JP5139936B2 - 架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法 - Google Patents

架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法に関する。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、機械的強度に優れ、成形性も良好なため、汎用プラスチックとして、多くの分野に用いられている。一方、耐熱性はそれほど高くないため、例えば、給湯管等の耐熱性が要求される分野にはポリ塩化ビニル系樹脂を後塩素化した塩素化ポリ塩化ビニルが使用されている。塩素化ポリ塩化ビニルは、耐熱性が良好であるとともに、疲労強度にも優れるが、塩素含有率を高くすると、樹脂の剛性が増すため、成形時の負荷が高く、外観も悪化する。また、成形体の外観を改善するために成形温度を上げると、脱塩酸により樹脂の分解が起こるため、耐熱性、耐久性が低下する。従って、耐熱性、耐久性及び外観の双方において良好な成形体を取ることは困難であった。
一方で、耐久性を得るためには、製品の肉厚化、材料本来の機械的強度に優れる高重合度化樹脂等を用いる方法がある。
例えば、耐衝撃性と耐久性とを兼ね備えた高重合度樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、この方法の場合、耐衝撃性改良剤を増加させることで、クリープ性能が低下する傾向がある。また、高重合度樹脂では、成形時の過負荷、粘度上昇による外観の悪化の問題点が依然として残る。
特開2002−37972号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、耐熱性、耐久性に優れ、かつ成形性に優れるとともに、製品外観の良好な塩化ビニル系樹脂成形体、この成形体を実現し得る樹脂及び樹脂組成物、成形体の製造方法を提供することである。
本発明の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂は、
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を、後塩素化して得られることを特徴とする。
この架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂は、塩素含有率が60〜75重量%であることが好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上述した架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有することを特徴とする。

この塩化ビニル系樹脂組成物では、
架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、錫メルカプト化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなることが好ましい。
また、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物:錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4:1〜1:1であることが好ましい。
さらに、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、
上述した塩化ビニル系樹脂組成物を、溶融・冷却固化及び架橋して得られることを特徴とする。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法は、
塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を後塩素化して架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を得、
得られた架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を、加熱溶融・冷却固化して成形体とし、
その後、該成形体を架橋処理に付すことを含むことを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性、耐久性に優れる塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができる樹脂、樹脂組成物、これら樹脂及び樹脂組成物によって得られる成形体及びその製造方法を提供することができる。
本発明の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂は、架橋性塩化ビニル系樹脂を後塩素化して得ることができる。
架橋性塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルモノマーと、ビニルシラン化合物とを共重合して得ることができる。
ビニルシラン化合物としては、種々のものを利用することができる。
例えば、式
CH2=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表わされる化合物を用いることが適している。
ここで、Rにおける炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基が挙げられる。
Xは、加水分解性を有する有機基であればよく、炭素数1〜3のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基が例示される。ただし、アルコキシ基の炭素数が大きくなると、加水分解速度が遅くなる傾向があり、架橋工程に時間がかかる傾向がある。よって、メトキシ、エトキシ基がより好ましい。
ビニルシラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン等を挙げることができる。これらのビニルシラン化合物は目的とする用途により、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニルシラン化合物は、塩化ビニルモノマー100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましい。ビニルシラン化合物の量が少なすぎると架橋が十分に進行せず、強度が向上しない傾向がある。一方、多くなりすぎると成形時の架橋が顕著となりすぎて成形性を損なう傾向がある。
なお、架橋性塩化ビニル系樹脂は、目的に応じて塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物以外のラジカル重合性モノマーをさらに追加して共重合してもよい。
このようなラジカル重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニルモノマーと共重合が可能なモノマーが挙げられ、ビニルモノマーのすべてが含まれる。
