JP3556397B2 - カルボン酸エステル製造用触媒の改良製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒドとアルコール及び分子状酸素からカルボン酸エステルを製造する際に使用する触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業的に有用なメタクリル酸メチル(以下、MMAという。)又はアクリル酸メチルを製造する方法としてメタクロレインからメタクリル酸を製造し、さらにMMAに変換する直酸法と呼ばれる製法が既に工業化されている。
しかしながら、メタクロレインを酸化しメタクリル酸とする工程の収率は長年にわたる触媒改良により80%台前半まで改善されてきているが依然として低く改良の余地が大きい。また使用されるヘテロポリ酸触媒は、熱的安定性にもともと難点があり、反応温度条件下で分解が徐々に進行する。耐熱性を向上させるための触媒改良が報じられているものの、工業触媒としては触媒寿命が未だ不十分といわれる。
【0003】
一方、メタクロレイン又はアクロレインをメタノールと分子状酸素と反応させて一挙にメタクリル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する新しいルートが近時脚光をあびている。メタクロレイン又はアクロレインをメタノール中で分子状酸素と反応させることによって行われ、パラジウムを含む触媒の存在が必須である。
【0004】
従来、この製法はアルデヒドの分解反応を併発して炭化水素や炭酸ガスが生成し、目的とするカルボン酸エステルの収率が低く、またカルボン酸エステルの生成反応と並行してアルコール自身の酸化による異種のアルデヒドおよびそのアルデヒドから異種のカルボン酸エステル(例えば、アルコールとしてメタノールを用いた場合は蟻酸メチル、エタノールの場合は酢酸エチル)が副生し、アルコール基準の選択性も悪かった。しかも触媒活性を長期にわたり維持できないという欠点もあった。特に工業的実用価値の高いメタクロレインやアクロレインなどのα・β−不飽和アルデヒドを出発原料とした場合には、これら反応中間体の安定性が一段と低いため反応中に多量の炭酸ガスやオレフィン(メタクロレインの場合はプロピレン)などの分解生成物が発生し、実用化レベルにはほど遠かった。本発明者らは、特公昭57−035856号、特公昭57−035857号、特公昭57−035859号の各公報でパラジウム、鉛を含む触媒系を提案し、メタクロレイン又はアクロレインを基準とした当該メチルエステルへの選択率を大幅に改善し、90%を超える高い値となることを示しているが、反応温度は高々50℃までであった。引き続き、特公昭62−007902号公報ではパラジウムと鉛とが簡単な整数比で結合した金属間化合物を含む触媒を提案し、メタクロレイン又はアクロレインの分解反応がほぼ完全に抑止され、かつ触媒活性も長期間失われることがない触媒系であることを示した。これら新しい触媒系を使用する新製法は前記した通り収率改善及び触媒寿命改善に頭打ちの感のある直酸法に比べ工程が短いなどの利点もあり、工業的に有用なポリマー原料の新しい製法として工業化が待ち望まれている。
【0005】
しかしながら、工業的実施を前提として経済的に有利な反応条件である60℃以上の高温で本反応を実施すると、前記触媒系ではMMA選択率の低下及びアルコール自身の酸化による蟻酸メチルの副生量が急激する。即ち、特公昭62−007902号公報は90%を超える高いMMA選択率が得られ、しかも蟻酸メチルは0.03〜0.06モル/モルMMAと僅かし生成しないことを例示しているが、これらはアルデヒド濃度が10%以下でしかも反応温度も40〜60℃という穏和な条件で実施されたものである。これらの条件では生成するMMA濃度が低いため未反応メタノールのリサイクル量が多く、その結果蒸気使用量が増大し経済性を悪化させている。しかも生産性が低く反応器も大きい。経済性改善のためにはアルデヒド濃度及び反応温度を可及的に高めることが望ましく、特公平5−069813号公報ではメタクロレイン濃度20%、反応温度80℃での反応例が示されている。ところがこのような高いメタクロレイン濃度及び高い反応温度条件になると90%を超える高いMMA選択率は得られない。しかも蟻酸メチルが0.0923モル/モルMMAと倍増する。さらにメタクロレイン濃度を30%を越えるより過酷な条件にすると、アルデヒドの分解反応が起こりやすくなりMMAの選択率がさらに悪化することが、本発明者らの検討で明らかになった。
【0006】
経済性改善のため、高温、高アルデヒド濃度下で90%を超える高いMMA選択率及び蟻酸メチル副生の少ない触媒系の出現が待たれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アルデヒドとアルコールをパラジウム及び鉛を含む触媒と反応させてカルボン酸エステルを製造するに際し、アルデヒドの濃度および反応温度を高めて経済性を改善した反応条件においても、カルボン酸エステルの選択率が高くしかも蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生物の少ない触媒を製造する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような現状に鑑み、カルボン酸エステル選択率が高くしかも蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生物の少ない触媒を開発すべくパラジウム、鉛を含む触媒系につき鋭意研究し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
