JPH0932281A - コンクリート型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気温による寸法変化の影響を受けることな
く、組立てが可能な合成樹脂製コンクリート型枠を提供
すること。 【解決手段】 全体が合成樹脂で一体成形されたコンク
リート型枠は、表面がコンクリート成形面２である面板
１を有し、その上下両縁には上桟３及び下桟４が、左右
両縁には側桟５，６が裏面側に向かって突設されてい
る。上桟３には、面板１に沿って延びる長孔１７が設け
られている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、住宅の基
礎コンクリートを形成するためのコンクリート型枠に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種のコンクリート型枠としては、例
えば金属製のものが知られている。この金属製のコンク
リート型枠は、耐久性に優れ、優れたコンクリート成形
面を形成することができる。

【０００３】ここで、図７に基づいてこのような金属製
コンクリート型枠４１の組み付け方法の例を説明する。
まず、コンクリート型枠４１下方には、図示しない支持
台が配置され、コンクリート型枠４１はその下端が前記
支持台に支持されることにより立設される。

【０００４】一対のコンクリート型枠４１はコンクリー
ト成型面４２が対向するように図示しない支持台上に配
置される。また、一対の成形面４２の間には、格子状を
なす鉄筋５２が配置されている。Ｊ字状をなすアンカー
ボルト５１は、その下端が前記鉄筋５２に固定される。
そして、一方の型枠４１の上桟４３から他方の型枠４１
の上桟４３にわたって、間隔保持具４９が橋架される。

【０００５】次に、両型枠の上桟４３の上にアンカー治
具４５が載置される。この時、アンカー治具４５の挿通
孔５３に、アンカーボルト５１の上端が通され、アンカ
ー治具４５の上面及び下面において、ナット５４が締め
付けられてアンカーボルト５１が固定される。また、ア
ンカー治具４５及び上桟４３に設けられた丸孔４６に固
定ピン４７を挿通することによって、アンカー治具４５
がコンクリート型枠４１上に拘止される。更に、コンク
リート型枠４１とアンカー治具４５とはクランプ金具４
８により挟持固定される。

【０００６】そして、コンクリート型枠４１によって形
成された空間にコンクリートが流し込まれる。このよう
な金属製の型枠４１は、重く取扱に不便であり、錆びた
りするという問題がある。

【０００７】これらの問題を解決するために、例えば実
公昭４３−１７８８０号公報には、合成樹脂を一体成形
してなるコンクリート型枠が開示されている。この公報
のコンクリート型枠において、面板の裏面にはその周縁
に沿って上桟、下桟及び側桟が突設されているととも
に、補強リブが設けられている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】合成樹脂製型枠を上記
の金属製型枠と同様の方法で使用するには、合成樹脂製
型枠の上桟に固定ピン４７を挿通するための孔を設ける
とともに、アンカー治具４５と上桟とに設けられた孔の
位置を一致させる必要がある。

【０００９】ところが、合成樹脂は金属に比べて熱膨張
率が大きい。そのため、材質の違いにより合成樹脂製の
型枠は金属製のアンカー治具４５に比べて、気温の変化
に対する寸法変化の割合が大きい。従って、アンカー治
具４５と上桟とに設けられた固定ピン４７のための孔の
位置にずれが生じ、アンカー治具４５を合成樹脂製型枠
上に拘止することができないという問題が生じる。加え
て、複数のコンクリート型枠を連結させると、型枠の寸
法変化が加算されて前記孔の位置がさらにずれるという
問題がある。

【００１０】本発明の目的としては、気温によるコンク
リート型枠の寸法変化の影響を受けることなく、金属製
のアンカー治具４５によってアンカーボルト５１の位置
決めを行うことができる合成樹脂製コンクリート型枠を
提供することである。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１の発明では、コンクリートを成形するため
の面板と側桟とを有し、この面板の裏面に補強リブを設
けるとともに、全体を合成樹脂で一体成形したコンクリ
ート型枠において、面板に沿って延びる長孔を上桟及び
下桟の少なくとも一方に設けたものである。

【００１２】請求項２の発明では、上桟の長孔に挿通さ
れたピンと補強リブとの干渉を防ぐための干渉防止手段
を設けたものである。請求項３の発明では、面板に沿っ
て延びる長孔を設けた横補強リブを、上桟下部に配設し
たものである。

