JPH0929096A - パラジウム及び鉛を含む表面制御担持触媒 - Google Patents
パラジウム及び鉛を含む表面制御担持触媒Info
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- JPH0929096A JPH0929096A JP7182721A JP18272195A JPH0929096A JP H0929096 A JPH0929096 A JP H0929096A JP 7182721 A JP7182721 A JP 7182721A JP 18272195 A JP18272195 A JP 18272195A JP H0929096 A JPH0929096 A JP H0929096A
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Abstract
条件においても、カルボン酸エステルの選択率が高く、
しかもアルコール由来の副生物の少ない、カルボン酸エ
ステル製造用担持触媒を提供する。 【解決手段】 (1)パラジウム/鉛の担持組成比(原
子比)が3/0.7〜3/1.3、(2)パラジウム/
鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)が
38.55〜38.77、(3)担持触媒のパラジウム
金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金属(4
f(7/2)×1.75)のX線光電子スペクトル強度
比が1/0.2〜1/0.7を満足する、アルデヒドと
アルコール及び分子状酸素からカルボン酸エステルを製
造する担持触媒。
Description
コール及び分子状酸素とからカルボン酸エステルを製造
する際に使用する触媒及び該触媒を用いるカルボン酸エ
ステルの製造方法に関する。
アクリル酸メチルを製造する方法として、メタクロレイ
ンからメタクリル酸を製造し、さらにメタクリル酸メチ
ルエステルに変換する直酸法と呼ばれる製法が既に工業
化されている。しかしながら、メタクロレインを酸化し
てメタクリル酸とする工程の収率は、長年にわたる触媒
改良により80%台前半まで改善されてきているが、依
然として低く改良の余地が大きい。また使用されるヘテ
ロポリ酸触媒は、熱的安定性にもともと難点があり、反
応温度条件下で分解が徐々に進行する。耐熱性を向上さ
せるための触媒改良が報じられているものの、工業触媒
としては触媒寿命が未だ不十分といわれる。
メタノール及び分子状酸素と反応させて一挙にメタクリ
ル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する新しい方法
が近時脚光をあびている。メタクロレイン又はアクロレ
インをメタノール中で分子状酸素と反応させることによ
って行われ、パラジウムを含む触媒の存在が必須であ
る。
併発して炭化水素や炭酸ガスが生成し、目的とするカル
ボン酸エステルの収率が低く、またカルボン酸エステル
の生成反応と並行して、アルコール自身の酸化による異
種のアルデヒド及びそのアルデヒドから異種のカルボン
酸エステル(例えば、アルコールとしてメタノールを用
いた場合は蟻酸メチル、エタノールの場合は酢酸エチ
ル)が副生し、アルコール基準の選択性も悪かった。し
かも触媒活性を長期にわたり維持できないという欠点も
あった。特に工業的実用価値の高いメタクロレインやア
クロレインなどのα・β−不飽和アルデヒドを出発原料
とした場合には、これら反応中間体の安定性が一段と低
いため、反応中に多量の炭酸ガスやオレフィン(メタク
ロレインの場合はプロピレン)などの分解生成物が発生
し、実用化レベルにはほど遠かった。
号、特公昭57−035857号、特公昭57−035
859号各公報でパラジウム、鉛を含む触媒系を提案
し、メタクロレイン又はアクロレインを基準としたメチ
ルエステルへの選択率を大幅に改善し、90%を超える
高い値となることを示しているが、反応温度は高々50
℃までであった。
報ではパラジウムと鉛とが簡単な整数比で結合した金属
間化合物を含む触媒を提案し、メタクロレイン又はアク
ロレインの分解反応がほぼ完全に抑止され、かつ触媒活
性も長期間失われることがない触媒系であることを示し
た。これら新しい触媒系を使用する新製法は、前記した
通り収率改善及び触媒寿命改善に頭打ちの感のある直酸
法に比べ工程が短いなどの利点もあり、工業的に有用な
ポリマー原料の新しい製法として工業化が待ち望まれて
いる。
済的に有利な反応条件である60℃以上の高温、アルデ
ヒドが20%以上の高濃度で本反応を実施すると前記触
媒系ではMMA選択率の低下及びアルコール自身の酸化
による蟻酸メチルの副生量の急増がおこる。即ち、特公
昭62−007902号公報では90%を超える高いM
MA選択率が得られ、しかも蟻酸メチルは0.03〜
0.06モル/モルMMAと僅かしか生成しないことを
例示しているが、これらはアルデヒド濃度が10%以下
でしかも反応温度も40〜60℃という穏和な条件で実
施されたものである。これらの条件では生成するMMA
濃度が低いため未反応メタノールのリサイクル量が多
く、その結果蒸気使用量が増大し経済性を悪化させてい
る。しかも生産性が低く反応器も大きい。経済性改善の
ためにはアルデヒド濃度及び反応温度を可及的に高める
ことが望ましく、特公平5−069813号公報ではメ
タクロレイン濃度20%、反応温度80℃での反応例が
示されている。ところがこのような高いメタクロレイン
濃度及び高い反応温度条件になると90%を超える高い
MMA選択率は得られない。しかも蟻酸メチルが0.0
923モル/モルMMAと倍増する。さらにメタクロレ
イン濃度を30%まで高めたより過酷な条件にすると、
アルデヒドの分解反応が起こりやすくなりMMA選択率
がさらに悪化する。
度下で90%を越える高いMMA選択率及び蟻酸メチル
副生の少ない触媒系の出現が待たれていた。
とアルコール及び分子状酸素をパラジウム及び鉛を含む
触媒と反応させてカルボン酸エステルを製造するに際
し、アルデヒドの濃度及び反応温度を高めて経済性を改
善した反応条件においても、カルボン酸エステルの選択
率が高くしかも蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生
物の少ないカルボン酸エステルの製造方法を可能にする
触媒及び該触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法
を提供するものである。
現状に鑑み、カルボン酸エステル選択率が高くしかも蟻
酸メチルなどのアルコール由来の副生物の少ない触媒を
開発すべく、パラジウム、鉛を含む触媒系につき鋭意研
究し、本発明者らが特公昭62−007902号公報で
提案した、パラジウムと鉛が簡単な整数比で結合した金
属間化合物種のうち、原子比3/1のPd3 Pb1 種に
注目し、より緻密な研究を進め、本発明を完成した。
ン酸エステルを製造する触媒で、パラジウム及び鉛を含
み、下記(1)〜(3)を満たす担持触媒。 (1)パラジウム/鉛の担持組成比が原子比で3/0.
