JP5091771B2 - 塩化ビニル系樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、塩化ビニル系樹脂成形体及びその製造方法に関する。
近年、塩化ビニル管や塩化ビニル管継手の耐久化の手法として、製品を肉厚化したり、本来的に優れた機械的強度を有する高重合度化樹脂等を用いる方法がある。
例えば、特許文献1では、耐衝撃性と耐久性とを兼ね添えた高重合度樹脂を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2003−212933号公報 特開2002−37972号公報
しかし、特許文献1に記載の方法の場合、成形時の過負荷、得られる樹脂継手の剪断ヤケ、ウェルド付近での融着不足による割れ等が起こる問題点がある。 また、特許文献2に記載の方法の場合、耐衝撃性改良剤を増やすことで、クリープ性能が低下する傾向があり、高重合度樹脂では、成形時の過負荷の問題点がある。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、特定の材料を組み合わせて用いることにより、材料自体が有する優れた特性を十分に発揮させることにより、耐久性に優れ、かつ成形性に優れる塩化ビニル系樹脂からなる塩化ビニル系樹脂成形体及びその製造を提供することを目的とする。
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、塩化ビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系共重合体と、
錫メルカプト系化合物と、
錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有してなる塩化ビニル組成物を、加熱溶融及び冷却固化して得られることを特徴とする。
また、本発明の別の塩化ビニル系樹脂成形体は、塩化ビニルを主成分とするビニルモノマー100重量部と、式
CH2=CH−SiRnX3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とからなる架橋性塩化ビニル系組成物70〜99重量%を、
(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーを重合して得られ、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル系共重合体1〜30重量%に、グラフト共重合して得られる塩化ビニル系グラフト共重合体と、
錫メルカプト系化合物と、
錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有してなる塩化ビニル組成物を、加熱溶融及び冷却固化して得られることを特徴とする。
このような塩化ビニル系樹脂成形体では、例えば、前記架橋性塩化ビニル系共重合体又は架橋性塩化ビニル系組成物100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなることが好ましい。
また、錫メルカプト系化合物と錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4/1〜1/1であることが好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法は、上述した成形体を成形する際、
成形直後のゲル分率を0%以上、20%以下とし、
さらに、水分の存在下で加熱処理して架橋することにより、ゲル分率を20%以上、100%以下とする工程を含むことを特徴とする。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、特定の材料を組み合わせて用いることにより、材料自体が有する優れた特性を十分に発揮させることができ、耐久性に優れ、かつ成形性に優れる塩化ビニル系樹脂又はからなる塩化ビニル系樹脂成形体を得ることができる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法によれば、簡便な方法によって、成形性を損なわず後架橋を行うことができ、架橋率の制御が可能となる。
本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、特定成分からなる架橋性塩化ビニル系共重合体又は塩化ビニル系グラフト共重合体と、錫メルカプト系化合物と、特定成分からなる触媒とを含有して構成される。これにより、優れた耐久性を生じ、かつ成形性を損なわず後架橋を行うことで、架橋率の制御が可能となる。
架橋性塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニルモノマーと、ビニルシラン化合物とを共重合して得られる。
ビニルシラン化合物としては、種々のものを利用することができるが、式
CH2=CH−SiR3−n
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
で表わされる化合物が適している。
ここで、Rにおける炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル基を用いることができる。
また、Xは、加水分解性を有する有機基であることが好ましい。例えば、炭素数1〜3のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基が挙げられる。ただし、アルコキシ基の炭素数が大きすぎると、加水分解速度が遅くなる傾向があり、架橋工程に時間がかかる傾向があるため、好ましくは炭素数1〜2のメトキシ、エトキシ基である。
