒的に開 裂することを意味する。このような酵素は「制限エンドヌクレアーゼ」と呼ばれ る。それぞれの制限エンドヌクレアーゼは、二倍対称を示す「制限部位」と呼ば れる特異的DNA配列を認識する。本発明において使用される種々の制限酵素は 市販品が入手でき、酵素供給者により確立されたそれらの反応条件、補助因子、 およびその他の要件が用いられる。制限酵素は一般に、それぞれの制限酵素が最 初に得られた微生物を表す大文字とその後の他の文字、そして次に特定の酵素を 指定する数字から成る略語によって表記される。一般に、プラスミドまたはDN Aフラグメント約1μgが、緩衝溶液約20μl中約1−2単位の酵素と共に使 用される。特定の制限酵素のための適当な緩衝液および基質量は、製造者により 明記されている。37℃で約1時間のインキュベーションが普通用いられるが、 供給者の指示によって変わり得る。インキュベーションの後、蛋白またはポリペ プチドをフェノールおよびクロロホルムでの抽出により除去し、消化された核酸 をエタノールによる沈澱化により水性画分から回収する。制限酵素による消化の 後に、末端5'ホスファートの細菌アルカリホスファターゼ加水分解を行い、D NAフラグメントの二つの制限開裂端の「環化」、または制限部位への別のDN Aフラグメントの挿入を妨害する閉鎖ループの形成、を防止する。別途記載の無 い限り、プラスミドの消化の後の5'末端脱燐酸化は行われない。脱燐酸化のた めの手法および試薬は、サムブルック等、モレキュラー・クローニング:ア・ラ ボラトリー・マニュアル[ニューヨーク:コールド・スプリング・ハーバー・ラ ボラトリー・プレス、1989]の1.56−1.61項に記載のように常套的 である。 制限消化物からのDNAの所定のフラグメントの「回収」または「分離」とは 、電気泳動によるポリアクリルアミドまたはアガロースゲル上での消化物の分離 、その移動度を既知分子量のマーカーDNAフラグメントの移動度に対して比較 することによる目的フラグメントの同定、所望フラグメントを含有するゲル切片 の切り取り、およびDNAからのそのゲルの分離を意味する。この方法は一般に 知られている。例えば、ローン等、Nucleic Acids Res.、9巻6103−611 4頁[1981]、およびゲッデル等、Nucleic Acids Res.、8巻4057頁[ 1980]を参照されたい。 「サザン分析」または「サザンブロッティング」は、DNAの制限エンドヌク レアーゼ消化物またはDNA含有組成物中のDNA配列の存在を、既知の標識さ れたオリゴヌクレオチドまたはDNAフラグメントとのハイブリダイゼーション によって確認する方法である。サザン分析は典型的には、アガロースゲル上での DNA消化物の電気泳動分離、電気泳動分離後のDNAの変性、および、サムブ ルック等、上記、の9.37−9.52項に記載のような放射標識された、ビオ チニル化された、または酵素標識されたプローブによる分析のための、ニトロセ ルロース、ナイロン、またはその他の適当な膜支持体へのDNAの転移を含む。 「ノーザン分析」または「ノーザンブロッティング」は、オリゴヌクレオチド 、DNAフラグメント、cDNAもしくはそのフラグメント、またはRNAフラ グメントのような既知のプローブとハイブリダイズするRNA配列を同定するた めに用いられる方法である。プローブは32Pのような放射性同位元素で、または ビオチニル化により、または酵素によって標識する。分析すべきRNAは、通常 、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル上で電気泳動分離し、ニトロセルロ ース、ナイロン、またはその他の適当な膜に転移させ、そして、サムブルック等 、上記、の7.39−7.52項に記載のような当分野で良く知られる標準技術 を用いてプローブとハイブリダイズさせる。 「ライゲーション」は、二つの核酸フラグメントの間にホスホジエステル結合 を形成させる工程である。二つのフラグメントのライゲーションのためには、そ のフラグメントの末端は互いに適合性でなければならない。幾つかの場合におい ては、末端はエンドヌクレアーゼ消化の後、直ちに適合性となろう。しかしなが ら、まず、エンドヌクレアーゼ消化の後に普通生成される互い違いに切断された 末端を、ライゲーションに適合性とするため、平滑末端に変換する必要があるか も知れない。末端を平滑化するためには、そのDNAを、約10単位のDNAポ リメラーゼIのクレノウフラグメントまたはT4DNAポリメラーゼと共に、4 種のデオキシリボヌクレオチド三燐酸の存在下で、適当な緩衝液中で、少なくと も15分間15℃で処理する。次いでこのDNAをフェノール−クロロホルム抽 出およびエタノール沈澱化により精製する。ライゲーションすべきDNAフラグ メントをほぼ当モル量で溶液中に入れる。この溶液はさらにATP、リガーゼ緩 衝液、およびDNA0.5μgに付き約10単位のT4DNAリガーゼのような リガーゼを含む。このDNAをベクター中にライゲーションしたい場合は、ベク ターをまず適当なエンドヌクレアーゼで消化することにより線状化する。次にこ の線状化されたフラグメントを細菌アルカリホスファターゼまたは子牛腸ホスフ ァターゼで処理してライゲーション工程中の自己ライゲーションを防止する。 細胞からのDNAの「調製」とは、宿主細胞の培養からプラスミドDNAを分 離することを意味する。DNAの調製に一般的に用いられる方法は、サムブルッ ク等、上記、の1.25−1.33項に記載の大規模および小規模プラスミド製 造である。DNAの調製後、これは、サムブルック等、上記、の1.40項に記 載のような当分野で良く知られる方法によって精製することができる。 「オリゴヌクレオチド」とは、既知の方法(例えば、1988年5月4日公開 のEP266032に記載の固相技術を使用する、または、フレーラー等、Nucl .Acids Res.、14巻5399−5407頁[1986]に記載のデオキシヌク レオシドH−ホスホナート中間体を経た、ホスホトリエステル、ホスファイト、 またはホスホルアミダイト化学)によって化学合成される、短い一本鎖または二 本鎖ポリデオキシヌクレオチドである。さらなる方法には、下に定義されるポリ メラーゼ連鎖反応およびその他の自己プライマー法および固体支持体上でのオリ ゴヌクレオチド合成が包含される。これらの方法は全てエンゲルス等、Agnew.Ch em.Int.Ed.Engl.、28巻716−734頁(1989)に記載されている。当 該遺伝子の全核酸配列が知られている場合、またはコーディング鎖に対し相補的 な核酸の配列が知られている場合、これらの方法を用いる。別法として、もし標 的アミノ酸配列が既知であるならば、各アミノ酸残基に対する既知のそして好ま しいコーディング残基を用いて、可能性ある核酸配列を推論することができる。 次いでそのオリゴヌクレオチドをポリアクリルアミドゲル上で精製する。 「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、わずかな量の核酸、RNA および/またはDNAの特異的断片を、1987年7月28日登録の米国特許第 4683195号に記載のように増幅させる方法または技術を指す。一般に、オ リゴヌクレオチドプライマーが設計されるよう、目的の領域の末端またはそれ以 上からの配列情報が得られる必要があり;これらのプライマーは、増幅されるべ き鋳型の反対の鎖と同一または類似の配列であろう。二つのプライマーの5'末 端ヌクレオチドは、増幅されたものの末端と一致するかも知れない。PCRは、 特異的RNA配列、全ゲノムDNAからの特異的DNA配列、および全細胞RN Aから転写されたcDNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列等の増幅 に使用することができる。一般に、ミュリス等、Cold Spring Harbor Symp.Quan t.Biol.、51巻263頁[1987];アーリッヒ編、PCRテクノロジー( ストックトン・プレス、NY、1989)を参照されたい。本明細書中使用され るPCRは、プライマーとしての既知の核酸および核酸の特異的断片を増幅また は生成させるための核酸ポリメラーゼを使用することからなる、核酸被験試料を 増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の一つの例であって、唯一の例ではない と考えられる。 「緊縮条件」とは、(1)洗浄に低イオン強度および高温、例えば50℃で0 .015M NaCl/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%NaDo dSO4(SDS)を使用し、または(2)ハイブリダイゼーション中にホルム アミドのような変性剤、例えば、0.1%牛血清アルブミン/0.1%フィコー ル/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM NaCl、75mMクエン酸 ナトリウムを伴う50mM燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)と共に50%( 容量/容量)ホルムアミドを42℃で使用する条件である。別の例は、50%ホ ルムアミド、5xSSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリ ウム)、50mM燐酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロ燐酸ナトリウム 、5xデンハート溶液、超音波処理鮭精子DNA(50μg/ml)、0.1% SDS、および10%硫酸デキストランを42℃で使用し、0.2xSSCおよ び0.1%SDS中42℃で洗浄するものである。 「中等度の緊縮条件」は、サムブルック等、上記、に記載されており、上の記 載より緊縮性の低い洗浄溶液およびハイブリダイゼーション条件(例えば、温度 、イオン強度、および%SDS)の使用を含む。中等度の緊縮条件の例は、20 %ホルムアミド、5xSSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナト リウム)、50mM燐酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハート溶液、10 % 硫酸デキストラン、および20μl/ml変性剪断鮭精子DNAからなる溶液中 37℃で一夜インキュベートし、その後フィルターを1xSSC中約37−50 ℃で洗浄するような条件である。当業者は、プローブの長さ等のような因子に適 合させるのに必要な温度、イオン強度等をいかにして調節するかがわかるであろ う。 「抗体」(Ab)および「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造特性を有す る糖蛋白である。抗体は特異抗原に対する結合特異性を示すのに対し、免疫グロ ブリンは、抗体および抗原特異性を欠く他の抗体様分子の両方を包含する。後者 の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系によって低レベルが、そして骨髄腫に よって高レベルが産生される。 「天然の抗体および免疫グロブリン」は、通常、二つの同一の軽(L)鎖およ び二つの同一の重(H)鎖で構成される約150000ダルトンのヘテロ三量体 糖蛋白である。それぞれの軽鎖は一つのジスルフィド共有結合により重鎖に連結 しているが、但しジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンイソタイプの重 鎖間で異なっている。各々の重および軽鎖はさらに、規則的に間隔のあいた鎖間 ジスルフィド橋を有する。それぞれの重鎖は一方の端に可変ドメイン(VH)、 その後に幾つかの不変ドメインを持っている。それぞれの軽鎖は一方の端に可変 ドメイン(VL)、そして他方の端に不変ドメインを持っている。軽鎖の不変ド メインは重鎖の最初の不変ドメインと並んでおり、軽鎖可変ドメインは重鎖の可 変ドメインと並んでいる。特定のアミノ酸が軽および重鎖可変ドメインの間の界 面を形成していると信じられている(クロチア等、J.Mol.Biol.、186巻65 1−663頁[1985];ノヴォトニーおよびヘイバー、Proc.Natl.Acad.Sci .USA、82巻4592−4596頁[1985])。 「可変」という語は、可変ドメインの或る部分が配列の上で抗体間で甚だしく 異なっている事実を指し、特定の抗原に対する特定の各抗体の結合および特異性 に用いられる。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインに平均して分布して はいない。それは、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方にある相補性決定領域( CDR)または超可変領域と呼ばれる三つのセグメントに集中している。可変ド メ インの、より高度に保存された部分はフレームワーク(FR)と呼ばれる。天然 の重および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ四つのFR領域を含んでおり、これら は大抵βシートコンフィギュレーションを採用しており、三つのCDRによって 連結しているが、それらはこのβシート構造につながるループを形成するか、幾 つかの場合にはそのβシート構造の一部を形成している。各鎖のCDRはFR領 域によって極めて近接して保持されており、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原 結合部位の形成に寄与している(カバット等、シークエンシズ・オブ・プロテイ ンズ・オブ・イミュノロジカル・インタレスト、ナショナル・インスティテュー ト・オブ・ヘルス、ベセスダ、MD[1987]を参照されたい)。不変ドメイ ンは抗体の抗原への結合に直接関与している訳ではないが、抗体の抗体依存細胞 毒性への参加といったような様々なエフェクター機能を示す。 抗体のパパイン消化は、それぞれが1個の抗原結合部位を伴う「Fab」フラ グメントと呼ばれる二つの等しい抗原結合フラグメント、および、その名称が容 易に結晶化する能力を反映している、残りの「Fc」フラグメントを生成する。 ペプシン処理は、二つの抗原結合部位を持ち、なお抗原と交差反応できるF(a b')2フラグメントを生成する。 「Fv」は、完全な抗原認識および結合部位を含む最小の抗体フラグメントで ある。この領域は、緊密に非共有結合している1個の重鎖および1個の軽鎖可変 ドメインの二量体で構成されている。各可変ドメインの三つのCDRが相互作用 してVH−VL二量体表面の抗原結合部位を規定しているのはこのコンフィギュレ ーションにおいてである。まとめると、6個のCDRが抗体に抗原結合特異性を 付与している。しかしながら、ただ一つの可変ドメイン(または、或る抗原に特 異的な3個のCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体より親和性は 低いものの、抗原を認識し結合する能力を持っている。 Fabフラグメントはまた、軽鎖の不変ドメインおよび重鎖の最初の不変ドメ イン(CH1)を含んでいる。Fab'フラグメントは、抗体のヒンジ領域由来 の1またはそれ以上のシステインを含む数個の残基が重鎖CH1ドメインのカル ボキシ末端に加わっている点でFabフラグメントと異なっている。Fab'− SHは本明細書において、不変ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を持 っているFab'の表記である。F(ab')2抗体フラグメントは元々、間にヒン ジシステインを持っているFab'フラグメントの対として生成された。別の、 抗体フラグメントの化学的結合もまた知られている。 任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの不変 ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパおよびラムダ(λ)と呼ばれる極め て明瞭な二つのタイプの一つに割り当てることができる。 重鎖の不変ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラス に割り当てることができる。五つの主要な免疫グロブリンのクラス:IgA、I gD、IgE、IgGおよびIgM、があり、これらのうち幾つかはさらにサブ クラス(イソタイプ)、例えばIgG−1、IgG−2、IgG−3、およびI gG−4;IgA−1およびIgA−2、に分けることができる。免疫グロブリ ンの異なるクラスに対応する重鎖不変ドメインは、それぞれα、デルタ、イプシ ロン、γ、およびμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット 構造および三次元コンフィギュレーションは良く知られている。 「抗体」という語は最も広い意味で用いられ、詳細には、単一のモノクローナ ル抗体(アゴニストおよびアンタゴニスト抗体を包含する)、多エピトープ特異 性を有する抗体組成物、そして、それらが所望の生物活性を示す限り、抗体フラ グメント(例えばFab、F(ab')2およびFv)を包含する。 本明細書中使用される「モノクローナル抗体」という語は、実質上均質な抗体 の集団から得られた抗体、即ち、その集団を構成する個々の抗体が、少量存在し 得る天然に存在する可能な突然変異を除いては同一である抗体を指す。モノクロ ーナル抗体は、極めて特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さら に、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して作製される異なった抗体を 含む常套的(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体 は抗原上の一つの決定基に対して作製されたものである。それらの特異性に加え て、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンにより汚染されないハイブリド ーマ培養によって合成されるという点で有利である。修飾語句「モノクローナル 」 は、実質上均質な抗体の集団から得られる抗体の性格を示すものであり、特定の 方法によりその抗体を産生することを要求すると解してはならない。例えば、本 発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、コーラーおよびミルシュタイン 、Nature、256巻495頁(1975)により最初に記載されたハイブリドー マ法により作製することができ、または、組換えDNA法により作製することが できる(例えば、米国特許第4816567号[キャビリー等]を参照されたい) 。 本明細書に記載のモノクローナル抗体は、それらが所望の生物活性を示す限り 、重および/または軽鎖の一部が特定の種から誘導されるまたは特定の抗体クラ スもしくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一またはホモローガスである が、一方、鎖の残部は、別の種から誘導されるまたは別の抗体クラスもしくはサ ブクラスに属する抗体の対応配列と同一またはホモローガスである、「キメラ」 抗体および係る抗体のフラグメントを特に包含する(米国特許第4816567 号(キャビリー等);およびモリソン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81巻68 51−6855頁[1984])。 非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンから誘 導された最小の配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそ のフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2またはその他の 抗体の抗原結合サブ配列)である。大抵は、ヒト化抗体は、受容者の相補性決定 領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス 、ラットまたはウサギのようなヒト以外の種(ドナー抗体)のCDR由来の残基 により置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(受容者抗体)である。幾つか の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残 基に置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、受容者抗体にも取り入れられ たCDRまたはフレームワーク配列にも見いだされない残基を含み得る。これら の修飾は、抗体の挙動をさらに洗練および最適化するためになされる。一般に、 ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質上全てを 含み、ここで、全てまたは実質上全てのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンのも のに対応し、全てまたは実質上全てのFR領域はヒト免疫グロブリン共通配列の も のである。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン不変領域(Fc)、典型的 にはヒト免疫グロブリンの不変領域の少なくとも一部をも含むであろう。さらな る詳細については、ジョーンズ等、Nature、321巻522−525頁[198 6];リーチマン等、Nature、332巻323−329頁[1988];および プレスタ、Curr.Op.Struct.Biol.、2巻593−596頁[1992])を参照 されたい。 「人間において非免疫原性」とは、薬学上許容し得る担体中の治療的有効量の 当該ポリペプチドを人間の適当な組織に接触させ、適当な潜伏期(例えば8ない し14日間)の後に該ポリペプチドの二回目の投与を行う時、そのポリペプチド に対する過敏性または耐性の状態が立証され得ない事を意味する。 II.発明の好ましい態様 本発明の好ましいポリペプチドは、mpl、レセプターサイトカインスーパー ファミリーの一員に結合する性質を持ち、そして、ヒトmplPでトランスフェ クトさせたIL−3依存Ba/F3細胞のDNA中への標識されたヌクレオチド (3H−チミジン)の取り込みを刺激する生物学的性質を有する、mplリガン ドまたはトロンボポエチン(TPO)と呼ばれる実質上均質なポリペプチドであ る。より好ましいmplリガンドは、造血、特に巨核球形成または血小板形成活 性を有する、即ち、未熟な巨核球またはその祖先の、成熟血小板産生型への増殖 、成熟および/または分化を刺激することのできる、分離された哺乳動物の蛋白 である。本発明に係る最も好ましいポリペプチドは、造血、巨核球形成または血 小板形成活性を有する、フラグメントを包含するヒトmplリガンドである。所 望により、これらのヒトmplリガンドはグリコシル化を欠く。その他の好まし いヒトmplリガンドは、hML153またはhTPO153と呼ばれるhMLの「E POドメイン」、hML245またはhTPO245と呼ばれるhMLの末端切除型、 および、hML、hML332またはhTPO332と呼ばれる、図1(配列番号1) に示されるアミノ酸配列を有する成熟全長ポリペプチド、ならびに生物活性な置 換変異体hML(R153A、R154A)である。 所望による好ましい本発明に係るポリペプチドは、hML2、hML3、hM L4、mML、mML2、mML3、pMLおよびpML2から選ばれる生物学 的にまたは免疫学的に活性なmplリガンド変異体である。 所望による好ましい本発明に係るポリペプチドは、ヒトmplリガンド(図1 [配列番号1]を参照されたい)、マウスmplリガンド(図16[配列番号1 2および13]を参照されたい)、組換えブタmplリガンド(図19[配列番 号18]を参照されたい)、または再生不良性ブタ血漿から分離されたブタmp lリガンドと、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましく は少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少 なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の配列一致を有する生 物活性なmplリガンド変異体である。 再生不良性ブタ血漿から分離されたmplリガンドは以下の性格を持っている : (1)部分精製されたリガンドは、PBS、0.1%SDSを含有するPBS 、または4M MgCl2を含有するPBSのいずれかで溶離されるゲル濾過カラ ムからMr60000−70000で溶出し; (2)このリガンドの活性はプロナーゼにより破壊され; (3)このリガンドは、低いpH(2.5)、0.1%までのSDS、および 2M尿素に対して安定であり; (4)このリガンドは、様々なレクチンカラムへの結合に基づき、糖蛋白であ り; (5)高度に精製されたリガンドは、非還元SDS−PAGEからMr250 00−35000で溶出する。より少量の活性もまたMr〜18000−220 00および60000で溶出し; (6)高度に精製されたリガンドは、還元SDS−PAGEでMr28000 および31000のダブレットとして分離され; (7)18000−22000、28000および31000のハンドのアミ ノ末端配列は同じSPAPPACDPRLLNKLLRDDHVLHGR(配列 番号29)であり;そして、 (8)このリガンドは、以下の親和カラム: ブルー−セファロース、 CMブルー−セファロース、 MONO−Q、 MONO−S、 レンズマメレクチン−セファロース、 WGA−セファロース、 ConA−セファロース、 エーテル650mトヨパール、 ブチル650mトヨパール、 フェニル650mトヨパール、および、 フェニル−セファロース、 に結合し、それらから溶出する。 より好ましいmplリガンドポリペプチドは、図1(配列番号1)に記載のア ミノ酸配列を有するヒトゲノムまたはcDNAによりコードされているものであ る。 その他の好ましい本発明に係る天然に存在する生物活性mplリガンドポリペ プチドは、プレプロ−mplリガンド、プロ−mplリガンド、成熟mplリガ ンド、mplリガンドフラグメントおよびそれらのグリコシル化変異体を包含す る。 さらに別の本発明に係る好ましいポリペプチドは、mplリガンド配列変異体 およびキメラを包含する。通常、好ましいmplリガンド配列変異体およびキメ ラは、ヒトmplリガンドまたは再生不良性ブタ血漿から分離されたmplリガ ンドと、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少な くとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくと も90%、そして最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列一致を有する アミノ酸配列を持つ生物活性なmplリガンド変異体である。好ましいmplリ ガンド変異体の例は、N末端ドメインhML変異体(エリスロポエチンに対する その配列相同性の故に「EPO−ドメイン」と呼ばれる)である。好ましいhM L EPO−ドメインは、成熟hMLの最初の約153のアミノ酸残基を含み、 hML153と呼ばれる。所望により好ましいhML配列変異体は、C末端ドメイ ン中の1またはそれ以上の塩基性または二塩基性アミノ酸残基が非塩基性アミノ 酸残基(例えば、疎水性、中性、酸性、芳香族、Gly、Pro等)で置換され ているものを含む。好ましいhML C末端ドメイン配列変異体は、Arg残基 153および154がAla残基に置き換わっているものを含む。この変異体は hML332(R153A、R154A)と呼ばれる。これに代わる好ましいhM L変異体は、アミノ残基111−114(QLPPまたはLPPQ)が除去され または異なるテトラペプチド配列(例えばAGAG等)に置き換わっているhM L332またはhML153のいずれかを含む。前記の除去突然変異体は、△4hML332 または△4hML153と呼ばれる。 好ましいキメラは、mplリガンドまたはそのフラグメント(下記に定義され る)とヘテロローガスなポリペプチドまたはそのフラグメントとの間の融合であ る。例えば、hML153はIgGフラグメントと融合させて血清半減期を改善し 、または、IL−3、G−CSFまたはEPOと融合させて血小板形成活性また はキメラ造血活性を向上させた分子を生成させることができる。 これに代わる好ましいヒトmplリガンドキメラは、図10(配列番号7)に 示されるようにおおよそ並べられたヒトEPO残基の1またはそれ以上(但し全 てではない)で置換されたN末端153ないし157hML残基で構成される「 ML−EPOドメインキメラ」である。この態様において、hMLキメラは約1 53−166残基の長さであり、ヒトEPO配列由来の個々のまたはひとかたま りの残基が、図10(配列番号6)に示される並置に対応する位置でhML中に 付加または置換されている。hMLのN末端部分へのブロック配列挿入物の例は 、24−27、38−40、および83−85位(EPO)のNグリコシル化部 位の1またはそれ以上;9−22、59−76、90−107、および132− 152位(EPO)の4個の予想される両親媒性αヘリックスの束の1またはそ れ 以上;ならびにN末端およびC末端領域および残基位置(epo)44−52を 包含するその他の高度に保存された領域、を包含する(例えば、ウェン等、Bloo d、82巻1507−1516頁[1993]およびボイセル等、J.Biol.Chem. 、268(21)巻15983−15993頁[1993]を参照されたい)。 この「ML−EPOドメインキメラ」は、混成の血小板形成−赤血球形成(TE PO)生物活性を有するであろうと考えられる。 その他の本発明に係る好ましいポリペプチドは、再生不良性ブタ血漿から分離 されたmplリガンドまたは本明細書に記載のヒトmplリガンドの配列に等し い少なくとも10、15、20、25、30、または40アミノ酸残基の連続配 列を有するmplリガンドフラグメントを包含する(例えば、第14表、実施例 24を参照されたい)。好ましいmplリガンドフラグメントは、Xが153、 164、191、205、207、217、229、または245であるヒトM L[1−X]である(残基1−Xの配列については図1[配列番号1]を参照さ れたい)。その他の好ましいmplリガンドフラグメントは、精製されたこのリ ガンドの化学的または酵素的加水分解または消化の結果として生成されるものを 包含する。 本発明のもう一つの好ましい態様は、mplリガンド分子を精製する方法であ って、この方法は、mplリガンド分子を含有するmplリガンド供給源を、精 製すべきmplリガンド分子が、固定されたレセプターポリペプチドに選択的に 吸着される条件下で、固定されたレセプターポリペプチド、特にmplまたはm pl融合ポリペプチトと接触させ、この固定された支持体を洗浄して非吸着物質 を除去し、そして精製すべき分子を、固定されたレセプターポリペプチドから溶 離緩衝液で溶出することからなる。mplリガンドを含有する供給源は血漿であ ってよく、その場合固定されたレセプターは好ましくはmpl−IgG融合物で ある。 別法として、mplリガンドを含有する供給源は組換え細胞培養であり、その 場合、培地または細胞溶菌液中のmplリガンドの濃度は一般に、血漿またはそ の他の天然供給源中の濃度より高い。この場合、上記のmpl−IgG免疫親和 法は、尚有用ではあるが通常必要なく、より伝統的な当分野で知られる蛋白精製 法を適用することができる。簡潔に述べると、実質上均質なmplリガンドを提 供するための好ましい精製法は、粒状の断片、宿主細胞または溶菌されたフラグ メントを、例えば遠心または限外濾過によって除去し;所望により、入手し得る 市販の蛋白濃縮フィルターで蛋白を濃縮し;その後、免疫親和、イオン交換(例 えばDEAEまたはカルボキシメチルもしくはスルホプロピル基を含むマトリッ クス)、ブルー−セファロース、CMブルー−セファロース、MONO−Q、M ONO−S、レンズマメレクチン−セファロース、WGA−セファロース、Co n A−セファロース、エーテル・トイパール、ブチル・トイパール、フェニル −トイパール、プロテインAセファロース、SDS−PAGE、逆相HPLC( 例えば、脂肪族基を付けたシリカゲル)またはセファデックス分子篩またはサイ ズ排除クロマトグラフィー、およびエタノールまたは硫酸アンモニウム沈澱化か ら選ばれる1またはそれ以上の工程によって、その他の不純物から当該リガンド を分離することを含む。メチルスルホニルフルオリド(PMSF)のようなプロ テアーゼインヒビターを前記の工程のいずれかに加えて蛋白分解を阻害すること ができる。 もう一つの好ましい態様において、本発明は、mplリガンドに結合すること のできる分離された抗体を提供する。好ましいmplリガンドの分離された抗体 はモノクローナルである(コーラーおよびミルシュタイン、Nature、256巻4 95−497頁[1975];キャンベル、ラボラトリー・テクニークス・イン ・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー、バードン等編、 13巻、エルセヴィア・サイエンス・パブリスラーズ、アムステルダム[198 5];およびヒューズ等、Science、246巻1275−1281頁[1989 ])。好ましいmplリガンドの分離された抗体は、少なくとも約106l/m oleの親和性でmplリガンドに結合するものである。より好ましくは、この 抗体は少なくとも約107l/moleの親和性で結合する。最も好ましくは、 この抗体は上記のエフェクター機能のうち一つを有するmplリガンドに対して 作製される。mplリガンドに結合することのできる分離された抗体は、所望に より第 二のポリペプチドと融合させてもよく、該抗体またはその融合物は、固定された mplポリペプチドについて上に記載されたように、mplリガンドを供給源か ら分離および精製するために使用することができる。この態様のさらなる好まし い側面において、本発明は、抗体を、該リガンドの含有が疑われる試料、特に血 清試料と接触させ、そして結合が起こったか否かを検出することからなる、イン ビトロまたはインビボでmplリガンドを検出する方法を提供する。 さらに別の好ましい態様において、本発明は、mplリガンドまたはそのフラ グメントをコードしている分離された核酸分子(この核酸分子は検出し得る原子 団によって標識されていてもいなくてもよい)、および、mplリガンドをコー ドしている配列を有する核酸分子に対し相補的、または緊縮もしくは中等度緊縮 条件下でこれとハイブリダイズする配列を有する核酸分子を提供する。好ましい mplリガンド核酸は、ヒトmplリガンドと、少なくとも75%の配列一致、 より好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに 好ましくは90%、そして最も好ましくは95%の配列一致を共有する生物活性 なmplリガンドをコードしているRNAまたはDNAである。より好ましい分 離された核酸分子は、(a)哺乳動物mplリガンド遺伝子のコード化領域に基 づくDNA(例えば、図1(配列番号2)に供されるヌクレオチド配列を含むD NAまたはそのフラグメント);(b)少なくとも中等度緊縮条件下で(a)の DNAとハイブリダイズできるDNA;、および、(c)遺伝コードの縮重から もたらされる(a)または(b)に定義のDNAに対して縮重しているDNA、 から選ばれる、生物活性なmplリガンドをコードしているDNA配列である。 本明細書に記載される新規なmplリガンドは、それらのDNAが、低ないし中 等度緊縮条件下で図1(配列番号2)のDNA(またはその相補物もしくはフラ グメント)とハイブリダイズできるという適当な配列同一性を有するリガンドま たはサイトカインのファミリーの成員であり得るということが意図される。した がって、本発明のさらなる側面は、mplリガンドポリペプチドをコードしてい るDNAと低ないし中等度緊縮条件下でハイブリダイズするDNAを包含する。 本発明のさらなる好ましい態様において、該核酸分子はmplリガンドをコー ドしているcDNAであり、そしてさらに複製可能なベクターを含み、ここで該 cDNAは、該ベクターにより形質転換された宿主により認識される調節配列と 機能的に結合している。この側面はさらに、該ベクターにより形質転換された宿 主細胞、および、該cDNAを使用してmplリガンドの生産を行う方法であっ て、mplリガンドをコードしているcDNAを、形質転換された宿主細胞の培 養中で発現させ、この宿主細胞培養からmplリガンドを回収することからなる 方法を包含する。このやり方で製造されたmplリガンドは、好ましくは実質上 均質なヒトmplリガンドである。mplリガンドの生産にとって好ましい宿主 細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。 本発明はさらに、哺乳動物に治療的有効量のmplリガンドを投与することか らなる、免疫学的または造血疾患、特に血小板減少症を有する哺乳動物を処置す る好ましい方法を包含する。所望により、mplリガンドは、サイトカイン、特 にコロニー刺激因子またはインターロイキンと組み合わせて投与してよい。好ま しいコロニー刺激因子またはインターロイキンは、kit−リガンド、LIF、 G−CSF、GM−CSF、M−CSF、EPO、IL−1、IL−2、IL− 3、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9またはIL−11を包 含する。 III.作成の方法 血小板の産生は、長い間幾人かの著者によって、複数の系統特異的液性因子に より調節されると考えられてきた。巨核球コロニー刺激因子(meg−CSF) およびトロンボポエチンと称される二つの明確なサイトカイン活性が、巨核球形 成および血小板形成を調節するとされてきた(ウィリアムズ等、J.Cell Physiol .、110巻101−104頁[1982];ウィリアムズ等、Blood Cells、1 5巻123−133頁[1989;およびゴードン等、Blood、80巻302− 307頁[1992])。この仮説によれば、meg−CSFは祖先巨核球の増 殖を刺激し、一方トロンボポエチンは主として、より分化した細胞の成熟に、そ して最終的に血小板放出に影響する。1960年代以来、血小板減少症の症状発 現後の、動物および人間の血漿、血清および尿におけるmeg−CSFおよびト ロンボポエチン活性の誘導および出現は、詳細に証明されてきた(オーデル等、 Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、108巻428−431頁[1961];ネイケフ等 、Acta Haematol.、54巻340−344頁[1975];スペクター、Proc.S oc.Exp.Biol.、108巻146−149頁[1961];シュライナー等、J.Cl in.Invest.、49巻1709−1713頁[1970];エブ、Blood、44巻 605−608頁[1974];ホフマン等、N.Engl.J.Med.、305巻533 頁[1981];ストラニーヴァ等、Exp.Hematol.、17巻1122−1127 頁[1988];マズーア等、Exp.Hematol.、13巻1164頁[1985]; マズーア等、J.Clin.Invest.、68巻733−741頁[1981];シャイナ ー等、Blood、56巻183−188頁[1980];ヒル等、Exp.Hematol.、 20巻354−360頁[1992];およびヘギー等、Int.J.Cell Cloning、 8巻236−244頁[1990])。これらの活性は、系統特異的であり、既 知のサイトカインから識別できると報告された(R.J.ヒル等、Blood、80 巻346頁(1992);C.L.エリクソン−ミラー等、Brit.J.Haematol.、 84巻197−203頁(1993);J.E.ストラニーヴァ等、Exp.Hemato l.、20巻4750頁(1992);およびJ.ツカダ等、Blood、81巻86 6−867頁[1993])。今まで、meg−CSFまたはトロンボポエチン を血小板減少症の血漿または尿から精製する試みは成功していない。 血小板減少症の血漿を説明している上記の観察と一致して、本発明者等は、照 射されたブタから得られた再生不良性ブタ血漿(APP)がヒトの巨核球形成を インビトロで刺激することを見いだした。本発明者等は、この刺激活性が、c− mplの可溶性細胞外ドメインによって破壊されることを見いだし、APPが推 定のmplリガンド(ML)の可能性ある供給源であることを確認した。