7〜3/1.3、(2)パラジウム/鉛金属間化合物の
(111)面のX線回折角(2θ)が38.55〜3
8.70、(3)担持触媒のパラジウム金属(3d(3
/2)+3d(5/2))/鉛金属(4f(7/2)×
1.75)のX線光電子スペクトル強度比が1/0.2
〜1/0.7、 2.アルデヒドをアルコール及び分子状酸素と反応させ
てカルボン酸エステルを製造する方法において、アルデ
ヒドを上記1の担持触媒の存在下でアルコール及び分子
状酸素と反応させることを特徴とするカルボン酸エステ
ルの製造方法。 3.アルデヒドがメタクロレイン、アクロレイン又はこ
れらの混合物であり、アルコールがメタノールである上
記2のカルボン酸エステル製造方法。
Pd3 Pb1 種を高純度で担体に担持して得られる担持
触媒の中でも、特にパラジウム金属(3d(3/2)+
3d(5/2))/鉛金属(4f(7/2)×1.7
5)のX線光電子スペクトル強度比が、1/0.2〜1
/0.7となるように触媒の表面構造及び表面組成が精
密に制御された触媒は、高いアルデヒド濃度及び高い反
応温度の如く過酷な反応条件であっても、蟻酸メチルの
副生が少なく、当該カルボン酸エステルの選択率が高
い。しかもアルデヒドの転化率も高いことを見いだし
た。Pd3 Pb1 を触媒種として含む触媒の表面構造及
び表面組成を制御するとアルコール及びアルデヒドに対
する反応性が大きく変化するという全く予想外の結果が
得られた。触媒表面の構造及び組成を精密に制御するこ
とが極めて重要であり、触媒がPd3 Pb1 種であっ
て、しかもパラジウム金属(3d(3/2)+3d(5
/2))/鉛金属(4f(7/2)×1.75)のX線
光電子スペクトル強度比が1/0.2〜1/0.7とな
るように触媒の表面構造及び表面組成を精密に制御する
ことで、本発明の課題を解決することが可能となったも
のである。
担持触媒の表面構造及び表面組成をパラジウム金属(3
d(3/2)+3d(5/2))/鉛金属(4f(7/
2)×1.75)のX線光電子スペクトル強度比が1/
0.2〜1/0.7となるように制御することが重要で
ある。如何なる理由により、蟻酸メチルの副生が少なく
てしかも当該カルボン酸エステルの選択率が高く、さら
にアルデヒドの転化率が高い触媒となるのか解析は未だ
不十分であるが、酸化還元電位の低い鉛元素は酸化還元
を受けやすく、状態が不安定であることを、触媒表面の
構造及び組成をより精密に制御することで、触媒種とし
てのPd3 b1 の優れた特性を残すことに成功したこと
が優れた効果を生んだものと推察している。
含み、第一にパラジウム/鉛の担持組成比(原子比)は
3/0.7〜3/1.3を満たさねばならない。好まし
くは3/0.9〜3/1.1である。担持鉛量が原子比
で1.3を越えると蟻酸メチルの生成が顕著となる。
0.7未満ではアルデヒドの分解によるMMA選択率の
低下が大きい。より好ましくは可及的に3/1に近づけ
ることである。
11)面のX線回折角(2θ)は38.55〜38.7
0の範囲である。38.55未満では蟻酸メチルの副生
が著しい。38.70を越えるとアルデヒドの分解が顕
著となり、MMA選択率が低下する。第三にパラジウム
金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金属(4
f(7/2)×1.75)のX線光電子スペクトル強度
比を1/0.2〜1/0.7、好ましくは1/0.3〜
1/0.6の範囲に制御することが必要である。これら
の三条件が満たされた触媒を用いると、蟻酸メチルの生
成が少なくMMA選択率が高く、アルデヒド転化率も高
い。即ち、0.7を越えると蟻酸メチルの副生が増加す
ると同時に触媒活性の低下を招く。一方、0.2未満の
場合にも触媒活性は低下する。更に、X線光電子スペク
トルのパラジウム金属(3d(3/2)+3d(5/
2))/有電荷性鉛(4f(7/2)+4f(5/
2))の強度比を1/0〜1/0.2の範囲に管理する
と蟻酸メチルの副生がより抑制できる。可及的に1/0
であることが最も望ましい。
元素として、例えば水銀、タリウム、ビスマス、テル
ル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタ
ル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステ
ン、マンガン、銀、レニウム、アンチモン、スズ、ロジ
ウム、ルテニウム、イリジウム、白金、金、チタン、ア
ルミニウム、硼素、珪素などを含んでいてもよい。これ
らの異種元素は通常、5重量%、好ましくは1重量%を
超えない範囲で含むことができる。さらにはアルカリ金
属化合物及びアルカリ土類金属化合物から選ばれた少な
くとも一員を含むものは反応活性が高くなるなどの利点
がある。アルカリ金属、アルカリ土類金属は通常0.0
1〜30重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲
から選ばれる。これらの異種元素あるいはアルカリ金属
及びアルカリ土類金属などは結晶格子間に少量、侵入し
たり、結晶格子金属の一部と置換していてもよい。ま
た、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物は
触媒調製時にパラジウム化合物あるいは鉛化合物を含む
溶液に加えておき担体に吸着あるいは付着させてもよい
し、あらかじめこれらを担持した担体を利用して触媒を
調製することもできる。また、反応条件下に反応系に添
加することも可能である。
合物及び鉛化合物は、例えば蟻酸塩、酢酸塩などの有機
酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩のごとき無機酸塩、アン
ミン錯体、ベンゾニトリル錯体などの有機金属錯体、酸
化物、水酸化物などのなかから適宜選ばれるが、パラジ
ウム化合物としては塩化パラジウム、酢酸パラジウムな
どが、鉛化合物としては硝酸鉛、酢酸鉛などが好適であ
る。またアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物
についても有機酸塩、無機酸塩、水酸化物などから選ば
れる。
アルミナ、ゼオライト、マグネシア、水酸化マグネシウ
ム、チタニア、炭酸カルシウム、活性炭などから広く選
ぶことができる。担体へのパラジウム担持量は特に限定
はないが担体重量に対して通常0.1〜20重量%、好
ましくは1〜10重量%である。鉛の担持量も特に限定
はないが担体重量に対して通常0.05〜17重量%の
範囲から選ばれ、好ましくは0.45〜8.5である。
但し前記した通り担持パラジウム/担持鉛の原子比は3
/0.7〜3/1.3の範囲でなければならない。好適
には3/0.9〜3/1.1である。
まず通常の調製法に従いパラジウム、鉛含有担持触媒を
準備する。このとき、パラジウム/鉛の担持組成比は原
子比で通常は3/0.1〜3/10の範囲から選ぶ。実
用的には3/0.1〜3/3、より好ましくは3/0.
7〜3/1.3としておくのが好ましい。しかしながら
この範囲を超えて、例えば3/0.1未満もしくは3/
10を超えていても、下記に説明する触媒の構造完成化
工程及び表面構造の制御工程で鉛を追加担持する、ある
いは過剰鉛を除去することが可能であり、上記パラジウ
ム/鉛の担持組成比(原子比)に必ずしも限定されるも
のではない。
通常の調製法に従い予め準備したパラジウム/鉛の担持
組成比が原子比で3/0.7〜3/1.3のパラジウ
ム、鉛含有担持触媒を以下説明するところの触媒の構
造完成化工程及び触媒の表面構造の制御工程の二つの
ステップを経て得ることができる。即ち通常の調製法で
得られたパラジウム/鉛の担持組成比が原子比で3/
0.7〜3/1.3のパラジウム、鉛含有担持触媒を第
一のステップであるところの構造完成化処理を施し、
(2)の要件であるパラジウム/鉛金属間化合物の(1
11)面のX線回折角(2θ)を38.55〜38.7
0を満たすことにより、(1)及び(2)の要件を満た
している、構造完成化された触媒を得る。
説明する。構造完成化には種々の方法があり、すべてを
説明できないが、例えば、前記通常の製法で得られた触
媒を、更に鉛化合物の存在下でホルマリン、蟻酸、ヒド
ラジン、メタノールもしくは分子状水素により構造完成
化させる。また、他の方法として、例えば前記通常の製
法で得られた触媒に対して分子状酸素による酸化と、引
き続きメタノールによる還元からなる一連の酸化還元操
作を少なくとも一回以上実施して得ることも可能である
し、分子状酸素による酸化と、メタノールによる還元を
同時に行うことでも得られる。
通常の方法で担持パラジウム/担持鉛の原子比が3/
0.98の組成比の担持触媒を予め調製した後、パラジ
ウム/鉛の担持組成比(原子比)が、例えば3/1.3
になるように酢酸鉛を溶かしたメタノールに該担持触媒
を分散させ、反応温度=90℃、反応圧力=5kg/c
m2 (以下圧力は絶対圧で表示し、kg/cm2 で示
す。)で、出口酸素濃度=2.0%(酸素分圧0.1k
g/cm2 相当)となるように反応器に空気を供給し、
約20時間活性化を行うことでも構造完成化された触媒
を得ることが可能である。
ラジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛
金属(4f(7/2)×1.75)のX線光電子スペク
トル強度比を1/0.2〜1/0.7を満たす触媒とな
ることもあるが、確実に上記の(3)を満たすために第
二のステップであるところの触媒の表面構造の制御工程
を行う。
の表面構造の制御について説明する。最も実用的で容易
な方法は、カルボン酸エステルを製造しながら触媒の表
面構造を制御することであり、実用的意義の高い方法で
ある。即ち、パラジウム、鉛を含む構造完成化された触
媒の存在下、アルデヒドとアルコール及び分子状酸素と