ビニルシラン化合物の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらのビニルシラン化合物は目的とする用途により、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニルシラン化合物は、塩化ビニルモノマー100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、さらに0.2〜6重量部であることが好ましい。ビニルシラン化合物の量が少なすぎると架橋が十分に進行せず、強度が向上しないという傾向があり、多すぎると成形時の架橋が顕著となりすぎて成形性を損なう傾向がある。
架橋性塩化ビニル系共重合体中の塩化ビニル成分の重合度は、小さ過ぎても、大きすぎても、塩化ビニル系樹脂成形体の成形性が得られにくくなるため、300〜2000が適当であり、好ましくは400〜1600である。
なお、架橋性塩化ビニル系共重合体は、目的に応じて塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物以外のラジカル重合性モノマーをさらに追加して共重合してもよい。
このラジカル重合性モノマーとしては、例えば、塩化ビニルモノマーと共重合可能なモノマーが挙げられ、ビニルモノマーの全てが含まれる。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類:エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類:メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
発明における架橋性塩化ビニル系共重合体を得る方法は、特に限定されず、水懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法など、種々の共重合方法を用いることができる。共重合の際には、塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物の反応比、溶媒への分散性等により各々の重合率が変化することを考慮する必要がある。重合反応は、ランダム共重合、ブロック共重合又はこれらを併用してもよい。また、塩化ビニルモノマーを重合した後、ビニルシラン化合物をグラフトして、所望の架橋性塩化ビニル系共重合体を得てもよい。重合の制御のしやすさ、得られた架橋性塩化ビニル系共重合体の取り扱い性及び成形性のよさを考慮すると、水懸濁重合法により得られたものが好ましい。
本発明における架橋性塩化ビニル系共重合体には、最終的に得られる成形体の耐衝撃性を向上させる目的で衝撃改質剤が配合されることが好ましい。用いられる衝撃改質剤としては、MBS、アクリルゴム、シリコン系アクリルゴム、CPE等が挙げられる。
また、本発明では、架橋性塩化ビニル系共重合体に代えて、塩化ビニル系グラフト共重合体を用いてもよい。
この塩化ビニル系グラフト共重合体は、塩化ビニルモノマーと、ビニルシラン化合物と、これら以外のラジカル重合性モノマーとの共重合体、塩化ビニルモノマーとビニルシラン化合物との共重合体にラジカル重合モノマー又はポリマーを共重合させた共重合体等に加えて、塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーとビニルシラン化合物とからなる架橋性塩化ビニル系組成物に、ラジカル重合体性モノマー又はラジカル重合体をグラフト共重合して得られたものである。
ここで、架橋性塩化ビニル系組成物としては、塩化ビニルを主成分とするビニルモノマー100重量部と、上述したビニルシラン化合物0.1〜10重量部とからなるものが好ましい。
特に、この場合のラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレートを主成分とするものが好ましく、ラジカル重合体としては、アクリル系共重合体であることが好ましい。
このような(メタ)アクリレートは、最終的に得られる成形体の耐衝撃性を向上させる目的で使用される。また、このような(メタ)アクリレートは、その種類は限定されないが、室温での柔軟性を確保するために、単独(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度が−20℃以下、好ましくは−20℃未満となり得るものであることが好ましい。これより高くなりすぎると、常温域でアクリル共重合体の柔軟性が失われ、衝撃吸収能力が低下するからである。また、別の観点から、工業的に一般に使用されるポリマーのガラス転移温度に鑑みて、−140℃以上となり得るものであることが適している。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)クリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(
メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、2−メチルオクチル(メタ)クリレート、2−エチルヘプチルメタクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−メチルノニル(メタ)アクリレート、2−エチルオクチル(メタ)アクリレート、n−ドデシルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、上述した単独重合体のガラス転移温度は、培風館発行、高分子学会編「高分子データ・ハンドブック(基礎編)」等によった。
