JPH09329548A - 蛍光寿命測定装置 - Google Patents

蛍光寿命測定装置

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JPH09329548A
JPH09329548A JP14938596A JP14938596A JPH09329548A JP H09329548 A JPH09329548 A JP H09329548A JP 14938596 A JP14938596 A JP 14938596A JP 14938596 A JP14938596 A JP 14938596A JP H09329548 A JPH09329548 A JP H09329548A
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JP
Japan
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fluorescence
excitation light
sine wave
pulse signal
frequency
Prior art date
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Application number
JP14938596A
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English (en)
Inventor
Shinji Osuga
慎二 大須賀
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Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
Original Assignee
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で、蛍光の集光効率が優れて測定に要す
る時間が短く、また、蛍光が微弱であっても精度よく蛍
光寿命を測定する。 【解決手段】 周波数fの正弦波状に強度変調された励
起光が、試料30に照射される。試料30で発生した蛍
光は、光検出器10により受光され、光検出器10から
の電流パルス信号は、増幅器40および比較器41を経
て、カウンタ42により一定時間計数される。光検出器
10の増倍率は、移相器51により位相シフトされた正
弦波状に変調されているので、カウンタ42による計数
結果は、蛍光寿命に応じた励起光に対する蛍光の位相遅
れと移相器51における位相シフト量との関数となる。
カウンタ42による計数結果に基づいて、位相遅れと変
調度とが位相遅れ及び変調度獲得手段61により求めら
れ、位相遅れ又は変調度に基づいて、蛍光寿命が蛍光寿
命算出手段62により算出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光物質の蛍光寿
命を測定する蛍光寿命測定装置に関するものであり、特
に生化学等の分野において、試料に照射された励起光に
対して発生する蛍光の位相遅れ又は変調度から蛍光寿命
を測定する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、試料に含まれる蛍光物質の蛍
光寿命の測定法として、時間相関単一光子計数法による
測定、ストリークカメラによる測定、および、変調法に
よる測定が知られている。
【0003】時間相関単一光子計数法による測定では、
比較的弱いパルス励起光を試料に照射して、励起光1パ
ルス当たり検出される蛍光の平均光子数を1より十分小
さくし、パルス励起光が試料に照射された時刻を基準と
して蛍光光子を検出した時刻を測定する。そして、試料
に多数のパルス励起光を照射することにより、蛍光光子
検出時刻についてヒストグラムを生成して、そのヒスト
グラムに基づいて試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命を
測定するものである。なお、蛍光光子の検出には、光電
子増倍管が用いられている。
【0004】ストリークカメラによる測定では、パルス
励起光を試料に照射して発生した蛍光を光電変換面で受
光してスリット状の光電子ビームに変換し、パルス励起
光の出力タイミングに同期した掃引電圧が印加された偏
向電極の間をその光電子ビームを通過させ、その光電子
ビームを蛍光面に照射させて再び光に変換する。この蛍
光面上に得られた光の空間的な強度分布は、光電変換面
が受光した蛍光の時間的な強度分布に対応するものであ
る。そこで、この蛍光面上に得られた光の空間的な強度
分布に基づいて、試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命を
測定する。
【0005】変調法による測定では、強度変調された励
起光を試料に照射して発生した蛍光の時間変化を測定
し、励起光に対する蛍光の位相遅れまたは変調度を求め
る。そして、この位相遅れまたは変調度に基づいて試料
に含まれる蛍光物質の蛍光寿命を測定する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の蛍光寿命測定法それぞれには以下のような問題点が
ある。すなわち、時間相関単一光子計数法による測定お
よびストリークカメラによる測定では、パルス励起光の
パルス幅は、蛍光寿命よりも短い必要があり、特に蛍光
寿命を正確に測定しようとする場合には、パルス励起光
のパルス幅は短いほど好ましい。しかし、パルス幅の短
いパルス励起光を出力することができるパルスレーザ光
源は、一般に大型で高価である。