を反応させてカルボン酸エステルを製造する際に、反応
器に鉛を含む物質を少量存在させながら、特定の酸素分
圧で反応を実施する。このステップを経させることで確
実に前記(3)を満たす触媒を得ることができる。反応
させるアルデヒド種、アルコール種などの反応原料、反
応条件、反応器形式もしくは該触媒のパラジウム、鉛組
成などにより酸素分圧、鉛の添加量は特定の値に決めが
たいが、例えば、反応器出口の酸素分圧を0.02〜
0.8kg/cm2 に管理し、反応器に添加する鉛濃度
は0.1〜2000ppmの範囲で反応を行う。また、
反応器に供給する鉛量が多くなると、廃水中の鉛を無害
化するための処理コストが高くなり好ましくない。実用
的には1〜200ppmの範囲から必要最小限の量が選
ばれる。
工程を行わずに、直接に第二のステップであるカルボン
酸エステルの製造反応を行いながら、触媒の構造完成化
と表面構造の制御を同時に行うことも可能である。即
ち、パラジウム、鉛を含む触媒をアルデヒドとアルコー
ル及び分子状酸素と反応させて、カルボン酸エステルを
製造する際に、反応器に鉛を含む物質を少量存在させな
がら特定の酸素分圧で反応を実施する、上記した触媒の
表面構造の制御工程を行うだけで、触媒の構造完成化を
行い、さらに表面構造をも制御することが可能である。
反応させるアルデヒド種、アルコール種などの反応原
料、反応条件、反応器形式もしくは該触媒のパラジウ
ム、鉛組成などにより酸素分圧、鉛の添加量は特定の値
に決めがたいが、第二ステップである、触媒の表面構造
の制御工程と同様に、例えば、反応器出口の酸素分圧を
0.02〜0.8kg/cm2 に管理し、反応器に添加
する鉛濃度は0.1〜2000ppmの範囲で反応を行
うのが好ましい。
ムは不明であるが、本発明者らの推察するところによる
と該条件で触媒上に存在する活性水素が重要な役割を果
たしており、この活性水素の働きを高めるため、酸素分
圧を絞る必要があるものと推察される。上記の触媒構造
完成化工程及び触媒の表面構造の制御工程に用いるアル
デヒド、アルコールは、本触媒を使用して行うカルボン
酸エステル製造の原料であるところのアルデヒド及びア
ルコールを使用するのが好都合である。例えばメタクリ
酸メチルエステル製造用の触媒とする場合にはアルデヒ
ドとしてメタクロレイン、アルコールとしてメタノール
を選ぶのが有利である。
調製法で準備することができる。典型的な触媒調製法に
ついて説明すれば、可溶性の鉛化合物及び塩化パラジウ
ムなどの可溶性のパラジウム塩を含む水溶液に担体を加
えてパラジウム、鉛を含浸する。ついでホルマリン、蟻
酸、ヒドラジンなどの還元剤あるいは水素ガスなどで還
元する。得られるパラジウム、鉛含有担持触媒は特公昭
62−007902号公報で本発明者らが開示した如
く、触媒種としてPd3 Pb1 金属間化合物を含むもの
の純度が低い。このため、このような通常の製法で得ら
れる担体に担持された触媒は、本発明の要件である、パ
ラジウム/鉛の担持組成比(原子比)、パラジウム/鉛
金属間化合物の(111)面のX線回折角及びパラジウ
ム金属/鉛金属のX線光電子スペクトル強度比を同時に
満たす触媒とはなり得ない。このような通常の製法で得
られた触媒を前記方法で構造完成化及び触媒の表面構造
の制御を実施することで初めて本発明の要件を満たした
触媒を得ることができる。
及び分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造
する反応に好適に使用することができる。触媒の使用量
は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、
反応形式などによって大巾に変更することができ、特に
限定はないが、触媒をスラリー状態で反応させる場合に
は反応液1リットル中に0.04〜0.5kg使用する
のが好ましい。
て使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソ
ブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和ア
ルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンア
ルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド、ベン
ズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒ
ド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、並びに
これらアルデヒドの誘導体などがあげられる。これらの
アルデヒドは単独もしくは任意の二種以上の混合物とし
て用いることができる。
て使用するアルコールとしては、例えば、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂
肪族飽和アルコール、エチレングリコール、ブタンジオ
ールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアル
コールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコ
ールなどの芳香族アルコールなどがあげられる。これら
のアルコールは単独もしくは任意の二種以上の混合物と
して用いることができる。
るアルデヒドとアルコールとの使用量比には特に限定は
なく例えばアルデヒド/アルコールのモル比で10〜1
/1000のような広い範囲で実施できるが、一般的に
は1/2〜1/50の範囲で実施される。本発明のカル
ボン酸エステルの製造反応は気相反応、液相反応、潅液
反応などの任意の従来公知の方法で実施できる。例えば
液相で実施する際には気泡塔反応器、ドラフトチューブ
型反応器、撹拌槽反応器などの任意の反応器形式による
ことができる。
使用する酸素は、分子状酸素、すなわち酸素ガス自体又
は酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例えば窒素、炭酸
ガスなどで希釈した混合ガスの形とすることができ、空
気を用いることもできる。また、本反応を連続的に実施
する際には鉛を含む物質を反応器に加えながら反応を行
うことで触媒の劣化を抑制できる。このとき、反応器出
口側の酸素分圧を0.8kg/cm2 以下とすることで
反応器に供給する原料液中の鉛濃度を少量にして触媒の
劣化を抑制できる。反応させるアルデヒド種、アルコー
ル種などの反応原料、反応条件もしくは反応器形式など
により鉛の添加量、反応器出口の酸素分圧は特定の値に
決めがたいが、酸素条件にあわせて鉛量を決定して反応
器に供給することで触媒のパラジウム/鉛の担持組成比
を原子比で3/0.7〜3/1.3に、パラジウム/鉛
化合物の(111)面のX線回折角(2θ)を38.5
5〜38.70、パラジウム金属(3d(3/2)+3
d(5/2))/鉛金属(4f(7/2)×1.75)
のX線光電子スペクトル強度比を1/0.2〜1/0.
7と本発明の触媒の状態を反応中も安定に維持すること
ができる。
を無害化するための処理コストが高くなったり、また反
応副生物の蟻酸メチルの量が多くなるなど好ましくない
ため、反応器出口側の酸素分圧は0.4kg/cm2 以
下として供給する鉛量を減らすのが好ましい。更に好ま
しくは0.2kg/cm2 以下にすることもできるが反
応に必要な酸素を確保せねば酸素不足になり原料アルデ
ヒドの転化率が低下したり、不都合な副生物が生成する
ためこれらの悪影響がでない範囲で選べばよい。
力範囲で実施することができるが、通常は0.5〜20
kg/cm2 の圧力で実施される。反応器流出ガスの酸
素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧を設定
するとよい。本発明反応は、反応系にアルカリ金属もし
くはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸
化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して反応系の
pHを6〜9に保持することが好ましい。特にpHを6
以上にすることで触媒中の鉛成分の溶解を防ぐ効果があ
る。これらのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の
化合物は単独もしくは二種以上組み合わせて使用するこ
とができる。
ては、100℃以上の高温でも実施できるが、好ましく
は30〜100℃である。より好ましくは60〜90℃
である。反応時間は特に限定されるものではなく、設定
した条件により異なるので一義的には決められないが通
常1〜20時間である。
発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例等で用いる
圧力は絶対圧で表示し、kg/cm2 で表示する。 <参考製造例1>シリカゾル水溶液としてスノーテック
スN−30(日産化学(株)製 商品名SiO2 分:3
0重量%)に硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムをそ
れぞれAl/Si+Al=10モル%、Mg/Si+M
g=10モル%となるように加え溶解させた後、130
℃の温度に設定した噴霧乾燥機で噴霧乾燥して平均粒子
系60μmの球状担体を得た。300℃、ついで600
℃で焼成した後、これを担体として塩化パラジウム、硝
酸鉛を担体100重量部当たりそれぞれパラジウム、鉛
分として5重量部、6.5重量部となるように担持した
後、ヒドラジンで還元して触媒(Pd5.0Pb6.5
/Mg、Al−SiO2 と表記する。)を得た。得られ
た担持触媒のPd/Pb担持組成比は原子比で3/1.