1.酸素の存在下でアルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法において、パラジウム/鉛担持組成比が原子比で3/0以上3/1.3未満の触媒前駆体を、パラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/1.3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担持触媒を得るのに必要な量の鉛化合物及び低級脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属塩または低級脂肪酸のアルカリ土類金属塩が存在する水溶液またはメタノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンまたは分子状水素で還元して、(111)面のX線回折角(2θ)が38.55〜38.70であるパラジウム/鉛金属間化合物を形成させることを特徴とするパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
2.アルデヒドがメタクロレイン、アクロレインまたはこれらの混合物であり、アルコールがメタノールである上記1のパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
【0009】
以下、本発明につき詳細に説明する。本発明者らは、特公昭62−007902号公報で提案した、パラジウムと鉛が簡単な整数比で結合した金属間化合物種である原子比3/1のPd 3Pb1種に注目し、Pd 3Pb1が担持されてなる担持触媒の製造についてより緻密な研究を進めた。その結果、特公昭62−007902号公報記載の調製法で得られるパラジウム、鉛を含む担持触媒は、触媒種としてPd 3Pb1金属間化合物を含むものの純度が低く、しかもパラジウム/鉛金属間化合物の結晶格子に欠陥等が多く残る触媒であることが明らかとなった。特に、鉛の担持量を、Pd 3Pb1金属間化合物のパラジウム/鉛の量論組成である原子比3/1で調製した触媒は、結晶格子の欠陥が一段と増加し、経済的に有利な条件である高温、高アルデヒド濃度条件では、MMA選択率が却って低くなる触媒であることも本発明者らにより明らかとなった。
【0010】
さらに研究を進めた結果、特公昭62−007902号公報に記載の通常の調製法では、高純度で高品位なPd 3Pb1金属間化合物が担持されてなる触媒は得られず、本発明で提案するところの触媒製造方法により、結晶格子に欠陥の少ない高品位なPd 3Pb1金属間化合物を高純度で含む担持触媒が得られることを見出した。得られた触媒は、前記したような高いアルデヒド濃度及び高い反応温度の過酷な反応条件であっても高いMMA選択率を示すことも本発明者等は明らかにした。
【0011】
本発明において用いる、パラジウム/鉛担持組成比が原子比で3/0以上3/1.3未満の触媒前駆体は、公知の調製法で準備することができる。代表的な触媒調製法について説明すれば、パラジウム及び鉛が担持されてなる触媒前駆体は、塩化パラジウムなどの可溶性のパラジウム化合物、及び可溶性の鉛化合物を、パラジウム/鉛比が原子比で3/0以上3/1.3未満となるように溶解させた水溶液に担体を加温含浸させ、パラジウム、鉛を担持するなどの公知の方法で準備することができる。この場合、パラジウムを担持する前に鉛を担持しておいてもよいし、上記説明のようにパラジウム、鉛を同時に担持してもよい。あるいはパラジウムを担持した後、鉛を担持しても構わないため種々の製法が可能である。
【0012】
触媒前駆体中に含まれる触媒成分としてパラジウム、鉛の他に異種元素として、例えば水銀、タリウム、ビスマス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、アンチモン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素などを含んでいてもよい。これらの異種元素は通常、5重量%を超えない範囲で、好ましくは1重量%を超えない範囲で含むことができる。さらにはアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一員を含むものは反応活性が高くなるなどの利点がある。アルカリ金属、アルカリ土類金属は通常0.01〜30重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲から選ばれる。これらの異種元素あるいはアルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物などは結晶格子間に少量、侵入したり、または結晶格子金属の一部と置換していてもよい。また、アルカリ金属および/又はアルカリ土類金属化合物は触媒前駆体調製時にパラジウム化合物あるいは鉛化合物を含む溶液に加えておき担体に吸着あるいは付着させてもよいし、あらかじめこれらを担持した担体を利用して触媒前駆体を調製することもできる。また、反応条件下に反応系に添加することも可能である。
【0013】
触媒前駆体調製のために用いられるパラジウム化合物あるいは鉛化合物は、例えば蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、アンミン錯体、ベンゾニトリル錯体などの有機金属錯体、酸化物、水酸化物などのなかから適宜選ばれるが、パラジウム化合物としては塩化パラジウム、酢酸パラジウムなどが、鉛化合物としては硝酸鉛、酢酸鉛などが好適である。またアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物についても有機酸塩、無機酸塩、水酸化物などから選ばれる。
