JPH09302030A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH09302030A
JPH09302030A JP14495596A JP14495596A JPH09302030A JP H09302030 A JPH09302030 A JP H09302030A JP 14495596 A JP14495596 A JP 14495596A JP 14495596 A JP14495596 A JP 14495596A JP H09302030 A JPH09302030 A JP H09302030A
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vinyl chloride
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chloride polymer
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Madoka Furuta
円 古田
Naonori Asada
直則 浅田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟質配合に適し、機械的強度の高い成形品を
得ることができる塩化ビニル系重合体の製造方法を提供
する。 【解決手段】 オレフィン性不飽和結合を含む構造単位
と加水分解性基とを有する有機シラン化合物の存在下
に、塩化ビニル単量体を懸濁重合して塩化ビニル系重合
体を得る。オレフィン性不飽和結合を含む構造単位とし
ては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。また、加水
分解性基としては、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げ
られ、ビニルトリエトキシシランが特に好適である。懸
濁重合としては、パーカーボネート化合物、パーエステ
ル化合物等の油溶性重合触媒を使用することができ、懸
濁安定剤としては、水溶性セルロースエーテル、水溶性
ポリマー等を使用することができる。本発明の塩化ビニ
ル系重合体は、水分に接触させることによって容易に架
橋させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟質配合に適する
塩化ビニル系重合体に関する。本発明の重合体を使用す
れば、特に熱が加わる使用状態における機械的強度が向
上するため、軟質配合であっても、例えば電子レンジに
おいて使用されるラップフィルム等、ある程度の耐熱性
を要する用途にも使用することができる。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル重合体は、安価であって、且
つ難燃性を有する。また、フタル酸エステル等の可塑剤
などを配合することにより、硬質から軟質のものまで広
範囲の物性を有する成形品を得ることができる。そのた
め、現在、最も広く使用されている汎用樹脂の一つであ
る。しかし、軟質配合の組成物からなるフィルム、シー
ト又はチューブ等の成形品では、特にある程度の熱が加
わった場合、その機械的強度がそれほど高くはないた
め、用途が制約されていた。
【0003】例えばラップフィルムの場合、室温におけ
る使用では何ら問題ないものの、電子レンジ等、熱が加
わった場合は、フィルムの軟化点が低いため、フィルム
が変形したり、破損したりするという問題がある。ま
た、ホースの場合も、水温の上昇とともに、水圧によっ
てホースが膨れたり、温度、圧力によってはホースが破
裂することもあり、使用が制限されている。
【0004】軟質塩化ビニル重合体の機械的強度を高め
る手段としては、従来より、上記の成形品を、有機過酸
化物により化学的に架橋する方法がある。また、電子線
を利用する電子線架橋、及びアミノ基を有する有機シラ
ンを利用して架橋する方法等も提案されている。更に、
特公昭49−41333号公報には、塩化ビニルとビニ
ル基を含有する有機シラン化合物とを塊状重合により共
重合させ、得られる共重合体を、シロキサン縮合触媒の
存在下に熱水等に暴露して架橋する方法が開示されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機過
酸化物により架橋する方法では、架橋と同時に塩化ビニ
ル重合体が分解し、それによって耐熱性が低下する等の
問題を生じ、実用化は容易ではない。また、電子線によ
り架橋する方法では、架橋された成形品の性能は上記の
化学的な架橋方法で得られたものよりも良好である。し
かし、架橋可能な成形体の厚さに制限があるため、厚い
成形体の場合には十分に架橋できないことがある。
【0006】更に、アミノ基を有する有機シランを利用
して架橋する方法では、塩化ビニル重合体とアミノ基を