95、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX
線回折角(2θ)は38.745度であり、パラジウム
金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトル
の強度比は1/1.24であった。 <Pd/Pb金属間化合物の(111)面のX線回折角
度の測定>測定は理学製RAD−RAを使用して通常の
粉末X線回折の測定手順に従い、CuKα1線(1.5
405981Å)を用いて該担持触媒パラジウム/鉛金
属間化合物の(111)面の回折角2θを測定した。測
定は特に高精度に行わねばならない。例えばNational I
nstitute of Standards & Technologyが標準参照物質66
0として定めるところのLaB6 化合物の(111)
面、(200)面を測定しそれぞれの値を37.44
1、43.506となるように規準化する。これにより
測定精度が高く再現性のよい結果が得られる。触媒は1
60℃で真空排気し、3時間処理することで低分子の吸
着/吸蔵成分を除去した後、測定する。 <X線光電子スペクトルの測定>測定はVG製ESCA
LAB−200−Xを使用して行った。図2に示す如
く、ピーク分離処理した後各ピークの面積を求め、パラ
ジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金
属(4f(7/2)×1.75)の面積比及び、パラジ
ウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/有電荷
性鉛(4f(7/2)+4f(5/2))の面積比を求
め、これをピーク強度比とした。図1、図2にそれぞれ
パラジウム(3d)、鉛(4f)の測定例を示す。
ルの外部循環型ステンレス製気泡塔反応器に、上記の参
考製造例1で得られた担持触媒300gを仕込み反応を
実施した。反応器に36.7重量%のメタクロレイン/
メタノール溶液を0.54リットル/hr、NaOH/
メタノール溶液を0.06リットル/hr連続的に供給
し、反応温度80℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸
素濃度が3.0%(酸素分圧0.15kg/cm2 相
当)となるように空気量を調整しながら反応器に空気を
供給して触媒の構造完成化処理を行った。反応液のpH
は7.1となるように反応器に供給するNaOH濃度を
コントロールし、構造完成化処理を50時間行った。引
き続き触媒の表面構造制御のため反応器の出口酸素濃度
を4.0%(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)に変
更し、同時に反応器に供給する36.7重量%のメタク
ロレイン/メタノール溶液へ酢酸鉛を供給原料液中の鉛
濃度が20ppmとなるように添加することを始めた。
構造完成化処理時間を含めてトータル100時間経過し
たところで、反応器から触媒を抜き出して分析したとこ
ろ、Pd/Pbの担持組成比は原子比で3/1.08、
パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折
角(2θ)は38.612度、またパラジウム金属(3
d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比
は1/0.49へとそれぞれ変化していた。
相部が1.2リットルの外部循環型ステンレス製気泡塔
反応器に仕込みMMA生成反応を実施した。反応器に酢
酸鉛を供給原料液中の鉛濃度が20ppmとなるように
溶かした36.7重量%のメタクロレイン/メタノール
溶液を0.54リットル/hr、NaOH/メタノール
溶液を0.06リットル/hr連続的に供給し、反応温
度80℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が
4.0%(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)となる
ように空気量を調整しながら反応器に空気を供給してM
MA生成反応を行い、10時間経過したところで反応生
成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は61.
8%、メタクリル酸メチル選択率は91.6%であり、
副生物としてプロピレンが選択率1.23%、蟻酸メチ
ルが0.045モル/モルMMA生成していた。
成化処理条件は実施例1と同一の操作及び条件で行った
後、50時間以降の触媒表面構造の制御条件として供給
原料液中の鉛濃度を10ppmに変更した以外は、実施
例1と同一の条件で反応を行い、活性化処理時間を含め
てトータル100時間経過したところで反応器から触媒
を抜き出して分析したところ、Pd/Pb担持組成比は
原子比で3/1.02、パラジウム/鉛金属間化合物の
(111)面のX線回折角(2θ)は38.609度、
またパラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光
電子スペクトルの強度比は1/0.32だった。この触
媒を用いて実施例1と同様にMMA生成反応を行い、1
0時間経過したところで反応生成物を分析したところ、
メタクロレイン転化率は60.9%、メタクリル酸メチ
ル選択率は90.2%であり、副生物としてプロピレン
が選択率1.93%、蟻酸メチルが0.032モル/モ
ルMMA生成していた。
1と全く同じように反応を50時間行った後、反応器か
ら触媒を抜き出して分析したところ、Pd/Pb担持組
成比は原子比で3/1.24、パラジウム/鉛金属間化
合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.65
2度、またパラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)の
X線光電子スペクトルの強度比は1/0.89であっ
た。この触媒を用いて実施例1と同様にMMA生成反応
を行い、10時間経過したところで反応生成物を分析し
たところ、メタクロレイン転化率は57.3%、メタク
リル酸メチル選択率は90.7%であり、副生物として
プロピレンが選択率1.72%、蟻酸メチルが0.08
5モル/モルMMA生成していた。
例3〜7として表1に記載の各種触媒が、表1のPd/
Pb担持組成比(原子比)、パラジウム/鉛金属間化合
物の(111)面のX線回折角(2θ)及びパラジウム
金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトル
の強度比を示す際の反応成績をまとめた。比較のため反
応成績の評価は出口酸素濃度は4.0%(酸素分圧0.
20kg/cm2 相当)、供給原料液中の鉛濃度は20
ppmとし、10時間反応を行った。
部が1.2リットルの外部循環型ステンレス製気泡塔反
応器を直列に2基連結し、各反応器に参考製造例1で得
られた担持触媒で、すでに構造完成化処理を終えた触媒
240gを仕込み、反応を実施した。第一段目の反応器
に、酢酸鉛を供給原料液中の鉛濃度が20ppmとなる
ように溶かした36.7重量%のメタクロレイン/メタ
ノール溶液を0.54リットル/hr、Naタノール溶
液を0.06リットル/hr連続的に供給し、反応温度
80℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が4.