【0007】また、時間相関単一光子計数法による測定
では、その原理に起因して、測定に長時間を要するとい
う問題点がある。また、ストリークカメラによる測定で
は、スリット状の光電子ビームに変換することから、広
がりを有する試料から発生した蛍光に対しては集光効率
が悪いという問題点がある。また、変調法による測定で
は、蛍光が微弱になると、SN比が劣化し、位相遅れま
たは変調度の測定精度も劣化し、ひいては、蛍光寿命の
正確な測定が困難となる。
【0008】本発明は、上記問題点を解消する為になさ
れたものであり、小型であって、蛍光の集光効率が優れ
て測定に要する時間が短く、また、蛍光が微弱であって
も精度よく蛍光寿命を測定することができる蛍光寿命測
定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の蛍光寿命
測定装置は、(1) 第1の正弦波信号により変調された励
起光を出力し試料に照射する励起光源部と、(2) 試料に
励起光が照射されて発生する蛍光を受光し、蛍光の強度
に応じた頻度で光電子を放出し、所定の増倍率で光電子
を増倍して、光電子に対応する電流パルス信号を出力す
る光検出器と、(3) 第1の正弦波信号に対して所定の位
相シフト量だけ位相がシフトされた第2の正弦波信号に
基づいて光検出器の増倍率を正弦波状に変調して設定す
る増倍率変調手段と、(4) 電流パルス信号の波高値を一
定の閾値と大小比較し、波高値が閾値よりも大きい場合
に論理パルス信号を出力する比較手段と、(5) 論理パル
ス信号の出力頻度の時間依存性のうち直流成分を抽出し
て計数する計数手段と、(6) 位相シフト量を設定する位
相シフト量設定手段と、(7) 位相シフト量の各設定値に
対する計数手段における計数結果に基づいて、励起光に
対する蛍光の位相遅れと変調度とを獲得する位相遅れ及
び変調度獲得手段と、(8) 位相遅れ又は変調度に基づい
て、試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命を算出する蛍光
寿命算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】この蛍光寿命測定装置によれば、第1の正
弦波信号により変調された励起光は、励起光源部から出
力されて試料に照射され、この励起光が照射されて試料
から発生した蛍光は、光検出器に入射する。蛍光が光検
出器に入射すると、その蛍光の強度に応じた頻度で光電
子が放出され、所定の増倍率で光電子が増倍されて、光
電子に対応する電流パルス信号が光検出器から出力され
る。この光検出器の増倍率は、第2の正弦波信号に基づ
いて、増倍率変調手段により正弦波状に変調されて設定
される。光検出器から出力された電流パルス信号は、比
較手段により、その波高値が一定の閾値と大小比較さ
れ、波高値が閾値よりも大きい場合に論理パルス信号が
出力される。そして、この論理パルス信号の出力頻度の
時間依存性のうち直流成分が、計数手段により抽出され
て計数される。ここで、第2の正弦波信号は第1の正弦
波信号に対して所定の位相シフト量だけ位相がシフトし
たものであるので、計数手段における計数結果は、励起
光に対する蛍光の位相遅れと位相シフト量との差の関数
となる。そこで、位相シフト量が位相シフト量設定手段
により各値に設定され、位相シフト量の各設定値に対す
る計数手段における計数結果に基づいて、励起光に対す
る蛍光の位相遅れと変調度とが、位相遅れ及び変調度獲
得手段により獲得され、この位相遅れ又は変調度に基づ
いて、試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命が、蛍光寿命
算出手段により算出される。
【0011】請求項2記載の蛍光寿命測定装置は、(1)
第1の正弦波信号により変調された励起光を出力し試料
に照射する励起光源部と、(2) 試料に励起光が照射され
て発生する蛍光を受光し、蛍光の強度に応じた頻度で光
電子を放出し、所定の増倍率で光電子を増倍して、光電
子に対応する電流パルス信号を出力する光検出器と、
(3) 第1の正弦波信号の周波数と僅かに異なる周波数を
有する第2の正弦波信号に基づいて光検出器の増倍率を
正弦波状に変調して設定する増倍率変調手段と、(4) 電
流パルス信号の波高値を一定の閾値と大小比較し、波高
値が閾値よりも大きい場合に論理パルス信号を出力する
比較手段と、(5) 論理パルス信号の出力頻度の時間依存
性のうち、第1および第2の正弦波信号それぞれの周波
数の差と同一の周波数成分を抽出して計数する計数手段
と、(6) 計数手段による計数結果に基づいて、励起光に
対する蛍光の位相遅れと変調度とを獲得する位相遅れ及
び変調度獲得手段と、(7) 位相遅れ又は変調度に基づい
て、試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命を算出する蛍光
寿命算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】この蛍光寿命測定装置によれば、第1の正
弦波信号により変調された励起光は、励起光源部から出
力されて試料に照射され、この励起光が照射されて試料
から発生した蛍光は、光検出器に入射する。蛍光が光検
出器に入射すると、その蛍光の強度に応じた頻度で光電
子が放出され、所定の増倍率で光電子が増倍されて、光
電子に対応する電流パルス信号が光検出器から出力され
る。この光検出器の増倍率は、第2の正弦波信号に基づ
いて、増倍率変調手段により正弦波状に変調されて設定
される。光検出器から出力された電流パルス信号は、比
較手段により、その波高値が一定の閾値と大小比較さ
れ、波高値が閾値よりも大きい場合に論理パルス信号が