有する有機シランとの反応に伴って、塩化ビニル重合体
に脱塩化水素反応が起こる。そのため、架橋された塩化
ビニル系重合体の耐熱性が低下する等の不都合を生ずる
ことがある。また、上記の特許公報に開示された塊状重
合による方法では、得られる共重合体の粒子径が揃わ
ず、成形時の加工性に劣るとの、架橋工程以前の問題が
ある。
【0007】本発明は、上記の問題を解決するものであ
り、塩化ビニル単量体、これと共重合し得る他の単量体
及び特定の有機シラン化合物を、懸濁重合によって共重
合させることを特徴とする。それによって、成形性に優
れ、軟質配合であっても、特に熱時、その機械的強度の
高い成形品を得ることができる。また、この成形品は水
分に接触させることによって容易に架橋させることがで
きる。本発明は、このような塩化ビニル系重合体の製造
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系重
合体の製造方法は、塩化ビニル単量体又は該単量体及び
これと共重合し得る単量体を、水性媒体中で、下記の式
(1)で表される有機シラン化合物と懸濁重合させるこ
とを特徴とする。 R’SiRn (3-n) (1) (式中、R’はオレフィン性不飽和基を含む構造単位で
あり、Rはアルキル基又はアリール基である。また、X
は加水分解性基である。尚、nは0〜2の整数であ
る。)
【0009】上記の「オレフィン性不飽和基を含む構造
単位」としては、例えばビニル基、アリル基、2−ブテ
ニル基、α−クロルビニル基及びビシクロ−(2,2,
1)−ヘプテン−2基等が挙げられる。また、上記「ア
ルキル基」は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基
及びオクタデシル基等である。更に、上記「アリール
基」は、フェニル基、ジフェニル基、トリル基、キシリ
ル基及びナフチル基等である。
【0010】更に、上記「加水分解性基」としては、例
えばエトキシ基及びプロポキシ基のような炭素数2〜7
程度のアルコキシ基が挙げられる。この炭素数が1のメ
トキシ基の場合は、懸濁重合工程において有機シラン化
合物が加水分解を生じ、後工程の架橋が十分に進まない
ことがあるため好ましくない。一方、炭素数が8以上の
場合は、架橋工程における加水分解速度が遅く、容易に
架橋しないため好ましくない。
【0011】有機シラン化合物の具体例としては、ビニ
ルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、2
−ブテニルメチルジアセトキシシラン及びα−クロルビ
ニルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これ
らの有機シラン化合物の中では、ビニルトリエトキシシ
ランが特に好適である。
【0012】本発明における有機シラン化合物の使用量
は、塩化ビニル単量体を100重量%とした場合に、
0.05〜10重量%程度とすることができる。この使
用量が0.05重量%未満では、架橋後の成形品の強度
を十分に向上させることができず好ましくない。また、
10重量%を越える場合は、成形時に架橋が始まってし
まって所定の成形体とすることができず好ましくない。
尚、有機シラン化合物の使用量は0.1〜5重量%の範
囲が特に好ましい。使用量がこの範囲であれば、成形時
に架橋することはなく、且つ得られた成形体を後記する
方法等により架橋させることにより、機械的強度の高い
成形品を得ることができる。
【0013】上記「懸濁重合」は、水、有機シラン化合
物、油溶性重合開始剤、懸濁安定剤及び必要に応じて他
の添加剤等をオートクレーブに仕込み、通常、攪拌下に
塩化ビニル単量体を供給して、30〜80℃、特に40
〜70℃の温度において4〜15時間、特に5〜12時
間加熱することにより実施される。水の使用量は、容量
比で、塩化ビニル単量体1に対して、1〜8倍量、好ま
しくは1〜3倍量程度とする。
【0014】油溶性の重合触媒としては、例えばジイソ
プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート及びジエトキシエチル
パーオキシジカーボネート等のパーカーボネート化合物
が挙げられる。また、t−ブチルパーオキシネオデカノ
エート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等のパ
ーエステル化合物を使用することもできる。更に、アセ
チルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,
4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシア
セテート等の過酸化物、並びにアゾビス−2,4−ジメ
チルバレロニトリル、アゾビス−(4−メトキシ−2,
