JP2007275854A - 反応安定性に優れたカルボン酸エステル製造用触媒及びカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

反応安定性に優れたカルボン酸エステル製造用触媒及びカルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルデヒドとアルコール及び分子状酸素、又は1種もしくは2種以上のアルコール及び分子状酸素を反応させてカルボン酸エステルを一段で製造するに際し、反応安定性に優れたカルボン酸エステル製造用触媒及び製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、特定の担体に貴金属が担持された触媒において、担持された貴金属粒子又は貴金属を含む粒子の最大頻度粒子の直径が6nmより大きい(粒子の最大頻度粒子の直径>6nm)触媒を使用することで、安定した触媒性能を長期にわたり発現することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルデヒドとアルコールと分子状酸素を反応させて、又は1種もしくは2種以上のアルコール及び分子状酸素を反応させて、カルボン酸エステルを一段で製造するに際し、反応安定性に優れたカルボン酸エステル製造用触媒及び製造方法を提供するものである。
工業的に有用なメタクリル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する方法として、例えばメタクリル酸メチルの場合、メタクロレインを酸素で酸化してメタクリル酸を製造し、次にメタクリル酸とメタノールを反応させてメタクリル酸メチルを製造する直酸法と呼ばれる製法がすでに工業化されている。しかしながら、メタクロレインを酸化してメタクリル酸にする工程で用いられるヘテロポリ酸触媒は、熱的安定性にもともと難点があり、反応温度条件下で触媒自体の分解が徐々に進行する。また、反応収率もいまだ充分ではなく、工業用触媒として改良の余地が大きい。
一方、メタクロレイン又はアクロレインをメタノールと分子状酸素と反応させて一段でメタクリル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造する方法は、易重合性のメタクリル酸又はアクリル酸を分離する必要がないシンプルなプロセスであり、直酸法と比較しメタクリル酸メチルの収率も高いため、近年脚光を浴びている(例えば、非特許文献1参照)。かかるプロセスにおいて、触媒は主としてパラジウムを含む触媒が用いられている。従来、メタクロレイン又はアクロレインをメタノールと分子状酸素と反応させて一段でメタクリル酸メチル又はアクリル酸メチルを製造するに際し、メタクロレイン又はアクロレインは不飽和アルデヒドであるため不飽和アルデヒドのアセタール、不飽和結合にアルコールが付加したアルコキシ体等多くの副生物が生成し、さらには最終酸化生成物である炭酸ガスなどが発生するという問題があった(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの問題を解決すべく、触媒の改良が進められてきた。例えば、パラジウムと鉛、水銀、ビスマス、もしくはタリウムより選ばれた少なくとも1種の元素とを含む金属間化合物を含有してなる触媒、又は前記金属間化合物とアルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物とを含んでなる触媒を用いることによって、前記問題の副生物の生成を抑え、高収率でカルボン酸エステルを製造できるというものである(例えば、特許文献2参照)。さらに、例えば特許文献3等でも同様にして触媒の検討が重ねられている。
他方、かかるプロセスの触媒については、長い間、パラジウムを含む触媒の存在が必須と考えられてきたが、近年ではルテニウムからなる触媒を用いることができることが知られている(例えば、特許文献4参照)。さらに、例えば特許文献5、特許文献6等に開示されているように、金を担体上に担持した触媒をも用いることができる。かかる触媒においては、担持金属がいずれも貴金属粒子又は貴金属を含む粒子のため高価であり、また高い反応性を有することから、利用形態としては担体上に担持して用いられている。担持触媒においては、通常、担持金属が小さいほど有効比表面積が大きくなるため、微粒子であるほど好ましいことが知られている。
しかしながら、微粒子が担持された触媒は、使用するにつれて金属成分のシンタリングが起こり、金属粒子が大きくなることは避けられず、活性低下を引き起こす。一般的には、シンタリングにより成長した金属粒子を小さくするには、金属成分を担体から溶解回収し、精製して、再度調製することで微粒子化する方法が用いられている。また、近年では、パラジウム等貴金属を担持してなる担持触媒において、粒子径の大きくなった金属を担体中で容易に微粒子化させる方法が開示されている(例えば、特許文献7参照)。特許文献7に開示された方法により、金属成分を担体から溶解回収し、精製して、再度調製することで微粒子化する従来の方法よりコストは改善されたものの、特許文献7に開示された方法においても触媒を反応系から分離し、再処理するコストは多くかかってしまう状況にある。特に工業レベルで実施される形態の場合、触媒の分離及び再処理は稼働及び生産状況に直結するため、影響は大きい。そこで本質的に安定した触媒性能を長期にわたり発現できる触媒の開発が待ち望まれている。
特公昭45−34368号公報 特公昭62−7902号公報 国際公開第98−26867号パンフレット 特開2001−220367号公報 特開2000−154164号公報 特開2002−361086号公報 特開2003−33670号公報 触媒、Vol.45、No.5、2003年発行、p368−369