出力される。そして、この論理パルス信号の出力頻度の
時間依存性のうち、第1および第2の正弦波信号それぞ
れの周波数の差と同一の周波数成分が、計数手段により
抽出されて計数される。ここで、第2の正弦波信号は、
第1の正弦波信号に対して周波数が僅かに異なるもので
あるので、計数手段における計数結果は、励起光に対す
る蛍光の位相遅れを含む正弦波波形となる。そこで、計
数手段による計数結果に基づいて、励起光に対する蛍光
の位相遅れと変調度とが、位相遅れ及び変調度獲得手段
により獲得され、この位相遅れ又は変調度に基づいて、
試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命が、蛍光寿命算出手
段により算出される。
【0013】上記何れの蛍光寿命測定装置においても、
励起光源部は、(1) 一定強度の光束を連続的に出力する
光源と、(2) 第1の正弦波信号に基づいて光束の強度を
変調して励起光を出力する変調手段と、を備えることと
してもよく、この場合、光源から連続的に出力された一
定強度の光束は、第1の正弦波信号に基づいて変調手段
により変調されて、励起光として出力される。
【0014】また、同じく上記何れの蛍光寿命測定装置
においても、光検出器は、(1) 入射した光束の強度に応
じた頻度で光電子を放出する光電変換面と、(2) アノー
ドとカソードとの間に逆バイアス電圧が印加され、且
つ、光電変換面に対向する部位が光電変換面の電位より
も高電位に設定されて、光電子を入力して生成された電
子・正孔対をアバランシェ増倍し、アバランシェ増倍さ
れた電子・正孔対の数に応じた波高値を有する電流パル
ス信号を出力するアバランシェフォトダイオードと、
(3) 光束を透過させる入射窓を備えて光電変換面および
アバランシェフォトダイオードを内部に含む真空容器
と、を備えるものが好適に用いられる。この光検出器で
は、光電変換面に光束が入射すると、その強度に応じた
頻度で光電子が放出され、その光電子はアバランシェフ
ォトダイオードに入射して電子・正孔対が生成され、そ
の電子・正孔対はアバランシェ増倍され、電流パルス信
号が出力される。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0016】(第1の実施形態)先ず、第1の実施形態
について説明する。図1は、第1の実施形態に係る蛍光
寿命測定装置の構成図である。
【0017】レーザ光源20は、測定対象物である試料
30に含まれる蛍光物質を励起し得る所定の波長を有す
る励起光を一定強度で連続発振するものである。このレ
ーザ光源20から出力された励起光は、反射鏡21で反
射されたのち、音響光学変調器22に入射して振幅変調
され、その変調された励起光は、レンズ23により集光
されて試料30に照射される。この音響光学変調器22
は、信号発生器50から出力された周波数fの正弦波信
号(第1の正弦波信号)に基づいて、入力した励起光を
振幅変調して、その変調された励起光を出力するもので
ある。
【0018】変調された励起光が試料30に照射される
と、その試料30から蛍光が発生する。この蛍光は、そ
の強度が時間変化するものであり、照射された励起光に
対する位相遅れは、試料30に含まれる蛍光物質の蛍光
寿命に依存したものとなる。この蛍光は、レンズ31、
バリアフィルタ32およびレンズ33を経て、光検出器
10の入射窓12に集光される。このバリアフィルタ3
2は、試料30から発生した蛍光を透過させるが、試料
30で散乱した励起光を遮断するものであり、したがっ
て、光検出器10の入射窓12には、蛍光のみが入射す
る。
【0019】蛍光を測定する光検出器10は、その蛍光
の強度に応じた頻度で光電子を放出し、その光電子を所
定の増倍率で増倍して、光電子に対応する電流パルス信
号を出力するものであり、アバランシェフォトダイオー
ド(以下、APD)を利用した光検出器(参考文献: S
hawn J. Fagen, "Vacuum avalanche photodiodes canco
unt single photons", Laser Focus World, Nov. (199
3) pp.125-132 )が好適に用いられる。この光検出器1
0は、入射窓12を透過した蛍光が光電変換面13に到
達すると、その光電変換面13から蛍光強度に応じた頻
度で光電子を放出し、その光電子をAPD15によりア
バランシェ増倍し、光電子に対応する電流パルス信号を
アノード端子16aに出力する。このAPD15のアノ
ード端子16aとカソード端子17aとの間には、逆バ
イアス電圧が印加されており、APD15の増倍率は、
その逆バイアス電圧に応じたものとなる。なお、この光
検出器10の詳細については後述する。
【0020】信号発生器50は、音響光学変調器22が
励起光を変調するための基準信号となる周波数fの正弦
波信号を出力するとともに、その正弦波信号を移相器5
1に対しても出力する。この移相器51は、その周波数
fの正弦波信号を入力して、演算部60の位相シフト量
設定手段63からの指示に基づいて所定の移相シフト量
だけその正弦波信号の位相をシフトさせ、その移相シフ
トされた正弦波信号(第2の正弦波信号)を出力する。
バイアスT(増倍率変調手段)52は、逆バイアス電源
18から出力された一定電圧に、移相器51から出力さ
れた正弦波信号を重畳し、その電圧信号を逆バイアス電
圧として、光検出器10のAPD15のアノード端子1
6aおよびカソード端子17aの間に印加する。
【0021】光検出器10から出力された電流パルス信
号は、増幅器40により電圧パルス信号に変換されて増
幅され、さらに、この増幅器40から出力された電圧パ