例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
架橋性塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルモノマーの重合度は、例えば、500〜900程度が適している。重合度が高すぎると溶融粘度が高くなるため、製品外観が悪化しやすい。一方、製品外観を良好なものとするために、210℃以上の高温成形を行うと脱塩酸により分解が発生する場合がある。また、重合度が低すぎると熱安定性が低く、加熱溶融する際に脱塩化水素により分解しやすくなる。
重合度を調整する方法としては、例えば、重合の際の温度、用いる溶媒の種類、重合度調節剤の種類及び量等を調整する方法が例示される。なかでも、重合の際の温度等を調整する方法が適している。一般に、重合温度が高いほど重合度は低くなる。例えば、重合度が500〜900程度の場合、重合温度としては60℃〜90℃程度が好ましい。
架橋性塩化ビニル系樹脂を得る方法は、特に限定されず、水懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法など、種々の共重合方法を用いることができる。なかでも、重合の制御のしやすさ、得られた架橋性塩化ビニル系樹脂の取り扱い性及び成形性のよさを考慮すると、水懸濁重合法であることが好ましい。
共重合の際には、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物の反応比、溶媒への分散性等により各々の重合率が変化することを考慮する必要がある。
重合反応は、ランダム共重合、ブロック共重合又はこれらを併用してもよい。
特に、水懸濁重合法を行う場合には、油溶性重合開始剤、分散剤、水溶性増粘剤、重合度調節剤等の1種以上の種々の添加剤を用いることが好ましい。
水懸濁重合に用いられる油溶性重合開始剤は、通常、ポリ塩化ビニル系樹脂の重合に用いられている公知のラジカル開始剤を意味する。例えば、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエートなどのパーエステル化合物;ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、デカノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドなどのパーオキシド化合物、α,α’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられる
。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水懸濁重合に用いられる分散剤は、塩化ビニル系樹脂の共重合を効率的に行う目的で添加される。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
水懸濁重合法の具体的な製造方法としては、例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、分散剤、疎水性重合開始剤、水溶性増粘剤、ビニルシラン化合物、必要に応じて重合度調節剤を投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、さらに撹拌条件下で塩化ビニル及び必要に応じて他のビニルモノマーを投入した後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物のグラフト共重合を行う方法が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂の共重合は発熱反応のため、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度、つまり重合温度を制御することが可能である。
反応終了後、未反応の塩化ビニルを除去してスラリー状にし、さらに脱水乾燥することが好ましい。
上述した水懸濁重合法により得られたポリ塩化ビニル系樹脂の平均粒子径、空隙率等は特に制限されないが、加工性やハンドリング性を考慮すると、平均粒子径は80〜200μm、空隙率は20〜35容量%の範囲が好ましい。
架橋性ポリ塩化ビニル系樹脂の後塩素化は、従来公知の任意の塩素化方法を採用することができる。例えば、水懸濁熱塩素化法、水懸濁光塩素化法、溶液塩素化法等が挙げられる。なかでも、得られた後塩素化物が内部まで均一に塩素化されることから、水懸濁熱塩素化法が好ましい。
例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応器に、純水及び架橋性塩化ビニル系樹脂を投入し、その後、真空ポンプで反応器内の空気を排出し、撹拌条件下で反応器内をジャケットにより加熱し、所定の温度になった後に塩素を反応器内に導入することにより、架橋性塩化ビニル系樹脂の後塩素化を行うことができる。
水懸濁熱塩素化法の反応器の材質は特に制限されないが、塩素及び塩化水素による腐食を抑制するため、ガラスライニング等の腐食対策がされた装置が好ましい。
水懸濁熱塩素化法の反応温度としては、70〜130℃が好ましい。低温すぎると、塩素化反応が著しく遅くなる傾向がある。高温すぎると、樹脂が熱劣化で変色しやすくなる傾向がある。さらに好ましくは、90〜120℃である。また、反応の進行状況によって、反応温度を反応途中で変更するなど、多段階で温度制御を行ってもよい。
水懸濁熱塩素化法の反応圧力は、特に限定されないが、反応系中の塩素濃度を高くするほど、塩素化反応が進みやすくなるので、反応器の耐圧設計が許す範囲内で高い方が好ましい。
また、塩素化の際に反応速度を早くするために、過酸化水素等のラジカル発生剤を添加してもよいが、得られた後塩素化物は、主鎖に脱塩酸の基点となる構造が生成するので、可能な限り添加しないのが好ましい。
後塩素化を実施する際の塩素含有率は60〜75重量%程度が適しており、64〜74重量%程度、さらに70〜74重量%程度が好ましい。塩素含有率が小さすぎると十分な耐熱性、耐久性を得ることができず、大きすぎると成形加工が困難となる傾向がある。特に、耐熱性、耐久性の面では塩素含有率が70〜75重量%が優れている。なお、成形加工性については、塩化ビニルモノマーの重合度、ビニルシラン化合物の量、成形温度等を
適宜調整することにより、バランスを図ることが必要となる。また、塩素含有率を75重量%より高くすることは、塩化ビニル分子の立体反発が生じる傾向があり、一般に困難である。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上述した架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を含み、さらに、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有する。これらの化合物及び触媒を含有することにより、成形性を損なわず後架橋を行うことが可能となり、優れた耐久性を付与することができる。つまり、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを併用することによって、両反応を適度に制御することが可能となる。