【0014】
担体は活性炭、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、マグネシア、水酸化マグネシウム、チタニア、炭酸カルシウム、活性炭などから広く選ぶことができる。
担体へのパラジウム担持量は特に限定はないが担体100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。鉛の担持量も特に限定はなく担体100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部であるが、パラジウム、鉛の各担持量よりも、むしろパラジウム/鉛の担持組成比(原子比)が重要である。即ち、本発明において触媒前駆体のパラジウム/鉛組成比は原子比で3/0以上3/1.3未満の範囲から選ばれる。好ましくは3/0〜3/1.0、特に好ましくは3/0〜3/0.7の範囲から選ばれる。本発明の触媒は、これら触媒前駆体を、パラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/1.3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担持触媒を得るのに必要な量の鉛化合物が存在する水溶液もしくはメタノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンもしくは分子状水素で還元することで得られ、最終的に3/0.7〜3/1.3のパラジウム/鉛担持組成比を有する触媒を得る。本発明においては、触媒前駆体を鉛化合物が存在する水溶液もしくはメタノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンもしくは分子状水素で還元することが必要である。
【0015】
以下、パラジウム/鉛担持組成比が原子比で3/0以上3/1.3未満の触媒前駆体から本発明の触媒を得る方法につき説明する。
前述の触媒前駆体を水もしくはメタノールに分散加温しながら、パラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/1.3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担持触媒を得るのに必要な量の鉛化合物が存在する水溶液もしくはメタノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンもしくは分子状水素で還元する。
【0016】
当該条件で安定な溶剤であれば水、メタノール以外の不活性な溶剤を選ぶこともできるが、実用的には水、又はメタノールを選ぶのが好ましい。
還元剤としてホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、もしくは分子状水素を使用する。ホルマリン、ヒドラジン、蟻酸の場合はホルマリン、ヒドラジン、蟻酸含有溶液を触媒前駆体分散溶液に添加するだけでよい。また分子状水素による還元処理は、純粋な水素ガス又は窒素、メタン等の不活性なガスで希釈された水素濃度0.1容量%以上の水素含有ガスを常圧ないしは数十気圧、好ましくは常圧ないし数気圧の圧力条件で触媒前駆体分散溶液に吹き込んで行われる。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、もしくは分子状水素の使用量は一般的にはパラジウム担持量に対し0.5〜100倍モル、実用的には2〜10倍モルが使用される。また、この量を越えても特に問題はない。また、還元剤と同時に苛性ソーダなどのアルカリを加えておくと還元がより容易に進行する。通常、還元剤に対し1/100〜等モル程度を加える。
【0017】
還元の際には鉛を含む物質を共存させる。通常、鉛を含む物質を触媒前駆体を分散させた水もしくはメタノール中に加えるのが一般的である。鉛を含む物質を添加する際には、鉛イオンとして溶解するものであれば特に制限はない。その一例として蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などの無機酸塩、アセチルアセトナート錯体、エチレンジアミンテトラアセテート錯体などの有機金属錯体、酸化物、水酸化などがあげられるが、溶解度の高い硝酸鉛、酢酸鉛などが好適である。
【0018】
溶解する鉛イオン濃度としては、少なくとも30ppm以上が必要であり、好ましくは300ppm以上、さらに好ましくは1000ppm以上である。
加える鉛化合物の量は対象となる触媒前駆体に担持されている鉛量により異なる。一般的には触媒前駆体に担持されているパラジウム量を基準に、触媒前駆体に担持されている鉛量と溶液中の鉛量を合わせてパラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/1.3となるのに必要な量の鉛化合物を加えて水溶液又はメタノール溶液を調製し、該水溶液又はメタノール溶液に触媒前駆体を分散させ還元を行う。
【0019】
上記鉛化合物は還元操作を始める前に加えておいてもよいし、還元操作中に連続的に又は間欠的に加えることもできる。
触媒前駆体のパラジウム/鉛比が既に3/0.7以上3/1.3未満の範囲にある場合にも、パラジウム/鉛原子比が最終的に3/1.3を越えない範囲で鉛化合物を添加して、前記してきた如く還元する必要がある。
