JPH094202A - 木造家屋における遮音構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】軸組工法を採用した木造家屋に於いて、上階室
の床衝撃音の下階室への波及を減少せしめる。 【構成】上室の床構造に、梁１１の増加と共につなぎ梁
１２を採用し、更に構造用合板１３で床を一体化して、
床の剛性を高めて衝撃の発生自体を抑え、更に吸振床面
２並びに遮音天井３とを組み合わせて、更に上室で発生
した衝撃音の下室への波及を減少させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軸組工法を採用した木
造家屋に於いて、上階室の床衝撃音の下階室への波及を
減少せしめる遮音構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】アパートや、多世帯住宅にあつては、上
階室の床衝撃音が、下階室で不快と感ずるので、住環境
向上のため従前より上階床の衝撃音を減少させる床構造
が提案されている。

【０００３】例えば特公平４−３６３５６号公報には、
上階床に軽量気泡コンクリート板を使用して床衝撃音を
緩和することが開示されており、実開昭５９−１９４４
２２号公報や、特開平６−１０４９２号公報には、上階
床を吸振体で支持する構造が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記の軽量発気泡コン
クリート板を採用した場合には、建築現場における取扱
が不便である。即ち当該コンクリート板は、衝撃によっ
て破損し易いので、乱雑な建築現場では、往々にして破
損が生じてしまう。また床パネルを吸振体で支持する手
段は、上階床が浮き床となるため、その建築自体か煩雑
である。即ち浮き床は、床板部分自体が相応の剛性を必
要として、コストアップの原因となる。そこで本発明
は、上階床の高剛性化によって床衝撃音の階下への伝播
を抑える遮音構造を提案したものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る木造家屋の
遮音構造は、木造家屋の上階の床構造を、強度上必要と
する梁間隔よりも狭い間隔で多数の梁を平行に架設する
と共に、隣接する梁間をつなぎ梁で連続的に連結し、更
に前記梁の上面に構造用合板を張り込み一体化して床構
造全体の剛性を高めたことを特徴とするものである。

【０００６】また前記の床構造に、遮音マットと構造用
合板を積層すると共に、積層上面にフローリング材若し
くは畳材を敷き詰めてなる吸振床面を採用したことを特
徴とするものである。

【０００７】更に前記の各上階床構造と、壁面支持した
吊り木受けで天井を支持し、天井裏に下方から遮音シー
ト、合板、グラスウール若しくはロックウールを積層し
た高遮音天井を組み合わせてなることを特徴とするもの
である。

【０００８】

【作用】上階の床構造を、多数の梁を設けること（従来
は３尺毎であるが少なくともその中間に１本増加するこ
と）と、梁間を連続的に連結するつなぎ梁とで構成し、
更に前記梁構造に構造合板を一体に張り込むことで、床
構造自体の高剛性化が実現して、床面への衝撃に対して
強い抵抗力を具備させて、床衝撃音の発生を減少し、下
室で感知する衝撃音を小さくした。更に床面を吸振動構
造（遮音マットの組み込み）として、衝撃吸収能力を高
めて衝撃音の発生を減少する。また前記の床構造に、遮
音天井を組み合わせることで、衝撃音の伝播を減少せし
める。

【０００９】

【実施例】次に発明の実施例について説明する。実施例
は、吸振床面及び遮音天井との組み合わせの例を示した
もので、上階（２階）の床梁構造１は、梁（１２０×２
４０ｍｍ）１１を、３０３ｍｍ（１尺）間隔で並架し、
更に梁１間をつなぎ梁（１２０×１２０ｍｍ）１２で、
接着剤を併用した腰掛けあり継ぎを採用して、梁１１と
直交するように連続的に連結したものである。また前記
つなぎ梁１２の間隔は、９１０ｍｍ（３尺）毎に平行に
設けてなり、更に前記梁１１及びつなぎ梁１２の上面に
構造用合板（１２ｍｍ厚）１３を接着剤及び釘を使用し
て張り込み、上階床構造を一体化し、高剛性を実現した
ものである。

【００１０】また前記床構造１に更に吸振床面２を付加
したもので、吸振床面２は、前記構造用合板１３の上面
に、市販されている遮音マット（特殊加硫ゴム製、９ｍ
ｍ厚）２１を敷き、その上面に構造用合板２２を張設
し、和室の場合には、構造用合板２２の上面に畳材２３
を敷き詰め（図２参照）、洋室の場合にはフローリング
材２４を積層して形成する（図３参照）。