現在本 発明者等は、APPからmplリガンドをうまく精製しており、そして、アミノ 酸配列情報を用いてマウス、ブタおよびヒトML cDNAを分離した。これら のMLはエリスロポエチンと配列相同性があり、meg−CSFおよびトロンボ ポエチン様活性の両方を持っている。 1.血漿からのmplリガンドの精製および同定 上に開示されるように、様々な種由来の再生不良性血漿はインビトロで造血を 刺激する活性を含むと報告されているが、但し、造血刺激因子が血漿から分離さ れたという報告はかつて無い。再生不良性血漿の一つの供給源は、照射されたブ タから得られる。この再生不良性ブタ血漿(APP)はヒトの造血をインビトロ で刺激する。APPがmplリガンドを含むかどうかを決定するため、ヒトmp l PでトランスフェクトされたBa/F3細胞(Ba/F3−mpl)中への3 H−チミジンの取り込みを図2に示される手法によって測定することにより、そ の効果を検定した。APPはBa/F3−mpl細胞への3H−チミジンの取り 込みを刺激したが、Ba/F3対照細胞(即ち、ヒトmplPでトランスフェク トされていない)への取り込みは刺激しなかった。加えて、正常なブタ血漿では 係る活性は観察されなかった。これらの結果は、APPが、mplレセプターを 介して増殖シグナルを変換する因子(群)を含み、故にこのレセプターの天然リ ガンドであるかも知れないということを示した。この事はさらに、可溶性mpl −IgGでAPPを処理するとBa/F3−mpl細胞に対するAPPの刺激効 果が遮断されるという発見によって支持された。 プロナーゼ、DTT、または熱がAPP中の活性を破壊することから、APP 中の活性は蛋白であるらしい(図3)。さらにこの活性は透析され得ない。しか しながらこの活性は、低いpH(pH2.5で2時間)に対して安定であり、幾 つかのレクチン親和カラムに結合し且つそこから溶出されることが示され、この 事はこれが糖蛋白であることを示した。この活性の構造および実体をさらに解明 するために、mpl−IgGキメラを用いてこれをAPPから親和精製した。 実施例1および2に開示されるプロトコルに従ってAPPを処理した。簡潔に 述べると、mplリガンドを疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、固 定された色素クロマトグラフィー、およびmpl−親和クロマトグラフィーを用 いて精製した。各工程からの活性の回収を図4に示し、比純度を第1表に供する 。mpl−親和カラムからの活性の通算回収はおよそ10%であった。mpl− 親和カラムからのピーク活性画分(F6)は、9.8x106単位/mgの推定 比活性を有する。APP5リットルからの通算の精製は、およそ4x106倍( 0. 8単位/mgから3.3x106単位/mgに)で、83x106倍の蛋白の減少 (250gから3μgに)を伴った。本発明者等は、mpl−親和カラムから溶 離されたリガンドの比活性を〜3x106単位/mgであると評価した。 還元条件下で実施するSDS−PAGE(4−20%、ノヴェックス・ゲル) によりmpl親和カラムから溶離された画分の分析は、幾つかの蛋白の存在を明 らかにした(図5)。最も強い強度で銀染色された蛋白は、見掛けのMr660 00、55000、30000、28000および18000−22000に分 離した。これらの蛋白のうちのどれがBa/F3−mpl細胞培養の増殖を刺激 したかを決定するために、蛋白を実施例2に記載のようにゲルから溶出した。 この実験の結果は、Mr28000−32000の蛋白を含むゲル切片から殆 どの活性が溶出し、ゲルの18000−22000領域に、より低い活性が溶出 することを示した(図6)。これらの領域内で可視的な唯一の蛋白は、3000 0、28000および18000−22000のMrを持っていた。ゲルのこの 領域に分離する蛋白(即ち、30、28および18−22kDaのバンド)の蛋 白配列を同定し取得するために、これら三つの蛋白をPVDFに電気ブロットし 、実施例3に記載のように配列決定した。得られたアミノ末端配列を第2表に供 する。 コンピューター援用分析により、これらのアミノ酸配列は新規であることが明 らかとなった。三つの配列は全て同じであったため、30kDa、28kDaお よび18−22kDaの蛋白は関連しており、同じ新規な蛋白の異なる型であろ うと信じられた。さらに、活性がSDS−PAGE上で4−20%ゲルの同じ領 域(28000−32000)に分離されることから、この蛋白は天然mplリ ガンドの有望な候補物質であった。加えて、部分的に精製されたリガンドは、ス ーパーロース12(ファルマシア)カラムを用いるゲル濾過クロマトグラフィー に付す時、Mr17000−30000で移動した。このリガンドの異なったM r型は、蛋白分解またはグリコシル化の相違またはその他の翻訳前もしくは翻訳 後修飾の所産であると信じられる。 先に記載されたように、アンチセンスヒトmplRNAは、他の造血細胞系統 の分化に影響を及ぼすことなく、CD34+祖先細胞に富ませたヒト骨髄培養の 巨核球形成を破壊した(メシア等、上記)。この結果は、mplレセプターがイ ンビトロの巨核球の分化および増殖で役割を果たしているかも知れないというこ とを示唆した。巨核球形成におけるmplリガンドの役割をさらに解明するため に、インビトロのヒト巨核球形成に及ぼすAPPおよびmplリガンド涸渇AP Pの効果を比較した。ヒト巨核球形成に及ぼすAPPの効果は、実施例4に記載 の液体懸濁巨核球形成検定の変法を用いて測定した。この検定において、ヒト末 梢幹細胞(PSC)を、mpl−IgG親和クロマトグラフィーの前および後に APPで処理した。巨核球形成のGPIIbIIIa刺激を125I−抗IIbIIIa抗体で定 量した(図7)。図7に示されるように、10%APPはおよそ3倍の刺激を惹 起したが、mplリガンドを涸渇させたAPPは効果が無かった。重要なことに 、mplリガンド涸渇APPはBa/F3−mpl細胞の増殖を誘導しなかった 。 別の実験において、10%APPを含有する培養に0、2および4日目に添加 された可溶性ヒトmpl−IgGは、ヒト巨核球形成に及ぼすAPPの刺激効果 を中和した(図8)。これらの結果は、mplリガンドはヒト巨核球形成を調節 する役割を果たし、故に血小板減少症の処置に有用であり得ることを示すもので ある。 2.mplリガンドの分子クローニング 30kDa、28kDaおよび18−22kDa蛋白から得られたアミノ末端 アミノ酸配列に基づき(上記第2表を参照されたい)、二つの縮重したオリゴヌ クレオチドプライマーのプールを設計し、PCRによってブタゲノムDNAの増 幅に使用した。もしこのアミノ末端アミノ酸配列が単一のエクソンによってコー ドされているのならば、正しいPCR産物は69bp長であると予想されるとい う事が推論された。この大きさの一つのDNAフラグメントが発見されpGEM T中にサブクローニングされた。オリゴヌクレオチドPCRプライマーおよび得 られた3個のクローンの配列を実施例5に示す。PCRプライマー間にコードさ れているペプチドのアミノ酸配列(PRLLNKLLR[配列番号33])は、 ブタリガンドのアミノ末端蛋白配列決定により得られたものと同一であった(上 記の28および30kDaブタ蛋白配列の残基9−17を参照されたい)。 PCRフラグメントの配列に基づいた合成オリゴヌクレオチドを用いてヒトゲ ノムDNAライブラリーをスクリーニングした。pR45と命名された45量体 のオリゴヌクレオチドを設計し、PCRフラグメントの配列に基づいて合成した 。 このオリゴヌクレオチドは以下の配列: を持っていた。 このデオキシオリゴヌクレオチドを、実施例6に従い、低緊縮のハイブリダイ ゼーションおよび洗浄条件の下でλgem12中のヒトゲノムDNAライブラリ ーのスクリーニングに使用した。陽性クローンを選び、プラークを精製し、制限 地図作成およびサザンブロッティングにより分析した。45量体とハイブリダイ ズした390bpのEcoRI−XbaIフラグメントをpBluescriptSK−中 にサブクローニングした。このクローンのDNA配列決定は、ブタmplリガン ドのヒト同族体をコードしているDNAが分離されたことを確認した。このヒト DNA配列および導き出されたアミノ酸配列を図9(配列番号3および4)に示 す。ゲノム配列中のイントロンの予想位置を矢印で示し、推定のエクソンを規定 する(「エクソン3」)。 ヒト「エクソン3」配列(実施例6)に基づき、このエクソン配列の3'およ び5'末端に対応するオリゴヌクレオチドを合成した。これらの二つのプライマ ーを、様々なヒト組織から調製されるcDNAを鋳型として使用するPCR反応 に使用した。予想される正しいPCR生成物の大きさは140bpであった。P CR生成物を12%ポリアクリルアミドゲル上で分析した後、予想された大きさ のDNAフラグメントが、ヒト成人腎臓から調製されたcDNAライブラリー、 293胎児腎臓細胞およびヒト胎児肝臓から調製されたcDNAに検出された。 次に、λDR2中の胎児肝臓cDNAライブラリー(7x106クローン)を 、低緊縮ハイブリダイゼーション条件下でヒトゲノムライブラリーおよび胎児肝 臓cDNAライブラリーのスクリーニングに用いられた同じ45量体オリゴヌク レオチドでスクリーニングした。陽性クローンを選び、プラークを精製し、挿入 物の大きさをPCRにより決定した。1.8kb挿入物を伴う1個のクローンを 、さらなる分析のために選択した。実施例7に記載の方法を用いて、ヒトmpl リガンド(hML)のヌクレオチドおよび導き出されたアミノ酸の配列を得た。 こ れらの配列を図1(配列番号1および2)に示す。 3.ヒトmplリガンド(hML)の構造 ヒトmplリガンド(hML)cDNA配列(図1[配列番号2])は、17 74ヌクレオチドとその後のポリ(A)尾を含んでいる。これは215ヌクレオ チドの5'非翻訳配列および498ヌクレオチドの3'非翻訳領域を含んでいる。 ヌクレオチド位置(216−218)の仮定の開始コドンは、真核生物の翻訳開 始にとって好適な共通配列内にある。オープンリーディングフレームは1059 ヌクレオチド長であり、ヌクレオチド位置220で始まる353アミノ酸残基の ポリペプチドをコードしている。予想アミノ酸配列のN末端は極めて疎水性であ り、恐らくシグナルペプチドに対応しているであろう。予想アミノ酸配列のコン ピューター分析(フォン・ヘイジュヌ等、Eur.J.Biochem.、133巻17−21 頁[1983])は、シグナルペプチダーゼのための可能性ある開裂部位が残基 21および22の間であることを示している。その位置での開裂は、ブタ血漿か ら精製されたmplリガンドから得られたアミノ末端配列で始まる332アミノ 酸残基の成熟ポリペプチドを生成するであろう。この332アミノ酸残基のリガ ンドの、グリコシル化されていない予想分子量は、約38kDaである。6個の 可能性あるN−グリコシル化部位および4個のシステイン残基がある。 mplリガンド配列とジーンバンク配列データベースとの比較は、成熟ヒトm plリガンドのアミノ末端153残基とヒトエリスロポエチンとの間の23%の 一致を明らかにした(図10[配列番号6および7])。同類置換を考慮に入れ ると、hMLのこの領域はヒトエリスロポエチン(hEPO)と50%の類似性 を示す。hEPOおよびhMLはいずれも4個のシステインを含む。4個のシス テインのうち最初と最後のシステインを含む3個がhMLで保存されている。位 置指定突然変異生成実験は、エリスロポエチンの最初と最後のシステインが、機 能に必要なジスルフィド結合を形成することを示した(F.F.ワング等、Endoc rinology、116巻2286−2292頁[1983])。類推により、hML の最初と最後のシステインもまた重要なジスルフィド結合を形成しているかも知 れない。グリコシル化部位のどれもhMLで保存されてはいない。可能性あるh MLのN結合グリコシル化部位は全てhMLポリペプチドのカルボキシ末端側の 半分に位置している。 hEPOと同様に、hMLmRNAは共通ポリアデニル化配列AAUAAAを 含まず、また、多くのサイトカインの3'非翻訳領域に存在しmRNAの安定性 に影響していると考えられる調節要素AUUUAもまた含まない(シャウ等、Ce ll、46巻659−667頁[1986])。ノーザンブロット分析では、胎児 および成人いずれの肝臓にも、低レベルの単一の1.8kb hML RNA転写 物が現れている。より長く露光した後に、同じ大きさのより弱いバンドを、成人 の腎臓で検出することができた。比較すると、ヒトエリスロポエチンは、胎児肝 臓に、そして低酸素症に応答して成人の腎臓および肝臓に発現される(ジェイコ ブズ等、Nature、313巻804−809頁[1985]およびボンデュラント 等、Molec.Cell.Biol.、6巻2731−2733頁[1986])。 hMLのC末端領域の重要性は尚、解明される必要がある。N結合グリコシル 化のための6個の可能性ある部位の存在およびレクチン親和カラムと結合するこ のリガンドの能力に基づくと、hMLのこの領域はグリコシル化されそうである 。幾つかのゲル溶離実験において、本発明者等は、Mr60000前後で活性が 分離することを観察したが、これは全長のグリコシル化された分子を表している かも知れない。故に、C末端領域は、循環するhMLを安定化しその半減期を増 大させるような作用をするのかも知れない。エリスロポエチンの場合、非グリコ シル化型は完全なインビトロ生物活性を持つが、グリコシル化されたエリスロポ エチンと比較して有意に短縮した血漿半減期を有する(タケウチ等、J.Biol.Che m.、265巻12127−12130頁[1990];ナーヒ等、J.Biol.Chem. 、266巻23022−23026頁[1991]およびスピヴァック等、Bloo d、7巻90−99頁[1989])。hMLのC末端ドメインは、可能性ある プロセシング部位として働き得る2個の二塩基性アミノ酸配列[153−154 および245−246位のArg−Argモチーフ]を含んでいる。これらの部 位での開裂が、APPから分離されるMLの30、28および18−22kDa 型の生成を司っているのかも知れない。重要なことに、Arg153−Arg154配 列は、 MLのエリスロポエチン様ドメインの直後に存在する。これらの観察は、全長の MLは、成熟リガンドを生成するための限定された蛋白分解を受ける前駆体蛋白 であり得るという事を示している。 4.ヒトmplリガンドのイソ型および変異体 成人肝臓でのPCRにより、ヒトmplリガンドのイソ型または択一的スプラ イス型が検出された。簡潔に述べると、hMLのコード化配列の各末端および選 ばれた内部領域に対応するプライマーが合成された。これらのプライマーをRT −PCRに使用して実施例10に記載のように成人肝臓RNAを増幅した。hM Lと命名された全長型に加えて、hML2、hML3およびhML4と命名され る他の三つの型が観察されまたは導き出された。4個のイソ型全てについての導 き出された成熟アミノ酸配列を図11(配列番号6、8、9および10)に示す 。hML3は700位に116のヌクレオチド除去があり、これはアミノ酸の除 去およびフレームシフトの両方をもたらしている。このcDNAは、今や、26 5アミノ酸長でアミノ酸残基139でhMLから分岐する成熟ポリペプチドをコ ードしている。最後に、hML4はヌクレオチド位置618の後の12ヌクレオ チドの除去(マウスおよびブタの配列にも見いだされる[下記参照])およびh ML3に見いだされる116bp除去を有している。12bp除去(ヌクレオチ ド619の後に)のみを有するクローンはヒトにおいて分離されていないが(h ML2と命名される)、係るイソ型がマウスおよびブタの両者で同定されている 事(下記参照)、そしてそれはhML4の116ヌクレオチド除去に関連して同 定されている事から、この型は存在しそうである。 二塩基性Arg153−Arg154配列が2個のアラニン残基に置き換えられたh MLの置換変異体およびhMLの「EPO−ドメイン」末端切除型の両方を組み 立てて、全長MLが生物活性にとって必要であるか否かを決定した。hML(R 153A、R154A)と呼ばれるArg153−Arg154二塩基性配列置換変異 体は実施例10に記載のようにPCRを用いて組み立てた。「EPO−ドメイン 」末端切除型、hML153もまたPCRを使用し、Arg153の後に停止コ ドンを導入することによって作成した。 5.一過性トランスフェクトされたヒト胚腎(293)細胞における組換えヒ トmplリガンド(rhML)の発現 クローニングされたヒトcDNAがmplのためのリガンドをコードしている ことを確認するため、このリガンドを、発現ベクターpRK5−hMLまたはp RK5−hML153を用いてサイトメガロウイルス即時初期プロモーターの調節 下に、哺乳動物293細胞で発現させた。一過性トランスフェクトさせたヒト胚 腎293細胞からの上清は、Ba/F3−mpl細胞における3H−チミジン取 り込みを刺激するが、親のBa/F3細胞では刺激しないことが判明した(図1 2A)。pRKベクター単独でトランスフェクトさせた293細胞からの培地は この活性を含まなかった。この培地へのmpl−IgGの添加は、この刺激を破 壊した(データは示されていない)。これらの結果は、クローニングされたcD NAは機能的ヒトML(hML)をコードしていることを示している。 「EPO−ドメイン」単独がmplに結合しこれを活性化できるかどうかを決 定するため、hMLの末端切除型、rhML153を293細胞で発現させた。ト ランスフェクトさせた細胞からの上清は、全長hMLを発現する細胞からの上清 に存在するものと類似の活性を有することが判明し(図12A)、この事により 、MLのC末端ドメインはc−mplの結合および活性化に必要ないことが示さ れた。 6.mplリガンドは巨核球形成および血小板形成を刺激する 組換えhMLの全長rhMLおよび末端切除されたrhML153型はいずれも インビトロでヒト巨核球形成を刺激した(図12B)。この効果は、他の、外か ら加えられた造血成長因子の不在下で観察された。IL−3を除いて、MLは、 この活性を表す試験された唯一の造血成長因子であった。IL−11、IL−6 、IL−1、エリスロポエチン、G−CSF、IL−9、LIF、kitリガン ド(KL)、M−CSF、OSMおよびGM−CSFは、本発明者等の検定で個 別に試験する時、巨核球形成への影響が無かった(データは示されていない)。 この結果はMLが巨核球刺激活性を有することを立証し、巨核球形成の調節にお けるMLの役割を示すものである。 血小板減少症の動物の血漿に存在する血小板形成活性は、マウスリバウンド血 小板増加検定において血小板の産生を刺激することが示された(マクドナルド、 Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、14巻1006−1001頁[1973]およびマク ドナルド等、Scand.J.Haematol.、16巻326−334頁[1976])。こ のモデルにおいて、特異的抗血小板血清を用いてマウスを急性血小板減少症とし 、予言可能なリバウンド血小板増加症を引き起こさせる。ちょうど低酸素症のマ ウスが正常マウスよりエリスロポエチンに対してより感受性である(マクドナル ド等、J.Lab.Clin.Med.、77巻134−143頁[1971])ように、係る 免疫血小板血症マウスは正常マウスより、外来性のトロンボポエチン様活性に、 より応答性が高い(マクドナルド、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、14巻1006− 1001頁[1973])。rMLがインビボで血小板産生を刺激するかどうか を決定するため、リバウンド血小板増加症のマウスに部分精製されたrhMLを 注射した。次いで、血小板数および血小板への35Sの取り込みを定量した。処置 されたマウスにおいて、賦形剤のみを注射された対照マウスに対して血小板数で 〜20%の増加(それそれp=0.0005および0.0001)、そして血小 板への35S取り込み〜で40%の増加(p=0.003)があったことで証明さ れるように、マウスへの64000または32000単位のrMLの注射は、血 小板の産生を有意に増加させた(図12C)。このレベルの刺激は、本発明者等 がIL−6によってこのモデルで観察したものに匹敵する(データは示されてい ない)。16000単位のrMLでの処置は血小板産生を有意に刺激しなかった 。これらの結果は、MLが血小板産生を用量依存的に刺激し、故にトロンボポエ チン様活性を有していることを示すものである。 さらに、293細胞を上記の別なhMLイソ型組み立て物でトランスフェクト させ、上清をBa/F3−mpl増殖検定を用いて検定した(図13を参照され たい)。hML2およびhML3はこの検定で検出し得る活性を示さなかったが 、hML(R153A、R154A)の活性はhMLおよびhML153と似通っ ており、この事は、Arg153−Arg154二塩基部位でのプロセシングは活性に とって必要でもなければ有害でもないことを示すものである。 7.巨核球形成とmplリガンド 巨核球形成は複数の細胞レベルで調節されているという事が提唱されている( ウィリアムズ等、J.Cell Physiol.、110巻101−104頁[1982]お よびウィリアムズ等、Blood Cells、15巻123−133頁[1989])。 これは概して、或る造血成長因子は巨核球祖先の増殖を刺激し、一方別のものは 主として成熟に影響するという観察に基づいている。本明細書に提示された結果 は、MLは増殖および成熟因子の両方として作用するという事を示唆している。 MLが巨核球祖先の増殖を刺激するという事は、幾つかの方面の証拠によって支 持される。第一に、APPはインビトロでヒト巨核球の増殖および成熟の両方を 刺激し、この刺激はmpl−IgGにより完全に阻害される(図7および8)。 さらに、c−mplアンチセンスオリゴヌクレオチドによる巨核球コロニー形成 の阻害(メシア等、Blood、82巻1395−1401頁[1993])および 、c−mplが、それがトランスフェクトされる細胞において増殖シグナルを変 換できるという発見(スコダ等、EMBO、12巻2645−2653頁[1993 ]およびヴィゴン等、Oncogene、8巻2607−2615頁[1993])もま た、MLが増殖を刺激するという事を示している。巨核球分化の全ての段階で明 らかにc−mplが発現されること(メシア等、Blood、82巻1395−14 01頁[1993])、そしてインビボで血小板産生を迅速に刺激する組換えM Lの能力は、MLが成熟にも影響することを示している。組換えMLが利用でき ることにより、巨核球形成および血小板形成の調節におけるその役割ならびに他 の造血系統にそれが影響している可能性を注意深く評価することが可能になる。 8.ヒトmplリガンド(TPO)遺伝子の分離 pR45を伴うλ−Gem12中のヒトゲノムライブラリーを、低緊縮条件下 または高緊縮条件下で、mplリガンドをコードしているヒトcDNAの3'側 半分に対応するフラグメントでスクリーニングすることにより、TPO遺伝子の ヒトゲノムDNAクローンを分離した。35kbの2個の部分重複するλクロー ンが分離された。TPO遺伝子全体を含む2個の部分重複するフラグメント(B amH1およびEcoRI)をサブクローニングし配列決定した(図14A、1 4Bおよび14Cを参照されたい)。 このヒト遺伝子の構造は、7kbのゲノムDNA内の6個のエクソンで構成さ れている。全エクソン/イントロン接合部の境界は、哺乳動物遺伝子のために確 立された共通モチーフと一致する(M.B.シャピロ等、Nucl.Acids Res.、1 5巻7155頁[1987])。エクソン1およびエクソン2は、5'非翻訳配 列およびシグナルペプチドの最初の4個のアミノ酸を含む。分泌シグナルの残部 および成熟蛋白の最初の26アミノ酸は、エクソン3内部にコードされている。 全カルボキシドメインおよび3'非翻訳ならびにエリスロポエチン様ドメインの 〜50アミノ酸は、エクソン6内部にコードされている。hML−2(hTPO −2)内部に観察される除去に含まれる4個のアミノ酸は、エクソン6の5'末 端にコードされている。 サザンブロットによるヒトゲノムDNAの分析は、TPOのための遺伝子が単 一のコピーで存在することを示した。この遺伝子の染色体上の位置が蛍光インサ イトゥハイブリダイゼーション(FISH)により決定され、これは染色体3q 27−28に位置付けられた。 9.293細胞からのTPOの発現および精製 293細胞からのMLまたはTPOの製造および精製を実施例19に詳細に記 載する。簡潔に述べると、TPOの全オープンリーディングフレームに対応する cDNAを、pRK5−hmpl Iを用いるPCRによって取得した。このP CR生成物を精製し、プラスミドpRK5tkneo(チミジンキナーゼプロモ ーターの調節の下にネオマイシン耐性遺伝子を発現するよう修飾したpRK5か ら誘導されたベクター)の制限部位ClaIおよびXbalの間にクローニング して、ベクターpRK5tkneo.ORF(全オープンリーディングフレーム をコードしているベクター)を得た。 EPOホモローガスドメインをコードしている第二のベクターを、異なるPC Rプライマーを使用する外は同様にして生成し、pRK5−tkneoEPO− Dと呼ばれる最終組み立て物を得た。 これら二つの組み立て物をCaPO4法によりヒト胚腎臓細胞中にトランスフ ェクトさせ、ネオマイシン耐性クローンを選択し、密集成長させた。条件培地で のこれらのクローンからのML153またはML332の発現を、Ba/F3−mpl 増殖検定を用いて評価した。 rhML332の精製を実施例19に記載のように実施した。簡潔に述べると、 293−rhML332条件培地をブルー−セファロース(ファルマシア)カラム に適用し、その後2M尿素を含有する緩衝液で洗浄した。このカラムを2M尿素 および1M NaClを含有する緩衝液で溶離した。次に、このブルー−セファ ロース溶出プールをWGA−セファロースカラムに直接適用し、2M尿素および 1M NaClを含有する10カラム容量の緩衝液で洗浄し、0.5M N−アセ チル−D−グルコサミンを含有する同じ緩衝液で溶離した。WGA−セファロー ス溶出液をC4−HPLCカラム(シンクロム、Inc.)に適用し、不連続プ ロパノール勾配で溶離した。SDS−PAGEにより、精製された293−rh ML332は、ゲルの68−80kDa領域の幅広いバンドとして移動した(図1 5を参照されたい)。 rhML153の精製もまた実施例19に記載のように実施した。簡潔に述べる と、293−rhML153条件培地をrhML332について記載されたように ブルー−セファロース上で分離した。このブルー−セファロース溶出液を上記の ようにmpl−親和カラムに直接適用した。mpl−親和カラムから溶出したr hML153を、rhML332に用いたのと同じ条件下で稼働させるC4−HPLC カラムを用いて、均質となるまで精製した。SDS−PAGEにより、この精製 されたrhML153は、Mr〜18000−22000の2個の主要なそして 2個の重要性の低いバンドに分離する(図15を参照されたい)。 10.マウスmplリガンド ヒトmplリガンドのコード化領域に対応するDNAフラグメントをPCRに よって取得し、ゲル精製し、そして32P−dATPおよび32P−dCTPの存在 下で標識した。このプローブを用いてλGT10中のマウス肝cDNAライブラ リーの106のクローンをスクリーニングした。1443塩基対の挿入物を含む マウスクローン(図16[配列番号12および13])を分離し配列決定した。 ヌクレオチド位置138−141の仮定開始コドンは、真核生物の翻訳開始にと って望ましい共通配列内部にあった(M.コザック、J.Cell Biol.、108巻2 29−241頁[1989])。この配列は、352アミノ酸の一次翻訳産物が 予想される1056ヌクレオチドのオープンリーディングフレームを規定する。 このオープンリーディングフレームには、5'の137ヌクレオチドおよび3'非 翻訳配列の247ヌクレオチドが隣接する。3'非翻訳領域に続くポリ(A)尾 は無く、この事は、このクローンが恐らく完全ではないことを示している。予想 されるアミノ酸配列のN末端は極めて疎水性であり、恐らくはシグナルペプチド を表しているであろう。コンピューター分析(G.フォン・ヘイジュヌ、Eur.J. Biochem.、133巻17−21頁[1983])は、残基21および22の間の シグナルペプチダーゼのための可能性ある開裂部位を示した。その位置での開裂 は、mML331(または下記の理由でmML2)として同定される331アミノ 酸の成熟ポリペプチド(35kDa)を産むであろう。この配列は、ヒトの配列 で全てが保存されている4個のシステイン、および、ヒトの配列でそのうち5個 が保存されている7個の可能性あるNグリコシル化部位を含んでいる。さらに、 hMLと同様に、7個の可能性あるNグリコシル化部位は全てこの蛋白のC末端 側の半分に位置している。 ヒトMLと比較した時、これらのMLの「EPOドメイン」には、ヌクレオチ ドおよび導き出されたアミノ酸配列の両方にかなりの一致が観察された。しかし ながら、ヒトおよびマウスMLの導き出されたアミノ酸配列を並べた場合、マウ スの配列は、ヒト(上記参照)およびブタ(下記参照)cDNAの両者に見られ るヌクレオチド位置618に続く12ヌクレオチドの除去に対応する残基111 −114の間のテトラペプチドの除去を有するようであった。したがって、可能 性あるマウスMLイソ型を検出するため、さらなるクローンを調べた。1個のク ローンが、「失われている」テトラペプチドLPLQを含む335アミノ酸の導 き出される配列のポリペプチドをコードしていた。この型は全長のマウスMLで あると信じられ、mMLまたはmML335と呼ばれる。mMLに対するヌクレオ チドおよび導き出されたアミノ酸配列を図17(配列番号14および15)に提 供する。このcDNAクローンは、1443塩基対とこれに続くポリ(A)尾で 構成される。これは、5'の134塩基および3'非翻訳配列の241塩基が隣接 する1068bpのオープンリーディングフレームを有している。仮定された開 始コドンはヌクレオチド位置138−140にある。このオープンリーディング フレームは356アミノ酸の予想蛋白をコードしており、その最初の21個は極 めて疎水性で、分泌シグナルとして機能していそうである。 最後に、第三のマウスクローンを分離し、配列決定し、hML3に対応する1 16のヌクレオチド除去を含むことが見いだされた。このマウスイソ型は、故に mML3と命名する。これら2個のイソ型の導き出されたアミノ酸配列の比較を 図18(配列番号9および16)に示す。 ヒトおよびマウスML(図19[配列番号6および17])の間の通算のアミ ノ酸配列一致は72%であるが、この相同性は均一に分布してはいない。「EP Oドメイン」として定義される領域(ヒト配列についてはアミノ酸1−153、 マウスについては1−149)は、該蛋白のカルボキシ末端領域(62%相同性 )より良好に保存されている(86%相同性)。この事はさらに、「EPOドメ イン」のみが該蛋白の生物活性にとって重要であるという事を示し得る。興味深 いことに、hMLに見いだされる2個の二塩基性アミノ酸モチーフのうち、ヒト 配列中「EPOドメイン」の直後の二塩基性モチーフ(残基位置153−154 )のみがマウス配列に存在する。この事は、全長MLが、成熟リガンドを生成す るために限定的蛋白分解を受ける前駆体蛋白であるかも知れないという可能性と 一致する。これとは別に、Arg153−Arg154の間の蛋白分解はhMLのクリ アランスを促進し得る。 mMLの全コード化配列を含む発現ベクターを、実施例1に記載のように29 3細胞中に一過性トランスフェクトした。これらの細胞からの条件培地は、マウ スまたはヒトmplのいずれかを発現するBa/F3細胞中への3H−チミジン 取り込みを刺激したが、親(mpl無し)のセルラインには影響を及ぼさなかっ た。この事は、クローニングされたマウスML cDNAは、マウスおよびヒト MLレセプター(mpl)の両者を活性化することのできる機能的リガンドをコ ードしているという事を示している。 11.ブタmplリガンド ブタML(pML)cDNAを実施例13に記載のようにRACE PCRに よって分離した。1342bpのPCR cDNA生成物が腎臓に見いだされ、 サブクローニングされた。幾つかのクローンが配列決定され、図20(配列番号 18および19)に示されるヌクレオチドおよび導き出されたアミノ酸配列を有 する、pML(またはpML332)と呼ばれる332アミノ酸残基のブタmp lリガンドをコードしていることが判明した。 さらに、4個のアミノ酸残基除去を有する蛋白(228アミノ酸残基)をコー ドしているpML2と命名された第二の型が同定された(図21[配列番号21 ]を参照されたい)。pMLおよびpML2アミノ酸配列の比較は、後者の型は 、残基111−114(両端を含む)に対応するテトラペプチドQLPPが除去 されている外は同一であることを示す(図22[配列番号18および21]を参 照されたい)。マウスおよびブタMLcDNAの両者で観察される4アミノ酸の 除去は、予想された蛋白の正確に同じ位置で起こっている。 ヒト、マウス、およびブタからの成熟MLの予想アミノ酸配列の比較(図19 [配列番号6、17および18])は、全体の配列一致が、マウスおよびヒト間 で72%、マウスおよびブタ間で68%、そしてブタおよびヒト間で73%であ ることを示す。相同性は、実質上、MLのアミノ末端側の半分(EPOホモロー ガスドメイン)で、より大きい。このドメインはどの二つの種間でも80ないし 84%が同一であるが、カルボキシ末端側の半分(炭水化物ドメイン)は57な いし67パーセントが一致するに過ぎない。プロテアーゼ開裂部位を表し得る二 塩基性アミノ酸モチーフは、エリスロポエチン相同性ドメインのカルボキシ末端 に存在する。このモチーフは、三つの種の間でこの位置に保存されている(図1 9[配列番号6、17および18])。ヒトの配列の245および246位に存 在する第二の二塩基性部位はマウスまたはブタ配列には存在しない。マウスおよ びブタML配列は4個のシステインを含み、全てがヒト配列で保存されている。 7個の可能性あるNグリコシル化部位がマウスリガンド内に、そして6個がブタ ML内にあり、そのうち5個がヒト配列内で保存されている。さらに、可能性あ るNグリコシル化部位は全てこの蛋白のC末端側の半分に位置している。 12.チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞からのTPOの発現および 精製 CHO細胞をトランスフェクトするのに用いられる発現ベクターを指定する: pSVI5.ID.LL.MLORF(全長またはTPO332)、およびpSVI5 .ID.LL.MLEPO−D(末端切除されたまたはTPO153)。これらのプラ スミドの関連する特徴を図23および24に示す。 トランスフェクトの方法は実施例20で説明する。簡潔に述べると、TPOの オープンリーディングフレーム全体に対応するcDNAをPCRにより取得した 。このPCR生成物を精製し、プラスミドpSVI5.ID.LLの2個の制限部 位(ClaIおよびSalI)の間にクローニングして、ベクターpSVI5. ID.LL.MLORFを得た。EPOホモローガスドメインに対応する第二の組 み立て物を、異なる逆プライマー(EPOD.Sal)を使用する外は同じやり 方で作成した。TPOのEPOホモローガスドメインをコードしているベクター のための最終組み立て物はpSVI5.ID.LL.MLEPO−Dと呼ぶ。 これら二つの組み立て物をNotIで線状化し、電気穿孔によってチャイニー ズハムスター卵巣細胞(CHO−DP12細胞、1989年3月15日公開のE P307247)中にトランスフェクトした。107の細胞を、記載のように( G.L.アンドレアソン、J.Tissue Cult.Meth.、15,56[1993])1 0、25または50mgのDNAの存在下でBRL電気穿孔装置で電気穿孔した (350ボルト、330mF、低キャパシタンス)。トランスフェクションの翌 日、細胞をDHFR選択培地(グリシン無しの高グルコースDMEM−F12 50:50、2mMグルタミン、2−5%透析牛胎児血清)で分裂させた。10 ないし15日後、個々のコロニーを96ウェルプレートに移し、密集成長させた 。これらのクローンからの条件培地中のML153またはML332の発現を、Ba/ F3−mpl増殖検定を用いて評価した(実施例1に記載)。 収穫されたCHO細胞培養の液体からのTPOの精製および分離の方法は実施 例20に記載する。簡潔に述べると、収穫された細胞培養液(HCCF)を、樹 脂1リットルにつきおよそ100LのHCCFの比率でブルーセファロースカラ ム(ファルマシア)に適用する。次にこのカラムを3ないし5カラム容量の緩衝 液、続いて2.0M尿素を含有する3ないし5カラム容量の緩衝液で洗浄する。 次いで2.0M尿素および1.0M NaClの両方を含有する緩衝液3ないし 5カラム容量でTPOを溶離する。 次に、TPOを含有するブルーセファロース溶出液のプールを、樹脂1mlに 付き8ないし16mlのブルーセファロース溶出液の比率で、ブルーセファロー ス溶離緩衝液中で平衡化した小麦胚芽レクチンセファロースカラム(ファルマシ ア)に適用する。次にこのカラムを2ないし3カラム容量の平衡化緩衝液で洗浄 する。次いでTPOを、2.0M尿素および0.5M N−アセチル−D−グル コサミンを含有する緩衝液2ないし5カラム容量で溶離する。 次に、TPOを含有する小麦胚芽レクチン溶出液を酸性化し、C128を最終 濃度0.04%まで加える。得られたプールを、樹脂1mlに付きおよそ0.2 ないし0.5mg蛋白のロードで、0.1%TFA、0.04%C128で平衡 化したC4逆相カラムに適用する。 蛋白を、0.1%TFAおよび0.04%C128を含有するアセトニトリル の二相直線勾配で溶離し、プールをSDS−PAGEを基礎に作成する。 次にC4プールを、10000ないし30000ダルトン分子量カットオフを 有するアミコンYM等のような限外濾過膜上で、およそ6容量の緩衝液に対して 希釈およびダイアフィルトレーションする。次いで、得られたダイアフィルトレ ートを直接処理しても、または限外濾過によってさらに濃縮してもよい。ダイア フィルトレート/濃縮液は通常、0.01%トゥイーン−80の最終濃度に調節 する。 次に、算出されたカラム容量の2ないし5%に相当するダイアフィルトレート /濃縮液の全量または一部を、0.01%トゥイーン−80を含有する緩衝液で 平衡化したセファクリルS−300 HRカラム(ファルマシア)に適用し、ク ロマトグラフィーに付す。次いで、凝集物および蛋白分解産物を含まないTPO 含有画分をSDS−PAGEを基礎にプールする。得られたプールを濾過し、2 −8℃で保存する。 13.微生物における形質転換およびTPO合成の誘導ならびにそこで生成さ れたTPOの分離、精製、および再折り畳みの方法 E.coli TPO発現ベクターの組み立ては実施例21に詳細に記載され ている。簡潔に述べると、プラスミドpMP21、pMP151、pMP41、 pMP57およびpMP202を、全て、異なった組み立て物間で相違する小さ なリーダーの下流のTPOの155アミノ酸を発現するよう設計した。このリー ダーは主に高レベルの翻訳開始および迅速な精製を提供する。プラスミドpMP 210−1、−T8、−21、−22、−24、−25は、開始メチオニンの下 流のTPOの最初の153アミノ酸を発現するよう設計し、TPOの最初の6ア ミノ酸に対するコドン使用法のみが相違するが、一方プラスミドpMP251は 、TPOのカルボキシ末端が2アミノ酸だけ伸長しているpMP210−1の誘 導体である。上のプラスミドは全てトリプトファンプロモーターの誘導時に大腸 菌においてTPOの高レベルの細胞内発現を産むであろう(D.G.ヤンスラ等 、Methods in Enzymology(D.V.ゲッデル編)、185巻54−60頁、ア カデミック・プレス、サンディエゴ[1990])。プラスミドpMP1およびp MP172は上記のTPO細胞内発現プラスミドの組み立ての際の中間体である 。 上のTPO発現プラスミドは、CaCl2熱衝撃法(M.マンデル等、J.Mol.B iol.、53巻159−162頁[1970])および実施例21に記載されるそ の他の方法を用いて大腸菌の形質転換に使用された。簡潔に述べると、形質転換 された細胞は、まず、培養の光学密度(600nm)がおよそ2−3に達するま で37℃で増殖させた。次にこの培養を希釈し、そして通気しつつ増殖させた後 、酸を添加した。次いで培養を通気しながら15時間増殖を続けさせ、その後細 胞を遠心により収穫した。 生物活性な、再折り畳みされたヒトTPOまたはそのフラグメントの生産のた めに下記に供される分離、精製および再折り畳み法は実施例22に説明されてお り、そして、23は、NおよびC末端伸長型を包含する任意のTPO変異体の回 収のために適用することができる。