【0020】
触媒前駆体を還元する際にプロピオンン酸、酢酸、酪酸、マレイン酸等の低級脂肪酸を系に加えながら還元することもできる。加える低級脂肪酸の量は担持パラジウムを基準に0.1〜30倍モル程度加える。より好ましくは1〜15倍モルの範囲から選ぶ。実用的には入手容易な酢酸を選ぶのが好ましい。これら低級脂肪酸は還元剤と同時に加えてもよいが、還元剤添加前に加えるとより効果的である。これら低級脂肪酸の添加はパラジウム及び鉛が担持されてなる触媒前駆体に適用する際に特に効果的である。
【0021】
さらに好ましくは低級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加することであり、これらの金属塩を添加することで、得られるPd 3Pb1金属間化合物の格子欠陥がより少なくなり、きわめて高品位のPd 3Pb1金属間化合物が担持されてなる触媒が得られることを本発明者らは見いだした。この効果はパラジウムが担持されてなる触媒前駆体、パラジウム及び鉛が担持されてなる触媒前駆体いずれに対しても効果的である。低級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩は担持パラジウムを基準に0.1〜30倍モル程度加える。より好ましくは1〜15倍モルの範囲から選ぶ。低級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩としては酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウムなどが好ましい。如何なる理由により高品位のPd 3Pb1が得られるのか未だ理由は不明であるが、アルカリカチオンあるいはアルカリ土類カチオンの働きにより、鉛イオンが選択的にPd/Pb化合物の格子欠陥部に相互作用するのを助けているものと推察している。
【0022】
また、これら低級脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属塩および/又はアルカリ土類金属塩を添加する場合で、触媒前駆体のパラジウム/鉛比が既に3/0.7以上3/1.3未満の範囲にある場合には、水溶液またはメタノール溶液中に溶解した鉛が存在することから、鉛化合物を添加することなく、還元することが可能である。
【0023】
還元操作は室温〜200℃の温度で行うことができる。液相に保つために必要な圧力をかけておく。好ましくは40〜160℃、常圧から数気圧の条件で行う。
還元処理時間は触媒種、処理条件により変わるため決めがたいが、数分〜100時間である。数時間以内に処理が完了するように条件を設定するのが好都合である。また、得られる触媒のパラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角を測定すれば処理完了を容易に判断できる。
【0024】
還元に使用する反応器は特に制限はなく、通常の攪拌槽型反応器で行える。以上、説明してきた還元処理を触媒前駆体に施すことで、パラジウム/鉛の担持組成比が原子比で3/0.7〜3/1.3であって、かつパラジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角(2θ)が38.55〜38.70である、格子欠陥の少ない、高品位なPd3 Pb 1化合物からなる高純度の担持触媒を得ることができる。さらに好ましいのはパラジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金属(4f(7/2)×1.75)のX線光電子スペクトル強度比が1/0.2〜1/0.7である。
【0025】
パラジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角(2θ)が38.55未満の触媒ではアルコール基準の収率の低下が著しく、例えば蟻酸メチルの生成が増加する。38.70を越えるとアルデヒドの分解が顕著となり、アルデヒド基準の収率が低下する。また、担持鉛量が原子比で1.3を超えると蟻酸メチルの生成が顕著となり、0.7未満ではアルデヒドの分解によるMMA選択率の低下が大きい。本発明の製造法により得られる触媒はアルデヒド基準、及びアルコール基準の収率がともに改善される。
【0026】
本発明の方法により、パラジウム/鉛の担持組成比(原子比)が3/0.7〜3/1.3と3/1に近づけた触媒であって、過剰の鉛を含まず、しかも、格子欠陥のないPd3 Pb1 を高純度で含む担持触媒を得ることを可能にした。原理的には触媒への鉛担持量を可及的にパラジウム/鉛原子比で3/1の触媒を得ることが可能である。公知の製法では、前記したとおりパラジウム/鉛原子比が3/1に近い組成で調製した触媒はMMA選択率が低かった。本発明の方法により、従来不可能とされてきたパラジウム/鉛原子比が3/1の触媒に活性化することが可能となった。MMA選択率の改善は勿論のこと、蟻酸メチルなどのアルコール由来の副生も極めて少ない触媒が得られ、しかも触媒中に鉛を含む不純物が少ないためプロセス排水中への鉛の流出のない触媒となることが期待でき、排水中の鉛を無害化するための処理コストが不要となるなどの利点があり、工業的に実施する際にはきわめて重要である。
【0027】