錫メルカプト系化合物は、熱安定剤であるが、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物及び後述する成形体において、特に、成形時の架橋進行を制御するために用いられる。
錫メルカプト系化合物としては、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト等が例示される。つまり、シロキサン触媒としては作用しない錫メルカプト化合物を用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、シロキサン触媒とはビニルシラン化合物による架橋を促進するもので、互いにSi−OHを有する化合物からSi−O−Si結合(シロキサン結合)する際の反応を促進する触媒となるものを意味する。
錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒は、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物及び成形体において、特に、成形時の熱安定性を確保し、成形後の後架橋で架橋率を制御し、その成形体の耐久性を向上させるために用いられる。
錫マレート又は錫ラウレート触媒としては、例えば、ジメチル錫マレート、ジオクチル錫マレート、ジブチル錫マレート等が例示され、錫ラウレートとしては、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー、ジオクチル錫ラウレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述した錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを用いる場合は、塩化ビニル系樹脂組成物に、錫メルカプト系化合物と、錫マレート系又は錫ラウレート系触媒とを別個に添加してもよいし、あらかじめ錫メルカプト系化合物と、錫マレート系又は錫ラウレート系化合物とを混合して混合物を調製し、これを添加してもよい。
これらの錫メルカプト系化合物及び触媒は、架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなることが適している。
また、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物:錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4:1〜1:1であることが適している。錫マレート及び/又は錫ラウレート系触媒の比率が高いと、成形直後の塩酸補足の効果が低く、架橋反応を促進する傾向がある。よって、この範囲とすることにより、錫メルカプト系化合物によって、その塩酸を補足することができ、架橋率の制御が可能となる。
塩化ビニル系樹脂組成物には、さらに必要に応じて、シロキサン触媒、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、上述した錫メルカプト系化合物以外の熱安定剤等の各種添加剤の1種又は2種以上が添加されていてもよい。
シロキサン触媒としては、例えば、カルボン酸金属塩、チタンキレート化合物、チタン酸アルキル、ジルコン酸アルキル等の金属有機化合物、有機塩基、有機酸等を用いることができる。具体的な例としては、カルボン酸金属塩として、ジブチル錫ジオクトエート、
ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸第一錫、オクタン酸鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ブテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸テトラブチル、チタン酸エチレングリコール等が挙げられる。有機塩基としては、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、酢酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン触媒の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0〜5重量部が好ましい。添加量を多くしても一定のところで触媒効果が平衡するからである。
安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
滑剤としては、特に限定されず、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加工助剤としては、特に限定されず、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系抗酸化剤、硫黄系抗酸化剤、ホスファイト系抗酸化剤等が挙げられる。
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱安定剤として、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜鉛系安定剤;バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。シロキサン触媒としては作用しないものであればなおよい。
添加剤の添加方法及び添加順序は、特に限定されるものではなく、任意の方法及び順序とすることができる。例えば、添加方法としては、特に限定されず、塩化ビニル系樹脂に、ホットブレンド法、コールドブレンド法等により添加することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、上述した塩化ビニル系樹脂組成物を用いて成形することができる。つまり、この樹脂組成物を溶融・冷却固化及び架橋することにより得られる。
例えば、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法の一つとして、上述した架橋性塩化ビニル系樹脂を後塩素化して架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を得、得られた架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂(任意に、錫メルカプト系化合物、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒、その他の添加剤等)を、加熱溶融・冷却固化して成形体とし、その後、この成形体を架橋処理に付すことを含む。
成形体を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法等が挙げられる。また、成形温度は特に限定されないが、成形温度が高すぎると、脱塩化水素による分解が発生する。このため、塩化ビニルモノマーの重合度、ビニルシラン化合物の量及び塩素化度等を適宜調整しながら、成形温度を210℃以下とすることが好ましい。