本発明の目的は、アルデヒドとアルコール及び分子状酸素を反応させて、又は1種もしくは2種以上のアルコール及び分子状酸素を反応させて、カルボン酸エステルを一段で製造するに際し、急激な活性低下が起こらず、安定した触媒性能を長期にわたり発現できるカルボン酸エステル製造用触媒、及びその触媒を用いた製造方法を提供することである。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、貴金属が担持された触媒において、担持された貴金属粒子又は貴金属を含む粒子の最大頻度粒子の直径をある範囲に限定し、さらに特定の担体を用いることで、工業レベルで安定した触媒性能を長期にわたり発現できる触媒を見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 酸素の存在下、アルデヒドとアルコール、又は1種もしくは2種以上のアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造するためのカルボン酸エステルの製造用触媒であって、
(1)次の(A)又は(B)である担体と、
(A)シリカと、アルミナと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む担体であって、該担体の総重量に対して、該シリカを50〜92重量%、該アルミナを5〜40重量%含み、該アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、Csからなる群から選択される元素であり、該アルカリ土類金属が、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から選択される元素であり、該アルカリ金属及び/又は該アルカリ土類金属を少なくとも1種以上を酸化物として3〜30重量%を含む担体:
(B)ジルコニアと、シリカと、アルミナと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む担体であって、該担体の総重量に対して、該ジルコニアを35〜95重量%、該シリカを4〜69重量%、該アルミナを1〜20重量%含み、該アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、Csからなる群から選択される元素であり、該アルカリ土類金属が、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から選択される元素であり、該アルカリ金属及び/又は該アルカリ土類金属を少なくとも1種以上を酸化物として1〜20重量%を含む担体:
(2)該担体に担持された貴金属であって、該担持された貴金属の粒子又は該貴金属を含む粒子の最大頻度粒子の直径が6nmより大きい貴金属と、
を含むカルボン酸エステルの製造用触媒、
[2] 該貴金属の粒子又は該貴金属を含む粒子が、パラジウム、ルテニウム、金からなる群から選択される元素を少なくとも1種以上を含む、前項[1]記載のカルボン酸エステルの製造用触媒、
[3] 酸素の存在下、アルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する製造方法であって、
前項[1]又は[2]記載の触媒の存在下で反応を行う、カルボン酸エステルの製造方法、
[4] 前記アルデヒドが、アクロレイン、メタクロレイン及びこれらの混合物からなる群から選択される、前項[3]記載のカルボン酸エステルの製造方法、
[5] 前記アルコールが、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチル−ヘキサノール、シクロヘキサノールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールである、前項[3]又は[4]に記載のカルボン酸エステルの製造方法、
[6] 酸素の存在下、1種又は2種以上のアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する製造方法であって、
前項[1]又は[2]記載の触媒の存在下で反応を行う、カルボン酸エステルの製造方法、
[7] 前記1種のアルコールが、エチレングリコールである、前項[6]記載のカルボン酸エステルの製造方法、
[8] 前記2種以上のアルコールが、エチレングリコールと、メタノール又はエタノールの何れか1種のアルコールである、前項[6]又は[7]記載のカルボン酸エステルの製造方法、
を提供する。
本発明によれば、貴金属粒子又は貴金属を含む粒子の最大頻度粒子の直径が6nmより大きく、さらに粒子が長期に安定な機能を有する特定の担体に担持された触媒を用いることで、安定した触媒性能を長期にわたり発現させることが可能となる。粒子の最大頻度粒子の直径が6nm以下の触媒を用いた場合、初期活性は高いがシンタリングによる急激な粒子成長により、活性低下を引き起こす。驚くべきことに、粒子の最大頻度粒子の直径が6nmより大きく、長期に安定な機能を有する担体に担持された触媒を用いることで、初期活性は6nm以下の触媒を用いた場合に劣るものの、工業レベルで実施される形態においては安定した触媒性能を発揮でき、長期的には生産に有利となる。