0%(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)となるよう
に空気量を調整しながら、反応器に空気を供給して反応
を行った。触媒懸濁液は液固分離して触媒は反応器に戻
し、反応液のみを第二段反応器にNaOH/メタノール
溶液0.06リットル/hrと共に送り、第一段反応器
の流出ガスは第二段反応器に通気する一方、第二段反応
器の出口酸素濃度が2.2%(酸素分圧0.11kg/
cm2 相当)となるように不足分の空気を第二段反応器
に追加し反応温度80℃、反応圧力4.6kg/cm2
で反応を行った。また、第一段反応器、第二段反応器と
もに反応液のpHが7.1となるように反応器に供給す
るNaOH濃度をコントロールした。500時間後に反
応生成物を分析したところメタクロレイン転化率は6
1.6%、メタクリル酸メチル選択率は91.5%、プ
ロピレンが選択率1.36%、蟻酸メチルが0.049
モル/モルMMAであった。また、同時に第一段反応器
及び第二段反応器からそれぞれ触媒の一部を抜き出して
分析したところ、第一段反応器触媒はPd/Pb担持組
成比は原子比で3/1.05、パラジウム/鉛金属間化
合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.60
2度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)
のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.45、また
第二段反応器触媒はPd/Pb担持組成比は原子比で3
/0.98、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)
面のX線回折角(2θ)が38.612度であり、パラ
ジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペ
クトルの強度比は1/0.45であった。この条件でさ
らに反応を500時間、実施した。反応成績および第一
段、第二段反応器の触媒のPd/Pb担持組成比、パラ
ジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角(2
θ)、並びにパラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)
のX線光電子スペクトルの強度比は大きな変化は見られ
なかったが、蟻酸メチルだけが0.039モル/モルM
MAへと減少していた。
名:キャリアクト10)100重量部にパラジウム5.
0重量部、鉛を3.18重量部担持した触媒を得た。得
られた触媒のPd/Pb担持組成比は原子比で3/0.
98、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX
線回折角(2θ)は38.927度であり、パラジウム
(3d)/鉛(4f)のX線光電子スペクトルの強度比
は1/0.15であった。
参考製造例2で得られた触媒1kgそして触媒のPd/
Pb担持組成比(原子比)を3/1.3とするのに不足
する鉛分に相当する酢酸鉛を溶かしたメタノールを仕込
み、反応温度90℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸
素濃度が2.0%(酸素分圧0.10kg/cm2 相
当)となるように空気量を調整しながら反応器に空気を
供給して触媒の構造完成化処理を20時間行った。この
触媒200gを、実施例1と同一容量をもつ攪拌槽型反
応器に仕込み、反応器に酢酸鉛を供給原料液中の鉛濃度
が20ppmとなるように溶かした36.7重量%のメ
タクロレイン/メタノール溶液を0.54リットル/h
r、NaOH/メタノール溶液を0.06リットル/h
r連続的に供給し、反応温度80℃、反応圧力5kg/
cm2 で出口酸素濃度が4.0%(酸素分圧0.20k
g/cm2 相当)となるように空気量を調整しながら反
応器に空気を供給し触媒表面構造の制御を50時間行っ
た。反応液のpHは7.1となるように反応器に供給す
るNaOH濃度をコントロールした。得られた触媒を分
析したところPd/Pb担持組成比は原子比で3/1.