架橋処理は、水分の存在下において行うことが好ましい。水分の供給方法は特に限定されず、系内の水分又は空気中の水分のいずれを利用してもよい。また、加熱により架橋速度を著しく促進することができる。このため、熱水により架橋処理を行ってもよい。加熱方法は特に限定されないが、水分の供給を同時に行うことから、60℃以上の温水、水蒸気、加圧水蒸気を供給することが好ましい。架橋処理は、処理後のゲル分率が20%以上、100%以下となるように行うことが好ましい。
ここでゲル分率とは、試料をテトラヒドロフラン(THF)中に16時間抽出したときの重量変化率であり、
(ゲル分率)=(THF抽出後の試料重量)/(THF抽出前の試料重量)
で定義される。
ゲル分率が小さい場合には、機械的強度が不十分となることがある。
このように、本発明の一実施形態によれば、(1)耐熱性を得るための後塩素化により溶融粘度が上昇するため、成形温度を上げて成形すると熱分解が発生するという課題と、(2)溶融粘度を低下するために低重合度樹脂を使用すると、耐久性が低下する、という2つの課題に対し、比較的低重合度樹脂を用いることによっても、外観が良好で、耐熱性及び耐久性の高い塩化ビニル系樹脂成形体を製造することができる樹脂及び樹脂組成物を提供することができる。そして、このような作用をより顕著に発揮させて成形体を製造するために、比較的低重合度の特定の樹脂を低温で成形し、後架橋することが有用となる。
以下に、本発明の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂組成物、成形体及びその製造方法の実施例を詳細に説明する。ただし、実施例及び比較例において、重合度、ビニルシラン含有量及び塩素含有率は、以下の方法によって測定した値を示す。
(1)重合度
架橋性塩化ビニル系樹脂の粉体の重合度をJIS K 6720−2に準拠して測定した。
(2)ビニルシラン含有量
後塩素化前の樹脂に対して、塩素含有率(重量%)をJIS K7229に準拠して測定し、この塩素重量含有率から次式によりビニルシラン含有量(重量比率)を算出した。
ビニルシラン含有量(重量%)=[1−1.762×塩素含有率(重量%)/100]×100
(3)塩素含有率
架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂の粉体中の塩素含有率を、JIS K 7229に準拠して測定した。
(実施例1)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン0.5重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05部、界面活性剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、79℃まで昇温し、重合器内の温度を79℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点で、ジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出した。これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC」とする)を得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.5重量%であった。
[架橋性塩化ビニル系樹脂の後塩素化]
内容積300リットルのグラスライニング製耐圧反応槽に脱イオン水300重量部と、上記で得たPVC100重量部とを入れ、攪拌してPVCを水中に分散させた。真空ポンプで反応層内部空気を吸引し、ゲージ圧が−0.08MPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通して反応槽内を加温した。
反応槽内の温度が90℃に達したとき、塩素ガスを供給し始め、110℃の定温で反応を進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有率を計算し、塩素化含有率が65重量%に達した時点で、濃度200ppmの過酸化水素水を1重量部/時で連続添加しながら反応を継続した。
塩素化含有率が70重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。
さらに反応器内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し、脱水、乾燥して粉末状の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂(以下、「CPVC」とする)を得た。
得られた樹脂の塩素含有率は70.3重量%であった。
[架橋性後塩素化塩化ビニル系樹脂の成形]
上記で得たCPVC100重量部に対して、安定剤として有機錫系安定剤であるジオクチル錫メルカプト2重量部、ジブチル錫マレート1重量部、滑剤としてポリエチレンワックス0.8重量部、エステル系ワックス0.8重量部、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系加工助剤2重量部を添加し、スーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
この塩化ビニル系樹脂組成物を、直径20mmの2軸異方向回転押出機(ブラベンダー社製)に供給し、樹脂温度が180℃になるようにして成形し、幅30mm、厚さ3mmの塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
得られた塩化ビニル系樹脂成形体を、架橋処理を行う、つまり、90℃、湿度98%の恒温恒湿槽に6時間暴露することにより、架橋塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
(実施例2)
PVCは実施例1と同様に製造した。
PVCの後塩素化を、塩素化含有率が74重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止した以外は、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は73.9重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を195℃にし、恒温恒湿槽に12時間曝露した以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例3)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン10重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度を64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系樹脂(PVC)を得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は8.7重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.1重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1と同様にして実施した。