また、この場合のラジカル重合性モノマーとしては、最終的に得られる成形体の塩化ビニル系樹脂の機械的強度、耐薬品性及び成形性を改善する目的で、(メタ)アクリレートと共重合可能なその他のモノマーが添加されてもよい。その種類は特には限定されないが、単独重合体のガラス転移温度が−140℃以上−20℃以下であるものが好ましい。例えば、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等の極性基含有ビニルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系共重合体を架橋する目的で、(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーには、必要に応じて多官能性モノマーが添加されてもよい。多官能性モノマーとして、例えば、ジ(メタ)アクリレート及びトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーに対する、上記多官能性モノマーの添加量は、多くなりすぎると架橋密度の過多により最終的に得られる成形体の耐衝撃性が得られにくくなるため、ラジカル重合性モノマー90〜100重量%に対して、多官能性モノマーを0〜10重量%添加するのが適当であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明において、上記(メタ)アクリレートを主成分とするアクリル系共重合体の重合方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法が挙げられる。耐衝撃性の発現の観点から、また、共重合体ラテックス粒子径の制御が行いやすい点から、乳化重合法が望ましい。
このような乳化重合法は、通常、乳化剤、重合開始剤を用いる。
上記乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特に望ましくはアニオン系界面活性剤であり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤及びレドックス開始剤等が挙げられる。
また、上記乳化重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。上記乳化重合法は、モノマー添加法の違いから一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法の3つに大別されるが、いずれを用いてもよい。
一括重合法とは、例えば、ジャケット付重合反応槽内に純水、乳化分散剤、上記ラジカル重合性モノマー及び多官能性モノマーからなる混合モノマーを一括して添加し、重合槽内部を減圧して酸素除去を行い、続いて、窒素にて大気圧に圧戻しを行った窒素雰囲気下において、撹拌により充分乳化し、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、重合開始剤を添加して重合する方法である。
モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット付重合反応槽内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を行い、続いて、窒素にて大気圧に圧戻しを行った窒素雰囲気下において、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、上記混合モノマーを一定量ずつ滴下することにより徐々に重合する方法である。
エマルジョン滴下法とは、例えば、上記混合モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノマーを調整し、次いでジャケット付重合反応槽内に純水、重合開始剤を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を行い、続いて、窒素にて大気圧に圧戻しを行った窒素雰囲気下において、まず槽内をジャケットにより所定の温度にした後、上記乳化モノマーを一定量ずつ滴下することにより重合する方法である。
さらに、エマルジョン滴下法において、重合初期に上記乳化モノマーの一部を一括添加し(この一括添加したモノマーを以下シードモノマーと呼ぶ)、その後、残りの乳化モノマーを滴下する方法を用いれば、シードモノマーの量を変化させることにより容易に生成ラテックスの粒径を制御できる。
本発明において上記アクリル系共重合体を得る際、モノマーを多段添加することにより多段構造を有する粒子としてもよい。
上記アクリル系共重合体のラテックスの樹脂固形分は、特に限定されるものではないが、ラテックスの生産性、重合反応の安定性に鑑みて、5〜60重量%が好ましい。上記アクリル系共重合体ラテックスの平均樹脂粒子径は、特に限定されないが、大きすぎると塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性と抗張力が共に低下するため、1μm未満が適当であり、小さすぎると耐衝撃性がやや低下するので、好ましくは0.01〜1.0μmである。
上記アクリル系共重合体のラテックスには、ラテックスの機械的安定性を向上させる目的で、ラテックス重合反応終了後に保護コロイド剤が必要に応じて添加されてもよい。
本発明の塩化ビニル系グラフト共重合体は、上述した塩化ビニルモノマー及びビニルシラン化合物以外のラジカル重合性モノマーを重合して得られた重合体(特に、アクリル系
