JPH09502717A - カルボン酸とラクタムからのアミド酸の合成 - Google Patents

カルボン酸とラクタムからのアミド酸の合成

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Abstract

(57)【要約】 カルボン酸およびラクタムから出発するアミド酸の化学合成、およびそれらのアミド酸フェニルエステルスルホネートへの転換。

Description

【発明の詳細な説明】 カルボン酸とラクタムからのアミド酸の合成 技術分野 本発明は、アミド酸の化学合成、およびそれらの、漂白活性剤として用いられ るアミド酸フェニルエステルスルホネートへの転換に関する。この転換は、直接 アミド酸とフェノールスルホン酸誘導体との反応によるか、またはアミド酸をそ のフェニルエステル形態に転換した後、このアミドフェニルエステルをスルホン 化した形態に転換することによるか、またはアミド酸をその無水物に転換した後 、フェノールスルホン酸ナトリウムと反応させてアミド酸フェニルエステルスル ホネートを形成させることによって行なうことができる。 背景技術 洗濯洗剤、布帛柔軟剤、硬質表面クレンザーなどの低単価消費者用品に用いる 成分の合成は、製造業者にかなりの関心を持たれている。実際に、処方書や特許 にはこれらの製品に用いる可能性のある成分のリストが満載されているが、現実 は、多くのこのような成分は毎日使用するには明らかに高価すぎるのである。こ の費用は、このような成分を製造するのに用いられる原料の価格によるもの、あ るいはその製造に必要な複雑な反応および加工化学によることが多い。従って、 製造業者らは、廉価な原料と、高性能で高価値の成分を出来る限り低価格で製造 することができる単純な反応順路とを模索し続けて来た。 アミド酸は、アミドおよびカルボキシレート官能基が界面活性剤(例えば、サ ルコシネート)、布帛柔軟剤、帯電防止剤などとしての使用を示唆する化合物の 一種である。更に、アミド酸は、洗濯洗剤の漂白活性剤および他の種類の漂白剤 含有クリーニング組成物として作用することができる化学物質のアミドフェニル エステルスルホネートの種類の塩基性原料を構成している。このような活性剤は 、漂白性能に優れ布帛染料に対する色の損傷が極めて少ない、洗濯機適合性が良 好であり、洗濯における臭気プロフィールが良好であるなどの幾つかの望ましい 属性を有する。実際的側面では、アミド酸およびそれらの前記誘導体は廉価な原 料から得られる可能性がある。不幸にして、ある種のアミド酸の合成は幾分複雑 であり、溶媒の使用を伴い、リサイクル流などに関する付加的な問題がある。望 ましくない着色した副生成物の形成により、問題が生じることもある。更に、ア ミド酸のフェニルエステル形態への転換は直接的なものではなく、意外なことに は問題を生じることがある。 本発明は、アミド酸の簡単な一段階合成法を提供する。本発明は、アミド酸を 、洗濯洗剤などで漂白活性剤として用いるのに好適なアミド酸フェニルエステル スルホネートへ転換する4つの方法も提供する。第一の方法は、アミド酸をフェ ノールにより簡単な1段階エステル化によってアミド酸フェニルエステルを提供 し、これを次にSO3と反応させ、通常の方式で中和してアミド酸フェニルエス テルスルホネートを生成させることができる。第二の方法では、フェノールのエ ステル誘導体のエステル交換の後、第一の方法で記載したのと同様にしてアミド 酸フェニルエステルスルホネートへ転換することによってアミド酸フェニルエス テルを製造する。第三の方法は、フェノールスルホン酸または塩、好ましくはア セトキシベンゼンスルホン酸または塩(典型的には、ナトリウムまたはカリウム 塩)のエステル誘導体をアミド酸とエステル交換してアミド酸フェニルエステル スルホネートを直接提供することを含む。第四の方法は、アミド酸の無水物を製 造し、この無水物をフェノールスルホン酸ナトリウムと反応させて、アミド酸フ ェニルエステルスルホネートを直接生成することを含む。 本発明における個々の反応順路は、許容可能な収率(典型的には60%以上) で進行し、重要なことには、変色の極めて少ない生成物を生じる。 反応は溶媒を添加することなく行なうことができ、すなわち反応物が溶媒として 作用する。従って、多くの目的に対して、反応生成物を徹底的に精製する必要は なく、これが更に工程の総体的経済性を向上させるのである。 ある種のフェノールのホウ酸によって触媒されるエステル化は、W.Lowrance, Jr.,Tetrahedron Letters,No.37,pp.3453-3454(1971)に記載されている 。ラクタムとカルボン酸との反応の一つの型については、1960年10月11 日のDohrらの米国特許第2,956,068号明細書を参照されたい。ある種の ベンゼンスルホン酸塩の製造法は、1992年10月6日のAmini およびDumas の米国特許第5,153,541号明細書に記載されている。 発明の開示 本発明は、酸触媒、好ましくはホウ酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオ ロメタンスルホン酸、リン酸、およびアリールスルホン酸、例えばトルエンスル ホン酸およびフェノールスルホン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択 される成分の存在下にて、 式 を有するカルボン酸を、 構造 (但し、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、R1はC2〜C10ヒドロカ ルビレン置換基であり、R1は好ましくは −(CH2x−であり、xは2〜10である) を有するラクタムと反応させることによって、式 (式中、RおよびR1は前記で定義した通りである)を有するアミド酸の製造法 を包含する。好ましい酸触媒はホウ酸、メタンスルホン酸またはトルエンスルホ ン酸である。硫酸を用いるときには、これは約50%〜70%の濃硫酸水溶液が 好ましく、最も好ましくは70% H2SO4水溶液が好ましい。 このアミド酸の好ましい製造法は、約150℃〜約250℃、特に約200℃ 〜約235℃の温度で行なわれる。 好ましい態様では、本発明の方法は、カプロラクタムおよびバレロラクタムか ら選択されるラクタムを用いる。好ましい態様では、カルボン酸はC6〜C17の ような置換基Rを有する。 ラクタムの重合をできるだけ少なくするには、本発明では脂肪酸反応物対ラク タム反応物のモル比が少なくとも約1.5:1で反応を行なうのが好ましい。極 めて好ましい態様では、脂肪酸対ラクタムのモル比は約2:1〜約10:1の範 囲にあり、反応を溶媒を添加することなく行なう。 本発明は、式 (式中、RおよびR1 は、前記で定義した通りである)を有するアミド酸フェ ニルエステルの製造法であって、 前記式(I) および/または(II)を有するアミド酸を強触媒およびホウ酸の存在下 にてフェノールと反応させて、それぞれ式(III) および(IV)のアミド酸フェニル エステルを生成させる方法をも包含する。 この方法において、強酸(非ホウ酸)触媒は、硫酸、メタンスルホン酸、トリ フルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ホスホン酸、およびそれらの 混合物からなる群から選択されたメンバーである。