ルス信号は、比較器41により、その波高値が参照電圧
値と比較され、波高値が参照電圧値より高いときに、論
理パルス信号を1パルス出力する。なお、この参照電圧
は、演算部60により適切な値に設定されて、比較器4
1に印加される。
【0022】そして、カウンタ(計数手段)42は、比
較器41から出力された論理パルス信号を所定時間計数
し、その計数結果を演算部60に通知する。この演算部
60の位相遅れ及び変調度獲得手段61は、カウンタ4
2から出力された計数結果に基づいて、光検出器10が
受光した蛍光の励起光に対する位相遅れ及び変調度を獲
得し、演算部60の蛍光寿命算出手段62は、その位相
遅れ又は変調度に基づいて、試料30に含まれる蛍光物
質の蛍光寿命を算出する。なお、これら位相遅れ及び変
調度獲得手段61および蛍光寿命算出手段62の作用の
詳細については後述する。
【0023】次に、光検出器10の詳細について説明す
る。図2は、アバランシェフォトダイオード(APD)
を利用した光検出器の断面構成図である。
【0024】この光検出器10は、内部が真空に保たれ
ている真空容器11の一部に入射窓12が設けられてお
り、入射光束Aは、その入射窓12を透過して、光電変
換面13に到達する。光電変換面13には、APD15
のアノード16に対して例えば−10kVないし−15
kVの高電圧が高圧電源19によって印加されていて、
入射光束Aが光電変換面13に入射すると、その入射光
束Aの強度に応じた頻度で光電子Bが放出される。そし
て、その光電子Bは、光電変換面13とAPD15との
間の電界によって加速され、中央部に開口を有し所定電
位に設定された集束電極14によって集束されて、AP
D15に入射する。
【0025】このAPD15は、アノード16とカソー
ド17との間に逆バイアス電圧(例えば、+145V程
度)が印加され、且つ、光電変換面13に対向するアノ
ード16の電位が光電変換面13の電位よりも高電位に
設定されている。このAPD15に光電子Bが衝突する
と、電離作用により光電子がAPD15中で失ったエネ
ルギ3.6eV当たり1対の電子および正孔が生成さ
れ、そして、この電子・正孔対はAPD15内で、逆バ
イアス電圧に対して図3に示すような特性を有する増倍
率でアバランシェ増倍され、アノード端子16aおよび
カソード端子17aの間に電流パルス信号として出力さ
れる。
【0026】但し、光電子がAPD15内で失うエネル
ギは一定値ではなく或る分布に従うため、また、APD
15の増倍率も一定値ではなく或る増倍率分布に従うた
め、1個の光電子の入射により出力される電流パルス信
号の波高値も、図4に示すような分布を有する。
【0027】このAPDを利用した光検出器10は、光
電子増倍管と同様に単一光子を計数することが可能であ
り、さらに、光電子増倍管と比較して増倍雑音が小さい
ために、単一光電子がAPD15に入射した場合の電流
パルス信号を多数回測定して得られる波高分布において
鋭いピークが得られるという優れた特徴を有する。この
ような特徴を有することから、本発明に係る蛍光寿命測
定装置に用いるに好適なものである。
【0028】このような光検出器10の光電変換面13
に一定強度の光束を入射させ、且つ、比較器41に入力
する参照電圧を一定値に固定した状態においては、比較
器41からの論理パルス信号の出力頻度、すなわち、カ
ウンタ42における計数率は、光検出器10のAPD1
5に印加される逆バイアス電圧の値に対して、図5に示
すような特性となる。この図より、光電変換面13から
放出された光電子がカウンタ42により計数される計数
率は、APD15に印加される逆バイアス電圧の値を変
調することにより、変調可能であることが判る。この逆
バイアス電圧の変調は、逆バイアス電源18から出力さ
れた一定値の電圧と、移相器51から出力された正弦波
信号とを、バイアスT52において重畳することにより
行われる。
【0029】次に、第1の実施形態に係る蛍光寿命測定
装置の作用を説明するとともに、演算部60における処
理内容の詳細について説明する。
【0030】レーザ光源20から出力された一定強度の
励起光は、信号発生器50から出力された周波数fの正
弦波信号により、音響光学変調器22において変調され
て、その変調された励起光が、レンズ23により集光さ
れて試料30に照射される。ここで、試料30に照射さ
れる励起光の強度Iex(t) は、
【数1】 で表される。ここで、Aおよびaは定数値であり、πは
円周率であり、tは時間変数である。そして、このよう
な励起光が試料30に照射されると、試料30から蛍光
が発生するが、その蛍光の強度Iem(t) は、
【数2】 で表される。ここで、Bおよびbは定数値であり、φf
は励起光に対する蛍光の位相遅れである。
【0031】この位相遅れφf は、試料30に含まれる
蛍光物質の蛍光寿命に応じた値であり、蛍光強度の減衰
が単一の指数関数で表される場合には、蛍光寿命τとの
間に、
【数3】 なる関係がある。また、変調度mf を、
【数4】 で定義すれば、この変調度mf と蛍光寿命τとの間に
は、蛍光強度の減衰が単一の指数関数で表される場合に
は、
【数5】 なる関係がある。したがって、試料30で発生した蛍光
の位相遅れφf または変調度mf を測定することによ
り、試料30に含まれる蛍光物質の蛍光寿命τを求める
ことができる。
【0032】強度が(2)式で表される蛍光は、レンズ
31、バリアフィルタ32およびレンズ33を経て、光
検出器10の入射窓12に入射する。入射窓12に入射
した蛍光は、その入射窓12を透過し光電変換面13に
達して、その強度に応じた頻度で光電子を放出させる。
この光電子は、逆バイアス電圧が印加されているAPD