(実施例4)
PVCの製造を、実施例3と同様にして実施した。
PVCの後塩素化は、実施例3と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は74.0重量%であった。
CPVCの成形を、実施例2と同様にして実施した。
(実施例5)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800,ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度を64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点で、ジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマー等を除去し、重合スラリーを取り出した。これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.7重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.0重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を200℃にした以外は実施例1と同様にして実施した。
(実施例6)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン10重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、54℃まで昇温し、重合器内の温度を54℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出した。これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は8.3重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例2と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は73.7重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を200℃にした以外は実施例2と同様にして実施した。
(実施例7)
PVCの製造を、実施例1と同様にして実施した。
[架橋性塩化ビニル樹脂の後塩素化]
内容積300リットルのグラスライニング製耐圧反応槽に脱イオン水300重量部と、上記で得たPVC100重量部とを入れ、攪拌してPVCを水中に分散させた。真空ポンプで反応層内部空気を吸引し、ゲージ圧が−0.08MPaになるまで減圧した。窒素ガスで圧戻しを行い、再び真空ポンプで吸引して反応槽内の酸素を除去した。この間、加熱したオイルをジャケットに通して反応槽内を加温した。
反応槽内の温度が90℃に達したとき、塩素ガスを供給し始め、110℃定温で反応を進行させた。反応槽内の発生塩化水素濃度から塩素含有率を計算し、塩素化含有率が64.5重量%に達した時点で、塩素ガスの供給を停止し、塩素化反応を終了した。
さらに、反応器内に窒素ガスを吹き込んで未反応塩素を除去し、得られた樹脂を水で洗浄し、脱水、乾燥して粉末状のCPVCを得た。
得られた樹脂の塩素含有率は64.5重量%であった。
CPVCの成形は、実施例1と同様にして実施した。
(実施例8)
PVCの製造を、実施例6と同様にして実施した。
PVCの後塩素化は、塩素化含有率が65重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止した以外は実施例7と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は64.9重量%であった。
CPVCの成形は、実施例1と同様にして実施した。
(実施例9)
PVCの製造を、実施例1と同様にして実施した。
PVCの後塩素化は、塩素化含有率が68重量%に達した時点で塩素ガスの供給を停止した以外は実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は68.2重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1と同様にして実施した。
(比較例1)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量
部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、79℃まで昇温し、重合器内の温度を79℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.1重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1と同様にして実施した。
(比較例2)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度を64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
PVCの後塩素化を、実施例2と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は73.9重量%であった。
CPVCの成形は、成形温度を200℃にしたこと以外は実施例2と同様にして実施した。
しかし、この比較例では、表面凹凸が激しく、良好なサンプルを得られなかった。
(比較例3)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−tert−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、85℃まで昇温し、重合器内の温度を85℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.9重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.0重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1同様にして成形温度175℃で実施した。
しかし、この比較例では、成形中の分解により評価可能なサンプルが得られなかった。
(比較例4)
[架橋性塩化ビニル系樹脂の製造]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン1重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシネオヘプタネート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800、ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した。