以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明に係る触媒に使用する担体は、化学的強度(耐酸性、耐水性等)及び機械的強度等の観点から、シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、ジルコニア−シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属からなる複合金属酸化物担体である。シリカ−アルミナ又はジルコニア−シリカ−アルミナに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を加える理由は、シリカ−アルミナにおいてはSi−O−Al−O等、ジルコニア−シリカ−アルミナにおいてはZr−O−Al−O−Si−O等の架橋構造が形成されると考えられるが、これらには電荷の違いが存在するため、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が補償中和し、電荷バランスが取れるようになること、また電荷バランスが取れるようになることにより構造の安定性が高められると推察される。以上の推察は、シリカ−アルミナ又はジルコニア−シリカ−アルミナに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を加えた担体を用いると、酸性で生成が顕著なアセタールの生成を抑えることができることからも推定される。
本発明のシリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属担体は、担体の総重量に対して、シリカを50〜92重量%、好ましくは45〜90重量%、より好ましくは48〜85重量%、アルミナを5〜40重量%、好ましくは7〜35重量%、より好ましくは8〜32重量%含む。また、本発明のシリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属担体におけるアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群から選択される元素であり、アルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から選択される元素である。本発明のシリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属担体は、このアルカリ金属及び/又は該アルカリ土類金属を少なくとも1種以上を酸化物として、担体の総重量に対して、3〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは7〜23重量%を含む。本発明の担体の構成する元素が、上記範囲内にあるとき、担体の機械的強度又は耐水性が優れ、安定な結合構造が形成される。
本発明のジルコニア−シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属担体は、担体の総重量に対して、ジルコニアを35〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは45〜85重量%、シリカを4〜69重量%、好ましくは6〜65重量%、より好ましくは8〜60重量%、アルミナを1〜20重量%、3〜18重量%、より好ましくは5〜15重量%含む。また、本発明のジルコニア−シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属担体におけるアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Csからなる群から選択される元素であり、該アルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から選択される元素である。本発明のジルコニア−シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属担体は、アルカリ金属及び/又は該アルカリ土類金属を少なくとも1種以上を酸化物として、担体の総重量に対して、1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜15重量%を含む。本発明の担体の構成する元素が、上記範囲内にあるとき、酸性やアルカリ性の薬品に対する耐食性が優れ、同時に耐破砕性が良好である。
本発明において、担体の形態は粉体、顆粒状、造粒体等のいずれの形態で使用してもよく、粒径等も特に規定されるものではない。また、使用する担体の製造方法は特に限定されるものではなく従来公知の方法(含浸法、共沈法、蒸着法、水熱合成法等)を用いることができる。
本発明における担体としてのシリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含浸法で製造する場合の一例としては、アルミニウムと、所望のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む水溶液を調製した後、市販のシリカ粉体(あるいは顆粒状、造粒体)に含浸させた後、得られた固体を焼成して得るという方法が挙げられる。また、担体の化学組成および形態制御の容易さから、無機材料のゾルを用いてスラリーとし、噴霧焼成して粉体(あるいは顆粒状、造粒体)を製造する方法も挙げられる。また、シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を製造する場合の一例として、シリカゾルの溶液と、アルミニウム化合物又はアルミナゾル、及び所望のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む溶液とを反応させ、噴霧乾燥後焼成するという方法が挙げられる。一方で、本発明の担体としてのジルコニア−シリカ−アルミナ−アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を製造する際は、ジルコニアゾルの溶液及びシリカゾルの溶液、及びアルミニウム化合物又はアルミナゾル、及び所望のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む溶液とを反応させ、噴霧乾燥後焼成するという方法が挙げられる。