15に入射して電子・正孔対を発生させ、その電子・正
孔対は、APD15内で所定の増倍率でアバランシェ増
倍されて、アノード端子16aとカソード端子17aと
の間に電流パルス信号が出力される。そして、この電流
パルス信号は、増幅器40により電圧パルス信号に変換
されて増幅され、その電圧パルス信号は、比較器41に
よりその波高値が参照電圧値と比較されて、波高値が参
照電圧値より大きい場合には、論理パルス信号が比較器
41から出力される。そして、この論理パルス信号は、
カウンタ42により計数される。
【0033】ここで、光検出器10のAPD15に印加
される逆バイアス電圧は、逆バイアス電源18から出力
された一定電圧に、移相器51から出力された正弦波信
号がバイアスT52において重畳された正弦波信号であ
る。また、この逆バイアス電圧は、図5に示した比較器
41からの論理パルス信号の出力頻度と逆バイアス電圧
との間の関係が略線形関係にある範囲において変調され
ている。このとき、光検出器10の光電変換面13から
放出された光電子が、比較器41から論理パルス信号と
して出力される効率ε(t) は、
【数6】 で表される。ここで、Cおよびcは定数値であり、−ψ
は移相器51による位相シフト量である。
【0034】したがって、(2)式で表される強度の蛍
光が光検出器10で受光され、(6)式で表される効率
で論理パルス信号が比較器41から出力されることにな
るので、比較器41から出力される単位時間あたりの論
理パルス信号数n(t) は、
【数7】 で表される。ここで、ηは光電変換面13における蛍光
に対する量子効率である。そして、カウンタ42は、信
号発生器50から出力される正弦波信号の周期よりも十
分に長い時間T(T>>1/f)に亘って、比較器41か
ら出力された論理パルス信号を計数すると、(7)式の
うちの時刻に依存しない直流成分のみが得られる。すな
わち、カウンタ42における時間Tに亘る計数値N(ψ)
は、
【数8】 と表され、励起光に対する蛍光の位相遅れφf と移相器
51における位相シフト量(−ψ)との和(φf −ψ)
の関数となり、この関数値は、ψ=φf のときに最大値
となる。
【0035】そこで、移相器51における位相シフト量
(−ψ)が、演算部60の位相シフト量設定手段63か
らの指示により、0≦ψ≦2πの範囲で各値に設定され
るとともに、演算部60の位相遅れ及び変調度獲得手段
61により、各ψ値に対する計数値N(ψ)が求められ
て、計数値N(ψ)の値が最大となるψmax 値から、励起
光に対する蛍光の位相遅れφf (=ψmax )が求められ
る。そして、蛍光寿命τが、演算部60の蛍光寿命算出
手段62により、(3)式に基づいて求められる。
【0036】また、計数値の最大値Nmax と最小値N
min とから、計数値の変調度mcountを、mcount
(Nmax−Nmin)/(Nmax+Nmin)とすると、(8)
式より、mcount =b・c/(2・B・C) であるので、
b/B=2・mcount/(c/C)となり、これを(4)
式に代入すれば蛍光の励起光に対する変調度が求めら
れ、(5)式に基づいて蛍光寿命τが算出される。
【0037】(第2の実施形態)次に、第2の実施形態
について説明する。図6は、第2の実施形態に係る蛍光
寿命測定装置の構成図である。
【0038】レーザ光源20、反射鏡21、音響光学変
調器22およびレンズ23は、第1の実施形態の場合と
同様である。ただし、本実施形態における音響光学変調
器22は、信号発生器70から出力された周波数f0
正弦波信号(第1の正弦波信号)に基づいて、入力した
励起光を振幅変調して、その変調された励起光を出力す
る。
【0039】変調された励起光が試料30に照射される
と、その試料30から蛍光が発生し、この蛍光は、第1
の実施形態の場合と同様に、レンズ31、バリアフィル
タ32およびレンズ33を経て、光検出器10の入射窓
12に集光される。この光検出器10も、第1の実施形
態の場合と同様のものであり、蛍光が光電変換面13に
入射して放出された光電子に対応する電流パルス信号を
出力する。
【0040】光検出器10から出力された電流パルス信
号は、増幅器40により電圧パルス信号に変換されて増
幅され、さらに、この増幅器40から出力された電圧パ
ルス信号は、比較器41により、その波高値が参照電圧
値と比較され、波高値が参照電圧値より高いときに、論
理パルス信号を1パルス出力する。なお、この参照電圧
は、演算部60により適切な値に設定されて、比較器4
1に印加される。この増幅器40および比較器41も、
第1の実施形態の場合と同様である。
【0041】信号発生器70は、音響光学変調器22が
励起光を変調するための周波数f0の正弦波信号を出力
するとともに、信号発生器70の内部で正弦波信号発生
の基準となっている基準信号を信号発生器71に対して
も出力する。この信号発生器71は、その基準信号に基
づいて、その周波数f0 とは僅かに異なる周波数f1
正弦波信号(第2の正弦波信号)を出力する。バイアス
T(増倍率変調手段)72は、逆バイアス電源18から
出力された一定電圧に、信号発生器71から出力された
正弦波信号を重畳し、その電圧信号を逆バイアス電圧と
して、光検出器10のAPD15のアノード端子16a
およびカソード端子17aの間に印加する。
【0042】混波器73は、信号発生器70から出力さ
れた周波数f0 の正弦波信号と信号発生器71から出力
された周波数f1 の正弦波信号とを入力し、差周波数
(f0−f1 )の正弦波信号を出力する。比較器74
は、この混波器73から出力された正弦波信号を入力
し、その正弦波信号が負値から正値へ変化する際にゼロ