組換えまたは合成TPOの再折り畳みに好適 なその他の方法は、大腸菌において不溶性型で発現される様々な組換え蛋白のた めの回収および再折り畳み過程の一般的記載に関する以下の特許;ビルダー等、 米国特許4511502;ジョーンズ等、米国特許4512922;オルソン、 米国特許4518526およびビルダー等、米国特許4620948に見いだす ことができる。 A.非可溶性TPOの回収 任意の適当なプラスミドによりコードされているTPOを発現する大腸菌のよ うな微生物は、TPOが不溶性「屈折体」に蓄積される条件の下で発酵させる。 所望により、細胞を最初に細胞破壊緩衝液で洗浄してもよい。典型的には、例え ばポリトロンホモジナイザーを用いて、細胞約100gを細胞破壊緩衝液約10 容量(例えば、10mMトリス、5mM EDTA、pH8)に再懸濁し、細胞 を5000xgで30分間遠心する。次に細胞を、浸透圧衝撃、超音波処理、圧 力サイクル、化学的または酵素的方法のような任意の常套的技術を用いて溶菌す る。例えば、上記の洗浄した細胞ペレットは、ホモジナイザーを用いてさらに1 0容量の細胞破壊緩衝液に再懸濁することができ、この細胞懸濁液を、製造者の 指示に従って、LH細胞破砕機(LHインセルテク、Inc.)またはマイクロ フルイダイザー(マイクロフルイディクス・インターナショナル)に通す。次に 、TPOを含有する粒状物質を液相から分離し、所望により適当な液体で洗浄す る。例えば、細胞溶菌液の懸濁液を5000xgで30分間遠心し、再懸濁し、 所望により二回目の遠心を行い、洗浄された屈折体ペレットを作成することがで きる。洗浄されたペレットは直ちに使用することができ、または所望により凍結 保存することもできる(例えば−70℃)。 B.単量体TPOの可溶化および精製 次いで、屈折体ペレット中の不溶性TPOを可溶化緩衝液で可溶化する。可溶 化緩衝液はカオトロピック剤を含有し、通常、塩基性pHに緩衝化されており、 そして単量体TPOの収量を改善するために還元剤を含有している。代表的カオ トロピック剤は、尿素、グアニジンHCl、およびチオシアン酸ナトリウムが包 含される。好ましいカオトロピック剤はグアニジンHClである。カオトロピッ ク剤の濃度は通常4−9M、好ましくは6−8Mである。可溶化緩衝液のpHは 、任意の適当な緩衝剤により、pH範囲約7.5−9.5、好ましくは8.0− 9.0、そして最も好ましくは8.0に維持する。好ましくは、可溶化緩衝液は 、単量体型TPOの形成を助けるために還元剤をも含有する。好適な還元剤は、 遊離チオールを含む有機化合物(RSH)を包含する。代表的還元剤は、ジチオ トレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、メルカプトエタノ ール、グルタチオン(GSH)、システアミンおよびシステインを包含する。好 ましい還元剤はジチオトレイトール(DTT)である。所望により、可溶化緩衝 液は、緩和な酸化剤(例えば分子酸素)および亜硫酸分解を介して単量体TPO を形成させるための亜硫酸塩を含有させることができる。この態様においては、 得られたTPO−S−スルホナートを後で酸化還元緩衝液(例えばGSH/GS SG)の存在下で再折り畳みして、正しく折り畳まれたTPOを形成させる。 通常TPO蛋白は、例えば遠心、ゲル濾過クロマトグラフィーおよび逆相カラ ムクロマトグラフィーを用いてさらに精製する。 例示のために、以下の方法で適当な収量の単量体TPOを生成した。屈折体ペ レットを約5容量/重量の可溶化緩衝液(6−8Mグアニジンおよび25mM DTTを伴う20mMトリス、pH8)に再懸濁し、1−3時間、または一夜攪 拌して、TPO蛋白の可溶化を起こさせる。高濃度の尿素(6−8M)もまた有 用であるが、一般にグアニジンと比べて幾分低い収量をもたらす。可溶化の後、 この溶液を30000xgで30分間遠心し、変性した単量体TPO蛋白を含有 する透明な上清を生成させる。次に上清を、流速2ml/分でスーパーデックス 200ゲル濾過カラム(ファルマシア、2.6x60cm)上のクロマトグラフ ィーに付し、10mM DTTを伴う20mM燐酸Na、pH6.0で蛋白を溶 出する。160および200mlの間に溶出する単量体の変性TPO蛋白を含有 する画分をプールする。このTPO蛋白を半調製用C4逆相カラム(2x20c mVYDAC)上でさらに精製する。30%アセトニトリルを伴う0.1%TF A (トリフルオロ酢酸)で平衡化したカラムに試料を5ml/分で適用する。蛋白 をアセトニトリルの直線勾配(60分間で30−60%)で溶出する。精製され た還元された蛋白はおよそ50%アセトニトリルの時点で溶出する。この物質を 再折り畳みに使用して生物活性なTPO変異体を得る。 C.生物活性型を生成させるためのTPOの再折り畳み TPOの可溶化およびさらなる精製の後、変性した単量体TPOを酸化還元緩 衝液中で再折り畳みすることにより、生物活性型を取得する。TPOの力価が高 い(Ba/F3検定における半最大刺激はおよそ3pg/mlで達成される)た め、多くの異なる緩衝液、洗浄剤および酸化還元条件を利用して生物活性物質を 取得することが可能である。しかしながら、殆どの条件の下では、正しく折り畳 まれた物質は少量(<10%)得られるに過ぎない。商業的製造工程のためには 、少なくとも10%、より好ましくは30−50%、そして最も好ましくは>5 0%の再折り畳み収率であることが望ましい。トリトンX−100、ドデシル− β−マルトシド、CHAPS、CHAPSO、SDS、サルコシル、トゥイーン 20およびトゥイーン80、ツヴィッタージェント3−14およびその他を包含 する多くの異なる洗浄剤が、少なくとも幾らかの正しく折り畳まれた物質を生成 するのに好適であることが見いだされた。しかしながらこれらのうち、最も好ま しい洗浄剤はCHAPSファミリー(CHAPSおよびCHAPSO)のもので あって、これらは再折り畳み反応で最も良好に働き、蛋白凝集および不適正なジ スルフィド形成を制限するとわかった。約1%より高いレベルのCHAPSが最 も好ましかった。最良の収率には塩化ナトリウムが必要であり、最適レベルは0 .1Mおよび0.5Mの間であった。幾つかの調製物で観察される、金属で触媒 される酸化(および凝集)の量を制限するため、酸化還元緩衝液中にEDTA( 1−5mM)を存在させることが好ましかった。15%より高いグリセロール濃 度は最適の再折り畳み条件を産んだ。最大収率のためには、酸化されたそして還 元された有機チオール(RSH)の両方で構成される酸化還元緩衝液中の酸化還 元対があることが必須であった。好適な酸化還元対には、メルカプトエタノール 、グルタチオン(GSH)、システアミン、システインおよびそれらの対応する 酸化 型が包含される。好ましい酸化還元対はグルタチオン(GSH):酸化型グルタ チオン(GSSG)またはシステイン:シスチンであった。最も好ましい酸化還 元対はグルタチオン(GSH):酸化型グルタチオン(GSSG)であった。一 般に、酸化還元対の酸化型のモル比が酸化還元対の還元型と等しいかまたは過剰 である時に高い収率が観察された。7.5および約9の間のpH値がこれらのT PO変異体の再折り畳みにとって最適であった。有機溶媒(例えば、エタノール 、アセトニトリル、メタノール)は10−15%またはこれ以下の濃度では寛容 された。より高い濃度の有機溶媒は、不適切に折り畳まれた型の量を増加させた 。トリスおよび燐酸緩衝液が一般に有用であった。4℃でのインキュベーション もまた高レベルの正しく折り畳まれたTPOを生産した。 最初のC4工程で精製されたTPOの製造では、40−60%(再折り畳み反 応に用いられた還元および変性されたTPOの量に基づく)の再折り畳み収率が 典型的である。活性物質は純度の低い調製物からも得られるが(例えば、スーパ ーデックス200カラム後または最初の屈折体抽出後に直ちに)、長時間の沈澱 化およびTPO再折り畳み工程中の非TPO蛋白の妨害のため、収率は、より低 い。 TPOは4個のシステイン残基を含むため、この蛋白では3個の異なったジス ルフィド型の生成が可能である: 第一の型:システイン残基1−4および2−3の間のジスルフィド、 第二の型:システイン残基1−2および3−4の間のジスルフィド、 第三の型:システイン残基1−3および2−4の間のジスルフィド。 再折り畳み条件を決定する際の初期の探究中に、TPO蛋白を含有する幾つか の異なったピークがC4逆相クロマトグラフィーにより分離された。これらのピ ークのうちただ一つが、Ba/F3検定を用いて測定したところ有意な生物活性 を持っていた。続いて、再折り畳み条件を、専らその型が生成するように最適化 した。これらの条件の下で、誤って折り畳まれた型は、可溶化工程から得られた 総単量体TPOの10−20%未満であった。 生物活性なTPOのジスルフィドパターンは、質量分析および蛋白配列決定に より1−4および2−3であると決定された(ここでシステインはアミノ末端か ら順に番号を付す)。このシステイン架橋パターンは、関連分子エリスロポエチ ンの既知のジスルフィド結合パターンと一致している。 D.組換え再折り畳みTPOの生物活性 再折り畳みされ精製されたTPOはインビトロおよびインビボ検定の両方で活 性を持っている。例えばBa/F3検定において、TPO(Met-11−153 )の、Ba/F3細胞中へのチミジン取り込みの半最大刺激は3.3pg/ml (0.3pM)で達成された。mplレセプターに基づくELISAにおいては 、半最大活性は1.9ng/ml(120pM)で出現した。正常のおよび近致 死X線照射により作り出された骨髄抑制動物では、再折り畳みされたTPO(M et-11−153)は、極めて強力に(わずか30ng/マウスの用量で活性が 見られた)新しい血小板の産生を刺激した。上に記載の方法に従って再折り畳み されたTPOの他の型についても、同様の生物活性が観察された(図25、26 および28を参照されたい)。 14.血小板形成活性の測定方法 血小板形成活性は、実施例1に記載のBa/F3 mplリガンド検定、イン ビボマウス血小板リバウンド合成検定、ヒト白血病巨核芽球セルライン(CMK )のための抗血小板イムノアッセイ(抗GPIIbIIIa)により測定される血小板 細胞表面抗原の誘導検定(サトー等、Brit.J.Heamatol.、72巻184−190 頁[1989])(実施例4に記載の液体懸濁巨核球形成検定をも参照されたい )、および巨核芽球セルライン(DAMI)における多能化の誘導(オグラ等、 Blood、72(1)巻49−60頁[1988]を参照されたい)を包含する様 々な検定で測定することができる。未熟な、大抵は非DNA合成細胞から形態学 的に同定し得る巨核球への巨核球の成熟は、細胞質小器官の出現、膜抗原(GP IIbIIIa)の獲得、背景に記載のような血小板の細胞内複製および放出を包含す る工程を含む。巨核球成熟の系統特異的プロモーター(即ち、mplリガンド) は、未熟な巨核球におけるこれらの変化のうち少なくとも幾つかを誘発し、血小 板放出および血小板減少症の寛解に導くと予想される。したがって、未熟な巨核 球セ ルライン、即ちCMKおよびDAMI細胞でこれらのパラメータの出現を測定す るような検定を設計した。CMK検定(実施例4)は、特異的血小板マーカー、 GPIIbIIIaの出現および血小板放散を測定する。DAMI検定(実施例15) は、倍数性の増加が成熟巨核球の証拠であることから、細胞内複製を測定するも のである。認識し得る巨核球は、倍数値が2N、4N、8N、16N、32N等 である。最後に、インビボマウス血小板リバウンド検定(実施例16)は、被験 化合物(本明細書ではmplリガンド)の投与が血小板数の上昇を招くことを立 証するのに有用である。 TPO活性を測定するために、さらに二つのインビトロ検定が開発されている 。第一はキナーゼレセプター活性化(KIRA)ELISAであって、ここでは 、CHO細胞をmpl−Rseキメラでトランスフェクトさせ、このキメラのm pl部分をmplリガンドに暴露させた後、ELISAによってRseのチロシ ン燐酸化を測定するものである(実施例17を参照されたい)。第二はレセプタ ーに基づくELISAであって、ここでは、ウサギ抗ヒトIgGで被覆したEL ISAプレートが、検定されるmplリガンドを結合させるヒトキメラレセプタ ーmpl−IgGを捕捉する。mplリガンド(TPO155)に対するビオチニ ル化ウサギポリクローナル抗体を用いて、結合したmplリガンドを検出し、こ れを実施例18に記載のようにストレプトアビジン−ペルオキシダーゼを用いて 測定する。 15.TPOで処置された正常のおよび近致死量を照射されたマウスのインビ ボ生物学的反応 正常のおよび近致死量を照射されたマウスを、チャイニーズハムスター卵巣( CHO)細胞、大腸菌、およびヒト胚腎臓(293)細胞から分離された、末端 切除および全長TPOで処置した。これら三つの宿主で産生されたTPOのいず れの型も、マウスで血小板産生を刺激したが、CHOから分離された全長TPO が最も大きいインビボ反応をもたらしたようであった。これらの結果は、カルボ キシ末端ドメインの適正なグリコシル化が、最適なインビボ活性にとって必要で あるかも知れないことを示している。 (a)E.coli−rhTPO(Met-1,153) 大腸菌で産生された(実施例23を参照されたい)EPOドメインの「Met 」型(−1位のMetにヒトTPOの最初の153残基を加えたもの)を、図2 5A、25B、および25Cに対する凡例に記載のように、正常な雌性C57 B6マウスに毎日注射した。これらの図は、大腸菌で産生され上記のように再折 り畳みされたTPOの非グリコシル化末端切除型は、赤血球または白血球数に影 響を及ぼすことなく、正常マウスにおいて血小板産生の約2倍の増加を刺激でき ることを示している。 同じ分子を、図26A、26Bおよび26Cに対する凡例に記載のように、近 致死量を照射された(137Cs)雌性C57B6マウスに毎日注射すると、血小 板の回復を刺激し、最下点を緩和したが、赤血球または白血球には影響しなかっ た。 (b)CHO−rhTPO332 CHOで産生され、図27A、27Bおよび27Cに対する凡例に記載のよう に正常な雌性C57B6マウスに毎日注射された全長型TPOは、正常マウスに おいて赤血球または白血球の数に影響することなく血小板産生に約5倍の増加を もたらした。 (c)CHO−rhTPO332;E.coli−rhTPO(Met-1,15 3);293−rhTPO332;およびE.coli−rhTPO155 図28に対する凡例に記載のように種々のセルライン由来のrhTPO(CH O−rhTPO332;E.coli−rhTPO(Met-1,153);293 −rhTPO332;およびE.coli−rhTPO155)による正常マウスの処 置に対して用量反応曲線を組み立てた。この図は、試験された全ての型の分子が 血小板産生を刺激するが、CHOで産生された全長型が最も高いインビボ活性を 有することを示している。 (d)CHO−rhTPO153、CHO−rhTPO「切り取り」およびCH O−rhTPO332 図29に対する凡例に記載のようにCHOで産生された様々な型のrhTPO (CHO−rhTPO153、CHO−rhTPO「切り取り」およびCHO−r hTPO332)による正常マウスの処置に対して、やはり用量反応曲線を組み立 てた。この図は、試験された全てのCHO型が血小板産生を刺激するが、全長の 70Kda型が最も高いインビボ活性を有することを示している。 16.mplリガンドおよび変異体の一般的組換え製造 好ましくはmplリガンドは、(典型的には細胞を発現ベクターで形質転換す ることにより)mplリガンド核酸を発現するようトランスフェクトさせた細胞 を培養し、この細胞から該ポリペプチドを回収することによってmplリガンド ポリペプチドを産生させることを含む、標準的組換え法によって製造する。しか しながら、所望により、mplリガンドをホモローガスな組換えによって、また はmplリガンドをコードしているDNAを既に含んでいる細胞中に導入された 調節要素を利用する組換え生産を用いてmplリガンドを産生できるという事も また考えられる。例えば、強力なプロモーター/エンハンサー要素、サプレッサ ー、または外因性転写調節要素を、所望のmplリガンドポリペプチドをコード しているDNAの転写に影響を与えるに十分な近さおよび方向で、意図される宿 主細胞のゲノムに挿入することができる。調節要素はmplリガンドをコードせ ず、むしろこのDNAは宿主細胞ゲノムに固有のものである。次いで、本発明に 係るレセプターポリペプチドを作る細胞について、または増強または低減したレ ベルの発現について希望に応じてスクリーニングする。 したがって、本発明は、mplリガンド核酸分子を含有する細胞のゲノム中に 、転写調節要素を、その転写に影響を与えるに十分な、該核酸分子に対する近さ および方向で挿入することからなる、そして転写調節要素および該核酸分子を含 む細胞を培養することからなる所望によるさらなる工程を伴う、mplリガンド を生産するための方法を意図するものである。本発明はさらに、宿主細胞により 認識される外因性調節配列と機能的に結合した固有のmplリガンド核酸分子を 含む宿主細胞を意図するものである。 A.mplリガンドポリペプチドをコードしているDNAの分離 mplリガンドポリペプチドをコードしているDNAは、mplリガンドmR NAを持ち、それを検出し得るレベルで発現すると信じられる組織から調製され る任意のcDNAライブラリーから取得することができる。mplリガンド遺伝 子はさらに、ゲノムDNAライブラリーから、または完全なヌクレオチドまたは アミノ酸配列からインビトロオリゴヌクレオチド合成によって取得することもで きる。 ライブラリーを、目的とする遺伝子またはそれによりコードされている蛋白を 同定するよう設計されたプローブでスクリーニングする。cDNA発現ライブラ リーのためには、好適なプローブは、mplリガンドを認識し且つこれに特異的 に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を包含する。cDNAライ ブラリーのためには、好適なプローブは、同じまたは異なる種由来のmplリガ ンドcDNAの既知のまたはそれが疑われる部分をコードしている約20−80 塩基長のオリゴヌクレオチド;および/または同じまたは類似の遺伝子をコード している相補的もしくはホモローガスcDNAまたはそのフラグメントを包含す る。ゲノムDNAライブラリーをスクリーニングするための適当なプローブは、 同じもしくは類似の遺伝子をコードしているオリゴヌクレオチド、cDNA、ま たはそれらのフラグメント、および/またはホモローガスなゲノムDNAまたは そのフラグメントを包含するが、これらに限定される訳ではない。選ばれたプロ ーブによるcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングは、サムブルッ ク等、上記、の10−12章に記載のような標準法を用いて実施することができ る。 mplリガンドをコードしている遺伝子を分離する代替手段は、サムブルック 等、上記、の14項に記載のPCR法を使用することである。この方法は、mp lリガンドをコードしているDNAとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプ ローブの使用を必要とする。オリゴヌクレオチドの選択のための戦略を下に述べ る。 本発明を実施する好ましい方法は、注意深く選択されたオリゴヌクレオチド配 列を使用して、様々な組織、好ましくはヒトまたはブタの腎臓(成体または胎児 )または肝臓セルラインからのcDNAライブラリーをスクリーニングすること で ある。例えば、ヒト胎児肝臓セルラインcDNAライブラリーをこのオリゴヌク レオチドプローブでスクリーニングする。別法として、ヒトゲノムライブラリー をこのオリゴヌクレオチドプローブでスクリーニングする。 プローブとして選択されたオリゴヌクレオチド配列は、十分な長さがあり、且 つ偽陽性を最小とするに十分明確であるべきである。実際のヌクレオチド配列は 通常、コドンの重複が最小であるmplリガンドの領域を元に設計される。この オリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の位置で縮重していてよい。縮重オリ ゴヌクレオチドの使用は、或るライブラリーが、優先的コドンの使用が知られて いない種からスクリーニングされる場合、特に重要である。 このオリゴヌクレオチドは、スクリーニングされるライブラリー中のDNAと ハイブリダイズする時に検出できるよう、標識しなければならない。好ましい標 識方法は、ATP(例えば、γ32P)およびポリヌクレオチドキナーゼを用いて オリゴヌクレオチドの5'末端を放射標識することである。しかしながら、ビオ チニル化または酵素標識化を包含するその他の方法を用いてオリゴヌクレオチド を標識することもできるが、これらに限定される訳ではない。 全長mplリガンドポリペプチドをコードしているmplリガンド核酸は特に 興味深い。幾つかの好ましい態様において、この核酸配列は天然mplリガンド シグナル配列を含む。全ての蛋白コード化配列を有する核酸は、導き出されたア ミノ酸配列を用いて、選ばれたcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニ ングすることによって得られる。 B.天然mplリガンドのアミノ酸配列変異体 mplリガンドのアミノ酸配列変異体は、mplリガンドDNA中に適当なヌ クレオチド変化を導入することにより、または、所望mplリガンドポリペプチ ドのインビトロ合成により、製造される。係る変異体は、例えば、ブタmplリ ガンドのためのアミノ酸配列中の残基を除去、または挿入もしくは置換すること を包含する。例えば、成熟全長mplリガンドのカルボキシ末端部分は、インビ ボまたはインビトロいずれかの蛋白分解的開裂によって、または、フラグメント または全長mplリガンドをコードしているDNAをクローニングおよび発現さ せることによって、除去し、生物活性な変異体を生成させることができる。最終 組み立て物が所望の生物活性を有する限り、最終組み立て物に到達するために除 去、挿入、および置換の任意の組み合わせが施される。アミノ酸変化はまた、グ リコシル化部位の数または位置の変更といったような、mplリガンドの翻訳後 処理を変化させ得る。mplリガンドのアミノ酸配列変異体の設計のためには、 突然変異部位の位置および突然変異の性格は、修飾されるべきmplリガンドの 特性に依存するであろう。突然変異のための部位は、例えば(1)最初に同類ア ミノ酸選択肢で、次いで、達成される結果に応じて、より過激な選択で置換する ことにより、(2)標的残基を除去することにより、または、(3)存在する部位に 隣接して、同じまたは異なるクラスの残基を挿入することにより、または選択肢 1−3の組み合わせにより、個別に、または連続して修飾することができる。 突然変異生成にとって好ましい位置であるmplリガンドポリペプチドの或る 残基または領域を特定する有用な方法は、カニングハムおよびウェルズ、Scienc e、244巻1081−1085頁[1989]に記載されるように、「アラニ ンスキャニング突然変異生成」と呼ばれる。ここでは、或る残基または標的残基 群を特定し(例えば、arg、asp、his、lys、およびGluのような荷 電残基)、任意の、但し好ましくは中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ま しくはアラニンまたはポリアラニン)によって置き換え、細胞内外を取り巻く水 性環境と該アミノ酸との相互作用を起こさせる。次に、この置換に対する機能的 感受性を示すドメインを、置換部位にまたは置換部位のためのさらなるまたはそ の他の変異体を導入することによってさらに改良する。このように、アミノ酸配 列変異を導入する部位は予め決められているが、突然変異自体の性質は予め決め ておく必要がない。例えば、与えられた部位での突然変異の挙動を最適化するた め、標的コドンまたは領域でalaスキャニングまたは無作為突然変異生成を実 施し、発現されたmplリガンド変異体を、所望の活性の最適な組み合わせにつ いてスクリーニングする。 アミノ酸配列変異体の組み立てには二つの主要な変数:突然変異部位の位置お よび突然変異の性質がある。例えば、mplリガンドポリペプチドの変異体はm plリガンド配列からの変異体を包含し、天然に存在する対立遺伝子(これはm plリガンドDNAの操作を必要としないであろう)、または、天然に見いださ れない対立遺伝子または変異体に到達するためにDNAを突然変異させることに より作成される前もって決定されている突然変異体型を表し得る。一般に、選ば れた突然変異の位置および性質は、修飾されるべきmplリガンドの性格に依存 するであろう。 アミノ酸配列の除去は一般に約1から30残基まで、より好ましくは約1な いし10残基の範囲であり、典型的には隣接している。別法として、mplリガ ンドのためのアミノ酸配列除去は、カルボキシ末端糖蛋白ドメインの一部または 全体を含み得る。アミノ酸配列除去は、成熟蛋白の最初の6個のアミノ末端残基 のうち1またはそれ以上を含むこともできる。所望によるアミノ酸配列除去は、 「ヘリックス束」の間に存在するループ領域のうち1またはそれ以上にある1ま たはそれ以上の残基を含む。隣接する除去は、通常偶数の残基に施されるが、1 個のまたは奇数の除去もまた本発明の範囲内にある。殆どの配列一致を共有する mplリガンド間で相同性が低い領域に除去を導入して、mplリガンドの活性 を修飾することができる。または、ヒトmplリガンドに対して殆どの配列一致 を共有する他の哺乳動物mplリガンドポリペプチドとヒトmplリガンド間で 相同性の低い領域に除去を導入することができる。他の哺乳動物mplリガンド と実質的な相同性を有する領域での哺乳動物mplリガンドポリペプチドからの 除去は、mplリガンドの生物活性をより有意に修飾する可能性が高い。連続し た除去の数は、影響を受けるドメインにおけるmplリガンドの三次構造、例え ばβプリーツシートまたはαヘリックスを保存するように選択されるであろう。 アミノ酸配列の挿入は、長さが1残基から100またはそれ以上の残基を含む ポリペプチドまでの範囲のアミノおよび/またはカルボキシ末端融合、ならびに 単一もしくは複数アミノ酸残基の配列内挿入を包含する。配列内挿入(即ち、成 熟mplリガンド配列内部への挿入)は一般に、約1ないし10残基、より好ま しくは1ないし5、最も好ましくは1ないし3残基の範囲であり得る。好ましい 融合の例は、mplリガンドまたはそのフラグメントと、他のサイトカインまた はそのフラグメントとの融合である。末端挿入の例には、組換え細胞培養中での 成熟mplリガンドの直接発現の所産である、N末端メチオニン残基を有する成 熟mplリガンド、および、組換え宿主からの成熟mplリガンドの分泌を促進 させるための、成熟mplリガンド分子のN末端へのヘテロローガスなN末端シ グナル配列の融合が包含される。このようなシグナル配列は一般に、意図される 宿主細胞の種から得られ、従ってこれとホモローガスであろう。好適な配列には 、大腸菌のためのSTIIまたはlpp、酵母のためのα因子、および哺乳動物細 胞のためのヘルペスgDのようなウイルスシグナルが包含される。 mplリガンド分子のその他の挿入変異体は、mplリガンドのNまたはC末 端への、免疫原性ポリペプチド(即ち、融合が施される宿主にとって内因性でな い)、例えば細菌性ポリペプチド、例えばβラクタマーゼまたはE.coli trp遺伝子座によりコードされている酵素、または酵母蛋白の融合、および、 1989年4月6日公開のWO89/02922に記載の、半減期の長い蛋白、 例えば免疫グロブリン不変領域(または他の免疫グロブリン領域)、アルブミン 、またはフェリチンを用いたC末端融合を包含する。 変異体の第三の群はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、mplリ ガンド分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去され、その場所に異なる残 基が挿入されている。置換突然変異生成のための最も興味深い部位は、mplリ ガンドの活性部位として同定される部位、および、他の類似体中に見いだされる アミノ酸が側鎖のかさ、電荷、または疎水性の点で実質上異なっており、それで いて種々のmplリガンド種および/または一つのmplリガンド成員の種々の動物類 似体の中の選ばれた部位に高度の配列一致もまた存在する部位を包含する。 他の重要な部位は、様々なファミリー成員から、そして/または一つの成員の 中の様々な動物種から得られるmplリガンドの特定の残基が一致している部位 である。これらの部位、特に、少なくともあと3個、完全に保存されている部位 を持つ配列の内部にある部位は、比較的保守的なやり方で置換される。このよう な同類置換は、第3表で、好ましい置換という項の下に示されている。もしこの ような置換が生物活性の変化をもたらすならば、第3表中、例示的置換と称され ている、またはアミノ酸クラスに関する下のさらなる記載のような、より実質的 な変化を導入し、生成物をスクリーニングする。 mplリガンドの機能または免疫学的同一性における実質的な修飾は、(a) 置換領域のポリペプチドバックボーンの構造、例えばシートまたはらせんコンホ メーションとしての構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、ま たは、(c)側鎖のかさ、の維持に及ぼすそれらの影響が有意に相違する置換を 選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖の性質 に基づく群に分けられる: (1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile; (2)中性親水性:Cys、Ser、Thr; (3)酸性:Asp、Glu; (4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg; (5)鎖の向きに影響する残基:Gly、Pro;および、 (6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。 非同類置換は、これらのクラスのうち或るものの成員を別のものに交換するこ とを必要とする。このような置換された残基もまた同類置換部位に導入すること ができ、または、より好ましくは、残っている(非保存的)部位に導入すること ができる。 本発明の一つの態様において、当該分子に存在する1またはそれ以上のプロテ アーゼ開裂部位を不活性化することが望ましい。これらの部位は、例えばトリプ シンの場合にはアルギニンまたはリジン残基について、コードされているアミノ 酸配列を調べることによって特定される。プロテアーゼ開裂部位が特定されたな らば、標的とされる残基を別の残基、好ましくはグルタミンのような塩基性残基 またはセリンのような疎水性残基で置換することにより;当該残基を除去するこ とにより;または当該残基の直後にプロリン残基を挿入することにより、それら を蛋白分解的開裂に対して不活性となるようにする。 別の態様においては、シグナル配列の開始メチオニン残基以外のメチオニン残 基、または係る各メチオニン残基に対するNまたはC末端の約3残基以内に位置 する残基を、別の残基(好ましくは第3表に従う)により置換、または除去する 。別法として、このような部位に隣接して約1−3の残基を挿入する。 mplリガンドの適正なコンホメーションの維持に関わっていないシステイン 残基もまた、一般にセリンで置換して、当該分子の酸化的安定性を改善し且つ異 常な交差反応を防止することができる。epoドメイン中、アミノ末端から数え て第一および第四のシステインは適正なコンホメーションの維持に必要であるが 、第二および第三のシステインは必要でないことが判明している。したがって、 epoドメインの第二および第三のシステインは置換することができる。 mplリガンドのアミノ酸配列変異体をコードしている核酸分子は、当分野で 知られる様々な方法によって製造される。これらの方法には、天然の供給源から の分離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合)またはオリゴヌクレオチド 仲介(または位置指定)突然変異生成、PCR突然変異生成、および、先に製造 されたmplリガンドポリペプチドの変異体または非変異体のカセット突然変異 生成による製造が包含されるが、これらに限定される訳ではない。 オリゴヌクレオチド仲介突然変異生成は、mplリガンドDNAの置換、除去 および挿入変異体の製造のための好ましい方法である。この技術は、アーデルマ ン等、DNA、2巻183頁[1983]に記載されるように、当分野で良く知 られている。簡潔に述べると、mplリガンドDNAを、所望の突然変異をコー ドしているオリゴヌクレオチドをDNA鋳型に対してハイブリダイズすることに よって変化させるのであるが、ここでこの鋳型は、変化していないまたは天然の mplリガンドのDNA配列を含むプラスミドまたはバクテリオファージの一本 鎖型である。ハイブリダイズの後、DNAポリメラーゼを用いて鋳型の第二相補 鎖全体を合成し、これは該オリゴヌクレオチドプライマーを取り込み、選択され た変化をmplリガンドDNAにコードするであろう。 一般に、少なくとも25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを使用する。最 適なオリゴヌクレオチドは、突然変異をコードしているヌクレオチドの両側に、 鋳型と完全に相補的な12ないし15のヌクレオチドを有するであろう。この事 により、オリゴヌクレオチドが一本鎖DNA鋳型分子と正しくハイブリダイズす ることが保証される。このオリゴヌクレオチドは、クレア等、Proc.Natl.Acad.S ci.USA、75巻5765頁[1978]に記載のような当分野で知られる技術を 用いて容易に合成される。 DNA鋳型は、バクテリオファージM13ベクター(入手し得る市販のM13 mp18およびM13mp19ベクターが適当である)から誘導されるベクター 、またはヴィエラ等、Meth.Enzymol.、153巻3頁[1987]に記載のよう な一本鎖ファージ複製起点を含むベクターによって作り出すことができる。即ち 、突然変異させようとするDNAをこれらのベクターの一つに挿入して一本鎖鋳 型を作成する。一本鎖鋳型の製造は、サムブルック等、モレキュラー・クローニ ング:ア・ラボラトリー・マニュアル(コールド・スプリング・ハーバー・ラボ ラトリー・プレス、NY、1989)の4.21−4.41項に記載されている 。 別法として、一本鎖DNA鋳型は、標準技術を用いて二本鎖プラスミド(また はその他の)DNAを変性させることによって作成することもできる。 天然DNA配列を変化させるため(例えばアミノ酸配列変異体を作成するため に)、オリゴヌクレオチドを適当なハイブリダイゼーション条件の下で一本鎖鋳 型とハイブリダイズさせる。次に、DNA重合酵素、通常DNAポリメラーゼI のクレノウフラグメントを加えて、合成のためのプライマーとして該オリゴヌク レオチドを用いて鋳型の相補鎖を合成する。このようにして、DNAの一方の鎖 はmplリガンドの突然変異型をコードし、他の鎖(元の鋳型)は天然の変化し ていないmplリガンドの配列をコードしているようなヘテロ二本鎖分子が形成 される。次いでこのヘテロ二本鎖分子を適当な宿主細胞、通常E.coli J M101のような原核生物中に導入する。細胞が増殖した後、これらをアガロー ス平板上に蒔き、32−ホスファートで放射標識したオリゴヌクレオチドプライ マーを用いてスクリーニングし、突然変異したDNAを含む細菌コロニーを同定 する。次いで、突然変異している領域を取り、蛋白産生のための適当なベクター 、一般に適当な宿主の形質転換のために典型的に使用される型の発現ベクターに 入れる。 直前に記載した方法は、プラスミドの両方の鎖が突然変異を含む、ホモ二本鎖 分子が作り出されるように改変することができる。この改変は以下の通りである :一本鎖オリゴヌクレオチドを上記のように一本鎖鋳型とアニーリングする。3 種のデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキ シリボグアノシン(dGTP)、およびデオキシリボチミジン(dTTP)の混 合物を、dCTP−(aS)と呼ばれる修飾されたチオ−デオキシリボシトシン (これはアマーシャム・コーポレーションから入手することができる)と合する 。この混合物を鋳型−オリゴヌクレオチド複合体に加える。この混合物にDNA ポリメラーゼを添加すると、突然変異した塩基の外は鋳型と同一のDNA鎖が生 成する。加えて、この新たなDNAの鎖はdCTPの代わりにdCTP−(aS )を含み、これは制限エンドヌクレアーゼ消化から防護する役割を有する。 ヘテロ二本鎖の鋳型鎖に適当な制限酵素で切り目を入れた後、鋳型鎖をExo IIIヌクレアーゼまたは他の適当なヌクレアーゼを用いて、突然変異させようと する部位を含む領域を超えて消化することができる。そして、この反応を、分子 が部分的にしか一本鎖になっていないまま停止させる。次いで、4種全てのデオ キシリボヌクレオチド三燐酸、ATP、およびDNAリガーゼの存在下にDNA ポリメラーゼを用いて、完全な二本鎖のDNAホモ二本鎖を形成させる。次にこ のホモ二本鎖分子を、上記のように、E.coli JM101のような適当な 宿主細胞中に導入することができる。 1以上のアミノ酸が置換されているmplリガンド突然変異体をコードしてい るDNAは、幾つかの方法のうち一つで生成させることができる。アミノ酸がポ リペプチド鎖中接近して位置している場合は、所望のアミノ酸置換の全てをコー ドしている一つのオリゴヌクレオチドを用いてこれらを同時に突然変異させるこ とができる。しかしながら、もしそのアミノ酸が互いに幾らかの距離をおいて位 置している(約10アミノ酸以上離れている)と、所望の変化の全てをコードし ている1個のオリゴヌクレオチドを作成することは、より困難である。その代わ りに、二つの別法のうち一つを利用することができる。 第一の方法では、置換しようとする各アミノ酸のための別々のオリゴヌクレオ チドを作成する。次いでそのオリゴヌクレオチドを一本鎖鋳型DNAに同時にア ニーリングすると、その鋳型から合成される第二のDNA鎖は所望のアミノ酸置 換の全てをコードしているであろう。 これに代わる方法は、所望の突然変異を産むための2回またはそれ以上の突然 変異生成を含むものである。第一回目は単一突然変異体について記載された通り である:野生型DNAを鋳型に使用し、第一の所望アミノ酸置換をコードしてい るオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニーリングし、するとヘテロ二本鎖DNA 分子が生成される。第二回目の突然変異生成は、第一回目の突然変異生成で作成 された突然変異したDNAを鋳型として利用する。即ち、この鋳型は既に1また はそれ以上の突然変異を含んでいる。そこで、さらなる所望のアミノ酸置換をコ ードしているオリゴヌクレオチドをこの鋳型にアニーリングし、得られたDNA の鎖はその結果、第一および第二回目両方の突然変異生成由来の突然変異をコー ドしていることになる。この得られたDNAは第三回目の突然変異生成で鋳型と して使用することができ、以下同様である。 PCR突然変異生成もまたmplリガンドポリペプチドのアミノ酸変異体の作 成に好適である。以下の記述はDNAに関するものであるが、この技術はRNA にも適用されることが理解できる。PCR技術は一般に以下の方法を指す(アー リッヒ、上記、R.ヒグチによる章、61−70頁を参照されたい):少量の鋳 型DNAをPCRでの出発物質として使用する時、鋳型DNAの対応領域と僅か に異なる配列のプライマーを用いて、そのプライマーが鋳型と相違している位置 でのみ鋳型配列と異なっている比較的大量の特異的DNAフラグメントを生成さ せることができる。プラスミドDNA中に突然変異を導入するためには、一方の プライマーは突然変異の位置に一部重複し且つその突然変異を含むように設計し ;他方のプライマーの配列は、プラスミドの反対の鎖の配列一つながりと一致さ せねばならないが、この配列は該プラスミドDNAのどこに位置してもよい。し かしながら、第二のプライマーの配列は、プライマーにより境界を与えられるD NAの増幅された領域全体が最終的に容易に配列決定されるよう、第一プライマ ーの配列の200ヌクレオチド以内に位置させるのが好ましい。今記載したよう なプライマー対を用いるPCR増幅は、プライマーにより特定される突然変異の 位置で、そして鋳型の複製は多少誤りが起こり易いのであるいはその他の位置で 相違するDNAフラグメントの集団を生成する。 生成物に対する鋳型の比が極端に低い場合、生成物のDNAフラグメントの大 多数に所望の突然変異(群)が組み込まれる。この生成物は、標準的DNA技術 を用いて、PCR鋳型として働いたプラスミド中の対応領域を置き換えるのに使 用される。