好ましくは、ホウ酸対強酸触 媒のモル比は、少なくとも約1:1であり、更に好ましくは少なくとも約1:3 .6である。好ましくはアミド酸対強酸触媒のモル比は、少なくとも約1:0. 05であり、更に好ましくは約1:0.25である。このエステル化反応は、約 180℃〜約210℃の範囲の温度で行なうのが好ましく、溶媒を添加せずに行 なうのが最も好ましい。 本発明のエステル化は、好ましくは溶媒の非存在下にて約180〜190℃の 温度で、酸性触媒として98%硫酸を用いて、ホウ酸対硫酸のモル比が少なくと も約1:3.6で行なう。好ましくは、過剰量のフェノールを用い、典型的には フェノール:アミド酸のモル比は約5:1〜約20:1である。 本発明は、式(II)のアミド酸フェニルエステルの製造法において、前記式(I )を有するアミド酸を、塩基性触媒の存在下にて、低分子量カルボン酸残基のフ ェニルエステル、好ましくは酢酸フェニルと反応させる方法をも包含する。この 塩基性触媒は、カルボン酸塩、炭酸塩、イミダゾール、およびそれらの混合物か らなる群から選択することができる。好ましくは、塩基性触媒対アミド酸のモル 比は、少なくとも約0.001:1、更に好ましくは少なくとも約0.01:1 である。好ましくはアミド酸対フェニルエステルのモル比は、少なくとも約1: 1であり、更に好ましくは約3:1である。このエステル交換反応は、好ましく は約160℃〜約210℃の範囲の温度で行ない、最も好ましくは溶媒を添加せ ずに行なう。 全体的主題としては、本発明は、漂白活性剤の製造法において、前記の方法に よって製造した式(III) および/または(IV)のアミド酸フェニルエステルをスル ホン化し、中和して、それぞれ、式 および [式中、RおよびR1は前記で定義した通りであり、アミド酸フェニルエステル スルホネートは、オルト−置換は許容可能であるが、ほとんどが(図示されてい るように)パラ−置換されており、Mはカチオン性残基、好ましくは1価または 2価の金属塩(例えば、カリウム、ナトリウム)、または水素であり、これはこ れらの化合物を漂白活性剤として用いるには、実質的に遷移金属イオン(ペルオ キシ化合物を不安定性にさせることが知られている)を含まないものとすべきで ある]を有するアミド酸フェニルエステルスルホネートを生成させることを含ん でなる方法も提供する。 本発明は、前記式(I) および/または(II)のアミド酸を、式 (式中、Mは前記で定義した通りのカチオン性残基であり、R2は酸残基、好ま しくは低(C2〜C5)分子量カルボン酸残基、例えば最も好ましくは酢酸残基で ある)を有するフェノールスルホン酸のエステル誘導体または塩と反応させるこ とによる、前記の式(V) および(VI)のアミド酸フェニルエステルスルホネートの 製造法も包含する。Mが水素であるときには、触媒を添加する必要はなく、Mが 金属塩であるときには、このエステル交換反応は酸または塩基触媒を用いること ができる。 このエステル交換反応の反応温度は、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウ ム塩との反応については、少なくとも約150℃であり、好ましくは約180℃ 〜約220℃である。アセトキシベンゼンスルホン酸との反応については、約1 40℃〜約180℃の低い反応温度が好ましい。 本発明は、前記式(I) および/または(II)のアミド酸を低(C4〜C10)分子 量カルボン酸無水物(例えば、(R3CO)2O、但しそれぞれのR3は同一また は異なるC1〜C4ヒドロカルビル置換基)、好ましくは無水酢酸と反応させて、 アミド酸無水物を形成することによる前記の式(V) および(VI)を有するアミ ド酸フェニルエステルスルホネートの製造法も提供する。次に、このアミド酸無 水物をフェノールスルホン酸塩(好ましくは、ナトリウム塩)と反応させて、所 望のアミド酸フェニルエステルスルホネートを形成するのである。 アミド酸無水物は、アミド酸を低分子量カルボン酸無水物と、モル比が約1: 3〜約5:1で反応させることによって製造する。反応温度は、約70〜110 ℃であり、反応時間は約1〜18時間である。酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム 、重炭酸ナトリウム、イミダゾール、またはメタンスルホン酸のような触媒を用 いることができる。反応の終了時に、カルボン酸および/または過剰のカルボン 酸無水物、例えば酢酸および/または過剰の無水酢酸を留去する。 次に、粗製のアミド酸無水物混合物を、無水のフェノールスルホン酸塩と、約 1:1のモル比で反応させる。反応温度は約100〜200℃であり、反応時間 は約1〜6時間である。酢酸ナトリウムまたはイミダゾールのような塩基性触媒 を用いることができる。粗製のアミド酸無水物が過剰のアミド酸を含む場合には 、溶媒は必要ない。過剰のアミド酸がアミド酸無水物中に含まれていない場合に は、ジメチルホルムアミド、トルエン、またはキシレンのような溶媒を用いるこ とができる。 全ての百分率、比率および部分は、特に断らない限りモルに基づいている。総 ての文献の内容は、ここに参考文献として編入する。 発明を実施するための最良の形態 アミド酸の合成を例示する反応順路(1) およびそれらのフェニルエステル形態 への転換の反応順路(2a)および(2b)を、下記に示す。順路(3) は、通常のスルホ ン化段階であって、典型的には塩基による中和を含み、漂白活性剤のアミドフェ ニルエステルスルホネートの種類の塩形態の製造を例示している。順路(4a)、(4 b)および(5) は、順路(1) によって製造されたアミド酸から直接アミドフェニル エステルスルホネートを製造する別の方法を示している。この反応順路では、 図示されているように、オクタン酸およびカプロラクタムを用いているが、これ は、以下に明らかになるように、単に例示のためのものであり、制限のためのも のではない。 下記は、本発明の方法の順路1,2,3,4および5で用いられる条件、装置 などの例示のためのものであり、制限のためのものではない。反応順路1 カルボン酸反応物は、直鎖脂肪族、分岐鎖脂肪族の、飽和または不 飽和の、芳香族、ヘテロ芳香族、エーテルカルボン酸および環状脂肪族カルボン 酸から選択することができる。非制限的例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸 、カプリル酸、カプロン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デ カン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸 、リノール酸、ベヘン酸、2−メチル−ウンデカン酸、2−ブチル−オクタン酸 、2−エチル−ヘキサン酸、アルキル−およびアルケニルコハク酸、アジピン酸 、シクロヘキシル酸、C8(EO)2CO2H、安息香酸、クロロ−安息香酸、ニ トロ安息香酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ニコチン酸、2−ピリジン−カルボ ン酸、テレフタル酸、フタル酸、およびそれらの混合物のようなカルボン酸が挙 げられる。 