レベルと交差するタイミングを指示するスタート信号を
出力する。
【0043】マルチチャンネルスケーラー(計数手段)
75は、比較器74から出力されたスタート信号と、比
較器41から出力された論理パルス信号とを入力し、ス
タート信号が示す時刻を基準として、単位時間毎の論理
パルス信号を計数する。そして、演算部80の位相遅れ
及び変調度獲得手段81は、マルチチャンネルスケーラ
ー75から出力された計数結果に基づいて、光検出器1
0が受光した蛍光の励起光に対する位相遅れ及び変調度
を獲得し、演算部80の蛍光寿命算出手段82は、その
位相遅れ又は変調度に基づいて、試料30に含まれる蛍
光物質の蛍光寿命を算出する。なお、これら位相遅れ及
び変調度獲得手段81および蛍光寿命算出手段82の作
用の詳細については後述する。
【0044】次に、図7を用いて、第2の実施形態に係
る蛍光寿命測定装置の作用を説明するとともに、演算部
80における処理内容について詳細に説明する。図7
は、第2の実施形態に係る蛍光寿命測定装置の作用の説
明図であり、図7(a)は、混波器73から出力される
周波数(f0 −f1 )の正弦波信号であり、図7(b)
は、比較器74から出力されるスタート信号であり、図
7(c)は、比較器41から出力される論理パルス信号
を各時刻において所定の時間Tに亘って計数した場合の
計数値であり、図7(d)は、マルチチャンネルスケー
ラー75から出力される計数値である。
【0045】レーザ光源20から出力された一定強度の
励起光は、信号発生器70から出力された周波数f0
正弦波信号により、音響光学変調器22において変調さ
れて、その変調された励起光が、レンズ23により集光
されて試料30に照射される。そして、励起光が試料3
0に照射されると、試料30から蛍光が発生するが、そ
の蛍光の強度Iem(t) は、
【数9】 で表される。ここで、Bおよびbは定数値であり、φf0
は励起光に対する蛍光の位相遅れである。
【0046】強度が(9)式で表される蛍光は、レンズ
31、バリアフィルタ32およびレンズ33を経て、光
検出器10の入射窓12に入射する。入射窓12に入射
した蛍光は、その入射窓12を透過し光電変換面13に
達して、その強度に応じた頻度で光電子を放出させる。
この光電子は、逆バイアス電圧が印加されているAPD
15に入射して電子・正孔対を発生させ、その電子・正
孔対は、APD15内で所定の増倍率でアバランシェ増
倍されて、アノード端子16aとカソード端子17aと
の間に電流パルス信号が出力される。そして、この電流
パルス信号は、増幅器40により電圧パルス信号に変換
されて増幅され、その電圧パルス信号は、その波高値が
比較器41により参照電圧値と比較されて、波高値が参
照電圧値より大きい場合には、論理パルス信号が比較器
41から出力される。
【0047】ここで、光検出器10のAPD15に印加
される逆バイアス電圧は、逆バイアス電源18から出力
された一定電圧に、信号発生器71から出力された周波
数f1 の正弦波信号がバイアスT72において重畳され
た正弦波信号である。また、この逆バイアス電圧は、図
5に示した比較器41からの論理パルス信号の出力頻度
と逆バイアス電圧との間の関係が略線形関係にある範囲
において変調されている。このとき、光検出器10の光
電変換面13から放出された光電子が、比較器41から
論理パルス信号として出力される効率ε(t) は、
【数10】 で表される。ここで、Cおよびcは定数値である。
【0048】したがって、(9)式で表される強度の蛍
光が光検出器10で受光され、(10)式で表される効
率で論理パルス信号が比較器41から出力されることに
なるので、比較器41から出力される単位時間あたりの
論理パルス信号数n(t) は、
【数11】 で表される。ここで、ηは光電変換面13における蛍光
に対する量子効率である。この(11)式で表される頻
度で論理パルス信号は、マルチチャンネルスケーラー7
5に入力する。
【0049】一方、信号発生器70から出力された周波
数f0 の正弦波信号と、信号発生器71から出力された
周波数f1 の正弦波信号とは、混波器73に入力して、
【数12】 で表される差周波数(f0 −f1 )の正弦波信号が、混
波器73から出力される(図7(a))。この周波数
(f0 −f1 )の正弦波信号は、比較器74に入力し
て、ゼロレベルと比較され、その正弦波信号が負値から
正値へ変化する際にゼロレベルと交差するタイミングを
示すスタート信号が出力され(図7(b))、このスタ
ート信号は、マルチチャンネルスケーラー75に入力す
る。
【0050】そして、マルチチャンネルスケーラー75
は、スタート信号が示すタイミングを基準として、一定
時間T毎に、比較器41から出力された論理パルス信号
を計数する。この一定時間Tは、信号発生器70および
71それぞれから出力される正弦波信号それぞれの周期
の何れよりも十分に長く、且つ、混波器73から出力さ
れる正弦波信号の周期よりも十分に短い時間、すなわ
ち、
【数13】 を満たす時間である。なお、周波数f0 およびf1 それ
ぞれは、互いに僅かに異なる値であるので、(13)式
を満たす時間Tは存在する。
【0051】マルチチャンネルスケーラー75におい
て、(11)式で表される頻度で発生する論理パルス信
号を、或る時刻tの前後において(13)式を満たす時
間Tに亘って計数すると、周波数(f0 −f1 )成分お
よび直流成分が抽出されて計数され、その計数値N(t)
は、
【数14】 となる(図7(c))。したがって、マルチチャンネル
スケーラー75にスタート信号が入力する度に、各スタ
ート信号が示すタイミングを基準時刻として、時刻(i
−1)Tから時刻iTまでの時間Tに亘って計数した計