如何なる理由により、パラジウムが担持されてなる触媒前駆体、パラジウム及び鉛が担持されてなる触媒前駆体を、鉛を含む物質の存在する条件で、低級脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を共存させながらホルマリン、蟻酸、ヒドラジンもしくは分子状水素で還元処理するだけのきわめて簡便な方法で、結晶格子に欠陥の少ない高品位なPd 3Pb1金属間化合物を、高純度で含む担持触媒が得られるのか未だ詳細は不明であるが、本発明者らの推察するところによると、第一に該条件で触媒上に形成される活性水素が重要な役割を果たしており、この活性水素の働きにより、パラジウム/鉛金属間化合物が活性化され、欠陥の少ない構造への変化を容易にしていること、また第二に共存する鉛イオンが活性化を進行させていること、第三にアルカリカチオンあるいはアルカリ土類カチオンの働きにより鉛イオンが選択的にPd/Pb化合物の格子欠陥部に相互作用を助けるのに重要な役割を演じているものと推察される。
【0028】
本発明の触媒製造法で得られるパラジウム/鉛含有担持触媒は、アルデヒドをアルコール及び分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造する反応に好適に使用することができる。触媒の使用量は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式などによって大巾に変更することができ、特に限定はないが、触媒をスラリー状態で反応させる場合には反応液1リットル中に0.04〜0.5kg使用するのが好ましい。
【0029】
本発明においてカルボン酸エステル製造反応に使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド並びにこれらアルデヒドの誘導体などがあげられる。これらのアルデヒドは単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いることができる。
【0030】
カルボン酸エステル製造反応に使用するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アルコール、エチレングリコール、ブタンジオールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールなどがあげられる。これらのアルコールは単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いることができる。
【0031】
カルボン酸エステルを製造する反応におけるアルデヒドとアルコールとの使用量比には特に限定はなく、例えばアルデヒド/アルコールのモル比で10〜1/1000のような広い範囲で実施できるが、一般的には1/2〜1/50の範囲で実施される。特に、本発明の触媒を使用すれば従来の触媒以上にアルデヒド濃度を高めることが可能であり、重量%であらわすならば30〜60重量%もの高濃度の反応でも工業的に実施できる。
【0032】
カルボン酸エステル製造反応は気相反応、液相反応、潅液反応などの任意の従来公知の方法で実施できる。例えば液相で実施する際には気泡塔反応器、ドラフトチューブ型反応器、撹拌槽反応器などの任意の反応器形式によることができる。
カルボン酸エステルの製造反応に使用する酸素は分子状酸素、すなわち酸素ガス自体又は酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例えば窒素、炭酸ガスなどで希釈した混合ガスの形とすることができ、空気を用いることもできる。また、本反応を連続的に実施する際には鉛を含む物質を反応器に加えながら反応を行うことで触媒の劣化を抑制できる。このとき、反応器出口側の酸素分圧を0.8kg/cm2 以下とすることで反応器に供給する原料液中の鉛濃度を少量にして触媒の劣化を抑制できる。反応させるアルデヒド種、アルコール種などの反応原料、反応条件もしくは反応器形式などにより鉛の添加量、反応器出口の酸素分圧は特定の値に決めがたいが、実用的には反応器出口の酸素分圧を0.02〜0.8kg/cm2 に管理し、反応器に添加する鉛濃度は0.1〜2000ppmの範囲で反応を行う。酸素条件にあわせて鉛量を決定して反応器に供給することで触媒の状態を反応中も安定に維持することができる。添加する鉛量が多い場合には、排水中の鉛を無害化するための処理コストが高くなったり、また反応副生物の蟻酸メチルの量が多くなるなど好ましくないため、反応器出口側の酸素分圧は0.4kg/cm2 以下として供給する鉛量を減らすのが好ましい。更に好ましくは0.2kg/cm2 以下にすることもできるが反応に必要な酸素を確保せねば酸素不足になり原料アルデヒドの転化率が低下したり、不都合な副生物が生成するためこれらの悪影響がでない範囲で選べばよい。
【0033】
反応圧力は減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲で実施することができるが、通常は0.5〜20kg/cm2 の圧力で実施される。反応器流出ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧を設定するとよい。
カルボン酸エステルの製造反応は、反応系にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して反応系のpHを6〜9に保持することが好ましい。特にpHを6以上にすることで触媒中の鉛成分の溶解を防ぐ効果がある。これらのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物は単独もしくは二種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