順路1のラクタム反応物は、例えばブタノラクタム、バレロラクタム、カプロ ラクタム、ヘプタノラクタム、デカノラクタム、ドデカノラクタム、およびそれ らの混合物であることができる。 順路1の酸触媒は、例えばホウ酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、メタンスルホン 酸およびトリフルオロメタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸、ベンゼン スルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン 酸のようなアリールスルホン酸、およびAMBERLYSTおよびNAFION のような強酸イオン交換樹脂であることができる。酸化特性を有する強酸(例え ば、硫酸)を用いるときには、水を加えて最終生成物の許容可能な色を保持する ことが好ましい。上記のように、70%H2SO4は、この理由により濃H2SO4 より好ましい。しかしながら、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびリ ン酸のような非酸化性酸はさほど着色を生じないので、水は必要な い。 順路1の酸触媒は、典型的には用いられるラクタム反応物のモル数に対して少 なくとも約0.001モル、好ましくは約0.01モル〜約0.1モルの範囲で 用いられる。(カルボン酸反応物は過剰に含まれているので、触媒の量の計算に は用いられない。) 水(ラクタムに対して約0.1〜約1モル当量、好ましくは約0.2〜約0. 4モル当量)を順路1で加えて、カプロラクタムのアミド酸への転換を増加させ ることができる。この添加は反応の開始時に行なうことができ、または最大量の アミド酸およびアシルカプロラクタムが形成されている場合には、2〜4時間後 が好ましい。転換率の増加は、アシルカプロラクタム副生成物のアミド酸への加 水分解により生じるものと考えられる。転換は、メタンスルホン酸のような強酸 の存在下では室温が最適である。環のアミド結合の選択的加水分解が起こるもの と考えられる。転換率を最高にするには室温が好ましいが、反応時間は長い(1 〜2日)。反応時間を速やかにする目的で高温を用いることができるが、転換率 はさほど高くない。 順路1の反応条件としては、下記のものが挙げられる。系に空気があると、反 応混合物が暗色化する。従って、不活性ガス(窒素が好都合である)を、順路1 中に反応混合物中に通気置換する。アルゴンなどの不活性ガスを用いることもで きる。この目的は、非酸化性反応系を提供して着色混入物の形成をできるだけ少 なくすることである。 順路1で用いられる触媒は酸性が極めて高いため、不活性反応容器、例えばガ ラス、石英、高品質ステンレス鋼などから作られているまたはでライニングした ものが必要である。総てのミキサー、取入口なども不活性材料で構築されるのが 極めて好ましい。 反応時間は、用いられる反応物の容積によって変えることができることは勿論 である。しかしながら、一般に、100mlの寸法範囲での反応については、約 2時間〜約4時間の反応時間で十分である。 順路1の反応温度は、典型的には約150℃を上回りかつ約250℃を下回り 、好ましくは約185℃〜約240℃の範囲にある。酢酸のような低沸点カルボ ン酸については、所望の反応温度を達成するため加圧容器を用いることが適当な ことがある。 順路1での反応化学量論では、過剰量のカルボン酸を用いるが、これはラクタ ム、特にカプロラクタムの重合を防止するのに必要である。この点を更に説明す るため、カプロラクタム反応物1モルに対して、カルボン酸の約1.5〜10モ ル過剰量を用いる。同様な考え方は他のラクタム反応物でも成り立ち、典型的に は少なくとも0.1モル過剰量のカルボン酸が用いられる。過剰のカルボン酸お よび総ての未反応ラクタムを、真空蒸留によって反応混合物から除去して、リサ イクルすることができる。(オリゴマーが形成されるのを防止するため、蒸留前 に酸触媒を中和するのが望ましいことがある。)順路2a カルボン酸、特にアミド酸のフェニルエステルの製造は、下記の通りで ある。順路2の有用なカルボン酸反応物としては、順路1においてに製造される 総てのアミド酸が挙げられる。フェノール反応物としては、フェノール自身、な らびにクレゾールのようなアルキル置換フェノール、およびフェノールスルホネ ートのようなフェノール誘導体が挙げられる。 順路2に用いられる強酸触媒は、順路1に用いられる強プロトン性酸触媒のい ずれであることもできる。硫酸(98%)は、好都合であり、廉価であり、好ま しい。この方法の条件下では、硫酸はその場でフェノールを硫酸化して、強酸触 媒は少なくとも部分的にはフェノールスルホン酸となる。 理論によって制限されるものではないが、エステル形成の機構は、ホウ酸塩材 料をフェノール性材料と反応させることによるトリフェノールホウ酸エステルの 形成の後に、フェノールをカルボン酸に交換して、カルボン酸/ホウ酸無水物反 応種を形成し、次いでカルボン酸−ホウ酸無水物反応種からのホウ酸エステルを フェノール置換し、次いで水を交換して、ホウ酸塩反応種を形成し、トリフェノ ールボレート活性触媒を再形成することを含むものと考えられる。従って、任意 のホウ酸塩またはホウ酸材料、またはその前駆物質であって、フェノールまたは 置換フェノールでトリフェノールホウ酸エステルを形成するものを、本発明で用 いることができる。このような材料の典型的な例としては、ホウ酸、ホウ酸前駆 物質、ホウ酸エステル、例えばボラックス、トリブチルボレートなどの材料が挙 げられる。多種多様なホウ酸塩材料が、標準的な商業的供給源から発売されてい る。ホウ酸は、順路2で使用するのに好都合で廉価な触媒である。 強プロトン酸の存在は、おそらくエステル化機構において少なくとも3種類の 異なる役割、すなわち初期のホウ酸エステル形成の触媒、ホウ酸塩反応種のフェ ノール置換の触媒、および反応で生成する水の脱水剤としての役割を果たしてい るとも仮定されている。 反応条件に関しては、順路2では、系に空気があると、順路1の場合と同様に 反応混合物が著しく暗色化する。従って、窒素置換、または他の不活性ガスでの 置換を行なって非酸化条件を提供することが、好ましく用いられる。また、順路 1と同様に、順路2では、硝子、石英、ステンレス鋼製などの不活性反応容器を 用いるのが好ましい。 少なくとも150℃、好ましくは約180℃〜約200℃の反応温度が好まし く、反応時間は順路1について開示したものと同様であり、典型的には2〜4時 間である。水(出発材料に含まれることがある)は、フェノール/水の共沸蒸留 によって反応の最初の30分間で除去される。水が存在すると、総体的収率に不 利益になるが、これはアミド酸および/またはアミド酸フェノールエステルのア ミド結合の加水分解を起こすことがあるからである。 反応を完結させるには、過剰量のフェノールまたは置換フェノールが必要であ ることが規定されている。全反応時間にわたり共沸蒸留を行なう場合には、小過 剰のフェノールで行なうことができる。典型的には、前記フェノールまたは置換 フルオロ絵の約5モル過剰量が用いられ、好ましくは約8〜約12モル過剰量が 用いられる。1モルのアミド酸部分に対して、強酸触媒部分は少なくとも約0. 