10、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX
線回折角(2θ)が38.611度でありパラジウム金
属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの
強度比は0.428であった。上記表面構造制御条件で
10時間反応を行い反応生成物を分析したところ、メタ
クロレイン転化率は63.2%、メタクリル酸メチル選
択率は91.3%であり副生物としてプロピレンが選択
率1.1%、蟻酸メチルが0.052モル/モルMMA
生成していた。
触媒のPd/Pb担持組成比は原子比で3/1.27、
パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折
角(2θ)は38.691度であり、パラジウム金属
(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強
度比は0.763であった。この触媒200gを、実施
例1と同一容量をもつ攪拌槽型反応器に仕込み、反応器
に36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を
0.54リットル/hr、NaOH/メタノール溶液を
0.06リットル/hr連続的に供給し、反応温度80
℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が4.0%
(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)となるように空
気量を調整しながら反応器に空気を供給し反応を行っ
た。反応液のpHは7.1となるように反応器に供給す
るNaOH濃度をコントロールした。また、反応器に供
給する36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶
液へ、酢酸鉛を供給原料液中の鉛濃度が20ppmとな
るように添加した。10時間経過したところで反応生成
物を分析したところ、メタクロレイン転化率は57.2
%、メタクリル酸メチル選択率は89.3%であり、副
生物としてプロピレンが選択率2.03%、蟻酸メチル
が0.152モル/モルMMA生成していた。
2の触媒1kg、触媒のPd/Pb担持組成比(原子
比)を3/1.3にするのに不足する鉛分に相当する酢
酸鉛を溶かした水を仕込み、90℃に加熱した後、37
%ホルマリン水溶液をホルマリン/担持パラジウム=1
0モルになるように加え、さらに1時間かき混ぜながら
加熱した。得られた触媒のPd/Pb担持組成比は原子
比で3/1.27、パラジウム/鉛金属間化合物の(1
11)面のX線回折角(2θ)が38.642度、パラ
ジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペ
クトルの強度比は0.953であった。
相部が1.2リットルの外部循環型ステンレス製気泡塔
反応器に仕込み反応を実施した。酢酸鉛を供給原料液中
の鉛濃度が20ppmとなるように溶かした36.7重
量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.54リッ
トル/hr、NaOH/メタノール溶液を0.06リッ
トル/hrを連続的に反応器に供給し(アルデヒド濃度
約33%に相当)、反応温度80℃、反応圧力5kg/
cm2 で出口酸素濃度が4.0%(酸素分圧0.20k
g/cm2 )となるように空気量を調整しながらMMA
生成反応を行い、10時間経過したところで反応生成物
を分析したところ、メタクロレイン転化率は56.8
%、メタクリル酸メチル選択率は91.2%であり、副
生物としてプロピレンが選択率1.03%、蟻酸メチル
が0.178モル/モルMMA生成していた。
0時間継続し反応生成物を分析した。メタクロレイン転
化率、メタクリル酸メチル選択率及びプロピレン選択率
は100時間目とほぼ変わらないのに対し、蟻酸メチル
は0.045から0.032モル/モルMMAにまで減
少していた。反応器から触媒の一部を抜き出して分析し
たところ、Pd/Pb担持組成比(原子比)、パラジウ
ム/鉛化合物の(111)面のX線回折角(2θ)、及
びパラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電
子スペクトルの強度比は100時間目とほぼ同じだった
が、パラジウム金属(3d)/有電荷鉛(4f)のX線
光電子スペクトルの強度比が100時間目の1/0.1
1から500時間目は1/0へと大きく変化していた。
なお実施例1で使用した参考製造例1の触媒のパラジウ
ム金属(3d)/有電荷鉛(4f)の光電子スペクトル
の強度比を測定すると1/0.35だった。
ンにかえてアクロレインを反応させた以外は実施例9の
MMA生成反応と同様の操作及び反応条件で反応を行い
反応生成物を分析したところアクロレイン転化率は6
1.2%、アクリル酸メチル選択率は91.3%であり
副生物としてエチレンが選択率1.2%、蟻酸メチルが
0.055モル/モルMA生成していた。
コールを分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを
製造するに際し、当該カルボン酸エステル選択率を高
く、アルコール由来のエステルの副生を少なく、しかも
アルデヒドの転化率を高くする。したがって、工業的実
用価値の高いメタクリル酸メチルエステルの経済性に優
れた製造法を提供することを可能にし、産業上大いに有
用である。
スペクトル図である。
ブフィッティング例を示すスペクトル図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 アルデヒドとアルコール及び分子状酸素
とからカルボン酸エステルを製造する触媒で、パラジウ
ム及び鉛を含み、下記(1)〜(3)を満たす担持触
媒。 (1)パラジウム/鉛の担持組成比が原子比で3/0.
7〜3/1.3、(2)パラジウム/鉛金属間化合物の
(111)面のX線回折角(2θ)が38.55〜3
8.70、(3)担持触媒のパラジウム金属(3d(3
/2)+3d(5/2))/鉛金属(4f(7/2)×
1.75)のX線光電子スペクトル強度比が1/0.2
〜1/0.7、 - 【請求項2】 アルデヒドをアルコール及び分子状酸素
と反応させてカルボン酸エステルを製造する方法におい
て、アルデヒドを請求項1記載の担持触媒の存在下でア
ルコール及び分子状酸素と反応させることを特徴とする
カルボン酸エステルの製造方法。 - 【請求項3】 アルデヒドがメタクロレイン、アクロレ
イン又はこれらの混合物であり、アルコールがメタノー
ルである請求項2記載のカルボン酸エステル製造方法。
Priority Applications (15)
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AT03077037T ATE280750T1 (de) | 1995-07-18 | 1996-07-18 | Verfahren zur herstellung von carbonsäureestern |
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EP20030077037 EP1361206B1 (en) | 1995-07-18 | 1996-07-18 | Method for producing carboxylic esters |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2001288147A (ja) * | 2000-04-11 | 2001-10-16 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | メタクリル酸メチルの精製方法 |
JP2003048863A (ja) * | 2001-08-03 | 2003-02-21 | Asahi Kasei Corp | カルボン酸エステル合成反応器内のpH制御方法 |
JP2017507903A (ja) * | 2013-12-20 | 2017-03-23 | エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングEvonik Roehm GmbH | メチルメタクリレートの製造法 |
-
1995
- 1995-07-19 JP JP18272195A patent/JP3503777B2/ja not_active Expired - Lifetime
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