共重合体)に、上述した架橋性塩化ビニル系組成物(つまり、塩化ビニルモノマーと、上述したビニルシラン化合物とからなる)をグラフト共重合して得られたものであるが、この場合、アクリル系共重合体1〜30重量%、好ましくは4〜20重量%に、架橋性塩化ビニル系組成物70〜99重量%をグラフト共重合させることが好ましい。この範囲でグラフト共重合させることにより、最終的に得られる成形体の耐衝撃性を充分得ることができ、曲げ強度や引張強度等の機械的強度、さらにはクリープ性能を維持/向上させることができる。
上記アクリル系共重合体にグラフト共重合させる際の、塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーとは、単独の塩化ビニル又は50重量%以上の塩化ビニルとこれと共重合可能なビニルモノマーとの混合物を意味する。共重合可能なモノマーとは、公知の塩化ビニルと共重合可能なビニルモノマーであってもよく、例えば、酢酸ビニル、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルビニルエーテル、エチレン、フッ化ビニル、マレイミドなどが挙げられ、これらの少なくとも一種が使用できる。
上記アクリル系共重合体ラテックスに塩化ビニル単独または塩化ビニルを主成分とするビニルモノマーをグラフト共重合させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法等が挙げられるが、本発明を有利に実施するためには、懸濁重合法が望ましい。この懸濁重合法は、通常、分散剤及び疎水性重合開始剤が用いられる。また、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤等が添加されてもよいし、重合中に重合槽内に付着するスケールを減少させる目的で、凝集剤を添加してもよい。
分散剤としては、上記アクリル系共重合体ラテックスの分散安定性を向上させ、塩化ビニルのグラフト重合を効率的に行う目的で添加され、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩−アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
疎水性重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤がグラフト共重合に有利であるという理由から好適に用いられ、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、αークミルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類、2、2ーアゾビスイソブチロニトリル、2、2ーアゾビスー2、4ージメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
塩化ビニル系グラフト共重合体の具体的な製造方法としては、例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、上記アクリル系共重合体のラテックス、分散剤、疎水性重合開始剤及び水溶性増粘剤、必要に応じて重合度調節剤を投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、撹拌条件下で塩化ビニル及び必要に応じて他のビニルモノマーを投入し、反応容器内をジャケットにより加熱する方法が挙げられる。
このような塩化ビニル系のグラフト共重合は発熱反応のため、ジャケット温度を変えることにより、反応容器内の温度、つまり重合温度を制御することが可能である。
反応終了後は、未反応の塩化ビニルを除去しスラリー状にし、脱水乾燥することが好ましい。
上記塩化ビニル系グラフト共重合体中の塩化ビニル成分の重合度は、小さ過ぎても大きすぎても充分な成形品の成形性が得られにくくなるため、300〜2000が適当であり
、好ましくは400〜1600である。
本発明の塩化ビニル樹脂成形体に含有される錫メルカプト系化合物と錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とは、錫メルカプト系化合物がシロキサン触媒となりうる錫金属を含むにもかかわらず、シロキサン触媒の効果を発揮せず、塩酸捕捉の熱安定剤としてのみ作用させる。一方、錫マレート及び/又は錫ラウレートはシロキサン触媒として作用する化合物であり、通常、単独で用いるとそれらの化合物由来の水酸基が関与し、架橋反応を進行させることができる。
しかし、発明者らは、種々の成形体についての成形性について鋭意研究を行った結果、単独で重合反応に対して有効な、特定のシロキサン触媒が、成形性に対しては十分に機能しないことを突き止め、さらに、錫メルカプト系化合物と併用することによって、塩酸捕捉と架橋反応との双方の反応を同時に進行させることをも突き止め、錫メルカプト系化合物と特定の触媒とを組み合わせることによって、予想外にも、一連の反応として両反応を制御することが可能となることを見出し、本発明の完成に至った。
従って、本発明においては、成形時の熱安定性を確保しながら、成形後において、いわゆる熱水後架橋で架橋率を制御することができ、それによって成形体の耐久性を向上させるために、錫メルカプト系化合物と錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との双方を組み合わせて用いる。他の熱安定剤とシロキサン触媒との組み合わせを用いる系では、熱安定性と架橋反応との双方を制御することは困難である。