【００１３】従って、請求項１の発明によれば、上桟に
は面板に沿って長孔が設けられているため、アンカー治
具をコンクリート型枠上に拘止する際、ピンの挿通位置
に自由度が生じ、コンクリート型枠の位置決めに自由度
をもたせることができ、コンクリート型枠の寸法変化に
対応できる。

【００１４】請求項２の発明によれば、補強リブがピン
と干渉しないため、補強リブが強度上適正な位置に配置
される。請求項３の発明によれば、補強リブを上桟と平
行な方向に配設することによって、コンクリート型枠の
強度を増すことができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】

（第１の形態）以下に、本発明の第１の形態について図
面に基づいて説明する。

【００１６】図１〜図３に示すように、コンクリート型
枠は、その全体がポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
エステル、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂で一体成形され
ている。その型枠は表面がコンクリート成形面２である
面板１を有し、その上下両縁には、上桟３および下桟４
が裏面側に向かって突設されている。また、面板１の左
右両縁には側桟５，６が配設されている。

【００１７】面板１の裏面には、上桟３に近接して、横
補強リブ２０が突設されている。上桟３及び横補強リブ
２０上には、面板１に沿って延びる長孔１７，１８がそ
れぞれ対向するように透設されている。

【００１８】一方の側桟５には上下複数箇所に連結孔１
３が透設されている。縦補強リブ２５は側桟５に面板１
と一体に近接配置され、その縦補強リブ２５には前記連
結孔１３と対応した位置に凹部２９が形成されるととも
に、縦補強リブ２５に隣接して凹部２９を有する支持片
３０が面板１と一体に突設されている。更に、縦補強リ
ブ２５と支持片３０との間には凹部２９を有する抜け止
め２７が挟入され、支持孔３２が形成される。連結孔１
３及び支持孔２６を利用して、隣接配置される他のコン
クリート型枠を連結するための連結ピン１５とＵ字状の
挟持具１６とよりなる上下複数の連結金具１４が回転可
能及び摺動可能に配置されている。

【００１９】他方の側桟６には別の隣接する型枠の連結
ピン１５が、挿入される挿通孔１９が透設されている。
両側桟５，６の内側には、突部２３が形成され、金属板
２４が突部２３及び側桟５，６に跨がるようにして固定
されている。この金属板２４によって、前記挟持具１６
の挟持によるコンクリート型枠連結部の磨耗を防止する
ことができる。

【００２０】更に、面板１の裏面には、ほぼ全面にわた
って、上桟３と直角な方向、平行な方向にそれぞれ縦補
強リブ９及び横補強リブ１０が複数突設される。また、
上桟３に対して斜めの方向に右下がり補強リブ７及び右
上がり補強リブ８が互いに交差するように突設されてい
る。

【００２１】また、上桟３及び横補強リブ２０の長孔１
７，１８に挿通される固定ピン２１と縦補強リブ９とが
干渉しないように、かつ、縦補強リブ９と横補強リブ２
０との接続部の強度を維持するように、縦補強リブ９と
横補強リブ２０との間には凹状をなす干渉防止手段とし
ての補強リブ１１が突設されている。そして、補強リブ
７，８，９，１０、上下の桟３，４及び縦補強リブ１
２，２５によってトラス構造が形成されている。

【００２２】以上のように構成された本形態によれば、
型枠全体が合成樹脂によって一体成形されている。この
ため、金属製の型枠に比べて軽量化できて、取扱上及び
運搬上便利である。また、錆等が発生することもなく、
長期間にわたって強度を維持することができる。更に、
基礎コンクリート硬化後の型枠撤去時においてコンクリ
ート面からの剥離性がよく、作業上有利である。

【００２３】加えて、補強リブ７，８と上下の桟３，４
及び縦補強リブ１２，２５との間にトラス構造が形成さ
れ、面板１全体の強度が向上される。特に、脱型時に作
用しやすい側桟５，６に対して斜めの方向の力に対する
強度が向上されるため、型枠がねじれられたりすること
がなく、割れたりすることが少ない。したがって、面板
１が薄くてもよく、いっそうの軽量化が可能となる。