数値Ni は、
【数15】 と表される(図7(d))。なお、Rは、マルチチャン
ネルスケーラー75における計数の繰り返し回数であ
る。また、iは、1≦i≦1/{(f0 −f1 )T}を
満たす各整数値である。
【0052】このようにしてマルチチャンネルスケーラ
ー75により得られた計数値Ni (i=1,2,3,
…)を順次なめらかに結んで形成される曲線は、周波数
がf0−f1 で、励起光に対する蛍光の位相遅れφf0
け位相シフトした正弦波状の波形である。したがって、
演算部80の位相遅れ及び変調度獲得手段81により、
マルチチャンネルスケーラー75により得られた計数値
i (i=1,2,3,…)に基づいて、励起光に対す
る蛍光の位相遅れφf0が求められ、そして、蛍光寿命τ
が、演算部80の蛍光寿命算出手段82により、(3)
式に基づいて求められる。
【0053】また、位相遅れ及び変調度獲得手段81
は、計数値Ni (i=1,2,3,…)の最大値と最小
値とから、周波数(f0 −f1 )の正弦波の変調度を求
め、さらに(15)式及び(4)式に基づいて、蛍光の
励起光に対する変調度を求め、そして、蛍光寿命算出手
段82により、(5)式に基づいて試料30に含まれる
蛍光物質の蛍光寿命τが算出される。
【0054】以上のように、第1の実施形態および第2
の実施形態の双方とも、励起光源として、パルス発振で
はなく連続発振する小型のレーザ光源を用いることがで
きるので、蛍光寿命測定装置全体としても小型のものと
なる。また、試料30から発生した蛍光は、光検出器1
0の入射窓13に集光され、その強度Iem(t) が測定さ
れるので、蛍光の集光効率に優れ、蛍光が微弱であって
も短時間に精度よく蛍光寿命を測定することができる。
さらに、試料に照射される励起光は、パルスではなく正
弦波状に強度変調されたものであり、また、計数手段
(カウンタ42またはマルチチャンネルスケーラー7
5)における計数は、その変調周期よりも長い時間に亘
って行われるので、蛍光が微弱であっても精度よく蛍光
寿命を測定することができる。
【0055】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり本発明によ
れば、信号発生器(信号発生器50または70)から出
力された第1の正弦波信号により変調された励起光は、
励起光源部から出力されて試料に照射され、この励起光
が照射されて試料から発生した蛍光は、光検出器10に
入射し、その蛍光の強度に応じた頻度で光電子が放出さ
れ、所定の増倍率で光電子が増倍されて、光電子に対応
する電流パルス信号が光検出器10から出力される。こ
の光検出器10の増倍率は、信号発生器(移相器51ま
たは信号発生器71)から出力された第2の正弦波信号
に基づいて、増倍率変調手段(バイアスT52または7
2)により正弦波状に変調されて設定される。光検出器
10から出力された電流パルス信号は、比較手段によ
り、その波高値が一定の閾値と大小比較され、波高値が
閾値よりも大きい場合に論理パルス信号が出力される。
【0056】そして、請求項1記載の蛍光寿命測定装置
では、この比較手段からの論理パルス信号の出力頻度の
時間依存性のうち直流成分が、計数手段(カウンタ4
2)により抽出されて計数される。ここで、第2の正弦
波信号は第1の正弦波信号に対して所定の位相シフト量
だけ位相がシフトしたものとすれば、計数手段における
計数結果は、励起光に対する蛍光の位相遅れと位相シフ
ト量との差の関数となる。そこで、位相シフト量が位相
シフト量設定手段により各値に設定され、位相シフト量
の各設定値に対する計数手段における計数結果に基づい
て、励起光に対する蛍光の位相遅れと変調度とが、位相
遅れ及び変調度獲得手段により獲得され、この位相遅れ
又は変調度に基づいて、試料に含まれる蛍光物質の蛍光
寿命が、蛍光寿命算出手段により算出される。
【0057】また、請求項2記載の蛍光寿命測定装置で
は、この論理パルス信号の出力頻度の時間依存性のう
ち、第1および第2の正弦波信号それぞれの周波数の差
と同一の周波数成分が、計数手段(マルチチャンネルス
ケーラー75)により抽出されて計数される。ここで、
第2の正弦波信号は、第1の正弦波信号に対して周波数
が僅かに異なるものとすれば、計数手段における計数結
果は、励起光に対する蛍光の位相遅れを含む正弦波波形
となる。そこで、計数手段による計数結果に基づいて、
励起光に対する蛍光の位相遅れと変調度とが、位相遅れ
及び変調度獲得手段により獲得され、この位相遅れ又は
変調度に基づいて、試料に含まれる蛍光物質の蛍光寿命
が、蛍光寿命算出手段により算出される。
【0058】このような構成としたので、励起光源とし
て、パルス発振ではなく連続発振する小型のレーザ光源
を用いることができるので、蛍光寿命測定装置全体とし
ても小型のものとなる。また、試料から発生した蛍光
は、光検出器の入射窓に集光されて蛍光強度が測定され
るので、蛍光の集光効率に優れ、蛍光が微弱であっても
短時間に精度よく蛍光寿命を測定することができる。さ
らに、試料に照射される励起光は、パルスではなく正弦
波状に強度変調されたものであり、また、計数手段(カ
ウンタ42またはマルチチャンネルスケーラー75)に
おける計数は、その変調周期よりも長い時間に亘って行
われるので、蛍光が微弱であっても精度よく蛍光寿命を
測定することができる。
【0059】したがって、例えば、生化学等の分野にお
いて、試料中の蛍光物質の蛍光寿命を測定する蛍光寿命
測定装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る蛍光寿命測定装置の構成
図である。
【図2】アバランシェフォトダイオード(APD)を利