01モルであり、好ましくは約0.25モル〜約0.5モルである。ホウ酸は、 アミド酸反応物に対して約0.01モル〜約0.07モルの濃度で用いられる。 エステル化反応の後に、過剰量のフェノールを真空蒸留または他の好適な手段 によって反応混合物から留去し、リサイクルすることができる。残っている反応 生成物は、所望のアミド酸フェノールエステル、カルボン酸フェニルエステル、 および未反応アミド酸からなっている。この反応生成物はスルホン化の前に精製 することができ、または混入物は多くの洗剤組成物と相溶性であるので、更に精 製することなくスルホン化することができる。順路2b 塩基性触媒の存在下にて、低(C2〜C5)分子量カルボン酸残基のフェ ニルエステル、好ましくは酢酸フェニルをアミド酸によりエステル交換すると、 アミド酸フェニルエステルを好収率で生成する。塩基性触媒は、カルボン酸塩、 炭酸塩、イミダゾール、およびそれらの混合物からなる群から選択することがで きる。好ましくは、塩基性触媒対アミド酸のモル比は、少なくとも0.001: 1であり、更に好ましくは少なくとも約0.01:1である。好ましくはアミド 酸対フェニルエステルのモル比は、少なくとも約1:1であり、更に好ましくは 約3:1である。このエステル交換反応は、好ましくは約160℃〜約210℃ の範囲の温度で行なわれ、最も好ましくは溶媒を添加せずに行なわれる。順路3 アミド酸フェノールエステルのスルホン化は、三酸化硫黄、三酸化硫黄 蒸気、クロロスルホン酸、三酸化硫黄錯体、発煙硫酸、スルファミン酸などと、 他の典型的なスルホン化剤とを用いて行なうことができる。反応は溶媒なしで行 なうことができ、または所望ならば、二酸化硫黄、塩化メチレン、エチレンジク ロリド、四塩化炭素、フルオロトリクロロメタンなどの溶媒中で行なうこともで きる。順路3のスルホン化反応は、溶媒なしで行なうのが好ましい。不飽和材料 は、主として着色物を形成するため、反応混合物では回避すべきであることは勿 論である。 順路1および2の場合と同様に、順路3のスルホン化反応は、極めて酸性であ り、不活性な反応容器が再度用いられる。反応装置は、例えば連続フィルムまた は連続的カスケード型のものであることができる。三酸化硫黄をスルホン化反応 物として用いる場合には、これは、三酸化硫黄1〜20重量%を含む不活性ガス 流(窒素または乾燥空気)に導入するのが好ましい。反応温度は、典型的には2 0℃〜200℃であり、反応時間は(スルホン化されるアミド酸フェニルエステ ル1モルに対して)5〜180分間である。典型的な処理では、アミド酸フェニ ルエステルは1モルの濃度で含まれ、このスルホン化剤は0.9〜1.5モルの 濃度で用いられる。生成物処理は、粗製の反応混合物を重炭酸ナトリウム、酢酸 ナトリウム、ギ酸ナトリウムなどの塩基でpH4〜6まで中和することを伴う。順路4 アミド酸フェニルエステルスルホネートは、アセトキシベンゼンスルホ ン酸またはその塩(典型的にはナトリウムまたはカリウム)のアミド酸によるエ ステル交換によって製造することもできる。アセトキシベンゼンスルホン酸ナト リウム塩を用いるときには、溶媒として作用するには、アミド酸3〜4モル当量 過剰量が必要である。アセトキシベンゼンスルホン酸を用いるときには、アミド 酸の1.2モル当量過剰量で十分である。塩基または酸触媒のいずれも、アセト キシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩のエステル交換を促進し、酢酸ナトリウム または硫酸が典型的に用いられる。アセトキシベンゼンスルホン酸でのエステル 交換では、触媒は必要ない。 不活性ガス流は反応上を通過して、酢酸が形成されるとこれを除去するように し、非酸化性環境を提供する。順路3と同様に、不活性反応容器が好ましい。 少なくとも約150℃、好ましくは約180℃〜約220℃の反応温度が、ア セトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩でのエステル交換に必要である。アセ トキシベンゼンスルホン酸を用いる場合には低めの反応温度(約140℃〜約1 80℃)が好ましいが、これは副生成物の形成が少ないからである。反応時間は 、いずれのエステル交換でも1〜4時間である。 アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩は、過剰の無水酢酸と乾燥したフ ェノールスルホン酸ナトリウム塩との反応によって製造することができる。無水 酢酸または酢酸は溶媒として作用することができる。アセトキシベンゼンスルホ ン酸は、無水酢酸と乾燥したフェノールスルホン酸との反応によって製造するこ とができる。あるいは、これは、酢酸フェニルを三酸化硫黄またはクロロスルホ ン酸でスルホン酸化することによって製造することができる。 アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム塩でのエステル交換の後に、過剰の アミド酸は生成物から除去して、リサイクルしなければならない。これは、反応 生成物を小さな粒子に粉砕して、アミド酸を溶媒で溶解することによって行なう ことができる。次に、固形のアミド酸フェニルエステルスルホネートを濾過によ って回収する。数種類の溶媒が好適であり、低温メタノール、60℃のブタノー ル、100℃のトルエンおよびキシレン、オクタン酸である。アセトキシベンゼ ンスルホン酸でのエステル交換の後の生成物処理は、順路3の場合と同様に、粗 製の反応混合物の中和を含んでいる。順路5 アミド酸無水物は、アミド酸と無水酢酸を反応させることによって形成 される。約70〜約120℃の反応温度が、アミド窒素のアシル化を回避する上 で好ましい。アミド酸対無水酢酸のモル比は約1:3〜約5:1である。モル比 が約3.0:1以上であれば、溶媒を加えてフェノールスルホン酸ナトリウムと 反応させる必要はない。約1〜18時間の反応時間の後、酢酸および/または無 水酢酸を反応混合物から留去して、粗製のアミド酸無水物を生じる。次に、フェ ノールスルホン酸ナトリウムを、アミド酸無水物に対して約1:1のモル比で加 え、反応を約100〜200℃で約1〜18時間加熱する。トルエンまたはキシ レンを、この反応の溶媒として用いることができる。反応の終了時に、未反応ア ミド酸を、アミド酸を融解または溶解するがアミド酸フェニルエステルスルホネ ートは溶解しない熱溶媒(すなわち、トルエン)で洗浄することによってアミド 酸フェニルエステルスルホネートから除去することができる。 本発明の総体的方法は、他の方法に比較して幾つかの利点を提供することを理 解すべきである。例えば、アミド酸に関しては、アミド酸の通常の合成では、水 性アルカリ性媒質中での脂肪酸塩化物とアミノ酸との反応が用いられる。脂肪酸 およびカプロラクタムは脂肪酸塩化物およびアミノカプロン酸よりも廉価な出発 物質であるので、現状と比較して実質的な価格上の利点がある。通常の合成では 、塩化ナトリウム廃棄物が生成するが、これは本発明の要因ではない。更に、本 発明の方法は合成の段階が少なく、順路2の前に除去しなければならないような 多量の水を伴わない。本発明の順路1では、ほとんどアミドおよびジアミド酸だ けを生成し、ラクタムから誘導される高級オリゴマーは生成しない。