カルボン酸エステルの製造反応は、100℃以上の高温でも実施できるが、好ましくは30〜100℃である。反応時間は特に限定されるものではなく、設定した条件により異なるので一義的には決められないが、通常1〜20時間である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例等で用いる圧力は絶対圧力で表示し、kg/cm2 で示すことにする。
<参考製造例1>
シリカゾル水溶液としての日産化学社製スノーテックスN−30(SiO2 分:30重量%)に硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムをそれぞれAl/Si+Al=10モル%、Mg/Si+Mg=10モル%となるように加え溶解させた後、130℃の温度に設定した噴霧乾燥機で噴霧乾燥して平均粒子系60μmの球状担体を得た。300℃、ついで600℃で焼成した後、これを担体として塩化パラジウムを担体100重量部当たりパラジウム分として5.0重量部となるように担持して触媒前駆体(Pd5.0/Mg、Al−SiO2 と表記する。)を得た。
【0036】
【実施例1】
参考製造例1の触媒前駆体2kg、酢酸ナトリウム1水和物を6重量%含む水20リットル、触媒前駆体担持パラジウムを基準にパラジウム/鉛=3/1.27原子比相当の酢酸鉛、そして触媒担持パラジウムを基準にホルマリン/パラジウム=10モル比のホルマリンを30リットルオートクレーブに仕込み、触媒前駆体をかき混ぜながら90℃で1時間還元処理を実施した。得られた触媒のPd/Pbの担持組成比(原子比)は3/1.25、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.601度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.49であった。
【0037】
得られた触媒240gを触媒分離器を備え、液相部が1.2リットルの外部循環型ステンレス製気泡塔反応器に仕込み反応を実施した。酢酸鉛を供給原料液中の鉛濃度が20ppmとなるように加えた36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.54リットル/hr、NaOH/メタノール溶液を0.06リットル/hr連続的に供給し、反応温度80℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が4.0%(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)となるように空気量を調整しながら反応器に空気を供給し、10時間反応を行った。反応液のpHは7.1となるように反応器に供給するNaOH濃度をコントロールした。反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は61.8%、メタクリル酸メチル選択率は91.8%であり、副生物としてプロピレンが選択率1.2%、蟻酸メチルが0.046モル/モルMMA生成していた。
<Pd/Pb化合物の(111)面のX線回折角度の測定>
測定は理学製RAD−RAを使用して通常の粉末X線回折の測定手順に従い、CuKα1線(1.5405981Å)を用いて、担持触媒パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面の回折角2θを測定した。測定は特に高精度に行わねばならない。例えばNational Institute of Standards & Technologyが標準参照物質660として定めるところのLaB6化合物の(111)面、(200)面を測定し、それぞれの値を37.441、43.506となるように規準化する。これにより測定精度が高く再現性のよい結果が得られる。
【0038】
触媒は160℃で真空排気し、3時間処理することで低分子の吸着/吸蔵成分を除去した後、測定する。
<X線光電子スペクトルの測定>
測定はVG製ESCA LAB−200−Xを使用して行った。図2に示す如く、ピーク分離処理した後各ピークの面積を求め、パラジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/鉛金属(4f(7/2)×1.75)の面積比及び、パラジウム金属(3d(3/2)+3d(5/2))/有電荷性鉛(4f(7/2)+4f(5/2))の面積比を求め、これをピーク強度比とした。
【0039】
図1、図2にそれぞれパラジウム(3d)、鉛(4f)の測定例を示す。
【0040】
【比較例1】
参考製造例1で使用した担体に塩化パラジウム、硝酸鉛を担体100重量部当たりそれぞれパラジウム、鉛分として5.0重量部、4.2重量部となるように同時に担持した触媒前駆体(Pd5.0Pb4.2/Mg、Al−SiO2 と表記する。)を得た。この触媒前駆体と触媒前駆体担持パラジウムを基準にホルマリン/パラジウム=10モル比のホルマリンを30リットルオートクレーブに仕込み、触媒前駆体をかき混ぜながら90℃で1時間還元処理を実施した。得られた触媒のPd/Pbの担持組成比(原子比)は3/1.25、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.891度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.49であった。
【0041】