用した光検出器の断面構成図である。
【図3】APDにおける逆バイアス電圧に対するアバラ
ンシェ増倍率の特性図である。
【図4】APDにおける単一光電子に対する波高分布を
示す図である。
【図5】光検出器に一定強度の光束を入射した場合にお
けるカウンタの計数率と逆バイアス電圧との間の関係を
示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る蛍光寿命測定装置の構成
図である。
【図7】第2の実施形態に係る蛍光寿命測定装置の作用
の説明図である。
【符号の説明】
10…光検出器、11…真空容器、12…入射窓、13
…光電変換面、14…収束電極、15…アバランシェフ
ォトダイオード(APD)、16…アノード、16a…
アノード端子、17…カソード、17a…カソード端
子、18…逆バイアス電源、19…高圧電源、20…レ
ーザ光源、21…反射鏡、22…音響光学変調器、23
…レンズ、30…試料、31…レンズ、32…バリアフ
ィルタ、33…レンズ、40…増幅器、41…比較器、
42…カウンタ、50…信号発生器、51…移相器、5
2…バイアスT、60…演算部、61…位相遅れ及び変
調度獲得手段、62…蛍光寿命算出手段、63…位相シ
フト量設定手段、70,71…信号発生器、72…バイ
アスT、73…混波器、74…比較器、75…マルチチ
ャンネルスケーラー、80…演算部、81…位相遅れ及
び変調度獲得手段、82…蛍光寿命算出手段、A…入射
光束、B…光電子。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の正弦波信号により変調された励起
    光を出力し試料に照射する励起光源部と、 前記試料に前記励起光が照射されて発生する蛍光を受光
    し、前記蛍光の強度に応じた頻度で光電子を放出し、所
    定の増倍率で前記光電子を増倍して、前記光電子に対応
    する電流パルス信号を出力する光検出器と、 前記第1の正弦波信号に対して所定の位相シフト量だけ
    位相がシフトされた第2の正弦波信号に基づいて前記光
    検出器の増倍率を正弦波状に変調して設定する増倍率変
    調手段と、 前記電流パルス信号の波高値を一定の閾値と大小比較
    し、前記波高値が前記閾値よりも大きい場合に論理パル
    ス信号を出力する比較手段と、 前記論理パルス信号の出力頻度の時間依存性のうち直流
    成分を抽出して計数する計数手段と、 前記位相シフト量を設定する位相シフト量設定手段と、 前記位相シフト量の各設定値に対する前記計数手段にお
    ける計数結果に基づいて、前記励起光に対する前記蛍光
    の位相遅れと変調度とを獲得する位相遅れ及び変調度獲
    得手段と、 前記位相遅れ又は前記変調度に基づいて、前記試料に含
    まれる蛍光物質の蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出手段
    と、 を備えることを特徴とする蛍光寿命測定装置。
  2. 【請求項2】 第1の正弦波信号により変調された励起
    光を出力し試料に照射する励起光源部と、 前記試料に前記励起光が照射されて発生する蛍光を受光
    し、前記蛍光の強度に応じた頻度で光電子を放出し、所
    定の増倍率で前記光電子を増倍して、前記光電子に対応
    する電流パルス信号を出力する光検出器と、 前記第1の正弦波信号の周波数と僅かに異なる周波数を
    有する第2の正弦波信号に基づいて前記光検出器の増倍
    率を正弦波状に変調して設定する増倍率変調手段と、 前記電流パルス信号の波高値を一定の閾値と大小比較
    し、前記波高値が前記閾値よりも大きい場合に論理パル
    ス信号を出力する比較手段と、 前記論理パルス信号の出力頻度の時間依存性のうち、前
    記第1および前記第2の正弦波信号それぞれの周波数の
    差と同一の周波数成分を抽出して計数する計数手段と、 前記計数手段による計数結果に基づいて、前記励起光に
    対する前記蛍光の位相遅れと変調度とを獲得する位相遅
    れ及び変調度獲得手段と、 前記位相遅れ又は前記変調度に基づいて、前記試料に含
    まれる蛍光物質の蛍光寿命を算出する蛍光寿命算出手段
    と、 を備えることを特徴とする蛍光寿命測定装置。
  3. 【請求項3】 前記励起光源部は、 一定強度の光束を連続的に出力する光源と、 前記第1の正弦波信号に基づいて前記光束の強度を変調
    して前記励起光を出力する変調手段と、 を備えることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光
    寿命測定装置。
  4. 【請求項4】 前記光検出器は、 入射した光束の強度に応じた頻度で光電子を放出する光
    電変換面と、 アノードとカソードとの間に逆バイアス電圧が印加さ
    れ、且つ、前記光電変換面に対向する部位が前記光電変
    換面の電位よりも高電位に設定されて、前記光電子を入
    力して生成された電子・正孔対をアバランシェ増倍し、
    アバランシェ増倍された電子・正孔対の数に応じた波高
    値を有する前記電流パルス信号を出力するアバランシェ
    フォトダイオードと、 前記光束を透過させる入射窓を備えて前記光電変換面お
    よび前記アバランシェフォトダイオードを内部に含む真
    空容器と、 を備えることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光
    寿命測定装置。
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