本発明では 、反応時間が短く、温度が低く、しかも米国特許第2,956,068号明細書 の反応のように加圧する必要がない。 順路2のアミド酸フェニルエステル合成 に関しては、アミド酸のエステル化は、アミド酸の酸塩化物を形成した後、これ をフェノールまたはフェノールスルホネートと反応させることによって行なうこ とができる。先行技術の反応は、アミド酸合成について前記したのと同じ問題を 有する、ホウ酸/硫酸を用いる通常のカルボン酸のフェノールによるエステル化 は、前記引用のLowranceの文献に記載されているが、Lowranceによって記載され た反応条件では、アミド酸を如何なる合理的な収率でエステル化することもでき ない。 例えば、本発明の方法はLowranceによって開示されたものよりずっと高い反応温 度が用いられ、この温度はフェノールを共沸剤として用いることによって達成さ れる。更に、本発明では遥かに多量の硫酸触媒が用いられ、これによって所望の 反応が促進され、副反応は減少する。 以前に報告されているフェニルエステルスルホネートの形成法(例えば、19 84年4月18日公告の欧州特許出願第105,673号明細書)では、脂肪酸 無水物が(無水酢酸との反応により)形成され、次にフェノールスルホン酸ナト リウム塩と反応させる。これらの条件下では、アミド酸と無水酢酸との反応は、 アミド酸無水物を形成するだけでなく、許容できないイミドも形成する点に留意 すべきである。アセトキシベンゼンスルホン酸またはその塩によるエステル交換 では、イミドの形成が回避される。 順路1〜3、順路1および4、または順路1および5を含んでなる本発明の総 体的方法は、出発材料が低価格、反応段階数が最少、各段階の収率が良好、反応 時間が合理的、廃棄副生成物なし、出発材料をリサイクルすることが可能、およ び最後の段階まで固形物の処理がないことの一つ以上を含む幾つかの利点を有す る。 下記の実施例により本発明を説明するが、本発明を制限することを意図したも のではない。 分析 GC分析法 この方法は、反応試料中のオクタン酸、デカン酸、オクタン酸フェ ニルエステル、オクタノイルカプロラクタム、2−ピロリジノン、オクタノイル ジアミド酸、C8〜C10アミドカプロン酸のフェニルエステル、C8アミド酪酸、 カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、C8〜C10アミドカプロン酸、および フェノールの相対含量の決定に適用できる。 前記の成分をシリル化の後に、15mDB1カラム上で昇温GCによって分離 する。高温(300℃)のスプリット注入装置を用い、FIDによって検出を行 なう。GC面積%を用いて、試料中の成分の含量を計算する。活性水素を含む材 料を、1%TMCSを含むBSTFAで誘導体形成を行なう。化学薬品 : 試薬 ピリジン 1%トリメチルクロロシランを含むN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフル オロアセタミド装置 : 装置説明 供給元 Hewlett Packard 5890 GC Hewlett Packard HP7673スプリット注入装置 水素炎イオン化検出器 カラム: 15m、DB−1、 J & W Scientific 0.25mm内径、.25μ手順 : 1. 標準調製: (保持時間標準溶液を作成するための下記の試料調製を参照されたい。) 2. 試料調製: 5〜10mg試料をGCバイアルに秤量し、1.0mlの誘導体形成級ピ リジンおよび0.6mlのBSTFA(重量/1%TMCS)を加え、バイアル を密封し、70℃で30分間加熱する。 4. 転換モル%の計算: カプロラクタムから誘導される各成分のGC相対面 積%を、その分子量またはトリメチルシリル誘導体の分子量で割って、相対モル %を得る。カプロラクタムから誘導される総ての成分についての相対モル%を合 計して、総相対モル%を得る。最後に、それぞれの相対モル%を総相対モル%に よって割り、転換モル%を得る。同様な手順を用いて、アミド酸のアミド酸フェ ニルエステルへの転換モル%を計算する。 アミド化実施例I〜XV C8−アミドカプロン酸の合成 100mlの三つ口丸底フラスコに、温度計、 冷却器、磁気撹拌子、および窒素を反応混合物に通気する置換チューブを取り付 ける。反応容器にカプロラクタム(4.00g、0.036モル、1モル当量) 、オクタン酸、所定の強酸触媒(TSA、MSA、PSA、PPA、SA、表に 記載)、および場合によってはホウ酸を加える。反応を、高温油浴を用いて、窒 素で連続的に置換しながら所定の温度に4時間保持する。4時間反応させた後、 反応混合物をGC(GC分析法を参照されたい)によって分析し、カプロラクタ ムのアミド酸(第1表参照)への転換率%を測定する。4時間後の反応混合物の 色も記録する。 実施例XVI 〜XVIII C8−アミドカプロン酸の合成 100mlの三つ口丸底フラスコに、温度計、 冷却器、磁気撹拌子、および窒素を反応混合物に通気する置換チューブを取り付 ける。反応容器にカプロラクタム(4.00g、0.036モル、1モル当量) 、オクタン酸、ホウ酸および水を加える。反応を、高温油浴を用いて、窒素で連 続的に置換しながら所定の温度で3.5時間保持する。3.5時間反応させた後 、反応混合物をGC(GC分析法を参照されたい)によって分析し、カプロラク タムのアミド酸(第2表参照)への転換率を測定する。形成した他の生成物は6 −アミノカプロン酸、オクタノイルカプロラクタムおよびオクタノイルジアミド 酸である。3.5時間後の反応混合物の色も記録する。 実施例XIX 〜XX C8−アミドカプロン酸の合成 100mlの三つ口丸底フラスコに、温度計、 冷却器、磁気撹拌子、および窒素を反応混合物に通気する置換チューブを取り付 ける。反応容器にカプロラクタム(4.00g、0.036モル、1モル当量) 、オクタン酸、メタンスルホン酸、およびホウ酸を加える。反応を、高温油浴を 用 いて、窒素で連続的に置換しながら所定の温度で6.5時間保持する。次に、反 応を室温まで冷却し、水を加える。反応を室温で18時間撹拌する。水を加える 前(実施例XIX )および水を加えてから18時間後に、反応混合物をGC(GC 分析法を参照されたい)によって分析し、カプロラクタムのアミド酸(第3表参 照)への転換率を測定する。形成した他の生成物は、6−アミノカプロン酸、オ クタノイルカプロラクタムおよびオクタノイルジアミド酸である。反応混合物の 色も示す。 実施例XXIC8−アミドカプロン酸の合成 100mlの三つ口丸底フラスコに、温度計、 冷却器、磁気撹拌子、および窒素を反応混合物に通気する置換チューブを取り付 ける。反応容器に、2−ピロリジノン(2.00g、0.024モル)、オクタ ン酸(13.56g、0.994モル)、および98%スルホン酸(0.12g 、0.0012モル)を加える。反応を、高温油浴を用いて、窒素で連続的に置 換しながら200℃で4時間保持する。4時間反応後に、反応混合物をGCによ って分析する(第2表参照)。ピロリジノンのアミド酸への転換率は31%であ った。反応混合物は4時間後には褐色である。 実施例XXII C8アミドカプロン酸のスケール・アップ合成 250mlの三つ口丸底フラ スコに、温度計、冷却器、磁気撹拌子、および窒素を反応混合物に通じる置換チ ューブを取り付ける。