別々の位置にある突然変異は、突然変異体第二プライマーを使用する ことにより、または、異なる突然変異体プライマーによる第二のPCRを行い、 得られた二つのPCRフラグメントを三部(またはそれ以上の)ライゲーション でベクターフラグメントに同時にライゲーションすることによって同時に導入す ることができる。 PCR突然変異生成の特別な例においては、プラスミドDNAの増幅される 領域の外に特異な認識部位を有する制限エンドヌクレアーゼで消化することによ り、鋳型プラスミドDNA(1μg)を線状化する。この物質から100ngを 、4種のデオキシヌクレオチド三燐酸を含有しジーンアンプ(商標)キット(パ ーキン−エルマー・シータス、ノルウォーク、CTおよびエメリーヴィル、CA 、より入手)に含まれるPCR緩衝液、および各オリゴヌクレオチドプライマー 25pmoleを含有するPCR混合物に加え、最終容量50μlとする。この 反応混合物を鉱油35μlに積層する。反応混合物を100℃で5分間変性させ 、短時間氷上に置き、次いで鉱油層の下にサーマス・アクアティクス(Taq) DNAポリメラーゼ1μl(5単位/μl、パーキン−エルマー・シータスより 購入)を添加する。次いでこの反応混合物を、以下のようにプログラムしたDN Aサーマル・サイクラー(パーキン−エルマー・シータスより購入)中に入れる : 55℃2分間、 72℃30秒間、次いで以下を19サイクル: 94℃30秒間、 55℃30秒間、そして 72℃30秒間。 このプログラムの終了時に反応バイアルをサーマルサイクラーから取り出し、 水相を新しいバイアルに移し、フェノール/クロロホルム(50:50容量)で 抽出し、そしてエタノール沈澱させ、DNAを標準法により回収する。この物質 を、続いてベクターへの挿入のための適当な処理に付す。 変異体を製造するためのもう一つの方法、カセット突然変異生成は、ウェルズ 等、Gene、34巻315頁(1985)に記載の技術に基づく。出発物質は、突 然変異させようとするmplリガンドDNAを含むプラスミド(またはその他の ベクター)である。突然変異させるmplリガンドDNA中のコドンを特定する 。特定された突然変異部位の両側には特異な制限エンドヌクレアーゼ部位がなけ ればならない。このような制限部位が存在しない場合は、それらをmplリガン ドDNAの適当な位置に導入するための上記オリゴヌクレオチド仲介突然変異生 成法を用いてそれらを作り出すことができる。制限部位がプラスミド中に導入さ れた後、このプラスミドをこれらの部位で切断して線状化する。制限部位間のD NAの配列をコードしており所望の突然変異を含んでいる二本鎖オリゴヌクレオ チドを標準法を用いて合成する。2本の鎖を別々に合成し、次いで標準技術を用 いてハイブリダイズする。この二本鎖オリゴヌクレオチドをカセットと称する。 このカセットは、プラスミドに直接ライゲーションできるよう、線状化されたプ ラスミドの末端と適合する3'および5'末端を有するよう設計される。その結果 このプラスミドは突然変異したmplリガンドDNA配列を含むことになる。 C.複製可能なベクターへの核酸の挿入 天然または変異体mplリガンドポリペプチドをコードしている核酸(例えば cDNAまたはゲノムDNA)を、さらなるクローニング(DNAの増幅)また は発現のために、複製可能なベクター中に挿入する。多くのベクターが利用可能 であり、適当なベクターの選択は、(1)それがDNA増幅に使用されるのかま たはDNA発現に使用されるのか、(2)ベクター中に挿入される核酸の大きさ 、および、(3)ベクターにより形質転換される宿主細胞、に依存するであろう 。各々のベクターは、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)およびそれ が適合する宿主細胞に応じて様々な構成成分を含んでいる。ベクターの構成成分 は一般に、1またはそれ以上の以下のもの:シグナル配列、複製起点、1または それ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終止 配列を含むが、これらに限定される訳ではない。 (i)シグナル配列成分 本発明に係るmplリガンドは、直接的のみならず、ヘテロローガスなポリペ プチド(これは好ましくはシグナル配列、または成熟蛋白もしくはポリペプチド のN末端に特異的開裂部位を有する他のポリペプチドである)との融合ポリペプ チドとしても発現され得る。一般に、シグナル配列はベクターの構成成分であっ てよく、またはこれは、ベクター中に挿入されるmplリガンドDNAの一部で あってよい。選ばれたヘテロローガスなシグナル配列は、宿主細胞によって認識 され且つ処理される(即ち、シグナルペプチダーゼにより開裂される)ものでな ければならない。天然mplリガンドシグナル配列を認識および処理しない原核 生物宿主細胞のためには、シグナル配列を、例えばアルカリホスファターゼ、ペ ニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選 ばれる原核生物シグナル配列によって置換する。酵母の分泌のためには、天然シ グナル配列を、例えば酵母インベルターゼ、α因子、または酸ホスファターゼリ ーダー、C.アルビカンスグルコアミラーゼリーダー(1990年4月4日公開 のEP362179)、または1990年11月15日公開のWO90/136 46に記載のシグナルによって置換することができる。哺乳動物細胞の発現にお いては天然のシグナル配列(即ち、天然の哺乳動物細胞からインビボでmplリ ガンドの分泌を正常に指令するmplリガンドプレ配列)でよいが、他の哺乳動 物シグナル配列、例えば他のmplリガンドポリペプチド由来のまたは異なる動 物種からの同じmplリガンド由来のシグナル配列、mplリガンド由来のシグ ナル配列、および同じまたは関連する種の分泌されたポリペプチド由来のシグナ ル配列、ならびにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルもま た好適である。 (ii)複製起点成分 発現およびクローニングベクターの両者は、そのベクターを1またはそれ以上 の選ばれた宿主細胞で複製できるようにする核酸配列を含んでいる。一般に、ク ローニングベクターにおいては、この配列は、そのベクターを宿主染色体DNA とは独立して複製できるようにする配列であって、複製起点または自立的複製配 列を含む。このような配列は様々な細菌、酵母、およびウイルスについて良く知 られている。プラスミドpBR322由来の複製起点は殆どのグラム陰性菌に適 しており、2μプラスミド起点は酵母に適しており、そして様々なウイルス起点 (SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)が哺乳動物細 胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に、複製起点成分は哺乳動 物の発現ベクターには必要ない(SV40起点は、それが初期プロモーターを含 むという理由でのみ典型的に使用され得る)。 殆どの発現ベクターは「シャトル」ベクターであり、即ちこれらは少なくとも 一つのクラスの生物で複製可能であるが、発現のため別の生物中にトランスフェ クトすることができる。例えば、或るベクターは大腸菌中でクローニングされ、 次いでその同じベクターが、たとえそれが宿主細胞染色体と独立して複製できな くても、発現のため酵母または哺乳動物細胞中にトランスフェクトされる。 DNAは宿主ゲノム中への挿入によって増幅することもできる。これは、バシ ルス種を宿主に用いて、例えば、バシルスゲノムDNA中に見いだされる配列に 相補的なDNA配列を該ベクターに含ませることによって容易に達成される。こ のベクターによるバシルスのトランスフェクションは、ゲノムによるホモローガ スな組換えおよびmplリガンドDNAの挿入をもたらす。しかしながら、mp lリガンドをコードしているゲノムDNAの回収は、mplリガンドDNAの切除 に制限酵素消化を必要とするため、外因性複製ベクターの回収より複雑である。 (iii)選択遺伝子成分 発現およびクローニングベクターは、選択マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を 含んでいなければならない。この遺伝子は、選択培養基中で生育する形質転換さ れた宿主細胞の生存または生育に必要な蛋白をコードしている。選択遺伝子を含 むベクターにより形質転換されなかった宿主細胞は、その培養基中で生き残らな いであろう。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質またはその他の毒素、例え ばアンピシリン、ネオマイシン、メソトレキサート、またはテトラサイクリンに 対する耐性を付与し、(b)栄養要求性突然変異体の欠失を補完し、または(c )複合培地からは得られない重要な栄養素を供給する、蛋白をコードしている( 例えばバシルスのためのD−アラニンラセマーゼをコードしている遺伝子)。 選択計画の一例は、宿主細胞の生育を停止させる薬物を利用する。ヘテロロー ガスな遺伝子によってうまく形質転換されている細胞は、薬物耐性を付与する蛋 白を発現し、よって選択処方中で生き残る。このような優性選択の例は、薬物ネ オマイシン(サザン等、J.Molec.Appl.Genet.、1巻327頁[1982])、 ミコフェノール酸(ミュリガン等、Science、209巻1422頁[1980] )またはハイグロマイシン(サグデン等、Mol.Cell.Biol.、5巻410−413 頁[1985])を使用する。上に挙げた3つの例は、細菌遺伝子を真核生物の 調節の下で使用して、それぞれ適当な薬物G418またはネオマイシン(ジェネ ティシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、またはハイグロマイシンに対する 耐性を伝達する。 哺乳動物細胞のためのその他の好適な選択マーカーの例は、mplリガンド核 酸の取り込みに対してコンピテントな細胞の同定を可能にするマーカー、例えば ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはチミジンキナーゼである。哺乳動 物細胞形質転換体を、マーカーを取り込んだために形質転換体のみが特異に適合 して生き残るという選択圧の下に置く。培地中の選択薬物の濃度を連続的に変化 させる条件の下で形質転換体を培養することによって選択圧を課し、それにより 選択遺伝子およびmplリガンドポリペプチドをコードしているDNAの両者の 増幅を導く。増幅は、それによって、生育に必須の蛋白の産生にとって極めて重 要な遺伝子が、連続する世代の組換え細胞の染色体内部で縦に反復される工程で ある。増幅されたDNAから、増加した量のmplリガンドが合成される。 例えば、DHFR選択遺伝子により形質転換された細胞を、DHFRの競合的 アンタゴニストであるメソトレキサート(Mtx)を含む培地中で全形質転換体 を培養することによってまず同定する。野生型DHFRを使用する場合の適当な 宿主細胞は、ウアラウプおよびチェイシン、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻4 216頁[1980]による記載のように製造され増殖される、DHFR活性を 欠失するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)セルラインである。次にこの形 質転換された細胞を、増強したレベルのMtxに暴露する。これにより多数のD HFR遺伝子のコピーの合成が導かれ、そして同時に、該発現ベクターを含む他 のDNA、例えばmplリガンドをコードしているDNAのコピーが多数合成さ れる。この増幅技術は、他の点で好適な任意の宿主、例えばMtxに対し高度に 耐性な突然変異体DHFR遺伝子が使用されるならば、内因性DHFRの存在に も拘わらず、例えばATCC No.CCL61 CHO−K1と共に利用するこ とができる(EP117060)。別法として、mplリガンド、野生型DHF R蛋白、およびアミノグリコシド3'ホスホトランスフェラーゼ(APH)のよ うな他の選択マーカーをコードしているDNA配列により形質転換または同時形 質転換された宿主細胞[特に内因性DHFRを含む野生型宿主]を、その選択マ ーカーに対する選択薬剤、例えばアミノグリコシド抗生物質、例えばカナマイシ ン、ネオマイシン、またはG418を含有する培地中での細胞増殖によって選択 することができる。米国特許第4965199号を参照されたい。 酵母での使用に好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7中に存在するt rp1遺伝子である(スティンチコウム等、Nature、282巻39頁[1979 ];キングズマン等、Gene、7巻141頁[1979];またはチェンパー等、 Gene、10巻157頁[1980])。trp1遺伝子は、トリプトファン中で 増殖する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC No.44076また はPEP4−1のための選択マーカーを提供する(ジョーンズ、Genetics、85 巻12頁[1977])。そうすると、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1損傷の 存在が、トリプトファンの不在下で増殖させることによる形質転換の検出のため の有効な環境を提供する。同様に、Leu2−欠失酵母株(ATCC No.2 0622または38626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによ って補完される。 (iv)プロモーター成分 発現およびクローニングベクターは通常、宿主生物により認識され且つmpl リガンド核酸と機能的に結合しているプロモーターを含んでいる。プロモーター は、構造遺伝子の開始コドンの上流(5')に位置する(一般に約100ないし 1000bp以内)翻訳されない配列であって、それらが機能的に結合している 特定の核酸配列、例えばmplリガンド核酸配列の転写および翻訳を調節する。 このようなプロモーターは、典型的には二つのクラス、誘導性および構成性に分 類される。誘導性プロモーターは、培養条件の何らかの変化、例えば或る栄養素 の存在もしくは不在、または温度の変化に応答したそれらの調節の下で、DNA からの増強されたレベルの転写を開始するプロモーターである。現時点において 、可能性ある様々な宿主細胞により認識される多数のプロモーターが良く知られ ている。これらのプロモーターは、制限酵素消化によりそのプロモーターを供給 源のDNAから取り出し、この分離されたプロモーター配列をベクター中に挿入 することにより、mplリガンドコード化DNAと機能的に結合する。天然mp lリガンドプロモーター配列および多くのヘテロローガスなプロモーターはいず れもmplリガンドDNAの直接的増幅および/または発現に使用することがで きる。しかしながら、ヘテロローガスなプロモーターは、天然mplリガンドプ ロモーターと比較して一般により大量の転写および高収量のmplリガンドの発 現を可能にするため、これが好ましい。 原核生物宿主と共に使用するのに好適なプロモーターには、β−ラクタマーゼ およびラクトースプロモーター系(チャング等、Nature、275巻615頁[1 978];およびゲッデル等、Nature、281巻544頁[1979])、アル カリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系(ゲッデル、Nu cleic Acids Res.、8巻4057頁[1980]およびEP36776)および tacプロモーターのようなハイブリッドプロモーター(デボーア等、Proc.Nat l.Acad.Sci.USA、80巻21−25頁[1983])が包含される。しかしなが ら、他の既知の細菌プロモーターもまた好適である。これらのヌクレオチド配列 は公表されており、それによって当業者は、必要な制限部位を供給するリンカー またはアダプターを使用して、それらをmplリガンドをコードしているDNA に機能的にライゲーションすることができる(ジーベンリスト等、Cell、20巻 269頁[1980])。細菌系に使用するためのプロモーターはさらに、mp lリガンドポリペプチドをコードしているDNAに機能的に結合したシャイン− ダルガルノ(S.D.)配列をも含んでいるであろう。 真核生物のためのプロモーター配列が知られている。実際全ての真核生物遺伝 子は、転写が開始される部位からおよそ25ないし30塩基上流に位置するAT に富む領域を持っている。多くの遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基 上流に見いだされるもう一つの配列は、CXCAAT領域(ここでXは任意のヌ クレオチドであってよい)である。殆どの真核生物遺伝子の3'末端には、コー ディング配列の3'末端にポリA尾を付加するためのシグナルとなり得るAAT AAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクター中に適当に挿入 される。 酵母宿主と共に使用するための好適なプロモーター配列の例は、3−ホスホグ リセラートキナーゼ(ヒッツェマン等、J.Biol.Chem.、255巻2073頁[1 980])またはその他の解糖酵素(ヘス等、J.Adv.Enzyme Reg.、7巻149 頁[1968];およびホランド、Biochemistry、17巻4900頁[1978 ])、例えばエノラーゼ、グリセロアルデヒド−3−ホスファートデヒドロゲナ ーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナー ゼ、グルコース−6−ホスファートイソメラーゼ、3−ホスホグリセラートムタ ーゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースホスファートイソメラーゼ、ホスホグル コースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼのためのプロモーターを包含する。 増殖条件により転写が調節されるというさらなる利点を有する誘導性プロモー ターである、その他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イ ソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオ ネイン、グリセロアルデヒド−3−ホスファートデヒドロゲナーゼ、ならびにマ ルトースおよびガラクトース利用を司る酵素のプロモーター領域である。酵母の 発現で用いられる好適なベクターおよびプロモーターは、ヒッツェマン等、EP 73657Aにさらに記載されている。酵母のエンハンサーもまた酵母プロモー ターと共に有利に使用される。 哺乳動物宿主細胞におけるベクターからのmplリガンド転写は、プロモータ ーが宿主細胞系と共存し得る限り、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス (1989年7月5日公開のUK2211504)、アデノウイルス(例えばア デノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、鳥の肉腫ウイルス、サイトメガロウイ ルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはシミアンウイル ス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、ヘテ ロローガスな哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーターまたは免疫グ ロブリンプロモーターから、熱衝撃プロモーターから、そしてmplリガンド配 列に通常付随するプロモーターから得られるプロモーターによって調節される。 SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起 点をも含むSV40制限フラグメントとして簡便に得られる。フィアズ等、Natu re、273巻113頁[1978];ミュリガンおよびバーグ、Science、20 9巻1422−1427頁[1980];パヴラキス等、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA、78巻7398−7402頁[1981]。ヒトサイトメガロウイルスの即 時初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして簡便に得られる 。クリーナウェイ等、Gene、18巻355−360頁[1982]。ベクターと してウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主でのDNAを発現する系が米国特 許第4419446号に開示されている。この系の修飾は米国特許第46019 78号に記載されている。さらに、サルの細胞での免疫インターフェロンをコー ドしているcDNAの発現に関するグレイ等、Nature、295巻503−508 頁[1982];単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの 調節下でのマウス細胞におけるヒトβインターフェロンcDNAの発現に関する レイエス等、Nature、297巻598−601頁[1982];培養されたマウ スおよびウサギの細胞におけるヒトインターフェロンβ1遺伝子の発現に関する キャナーニおよびバーグ、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79巻5166−5170 頁[1982];ならびに、プロモーターとしてラウス肉腫ウイルスの長い末端 反復を用いた、CV−1サル腎臓細胞、鶏の胚線維芽細胞、チャイニーズハムス ター卵巣細胞、HeLa細胞、およびマウスNIH−3T3細胞における細菌C AT配列の発現に関するゴーマン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79巻6777 −6781頁[1982]を参照されたい。 (v)エンハンサー要素成分 本発明に係るmplリガンドをコードしているDNAの、高等真核生物による 転写は、しばしばベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強さ れる。エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増大させる、通常約 10ないし300bpの、cis作動要素のDNAである。エンハンサーは相対 的に、方向および位置に独立しており、転写ユニットの5'(ライミンズ等、Pro c.Natl.Acad.Sci.USA、78巻993頁[1981])および3'(ラスキー等、 Mol.Cell Bio.、3巻1108頁[1983])、イントロン内部(バネルジ等 、Cell、33巻729頁[1983])、およびコーティング配列自身の内部( オスボーン等、Mol.Cell Bio.、4巻1293頁[1984])に、見いだされ ている。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グ ロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェトプロテイン、およびインシュリ ン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが使用 されるであろう。例には、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(bp10 0−270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点 の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが包含 される。真核生物プロモーターの活性化のための増強要素についてのヤニヴ、Na ture、297巻17−18頁[1982]もまた参照されたい。エンハンサーは mplリガンドコード化配列の5'または3'位でベクター中にスプライスされ得 るが、好ましくはプロモーターから5'部位に位置する。 (vi)転写終止成分 真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、人間、または他の多細胞生物 由来の有核細胞)に使用される発現ベクターはさらに、転写の終止およびmRN Aの安定化に必要な配列を含むであろう。このような配列は普通、真核生物のま たはウイルスのDNAまたはcDNAの5'および時には3'非翻訳領域から取得 することができる。これらの領域は、mplリガンドをコードしているmRNA の非翻訳部分にポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグ メントを含んでいる。 (vii)ベクターの組み立ておよび分析 上に列挙された構成成分の1またはそれ以上を含む適当なベクターの組み立て には、標準的ライゲーション技術を使用する。分離されたプラスミドまたはDN Aフラグメントを開裂させ、整え、そして必要なプラスミドの生成のために望ま れる型に再ライゲーションする。 組み立てられたプラスミドが正しい配列であることを確認する分析のために、 ライゲーション混合物を用いてE.coli K12菌株294(ATCC No.3 1446)を形質転換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたはテトラ サイクリン耐性によって選択する。形質転換体からプラスミドを調製し、制限エ ンドヌクレアーゼ消化により分析し、そして/またはメシング等、Nucleic Acid s Res.、9巻309頁[1981]の方法によって、またはマクサム等、Method s in Enzymology、65巻499頁[1980]の方法によって配列決定する。 (viii)一過性発現ベクター 哺乳動物細胞においてmplリガンドポリペプチドをコードしているDNAの 一過性発現を提供する発現ベクターは、本発明の実施において特に有用である。 一般に、一過性発現は、宿主細胞が発現ベクターの多数のコピーを蓄積し、その 発現ベクターによりコードされている所望のポリペプチドを高レベルで合成する ように、宿主細胞中で効率的に複製できる発現ベクターを使用することを含む。 サムブルック等、上記、16.17−16.22頁。適当な発現ベクターおよび 宿主細胞からなる一過性発現系は、クローニングされたDNAによりコードされ ているポリペプチドの簡便な正の同定、および、所望の生物学的または生理学的 性質についての係るポリペプチドの迅速なスクリーニングを可能にする。よって 、一過性発現系は、mplリガンドポリペプチドの生物活性を有するmplリガ ンドポリペプチドの類似体および変異体を同定する目的のために本発明において 特に有用である。 (ix)好適な例示的脊椎動物細胞ベクター 組換え脊椎動物細胞培養でのmplリガンドの合成に当てはめるのに好適なそ の他の方法、ベクター、および宿主細胞は、ゲシング等、Nature、293巻62 0−625頁[1981];マンテイ等、Nature、281巻40−46頁[19 79];レヴィンソン等;EP117060;およびEP117058に記載さ れている。mplリガンドの哺乳動物細胞培養発現にとって特に有用なプラスミ ドは、pRK5(EP307247米国特許第5258287号)またはpSV 16B(PCT公開第WO91/08291号)である。 D.宿主細胞の選択および形質転換 本明細書に記載のベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞は、原 核生物、酵母、または上記の高等真核生物細胞である。適当な原核生物は、真性 細菌、例えばグラム陰性またはグラム陽性菌、例えば大腸菌、B.サブティリス のようなバシルス、P.アエルギノーサのようなシュードモナス種、サルモネラ ・ティフィムリウム、またはセラティア・マルセスキャンスを包含する。一つの 好ましい大腸菌クローニング宿主はE.coli294(ATCC No.31 446)であるが、E.coli B、E.coli X1776(ATCC N o.31537)およびE.coli W3110(ATCC No.27325 )のようなその他の菌株もまた適当である。これらの例は限定的ではなく例示的 なものである。好ましくは、宿主細胞は最少量の蛋白分解酵素を分泌すべきであ る。別法として、インビトロのクローニング方法、例えばPCRまたはその他の 核酸ポリメラーゼ反応もまた好適である。 原核生物に加えて、糸状菌または酵母のような真核微生物は、mplリガンド をコードしているベクターのための好適な宿主である。サッカロミセス・セレヴ ィシアエ、またはパン酵母は、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に用いられ る。しかしながら、幾つかのその他の属、種、および菌株、例えばシゾサッカロ ミセス・ポンベ(ビーチおよびナース、Nature、290巻140頁[1981] ;1985年5月2日公開のEP139383)、クルイヴェロミセス宿主(米 国特許第4943529号)、例えばK.ラクティス(ルーヴェンコート等、J. Bacteriol.、737頁[1983])、K.フラギリス、K.ブルガリクス、K .サーモトレランス、およびK.マルクシアヌス、ヤロウィア[EP40222 6]、ピチア・パストリス(EP183070;スリークリシュナ等、J.Basic Microbiol.、28巻265−278頁[1988]);カンディダ、トリコデル マ・リーシア(EP244234)、ニューロスポラ・クラッサ(ケイス等、Pr oc.Nat l.Acad.Sci.USA、76巻5259−5263頁[1979])、および糸状菌、 例えばニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラディウム(1991年1月1 0日公開のWO91/00357)、およびアスペルギルス宿主、例えばA.ニ デュランス(バランス等、Biochem.Biophys.Res.Commun.、112巻284−2 89頁[1983];ティルバーン等、Gene、26巻205−221頁[198 3];イェルトン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81巻1470−1474頁[ 1984])およびA.ニガー(ケリーおよびハインズ、EMBO J.、4巻475 −479頁[1985])もまた一般的に利用でき且つ本発明において有用である 。 グリコシル化mplリガンドの発現のための好適な宿主細胞が、多細胞生物か ら誘導される。このような宿主細胞は、複雑な処理およびグリコシル化活動が可 能である。原則として、脊椎動物または無脊椎動物培養由来の如何に拘わらず、 任意の高等真核生物細胞培養が使用可能である。無脊椎動物細胞の例には、植物 および昆虫細胞が包含される。多数のバキュロウイルス株および変異体ならびに 、スポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス・アエジプティ(蛾)、アエ デス・アルボピクトゥス(蛾)、ドゥロソフィラ・メラノガスター(ショウジョ ウバエ)、およびボンビクス・モリのような宿主からの対応する受容可能な昆虫 宿主細胞が特定されている。例えば、ラッコウ等、Bio/Technology、6巻47− 55頁[1988];ミラー等、Genetic Engineering、セットロウ等編、8巻 (プレナム・パブリッシング、1986)、277−279頁;およびマエダ等 、Nature、315巻592−594頁[1985]を参照されたい。トランスフ ェクションのための様々なウイルス株、例えばオートグラファ・カリフォルニカ NPVのL−1変異体およびボンビクス・モリNPVのBm−5株が広く入手可 能であり、このようなウイルスは、本発明に従い本明細書に記載のウイルスとし て、特にスポドブテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションに使用するこ とができる。 綿花、トウモロコシ、馬鈴薯、ダイズ、ペチュニア、トマト、およびタバコと いった植物細胞培養を宿主として利用できる。典型的には、mplリガンドDN Aを含むよう前もって操作しておいた細菌アグロバクテリウム・トゥメファシエ ンスの或る菌株と共にインキュベートすることにより、植物細胞をトランスフェ クトする。A.トゥメファシエンスと共に植物細胞培養をインキュベートする間 に、mplリガンドをコードしているDNAがその植物細胞宿主に移され、これ がトランスフェクトされ、そして適当な条件の下でmplリガンドDNAを発現 する。加えて、ノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル 配列のような植物細胞と共存し得る調節およびシグナル配列が利用できる。デピ ッカー等、J.Mol.Appl.Gen.、1巻561頁[1982]。さらに、T−DNA 780遺伝子の上流領域から分離されるDNAセグメントは、組換えDNA含有 植物組織中の植物発現遺伝子の転写レベルを活性化または増強することができる 。1989年6月21日公開のEP321196。 しかしながら、脊椎動物細胞への関心が最も高く、培養(組織培養)中での脊 椎動物細胞の増殖は、近年常套的手法となっている(ティシュー・カルチャー、 アカデミック・プレス、クルースおよびパターソン編[1973])。有用な哺 乳動物宿主セルラインの例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CVIラ イン(COS−7、ATCCCRL1651);ヒト胚腎臓ライン(293また は懸濁培養での増殖のためにサブクローニングされた293細胞。グラハム等、 J.Gen Virol.、36巻59頁[1977]。);ハムスター乳児腎細胞(BHK 、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(C HO、ウアラウプおよびチェイシン、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻4216 頁[1980]);マウスセルトリ細胞(TM4、マザー、Biol.Reprod.、23 巻243−251頁[1980]);サル腎細胞(CV1 ATCC CCL70 );アフリカミドリザル腎細胞(VERO−76、ATCC CRL−1587 );ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2);イヌ腎細胞(MDC K、ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATC C CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝 細胞(Hep G2、HB8065);マウス胸部腫瘍(MMT 060562、 ATCC CCL51);TRI細胞(マザー等、Annals.N.Y.Acad.Sci.、38 3巻44−68頁[1982]);MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝 癌 ライン(Hep G2)である。 宿主細胞をトランスフェクトし、そして好ましくは本発明に係る上記の発現ま たはクローニングベクターにより形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体 の選択、または所望配列をコードしている遺伝子の増幅のために適宜修飾した常 套的栄養培地で培養する。 トランスフェクションとは、コーディング配列が実際に発現されるか否かに拘 わらず、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを指す。多数のトランスフェク ションの方法、例えばCaPO4および電気穿孔が当業者に知られている。一般 に、宿主細胞内にこのベクターの作用の何らかの徴候が存在した時、トランスフ ェクションの成功が認められる。 形質転換とは、DNAが生物中に導入されその結果そのDNAが染色体外要素 としてまたは染色体構成要素により複製可能となることを意味する。使用される 宿主細胞に応じて、形質転換は、係る細胞にとって適当な標準技術を用いて行わ れる。サムブルック等、上記、の1.82項に記載される塩化カルシウムを使用 するカルシウム処理は、原核生物または実質的な細胞壁障壁を含むその他の細胞 に対して一般的に使用される。シャウ等、Gene、23巻315頁[1983]お よび1989年6月29日公開のWO89/05859に記載されるように、ア グロバクテリウム・トゥメファシエンスによる感染が、或る植物細胞の形質転換 に使用される。さらに、1991年1月10日公開のWO91/00358に記 載のように、超音波処理を用いて植物をトランスフェクトすることができる。こ のような細胞壁の無い哺乳動物細胞に対しては、グラハムおよびヴァン・デル・ エプ、Virology、52巻456−457頁[1978]の燐酸カルシウム沈澱法 が好ましい。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的側面は、アクセルにより1 983年8月16日登録の米国特許第4399216号に記載されている。酵母 の形質転換は、典型的には、ヴァン・ゾーリンゲン等、J.Bact.、130巻94 6頁[1977]およびシャオ等、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、76巻3829 頁[1979]の方法に従って実施する。しかしながら、DNAを細胞中に導入 するその他の方法、例えば、核注入、電気穿孔、またはプロトプラスト融合もま た使用できる。 E.宿主細胞の培養 本発明に係るmplリガンドポリペプチドの産生に使用される原核細胞は、サ ムブルック等、上記、に一般的に記載される適当な培地で培養される。 本発明に係るmplリガンドの産生に使用される哺乳動物宿主細胞は様々な培 地で培養することができる。ハムのF10(シグマ)、最少必須培地([MEM ]、シグマ)、RPMI−1640(シグマ)、およびダルベッコの改良イーグ ル培地([DMEM]、シグマ)のような市販品が入手できる培地が、当該宿主 細胞の培養に適している。さらに、ハムおよびワレス、Meth.Enz.、58巻44 頁[1979]、バーンズおよびサトー、Anal.Biochem.、102巻255頁[ 1980]、米国特許第4767704号;4657866号;4927762 号;もしくは4560655号;WO90/03430;WO87/00195 ;米国特許Re.30985;または同時係属のU.S.S.N.07/592 107または07/592141(共に1990年10月3日出願)に記載され る任意の培地を当該宿主細胞のための培養基として使用することができ、これら の内容は全て引用して本明細書の一部とする。これらの培地はいずれも、ホルモ ンおよび/またはその他の成長因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、 または表皮成長因子)、塩類(例えば塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウ ム、および燐酸塩)、緩衝剤(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデ ノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えばゲンタマイシン(商標)薬)、微量 元素(通常最終濃度がマイクロモルの範囲で存在する無機化合物と定義される) 、およびグルコースまたは同等のエネルギー源を、必要に応じて添加することが できる。他の必要な添加物もまた、当業者により知られる適当な濃度で含有させ ることができる。温度、pH等といった培養条件は、発現のために選択された宿 主細胞についてかつて用いられた条件であり、当業者には明らかであろう。 本明細書中で言及される宿主細胞は、インビトロ培養中の細胞および宿主動物 内にある細胞を包含する。 F.遺伝子の増幅/発現の検出 遺伝子の増幅および/または発現は、例えば、本明細書中に供される配列に基 づき、適当に標識されたプローブを用いて、常套的サザンブロッティング、mR NAの転写を定量するためのノーザンブロッティング(トマス、Proc.Natl.Acad .Sci.USA、77巻5201−5205頁[1980])、ドットブロッティング (DNA分析)、またはインサイトゥハイブリダイゼーションによって直接試料 中で測定することができる。様々な標識、最も一般的には放射性同位元素、特に32 Pが使用できる。