このような錫メルカプト系化合物は、シロキサン触媒としては作用しない錫メルカプト系化合物を用いることが好ましい。このような錫メルカプト系化合物としては、例えば、ジメチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒としては、例えば、ジメチル錫マレート、ジオクチル錫マレート、ジブチル錫マレート等;ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー、ジオクチル錫ラウレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
錫メルカプト系化合物は、架橋性塩化ビニル系共重合体又は架橋性塩化ビニル系組成物100重量部に対して、1.0〜10重量部程度配合することが好ましく、1.0〜3.0重量部程度がより好ましい。なお、さらに、以下の熱安定剤を添加する場合には、それらの合計が上記範囲であることが好ましい。
錫マレート及び/又は錫ラウレート系化合物は、架橋性塩化ビニル系共重合体又は架橋性塩化ビニル系組成物100重量部に対して、0.1〜3重量部程度配合することが好ましく、0.5〜1.0重量部がより好ましい。
さらに、錫メルカプト系化合物と錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート及び/又は錫ラウレート系触媒=4/1〜1/1程度とすることが好ましい。錫マレート及び/又は錫ラウレート系触媒の比率が高いと成形直後の塩酸捕捉の効果が低く、架橋反応を促進する傾向にある。このような範囲とすることにより、錫メルカプト系化合物によって、その塩酸を捕捉することができ、架橋率の制御が可能となる。

本発明の塩化ビニル系樹脂成形体は、成形時の架橋進行を制御させる目的で、必要に応じてさらに熱安定剤を添加することができる。このような熱安定剤は、錫マレート及び/又は錫ラウレート系化合物と併せて添加してもよいし、あらかじめ錫マレート及び/又は錫ラウレート系化合物と混合して、混合系安定剤を作成し、これを添加してもよい。このような熱安定剤としては、上述した錫マレート及び/又は錫ラウレート系化合物とは異なるものであり、例えば、ステアリン酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系
安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の塩化ビニル組成物には、架橋性塩化ビニル系共重合体又は塩化ビニル系グラフト共重合体、錫メルカプト系化合物、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒以外に、さらに必要に応じて、シロキサン触媒、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料等の各種添加剤の1種又は2種以上が添加されていてもよい。
シロキサン触媒としては、例えば、カルボン酸金属塩、チタンキレート化合物、チタン酸アルキル、ジルコン酸アルキル等の金属有機化合物、有機塩基、有機酸等を用いることができる。具体的な例としては、カルボン酸金属塩として、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸第一錫、オクタン酸鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ブテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸テトラブチル、チタン酸エチレングリコール等が挙げられる。有機塩基としては、エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン等が挙げられる。有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、酢酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン触媒の添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0〜5重量部が好ましい。添加量を多くしても一定のところで触媒効果が平衡するからである。
安定化助剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ豆油エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポキシ化ポリブタジエン、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
滑剤としては、特に限定されず、例えば、モンタン酸ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加工助剤としては、特に限定されず、例えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート/アルキルメタクリレート共重合体であるアクリル系加工助剤が挙げられ、具体的には、n−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光安定剤としては、特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料としては、特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系等の無機顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤の添加方法及び添加順序は、特に限定されるものではなく、任意の方法及び順序とすることができる。例えば、添加方法としては、特に限定されず、塩化ビニル系樹脂に、ホットブレンド法、コールドブレンド法等により添加することができる。
塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法は、特に限定されず、例えば、押出成形法、射出成
形法、カレンダー成形法、プレス成形法等の種々の方法が挙げられる。なかでも、押出成形法、射出成形法が好ましい。成形中及び成形直後のゲル分率は、0%以上、20%以下となるように成形を行う。ゲル分率が大きくなると、成型機内の圧力が高くなったり、表面状態が平滑な成形品が得られなくなる傾向がある。ここでゲル分率とは、試料を、例えば、常温〜40℃程度にて、テトラヒドロフラン(THF)中に16時間抽出したときの重量変化率であり、
(ゲル分率)=(THF抽出後の試料重量)/(THF抽出前の試料重量)で定義される。
また、成形直後とは、塩化ビニル系樹脂成形体の最終形状に成形した後であって、通常、成形機から排出され、後述するような、成形体の物性を変化させるための何らかの処理が行われる前のゲル分率を指す。このような処理としては、例えば、架橋処理、好ましくは水分の存在下での架橋処理等が挙げられる。
塩化ビニル組成物は成形後、必要に応じて水分の存在下において架橋処理を行ってもよい。水分の供給方法は特に限定されず、系内の水分、空気中の水分によっても架橋させることができる。また、加熱により架橋速度を著しく促進することができるため、熱水により架橋処理を行ってもよい。加熱方法は特に限定されないが、水分の供給を同時に行うことから、60℃以上の温水、水蒸気、加圧水蒸気を供給することが好ましい。架橋処理は、処理後のゲル分率が20%以上、100%以下となるように行うことが好ましい。ゲル分率が小さい場合には、機械的強度が不十分となることがある。
以下、本発明の実施例について説明するが、下記の例に限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、「部」は「重量部」を意味する。
実施例1〜4
(架橋性塩化ビニル系共重合体の製造)
攪拌機の備えられたジャケット付25リットルの耐圧重合器に、イオン交換水133部、ビニルトリエトキシシラン及び塩化ビニルモノマーをそれぞれ表1に示す所定重量部、油溶性ラジカル開始剤としてジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート0.05部、界面活性剤としてポリプロピレンオキサイドオレイルエーテル1部、水溶性増粘剤としてポリ塩化アルミニウム0.1部を供給した。
Figure 0005091771

重合器を密閉して空気を排除した後、塩化ビニルモノマー100部を圧入し、次いで、攪拌しながら、64℃まで昇温し、重合器内の温度が64℃に保持しながら水懸濁重合を行った。
重合器内圧が降下を始めてから30分経過してからジャケットに冷却水を通して重合器を冷却した。その後、未反応の塩化ビニルモノマーなどを除去し、重合スラリーを取り出し、これをイオン交換水で洗浄し、乾燥して架橋性塩化ビニル系共重合体を得た(A1〜A3及びB1、B2)。
なお、表1に示すように、ビニルトリエトキシシランを用いないで、同様に重合を行い
、塩化ビニル共重合体を得た(B3)。
(塩化ビニル系樹脂成形体の作製)
得られた塩化ビニル系共重合体又は重合体100重量部に対して、安定剤として有機錫メルカプト系安定剤(「ONZ 7F」、日東化成工業社製)、架橋触媒として有機錫マレート系安定剤(商品名「TVS #8604」、日東化成工業社製)、有機錫ラウレート系安定剤(商品名「TVS #8604」、日東化成工業社製)、滑剤として「モノグリMB、日本油脂社製」0.3重量部、「Hiwax405MP、三井化学社製」0.3重量部、加工助剤(商品名「PA20」(カネカ社製)1部をスーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル組成物を得た。
上記で得られた塩化ビニル組成物を、直径30mmの2軸異方向回転押出機(商品名「OSC−30」、長田製作所社製)に供給し、角切りペレタイザーを用いてペレット化した後、射出成形機(100E、JSW社製)を用い、ノズル温度185℃の条件下で、呼び径25mmのソケット型塩化ビニル系樹脂管継手を得た。押出成形後のゲル分率は表2に示すとおりである。
また、上記で得られた塩化ビニル系樹脂成形体を60℃の熱水に5時間暴露することにより、塩化ビニル系樹脂管継手を得た。熱水処理後のゲル分率は表2のとおりである。
比較例1
実施例1の塩化ビニル系樹脂の製造において、ビニルトリエトキシシランを0.01部としたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、塩化ビニル系樹脂管継手を得た。
比較例2
実施例1の塩化ビニル系樹脂の製造において、ビニルトリエトキシシランを20部としたこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様にして射出成形を行ったが、過負荷によりショートショットとなった。このとき、押出機内に残存する塩化ビニル系樹脂成形体のゲル分率は70%であった。
比較例3