反応容器に、カプロラクタム(15.00g、0.131 モル)、オクタン酸(76.10g、0.525モル)、およびp−トルエンス ルホン酸(1.26g、0.0065モル)を加える。反応を、高温油浴を用い て、連続的に窒素置換しながら200℃に4時間保持する。4時間の反応時間の 後、反応混合物をGCによって分析し、カプロラクタムからアミド酸への転換% を測定する(第5表参照)。カプロラクタムおよびオクタン酸を真空蒸留(90 〜100℃、4.3mm)によって除去すると、所望なC8アミド酸が褐色溶液 として(20.8g)第5表に示した分析値で得られる。 上記の他に、アミド化反応は、安息香酸およびカプロラクタムを用いて、メタ ンスルホン酸とホウ酸とによって行ない、ベンゾイルアミドカプロン酸を提供す ることができる。 エステル化実施例XXIII 〜XXVI C8アミドカプロン酸フェニルエステルの合成 100mlの三つ口丸底フラ スコに、温度計、冷却器付きDean-Starkトラップ、磁気攪拌子、および窒素を反 応混合物に通じる置換チューブを取り付ける。反応容器に、C8酸塩化物および アミノカプロン酸から製造したC8アミド酸(10g、0.037モル、1モル 当量)フェノール、98%硫酸、およびホウ酸を加える。反応を、205〜21 0℃に保持した高温油浴を用いて、連続的に窒素置換しながら180〜195℃ に4時間保持する。フェノールの幾らかは、場合によってはDean-Starkトラップ を用いて留去する。4時間反応時間の後、反応混合物をGCによって分析し、C 8アミドカプロン酸からC8アミド酸フェニルエステルへの転換%を決定する( 第6表参照)。形成した他の生成物は、カプロラクタム、オクタン酸、オクタン 酸フェニルエステル、6−アミノカプロン酸である。4時間後に、反応混合物の 色を記録する。 実施例 XXVII C8アミドカプロン酸フェニルエステルのスケール・アップ合成 250ml の三つ口丸底フラスコに、温度計、冷却器付きDean-Starkトラップ、機械攪拌、 および窒素を反応混合物に通じる置換チューブを取り付ける。反応容器に、C8 アミドカプロン酸(実施例17の生成物、20.8g、0.081モル)、フェ ノール(152.3g、1.62モル)、98%硫酸(2.03g、0.02モ ル)、およびホウ酸(0.35g、0.0057モル)を加える。反応を、高温 油浴を用いて、連続的に窒素置換しながら200℃に4時間保持する。反応時間 の最初の1時間中に、フェノール50mlは、Dean-Starkトラップを介して留去 される。4時間の反応時間の後、反応混合物をGCによって分析し、C8アミド カプロン酸からC8アミド酸フェニルエステルへの転換%を決定する(第5表参 照)。反応混合物は、4時間後には褐色である。フェノールを真空蒸留(90〜 100℃、4.3mm)によって除去すると、所望なC8アミド酸フェニルエス テルを褐色溶液として(31.6g)第7表に示した分析値で得られる。 スルホン化実施例XXVIII C8アミドカプロン酸フェニルエステルスルホネートの合成 C8アミドカプ ロン酸フェニルエステル(22.00g、0.0634モル)を、フラスコの底 に達する硝子チューブと通気装置に接続した冷却器とを備えた100mlの二つ 口丸底フラスコに入れる。このフラスコを油浴で50℃まで加熱して、フェニル エステルを融解する。窒素で希釈した三酸化硫黄(5.0g、2.6ml、0. 0634モル)蒸気を、ガスらチューブを介して1時間かけて反応に加える。[ 硝子チューブはテフロンチューブを介して65℃に加熱し、液状の三酸化硫黄が 入れてある別のフラスコ接続されている。窒素を三酸化硫黄中に通気して、ガス 混合物を得る。]次に、三酸化硫黄を添加した後、反応を50℃で更に30分間 加熱する。反応を室温まで冷却した後、飽和重炭酸ナトリウム水溶液に投入する 。生成物が白色固形物として沈澱し、新空路かによって回収する。乾燥すると、 生成物(17.7g)が65%の収率で得られる。 エステル交換実施例XXIX C10アミドカプロン酸フェニルエステルの合成 アミド酸(1.00g、0 .0039モル)、酢酸フェニル(1.59g、0.012モル)、および酢酸 ナトリウム(0.032g、0.00039モル)を、冷却器を備えた100m l丸底フラスコに入れる。溶液を、窒素下にて210℃で0.5時間加熱する。 次いで、酢酸および過剰の酢酸フェニルを、球入り冷却装置で真空蒸留によって 除去する。生成物(1.10g)が、未反応のアミド酸および過剰の酢酸フェニ ルを含む白色固形生成物として得られる。粗製反応混合物のHNMRは、約75 %の収率を示している(2.58ppmでの共鳴C2 C(=O)OPh対3. 16での共鳴C(=O)NHC2 の積分比による)。 エステル交換実施例 XXX C10アミドカプロン酸フェニルエステルスルホネートの合成 窒素置換用チ ューブ、磁気攪拌装置、、冷却器付きDean-Starkトラップ、および温度計を備え た100mlの三つ口丸底フラスコに、C10アミド酸(48.5g、0.17 モル)、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(15g、0.057モル) 、および酢酸ナトリウム(0.94g、0.114モル)を加える。反応を、2 05〜210℃に保持された高温油浴を用いて、連続的に窒素置換しながら20 0℃に3時間保持する。蒸留物(7ml)をDean-Starkトラップに集める。反応 を乳鉢に熱時投入し、冷却した後、粉砕して粉末とする。粗製反応混合物のHN MRは、約90%の収率を示している(2.58ppmでの共鳴C2 C(=O )OPhSO3Na対3.16での共鳴C(=O)NHCH2の積分比による)。 反応混合物をメタノール(370ml)から再結晶して、所望な生成物の第一の 再結晶生成物(15.1g)および第二の再結晶生成物(4.7g)を得た(7 5%、アセトキシベンゼンスルホン酸ナトリウムに基づいた再結晶収率)。 エステル化実施例XXXI C10アミドカプロン酸フェニルエステルスルホネートの合成 窒素置換用チ ューブ、磁気攪拌装置、、冷却器付きDean-Starkトラップ、および温度計を備え た100mlの三つ口丸底フラスコに、C10アミド酸(3.5g、0.012 3モル)、無水酢酸(0.46g、0.0045モル)、およびメタンスルホン 酸(0.002g、0.00002モル)を加える。次に、無水のフェノールス ルホン酸ナトリウム(0.80g、0.0041モル)、および酢酸ナトリウム (0.017g、0.0002モル)を加え、反応を180℃に1.5時間加熱 する。開始時は、反応は流動性であるが、終了時には、これは粘稠なペースト状 である。粗製反応混合物のHNMRは、約70%の収率を示している(2.58 ppmでの共鳴C2 C(=O)OPh対3.16での共鳴C(=O)NHC2 の積分比による)。 エステル化実施例XXXII C8アミドカプロン酸フェニルエステルスルホネートの合成 窒素置換用チュ ーブ、磁気攪拌装置、、冷却器付きDean-Starkトラップ、および温度計を備えた 250mlの三つ口丸底フラスコに、C8アミド酸(10.0g、0.039モ ル)、無水酢酸(17.9g、0.175モル)、酢酸ナトリウム(0.16g 、0.002モル)、およびイミダゾール(0.13g、0.002モル)を加 える。