しかしながら、ポリヌクレオチド中への導入のためのビオチ ン修飾されたヌクレオチドの使用といったようなその他の技術を利用することも できる。次いでこのビオチンは、広範囲の標識、例えば放射性核種、蛍光剤、酵 素等で標識することのできるアビジンまたは抗体への結合部位として働く。別法 として、DNA二本鎖、RNA二本鎖、およびDNA−RNAハイブリッド二本 鎖またはDNA−蛋白二本鎖を包含する特異的二本鎖を認識できる抗体を使用す ることもできる。次いで、抗体を標識し、二本鎖が表面に結合しているところで 検定を実施し、その結果、表面での二本鎖の形成の時点でその二本鎖に結合した 抗体の存在が検出できる。 別法として、遺伝子の発現を、組織切片の免疫組織化学的染色および細胞培養 または体液の検定といった免疫学的方法により測定して、遺伝子産物の発現を直 接定量することもできる。免疫組織化学的染色技術では、典型的には脱水および 固定により細胞試料を作成し、その後、結合した遺伝子産物に対し特異的な標識 化抗体と反応させるが、この標識は通常、酵素的標識、蛍光標識、ルミネセンス 標識等のような視覚的に検出できるものである。本発明における使用に好適な特 に鋭敏な染色技術は、シュー等、Am.J.Clin.Path.、75巻734−738頁[ 1980]に記載されている。 試料液の免疫組織化学的染色および/または検定に有用な抗体は、モノクロー ナルまたはポリクローナルのいずれかであってよく、任意の哺乳動物で作成する ことができる。簡便には、この抗体は、下にさらに記載されるように、天然mp lリガンドポリペプチドに対して、または本明細書に供されるDNA配列に基づ く合成ペプチドに対して作製することができる。 G.mplリガンドポリペプチドの精製 mplリガンドは、好ましくは分泌されたポリペプチドとして培地から回収さ れるが、分泌シグナル無しで直接発現される場合は、宿主細胞溶菌液から回収す ることもできる。 mplリガンドがヒト起源以外の組換え細胞で発現される場合、このmplリ ガンドは、ヒト起源の蛋白またはポリペプチドを全く含んでいない。しかしなが ら、mplリガンド自体に関して実質上均質な製品を得るためには、通常、mp lリガンドを他の組換え細胞蛋白またはポリペプチドから精製することがやはり 必要である。第一段階として、培地または溶菌液を遠心して粒状の細胞破片を除 去する。次に、膜および可溶性蛋白画分を分離する。別法として、市販品を入手 し得る蛋白濃縮フィルター(例えば、アミコンまたはミリポア・ペリコン限外濾 過ユニット)を使用することもできる。次いで、mplリガンドが膜に結合して いるかどうかに応じて、可溶性蛋白画分および培養溶菌液の膜画分からmplリ ガンドを精製することができる。その後mplリガンドを、塩析および種々のゲ ルマトリックスを用いる交換またはクロマトグラフィー法により、混在する可溶 性蛋白およびポリペプチドから精製する。これらのマトリックスは、蛋白精製の ために一般的な、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースおよ びその他を包含する。蛋白精製に好適なクロマトグラフィー法の例は、免疫親和 (例えば、抗hmplリガンドMab)、レセプター親和(例えば、mpl−I gGまたはプロテインAセファロース)、疎水性相互作用クロマトグラフィー( HIC)(例えば、エーテル、ブチル、またはフェニルトヨパール)、レクチン クロマトグラフィー(例えば、ConA−セファロース、レンズマメレクチン− セファロース)、サイズ排除(例えば、セファデックスG−75)、陽イオン− および陰イオン−交換カラム(例えば、DEAEまたはカルボキシメチル−およ びスルホプロピル−セルロース)および逆相高速液体クロマトグラフィー(RP −HPLC)(例えば、二つの連続したRP−HPLC工程を用いて組み換えヒ トIL−2を精製している、アーダル等、J.Chromatog.、296巻171頁[1 9 84]を参照されたい)を包含する。その他の精製工程は、所望により、エタノ ール沈澱化;硫酸アンモニウム沈澱化;クロマトフォーカシング;調製用SDS −PAGE等を包含する。 残基が除去され、挿入され、または置換されたmplリガンド変異体は、その 変異により惹起された実質的な性質の変化を考慮に入れて、天然mplリガンド と同じ様式で回収される。例えば、別の蛋白またはポリペプチド、例えば細菌ま たはウイルス抗原とのmplリガンド融合物の製造は、精製を促進し;当該抗原 に対する抗体を含む免疫親和カラムを用いて該融合ポリペプチドを吸着すること ができる。ウサギポリクローナル抗mplリガンドカラムのような免疫親和カラ ムを使用して、少なくとも1個の残存している免疫エピトープとmplリガンド 変異体を結合させることにより、mplリガンド変異体を吸収することができる 。別法として、mplリガンドは、アフイーゲル10(バイオ−ラド、リッチモ ンド、CA)等のような固定された樹脂に(好ましくは)結合させた精製mpl −IgGを使用する親和クロマトブラフィーにより、当分野で良く知られる手段 によって精製することができる。フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMS F)のようなプロテアーゼインヒビターもまた、精製中の蛋白分解的減成を阻害 するのに有用であり、また、偶発的汚染物質の成長を防止するため、抗生物質を 含有させることができる。当業者には、天然mplリガンドに好適な精製法は、 組換え細胞培養中での発現時のmplリガンドまたはその変異体の性質の変化を 説明できる修飾が必要となり得るという事が理解できるであろう。 H.mplリガンドポリペプチドの共有結合的修飾 mplリガンドポリペプチドの共有結合的修飾は本発明の範囲内に包含される 。天然mplリガンドおよびmplリガンドのアミノ酸配列変異体の両者は共有 結合的に修飾することができる。本発明の範囲内に包含される共有結合的修飾の 一つの型は、mplリガンドフラグメントである。約40までのアミノ酸残基を 有する変異体mplリガンドフラグメントは、化学合成または全長のもしくは変 異体のmplリガンドポリペプチドの酵素的または化学的開裂によって簡便に製 造することができる。mplリガンドもしくはそのフラグメントの共有結合的修 飾 の別の型は、mplリガンドもしくはそのフラグメントの標的アミノ酸残基を、 選ばれた側鎖またはNもしくはC末端残基と反応できる有機誘導体形成試薬と反 応させることによって、当該分子中に導入される。 システイン残基は、最も一般的にはα−ハロアセタート(および対応するアミ ン)、例えばクロロ酢酸またはクロロアセトアミドと反応させてカルボキシメチ ルまたはカルボキシアミドメチル誘導体を得る。システイン残基はまた、ブロモ トリフルオロアセトン、α−ブロモ−β−(5−イミドゾイル)プロピオン酸、 クロロアセチルホスファート、N−アルキルマレイミド、3−ニトロ−2−ピリ ジルジスルフィド、メチル2−ピリジルジスルフィド、p−クロロ水銀ベンゾア ート、2−クロロ水銀−4−ニトロフェノール、またはクロロ−7−ニトロベン ゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾールとの反応により、誘導体化される。 ヒスチジン残基はpH5.5−7.0でジエチルピロカルボナートとの反応に より誘導体化されるが、これは、この試薬がヒスチジン側鎖に対し相対的に特異 的であるためである。p−ブロモフェナシルブロミドもまた有用であり、この反 応は好ましくは0.1Mカコジル酸ナトリウム中pH6.0で実施する。 リジンおよびアミノ末端残基は無水琥珀酸またはその他のカルボン酸無水物と 反応する。これらの試薬を用いた誘導体形成は、リジン残基の電荷を逆転させる 効果を有する。−アミノ含有残基を誘導体化するためのその他の好適な試薬は、 イミドエステル類、例えばメチルピコリンイミダート;燐酸ピリドキサル;ピリ ドキサル;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O−メチルイ ソ尿素;2,4−ペンタンジオン;およびグリオキシラートを用いたトランスア ミナーゼにより触媒される反応を包含する。 アルギニン残基は1または数種の常套的試薬との反応により修飾され、それら の中にはフェニルグリオキサル、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサ ンジオン、およびニンヒドリンがある。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジ ン官能基の高いpKaのため、反応をアルカリ条件で行う必要がある。さらに、 これらの試薬は、アルギニンのε−アミノ基と同時にリジンの基とも反応するか も知れない。 チロシン残基の特異的修飾は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロ メタンとの反応によるチロシン残基へのスペクトル標識の導入に特段の興味を伴 って行われる。最も一般的には、N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロ メタンを使用して、それぞれO−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体が 形成される。チロシン残基は、ラジオイムノアッセイに使用するための標識化蛋 白を製造するために125Iまたは131Iを用いてヨウ素化され、上記のクロラミン T法が適当である。 カルボキシ側鎖(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R− N=C=N−R')[式中、RおよびR'は異なるアルキル基である]、例えば1 −シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−4−エチル)カルボジイミドまた は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルペンチル)カルボジイミ ドとの反応により、選択的に修飾される。さらに、アスパラギン酸およびグルタ ミン酸残基はアンモニウムイオンとの反応により、アスパラギンおよびグルタミ ン残基に変換される。 二価の試薬による誘導体形成は、抗mplリガンド抗体の精製のための方法で 使用するための、水不溶性支持体マトリックスまたは表面へのmplリガンドの 架橋にとって有用であり、逆もまた同様である。一般的に用いられる架橋剤は、 例えば1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデ ヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル類、例えば、4−アジドサリチル 酸とのエステル、3,3'−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオナート)のよ うなジスクシンイミジルエステル類を包含するホモ二価イミドエステル類、およ びビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二価マレイミド類を包含す る。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミダートのよう な誘導体形成試薬は、光の存在下で架橋を形成することのできる光活性化中間体 を生成する。別法として、臭化シアン活性化炭水化物のような反応性水不溶性マ トリックスおよび米国特許第3969287号;3691016号;41951 28号;4247642号;4229537号;および4330440号に記載 の反応性基質を、蛋白の固定に使用する。 グルタミンおよびアスパラギン残基はしばしば、各々対応するグルタミン酸お よびアスパラギン酸残基に脱アミド化される。これらの残基は中性または塩基性 条件下で脱アミド化される。これらの残基の脱アミド化型は本発明の範囲内にあ る。 その他の修飾には、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリンまたはス レオニン残基のヒドロキシ基の燐酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン 側鎖のαアミノ基のメチル化(T.E.クレイトン、プロテインズ:ストラクチ ャー・アンド・モレキュラー・プロパティーズ、W.H.フリーマン・アンド・ Co.、サンフランシスコ、79−86頁[1983])、N−末端アミンのア セチル化、およびC末端カルボキシ基のアミド化が包含される。 本発明の範囲に包含されるmplリガンドポリペプチドのもう一つの型の共有 結合的修飾は、該ポリペプチドの天然グリコシル化パターンの変更を含む。変更 とは、天然mplリガンド中に見いだされる1またはそれ以上の炭水化物部分を 除去し、そして/または天然mplリガンドに存在しない1またはそれ以上のグ リコシル化部位を付加することを意味する。 ポリペプチドのグリコシル化は典型的にはN結合またはO結合のいずれかであ る。N結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリ ペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン[ ここでXは、プロリン以外の任意のアミノ酸である]が、アスパラギン側鎖への 炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、これらのトリ ペプチド配列のいずれかがポリペプチド中に存在すると、可能性あるグリコシル 化部位が作り出される。O結合グリコシル化とは、糖N−アセチルガラクトサミ ン、ガラクトース、またはキシロースのうちの一つが、ヒドロキシアミノ酸、最 も一般的にはセリンまたはスレオニンに結合することを指すが、5−ヒドロキシ プロリンまたは5−ヒドロキシリジンが使われることもある。 mplリガンドポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列が 、上記トリペプチド配列の1またはそれ以上を含むよう、該アミノ酸配列を変化 させることにより、簡便に達成される(N結合グリコシル化部位の場合)。この 変 化は、天然mplリガンド配列への1またはそれ以上のセリンまたはスレオニン 残基の付加、またはそれらによる置換によっても行うことができる(O結合グリ コシル化部位の場合)。容易にするためには、mplリガンドアミノ酸配列は、 好ましくはDNDレベルでの変化によって、特に、mplリガンドポリペプチド をコードしているDNAを、所望アミノ酸に翻訳されるようなコドンが生成する ように、前もって選択された塩基の位置で突然変異させることによって変化させ る。このDNA突然変異は、「mplリガンドのアミノ酸配列変異体」という表 題の下に上で記載された方法を用いて行うことができる。 mplリガンド上の炭水化物部分の数を増す、もう一つの手段は、該ポリペプ チドへのグリコシドの化学的または酵素的結合によるものである。これらの方法 は、NまたはO結合グリコシル化のためのグリコシル化能を有する宿主細胞中で 該ポリペプチドを産生させる必要が無いという点で有利である。使用される結合 様式に応じて、糖は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離カルボキ シ基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えばシステインの遊離スルフヒドリル基 、(d)遊離ヒドロキシ基、例えばセリン、スレオニン、またはヒドロキシプロ リンの遊離ヒドロキシ基、(e)芳香族残基、例えばフェニルアラニン、チロシ ン、またはトリプトファンの芳香族残基、または(f)グルタミンのアミド基、 に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日公開のWO8 7/05330、およびアプリンおよびリストン、CRC Crit.Rev.Biochem.、2 59−306頁[1981]に記載されている。 mplリガンドポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的また は酵素的に達成できる。化学的脱グリコシル化は、該ポリペプチドを、化合物ト リフルオロメタンスルホン酸、または同等の化合物に暴露させる必要がある。こ の処理は、該ポリペプチドを無傷のまま残しつつ、結合糖(N−アセチルグルコ サミンまたはN−アセチルガラクトサミン)以外の殆どまたは全ての糖の開裂を もたらす。化学的脱グリコシル化は、ハキムディン等、Arch.Biochem.Biophys. 、259巻52頁[1987]およびエッジ等、Anal.Biochem.、118巻13 1頁[1981]に記載されている。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的開 裂 は、ソタクラ等、Meth.Enzymol.,138巻350頁[1987]に記載のよう な様々なエンドおよびエキソグリコシダーゼの使用によって達成することができ る。 可能性あるグリコシル化部位でのグリコシル化は、ダスキン等、J.Biol.Chem. 、257巻3105頁[1982]に記載されるように化合物ツニカマイシンの 使用によって防止することができる。ツニカマイシンは、蛋白−N−グリコシド 結合の形成を遮断する。 mplリガンドの共有結合的修飾のもう一つの型は、米国特許第464083 5号;4496689号;4301144号;4670417号;479119 2号または4179337号に開示される方法で、mplリガンドポリペプチド を、様々な非蛋白性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレン グリコール、またはポリオキシアルキレン類のうちの一つに結合させることを含 む。前記のポリマーと共有結合したmplリガンドポリペプチドを、本明細書中 、ペギレイティドmplリガンドポリペプチドと称する。 mplへの結合および上に定義された免疫学的および/または生物学的活性の 所有について最適な変異体を選択するため、回収されたmplリガンド変異体の 何らかのスクリーニングが必要であることは理解されるであろう。組換え細胞培 養中または血漿中での安定性(例えば、蛋白分解的開裂に対する)、mpl成員 に対する高親和性、酸化的安定性、高収量で分泌される能力等についてスクリー ニングすることができる。例えば、与えられた抗体に対する親和性といったよう なmplリガンドポリペプチドの免疫学的性格の変化は、競合型イムノアッセイ により測定される。酸化還元または熱安定性、疎水性、または蛋白分解的減成の 受け易さといったようなその他の可能性ある蛋白またはポリペプチドの性質の修 飾は、当分野で良く知られる方法によって検定される。 17.mplリガンドに対する抗体製造のための一般的方法 抗体の製造 (i)ポリクローナル抗体 mplリガンドポリペプチドまたはフラグメントに対するポリクローナル抗体 は一般に、mplリガンドおよびアジュバントを複数回皮下(sc)または腹腔 内(ip)注射することにより、動物において作製される。mplリガンドまた は標的アミノ酸配列を含むフラグメントを、二価または誘導体形成試薬、例えば マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介する コンジュゲーション)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する) 、グルタルアルデヒド、無水琥珀酸、SOCl2、またはR1N=C=NR[式中 、RおよびR1は異なるアルキル基である]を用いて、免疫される種において免 疫原性である蛋白、例えばスカシガイヘモシアニン、血清アルブミン、牛チログ ロブリン、または大豆トリプシンインヒビターとコンジュゲートさせることが有 用であるかも知れない。 動物は、ペプチドまたはコンジュゲート1mgまたは1μg(それぞれウサギ またはマウスの場合)を完全フロイントアジュバント3容量と合し、この溶液を 複数部位に皮内注射することによって、mplリガンドポリペプチドもしくはフ ラグメント、免疫原性コンジュゲートまたは誘導体に対して免疫する。1ヶ月後 、この動物を、完全フロイントアジュバントに入れた初回量の1/5ないし1/ 10のペプチドまたはコンジュゲートを用いて複数部位に皮下注射することによ り、追加免疫する。7ないし14日後、動物を採血し、mplリガンド抗体価に ついて血清を検定する。動物は、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。好 ましくは、動物は、同じmplリガンドのコンジュゲートで、但し異なった蛋白 にコンジュゲートさせた、そして/または異なった架橋剤を介してコンジュゲー トさせたコンジュゲートで追加免疫する。コンジュゲートはまた、蛋白融合とし て組換え細胞培養中で製造することができる。さらに、ミョウバンのような凝集 化剤が、免疫反応の増強のために使用される。 (ii)モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、実質上均質な抗体の集団、即ち、その集団を構成する 個々の抗体が、少量存在するかも知れない天然に起こる可能性のある突然変異を 除いて同一であるような集団から取得される。したがって、修飾語「モノクロー ナル」とは、別々の抗体の混合物ではないという、抗体の性格を示している。 例えば、本発明に係るmplリガンドモノクローナル抗体は、コーラーおよび ミルシュタイン、Nature、256巻495頁[1975]により最初に記載され たハイブリドーマ法を用いて作製でき、または組換えDNA法(米国特許第48 16567号[キャビリー等])によって作製することができる。 ハイブリドーマ法においては、マウスまたはその他の適当な宿主動物、例えば ハムスターを上記のように免疫し、免疫に用いられた蛋白と特異的に結合する抗 体を産生する、または産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、 リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレ ングリコールのような適当な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリド ーマ細胞を形成させる(ゴディング、モノクローナル・アンティボディーズ:プ リンシプルズ・アンド・プラクティス、59−103頁[アカデミック・プレス 、1986])。 このようにして製造されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫 細胞の増殖または生存を阻害する1またはそれ以上の物質を好ましくは含有する 適当な培養基に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチ ングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT) を欠失するならば、ハイブリドーマのための培養基は、典型的には、HGPRT −欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、および チミジンを含有するであろう(HAT培地)。 好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体 の安定な高レベルの発現を支持し、そしてHAT培地のような培地に対して感受 性である細胞である。これらの中でも、好ましい骨髄腫セルラインは、マウス骨 髄腫ライン、例えば、ソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューシ ョン・センター、サンディエゴ、カリフォルニア、USAより入手し得るMOP C−21およびMPC−11マウス腫瘍、ならびに、アメリカン・タイプ・カル チャー・コレクション、ロックヴィル、メリーランド、USAより入手し得るS P−2細胞から誘導されるものである。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒトヘテロ骨 髄腫セルラインもまたヒトモノクローナル抗体の産生のために記載されている( コズ ボア、J.Immunol.、133巻3001頁[1984];ブロデュア等、モノクロ ーナル・アンティボディー・プロダクション・テクニークス・アンド・アプリケ ーションズ、51−63頁、マーセル・デッカー、Inc.、ニューヨーク、1 987)。 ハイブリドーマ細胞が生育している培養基を、mplリガンドに対するモノク ローナル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により 産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降またはインビトロ結合 検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着検定(E LISA)によって測定する。 モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、マンソンおよびポラード、Anal .Biochem.、107巻220頁[1980]のスキャッチャード分析により測定 することができる。 ハイブリドーマ細胞が所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産 生することが確定された後、このクローンを限界希釈法によりサブクローニング し、標準法により増殖させることができる(ゴディング、上記)。この目的にと って好適な培養基は、例えば、ダルベッコの改良イーグル培地またはRPMI1 640培地を包含する。加えて、このハイブリドーマ細胞は、動物において腹水 症腫瘍としてインビボで増殖させることができる。 サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA− セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析 、または親和クロマトグラフィーのような常套的免疫グロブリン精製法により、 培地、腹水、または血清から好適に分離される。 本発明に係るモノクローナル抗体をコードしているDNAは、常法を用いて( 例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合で きるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)容易に分離および配列決 定される。本発明に係るハイブリドーマ細胞は、係るDNAの好ましい供給源と して働く。分離されたならば、このDNAは発現ベクター中に入れ、次にこれを 、この状況以外では免疫グロブリン蛋白を産生しないサルCOS細胞、チャイニ ー ズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞のような宿主細胞中にトラ ンスフェクトし、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得する ことができる。このDNAはまた、例えば、ヒト重鎖および軽鎖不変ドメインの コード化配列を、ホモローガスなマウス配列の代わりに置換することにより(キ ャビリー等、上記;モリソン等、Proc.Nat.Acad.Sci.、81巻6851頁[19 84])、または、免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチ ドのコード化配列の一部または全てを共有結合させることにより、修飾すること ができる。 典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明に係る抗体 の不変ドメインを置換し、または本発明に係る抗体の1個の抗原結合部位の可変 ドメインを置換して、mplリガンドに対する特異性を有する1個の抗原結合部 位、および異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位を含むキ メラ二価抗体を作り出す。 キメラまたはハイブリッド抗体は、架橋剤を用いる方法を包含する、合成蛋白 化学において既知の方法を用いてインビトロで製造することもできる。例えば、 免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエステル結合を形成す ることにより、組み立てることができる。この目的のための好適な試薬は、イミ ノチオラートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミダートを包含する。 診断への適用のため、本発明に係る抗体は、典型的には検出し得る原子団で標 識されるであろう。検出し得る原子団は、検出し得るシグナルを直接的または間 接的に生成することのできる任意のものとすることができる。例えば、検出し得 る原子団は、3H、14C、32P、35S、または125Iのような放射性同位元素、蛍 光または化学ルミネセンス化合物、例えばフルオレセインイソチオシアナート、 ローダミン、またはルシフェリン;放射性同位元素標識、例えば125I、32P、1 4 C、または3H、または酵素、例えばアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシ ダーゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼであってよい。 ハンター等、Nature、44巻945頁[1962];デイヴィッド等、Bioche mistry、13巻1014頁[1974];ペイン等、J.Immunol.Meth.、40 巻219頁[1981];およびニグレン、J.Histochem.and Cytochem.、30 巻407頁[1982]に記載の方法を包含する、検出し得る原子団と抗体を個 別にコンジュゲートするための当分野で知られる任意の方法を使用することがで きる。 本発明に係る抗体は、競合的結合検定、直接および間接サンドイッチ検定、お よび免疫沈降検定といったような任意の既知の検定法に使用することができる。 ゾラ、モノクローナル・アンティボディーズ:ア・マニュアル・オブ・テクニー クス、147−158頁(CRCプレス、Inc.、1987)。 競合的結合検定は、標識された標準(これはmplリガンドまたはその免疫学 的に活性な部分であってよい)が限られた量の抗体との結合について被験試料検 体(mplリガンド)と競合する能力に依るものである。被験試料中のmplリ ガンドの量は、抗体と結合するようになる標準の量と逆比例する。結合するよう になる標準の量の測定を容易にするため、抗体は一般に競合の前または後で不溶 化し、その結果抗体に結合する標準および検体が、未結合のままである標準およ び検体から簡便に分離され得るようにする。 サンドイッチ検定は二つの抗体の使用を含み、各々が、検出すべき蛋白(mp lリガンド)の異なる免疫原性部分またはエピトープと結合することができる。 サンドイッチ検定においては、被験試料検体は、固体支持体上に固定された第一 の抗体と結合し、その後第二の抗体が検体と結合し、こうして不溶性三部複合体 が形成される。デイヴィッドおよびグリーン、米国特許第4376110号。第 二の抗体は、自身検出し得る原子団で標識されていてよく(直接サンドイッチ検 定)、または検出し得る原子団で標識された抗免疫グロブリン抗体を用いて測定 することもできる(間接サンドイッチ検定)。例えば、サンドイッチ検定の一つ の型はELISA検定であり、この場合検出し得る原子団は酵素(例えば、西洋 ワサビペルオキシダーゼ)である。 (iii)ヒト化およびヒト抗体 非ヒト抗体をヒト化する方法は当分野で良く知られている。一般に、ヒト化抗 体は、ヒト以外の供給源から導入された1またはそれ以上のアミノ酸残基を有す る。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば「移入」残基と呼ばれ、これは典型 的には「移入」可変ドメインから取られている。ヒト化は、本質的にはウィンタ ーおよび共同研究者の方法(ジョーンズ等、Nature、321巻522−525頁 [1986];リーチマン等、Nature、332巻323−327頁[1988] ;ベルホーエン等、Science、239巻1534−1536頁[1988])に 従って、齧歯類CDRまたはCDR配列でヒト抗体の対応配列を置換することに より、実施することができる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、無傷 のヒト可変ドメインより実質上小さい部分が非ヒト種由来の対応配列によって置 換されている、キメラ抗体である(キャビリー等、上記)。実際、ヒト化抗体は 、典型的には、幾つかのCDR残基およびことによると幾つかのFR残基が、齧 歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。 ヒト化抗体の作製に使用される軽鎖および重鎖両方のヒト可変ドメインの選択 は、抗原性を低下させるために極めて重要である。いわゆる「ベストフィット」 法に従うと、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列の 全ライブラリーに対してスクリーニングする。次いで、その齧歯類の配列に最も 近いヒト配列を、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入 れる(シムズ等、J.Immunol.、151巻2296頁[1993];チョシアおよ びレスク、J.Mol.Biol.、196巻901頁[1987])。もう一つの方法は 、軽鎖および重鎖の特定のサブグループにある、全てのヒト抗体の共通配列から 誘導される特定のフレームワークを使用するものである。同じフレームワークを 幾つかの異なるヒト化抗体に使用することができる(カーター等、Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA、89巻4285頁[1992];プレスタ等、J.Immunol.、151 巻2623頁[1993])。 さらに、抗体は、抗原に対する高親和性およびその他の望ましい生物学的性質 を保持したままヒト化することが重要である。この目的を達成するため、好まし い態様によれば、親配列および様々な概念的ヒト化生成物を、親およびヒト化配 列の三次元モデルを用いて分析する工程によって、ヒト化抗体を製造する。三次 元免疫グロブリンモデルは一般に利用でき、当業者には良く知られている。選ば れた候補免疫グロブリン配列の可能な三次元コンホメーション構造を例示し表示 するコンピュータープログラムが利用できる。これらの表示を調べることにより 、候補免疫グロブリン配列の機能における当該残基の可能な役割の分析、即ち、 候補免疫グロブリンがその抗原を結合させる能力に影響を及ぼす残基の分析、が 可能となる。このようにして共通および移入配列からのFR残基を選択しそして 、結びつけることができ、その結果、所望の抗体の性格、例えば標的抗原に対す る親和性の増加が達成される。一般に、CDR残基は、直接且つ最も実質的に抗 原結合への影響に関与する。さらなる詳細については、1991年6月14日出 願の出願番号第07/715272号の一部継続出願である1992年8月21 日出願の米国出願第07/934373号を参照されたい。 別法として、免疫時に内因性免疫グロブリンの産生無しにヒト抗体の全レパー トリーを産生することのできる、形質転換動物(例えば、マウス)を作ることが 現在可能である。例えば、キメラおよび生殖系列突然変異体マウスにおける抗体 重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をも たらすということが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスでの ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原チャレンジ時にヒト抗体の 産生をもたらすであろう。例えば、ジャコボヴィッツ等、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA、90巻2551−255頁[1993];ジャコボヴィッツ等、Nature、3 62巻255−258頁[1993];ブラガーマン等、Year in Immuno.、7 巻33頁[1993]を参照されたい。ヒト抗体は、ファージディスプレーライ ブラリーで産生させることもできる(フーゲンブームおよびウィンター、J.Mol. Biol.、227、381[1991];マークス等、J.Mol.Biol.、222、58 1[1991])。 (iv)二重特異性抗体 二重特異性抗体は、少なくとも二つの異なる抗原に対する結合特異性を有する 、モノクローナルの、好ましくはヒト抗体またはヒト化抗体である。二重特異性 抗体を作製する方法は当分野において既知である。 常套的には、二重特異性抗体の組換え産生は二つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖 の対の同時発現に基づき、ここでこの二つの重鎖は異なる特異性を持っている( ミルシュタインおよびキュエロ、Nature、305巻537−539頁[1983 ])。免疫グロブリン重鎖および軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これ らのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物 を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性構造を有する。通常、親和クロ マトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、そし て生成物の収率は低い。同様の方法は、PCT公開第WO93/08829号( 1993年5月13日公開)およびトラウネッカー等、EMBO、10巻3655− 3659頁[1991]に開示されている。 異なったそしてより好ましいアプローチによると、所望の結合特異性を有する 抗体可変ドメイン(抗原−抗体結合部位)を、免疫グロブリン不変ドメイン配列 と融合させる。この融合は好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2および CH3領域を含む免疫グロブリン重鎖不変ドメインとの融合である。軽鎖の結合 に必要な部位を含む第一の重鎖不変領域(CH1)を、融合の少なくとも一つに 存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、および、所望ならば免 疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、 適当な宿主生物に同時トランスフェクトする。この事により、組み立てに使用さ れる三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適の収率を提供する態様におい て、三つのポリペプチドフラグメントの相互の割合の調節に大きな融通性が与え られる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収 率をもたらす時、または、その比率が特に重要性を持たない時は、2または3個 全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を一つの発現ベクターに挿入するこ とが可能である。このアプローチの好ましい態様において、二重特異性抗体は、 第一の結合特異性を有する一方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖、そして 他方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第二の結合特異性を提供 する)で構成される。その二重特異性分子の半分しか免疫グロブリン軽鎖がない ことで容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性 化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすると わかった。このアプローチは、1992年8月17日出願の同時係属出願第07 /931811号に開示されている。 二重特異性抗体を作製するさらなる詳細については、例えばスレッシュ等、Me thods in Enzymology、121巻210頁[1986]を参照されたい。 (v)ヘテロコンジュゲート抗体 ヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲー ト抗体は、共有結合により連結した二つの抗体で構成される。