実施例1の塩化ビニル系樹脂の製造において塩化ビニルを使用したこと以外は実施例1と同様にして重合を行い、塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
比較例4
実施例1の塩化ビニル系樹脂の製造において、ビニルトリエトキシシランを1.0部とし、熱安定剤をオクチル錫マレート2重量部とし、架橋剤として化薬アクゾ「カヤヘキサAD(ジアルキルパーオキサイド)」を使用したこと以外は実施例1と同様に塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
比較例5
実施例1の塩化ビニル系樹脂の製造において、ビニルトリエトキシシランを1.0部とし、熱安定剤をオクチル錫メルカプト2重量部としたこと以外は実施例1と同様に塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
疲労強度および射出成形性を、以下の方法で評価した。
疲労強度:JIS K−6742に準拠し、上記塩化ビニル系樹脂管継手から切削して引張ダンベルを作製した後、ナイフノッチ(セラミックカッターHA70、コクヨ)でノッチを付け、温度23℃、最大応力1.5Mpa、周波数5Hzの条件で繰り返し加重(1.5Mpa→0Mpa→1.5Mpa)をかけ、破断するまでの繰り返し回数を測定した。
射出成形性:ノズル温度185℃での条件下で、呼び径25mmのソケット型塩化ビニル系樹脂管継手を成形した際に、良品を○、成型機内の圧力が高く、表面状態が平滑な成形品が得られなり、ショートショット、成形できなかったものを×として判断した。
Figure 0005091771
実施例4〜7
(アクリル系共重合体の作製)
イオン交換水(全使用量の1/3)、乳化分散剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート、表3のモノマー100重量部に対し、1重量部添加)、(メタ)アクリレート及びラジカル重合性モノマーを表3の割合で混合、攪拌し、乳化モノマーを調製した。
Figure 0005091771
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
MBS:メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体

一方、重合器に残りのイオン交換水(全使用量の2/3)を入れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素により圧力戻しをして置換し、重合槽を70℃まで昇温した。
昇温が完了した重合槽に重合開始剤(過硫酸アンモニウム、モノマー100重量部に対し、0.1重量部添加)および上記乳化モノマーの20重量%をシードモノマーとして一括して投入し、重合を開始した。シードモノマーが重合消費された後、乳化モノマーの残りを滴下し、全ての乳化モノマーの滴下を3時間で終了した。1時間の熟成期間の後、重合槽を冷却して重合を終了し、固形分濃度約30重量%、粒径約0.1μmのアクリル系共重合体のラテックス(以下、「ラテックス」という)を得た。
(塩化ビニル系グラフト共重合体の作製)
次いで、撹拌機及びジャケットを備えた重合器に、イオン交換水、上記ラテックス、ビニルトリエトキシシラン、部分ケン化ポリ酢酸ビニルの3%水溶液、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエートを一括投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、撹拌条件下で塩化ビニルを投入した。その後、ジャケット温度の制御により重合温度57℃にて重合を開始した。
反応器内の圧力が6.0kgf/cmの圧力まで低下することで反応終了を確認し、冷却して停止した。
その後、未反応の塩化ビニルモノマーを除去し、脱水乾燥することにより、上記アクリル系共重合体に、塩化ビニルモノマーと、エトキシシランとがグラフト共重合した塩化ビニル系グラフト共重合体を得た。
得られた塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル重合体部分の重合度は約1000であった(a1〜a3)。
(塩化ビニル系樹脂の作製)
表3に示した組成に従い、下記の操作手順で塩化ビニル系重合体(b1)を得た。
重合度1000のストレート塩化ビニル系樹脂(徳山積水工業社製、TS−1000R)95重量%とMBS(呉羽化学工業社製 BTA751)5重量%とからなる樹脂を作製した。
(架橋性塩化ビニル系共重合体)
表3に示した組成に従い、上記A1〜A3を得た方法と同様にして架橋性塩化ビニル系共重合体(A4)を得た。
(塩化ビニル系樹脂成形体の作製) 得られた塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、錫メルカプト系化合物と、安定剤として有機錫系安定剤であるジオクチル錫メルカプト、ジブチル錫ラウレート、滑剤として(商品名「Hiwax220RKT(ポリエチレンワックス)」(三井化学社製)、「S30(ステアリン酸)」(花王社製)、加工助剤として「P530A」「P710」(三菱レーヨン社製)を、表2に示す所定量添加し、スーパーミキサー(100L、カワタ社製)にて攪拌混合して塩化ビニル組成物を得た。
上記で得られた塩化ビニル組成物を、直径20mmの2軸異方向回転押出機(ブラベンダー社製)に供給し、厚さ2mmの塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
押出成形後のゲル分率は表4に示すとおりである。