得られた触媒を実施例1と同一の装置、操作条件で反応を行い反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は58.2%、メタクリル酸メチル選択率は84.6%であり、副生物としてプロピレンが選択率6.3%、蟻酸メチルが0.178モル/モルMMA生成していた。
【0042】
【比較例2】
酢酸鉛量を触媒前駆体担持パラジウムを基準にパラジウム/鉛=3/1.95原子比相当としたほかは実施例1と全く同様にして参考製造例1の触媒前駆体から触媒を調製した。得られた触媒のPd/Pb担持組成比(原子比)は3/1.92、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.623度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/1.23であった。また、得られた触媒を実施例1と同一の装置、操作条件で反応を行い、応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は57.8%、メタクリル酸メチル選択率は87.3%であり、副生物としてプロピレンが選択率1.9%、蟻酸メチルが0.213モル/モルMMA生成していた。
【0043】
【比較例3】
酢酸鉛量を触媒前駆体担持パラジウムを基準にパラジウム/鉛=3/1.55原子比相当としたこと、及び酢酸ナトリウム1水和物を使用しなかった他は実施例1と全く同様にして参考製造例1の触媒前駆体から触媒を調製した。得られた触媒のPd/Pb担持組成比(原子比)は3/1.58、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.750度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.75であった。また、得られた触媒を実施例1と同一の装置、操作条件で反応を行い、応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は57.8%、メタクリル酸メチル選択率は85.3%であり、副生物としてプロピレンが選択率5.1%、蟻酸メチルが0.129モル/モルMMA生成していた。
【0044】
【実施例2】
参考製造例1の触媒前駆体2kg、触媒担持パラジウムを基準にパラジウム/鉛=3/1.19原子比相当の硝酸鉛、及び酢酸ナトリウム1水和物を6重量%含む水20リットルを30リットルのオートクレーブに仕込み、200℃に加温し触媒前駆体をかき混ぜながら1時間、窒素で希釈した2%水素ガスを5Nリットル/分で吹き込み触媒前駆体を還元した。得られた触媒のPd/Pb担持組成比(原子比)は3/1.18、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.697度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.72であった。得られた触媒を実施例1と同一の装置、操作条件で反応を行い反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は55.2%、メタクリル酸メチル選択率は88.6%であり、副生物としてプロピレンが選択率2.3%、蟻酸メチルが0.104モル/モルMMA生成していた。
<参考製造例2>
富士シリシア社製シリカゲル(商品名:キャリアクト10)100重量部に塩化パラジウム、酢酸鉛、酢酸カリウムをそれぞれパラジウム分、鉛分、カリウム分として5.0重量部、2.13重量部、2.0重量部担持した触媒前駆体を得た。得られた触媒前駆体のPd/Pb原子比は3/0.66であった。
【0045】
【実施例3〜6】
参考製造例2の触媒前駆体を実施例3〜6の還元操作を施して得られた触媒のPd/Pb原子比、パラジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角(2θ)、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比及び反応成績を表1にまとめた。比較のため実施例1と同一の装置及び反応条件で反応を行った。
【0046】
【表1】
【0047】
【実施例7】
比較例1の触媒前駆体を2kg及び酢酸ナトリウムを10重量%含む水溶液20リットルを内容積30リットルのオートクレーブに仕込み、90℃で1時間攪拌した。水溶液を分析したとこころ750重量ppmの鉛イオンが溶解していた。ついで触媒前駆体担持パラジウムを基準にホルマリン/パラジウム=5モル比のホルマリンを追加して90℃で1時間還元処理を実施した。得られた触媒のPd/Pb担持組成比(原子比)は3/1.27、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.610度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.39であった。
【0048】