その後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、57℃まで昇温し、重合器内の温度を57℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。
冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してPVCを得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は0.7重量%であった。
PVCの後塩素化を、実施例1と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素含有率は70.1重量%であった。
CPVCの成形を、実施例1同様にして成形温度210℃で実施した。
しかし、この比較例では、成形体が網状になり、評価可能なサンプルが得られなかった。
(比較例5)
[架橋性塩化ビニル樹脂の調整]
攪拌機の備えられたジャケット付25リットル耐圧重合器に、イオン交換水200重量部、ビニルトリエトキシシラン15重量部、油溶性ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.05部、部分ケン化ポリビニルアルコール(重合度800,ケン化度70mol%)0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を供給し、重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー100重量部を圧入し、次いで、攪拌しながら、50℃まで昇温し、重合器内の温度を50℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから0.2MPa降下した時点でジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。冷却後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥してポリ塩化ビニル系樹脂を得た。
得られた樹脂のビニルシラン含有量は8.3重量%であった。
PVCの後塩素化は実施例2と同様にして実施した。
得られた樹脂の塩素化度は73.9重量%であった。
CPVCの成形は、実施例6と同様にして実施したが、表面凹凸が激しく、良好なサンプルを得られなかった。
このようにして得られた実施例及び比較例の塩化ビニル系樹脂成形体について、目視観察、ビカット軟化温度及び繰返疲労試験を測定した。
それらの結果を、表1及び表2に示す。
(1)目視外観
成形後の成形体の外観を以下の4段階で目視評価した。
◎ ・・・ 表面が平滑で、光沢がある
○ ・・・ 表面が平滑であるが、光沢は少ない
× ・・・ 表面の凸凹が激しくサンプルを作成できない
×× ・・・ 網状になる、または、樹脂の分解により成形体を得られない
(2)ビカット軟化温度試験
熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法(JIS K 7206)に則り、ビカット軟化温度を測定した。測定には1kg錘を使用し、単位は(℃)である。
(3)繰返疲労試験
JIS K 7113記載の1号形ダンベル試験片(厚さ3mm)を用いて、35℃、最大応力29.4MPa、周波数5Hzの条件で、繰り返し引張り荷重(29.4MPa
→0MPa → 29.4MPa)をかけ、破断するまでの繰り返し回数を測定した。
Figure 0005139936
Figure 0005139936
本発明によれば、耐熱性、耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂製品を提供することが可能であり、耐熱温度が高い配管及びその代替、特に、鋼管系配管の代替に利用することができる。

Claims (7)

  1. 塩化ビニルモノマー100重量部と、式
    CH2=CH−SiR3−n
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
    で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を、後塩素化して得られることを特徴とする架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂。
  2. 塩素含有率が60〜75重量%である請求項1に記載の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂。
  3. 請求項1又は2に記載の架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂と、錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなる請求項3に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  5. 錫メルカプト系化合物と、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物:錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4:1〜1:1である請求項3又は4に記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれか1つに記載の塩化ビニル系樹脂組成物を、溶融・冷却固化及び架橋して得られることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
  7. 塩化ビニルモノマー100重量部と、式
    CH2=CH−SiR3−n
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
    で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られ、かつ重合度が500〜900である架橋性塩化ビニル系樹脂を後塩素化して架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を得、
    得られた架橋性後塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂を、加熱溶融・冷却固化して成形体とし、
    その後、該成形体を架橋処理に付すことを含むことを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。
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