4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などを用
いることもできる。これらの重合触媒は1種のみを単独
で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】懸濁安定剤としては、例えばメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース
等の水溶性セルロースエーテルが挙げられる。また、部
分けん化されたビニルアルコール、アクリル酸重合体及
びゼラチン等の水溶性ポリマーを使用することもでき
る。これら懸濁安定剤も1種のみを用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】更に、上記の懸濁安定剤とともに、ソルビ
タンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセ
リントリステアレート及びエチレンオキサイド−プロピ
レンオキサイド−ブロック共重合体等のノニオン系乳化
剤の1種以上を組み合わせて使用することもできる。ま
た、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポ
リオキシエチレングリセリンオレート及びラウリル酸ナ
トリウム等のアニオン性乳化剤などを使用することもで
きる。このノニオン系とアニオン系の乳化剤を併用する
こともできる。
【0017】本発明では、上記の触媒、安定剤の他、必
要に応じて、通常、塩化ビニル単量体の重合に使用され
る重合度調整剤、連鎖移動剤、pH調整剤、ゲル化改良
剤、帯電防止剤、スケール防止剤等を適宜添加すること
もできる。また、それらの添加量は一般に使用されてい
る程度とすればよい。
【0018】本発明の方法によって得られる塩化ビニル
系重合体は、特に軟質配合に適し、容易に所定の形状の
成形品とすることができる。また、この成形品を水分と
接触させるなどの処理によって、架橋剤などを要するこ
となく架橋させることができる。水分との接触条件は特
に制限されず、大気中の湿分によっても架橋させること
ができる。しかし、架橋を促進させ、効率的な架橋を行
わしめるためには、80℃程度以上の温水、特に水蒸
気、又は加圧して温度を100℃以上に高めた熱水と接
触させることが好ましい。更に、シロキサン縮合触媒を
成形体に混入させることによって、架橋を促進すること
もできる。
【0019】上記のシロキサン縮合触媒としては、例え
ばカルボン酸の金属塩、チタンキレート化物、チタン酸
アルキル及びジルコン酸アルキル等の有機金属化合物、
並びに有機塩基及び有機酸などを使用することができ
る。この有機金属化合物の具体例としては、ジブチル錫
ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫
ジアセテート、オクタン酸第一錫、オクタン酸鉛、2−
エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト及びオクタ
ン酸コバルト等が挙げられる。チタンキレート化物とし
ては、チタン酸ビス(アセチルアセトニル)ジイソプロ
ピル、ジイソプロポキシチタン−ジ(エチルアセトアセ
テート)等を用いることができる。また、チタン酸アル
キルとしては、チタン酸テトラブチル、チタン酸エチレ
ングリコール等を使用することができる。
【0020】更に、有機塩基としては、エチルアミン、
ヘキシルアミン、ピペリジン、エチレンジアミン及びオ
クタデシルアミンアセテート等が挙げられる。また、有
機酸としては、p−トルエンスルホン酸、酢酸等を使用
することができる。尚、このシロキサン縮合触媒として
は、有機金属化合物、特に有機錫化合物、例えばジブチ
ル錫ラウレート、ジブチル錫アセテートなどがより好ま
しい。
【0021】本発明の方法によって得られる塩化ビニル
系重合体は、ラップフィルム、シート及びチューブ等の
軟質用途に適している。このような成形体は、重合体
に、適量の可塑剤、安定剤等の他、必要に応じて安定助
剤、滑剤、紫外線吸収剤などを添加した樹脂組成物を用
いて成形することができる。成形方法としては、カレン
ダー成形、押出成形及び射出成形等、各種の方法が挙げ
られる。
【0022】一般的な軟質配合の用途においては、可塑
剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオク
チル及びフタル酸ブチルベンジル等のフタル酸系可塑剤
を使用することができる。また、アジピン酸ジ−2−エ
チルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ
イソデシル等のアジピン酸系可塑剤、及びトリ−2−エ
チルヘキシルトリメリテート、トリノルマルオクチルト
リメリテート、トリイソデシルトリメリテート等のトリ
メリット酸系可塑剤を用いることができる。更に、リン