このような抗体は 、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞を標的とするため(米国特許第467 6980号)、そしてHIV感染の処置のため(PCT公開第WO91/003 60およびWO92/00373;EP03089)に提唱された。ヘテロコン ジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な 架橋剤は当分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第 4676980号に開示されている。 IV.巨核球形成蛋白mplリガンドの治療用途 造血エフェクター機能を持ち本明細書中巨核球形成または血小板形成蛋白(T PO)と称される生物活性mplリガンドは、無菌薬用調製物または製剤に使用 され、血小板の産生障害、破壊、または破壊の増加による血小板減少症に罹患し ている患者において巨核球形成または血小板形成活性を刺激することができる。 血小板減少症に随伴する骨髄形成不全(例えば、化学療法または骨髄移植後の再 生不良性貧血)は、播種性血管内凝固(DIC)、免疫血小板減少症(HIV誘 発性ITPおよび非HIV誘発性ITPを包含する)、慢性特発性血小板減少症 、先天性血小板減少症、脊髄異形成、および血栓性血小板減少症と同様、本発明 に係る化合物を用いて有効に処置することができる。さらに、これらの巨核球形 成蛋白は、骨髄増殖性血小板増加疾患および炎症状態からの血小板増加症の処置 ならびに鉄欠乏症に有用であり得る。 本発明に係る巨核球形成または血小板形成蛋白(TPO)の好ましい用途は、 白血病または充実性腫瘍の処置のための骨髄毒性化学療法、オートロガスなまた は同種内の骨髄移植のための骨髄切除化学療法、脊髄異形成、特発性再生不良性 貧血、先天性血小板減少症、および免疫血小板減少症への用途である。 本発明に係る巨核球形成蛋白により有効に処置されるさらに別の疾患は、薬物 、人工的表面上での毒作用または活性化からもたらされる血小板の欠損または損 傷を包含する。これらの場合、本化合物を使用して、新たな「損傷を受けていな い」血小板の「放散」を刺激することができる。有用な適用のさらに完全な一覧 については、上記「背景」、特に(a)−(f)項およびそこに引用されている 文献を参照されたい。 本発明に係る巨核球形成蛋白は、単独で、または他のサイトカイン、造血素、 インターロイキン、成長因子、または抗体と組み合わせて、上に定義された疾患 および状態の処置に使用することができる。よって本化合物は、G−CSF、G M−CSF、LIF、M−CSF、IL−1、IL−3、エリスロポエチン(E PO)、kitリガンド、IL−6、およびIL−11を包含する、血小板形成 活性を有する他の蛋白またはペプチドと組み合わせて使用できる。 本発明に係る巨核球形成蛋白は、薬学上許容し得る担体と混合して製造される 。この治療用組成物は、静脈内または鼻もしくは肺を介して投与することができ る。さらにこの組成物は、所望により非経口的または皮下投与することもできる 。全身的に投与される場合、この治療用組成物は発熱性物質を含まず、pH、等 張性、および安定性に十分配慮した非経口投与のために許容し得る溶液中にある べきである。これらの条件は当業者には知られている。簡潔に述べると、本発明 に係る化合物の投薬用製剤は、所望の純度を有する本化合物を、生理学上許容し 得る担体、賦形剤、または安定剤と混合することによって貯蔵用または投与用に 製造される。係る材料は、用いられる用量および濃度において受容者にとって非 毒性であり、燐酸、クエン酸、酢酸およびその他の有機酸塩のような緩衝剤;ア スコルビン酸のような抗酸化剤;ポリアルギニンのような低分子量(約10残基 未満)のペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンのような 蛋白;ポリビニルピロリジノンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン 酸、アスパラギン酸、またはアルギニンのようなアミノ酸;セルロースまたはそ の誘導 体、グルコース、マンノース、またはデキストリンを包含する、単糖類、二糖類 、およびその他の炭水化物;EDTAのようなキレート試薬;マンニトールまた はソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような対イオンおよび/ま たはトゥイーン、プルロニクスまたはポリエチレングリコールのような非イオン 性界面活性剤を包含する。 遊離の酸もしくは塩基型または薬学上許容し得る塩としての巨核球形成蛋白の 一つの化合物または混合物約0.5ないし500mgを、容認されている薬学上 の実務が要求するように、生理学上許容し得る媒質、担体、賦形剤、結合材、保 存剤、安定剤、香料等と混合する。これらの組成物中の活性成分の量は、指示さ れた範囲内の適切な用量が得られるような量である。 注射用無菌組成物は、常套的薬学実務に従って調合することができる。例えば 、水、またはゴマ、落花生もしくは綿実油のような天然に存在する植物油のよう な媒質、またはオレイン酸エチル等のような合成脂肪媒質への活性化合物の溶解 または懸濁が望ましいかも知れない。容認されている薬学実務に従って、緩衝剤 、保存剤、抗酸化剤などを加えることができる。 徐放製剤の適当な例は、当該ポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半 透過性マトリックスであって、このマトリックスが、成型された物体、例えばフ ィルムまたはマイクロカプセルである、マトリックスを包含する。徐放性マトリ ックスの例は、ポリエステル類、ヒドロゲル類[例えば、ランガー等、J.Biomed .Mater.Res.、15巻167−277頁[1981]およびランガー、Chem.Tech .、12巻98−105頁[1982]に記載のポリ(2−ヒドロキシエチル− メタクリラート)またはポリ(ビニルアルコール)]、ポリアクチド類(米国特 許第3773919号、EP58481)、L−グルタミン酸およびγエチル− L−グルタマートのコポリマー(シドマン等、Biopolymers、22巻547−5 56頁[1983])、非分解性エチレン−ビニルアセタート(ランガー等、上 記)、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えばルプロン・デポ(商標)( 乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射可能な ミクロスフェア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133 988) を包含する。 エチレン−ビニルアセタートおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは1 00日間にわたり分子を放出できるが、或るヒドロゲルは蛋白をより短時間放出 する。カプセル化された蛋白が長時間体内にとどまる時、37℃で水分にさらさ れる結果としてそれらは変性または凝集し、生物活性の喪失および免疫原性の変 化が起こり得る。関係する機構に応じた蛋白の安定化のために、合理的な戦略を 考え出すことができる。例えば、凝集の機構が、ジスルフィド交換による分子間 S−S結合の形成であることが発見されたなら、安定化は、スルフヒドリル残基 の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の調節、適当な添加剤の使用、お よび特異的ポリマーマトリックス組成物の開発により、達成することができる。 徐放性巨核球形成蛋白組成物は、リポソームに捕捉された巨核球形成蛋白をも 包含する。巨核球形成蛋白を含有するリポソームは、自体既知の方法によって製 造される:DE3218121;エプシュタイン等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、 82巻3688−3692頁[1985];ファング等、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA、77巻4030−4034頁[1980];EP52322;EP3667 6;EP88046;EP143949;EP142641;日本国特許出願8 3−118008;米国特許第4485045および4544545;ならびに EP102324。通常、リポソームは、脂質含有量が約30mol.%コレス テロール以上である、小さな(約200−800オングストローム)単層型のも のであり、選択される比率は最適な巨核球形成蛋白治療法のために調節される。 用量は、疾患の重篤度および型、体重、性別、食餌、投与の時間および経路、 他の薬物療法ならびにその他の関連する臨床上の因子を包含する、薬物の作用を 修飾することが知られている様々な因子を考慮に入れて、処置に臨む医師により 決定されるてあろう。典型的には、日用量は0.1−100μg/kg体重の範 囲であろう。好ましくは、用量は0.1−50μg/kg体重の範囲であろう。 より好ましくは、初期用量は1ないし5μg/kg/日となるであろう。所望に より、この用量範囲は、他のサイトカイン、特にG−CSF、GM−CSF、お よびEPOの用量範囲と同じになるであろう。治療上の有効用量はインビトロま たはインビボいずれかの方法によって決定することができる。 実施例 当業者の一人は、これ以上の説明が無くとも、上の記載および例示的実施例を 用いて本発明を完全に実施および利用できると信じられる。故に、以下の実用的 実施例は、本発明の好ましい態様を特に指摘するものであり、いかなるやり方に よっても、開示の残りの部分を限定するものと解してはならない。 実施例1 ブタmplリガンドの部分的精製 正常なまたは再生不良性貧血のブタから血小板の僅少な血漿を集めた。ブタは 、4mEV線形加速器を用いて900cGyの全身照射で照射することにより再 生不良性とした。照射されたブタは6−8日間、セファゾリンの筋肉内注射で支 援した。続いて、その全血容量を全身麻酔下に採取し、ヘパリン処理し、そして 1800xgで30分間遠心して血小板僅少血漿を作成した。巨核球刺激活性は 照射の6日後にピークとなることがわかった。 照射されたブタから得られた再生不良性ブタ血漿をNaClで4Mとし、室温 で30分間攪拌する。得られた沈澱をソルヴォールRC3B中3800rpmで 遠心することにより除去し、上清を、4M NaClを含有する10mM NaP O4で平衡化したフェニル−トヨパールカラム(220ml)にロードする。A2 80 が<0.05となるまでカラムをこの緩衝液で洗浄し、dH2Oで溶離する。 溶出した蛋白のピークをdH2Oで15mSの伝導度まで希釈し、PBSで平衡 化した(240ml)ブルー−セファロースカラムにロードする。続いてこのカ ラムを、2M尿素を含有する10mM NaPO4(pH7.4)およびPBS各 々5カラム容量で洗浄する。蛋白を、2M尿素および1M NaClを含有する 10mM NaPO4(pH7.4)でカラムから溶離する。溶出した蛋白のピー クを0.01%オクチルグルコシド(n−オクチルβ−D−グルコピラノシド) ならびにEDTAおよぴペファブロック(ベーリンガー・マンハイム)各1mM とし、縦に連結させたCD4−IgG(D.J.カポン等、Nature、337巻5 25−531頁[1989])およびmpl−IgGウルトラリンク(ピアス) カラムに直接ロードする(下記参照)。試料をロードした後CD4−IgG(2 ml)カラムをはずし、mpl−IgG(4ml)カラムを、各10カラム容量 のPBSおよび2M NaClを含有するPBSで洗浄し、0.1Mグリシン− HCl(pH2.25)で溶離する。画分は1/10容量の1Mトリス−HCl (pH8.0)中に集める。 mpl−親和カラムから溶出した画分を還元条件下で実施するSDS−PAG E(4−20%、ノヴェックスゲル)により分析すると、幾つかの蛋白の存在が 明らかとなった(図5)。銀染色の強度が最も強い蛋白は、見掛けのMr660 00、55000、30000、28000および14000で分離する。これ らの蛋白のうちいずれがBa/F3−mpl細胞培養の増殖を刺激するかを決定 するため、これらの蛋白を下記実施例2に記載のようにゲルから溶離した。 ウルトラリンク親和カラム PBS中のmpl−IgGまたはCD4−IgG 10−20mgを製造者の 指示に記載のようにウルトラリンク樹脂(ピアス)0.5gと結合させる。 mpl−IgGの組み立ておよび発現 ヒトmplの細胞外ドメイン全体(アミノ酸1−491)およびヒトIgG1 分子のFc領域からなるキメラ分子を293細胞で発現させた。ヒトmplのア ミノ酸1−491をコードしているcDNAフラグメントをヒト巨核球CMK細 胞cDNAライブラリーからPCRによって取得し、配列決定した。ClaI部 位を5'末端に、そしてBstEII部位を3'末端に挿入した。このフラグメント をブルースクリプトベクターのIgGI Fcコード化領域の上流のClaIお よびBstEII部位の間に、PCR生成物をBstEIIで部分消化した後、クロ ーニングした。何故ならあと2個のBstEII部位がmplの細胞外ドメインを コードしているDNAに存在しているからである。mplPCR生成物の3'末 端に導入されたBstEII部位は、mpl細胞外ドメインを伴うフレーム内Fc 領域を有するよう設計された。この組み立て物をpRK5−tkneoベクター 中に、ClaIおよびXbaI部位の間にサブクローニングし、燐酸カルシウム 法によって293ヒト胚腎細胞中にトランスフェクトした。細胞を0.4mg/ mlのG418で選択し、個々のクローンを分離した。分離されたクローンから のmpl−IgG発現をヒトFc特異的ELISAを用いて測定した。最良の発 現クローンは1−2mg/mlのmpl−IgGの発現レベルを有していた。 Ba/F3 mpl P 発現細胞 ヒトmpl Pのコード化領域全体に対応するcDNAをpRK5−tkne o中にクローニングし、これを引き続きNotIで線状化し、IL−3依存セル ラインBa/F3に電気穿孔によってトランスフェクトした(1x107細胞、 9605F、250ボルト)。3日後、2mg/mlのG418の存在下で選択 を開始した。プールまたは個々のクローンとして選択された細胞を、96ウェル プレートでの限界希釈により取得した。選択された細胞を、15%FBS、1m g/ml G418、20mMグルタミン、10mM HEPESおよび100μ g/ml Pen−Strepを含有するRPMI中に維持した。選択されたク ローンでのmpl Pの発現を、抗mplPウサギポリクローナル抗体を用いる FACS分析により測定した。 Ba/F3 mplリガンド検定 図2に示されるようにmplリガンド検定を実施した。種々の供給源からのm plリガンドの存在を決定するため、mpl P Ba/F3細胞を、37℃の5 %CO2および空気中の加湿インキュベーター中、細胞密度5x105細胞/ml で24時間IL−3を欠乏させた。IL−3欠乏に続いてこの細胞を、培地20 0μl中、希釈試料有りまたは無しで、50000細胞の密度で96ウェル培養 皿に蒔き、細胞培養インキュベーター中24時間培養した。1μCiの3H−チ ミジンを含有する無血清RPMI培地20μlを最後の6−8時間の間、各々の ウェルに添加した。次にこの細胞を96ウェルGF/Cフィルター板に収穫し、 水で5回洗浄した。フィルターを、シンチレーション液(マイクロシント20) 40μlの存在下にパッカード・トップ・カウント計数器で係数した。 実施例2 高精製ブタmplリガンド ゲル溶出プロトコル 親和精製されたmplリガンド(mpl−IgGカラムから溶出した画分6) および2Xレムリ試料緩衝液の等量を還元剤の不在下で室温で混合し、できるだ け速やかにノヴェックス4−20%ポリアクリルアミドゲル上にロードした。試 料は加熱しなかった。対照として、リガンド無しの試料緩衝液を隣接する列で移 動させた。このゲルを4−6℃、135ボルトでおよそ2と4/1時間稼働させ た。流す緩衝液は最初室温とした。次いでこのゲルをゲル箱から取り除き、ゲル の片側の平板を除去した。 ゲルのレプリカをニトロセルロース上で以下のように作成した:一片のニトロ セルロースを蒸留水で湿し、気泡が入らないよう、露出したゲル表面の上に注意 深く積層した。ニトロセルロースおよびゲル平板上に基準線の印を付け、レプリ カが染色後に正確に復位されるようにした。およそ2分後、ニトロセルロースを 注意深く除去し、ゲルをラップで包み冷蔵庫に入れた。このニトロセルロースを 、3x10mlの0.1%トゥイーン20+0.5M NaCl+0.1Mトリ ス−HClpH7.5中でおよそ45分間、引き続き3x10ml精製水中で5 分間振盪することにより、バイオラドの金総蛋白染色剤で染色した。次に金染色 剤を加え、標準のバンドが見えるようになるまで発色させた。次いでレプリカを 水ですすぎ、ゲル上のラップに重ね、基準線の印と注意深く並べた。ノヴェック ス標準の位置をゲル平板に記録し、切断位置を示す線を引いた。次にニトロセル ロースおよびラップを取り除き、ゲルを示された線に沿って鋭利な剃刀の刃で切 った。切断線は試料列を越えて伸ばし、ゲルを染色した時にこれらを切片の位置 の決定に使用できるようにした。切片を取り除いた後、残りのゲルを銀染色し、 標準および切断の印の位置を測定した。切断位置に対応する分子量をノヴェック ス標準から決定した。 12のゲル切片を、二つのバイオラドモデル422電気泳動機中のセルに入れ た。12−14K分子量カットオフ膜のキャップをこれらのセルに使用した。5 0mM重炭酸アンモニウム+0.05%SDS(およそpH7.8)が溶離緩衝 液であった。緩衝液1リットルを使用前におよそ1時間4−6℃の冷室で冷却し た。ゲル切片を4−6℃の冷室内で10ma/セル(最初40V)で溶離した。 溶出にはほぼ4時間かかった。次にセルを注意深くはずし、フリット上部の液体 をピペットで除去した。溶離チェインバーをはずし、膜キャップ上に液体があれ ばこれをピペットで除去した。膜キャップ中の液体をピペットマンで取り、保存 した。次に精製水50μlアリコートをキャップ内に入れ、SDS結晶が全て溶 解するまで攪拌し除去した。これらの洗液を、保存しておいた上の液体と合した 。溶出試料の全容量はゲル切片当たり300−500μlであった。試料を、精 製水に数時間浸漬しておいた10mmスペクトレイパー4 12−14Kカット オフ透析管に入れた。これらを試料6個につき600mlの燐酸緩衝化食塩水( PBSはカリウムがおよそ4mMである)に対して4−6℃で一夜透析した。緩 衝液を翌朝交換し、透析を2.5時間継続した。次いで試料を透析バッグから取 り、遠心管に入れた。管を1時間氷上に置き、14Krpmで3分間遠心し、上 清を沈澱化したSDSから注意深く取った。次にこの上清をさらにおよそ1時間 氷上に置き、再度4分間遠心した。上清を燐酸緩衝化食塩水で希釈し、活性検定 に付した。残りの試料は−70℃で凍結した。 実施例3 ブタmplリガンド微細配列決定 mpl−IgG親和カラム由来の画分6(2.6ml)をマイクロコン−10 (アミコン)で濃縮した。mplリガンドがマイクロコンに吸収されるのを防ぐ ため、膜を1%SDSですすぎ、10%SDS5μlを画分6に加えた。2Xの 試料緩衝液(20μl)をマイクロコン濃縮後の画分#6(20μl)に加え、 全容量(40μl)を4−20%勾配のアクリルアミドゲル(ノヴェックス)の 一つの列にロードした。このゲルはノヴェックスのプロトコルに従って稼働させ た。次にこのゲルを5分間平衡化し、その後10%メタノールを含有する10m M 3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝 液、pH11.0中で電気ブロッティングした。イモビロン−PSQ膜(ミリポ ア)上での電気ブロッティングを、バイオラドトランス−ブロット転移セル(3 2)中、250mA定電流で45分間実施した。PVDF膜を40%メタノール 、0.1%酢酸中0.1%クマシーブルーR−250で1分間染色し、50%メ タ ノール中10%酢酸で2−3分間脱染した。このブロットのMr18000−3 5000領域で見られた唯一の蛋白は、Mr30000、28000および22 000を有していた。 30、28および22kDaのバンドを蛋白配列決定に付した。自動蛋白配列 決定を、オンラインPTH分析機を備えたモデル470Aアプライドバイオシス テムシークエンサーで実施した。シークエンサーは、試料の80−90%を注入 するよう改変した(ロドリゲス、J.Chromatogr.、350巻217−225頁[ 1985])。UV吸収の平衡を保たせるため、アセトン(〜12μl/l)を 溶媒Aに添加した。電気ブロッティングされた蛋白をブロットカートリッジ内で 配列決定した。ピークを、ネルソンアナリティカル970インターフェイスを用 い、ジャスティスイノヴェーションのソフトウェアで統合した。配列の解釈をV AX5900で実施した(ヘンツェル等、J.Chromatogr.、404巻41−52 頁[1987])。N末端配列(一文字コードを使用し、不確実な残基を括弧に 入れる)および得られた物質の量(角括弧に入れる)を第2'表に示す。 実施例4 液体懸濁巨核球形成検定 ヒト末梢幹細胞(PSC)(同意を得た患者より取得)をIMDM培地(ジブ コ)で5倍に希釈し、室温、800xgで15分間遠心した。細胞ペレットをI MDMに再懸濁し、60%パーコル(密度1.077g/ml)(ファルマシア )上に積層し、800xgで30分間遠心した。界面の低密度単核細胞を吸引し 、IMDMで2x洗浄し、24ウェル組織培養クラスター(コスター)中の30 %FBSを含有するIMDM(1ml最終容量)に1−2x106細胞/mlで 蒔いた。APPまたはmplリガンド涸渇APPを10%まで加え、5%CO2 および空気中37℃の加湿インキュベーター中で培養を12−14日間増殖させ た。培養は、0、2および4日目に添加されるmpl−IgG0.5μgを伴う 10%APPの存在下でも増殖させた。APPは、mpl−IgG親和カラムを 通過させることによりmplリガンドを涸渇させた。 これらの液体懸濁培養の巨核球形成を定量するため、ソルバーグ等の修飾を用 い、GPIIbIIIaに対する放射標識マウスIgGモノクローナル抗体(HP1− 1D)を使用する(ニコルズ博士、メイヨー・クリニック、により提供された) 。製造者の指示に従い、HP1−1D(B.グラント等、Blood、69巻133 4−1339頁[1987])100μgをエンザイモビーズ(バイオラド、リ ッチモンド、CA)を用いてNa125I 1mCiで放射標識した。放射標識され たHP1−1Dは0.01%オクチル−グルコシドを含有するPBS中、−70 ℃で保存した。典型的な比活性は1−2x106cpm/μg(12.5%トリ クロロ酢酸により>95%が沈澱化)であった。 液体懸濁培養を各実験点につき三重に準備した。培養して12−14日後に1 mlの培養を1.5mlエッペンドルフ管に移し、室温、800xgで10分間 遠心し、得られた細胞ペレットを0.02%EDTAおよび20%子牛血清を含 有するPBS100μlに再懸濁した。検定緩衝液50μl中10ngの125I −HP1−1Dをこの再懸濁された培養に加え、時々振盪しながら室温(RT) で60分間インキュベートした。続いてRTで800xgで10分間遠心するこ とにより細胞を集め、検定緩衝液で2x洗浄した。このペレットをガンマカウン ター(パッカード)で1分間計数した。標識されたHP1−1Dの添加の60分 前に非標識HP1−1D1μgを添加することにより、非特異結合を測定した。 特異的結合を、結合した全125I−HP1−1Dから、過剰の非標識HP1−1 Dの存在下でのそれを差し引いたものとして決定した。 実施例5 オリゴヌクレオチドPCRプライマー 30kDa、28kDaおよび18−22kDa蛋白から得られるアミノ末端 アミノ酸配列に基づき、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマーとして使 用するための縮重オリゴヌクレオチドを設計した(第4表を参照されたい)。ア ミノ酸残基2−8をコードしている正のセンス20量体プール(mpl1)およ びアミノ酸18−24をコードしている配列に相補的なアンチセンス21量体プ ール(mpl2)という二つのプライマープールを合成した。 ブタ末梢血リンパ球から分離されたブタゲノムDNAをPCRの鋳型として使 用した。50μlの反応は、10mMトリス−HCl(pH8.3)、50mM KCl、3mM MgCl2、100μg/mlBSA、400μM dNTP、 1μMの各プライマープールおよび2.5単位のTaqポリメラーゼに入れたブ タゲノムDNA0.8μgを含んでいた。最初の鋳型変性は94℃で8分間、そ の後、94℃で45秒間、55℃で1分間、および72℃で1分間を35サイク ル行った。最終サイクルは、72℃で10分間延長させた。PCR生成物を12 %ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動により分離し、エチジウムブロミドで染 色することにより可視化した。アミノ末端アミノ酸配列が単一のエクソンにより コードされているならば、正しいPCR生成物は69bpであると予想されると いうことが推理された。この大きさのDNAフラグメントがゲルから溶離し、p GEMT(プロメガ)中にサブクローニングされた。3個のクローンの配列を下 の第5表に示す。 PCRプライマーの位置は下線を付した塩基によって示す。これらの結果は、 30kDa、28kDaおよび18−22kDa蛋白のアミノ酸9−17につい て得られたN末端配列を立証し、この配列がブタDNAの単一のエクソンによっ てコードされていることを示した。 実施例6 ヒトmplリガンド遺伝子 実施例5の結果に基づき、pR45と呼ばれる45量体デオキシリボヌクレオ チドを設計し合成してゲノムライブラリーをスクリーニングした。この45量体 は以下の配列を持っていた: このオリゴヌクレオチドを(γ32P)−ATPおよびT4キナーゼで32P−標 識し、低緊縮ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下でλgem12中のヒト ゲノムDNAライブラリーのスクリーニングに使用した。(実施例7を参照され たい)。陽性クローンを選び、プラークを精製し制限地図作成およびサザンブロ ッティングにより分析した。さらなる分析用にクローン#4を選択した。 45量体とハイブリダイズした2.8kb BamHI−XbaIフラグメン トをpBluescriptSK−中にサブクローニングした。ブタmplリガンドDNA 配列に特異的なオリゴヌクレオチドをプライマーに使用して、このクローンの部 分的DNA配列決定を実施した。得られた配列により、ブタmplリガンドのヒ ト類似体をコードしているDNAが分離されたことが確認された。この配列中に EcoRI制限部位が検出されたことにより、本発明者等は、2.8kb Ba mHI−XbaIから390bp EcoRI−XbaIフラグメントを分離し そしてこれをpBluescriptSK−にサブクローニングすることができた。 このフラグメントの両方の鎖を配列決定した。このヒトDNA配列および導き 出されたアミノ酸配列を図9に示す(配列番号3および4)。さらにゲノム配列 中のイントロンの予想位置を矢印により示し、推定のエクソンを規定する(「エ クソン3」)。 この予想アミノ酸配列の調査により、直接アミノ酸配列分析から決定されるよ うに、セリン残基が、成熟mplリガンドの最初のアミノ酸であることが確認さ れる。このコドンのすぐ上流には、成熟mplリガンドの分泌に関わるシグナル 配列であるという示唆に富む予想アミノ酸配列がある。このシグナル配列コード 化領域は恐らくイントロンによりヌクレオチド位置68で中断している。 3'方向では、エクソンはヌクレオチド196で終止しているようである。故 にこのエクソンは42アミノ酸の配列をコードしており、うち16はシグナル配 列の一部であり、26は成熟ヒトmplリガンドの一部であるらしい。 実施例7 全長ヒトmplリガンドcDNA ヒト「エクソン3」配列(実施例6)に基づき、「エクソン3」配列の3'お よび5'末端に対応する2個の非縮重オリゴヌクレオチドを合成した(第6表)。 これら二つのプライマーは、種々のヒトcDNAライブラリー由来のDNAま たは種々の組織由来の1ngのクイッククローンcDNA(クロンテク)を鋳型 に使用するPCR反応で、実施例5に記載の条件を用いて使用された。正しいP CR生成物の予想される大きさは140bpであった。12%ポリアクリルアミ ドゲル上でこのPCR生成物を分析した後、成人腎臓、293胎児腎細胞から調 製されたcDNAライブラリーおよびヒト胎児肝から調製されたcDNAに、予 想された大きさのDNAフラグメントが検出された(クロンテクカタログ#71 71−1)。 λDR2中の胎児肝cDNAライブラリー(クロンテクカタログ#HL115 1x)を、ヒトゲノムライブラリーのスクリーニングに使用したものと同じ45 量体オリゴヌクレオチドでスクリーニングした。このオリゴヌクレオチドをT4 ポリヌクレオチドキナーゼを用いて(γ32P)−ATPで標識した。ライブラリ ーは低緊縮ハイブリダイゼーション条件下にスクリーニングした。フィルターを 2時間プレハイブリダイゼーションし、次いで16時間、20%ホルムアミド、 5xSSC、10xデンハート、0.05M燐酸ナトリウム(pH6.5)、0 .1%ピロ燐酸ナトリウム、50μg/mlの超音波処理鮭精子DNA中で42 ℃で一夜プローブとハイブリダイズさせた。次にフィルターを2xSSCですす ぎ、 次いで42℃の0.5xSSC、0.1%SDSで1回洗浄した。フィルターを コダックX線フィルムに一夜暴露させた。陽性クローンを選び、プラークを精製 し、挿入物の大きさを、λDR2にクローニングしているBamHI−XbaI に隣接するオリゴヌクレオチドを用いるPCRによって決定した(クロンテクカ タログ#6475−1)。ファージストック5μgを鋳型供給源として使用した 。最初の変性は94℃で7分間、引き続き30サイクルの増幅(94℃1分間、 52℃1分間および72℃1.5分間)を実施した。最後の伸長は72℃で15 分間とした。クローン#FL2bは1.8kb挿入物を持っており、これをさら なる分析のために選択した。 λDR2ファージのアーム内に入っているプラスミドpDR2(クロンテク、 λDR2およびpDR2クローニングおよび発現系ライブラリープロトコルハン ドブック、42頁)を、製造者の指示(クロンテク、λDR2およびpDR2ク ローニングおよび発現系ライブラリープロトコルハンドブック、29−30頁) に記載のようにして回収した。BamHIおよびXbaIによるプラスミドpD R2−FL2bの制限分析は、挿入物中およそ650位に内部BamHI制限部 位が存在することを示した。BamHI−XbaIによるこのプラスミドの消化 は、この挿入物を、一方は0.65kbであり他方は1.15kbである2個の フラグメントに切断した。プラスミドpDR2−FL2bから誘導された三つの 異なるクラスの鋳型によりDNA配列を決定した。二本鎖プラスミドDNAのD NA配列決定を、色素標識ジデオキシヌクレオシド三燐酸ターミネーター(色素 ターミネーター)および特別に合成した歩行プライマーのための標準プロトコル を用いるABI373(アプライド・バイオシステムズ、フォスターシティー、 カリフォルニア)自動蛍光DNAシークエンサーで実施した(サンガー等、Proc .Natl.Acad.Sci.USA、74巻5463−5467頁[1977];スミス等、Na ture、321巻674−679頁[1986])。ポリメラーゼ連鎖反応で増幅 させたプラスミドからのフラグメントの直接配列決定を、特別製プライマーおよ び色素ターミネーター反応を用いてABI373シークエンサーで行った。一本 鎖鋳型をM13ジェイナスベクター(DNASTAR、Inc.、マディソン、 ウィスコンシン)を用いて作成した(バーランド等、Nucl.Acids Res.、21巻 3385−3390頁[1993])。プラスミドpDR2−FL2bからBa mHI−XbaI(1.15kb)およびBamHI(0.65kb)フラグメ ントを分離し、デオキシヌクレオチドの存在下で末端をT4DNAポリメラーゼ で満たし、次いでM13ジェイナスのSmaI部位にサブクローニングした。配 列決定を、色素標識M13普遍および逆プライマー、または歩行プライマーおよ び色素ターミネーターについての標準プロトコルで実施した。歩行プライマーお よび標準ジデオキシターミネーター化学(サンガー等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 、74巻5463−5467頁[1977])、33P−標識されたα−dATP およびシークエナーゼ(ユナイテッド・ステイツ・バイオケミカル・Corp. 、クリーヴランド、オハイオ)を用いて一本鎖M13DNAについての手動配列 決定反応を実施した。DNA配列の集成をシークエンチャーV2.1b12(ジ ーン・コーズ・コーポレーション、アンアーバー、ミシガン)によって実施した 。hMLのヌクレオチトおよび導き出された配列を図1(配列番号1)に供する 。 実施例8 ヒトmplリガンド(TPO)遺伝子の分離 λ−Gem12中のヒトゲノムライブラリーを、先に記載のオリゴヌクレオチ ドプローブpR45を用いて低緊縮条件下で(実施例7を参照されたい)、また はmplリガンドをコードしているヒトcDNAの3'側半分に対応するフラグ メント(BamHI部位から3'末端まで)を用いて高緊縮条件下でスクリーニ ングすることにより、TPO遺伝子のヒトゲノムDNAクローンを分離した。3 5kbの長さの2個の部分重複したλクローンが分離された。TPO遺伝子の全 体を含む2個の部分重複フラグメント(BamHIおよびEcoRI)をサブク ローニングし配列決定した。このヒト遺伝子の構造は、ゲノムDNAの7kb以 内の6個のエクソンで構成されている(図14A、BおよびC)。全てのエクソ ン/イントロン接合部の境界は、哺乳動物遺伝子について確立された共通モチー フと一致している(M.B.シャピロ等、Nucl.Acids Res.、15巻7155頁 [1987])。エクソン1およびエクソン2は、5'非翻訳配列およびシグナ ルペプチドの最初の4個のアミノ酸を含んでいる。分泌シグナルの残部および成 熟蛋白の最初の26アミノ酸はエクソン3の中にコードされている。カルボキシ ドメインの全体、ならびにエリスロポエチン様ドメインの3'非翻訳および〜5 0アミノ酸はエクソン6の中にコードされている。hML−2(hTPO−2) 内部に見られる除去に含まれる4個のアミノ酸はエクソン6の5'末端にコード されている。 実施例9 ヒトmplリガンド(hML)の一過性発現 pDR2−FL2bに含まれる全長挿入物をサブクローニングするため、この プラスミドを、XbaIで完全に、次にBamHIで部分的に消化した。1.8 kb挿入物に対応するDNAフラグメントをゲル精製し、サイトメガロウイルス 即時初期プロモーターの調節の下にpRK5にサブクローニングした(pRK5 −hmplI)(pRK5の組み立てについては米国特許第5258287号を 参照されたい)。組み立て物pRK5−hmplIからのDNAをPEG法によ り調製し、F−12栄養混合物、20mM Hepes(pH7.4)および1 0%牛胎児血清を添加したダルベッコの改良イーグル培地(DMEM)中に維持 したヒト胚腎臓293細胞にトランスフェクトした。細胞は、記載のように燐酸 カルシウム法によりトランスフェクトさせた(C.ゴーマン[1985]、DN Aクローニング:ア・プラクティカル・アプローチ(D.M.グローヴァー編) 、II巻143−190頁、IRLプレス、ワシントンD.C.)。トランスフェ クションの36時間後、トランスフェクトされた細胞の上清を、増殖検定で活性 について検定した(実施例1を参照されたい)。pRKベクターでトランスフェ クトされた293細胞の上清のみは、Ba/F3またはBa/F3−mpl細胞 の刺激を与えなかった(図12A)。pRK5−hmplIでトランスフェクト された細胞の上清はBa/F3細胞には効果が無かったが、Ba/F3−mpl 細胞の増殖を劇的に刺激し(図12A)、この事は、このcDNAが機能的に活 性なヒトmplリガンドをコードしていることを示すものである。 実施例10 ヒトmplリガンドイソ型hML2、hML3およびhML4 択一的にスプライスされた型のhMLを同定するため、hMLのコード化配列 のそれぞれの末端に対応するプライマーを合成した。これらのプライマーをRT −PCRに使用してヒト成人肝RNAを増幅した。加えて、目的とする選択され た領域に隣接する内部プライマー(下記参照)を組み立て、同様に使用した。P CR生成物の末端の直接配列決定は、ヒト胎児肝ライブラリーから分離されたc DNAの配列と正確に対応する一つの配列を明らかにした(図1[配列番号1] を参照されたい)。しかしながら、EPOドメインのC末端付近の領域(PCR 生成物の中程)は複雑な配列パターンを示し、その領域でスプライス変異体の存 在する可能性を示唆した。これらのスプライス変異体を分離するため、目的領域 に隣接する第7表に供されるプライマーをヒト成人肝cDNAのための鋳型とし てPCRに使用した。 PCR生成物をM13にブラントでサブクローニングした。個々のサブクロー ンの配列決定は、少なくとも3個のMLイソ型の存在を明らかにした。そのうち の一つであるhML(hML332とも呼ばれる)は最も長い型であり、胎児肝ラ イブラリーから分離された配列に正確に対応する。最長(hML)から最短(h ML−4)までを列挙した4個のヒトmplリガンドイソ型の配列を(図11[ 配列番号6、8、9および10])に供する。 実施例11 ヒトmplリガンドイソ型および置換変異体の 組み立ておよび一過性発現 hML2、hML3、およびhML(R153A、R154A) イソ型hML2およびhML3ならびに置換変異体hML(R153A、R1 54A)を、ラッセル・ヒグチ、PCRプロトコルズ、ア・ガイド・トゥー・メ ソッズ・アンド・アプリケーションズ、アカデミック・プレス、M.A.イニス 、D.H.ゲルファンド、J.J.スニンスキーおよびT.J.ホワイト編、に 記載の組換えPCR技術を用いてhMLから再構成した。 全組み立て物において、使用された「外部」プライマーを第8表に、そして「 一部重複」プライマーを第9表に示す。 全てのPCR増幅は、クローニングされたPfuDNAポリメラーゼ(ストラ タジーン)で、以下の条件を用いて実施した:最初の鋳型変性は94℃で7分間 、その後94℃1分間、55℃1分間、および72℃1.5分間を30サイクル 。最後のサイクルは72℃で10分間延長した。最終的PCR生成物をClaI −XbaIで消化し、ゲル精製し、pRK5tkneoにクローニングした。2 9 3細胞を上記のように種々の組み立て物でトランスフェクトし、上清をBa/F 3−mpl増殖検定を用いて検定した。hML−2およびhML−3はこの検定 で検出し得る活性を示さなかったが、hML(R153A、R154A)の活性 はhMLと同様で、この事は、この二塩基部位でのプロセシングが活性に必要な いことを示すものである(図13を参照されたい)。 実施例12 マウスmplリガンドcDNA mML、mML−2およびmML−3 mML cDNAの分離 ヒトmplリガンドの全コード化領域に対応するDNAフラグメントをPCR によって取得し、ゲル精製し、32P−dATPおよび32P−dCTPの存在下で ランダムプライミングにより標識した。このプローブを用いてλGT10(クロ ンテクカタログ#ML3001a)中のマウス肝cDNAライブラリー106ク ローンをスクリーニングした。35%ホルムアミド、5xSSC、10xデンハ ート、0.1%SDS、0.05M燐酸ナトリウム(pH6.5)、0.1%ピ ロ燐酸ナトリウム、100μg/mlの超音波処理鮭精子DNA中、プローブの 存在下で二重のフィルターを一夜ハイブリダイズさせた。フィルターを2xSS Cですすぎ、次いで42℃の0.5xSSC、0.1%SDSで一回洗浄した。 ハイブリダイズしているファージをプラーク精製し、cDNA挿入物をブルース クリプトSK−プラスミドのEcoRI部位にサブクローニングした。1.5k b挿入物を伴うクローン「LD」をさらなる分析のために選択し、両方の鎖をヒ トML cDNAについて上に記載したように配列決定した。クローンLDから のヌクレオチドおよび導き出されたアミノ酸配列を図14(配列番号1および1 1)に供する。このクローンから導き出された成熟ML配列は331アミノ酸残 基の長さであり、mML331(または下記の理由でmML−2)と同定された。 これらのMLのEPO様ドメインには、ヌクレオチドおよび導き出されたアミノ 酸配列の両方についてかなりの一致が観察された。しかし、ヒトおよびマウスM Lの導き出されたアミノ酸配列を並べる時、マウス配列は、ヒト(上記参照)お よびブタ(下記参照)cDNAの両方に見られる、ヌクレオチド位置618の後 の12ヌクレオチド除去に対応するヒト残基111−114の間のテトラペプチ ドの除去を有するようであった。