反応混合物を、窒素置換しながら110℃で3時間加熱し、蒸留物10m lをDean-Starkトラップに集める。次に、酢酸および過剰の無水酢酸を真空蒸留 によって除去して、アミド酸無水物を得る。粗製のアミド酸無水物をエーテル( 60ml)に分散し、濾過して、乾燥すると、ほぼ純粋なアミド酸無水物(HN MRによって示される)が白色固形物(8.6g)として得られる。窒素置換チ ューブ、磁気撹拌子、冷却器、および温度計を備えた100mlの三つ口丸底フ ラスコに純粋なアミド酸無水物の一部(3.5g、0.0071モル)、無水フ ェノールスルホン酸ナトリウム(1.11g、0.0056モル)、酢酸ナトリ ウム(0.029g、0.0004モル)、およびトルエン(12ml)13g 、0.002モル)を加える。反応を、180℃で3時間還流する。反応混合物 の少量の均質な部分を採取して、蒸発させ、HNMR分析を行なう。HNMRは 、フェノールスルホン酸ナトリウムに基づいた収率が75%であることを示して いる(2.58ppmでの共鳴C2 C(=O)OPh対3.16での共鳴C( =O)NHC2 の積分比による)。次に、追加のトルエン(50ml)を加え 、反応混合物を熱時濾過し、沈澱を乾燥すると、所望な生成物が白色固形物(2 .6g)として得られ、これはHNMRによれば54%の純度である(2.58 ppmでの共鳴C2 C(=O)OPh対3.16での共鳴C(=O)NHC2 の積分比による)。残りの物質は、アミド酸、フェノールスルホン酸ナトリウム 、およびアセトキシベンゼンスルホネートである。 下記に、他の通常の消費者商品での本発明のアミド酸および漂白活性剤の使用 を例示するが、制限を意図するものではない。 実施例XXXIII マイルドで滑らかな石鹸バー組成物を、通常の押出装置で下記のようにして製 造する。このバーは、乾燥ひび割れおよび湿時汚れを防止する。成分 百分率(重量)16〜18脂肪酸石鹸* 78.0 アミド酸** 6.0 NaCl/KCl(1:1、重量) 0.5 C1233C(O)N−メチルグルカミド 8.0 水および少量成分 残部* 1:1(重量)NaおよびK石鹸の混合物。** 前記の実施例Iによる。 実施例XXXIII 単独で、または通常の顆粒状の洗濯洗剤と混合して使用するのに好適な洗濯用 漂白系は、下記の通りである。成分 百分率(重量) 過炭酸ナトリウム 90.0 漂白活性剤* 10.0* 前記の実施例XXVII による。 前記の組成物を水に100ppm以上の濃度で加え、布帛漂白作用を提供する ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07C 303/22 7419−4H C07C 303/22 303/32 7419−4H 303/32 309/42 7419−4H 309/42 C11D 3/395 9546−4H C11D 3/395 (72)発明者 テテンホースト,ウイリアム カーチス アメリカ合衆国オハイオ州、オケアナ、ジ ェンキンス、ロード、5905

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 下式 を有するカルボン酸を、 下記構造 (但し、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、R1はC2〜C10ヒドロカ ルビレン置換基である) を有するラクタムと酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、式 (式中、RおよびR1は前記で定義した通りである)を有するアミド酸の製造法 。 2. 酸触媒が、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、 リン酸、ホウ酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される1員である、 請求の範囲第1項に記載の方法。 3. 酸触媒が、更にホウ酸を含む、請求の範囲第2項に記載の方法。 4. 水を、ラクタムに対して約0.1〜約1モル当量の量で加える、請求の 範囲第2項に記載の方法。 5. 約150℃〜約250℃の温度で行なわれる、請求の範囲第1項に記載 の方法。 6. RがC6〜C17であり、R1は−(CH2x−であり、xは2〜10であ る、請求の範囲第1項に記載の方法。 7. ラクタムがカプロラクタムおよびバレロラクタムから選択される、請求 の範囲第6項に記載の方法。 8. カルボン酸が、置換基RとしてC8〜C14を有する、請求の範囲第7項 に記載の方法。 9. カルボン酸反応物対ラクタム反応物のモル比が、少なくとも約2:1で ある、請求の範囲第1項に記載の方法。 10. カルボン酸反応物対ラクタム反応物のモル比が3:1〜4:1の範囲 にあり、反応を溶媒を添加せずに行なう、請求の範囲第9項に記載の方法。 11. 式 を有するアミド酸フェニルエステルの製造法において、 (a) 式 を有するアミド酸を請求の範囲第1項に記載の方法に従って製造し、 (b) 段階(a) のアミド酸またはその混合物を、強触媒およびホウ酸の存在下にて フェノールと反応させることからなり、但し前記式のそれぞれにおいて、RはC1 以上のヒドロカルビル置換基であり、R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基 である、方法。 12. 酸性触媒が、硫酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフ ルオロメタンスルホン酸、ホスホン酸、およびそれらの混合物からなる群から選 択された1員である、請求の範囲第11項に記載の方法。 13. ホウ酸対酸性触媒のモル比が、少なくとも約1:1である、請求の範 囲第12項に記載の方法。 14. 約180℃〜約210℃の範囲の温度で、溶媒を加えずに行なう、請 求の範囲第11項に記載の方法。 15. 約180〜190℃の温度で、溶媒の非存在下で、酸性触媒として硫 酸を用いて、ホウ酸対硫酸のモル比が少なくとも約1:3.6で行なう、請求の 範囲第11項に記載の方法。 16. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第11項に記載の方法。 17. 式 および (式中、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、R1はC2〜C10のヒドロ カルビレン置換基であり、スルホネート基はオルトまたはパラ置換されており、 Mはカチオン性残基である)を有するアミド酸フェニルエステルまたはそれらの 混合物である漂白活性剤の製造法において、請求の範囲第11項に記載の方法に よって製造した式III またはIVのアミド酸フェニルエステル、またはそれらの混 合物をスルホン化し、中和することを含んでなる、方法。 18. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第17項に記載の方法。 19. 