酸トリキシリル、リン酸トリブチル、リン酸オクチルジ
フェニル等のリン酸系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポ
キシ化アマニ油等のエポキシ系可塑剤、2塩基性酸類と
グリコール類とのポリエステル化によって得られるポリ
エステル系可塑剤など、任意の可塑剤を使用することが
できる。これら可塑剤の配合量は、用途、所要物性等に
よって、塩化ビニル系重合体100重量部に対して5〜
100重量部、特に30〜80重量部の範囲とすればよ
い。
【0023】また、安定剤としては、ステアリン酸鉛、
二塩基性フタル酸鉛等の鉛系安定剤、及びステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム
等の金属石鹸などを使用することができる。更に、オク
チル錫メルカプタイド、ジブチル錫メルカプタイド及び
ジノルマルオクチル錫ラウレート等の有機錫系安定剤な
どの他、アンチモン系安定剤等、任意の安定剤を用いる
ことができる。これら安定剤の配合量は、塩化ビニル系
重合体100重量部に対して2〜15重量部、特に3〜
10重量部程度とすればよい。尚、上記の有機錫化合物
はシロキサン縮合触媒としても有効に作用するものであ
り、安定剤として使用する場合はこの点に留意する必要
がある。
【0024】本発明の方法によって得られる重合体を用
いた軟質配合の組成物からなるフィルムは、柔軟であっ
て、破れ難く、また加熱時にも十分な強度が保たれ、且
つ変形或いは収縮し難く、ラップフィルムとして好適で
ある。このラップフィルムの用途では、安全衛生上の観
点から、可塑剤及び安定剤としては特定のものを使用す
ることが好ましい。可塑剤としては、アジピン酸ジ−2
−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル(DIN
A)、アジピン酸ジイソデシル等のアジピン酸系可塑
剤、及びエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエ
ポキシ系可塑剤が好適である。この可塑剤は、塩化ビニ
ル系重合体100重量部に対して10〜70重量部、特
に20〜60重量部程度使用する。また、安定剤として
は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸及びCa−Zn系複合安定剤等が好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例及び比較例
によって具体的に説明する。 (1) 塩化ビニル系重合体の製造 実施例1 内容積5リットルのオートクレーブに、脱イオン水27
00gと、ビニルトリエトキシシラン(東芝シリコーン
株式会社製、商品名「TSL8311」)19gとを仕
込んだ。この他、重合触媒としてクミルパーオキシネオ
デカノエート0.2g及びジ(2−エトキシエチル)パ
ーオキシジカーボネート0.5gを投入した。更に、懸
濁安定剤として78〜82モル%がケン化され且つ4重
量%水溶液の20℃における粘度が37〜45cpsの
ポリビニルアルコール0.4g及び76〜80モル%が
ケン化され且つ4重量%水溶液の20℃における粘度が
11〜15cpsのポリビニルアルコール1.4gを仕
込んだ。その後、オートクレーブ内の空気を真空ポンプ
で除去した。
【0026】次いで、塩化ビニル単量体1900gを供
給し、攪拌下、57℃で重合を開始した。重合を開始し
て8時間後、オートクレーブ内の圧力が2kg/cm2
減少した時点で重合反応を停止した。得られた塩化ビニ
ル系重合体についてテトラヒドロフラン溶解性試験を行
ったところ完全に溶解した。これによって重合工程にお
いては架橋されていないことが確認された。
【0027】実施例2 ビニルトリエトキシシランを13.4gとした他は、実
施例1と同様にして重合した。 実施例3 ビニルトリエトキシシランを5.8gとした他は、実施
例1と同様にして重合した。 比較例1 ビニルトリエトキシシランを用いなかった他は、実施例
1と同様にして重合した。
【0028】(2) 一般軟質配合 実施例1〜3及び比較例1の塩化ビニル系重合体100
重量部に、可塑剤としてジオクチルフタレートを50重
量部、安定剤として三塩基性塩酸鉛を3重量部及びステ
アリン酸バリウムを1重量部配合し、混合した。次い
で、150℃に調温された、回転数19/21rpmの
2本のロール(いずれも直径は8インチ、ロール間隙は
0.7mm)によって5分間混練し、シートを作製し
た。
【0029】上記のシートを80℃の温水に2時間浸漬
した後、下記の方法によって破断強度の測定を行った。 破断強度の測定方法;JIS K6301に準じて測定
した。試片は、2号ダンベルによって打ち抜いたものを
使用した。また、測定温度は23℃、60℃及び80℃