そこで、可能性あるマウスMLイソ型を検出す るため、さらなるクローンを調べた。一つのクローン「L7」は、「失われてい る」テトラペプチドLPLQを含む335アミノ酸の導き出された配列を有する 1.4kb挿入物を持っていた。この型は全長のマウスMLであると信じられ、 mMLまたはmML335と呼ばれる。mMLについてのヌクレオチドおよび導き 出されたアミノ酸配列を図16(配列番号12および13)に供する。最後に、 クローン「L2」を分離し配列決定した。このクローンはhML3に対応する1 16ヌクレオチド除去を持っており、故にmML−3と命名される。これら二つ のイソ型の導き出されたアミノ酸配列の比較を図16に示す。 組換えmMLの発現。マウスMLのための発現ベクターを、本質的には実施例 8に記載のように製造した。mMLおよびmML−2をコードしているクローン を、CMVプロモーターおよびSV40ポリアデニル化シグナルの調節下での発 現を提供する哺乳動物発現ベクターである、pRK5tkneoにサブクローニ ングした。得られる発現ベクターmMLpRKtkneoおよびmML2pRK tkneoを燐酸カルシウム法を用いて293細胞中に一過性トランスフェクト させた。一過性トランスフェクションの後、培地を5日間条件付けた。この細胞 は、10%牛胎児血清を添加した高グルコースDMEM培地中に維持した。 Ba/F3細胞におけるマウス−mpl(mmpl)の発現。c−mplを発 現する安定なセルラインを、本質的には実施例1でヒトmplについて記載した ようにmmpl pRKtkneoのトランスフェクションによって取得した。 簡潔に述べると、マウスmplの全コード化配列(R.C.スコダ等、EMBO J. 、12巻2645−2653頁[1993])を含む発現ベクター(20μg; 線状化)を電気穿孔(5x106細胞、250ボルト、960μF)によりBa /F3細胞中にトランスフェクトし、続いて2mg/ml G418によりネオ マイシン耐性について選択した。mplの発現を、ウサギ抗マウスmpl−Ig G抗血清を用いるフローサイトメトリー分析により評価した。Ba/F3細胞は 、 IL−3の供給源としてのWEHI−3B細胞からのRPMI1640培地に維 持した。mMLおよびmML−2の両者で一過性トランスフェクトさせた293 細胞からの上清を、実施例1に記載のようにmmplおよびhmplでトランス フェクトさせたBaF3細胞で検定した。 実施例13 ブタmplリガンドcDNA pMLおよびpML−2 ブタML(pML)cDNAをRACE PCRにより分離した。簡潔に述べ ると、再生不良性ブタ血清から精製されたMLのアミノ末端をコードしているブ タML遺伝子のエクソンの配列に基づき、オリゴdTプライマーおよび2個の特 異的プライマーを設計した。様々な再生不良性ブタの組織から調製されたcDN Aを得、増幅させた。1342bpのPCRcDNA生成物が腎臓に見いだされ 、これをサブクローニングした。幾つかのクローンを配列決定すると、成熟ブタ mplリガンド(完全な分泌シグナルを含まない)をコードしていることが判明 した。このcDNAは、図18(配列番号9および16)に示される配列を有す る332アミノ酸の成熟蛋白(pML332)をコードしていることが見いだされた 。 方法: pML遺伝子およびcDNAの分離。EMBL3(クロンテクInc.)中の ブタゲノムライブラリーをpR45でスクリーニングすることにより、ブタML 遺伝子のゲノムクローンを分離した。このライブラリーは、本質的には実施例7 に記載のようにスクリーニングした。幾つかのクローンを分離し、精製されたM Lから得られたアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードしているエクソンを 配列決定した。ブタML cDNAは、RACE PCRプロトコルの変法を用い て取得した。2個の特異的MLプライマーを、ブタML遺伝子の配列に基づいて 設計した。ポリアデニル化mRNAは、本質的には前記のようにして再生不良性 ブタの腎臓から分離した。mRNAのポリアデノシン尾に対して作成されたBa mdTプライマー による逆転写によってcDNAを製造した。PCR増幅の最初のラウンド(95 ℃60秒間、58℃60秒間、および72℃90秒間を28サイクル)を、10 0mlの反応(50mM KCl、1.5mM MgCl、10mMトリスpH8 .0、0.2mM dNTPを0.05U/mlアンプリタクポリメラーゼ[パ ーキン・エルマーInc.]と共に)中で、ML特異的h−前進−1プライマー およびBAMADプライマー を用いて実施した。次にこのPCR生成物をClaIで消化し、フェノール−ク ロロホルム(1:1)で抽出し、エタノール沈澱させ、Cla1およびKpn1 で切断しておいたブルースクリプトSK−ベクター(ストラタジーンinc.) 0.1mgにライゲーションした。室温で2時間インキュベートした後、ライゲ ーション混合物の四分の一を、第二のML特異的前進−1プライマー およびT3−21(ブルースクリプトSK−ベクター内の多クローニング領域に 隣接する配列に結合するオリゴヌクレオチド): を用いるPCRの第二ラウンド(上記のような22サイクル)に直接加えた。得 られたPCR生成物をXba1およびCla1で消化し、ブルースクリプトSK −中にサブクローニングした。独立したPCR反応からのクローンを幾つか配列 決定した。 さらに、4アミノ酸残基の除去を有する蛋白(328アミノ酸残基)をコード しているpML−2と命名された第二の型を同定した(図21[配列番号21] を参照されたい)。pMLとpML−2アミノ酸配列の比較は、後者では残基1 11−114(両端を含む)に対応するテトラペプチドQLPPが除去されてい る外は同一であることを示す(図22[配列番号18および21]を参照された い)。マウス、ヒトおよびブタMLcDNAで観察される4個のアミノ酸の除去 は、導き出された蛋白内の正確に同じ位置で起こっている。 実施例14 トロンボポエチン(TPO)による血小板抗原 GPIIbIIIa発現の誘導のためのCMK検定 CMK細胞を、10%牛胎児血清および10mMグルタミンを添加したRPM 11640培地(シグマ)中に維持する。検定用の調製において、細胞を収穫し 、洗浄し、5mg/l牛インシュリン、10mg/lアポートランスフェリン、 1x微量元素を添加した無血清GIF培地中に5x105細胞/mlで再懸濁す る。96ウェル平底プレートにおいて、TPO標準または実験試料を100μl 容量中適当な希釈で各ウェルに加える。CMK細胞懸濁液100μlを各ウェル に加え、プレートを5%CO2インキュベーター中37℃で48時間インキュベ ートする。インキュベーションの後、プレートを4℃、1000rpmで5分間 遠心する。上清を捨て、FITCにコンジュゲートさせたGPIIbIIIaモノクロ ーナル2D2抗体100μlを各ウェルに加える。4℃で1時間のインキュベー ションの後、プレートを再度1000rpmで5分間遠心する。結合していない 抗体を含有する上清を捨て、0.1%BSA−PBS洗液200μlを各ウェル に加える。0.1%BSA−PBS洗浄工程を3回反復する。次いで細胞を、相 対蛍光強度を測定する標準的1パラメータ分析を用いるFASCANで分析する 。 実施例15 96ウェル微量定量プレート上でのDAMI細胞の核内有糸分裂活性 を測定することによるトロンボポエチン(TPO)のためのDAMI検定 DAMI細胞は、10mMグルタミン、100ng/mlペニシリンG、およ び50μg/mlストレプトマイシンを添加したIMDM+10%ウマ血清(ジ ブコ)中に維持する。検定用の調製において、細胞を収穫し、洗浄し、そしてI MDM+1%ウマ血清中に1x106細胞/mlで再懸濁する。96ウェル丸底 プレート中で、TPO標準または実験試料100μlをDAMI細胞懸濁液に加 える。次いで細胞を5%CO2インキュベーター中37℃で48時間インキュベ ートする。インキュベーションの後、プレートをソルヴォール6000B遠心機 中で、4℃、1000rpmで5分間遠心する。上清を捨て、PBS−0.1% BSA200μlの洗浄工程を反復する。氷冷70%エタノール−PBS200 μlの添加により細胞を固定し、吸引により再懸濁する。4℃15分間のインキ ュベーションの後、プレートを2000rpmで5分間遠心し、0.1mg/m l沃化プロピジウムおよび0.05%トゥイーン−20を含有する1mg/ml RNアーゼ150μlを各ウェルに加える。37℃で1時間のインキュベーショ ン後、DNA含有量の変化をフローサイトメトリーにより測定する。多能性を測 定し以下のように定量化する: 実施例16 インビボ検定でのトロンボポエチン(TPO) (マウス血小板リバウンド検定) 血小板産生の35S測定のためのインビボ検定 血小板減少症を誘発するため、C57BL6マウス(チャールズ・リヴァーよ り入手)にヤギ抗マウス血小板血清(6amp)1mlを第1日目に腹腔内(I P)注射する。5および6日目に、該因子または対照としてのPBSをマウスに 2回IP注射する。7日目に、0.1ml食塩水中のNa2 35SO430μCiを 静脈内注射し、注射された用量の、循環血小板中への35S取り込みパーセントを 、処置および対照マウスから得られた血液試料で測定する。血小板計数および白 血球計数を、後眼窩洞から得られた血液で同時に行う。 実施例17 mpl−Rse.gDキメラレセプターの燐酸化を測定することに よるトロンボポエチン(TPO)のためのKIRA ELISA ヒトmplレセプターがヴィゴン等、PNAS、USA、89巻5640−5 644頁(1992)により開示されている。mplレセプターの細胞外ドメイ ン(ECD)ならびにカルボキシ末端フラッグポリペプチドを伴うRse(マー ク等、J.of Biol.Chem.、269(14)巻10720−10728頁[199 4])の貫膜(TM)および細胞内ドメイン(ICD)(即ち、Rse.gD) からなるキメラレセプターを、本明細書に記載のKIRA ELISAへの使用 のために作成した。この検定の図式的説明については、図30および31を参照 されたい。 (a)捕捉物質の調製 モノクローナル抗gD(クローン5B6)を、単純ヘルペス糖蛋白D由来のペ プチドに対して生成させた(パボルスキー等、Protein Engineering、3(6) 巻547−553頁[1990])。精製された保存調製物を燐酸緩衝化食塩水 (PBS)、pH7.4で3.0mg/mlに調節し、1.0mlアリコートを −20℃で保存した。 (b)抗ホスホチロシン抗体の調製 モノクローナル抗ホスホチロシン、クローン4G10をUBI(レイク・プラ シッド、NY)から購入し、長腕ビオチン−N−ヒドロキシスクシンアミド(ビ オチン−X−NHS、リサーチ・オーガニクス、クリーヴランド、OH)を用い てビオチニル化した。 (c)リガンド mplリガンドは本明細書に記載の組換え技術により調製した。精製されたm plリガンドを保存溶液として4℃で保存した。 (d)Rse.gD核酸の調製 合成二本鎖オリゴヌクレオチドを用いてヒトRseのC末端の10アミノ酸( 880−890)のためのコード化配列を再構成し、抗体5B6に対するエピト ープおよび停止コドンを含むさらなる21のアミノ酸を付け加えた。第10表は 、この融合遺伝子の合成部分の最終的な配列を示す。 この合成DNAを、公表されているヒトRse cDNA配列(マーク等、Jou rnal of Biological Chemistry、269(14)巻10720−10728頁[ 1994])のヌクレオチド2644で始まるPstI部位および発現ベクター pSVI7.ID.LLのポリリンカー中のHindIII部位でヒトRseのアミ ノ酸1−880をコードしているcDNAとライゲーションし(図32A−L; 配列番号22を参照されたい)、発現プラスミドpSV.ID.Rse.gDを作 り出した。簡潔に述べると、この発現プラスミドは、5'スプライスドナーおよ び3'スプライスアクセプターイントロンスプライス部位を境界とするDHFR をコードしている配列とその後のRse.gDをコードしている配列を含む二シ ストロン性一次転写物からなる。全長の(スプライスされていない)メッセージ は、第一のオープンリーディングフレームとしてDHFRを含み、故に安定な形 質転換体の選択を可能とするためのDHFR蛋白を生成する。 (e)mpl−Rse.gD核酸の調製 上記のようにして生産された発現プラスミドpSV.ID.Rse.gDを修飾 して、Rse.gDの貫膜ドメインおよび細胞内ドメイン(アミノ酸429−9 11)と融合したヒトmplのECD(アミノ酸1−491)のコード化配列を 含むプラスミドpSV.ID.M.tmRd6を生成させた。合成オリゴヌクレオ チドを使用して、マーク等、J.Biol.Chem.、267巻26166−26171頁 (1992)に記載のような二段階PCRクローニング反応で、ヒトmplの細胞 外ドメインの一部のコード化配列をRseコード化配列の一部と結合させた。第 一のPCR反応に使用されたプライマーは、mpl cDNA鋳型と共に、M1 およびM2 ならびにRse cDNA鋳型と共に、R1 およびR2 であった。この融合接合部のPvuII−SmaI部分を使用して全長のキメラレ セプターの組み立てを行った。 (f)細胞の形質転換 プラスミドバックボーン中の特異なNotI部位で線状化しておいたpSV. ID.M.tmRd6により、DP12.CHO細胞(1989年3月15日公開 のEP307247)を電気穿孔した。フェノール/クロロホルム抽出の後DN Aをエタノール沈澱させ、1/10トリスEDTA20μlに再懸濁した。次に 、DNA10μgをPBS1ml中で107のCHO DP12細胞と氷上で10 分間インキュベートし、その後400ボルトおよび330μfで電気穿孔した。 細胞を氷に10分間戻し、その後非選択培地に蒔いた。24時間後、細胞に無ヌ クレオシド培地を与え、安定なDHFR+クローンを選択した。 (g)KIRA ELISAへの使用のための形質転換細胞の選択 MPL/Rse.gDを発現するクローンを、gDエピトープ標識を検出する 抗体5B6を使用して、SDS−PAGEによる分画後の全細胞溶菌液のウェス タンブロッティングにより同定した。 (h)培地 細胞はF12/DMEM 50:50(ジブコ/BRL、ライフ・テクノロジ ーズ、グランド・アイランド、NY)中で増殖させた。この培地に10%ダイア フィルトレーションFBS(ハイクローン、ローガン、ユタ)、25mM HE PESおよび2mM L−グルタミンを添加した。 (i)KIRA ELISA mpl−Rse.gDで形質転換されたDP12.CHO細胞を平底96ウェル 培養プレートのウェル中の培地100μlに蒔き(ウェル当たり3x104)、 5%CO2中37℃で一夜培養した。翌朝、ウェルの上清をデカンテーションし 、プレートをペーパータオル上で軽く突き固めた。次に、被験試料または200 、50、12.5、3.12、0.78、0.19、0.048、もしくは0n g/mlのmplリガンドのいずれかを含有する培地50μlを各ウェルに加え た。細胞を37℃で30分間刺激し、ウェルの上清をデカンテーションし、そし てプレートを再度ペーパータオル上で軽く突き固めた。細胞を溶菌しキメラレセ プターを可溶化するため、溶菌緩衝液100μlを各ウェルに加えた。溶菌緩衝 液は、50mM HEPES(ジブコ)を含有する150mM NaCl、0.5 %トリトン−X100(ジブコ)、0.01%チメロサール、30KIU/ml アプロチニン(ICNバイオケミカルズ、オーロラ、OH)、1mM4−(2− アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリドヒドロクロリド(AEBSF; ICNバイオケミカルズ)、50μMロイペプチン(ICNバイオケミカルズ) 、および2mMオルトバナジン酸ナトリウム(Na3VO4;シグマ・ケミカル・ Co.、セントルイス、MO)、pH7.5、で構成されていた。次いでこのプ レートをプレート振盪機(ベルコ・インストルメンツ、ヴァインランド、NJ) 上で、室温で60分間穏やかに攪拌した。 細胞を可溶化している間に、5B6モノクローナル抗gD抗体により4℃で一 夜被覆(50mM炭酸緩衝液、pH9.6中5.0μg/ml。100μl/ウ ェル。)したELISA微量定量プレート(ナンク・マキシソープ、インター・ メド、デンマーク)をデカンテーションし、ペーパータオル上で突き固め、15 0μl/ウェルのブロック緩衝液[0.5%BSA(インタージェン・カンパニ ー、パーチェス、NY)および0.01%チメロサールを含有するPBS]で、 穏やかに攪拌しながら室温で60分間ブロックした。60分後、この抗gD 5 B6被覆プレートを、自動プレート洗浄器(スキャンウォッシャー300、スカ トロン・インストルメンツ、Inc.、スターリング、VA)を用いて6回洗浄 緩衝液(0.05%トゥイーン−20および0.01%チメロサールを含有する PBS)で洗浄した。 細胞培養微量定量ウェルからの可溶化MPL/Rse.gDを含有する溶菌液 を、抗gD 5B6で被覆されそして遮断されたELISAウェルに移し(85 μl/ウェル)、穏やかに攪拌しながら室温で2時間インキュベートした。結合 していないmpl−Rse.gDを洗浄緩衝液で洗浄することにより除去し、希 釈緩衝液(0.5%BSA、0.05%トゥイーン20、5mM EDTA、お よび0.01%チメロサールを含有するPBS)で1:18000に希釈した、 即ち56ng/mlのビオチニル化4G10(抗ホスホチロシン)100μlを 各ウェルに加えた。室温で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄し、希 釈緩衝液で1:60000に希釈した、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO )にコンジュゲートさせたストレプトアビジン(ザイムド・ラボラトリーズ、S .サンフランシスコ、CA)100μlを各ウェルに加えた。プレートを穏やか に攪拌しながら室温で30分間インキュベートした。遊離のアビジンコンジュゲ ートを洗浄除去し、新たに調製した基質溶液(テトラメチルベンジジン[TMB ];2成分基質キット;カークガード・アンド・ペリー、ガイザーズバーグ、M D)100μlを各ウェルに加えた。反応を10分間進行させ、その後100μ l/ウェルの1.0M H3PO4の添加により発色を止めた。マッキントッシュ ・セントリス650(アップル・コンピューターズ、クパティーノ、CA)およ びデルタソフトのソフトウェア(バイオメタリクス、Inc.、プリンストン、 NJ) で制御されるvmaxプレート読み取り機(モレキュラー・ディヴァイシズ、パ ロアルト、CA)を使用して、650nmの対照波長で450nmの吸収を読み 取った(ABS450/650)。 dp12.trkA、BまたはC.gD細胞を200、50、12.5、3.1 2、0.78、0.19、0.048もしくは0ng/mlのmplリガンドで 刺激することにより標準曲線を作成し、デルタソフトのプログラムを用いて平均 ABS450/650±sdに対するng/ml TPOとして表した。試料濃度を標準 曲線にそれらの吸収を内挿することにより得、ng/ml TPO活性として表 した。 mplリガンドは、濃度依存的且つリガンド特異的にmpl−Rse.gDキ メラレセプターを活性化できることが判明した。さらに、mpl−Rse.gD KIRA−ELISAは、100%ヒト血清(示されている)または100%血 漿(示されていない)まで寛容されることが見いだされ、この事は、この検定を 患者およびpK試料の容易なスクリーニングに使用することを可能にする。 実施例18 トロンボポエチン(TPO)のための、レセプターに基づくELISA ELISAプレートを、pH9.6の炭酸緩衝液中のウサギF(ab')2抗ヒト IgG(Fc)により4℃で一夜被覆した。プレートを、PBS中の0.5%牛 血清アルブミンにより室温で1時間ブロックした。キメラレセプター、mpl− IgGを含有する発酵収穫物をこのプレートに加え、2時間インキュベートした 。0.5%牛血清アルブミン、0.05%トゥイーン20に入れた標準(定量的 アミノ酸分析により決定された濃度の、293細胞中で産生されたTPO332) の二倍連続希釈液(0.39−25ng/ml)および連続希釈試料をプレート に加え、2時間インキュベートした。大腸菌で産生されたTPO155に対するプ ロテインA精製されたビオチニル化ウサギ抗体(1時間のインキュベーション) 、その後ストレブトアビジン−ペルオキシダーゼ(30分間のインキュベーショ ン)および基質としての3,3',5,5'−テトラメチルベンジジンによって、結 合したTPOを検出した。吸収を450nmで読み取った。プレートは工程の間 に洗浄した。データ分析のため、カレイダグラフによる4パラメータ曲線当ては めプログラムを用いて標準曲線を当てはめた。試料の濃度を標準曲線から算出し た。 実施例19 293細胞からのTPOの発現および精製 1.293細胞発現ベクターの調製 TPOの全オープンリーディングフレームに対応するcDNAを、以下のオリ ゴヌクレオチドをプライマーとして使用するPCRによって取得した: PRK5−hmpl I(実施例9に記載)を、pfuDNAポリメラーゼ( ストラタジーン)の存在下での反応の鋳型として使用した。最初の変性は94℃ で7分間、続いて25サイクルの増幅(94℃1分間、55℃1分間、および7 2℃1分間)を行った。最後の伸長は72℃で15分間であった。このPCR生 成物を精製し、チミジンキナーゼプロモーターの調節下にネオマイシン耐性遺伝 子を発現するよう修飾したpRK5から誘導されるベクターであるプラスミドp RK5tkneoの制限部位ClaIおよびXbaIの間にクローニングして、 ベクターpRK5tkneo.ORFを得た。epoホモローガスドメインに対 応する第二の組み立て物は、前進プライマーとしてのCla.FL.Fおよび以下 の逆プライマー: を使用する外は同じ方法で作成した。最終組み立て物はpRK5−tkneoEPO −Dと呼ばれる。両組み立て物の配列は実施例7に記載のように確認された。 2.ヒト胚腎細胞のトランスフェクション これらの2組み立て物を、実施例9に記載のようにCaPO4法によりヒト胚 腎細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、0.4m g/ml G418.10の存在下にネオマイシン耐性クローンの選択を開始し 、 15日後に個々のコロニーを96ウェルプレートに移し、密集するまで増殖させ た。条件培地におけるこれらのクローンからのML153またはML332の発現を、 Ba/F3−mpl増殖検定(実施例1に記載)を用いて評価した。 3.rhML332の精製 293−rhML332条件培地を、10mM燐酸ナトリウムpH7.4(緩衝 液A)で平衡化したブルー−セファロース(ファルマシア)カラムに適用した。 続いてこのカラムを、緩衝液Aおよび2M尿素を含有する緩衝液A各々10カラ ム容量で洗浄した。次にカラムを2M尿素および1M NaClを含有する緩衝 液Aで溶出した。次いでこのブルー−セファロース溶出プールを、緩衝液Aで平 衡化したWGA−セファロースカラムに直接適用した。次にWGA−セファロー スカラムを、2M尿素および1M NaClを含有する緩衝液A 10カラム容量 で洗浄し、0.5M N−アセチル−D−グルコサミンを含有する同じ緩衝液で 溶離した。WGA−セファロース溶出液を、0.1%TFAで平衡化したC4− HPLCカラム(シンクロム、Inc.)に適用した。C4−HPLCカラムを 不連続プロパノール勾配(0−25%、25−35%、35−70%)で溶出し た。rhML332は、この勾配の28−30%プロパノール領域で溶出すること が判明した。SDS−PAGEによると、精製されたrhML332は、ゲルの6 8−80kDa領域の幅広いバンドとして移動する(図15を参照されたい)。 4.rhML153の精製 293−rhML153条件培地をrhML332について記載されたようにブルー −セファロースで分離した。このブルー−セファロース溶出液を上記のようにm pl親和カラムに直接適用した。mpl親和カラムから溶出したrhML153を 、rhML332について記載されたものと同じ条件で稼働させるC4−HPLC カラムを用いて均質となるまで精製した。SDS−PAGEにより、精製された rhML153はMr〜18000−21000の2個の主要なおよび2個の重要 性の低いバンドに分離する(図15を参照されたい)。 実施例20 CHOからのTPOの発現および精製 1.CHO発現ベクターの説明 下記の電気穿孔プロトコルで使用される発現ベクターは、 pSVI5.ID.LL.MLORF(全長またはhTPO332)、および、 pSVI5.ID.LL.MLEPO−D(末端切除されたまたはhTPO153) と命名された。これらのプラスミドの関連する特徴を図23および24に示す。 2.CHO発現ベクターの調製 hTPOの全オープンリーディングフレームに対応するcDNAは、第12表 のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCRによって取得した。 pRK5−hmplI(実施例7および9に記載)を、pfuDNAポリメラ ーゼ(ストラタジーン)の存在下でこの反応のための鋳型として使用した。最初 の変性は94℃で7分間、引き続き25サイクルの増幅(94℃1分間、55℃ 1分間および72℃1分間)を行った。最後の伸長は72℃で15分間であった 。このPCR生成物を精製し、プラスミドpSVI5.ID.LLの制限部位Cl aIおよびSalIの間にクローニングして、ベクターpSVI5.ID.LL. MLORFを得た。EPOホモローガスドメインに対応する第二の組み立て物は 、前進プライマーとしてのCla.FL.F2および以下の逆プライマー: を使用する外は同じ方法で作成した。最終組み立て物はpSVI5.ID.LL. MLEPO−Dと呼ばれる。両組み立て物の配列は実施例7および9に記載のよ うに確認された。 本質において、全長のおよび末端切除されたリガンドのためのコード化配列が 、CHO発現ベクターpSVI5.ID.LLの多クローニング部位に導入された 。このベクターは、SV40初期プロモーター/エンハンサー領域、マウスDH FR cDNAを含む修飾されたスプライス単位、目的遺伝子(この場合、記載 のTPO配列)の導入のための多クローニング部位、SV40ポリアデニル化シ グナルおよび複製起点ならびに細菌中でのプラスミドの選択および増幅のための β−ラクタマーゼ遺伝子を含んでいる。 3.組換えヒトTPO332およびTPO153を発現する安定なCHOセルライン を確立するための方法論 a.CHO親セルラインの説明 本明細書に記載のTPO分子の発現に使用されるための宿主CHO(チャイニ ーズハムスター卵巣)セルラインは、CHO−DP12(1989年3月15日 公開のEP307247を参照されたい)として知られている。この哺乳動物セ ルラインは、インシュリン要求性の低いクローンを得るためのプレプロインシュ リンを発現するベクターでトランスフェクトされた親ライン(スタンフォード大 学のフランク・リー博士からL.チェイシン博士の許諾によって入手したCHO −K1 DUX−B11(DHFR−)−)からクローン選択された。これらの 細胞はまたDHFRが無く、クローンは、ヌクレオチド補充(グリシン、ヒポキ サンチン、およびチミジン)の無い培地上で増殖させることにより、DHFR cDNAベクター配列の存在について選択することができる。安定に発現するC HOセルラインのための選択系は一般に使用されている。 b.トランスフェクション方法(電気穿孔) DP12細胞を、電気穿孔(例えばG.L.アンドルアソン、J.Tiss.Cult.Me th.、15,56[1993]を参照されたい)により、線状化したpSVI5. ID.LL.MLORFまたはpSVI5.ID.LL.MLEPO−Dプラスミド でそれぞれトランスフェクトすることにより、TPO332およびTPO153発現セ ルラインを作成した。三つ(3)の制限酵素反応混合物を、各々のプラスミドの 切断のために準備した;標準的分子生物学の方法による、酵素NOTIを伴う1 0μg、25μgおよび50μgのベクター。この制限部位は、ベクターの線状 化領域3'で且つTPOリガンド転写ユニットの外に、ただ一度見いだされる( 図23を参照されたい)。100μlの反応を、37度で一夜インキュベートす るために準備した。翌日、混合物をフェノール−クロロホルム−イソアミルアル コール(50:49:1)で1回抽出し、およそ1時間、ドライアイス上でエタ ノール沈澱化させた。次にこの沈澱を15分間微量遠心することにより集め、乾 燥した。線状化したDNAを、標準抗生物質および2mMグルタミンを添加した ハムのDMEM−F12 1:1培地50μl中に再懸濁した。 DP12細胞の生育している懸濁液を集め、DNAの再懸濁について記載した 培地中で1回洗浄し、最後に、750μlにつき107細胞の濃度で同じ培地に 再懸濁した。細胞のアリコート(750μl)およびそれぞれの線状化DNA混 合物を室温で1時間一緒にインキュベートし、次いでBRL電気穿孔チェインバ ーに移した。次に、各反応混合物を、標準的BRL電気穿孔装置中、330μF および低キャパシタンスに設定し350ボルトで電気穿孔した。電気穿孔の後、 細胞をこの装置内に5分間放置し、次いでさらなる10分間のインキュベーショ ン時間の間氷上に置いた。電気穿孔された細胞を、CHO細胞用の標準的な完全 増殖培地(1X GHT、2mMグルタミン、および5%牛胎児血清を添加した グリシン無しの高グルコースDMEM−F12 50:50)5mlを入れた6 0mmの細胞培養皿に移し、5%CO2細胞培養インキュベーター中で一夜増殖 させた。 c.選択およびスクリーニング方法 翌日、細胞を標準法によりトリプシン処理して、プレートから、DHFR選択 培地(2%または5%いずれかの透析牛胎児血清を添加しグリシン、ヒポキサン チンおよびチミジンを欠く上記のハムのDMEM−F12、1:1の培地であり 、これは本発明者等の使用する標準的DHFR選択培地である)を入れた150 mm組織培養皿に移した。それぞれの60mmの皿からの細胞を、続いて5個の 150mmの皿に再度蒔いた。次に細胞を、クローンが現れ始め、96ウェルの 皿 に移すのに適当な大きさに達するまで、37度/5%CO2で10ないし15日 間(培地を1回交換)インキュベートした。4−5日の期間にわたり、セルライ ンを、50mlに設定したピペットマンの滅菌した黄色の先端部を用いて96ウ ェルの皿に移した。細胞を密集成長まで増殖させ(通常3−5日間)、次いでト レーをトリプシン処理し、元のトレーのコピーを2個再生産した。これらのコピ ーのうち2個は、各ウェルの細胞をDMSO中10%FCS50μlで希釈し、 冷凍庫に短期間保存した。5日間の無血清条件培地試料を、Ba/F細胞に基づ く活性検定により、第三のトレーの密集成長しているウェルから、TPO発現に ついて検定した。この検定に基づいて最も良く発現しているクローンを保存から 回復させ、懸濁適応、再検定および預託用の細胞培養群に移すため、2個の密集 成長150mm Tフラスコにスケールアップした。 d.増幅プロトコル 上記の選択からの最高力価のセルラインの幾つかを引き続き標準メソトレキサ ート増幅処方に付し、より高い力価のクローンを生成させた。CHO細胞のクロ ーンを拡大し、4種のメソトレキサート濃度(即ち、50nM、100nM、2 00nMおよび400nM)の10cm皿に、2または3種の細胞数(皿当たり 105、5x105、および106細胞)で蒔く。次にこれらの培養を、クロー ンが確立され、さらなる検定用の96ウェル皿に移すのに適当となるまで、37 度/5%CO2でインキュベートする。この選択からの幾つかの高力価クローン を再度より高濃度のメソトレキサート(即ち、600nM、800nM、100 0nMおよび1200nM)に付し、前と同じように耐性クローンを確立させ、 次いで96ウェル皿に移して検定した。 4.組換えヒトTPO332およびTPO153を発現する安定なCHOセルライン の培養 預託しておいた細胞を融解し、無血清または血清含有培地中、標準的な細胞増 殖法によって細胞数を拡大する。十分な細胞密度まで拡大した後、細胞を洗浄し て、成分の無くなった細胞培養基を除去する。次いで細胞を、バッチ、給餌バッ チまたは連続培養を包含する任意の標準法により、25−40℃、中性pH、少 なくとも5%の溶存O2含有量で、構成的に分泌されたTPOが蓄積されるまで 培養する。次いで細胞培養液を遠心のような機械的手段で細胞から分離する。 5.CHO培養液からの組換えヒトTPOの精製 収穫した細胞培養液(HCCF)を、0.01M燐酸Na(pH7.4)、0 .15M NaClで平衡化したブルーセファロース6 ファスト・フロー・カラ ム(ファルマシア)に、樹脂1リットル当たりHCCFおよそ100Lの比率、 およびおよそ300ml/時/cm2の線流速で直接適用する。次にこのカラム を、3ないし5カラム容量の平衡化緩衝液、続いて3ないし5カラム容量の0. 01M燐酸Na(pH7.4)、2.0M尿素で洗浄する。次いでTPOを、3 ないし5カラム容量の0.01M燐酸Na(pH7.4)、2.0M尿素、1. 0M NaClで溶出する。 次に、TPOを含有するブルーセファロースプールを、0.01M燐酸Na( pH7.4)、2.0M尿素、および1.0M NaClで平衡化した小麦胚芽 レクチンセファロース6MBカラム(ファルマシア)に、樹脂1mlあたり8な いし16mlのブルーセファロースプールの比率で、およそ50ml/時/cm2 の流速で適用する。次いでカラムを2ないし3カラム容量の平衡化緩衝液で洗 浄する。次いでTPOを、2ないし5カラム容量の0.01M燐酸Na(pH7 .4)、2.0M尿素、0.5M N−アセチル−D−グルコサミンで溶出する 。 次に、小麦胚芽レクチンプールを0.04%C128および0.1%トリフル オロ酢酸(TFA)の最終濃度に調節する。得られたプールを、0.1%TFA 、0.04%C128で平衡化したC4逆相カラム(ヴィダック214TP10 22)に、樹脂1ml当たりおよそ0.2ないし0.5mg蛋白のロードで、1 57ml/時/cm2の流速で適用する。 蛋白を、0.1%TFA、0.04%C128を含有するアセトニトリルの二 相直線勾配で溶出する。第一の相は15分間の0から30%のアセトニトリル直 線勾配で構成され、第二の相は60分間の30から60%のアセトニトリル直線 勾配で構成されている。TPOはおよそ50%アセトニトリルで溶出する。SD S−PAGEに基づきプールを作成する。 次にこのC4プールを2容量の0.01M燐酸Na(pH7.4)、0.15 M NaClで希釈し、10000ないし30000ダルトン分子量カットオフ の、アミコンYM等のような限外濾過膜で、およそ6容量の0.01M燐酸Na (pH7.4)、0.15M NaClに対してダイアフィルトレーションする 。次に、得られたダイアフィルトレート液を直ちに処理するか、またはさらに限 外濾過により濃縮することができる。このダイアフィルトレート液/濃縮液を、 0.01%トゥイーン80の最終濃度に調節する。 計算されたカラム容量の2ないし5%に相当するダイアフィルトレート液/濃 縮液の全量または一部を、0.01M燐酸Na(pH7.4)、0.15M N aCl、0.01%トゥイーン80で平衡化したセファクリルS−300 HR カラム(ファルマシア)に適用し、およそ17ml/時/cm2の流速でクロマ トグラフィーに付す。凝集物および蛋白分解産物を含まないTPO含有画分をS DS−PAGEに基づいてプールする。得られたプールを0.22μフィルター 、ミレックス−GX等で濾過し、2−8℃で保存する。 実施例21 大腸菌での形質転換およびTPO蛋白合成の誘導 1.大腸菌TPO発現ベクターの組み立て プラスミドpMP21、pMP151、pMP41、pMP57およびpMP 202は全て、異なる組み立て物の間で相違する小さなリーダーの下流にある、 TPOの最初の155アミノ酸を発現するよう設計されている。リーダーは主と して高レベルの翻訳開始および迅速な精製を提供する。プラスミドpMP210 −1、−T8、−21、−22、−24、−25は、開始メチオニンの下流にあ るTPOの最初の153アミノ酸を発現するよう設計されており、TPOの最初 の6アミノ酸に対するコドンの使用のみが相違しているが、一方、プラスミドp MP251は、TPOのカルボキシ末端が2アミノ酸だけ伸長しているpMP2 10−1の誘導体である。上記のプラスミドは全て、トリプトファンプロモータ ーの誘導時に、大腸菌において高レベルのTPOの細胞内発現を産むであろう( D.G.ヤンスラ等、Methods in Enzymology(D.V.ゲッデル編)、185 巻 54−60頁、アカデミック・プレス、サンディエゴ[1990])。プラスミ ドpMP1およびpMP172は、上のTPO細胞内発現プラスミドの組み立て の際の中間体である。 (a)プラスミドpMP1 プラスミドpMP1はTPOの最初の155アミノ酸のための分泌ベクターで あり、図33に示されるように、5個のDNAのフラグメントをライゲーション することにより組み立てられた。これらの第一は、小さなMluI−BamHI フラグメントがはずされたベクターpPho21であった。pPho21は、ヒ ト成長ホルモン遺伝子が大腸菌phoA遺伝子に置き換わっており、MluI制 限部位がアミノ酸20−21のSTIIシグナル配列のためのコード化配列中に 入れられたphGH1の誘導体である(C.N.チャング等、Gene、55巻18 9−196頁[1987])。 次の二つのフラグメント、即ちTPOアミノ酸19−103をコードしている pRK5−hmplIの258塩基対HinfI−PstI DNA断片(実施 例9)、および、アミノ酸1−18をコードしている以下の合成DNA: をT4−DNAリガーゼでプレライゲーションし、次にPstIで切断した。第 四番目は、TPOのアミノ酸104−155をコードしているpRK5hmpl Iからの152塩基対PstI−HaeIIIフラグメントであった。最後は、先 に記載されたλto転写ターミネーターを含むpdh108からの412塩基対 StuI−BamHIフラグメントであった(S.ショルティセク等、NAR、1 5巻3185頁[1987])。 (b)プラスミドpMP21 プラスミドpMP21を、STIIシグナル配列の一部を含む13アミノ酸リ ーダーの助けを受けてTPOの最初の155アミノ酸を発現するよう設計する。 これは、図34に示されるように3個(3)のDNAフラグメントをライゲーシ ョンすることにより組み立てられ、その最初のものは、小さなXbaI−Sph IフラグメントがはずされたベクターpVEG31であった。このベクターpV EG31は、ヒト成長ホルモン遺伝子が血管内皮細胞成長因子のための遺伝子に より置き換えられているpHGH207−1(H.A.デボーア等、プロモータ ー・ストラクチャー・アンド・ファンクション(R.L.ロドリゲスおよびM. J.チェンバレン編)、462、プレーガー、ニューヨーク[1982])の誘 導体である(この同一のベクターフラグメントが、この後者のプラスミドから得 ることができる)。 ライゲーションの第二の部分は、以下の配列: を有する合成DNA二本鎖であった。最後の断片は、TPOの155アミノ酸を コードしているpMP1からの1072塩基対MluI−SphIフラグメント であった。 (c)プラスミドpMP151 プラスミドpMP151は、STIIシグナル配列の7アミノ酸、8ヒスチジン 、および因子Xa開裂部位を含むリーダーの下流にあるTPOの最初の155ア ミノ酸を発現するよう設計されている。図35に示されるように、pMP151 は3個のDNAフラグメントをライゲーションすることによって組み立てられ、 それらの第一のものは、前記のベクターpVEG31であって、ここから小さな XbaI−SphIフラグメントが除去された。二番目は、以下の配列: を有する合成DNA二本鎖であった。最後は、TPOの154アミノ酸をコード しているpMP11からの1064塩基対BglI−SphIフラグメントであった 。プラスミドpMP11は、STIIシグナル配列中の数個のコドンの変化を除く とpMP1と同一である(このフラグメントはpMP1から得ることができる) 。 (d)プラスミドpMP202 プラスミドpMP202は、リーダー中の因子Xa開裂部位がトロンビン開裂 部位に置き換わっていることを除けば、発現ベクターpMP151と極めて似通 っている。図36に示されるように、pMP202は3個のDNAフラグメント をライゲーションすることにより組み立てられた。これらのうち第一番目は、小 さなXbaI−SphIフラグメントがはずされた前記のpVEG31であった 。第二番目は、以下の配列: を有する合成DNA二本鎖であった。最後の断片は、前記のプラスミドpMP1 1からの1064塩基対BglI−SphIフラグメントであった。 (e)プラスミドpMP172 プラスミドpMP172はTPOの最初の153アミノ酸のための分泌ベクタ ーであり、pMP210の組み立てのための中間体である。図37に示されるよ うに、pMP172は3個のDNAフラグメントをライゲーションすることによ って製造され、その第一番目は、小さなEcoRI−HindIII部分が除去さ れ たベクターpLS321amBであった。第二番目は、前記のプラスミドpMP 11からの946塩基対EcoRI−HgaIフラグメントであった。最後の断 片は、以下の配列: を有する合成DNA二本鎖であった。 (f)プラスミドpMP210 プラスミドpMP210は、翻訳開始メチオニンの後のTPOの最初の153 アミノ酸を発現するよう設計されている。このプラスミドは実際には、TPOの 最初の6個のコドンが各コドンの3位で無作為化されているプラスミドの群とし て作成され、図38に示されるように3個のDNAフラグメントのライゲーショ ンによって組み立てられた。これらの第一番目は、小さなXbaI−SphIフ ラグメントが除去された前記ベクターpVEG31であった。第二番目は、まず DNAポリメラーゼI(クレノウ)で処理し、その後XbaIおよびHinfI で消化された下記の合成DNA二本鎖であって、開始メチオニンおよびTPOの 無作為化された最初の6個のコドンをコードしていた: 第三番目は、TPOのアミノ酸19−153をコードしているpMP172から の890塩基対HinfI−SphIフラグメントであった。 およそ3700クローンのプラスミドpMP210群を、高翻訳開始クローン を選択するための高テトラサイクリン(50μg/ml)LB平板上で再トラン スフォームした(D.G.ヤンスラ等、Methods:A Companion to Methods in En zymology、4巻151−158頁[1992])。高テトラサイクリン平板上に 出現した8個のコロニーから、TPO発現の点で最良のもの5個をDNA配列決 定に付し、その結果を図39(配列番号23、24、25、26、27および2 8)に示す。 (g)プラスミドpMP41 プラスミドpMP41は、STIIシグナル配列の7アミノ酸からなるリーダー とこれに続く因子Xa開裂部位に融合させたTPOの最初の155アミノ酸を発 現するよう設計されている。このプラスミドは図40に示されるように、3個の DNA断片をライゲーションすることにより組み立てられ、その第一番目は、先 に記載された小さなXbaI−SphIフラグメントが除去されたベクターpV EG31であった。第二番目は以下の合成DNA二本鎖: であった。ライゲーションの最後の断片は、先に記載のプラスミドpMP11か らの1064塩基対BglI−SphIフラグメントであった。 (h)プラスミドpMP57 プラスミドpMP57は、STIIシグナル配列の9アミノ酸および二塩基性部 位Lys−Argよりなるリーダーの下流にあるTPOの最初の155アミノ酸 を発現する。この二塩基性部位は、プロテアーゼArgCによりリーダーを除去 する手段を提供する。このプラスミドは図41に示されるように、3個のDNA 断片をライゲーションすることにより組み立てられた。これらの第一番目は、小 さなXbaI−SphIフラグメントが除去された先に記載のベクターpVEG 31であった。第二番目は以下の合成DNA二本鎖: であった。ライゲーションの最後の部分は、先に記載のプラスミドpMP11か らの1064塩基対BglI−SphIフラグメントであった。 (i)プラスミドpMP251 プラスミドpMP251は、TPOのカルボキシ末端にさらに2個のアミノ酸 が加わっているpMP210−1の誘導体である。図42に示されるように、こ のプラスミドは2個のDNA断片をライゲーションすることにより組み立てられ 、その第一番目は、小さなXbaI−ApaIフラグメントが除去された先に記 載のpMP21であった。ライゲーションの第二の部分はpMP210−1から の316塩基対XbaI−ApaIフラグメントであった。 2.TPO発現ベクターによる大腸菌の形質転換および誘導 上のTPO発現プラスミドを、CaCl2熱衝撃法(M.マンデル等、J.Mol.B iol.、53巻159−162頁[1970])を用いる大腸菌菌株44C6(w 3110 tonA△rpoHtslon△clpP△galE)の形質転換に使 用した。形質転換された細胞を最初にカルベニシリン50μg/mlを含有する LB培地中37℃で、培養の光学密度(600nm)がおよそ2−3に達するま で増殖させた。次いでこのLB培地を0.49%カザアミノ酸(w/v)および 50μg/mlカルベニシリンを含有するM9培地で20xに希釈した。30℃ で通気しながら1時間増殖させた後、インドール−3−アクリル酸を最終濃度5 0μg/mlとなるまで加えた。次いで、30℃で通気しながらさらに15時間 培養を継続し、この時点で細胞を遠心により収穫した。 実施例22 大腸菌における生物活性なTPO(Met-11−153)の産生 生物活性な再折り畳みされたTPO(met-11−153)の産生のための以 下に示す方法は、NおよびC末端伸長型を包含する他のTPO変異体の回収に同 様に適用することができる(実施例23を参照されたい)。 A.不溶性TPO(Met-11−153)の回収 プラスミドpMP210−1によりコードされているTPO(Met-11−1 53)を発現する大腸菌細胞を上記のように発酵させる。典型的には、細胞約1 00gをポリトロンホモジナイザーを用いて細胞破壊緩衝液(10mMトリス、 5mM EDTA、pH8)1L(10容量)に再懸濁し、細胞を5000xg で30分間遠心する。洗浄した細胞ペレットをポリトロンホモジナイザーで再度 細胞破壊緩衝液1Lに再懸濁し、この細胞懸濁液を、製造者の指示に従ってLH セルディスラプター(LHインセルテク、Inc.)またはマイクロフルイダイ ザー(マイクロフルイディクス・インターナショナル)を通過させる。懸濁液を 5000gで30分間遠心し、再懸濁し、二度目の遠心を行って、洗浄された屈 折体ペレットを作成する。洗浄されたペレットを直ちに使用するか、または−7 0℃で保存する。 B.単量体TPO(Met-11−153)の可溶化および精製 上で得たペレットを、5容量/重量で、6−8Mグアニジンおよび25mM DTT(ジチオトレイトール)を伴う20mMトリス、pH8に再懸濁し、4℃ で1−3時間または一夜攪拌してTPO蛋白の可溶化を起こさせる。高濃度の尿 素(6−8M)もまた有用であるが、一般にグアニジンと比較して低収率をもた らす。可溶化の後、この溶液を30000xgで30分間遠心して、変性した単 量体TPO蛋白を含有する透明な上清を生成させる。次にこの上清を、流速2m l/分でスーパーデックス200ゲル濾過カラム(ファルマシア、2.6x60 cm)上のクロマトグラフィーに付し、蛋白を、10mM DTTを伴う20m M燐酸Na、pH6.0で溶出させる。160および200mlの間で溶出する 、単量体の、変性したTPO蛋白を含有する画分をプールする。このTPO蛋白 を半調製用C4逆相カラム(2x20cmVYDAC)でさらに精製する。試料 を30%アセトニトリルを加えた0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)で平衡化 したカラムに5ml/分で適用する。蛋白をアセトニトリルの直線勾配(60分 間で30−60%)で溶離する。精製された還元された蛋白はおよそ50%アセ トニトリルの時点で溶出する。この物質を、生物活性TPO変異体を得るための 再折り畳みに使用する。 C.生物活性TPO(Met-11−153)の生成 0.1%TFA/50%アセトニトリル40mlに入れた単量体の、還元され 変性されたTPO蛋白およそ20mgを、最適には以下の試薬: 50mMトリス、 0.3M NaCl、 5mM EDTA、 2%CHAPS洗浄剤、 25%グリセロール、 5mM酸化型グルタチオン、 1mM還元型グルタチオン、 pHを8.3に調節、 を含有する再折り畳み緩衝液360ml中に希釈する。 混合後、再折り畳み緩衝液を4℃で12−48時間穏やかに攪拌して、正しい ジスルフィド結合型のTPOの再折り畳み収率が最大となるようにする(下記参 照)。次にこの溶液をTFAで酸性化して最終濃度0.2%とし、0.45また は0.22ミクロンフィルターで濾過し、1/10容量のアセトニトリルを加え る。次いでこの溶液をC4逆相カラムに直接ポンプで送り込み、精製された、再 折り畳みされたTPO(Met-11−153)を上記と同じ勾配プログラムで溶 離する。再折り畳みされた、生物活性なTPOが、これらの条件下でおよそ45 %アセトニトリルの時点で溶出する。TPOの正しくないジスルフィド結合型は 、より早く溶出する。最終的な精製されたTPO(Met-11−153)は、S DSゲルおよび分析用C4逆相クロマトグラフィーにより評価したところ、95 %以上純粋である。動物での研究用に、C4精製した物質を生理学的に適合し得 る緩衝液中に透析した。150mM NaClおよび0.01%トゥイーン80 を含有する等張緩衝液(10mM酢酸Na、pH5.5、10mM琥珀酸Na、 pH5.5または10mM燐酸Na、pH7.4)を利用した。 Ba/F3検定でのTPOの高い力価(半最大刺激はおよそ3pg/mlで達 成される)の故に、多くの異なる緩衝液、洗浄剤および酸化還元条件を利用して 生物活性物質を得ることが可能である。しかしながら、殆どの条件においては、 正しく折り畳まれた物質は少量(<10%)得られるに過ぎない。商業的な製造 工程のためには、再折り畳み収率が少なくとも10%、より好ましくは30−5 0%、そして最も好ましくは>50%であることが望ましい。多くの異なった洗 浄剤(トリトンX−100、ドデシル−β−マルトシド、CHAPS、CHAP SO、SDS、サルコシル、トゥイーン20およびトゥイーン80、ツヴィッタ ージェント3−14およびその他)が、高い再折り畳み収率を支持する有効性に ついて評価された。これらの洗浄剤のうち、CHAPSファミリー(CHAPS およびCHAPSO)のみが、一般に、再折り畳み反応において蛋白凝集および 正しくないジスルフィド形成を制限するのに有用であることが見いだされた。1 %以上のレベルのCHAPSが最も有用であった。最良の収率には塩化ナトリウ ムが必要であり、その最適レベルは0.1Mおよび0.5Mの間であった。ED TA(1−5mM)の存在は、幾つかの製品で観察される金属により触媒される 酸化(および凝集)の量を制限した。15%以上のグリセロール濃度は最適な再 折り畳み条件をもたらした。最大収率のためには、酸化還元試薬対として、酸化 型および還元型両方のグルタチオンまたは酸化型および還元型システインのある ことが必須であった。一般に、酸化還元対の酸化型試薬のモル比が還元型試薬と 等しいかまたは過剰である時、より高い収率が観察された。7.5および約9の 間のpH値がこれらのTPO変異体の再折り畳みにとって最適であった。有機溶 媒(例えば、エタノール、アセトニトリル、メタノール)は10−15%または これ以下の濃度では寛容された。より高レベルの有機溶媒は、不適正に折り畳ま れた型の量を増加させた。トリスおよび燐酸緩衝液が一般に有用であった。4℃ でのインキュベーションもまた、より高レベルの正しく折り畳まれたTPOを生 成させた。 第一のC4工程で精製されたTPOの製造については、40−60%の再折り 畳み収率(再折り畳み反応に使用された還元され変性されたTPOの量に基づく )が典型的である。甚だしい沈澱化およびTPO再折り畳み工程中の非TPO蛋 白の妨害のため、収率はより低いものの、より不純な調製物から活性物質を得る ことができる(例えば、スーパーデックス200カラムの後または最初の屈折体 抽出の後直ちに)。 TPO(Met-11−153)は4個のシステイン残基を含むため、この蛋白 から3個の異なるジスルフィド型を生成することが可能である: 第一の型:システイン残基1−4および2−3の間のジスルフィド、 第二の型:システイン残基1−2および3−4の間のジスルフィド 第三の型:システイン残基1−3および2−4の間のジスルフィド。 再折り畳み条件の決定の際の最初の探査中に、TPO蛋白を含有する幾つかの 異なるピークがC4逆相クロマトグラフィーによって分離された。これらのうち ただ一つがBa/F3検定を用いて測定される有意な生物活性を有していた。続 いて、再折り畳み条件を、専らその型を生成するように最適化させた。これらの 条件の下で、誤って折り畳まれた型は、得られた総単量体TPOの10−20% 未満である。 生物活性なTPOのジスルフィドパターンは、質量分析および蛋白配列決定に より、1−4および2−3であると決定された(即ち、第一の型)。種々のC4 分離されたピークのアリコート(5−10nmole)をトリプシンで消化した (蛋白に対するトリプシンのモル比は1:25)。消化混合物をマトリックス支 援レーザー脱着質量分析により、DTTによる還元の前後で分析した。還元後、 TPOの大きなトリプシン分解ペプチドの殆どに対応する質量が検出された。非 還元試料においてはこれらの質量のうち幾つかが無く、新たな質量が観察された 。この新たなピークの質量は基本的に、ジスルフィド対に含まれる個々のトリプ シン分解ペプチドの合計に対応していた。したがって、再折り畳みされた組換え の生物活性TPOのジスルフィドパターンを、無条件に1−4および2−3に割 り当てることが可能である。これは、関連分子エリスロポエチンの既知のジスル フィドパターンと一致する。 D.組換えの再折り畳みされたTPO(met 1−153)の生物活性 再折り畳みされ精製されたTPO(Met-11−153)は、インビトロおよ びインビボの両方の検定で活性を持っている。Ba/F3検定において、Ba/ F3細胞へのチミジン取り込みの半最大刺激は3.3pg/ml(0.3pM) で達成された。mplレセプターに基づくELISAにおいては、半最大活性は 1.9ng/ml(120pM)で出現した。正常のおよび近致死X線照射によ り作り出された骨髄抑制動物において、TPO(Met-11−153)は極めて 強力に(わずか30ng/マウスの用量で活性が見られた)新たな血小板の産生 を刺激した。 実施例23 大腸菌におけるその他の生物活性TPO変異体のの生成 大腸菌において生産され、精製され生物活性型に再折り畳みされた三つの異な るTPO変異体を下に示す。 (1)MLF − 細菌由来シグナル配列STIIからの13残基をTPOのN 末端ドメイン(残基1−155)と融合させる。得られる配列は、 [ここで、リーダー配列には下線を付し、C …… CはCys7からCys151ま でを表す]である。この変異体は、レセプターおよび生物学的研究のためのTP Oの放射性沃素化のためのチロシンを提供するために組み立てられた。 (2)H8MLF − STII配列からの7残基、8個のヒスチジン残基およ び因子Xa酵素的開裂配列IEGRをTPOのN末端ドメイン(残基1−155 )と融合させる。この配列は、 [ここで、リーダー配列には下線を付し、C …… CはCys7からCys151ま でを表す]である。この変異体は、精製され再折り畳みされる時、配列IEGR のアルギニン残基の後で開裂して天然セリンN末端アミノ酸を有する長さ155 残基のTPO変異体を生成する酵素、因子Xaで処理することができる。 (3)T−H8MLF − は、トロンビン感受性配列IEPRをTPOのN 末端ドメインと融合させる外は変異体(2)について上に記載されるようにして 製造する。得られる配列は、 [ここで、リーダー配列には下線を付し、C …… CはCys7からCys151ま でを表す]である。この変異体は、精製および再折り畳みの後、酵素トロンビン で処理して、長さ155残基のTPOの天然N末端変異体を生成することができ る。 A.単量体の生物活性TPO変異体(1)、(2)、および(3)の回収、可 溶化および精製 全ての当該変異体は大腸菌において発現された。この変異体の大部分はTPO (Met-11−153)に関して実施例22で観察されたように、屈折体中に見 いだされた。単量体TPO変異体の回収、可溶化および精製のための同じ方法が 実施例22に記載されるように達成された。TPO(Met-11−153)に用 いられたのと同一の再折り畳み条件を用いて、通算収率は30−50%であった 。再折り畳みの後、このTPO変異体を、前記のようにアセトニトリル勾配を利 用する0.1%TFA中のC4逆相クロマトグラフィーにより精製した。全ての TPO変異体(非蛋白分解型において)はBa/F3検定により評価したところ 半最大活性2−5pMの生物活性を有していた。 B.真性のN末端TPO(1−155)を生成させるための変異体(2)およ び(3)の蛋白分解的処理 上のTPO変異体(2)および(3)を、TPOの正常なN末端アミノ酸残基 の前に、酵素的に開裂し得るリーダーペプチドを有するように設計した。上記の ように変異体(2)および(3)の再折り畳みおよび精製を行った後、各々を適 当な酵素での消化に付した。各変異体について、C4逆相工程からのアセトニト リルを、溶液上に穏やかな窒素気流を通気することにより除去した。その後二つ の変異体を下記のように因子Xaまたはトロンビンのいずれかで処理した。 TPO変異体(2)については、1Mトリス緩衝液(pH8)を、アセトニト リルを含まないこの溶液に最終濃度50mMとなるまで加え、必要ならばpHを 8に調節した。NaClおよびCaCl2をそれぞれ0.1Mおよび2mMとな るまで加えた。因子Xa(ニュー・イングランド・バイオラブズ)を加えて変異 体に対する酵素のモル比約1:25ないし1:100を達成した。この試料を室 温で1−2時間インキュベートして、リーダー配列の喪失を表すSDSゲル上の 移動の変化により評価される最大の開裂を達成した。その後、反応混合物を、正 しく折り畳まれた変異体の精製について上に記載されたものと同じ勾配および条 件を用いるC4逆相クロマトグラフィーによって精製した。開裂しなかった変異 体Bは、これらの条件により開裂した変異体(2)から分離された。N末端アミ ノ酸はSPAPPであることが示され、これはN末端リーダー配列の除去が成功 したことを示すものである。因子XaはまたTPOドメイン内の変化し得る量の 内部開裂を産み;開裂は位置番号118のアルギニン残基の後に観察され、これ はさらなるN末端配列TTAHKDP(配列番号88)を生成した。非還元SD Sゲル上で、因子Xa開裂変異体についてはおよそ17000ダルトンに単一の バンドが観察され;還元ゲル上では、アルギニン118での開裂に合致するおよ そ12000および5000ダルトンの分子量である二つのバンドが見られた。 この観察はまた、上記のトリプシン消化実験から導き出されたように、分子の二 つの部分が1番目および4番目のシステイン残基の間のジスルフィド結合により 結合していることを確かにした。Ba/F3生物検定において、N末端リーダー 配列の除去後の内部開裂を伴う精製TPO(1−155)変異体は、0.2ない し0.3ピコモルの半最大活性を有していた。リーダー配列を有する無傷の変異 体は2−4ピコモルの半最大活性を有していた。 変異体(3)のためには、消化緩衝液は、50mMトリス(pH8)、2%C HAPS、0.3M NaCl、5mM EDTAおよびTPO変異体蛋白に対す る酵素が1:25ないし1:50(重量)のヒトまたは牛トロンビン(カルビオ ケム)で構成されていた。消化は室温で2−6時間実施した。消化の進行を、因 子Xa開裂反応について上に記載されたようにSDSゲルにより評価した。一般 に、この時点でリーダー配列の90%以上の開裂が達成された。得られたTPO を上記のようにC4逆相カラム上で精製し、アミノ酸配列決定により所望のN末 端を有することが示された。因子Xaに関して上で観察されたのと同じアルギニ ン−スレオニン結合において、極めて少量(<5%)の内部開裂が得られただけ であった。得られたTPO蛋白は、Ba/F3検定において0.2−0.4ピコ モル蛋白での半最大反応を有する高い生物活性を持っていた。mplレセプター に基づくELISAにおいて、この蛋白は2−4ng/ml精製蛋白(120− 240ピコモル)で半最大反応があったが、一方、リーダー配列を含む無傷の変 異体は両方の検定で5−10倍力価が低かった。動物研究のために、HPLC精 製された開裂蛋白を、150mM NaCl、0.01%トゥイーン80および 10mM琥珀酸ナトリウム(pH5.5)、または10mM酢酸ナトリウム(p H5.5)、または10mM燐酸ナトリウム(pH7.4)を伴う生理学上許容 し得る緩衝液中に透析した。HPLCおよびSDSゲルにより、この精製された 蛋白は4℃で保存した場合、数週間安定であった。正常のおよび骨髄抑制マウス において、真性のN末端配列を有するこの精製TPOは高度に活性であり、30 ng/マウスという低い用量で血小板の産生を刺激した。 実施例24 合成mplリガンド ヒトmplリガンド(hML)は通常組換え法を用いて作成されるが、これは 、下記の方法を用いて、合成ペプチドフラグメントの酵素的ライゲーションで合 成することもできる。hMLの合成による生産は、非天然アミノ酸またはポリエ チレングリコールのような合成官能基の取り込みを可能にする。かつてセリンプ ロテアーゼズブチリシンBPNの突然変異体、ズブチリガーゼ(S221C/P 225A)が、ペプチドエステルを水性溶液中で有効にライゲーションするよう に組み立てられた(アブラームセン等、Biochem.、30巻4151−4159頁 [1991])。現在では、合成ペプチドを連続して酵素的にライゲーションし て、酵素的に活性な長いペプチドおよびリボヌクレアーゼAのような蛋白を生成 させることができるということが知られている(ジャクソン等、Science、[1 994])。より詳細に下に記載されるこの技術によって、本発明者等は、かつ て組み換えDNA技術でしか製造できなかった長い蛋白を化学合成することがで きるようになった。 hML153合成のための一般的方法を示す(図式1)。当該蛋白のC末端フラ グメントに対応する完全に脱保護されたペプチドで始まり、N末端保護されC末 端活性化されたエステルペプチドをズブチリガーゼと共に加える。反応が完結し たならば、生成物を逆相HPLCにより分離し、保護基をN末端から除去する。 次のペプチドフラグメントをライゲーションし、脱保護し、そしてこの工程を、 次々とペプチドを用いて全長の蛋白が得られるまで反復する。この方法は、N末 端保護されC末端活性化されたペプチドが、先行するペプチドのN末端にライゲ ーションされ、蛋白がC→N方向に合成されるという点において固相法に類似し ている。しかし、各合成が50残基までの付加を産み、そして生成物が各ライゲ ーション後に分離されるため、ずっと長い、高度に純粋な蛋白を妥当な収率で合 成することができる。 ズブチリガーゼの配列特異性およびhMLの生物活性「epoドメイン」のア ミノ酸配列についての知識に基づき、本発明者等はhML153を長さ18−25 残基の7個のフラグメントに分割した。この18−25量体のための適当なライ ゲーション接合部を決定するため、試験ライゲーションテトラペプチドを合成し た。第13表はこれらの試験ライゲーションの結果を示すものである。 これらの実験に基づき、第14表に示されるライゲーションペプチドはズブチ リガーゼにより有効にライゲーションされるに違いない。自己ライゲーションを 防止するため、各ドナーエステルペプチドのN末端のための適当な保護基が必要 であった。本発明者等はイソニコチニル(iNOC)保護基(ヴィーバー等、J. Org.Chem.、42巻3286−3289頁[1977])を選択する。何故なら これは水溶性であり、固相ペプチド合成の最終段階で加えることができ、そして ペプチドを固相樹脂から脱保護および開裂するために用いられる無水HFに対し て安定であるためである。さらにこれは、各ライゲーションの後、緩和な還元条 件下で(Zn/CH3CO2H)ペプチドから除去され、次のライゲーションのた めの遊離N末端を与えることができる。グリコラート−リジル−アミド(glc −K−NH2)エステルがズブチリガーゼにより効果的にアシル化されることを 示した先の実験(アブラームセン等、Biochem.、30巻4151−4159頁[ 1991])に基づき、これをC末端活性化に使用した。iNOC−保護されg lc−K−アミド活性化されたペプチドは、概説されるような標準的固相法を用 いて合成することができる(図式2)。次にこのペプチドを、完全な蛋白が生成 されるまで連続的にライゲーションし、最終生成物をインビトロで再折り畳みす る。EPOとの相同性に基づき、ジスルフィド対はシステイン残基7および15 1ならびに28および85の間に形成されると信じられる。ジスルフィドの酸化 は、還元された物質を単に酸素雰囲気下で数時間攪拌することによって達成する ことができる。次いで再折り畳みされた物質をHPLCにより精製し、活性蛋白 を含有する画分をプールし凍結乾燥することができる。別法として、特定のジス ルフィド対間の連続酸化を調節するため、ジスルフィドを区別を付けて保護する こともできる。アセトアミドメチル(acm)基によるシステイン7および15 1の保護は28および85の酸化を確実にするであろう。次いでこのacm基を 除去して残基7および151を酸化することができる。逆に、残基28および8 5をacm保護し、連続的酸化が正しい折り畳みにとって必要とされる場合に酸 化することができる。所望により、システイン28および85をCys以外の別 の天然または非天然残基に置換して、システイン7および151の適正な酸化を 保証す ることもできる。 ペプチドライゲーションを100mMトリシン(pH8)(新たに調製し、5 μMフィルターで真空濾過することにより脱気する)中25℃で実施する。典型 的にはC末端フラグメントを緩衝液に溶解し(2−5mMペプチド)、ズブチリ ガーゼの10x保存溶液(100mMトリシン、pH8中1mg/ml)を加え て最終的な酵素濃度を〜5μMとする。次に、3−5モル過剰のglc−K−N H2活性化されたドナーペプチドを固体で加え、溶解し、混合物を25℃に放置 する。ライゲーションは分析用逆相C18 HPLC(0.1%TFAを伴うC H3CN/H2O勾配)により監視する。ライゲーション生成物を調製用HPLC により精製し凍結乾燥する。HCl活性化された亜鉛末を酢酸中の保護ペプチド と共に攪拌することにより、イソニコチニル(iNOC)脱保護を遂行した。亜 鉛末を濾過により除き、酢酸を減圧下に蒸発させる。得られたペプチドを次のラ イゲーションに直接使用し、この工程を反復する。合成hML153を、上記の方 法と類似の方法により合成または組換えhML154-332とライゲーションして、 合成または半合成全長hMLを生成させることができる 合成hMLは組換えに優る多くの利点を有する。力価または特異性を改善する ため、非天然側鎖を導入することができる。活性の持続性を改善するため、ポリ エチレングリコールのようなポリマー官能基を組み入れることができる。例えば 、1またはそれ以上のライゲーション工程の実施の前または後に、ポリエチレン グリコールを個々のフラグメント(第14表)のリジン残基に結合させることが できる。インビボ安定性を改善するため、プロテアーゼ感受性ペプチド結合を除 去しまたは変更することができる。加えて、構造決定の助けとするため重原子誘 導体を合成することもできる。 a)リジル−パラメチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂1(0.63 meq/g、アドヴァンスト・ケムテク)を、ジメチルアセトアミド(DMA) 中でブロモ酢酸(5eq)およびジイソプロピルカルボジイミド(5eq)と共 に25℃で1時間攪拌してブロモアセチル誘導体2を得る。b)樹脂をDMAで 良く洗浄し、個々のBoc−保護されたアミノ酸(3eq、バッチェム)をジメ チルホルムアミド(DMF)中で重炭酸ナトリウム(6eq)と共に50℃で2 4時間攪拌することによりエステル化して、対応するグリコラート−フェニルア ラニル−アミド−樹脂3を得る。このアミノアセチル化された樹脂3をDMF( 3x)およびジクロロメタン(CH2Cl2)(3x)で洗浄し、室温で数ヶ月保 存することができる。次に樹脂3を自動ペプチド合成機(アプライド・バイオシ ステムズ430A)にロードし、標準的固相法を用いてペプチドを伸長すること ができる(5)。c)N−α−Boc基をCH2Cl2中の45%トリフルオロ酢 酸の溶液で除去する。d)次のBoc−保護アミノ酸(5eq)を、DMA中の ベ ンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウ ムヘキサフルオロホスファート(BOP、4eq)およびN−メチルモルホリン (NMM、10eq)を用いて前活性化し、1−2時間結合させる。e)最後の N−α−Boc基を除去して(TFA/CH2Cl2)4を得、前記(4)に記載 のように、DMA中の4−イソニコチニル−2−4−ジニトロフェニルカルボナ ート(3eq)およびNMM(6eq)と共に25℃で24時間攪拌することに より、イソニコチニル(iNOC)保護基を導入する。f)無水HF(5%アニ ソール/5%エチルメチルスルフィド)を用いる0℃で1時間の処理によるペプ チドの開裂および脱保護は、iNOC−保護された、グリコラート−lys−ア ミド活性化されたペプチド5を与え、これを逆相C18 HPLC(CH3CN/ H2O勾配、0.1%TFA)により精製する。全ての基質の同定は質量分析に より確認する。 補足的許諾 特許請求されている本発明は、上記の明細書および容易に入手し得る参考文献 および出発物質にしたがって実施可能である。にもかかわらず、本出願人等は、 以下に列挙されるセルラインをアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション 、ロックヴィル、Md、USA(ATCC)に寄託した: エシェリチア・コリ、DH10B−pBSK−hmplI 1.8、ATCC 受理番号CRL69575、1994年2月24日寄託、 プラスミド、pSVI5.ID.LL.MLORF、ATCC受理番号CRL7 5958、1994年12月2日寄託;および、 CHO DP−12細胞、ML 1/50 MCB(標識#1594)、ATC C受理番号CRL11770、1994年12月6日寄託。 この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約お よびその規則の規定の下になされた(ブダペスト条約)。これは、生存培養を寄 託の日から30年間維持することを保証するものである。当該生物は、ブダペス ト条約の下にATCCによって入手可能とされ、そして、関連する米国特許の登 録時における無制限の入手可能性を保証する、出願人およびATCC間の合意の 下にあるであろう。寄託された菌株の入手可能性は、任意の政府当局がその特許 法に従って付与した権利に違反して本発明を実施する許諾と解してはならない。 本発明を必然的に好ましい態様および個々の実用的実施例と結びつけて説明し てきたが、当業者は、前述の明細書を読んだ後に、本発明の精神および範囲から 乖離せずに、種々の変更、等価物による置き換え、および本明細書に開示される 主題内容への改変を加えることができるであろう。したがって本発明は、本明細 書に個別的に記載される以外の方法で実施することができる。故に、本発明に関 する特許証により付与された保護は、付記される請求の範囲およびその等価物に よってのみ制限されることが意図されている。 本明細書に引用される全ての参考文献は、説明的に引用されて本明細書の一部 とされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 5/10 9637−4B C12P 21/08 C12P 21/02 9282−4B C12N 5/00 B C12Q 1/68 9051−4C A61K 37/02 ABY // C12P 21/08 9051−4C 37/24 ACB (C12P 21/08 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 08/196,689 (32)優先日 1994年2月15日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/223,263 (32)優先日 1994年4月4日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/249,376 (32)優先日 1994年5月25日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/348,657 (32)優先日 1994年12月2日 (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/348,658 (32)優先日 1994年12月2日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE ,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK, LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SI,SK,TJ,TT,UA,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.分離された実質上均質なmplリガンドポリペプチド。 2.(a)フラグメントポリペプチド; (b)変異体ポリペプチド;および、 (c)キメラポリペプチド、 より成る群から選ばれる、請求項1に記載のmplリガンドポリペプチド。 3.(a)哺乳動物から分離された該ポリペプチド; (b)組換え手段により作成された該ポリペプチド;および、 (c)合成手段により作成された該ポリペプチド、 より成る群から選ばれる、請求項1に記載のmplリガンドポリペプチド。 4.(a)人間のポリペプチド;および、 (b)人間において非免疫原性であるポリペプチド、 より成る群から選ばれる、請求項1に記載のmplリガンドポリペプチド。 5.(a)該アゴニストが、ヒトmplPでトランスフェクトされたIL−3 依存性Ba/F3細胞中への標識されたヌクレオチド(3H−チミジン)の取り 込みを刺激し;または、 (b)該アゴニストが、血小板リバウンド検定において循環血小板中への35 S取り込みを刺激する、 ことを特徴とする、分離された実質上均質なmplアゴニスト。 6.X−hTPO(7−151)−Y [式中、hTPO(7−151)は、Cys7からCys151まで(両端を含む) のヒトTPO(hML)アミノ酸配列を表し; Xは、Cys7のアミノ基または群: から選ばれるアミノ末端アミノ酸残基を表し、 Yは、Cys151のカルボキシ末端基または群: から選ばれるカルボキシ末端アミノ酸残基を表す] で表される請求項2に記載のフラグメントポリペプチドであって、アミノ末端ア ミノ酸残基の伸長が図1(配列番号1)に供されるヒトMLの残基176−33 2の1またはそれ以上を含むフラグメントポリペプチドおよびそのペギレイティ ド型。 7.群TPO(1−153)およびTPO(1−245)から選ばれる請求項 6に記載のフラグメントポリペプチド。 8.該フラグメントポリペプチドのアミノ酸配列が、 およびその組み合わせからなる、請求項2に記載のフラグメントポリペプチド。 9.グリコシル化されていない請求項6に記載のポリペプチド。 10.図1(配列番号2)に示される核酸配列を有する核酸分子と中等度の緊 縮条件下でハイブリダイズする配列を有する核酸によりコードされている、分離 されたポリペプチド。 11.生物活性である請求項11に記載のポリペプチド。 12.群hML、hML153、hML(R153A、R154A)、hML2 、hML3、hML4、mML、mML2、mML3、pML、およびpML2 から選ばれる請求項1に記載のポリペプチド。 13.ポリペプチドのアミノ酸配列が、図1(配列番号1)のアミノ酸残基1 ないしX[ここでXは、群153、155、164、174、191、205、 207、217、229、245および332から選ばれる]を含む、請求項2 に記載のポリペプチド。 14.請求項13に記載のポリペプチドと少なくとも80%の配列一致を共有 する、分離された実質上均質なmplリガンドポリペプチド。 15.Xが153である、請求項13に記載のポリペプチド。 16.ヘテロローガスなポリペプチドと融合した請求項13に記載のmplリ ガンドを含むキメラ。 17.ヘテロローガスなポリペプチドが免疫グロブリンポリペプチドである、 請求項16に記載のポリペプチド。 18.ヘテロローガスなポリペプチドがインターロイキンポリペプチドである 、請求項16に記載のキメラ。 19.図10に示される整列に対応する位置でhMLのN末端残基中に加えら れまたはそこに置換されているヒトEPO残基の1またはそれ以上(但し全てで はない)により置換されている、hMLのN末端残基1ないし約153ないし1 57を含むキメラ。 20.請求項13に記載のmplリガンドポリペプチドを結合することのでき る抗体。 21.請求項20に記載の抗体を産生するハイブリドーマセルライン。 22.請求項1に記載のmplリガンドポリペプチドをコードしている、分離 された核酸分子。 23.請求項13に記載のmplリガンドポリペプチドをコードしている、分 離された核酸分子。 24.図1(配列番号2)に示されるオープンリーディングフレーム核酸配列 を含む、分離された核酸分子。 25.群hML、hML153、hML(R153A、R154A)、hML2 、hML3、hML4、mML、mML2、mML3、pMLおよびpML2か ら選ばれるmplリガンドポリペプチドをコードしている、請求項24に記載の 分離された核酸分子。 26.(a)mplリガンド遺伝子のコーディング領域のヌクレオチド配列を 含むcDNAクローン; (b)緊縮条件下で(a)のクローンとハイブリダイズすることのできるDN A配列;および、 (c)天然に存在するmplリガンドポリペプチドの生物活性を有するポリペ プチドをコードしている、(a)および(b)のDNA配列のいずれかの遺伝的 変異体、 より成る群から選ばれる、分離された核酸分子。 27.中等度の緊縮条件下で図1(配列番号2)に供されるDNA配列とハイ ブリダイズすることのできる配列を有する、分離されたDNA分子であって、生 物活性なmplリガンドポリペプチドをコードしているDNA分子。 28.当該核酸分子に機能的に結合したプロモーターをさらに含む、請求項2 5に記載の核酸分子。 29.当該ベクターにより形質転換された宿主細胞により認識される調節配列 と機能的に結合している請求項25に記載の核酸配列を含む発現ベクター。 30.請求項29に記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。 31.請求項30に記載の宿主細胞を培養することを含む、mplリガンドポ リペプチドの産生をもたらすための、mplリガンドポリペプチドをコードして いる核酸分子を使用する方法。 32.mplリガンドポリペプチドが宿主細胞から回収される、請求項31に 記載の方法。 33.mplリガンドポリペプチドが宿主細胞培養基から回収される、請求項 31に記載の方法。 34.mplリガンドポリペプチドをコードしているDNAを被験試料の核酸 とハイブリダイズさせ、mplリガンドポリペプチドDNAの存在を決定するこ とからなる、mplリガンドポリペプチドの存在を決定する方法。 35.核酸ポリメラーゼ反応をmplリガンドポリペプチドをコードしている 核酸で開始することを含む、核酸被験試料を増幅する方法。 36.請求項1に記載のmplリガンドポリペプチドおよび薬学上許容し得る 担体からなる組成物。 37.請求項36に記載の組成物の治療的有効量を、処置を必要とする哺乳動 物に投与することからなる、血小板減少症に罹患しているまたはその危険性のあ る哺乳動物を処置するための方法。 38.サイトカイン、コロニー刺激因子、およびインターロイキンより成る群 から選ばれる物質の治療的有効量をさらに含む、請求項36に記載の組成物。 39.該物質が、KL、LIF、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、M −CSF、EPO、IL−1、IL−2、IL−3、IL−5、IL−6、IL −7、IL−8、IL−9およびIL−11から選ばれる、請求項38に記載の 組成物。 40.(a)ヒトmplリガンドポリペプチドをコードしているDNA分離物 を含む宿主細胞培養を生育させ、 (b)この培養からヒトmplリガンドポリペプチドを回収し、そして、 (c)実質上均質な生物活性ヒトmplリガンドポリペプチドを得るためにこ のmplリガンドポリペプチドを精製する、 ことからなる、一つのヒトmplリガンドポリペプチドのアミノ酸配列、例えば 図1(配列番号1)に開示される配列を特徴とするヒトmplリガンドポリペプ チドの生合成のための方法。
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