【００１１】遮音天井３は、天井板（石膏ボード）３１
ａを、壁面支持とした吊り木受けで適宜吊り木、野縁等
を介して支持し、和室は表面仕上げしとして化粧板３１
ｂを使用し、特に天井３１と壁面との接合部にゴム系パ
ッキング３１ｃを介在せしめてなり、洋室は天井板３１
ａの表面をクロス仕上げとしたものである。更に前記の
天井裏に下方から遮音シート（塩化ビニルに金属充填材
を配合したシート、２．８ｍｍ厚）３２、合板（１２ｍ
ｍ厚）３３、グラスウール（１０〜３２Ｋｇ／ｍ³ ，５
０ｍｍ厚）３４を積層したものである。

【００１２】而して前記上階床と、下室天井を組み合わ
せて、ＪＩＳ−Ａ−１４１８（建築物の現場における床
衝撃音レベルの測定方法）に基づいて、その衝撃音を測
定したところ図４に例示する結果となった。即ち和室に
おける重量衝撃音遮断性能（ＪＩＳ−Ａ−１４１９：建
築物の遮音等級）はＬ−５５であり、洋室はＬ−６０と
認められ、更に洋室の軽量衝撃音遮断性能は、Ｌ−６５
と認められた。

【００１３】尚下室の壁面構造４は、従来工法をそのま
ま採用したもので、具体的には、和室では間柱（４５×
５１ｍｍ，間隔２２７．５ｍｍ）４１に、１２ｍｍ厚の
合板４２を釘着若しくは接着し、更にラスボード（７．
５ｍｍ厚）４３を張り、京壁（１５ｍｍ厚）４４仕上げ
としたものである。また洋室の壁面構造４ａは、前記の
合板４２の表面をクロス仕上げとしたものである。

【００１４】また本発明は、前記実施例に限定されるも
のではなく、基本的に上室の床構造に、梁の増加と共に
つなぎ梁を採用し、更に構造用合板で床を一体化して、
床の剛性を高めるものであれば良いもので、梁の間隔を
３０３ｍｍとせずに、４５５ｍｍ（１．５尺）間隔とし
ても良い。更に遮音マット、遮音シート、グラスウール
等は、前記実施例の材質のもの並びに厚さに限定される
ものではなく、同様の機能を具備するものに置き換えて
も良いものである。

【００１５】

【発明の効果】以上のように本発明は、上室床構造の高
剛性化を図ることで、衝撃音発生自体を抑えて、下室へ
の波及を減少せしめ、更に吸振床面並びに遮音天井との
組み合わせで、更に上室で発生した衝撃音の下室への波
及を減少させ、住環境の改善をなした住宅を提供できた
ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の要部（梁構造）の説明図。

【図２】同和室の実施例の断面図。

【図３】同洋室の実施例の断面図。

【図４】同衝撃音の測定結果のグラフ。

【符号の説明】

１ 床梁構造 １１ 梁 １２ つなぎ梁 １３ 構造用合板 ２ 吸振床面 ２１ 遮音マット ２２ 構造合板 ２３ 畳材 ２４ フローリング材 ３ 遮音天井 ３１ａ 天井板（石膏ボード） ３１ｂ 化粧板 ３１ｃ ゴム系パッキング ３２ 遮音シート ３３ 合板 ３４ グラスウール ４ 壁面構造 ４１ 間柱 ４２ 合板 ４３ ラスボード ４４ 京壁

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 木造家屋の上階の床構造を、強度上必要
   とする梁間隔よりも狭い間隔で多数の梁を平行に架設す
   ると共に、隣接する梁間をつなぎ梁で連続的に連結し、
   更に前記梁の上面に構造用合板を張り込み一体化して床
   構造全体の剛性を高めたことを特徴とする木造家屋にお
   ける遮音構造。
2. 【請求項２】 請求項１記載の床構造に、遮音マットと
   構造用合板を積層すると共に、積層上面にフローリング
   材若しくは畳材を敷き詰めてなる吸振床面を採用したこ
   とを特徴とする木造家屋における遮音構造。
3. 【請求項３】 請求項１又は２に記載された何れかの上
   階床構造と、壁面支持した吊り木受けで天井を支持し、
   天井裏に下方から遮音シート、合板、グラスウール若し
   くはロックウールを積層した高遮音天井を組み合わせて
   なる木造家屋の遮音構造。