実施例1で用いた触媒分離器を備え、液相部が1.2Lの外部循環型ステンレス製気泡塔反応器を直列に2基連結し、活性化処理を終えた触媒240gを仕込み反応を実施した。第一段目の反応器に酢酸鉛を供給原料液中の鉛濃度が20ppmとなるように溶かした36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.54リットル/hr、NaOH/メタノール溶液を0.06リットル/hr連続的に供給し、反応温度80℃、反応圧力5kg/cm2 で出口酸素濃度が4.0%(酸素分圧0.20kg/cm2 相当)となるように空気量を調整しながら反応器に空気を供給して反応を行った。触媒懸濁液は液固分離して触媒は反応器に戻し反応液のみを第二段反応器にNaOH/メタノール溶液0.06リットル/hrと共に送り、第一段反応器の流出ガスは第二段反応器に通気する一方、第二段反応器の出口酸素濃度が2.2%(酸素分圧0.11kg/cm2 相当)となるように不足分の空気を第二段反応器に追加し反応温度80℃、反応圧力4.6kg/cm2 で反応を行った。また、第一段反応器、第二段反応器ともに反応液のpHが7.1となるように反応器に供給するNaOH濃度をコントロールした。反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は84.9%、メタクリル酸メチル選択率は91.4%であり副生物としてプロピレンが選択率1.1%、蟻酸メチルが0.045モル/モルMMA生成していた。
【0049】
【実施例8】
富士シリシア社製シリカゲル(商品名:キャリアクト10)100重量部に、パラジウムアンミン錯体を利用してパラジウムを5.0重量部担持して触媒前駆体を得た。この触媒前駆体を実施例1と同様の酢酸ナトリウム共存下でホルマリン還元する際に鉛分として3.93重量部、タリウム分として0.11重量部が共存する条件下で還元処理した。得られた触媒(Pd5.0Pb3.93Tl0.11/SiO2と表記する。)のPd/Pb担持組成(原子比)は3/1.21、パラジウム/鉛金属間化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.620度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.47であった。
【0050】
実施例1と同一容量をもつ攪拌槽型反応器に活性化を終えた触媒200gを仕込み反応器に供給する鉛濃度を10ppmとした以外は実施例1と同一の操作条件で反応を行った。反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は62.4%、メタクリル酸メチル選択率は91.2%であり副生物としてプロピレンが選択率1.2%、蟻酸メチルが0.042モル/モルMMA生成していた。
【0051】
【実施例9】
Pd5.0Mg2.0/Al2O3の組成をもつ触媒前駆体を実施例1と同様の酢酸ナトリウム共存下でホルマリン還元する際に鉛、ビスマスを共存させた。Pd5.0Pb4.0Bi0.23Mg2.0/Al2O3の組成をもつ触媒が得られ、Pd/Pb原子比は3/1.24、パラジウム/鉛化合物の(111)面のX線回折角(2θ)は38.612度であり、パラジウム金属(3d)/鉛金属(4f)のX線光電子スペクトルの強度比は1/0.52であった。
【0052】
実施例10と同一の装置及び同一の操作条件で反応を行い反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率は60.3%、メタクリル酸メチル選択率は90.5%であり副生物としてプロピレンが選択率1.2%、蟻酸メチルが0.052モル/モルMMA生成していた。
【0053】
【実施例10】
実施例7で得られた触媒を用いて、メタクロレインにかえてアクロレインを反応させた以外は実施例7と同様の操作及び反応条件で反応を行い、反応生成物を分析したところアクロレイン転化率は58.4%、アクリル酸メチル選択率は92.4%であり副生物としてエチレンが選択率1.0%、蟻酸メチルが0.042モル/モルMA生成していた。
【0054】
【発明の効果】
アルデヒドとアルコールを分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造するに際し、アルデヒドの濃度及び反応温度を高めて経済性を改善した反応条件においても、アルデヒドおよびアルコール基準の収率を同時に改善する触媒を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pd(3d)のX線光電子スペクトル例を示すスペクトル図である。
【図2】Pb(4f)のX線光電子スペクトル及びカーブフィッティング結果を示すスペクトル図である。
【符号の説明】
1 Pb4f7/2(Pb0)
2 Pb4f5/2(Pb0)
3 Pb4f7/2(Pbox)
4 Pb4f5/2(Pbox)
5 Si2sのX線サテライト(MgKα3)
6 Si2sのX線サテライト(MgKα4)
Claims (2)
- 酸素の存在下でアルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法において、パラジウム/鉛担持組成比が原子比で3/0以上3/1.3未満の触媒前駆体を、パラジウム/鉛原子比で3/0.7〜3/1.3の担持組成比を有するパラジウム/鉛担持触媒を得るのに必要な量の鉛化合物及び低級脂肪酸、低級脂肪酸のアルカリ金属塩または低級脂肪酸のアルカリ土類金属塩が存在する水溶液またはメタノール溶液中でホルマリン、蟻酸、ヒドラジンまたは分子状水素で還元して、(111)面のX線回折角(2θ)が38.55〜38.70であるパラジウム/鉛金属間化合物を形成させることを特徴とするパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
- アルデヒドがメタクロレイン、アクロレインまたはこれらの混合物であり、アルコールがメタノールである請求項1記載のパラジウム/鉛含有担持触媒の製造方法。
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