式 を有するアミド酸フェニルエステルの製造法において、 (a) 式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を請求の範囲第1項に記載の方法に従っ て製造し、 (b) 段階(a) のアミド酸またはその混合物を、塩基性触媒の存在下にて低分子量 カルボン酸残基のフェノールエステルと反応させることからなり、 但し前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、 R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基である、方法。 20. 塩基性触媒が、カルボン酸塩、炭酸塩、イミダゾール、およびそれら の混合物からなる群から選択される請求の範囲第19項に記載の方法。 21. アミド酸対フェニルエステルのモル比が、少なくとも約1:1である 、請求の範囲第19項に記載の方法。 22. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第19項に記載の方法。 23. 式 および (式中、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、R1はC2〜C10のヒドロ カルビレン置換基であり、スルホネート基はオルトまたはパラ置換されており、 Mはカチオン性残基である)を有するアミド酸フェニルエステルまたはそれらの 混合物である漂白活性剤の製造法において、請求の範囲第19項に記載の方法に よって製造した式III またはIVのアミド酸フェニルエステル、またはそれらの混 合物をスルホン化し、中和することを含んでなる、方法。 24. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第23項に記載の方法。 25. 式 および を有するアミド酸フェニルエステルまたはそれらの混合物である漂白活性剤の製 造法において、 (a) 式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を請求の範囲第1項に記載の方法に従っ て製造し、 (b) 段階(a) のアミド酸またはその混合物を、式 のフェノールスルホン酸または塩のエステル誘導体またはと反応させることから なり、 但し、前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であ り、R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基であり、R2は酸残基であり、Mは カチオン性残基である、方法。 26. Mが水素であり、R2が低分子量カルボン酸残基である、請求の範囲 第25項に記載の方法。 27. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第26項に記載の方法。 28. Mが1価金属塩、および2価金属塩から選択される1員であり、R2 が低分子量カルボン酸残基である、請求の範囲第25項に記載の方法。 29. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第28項に記載の方法。 30. 式 および を有するアミド酸フェニルエステルまたはそれらの混合物である漂白活性剤の製 造法において、 (a) 式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を請求の範囲第1項に記載の方法に従っ て製造し、 (b) 段階(a) のアミド酸またはその混合物を、低分子量のカルボン酸無水物と反 応させて、アミド酸無水物を形成させ、 (c) 段階(b) のアミド酸無水物、またはそれらの混合物をフェノールスルホン酸 塩と反応させて、アミド酸フェニルエステルスルホネートを形成させる 段階を含んでなり、 但し、前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であ り、R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基であり、Mはカチオン性残基である 、方法。 31. 段階(a) において、低分子量カルボン酸無水物が式(R3CO)2Oを 有する無水物から選択され、それぞれのR3は同一であるかまたは異なるC1〜C4 ヒドロカルビル置換基である、請求の範囲第30項に記載の方法。 記載の方法。 33. アミド酸対カルボン酸無水物のモル比が約1:3〜5:1の範囲にあ る、請求の範囲第30項に記載の方法。 34. 段階(b) において、アミド酸無水物をフェノールスルホン酸ナトリウ ム塩と反応させる、請求の範囲第30項に記載の方法 35. RがC6〜C17であり、R1が(CH2xであり、xは2〜5である、 請求の範囲第30項に記載の方法。 36. 式 を有するアミド酸フェニルエステルの製造法において、 非ホウ酸酸触媒の存在下にて、フェノールとホウ酸、式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を反応させることからなり、 但し前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、 R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基である、方法。 37. 式 を有するアミド酸フェニルエステルの製造法において、 塩基性触媒の存在下にて、低分子量カルボン酸残基のフェノールエステルと、式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を反応させることからなり、 但し前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であり、 R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基である、方法。 38. 式 および を有するアミド酸フェニルエステルまたはそれらの混合物である漂白活性剤の製 造法において、 式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を、式 のフェノールスルホン酸または塩のエステル誘導体と反応させることからなり、 但し、前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であ り、R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基であり、R2は酸残基であり、Mは カチオン性残基である、方法。 39. 式 および を有するアミド酸フェニルエステルまたはそれらの混合物である漂白活性剤の製 造法において、 (a) 式 を有するアミド酸またはそれらの混合物を低分子量のカルボン酸無水物と反応さ せて、アミド酸無水物を形成させ、 (b) 段階(a) のアミド酸無水物をフェノールスルホン酸塩と反応させて、アミド 酸フェニルエステルスルホネートを形成させる 段階を含んでなり、 但し、前記式のそれぞれにおいて、RはC1以上のヒドロカルビル置換基であ り、R1はC2〜C10ヒドロカルビレン置換基であり、Mはカチオン性残基である 、方法。
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