の3点とした。尚、試験機としては、東洋精機株式会社
製、型式「TENSILON/UTM−1/500」を
使用した。
【0030】(3) ラップフィルム用軟質配合 実施例1〜3及び比較例1の塩化ビニル系重合体100
重量部に、可塑剤としてDINAを35重量部、エポキ
シ化大豆油を5重量部及びトリスノニルフェニルフォス
ファイトを1重量部、安定剤としてCa−Zn系安定剤
(アデカアーガス株式会社製、商品名「アデカスタブ3
7」)を2重量部配合し、混合した。その後、160℃
に調温された、回転数19/21rpmの2本のロール
(いずれも直径は8インチ、ロール間隙は0.6mm)
によって5分間混練し、シートを作製した。
【0031】上記のシートを80℃の温水に2時間浸漬
した後、下記の方法によって加熱時シートが軟化して垂
れる度合いを測定した。断面がU字形であり、底面及び
側壁の内寸法がそれぞれ50mmであって、適宜長さの
金属製の治具の、両側壁の上端面にシートを弛みのない
状態が架け渡す。その後、治具及び試片をそのまま21
0℃に調温されたオーブン中に20分間静置し、最も大
きく垂れた部分(通常は中央部分)の、加熱前のシート
面からの距離をスケールによって測定した。前記の破断
強度及び上記の垂れ度合いの結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】表1の結果によれば、実施例1〜3の重合
体を使用した場合、ビニルトリエトキシシランの仕込み
量によって破断強度にやや差がみられる。しかし、仕込
み量の最も少ない実施例3の重合体を使用した場合であ
っても、室温程度から80℃まで、いずれの温度におい
ても比較例1の重合体を使用した場合に比べて高い値で
あることが分かる。
【0034】また、垂れ度合いの結果においても、実施
例1〜3の重合体を使用した場合、ビニルトリエトキシ
シランの仕込み量によって差がある。実施例1の重合体
では垂れは0mmであるに対し、実施例3の重合体では
垂れは23mmとかなり大きくなる。しかし、比較例1
の重合体を使用した場合の垂れは更に大きく27mmで
あり、本発明の方法によって得られた塩化ビニル系重合
体の耐熱性が高いことが分かる。
【0035】尚、前記の特公昭49−41333号公報
に開示された技術においては、塩化ビニルとシランとを
塊状重合条件の下で共重合させ、共重合生成物をシロキ
サン縮合触媒の存在を必須として、交サ結合させてい
る。これに対し、本発明では、水を媒体とする懸濁重合
法によって塩化ビニル単量体と有機シラン化合物とを共
重合させている。従って、本発明において得られる塩化
ビニル系重合体では、ポリ塩化ビニルに対して有機シラ
ン化合物がより均等に分散して結合している。また、十
分な量の水が存在するため、生成する共重合体の粒子径
が均一であり、その成形性も極めて優れている。このよ
うに成形性、架橋性、更には耐熱性に優れる上記の塩化
ビニル系重合体は、特に電子レンジにおいて使用するラ
ップフィルムの用途に好適である。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、塩化ビニル単量体と特
定の有機シラン化合物とを、懸濁重合によって共重合さ
せることにより、成形性に優れ、軟質配合に好適な重合
体を得ることができる。この重合体からなる成形品を架
橋することにより、機械的強度及び耐熱性に優れるラッ
プフィルム等の成形品を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体又は該単量体及びこれ
    と共重合し得る単量体を、水性媒体中で、下記の式
    (1)で表される有機シラン化合物と懸濁重合させるこ
    とを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。 R’SiRn (3-n) (1) (式中、R’はオレフィン性不飽和基を含む構造単位で
    あり、Rはアルキル基又はアリール基である。また、X
    は加水分解性基である。尚、nは0〜2の整数であ
    る。)
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100384381B1 (ko) * 1998-06-03 2003-08-14 주식회사 엘지화학 소구경가교염화비닐수지제조방법
KR100398741B1 (ko) * 1998-11-20 2003-12-24 주식회사 엘지화학 염화비닐계수지의제조방법
JP2012188491A (ja) * 2011-03-09 2012-10-04 Sekisui Chem Co Ltd 塩化ビニル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂の製造方法

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