上記で得られた塩化ビニル系樹脂成形体を80℃の熱水に5時間暴露することにより架橋塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
熱水処理後のゲル分率は表4に示すとおりである。
また、種々の物性を評価した。その結果を表4に併せて示す。
(比較例6)
実施例1の塩化ビニル系樹脂成形体において、架橋性塩化ビニル系組成物を表3に示すように変更し、かつオクチル錫マレート熱安定剤を、オクチル錫ラウレートに代えたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
(比較例7)
実施例1の塩化ビニル系樹脂成形体において、架橋性塩化ビニル系組成物を表3に示すように変更し、かつ熱安定剤を、オクチル錫マレート単独としたこと以外は実施例1と同様にして成形を行い、塩化ビニル系樹脂成形体を得た。
(比較例8)
実施例1の塩化ビニル系樹脂成形体において、架橋性塩化ビニル系組成物を表3に示すように変更し、かつ滑剤の量を変更したこと以外は実施例1と同様に、塩化ビニル系樹脂成形体を作製した。
外観、引張強度及び引張クリープは、以下の方法で評価した。
外観:成形時の目視とし、著しく凹凸のあるものは×とした。
引張強度:JIS K7113「硬質プラスチックのシャルピー試験方法」に準拠して、成形体のシャルピー衝撃強度を測定した。測定は23℃の雰囲気下で行った。
シャルピー:JIS K7111「硬質プラスチックの引張試験方法」に準拠して、成形体の引張強度を測定した。測定は23℃の雰囲気下で行った。
引張クリープ:JIS K−7115「硬質プラスチックの引張クリープ試験方法」に準拠して試験片を用い、かつ、ナイフノッチ(セラミックカッターHA70、コクヨ)でノッチを付け、成形体の引張クリープ値を、500万時間後の推定値として測定した。測
定は50℃の雰囲気下で行った。
Figure 0005091771
本発明は、塩化ビニル系樹脂を使用することを期待するあらゆる分野において利用することができる。特に、耐衝撃性を兼備しかつ長期耐久性を必要とする管、継手等の成形等に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 塩化ビニルモノマー100重量部と、式
    CH2=CH−SiRn3-n
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
    で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とを共重合して得られる架橋性塩化ビニル系共重合体と、
    錫メルカプト系化合物と、
    錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有してなる塩化ビニル組成物を、加熱溶融及び冷却固化して得られることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
  2. 塩化ビニルを主成分とするビニルモノマー100重量部と、式
    CH2=CH−SiRn3-n
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭素数1〜3のアルコキシ基、nは0〜2の整数である。)
    で表されるビニルシラン化合物0.1〜10重量部とからなる架橋性塩化ビニル系組成物70〜99重量%を、
    (メタ)アクリレートを主成分とするラジカル重合性モノマーを重合して得られ、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル系共重合体1〜30重量%に、グラフト共重合して得られる塩化ビニル系グラフト共重合体と、
    錫メルカプト系化合物と、
    錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒とを含有してなる塩化ビニル組成物を、加熱溶融及び冷却固化して得られることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
  3. 前記架橋性塩化ビニル系共重合体又は架橋性塩化ビニル系組成物100重量部に対して、錫メルカプト系化合物が1.0〜10重量部、錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒が0.1〜3.0重量部配合されてなる請求項1又は2に記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  4. 錫メルカプト系化合物と錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒との配合比率は、錫メルカプト系化合物/錫マレート及び/又は錫ラウレート触媒=4/1〜1/1である請求項1〜3のいずれか1つに記載の塩化ビニル系樹脂成形体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つの塩化ビニル形樹脂成形体を成形する際、
    成形直後のゲル分率を0%以上、20%以下とし、
    さらに、水分の存在下で加熱処理して架橋させることにより、ゲル分率を20%以上、100%以下とする工程を含むことを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体の製造方法。
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