【００２４】また、図７に示すアンカー治具３０を拘止
するための長孔１７，１８が面板１に沿って延びている
ため、アンカー治具３０によってコンクリート型枠を拘
止する際、固定ピン２１の位置決めに自由度が生じる。
そのため、コンクリート型枠に寸法変化が生じても、固
定ピン２１によるアンカー治具３０の拘止に支障を生じ
ることがない。従って、アンカーボルト５１を所定の位
置に配置することができる。

【００２５】更に、コンクリート型枠を拘止するための
固定ピン２１は、上桟３の他に横補強リブ２０によって
も支持されるため、面板１に対してアンカー治具３０の
組付け強度が増す。

【００２６】次に、本発明の別の形態について、前記第
１の形態と異なる部分を中心に説明する。 （第２の形態）第２の形態では、図４に示すように、上
桟３の厚みが増して、その上桟３を中空構造としてい
る。

【００２７】更に、本形態では連結金具１４の連結ピン
１５の一端が支持リブ２８の凹部２９に保持されるとと
もに、前記凹部２９の開口部には、抜け止め３１が溶着
され、支持孔３２が形成されている。そして、連結ピン
１５が連結孔１３と支持リブ２８の支持孔２６とによっ
て回動可能かつ摺動可能に支持されている。従って、連
結金具１４がコンクリート型枠から外れることがなく、
連結金具１４の紛失を防止できる。 （第３の形態）第３の形態においては、図５及び図６に
示すように、前記第１の形態において、連結金具１４を
省略した構成となっている。この型枠はその両端が隣接
する他の型枠の連結金具１４によって、この隣接する型
枠に連結固定される。

【００２８】また、長孔１７，１８の長さは前記第１，
２の形態より長くなっている。そのため、固定ピン２１
の挿通位置に、より大きな自由度が生じ、コンクリート
型枠の寸法変化に対しても許容度がいっそう増すことに
なる。

【００２９】なお、本発明は以下のように変更して具体
化することもできる。 （１）第１，２の各形態において、側桟６側にも、連結
金具１４を設けること。

【００３０】（２）長孔１７，１８の数を前記形態とは
異なる数にすること。 （３）長孔１７，１８の長さを前記形態とは異なる長さ
にすること。 （４）前記第３の形態において、下桟４にも長孔１７を
設けるとともに、その下桟４の近傍に横補強リブ２０を
設け、その横補強リブ２０にも長孔１８を設けること。
あるいは、下桟４を第２の形態のように厚く形成するこ
と。このように構成すれば、コンクリート型枠を天地無
用として使用できる。

【００３１】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば以
下の優れた効果を奏する。請求項１の発明によれば、ピ
ンの挿通位置に自由度が増して、コンクリート型枠に寸
法変化が生じても、アンカー治具の組付けを確実に行う
ことができるとともに、アンカーボルトを所定の位置に
配置することができる。

【００３２】請求項２の発明によれば、横補強リブの位
置をピンに邪魔されることなく適正に選択できて、補強
リブの数が増えたりすることがなく、軽量化に寄与でき
る。請求項３の発明によれば、コンクリート型枠の強度
を増すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１の形態の型枠を示す斜視図。

【図２】 図１のＡ−Ａ線断面図。

【図３】 図１のＢ−Ｂ線断面図。

【図４】 第２の形態の型枠を示す斜視図。

【図５】 第３の形態の型枠を示す斜視図。

【図６】 図５のＣ−Ｃ線断面図。

【図７】 従来の型枠の組み付け例を示す斜視図。

【符号の説明】

１…面板、３…上桟、４…下桟、７，８，９，１０，１
２，２５…補強リブ、１１…干渉防止手段としての補強
リブ、１４…連結金具、１７，１８…長孔、２０…横補
強リブ、２１…ピンとしての固定ピン。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリートを成形するための面板と側
   桟とを有し、この面板の裏面に補強リブを設けるととも
   に、全体を合成樹脂で一体成形したコンクリート型枠に
   おいて、 面板に沿って延びる長孔を上桟及び下桟の少なくとも一
   方に設けたコンクリート型枠。
2. 【請求項２】 上桟の長孔に挿通されたピンと補強リブ
   との干渉を防ぐための干渉防止手段を設けた請求項１に
   記載のコンクート型枠。
3. 【請求項３】 面板に沿って延びる長孔を設けた横補強
   リブを上桟下部に配設した請求項１又は２に記載のコン
   クリート型枠。