本発明では、担体を製造する際に使用する化合物は、特に限定されるものではなく適宜選ぶことができ、また無機材料のゾルを使用する際においても、市販ゾルをそのまま用いる方法の他、公知の製造方法に従って調製することもできる。例えば、液相懸濁状態で使用されるに好適な球状担体を調製するためには、ゾル粒子径0.5〜80nmの範囲内にあるものを使用することが好ましい。また、この範囲内でゾル粒子径が異なるものを組み合わせて使用することもできる。
ところで、一般的に、貴金属などが触媒活性を示す場合には粒子径が小さくなるほど活性が高くなる。したがって、微粒子化の試みとして、例えば、高比表面積を有する活性炭を担体として用いると、2nm程度の微細な粒子が比較的容易に調製できる。かかる触媒を反応に用いた場合、数〜数十時間程度の反応では高い活性を示すが、数百時間程度反応を継続するとシンタリングよる貴金属粒子の成長が起こり、約20nm程度まで容易に成長して急激な活性低下を引き起こす。これは、微粒子になるほど表面エネルギーが大きくなるが、微粒子が成長する過程は系の持つエネルギーが安定化する方向(表面エネルギーを小さくする方向)であるため、シンタリングを起こしやすくなるからである。工業的なレベルで実施する場合には、年単位の時間で安定した触媒性能を維持することが求められる。そこで、本発明者らの検討により、初期活性が高いが劣化が早い触媒に比べ、初期の活性を安定に維持でき劣化の遅い触媒の方が、年間を通した生産性や工業的なレベルでの操作性が良いことが明らかになった。
他方、春田正毅、「金微粒子の新しい触媒機能」現代化学、1998年5月、p42−49によれば、金超微粒子の直径が5nm以下の領域では金粒子1個当たりの触媒活性が急激に高くなることが報告されている。この変化の解釈は不明であるが、本発明者らの推定によれば、5nm以下での活性の増大は粒子表面エネルギーの急激な増大と相関すると考えている。言い換えると、6nmより大きな粒子において粒子1個当たりの活性がほぼ一定となり、長期の安定性の発現が対応するものと推定している。さらに本発明の触媒においては、担持された貴金属粒子又は貴金属を含む粒子の最大頻度粒子の直径が6nmより大きいことに加え、長期に安定な機能を有する本発明で示した担体に担持されることに特徴がある。言い換えると、反応下において長期安定である担体に担持されることで、貴金属粒子又は貴金属を含む粒子が安定に存在し、長期の反応安定性を発現できる。
本発明における貴金属粒子又は貴金属を含む粒子の直径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた測定より、像から観察された粒子60点を抽出し、大きい順5個、小さい順5個、計10個を除いた50個から求めた値を示す。また、本発明において最大頻度粒子の直径は6.5nmより大きいことがより好ましい。直径の上限については特に限定されないが、15nmより小さい(粒子の最大頻度粒子の直径<15nm)ことが好ましい。15nmより小さいと活性が高いため、工業レベルでの生産においては有利となる場合が多いからである。
本発明に用いる貴金属とは、金、銀及び白金族(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金)を指す(岩波理化学辞典第5版、1998年、p298参照)。本発明において、貴金属が担持された触媒を用いるが、パラジウム、ルテニウム、金から選ばれる元素を少なくとも1種以上含む触媒が好適に用いられる。また、触媒成分として貴金属1種又は2種以上の組み合わせの他、これにその他の異種元素、例えば、鉛、水銀、タリウム、ビスマス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、マンガン、レニウム、アンチモン、スズ、チタン、アルミニウム、珪素等を含んでいてもよい。さらに、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を含んでいてもよい。貴金属の他に異種元素が含まれる場合、固溶体あるいは合金あるいは金属間化合物を形成していてもよく、場合によってはこの方が好ましい。担体への貴金属粒子担持量は特に限定はないが、担体重量に対して通常0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。また、異種元素が含まれる場合、その担持量についても特に限定されるものではないが、好ましくは担体重量に対して1〜10重量%である。
本発明においては、貴金属を担持するための化合物として、例えば、蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、アンミン錯体、ベンゾニトリル錯体などの有機金属錯体、酸化物、水酸化物などの中から適宜選ぶことができる。例えば、パラジウム原料としては塩化パラジウム、酢酸パラジウム等、ルテニウム原料としては塩化ルテニウム等、金原料としてはテトラクロロ金酸、テトラクロロ金酸ナトリウム等を用いることができる。これらの原料化合物は1種又は2種以上組み合わせて用いても構わない。また、貴金属の他に異種元素が含まれる場合の原料化合物としても同様に、例えば、蟻酸塩、酢酸塩などの有機酸塩、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、アンミン錯体、ベンゾニトリル錯体などの有機金属錯体、酸化物、水酸化物などのなかから適宜選ぶことができる。
本発明において、貴金属及び/又は貴金属以外の異種元素を担持する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。代表的な触媒調製方法としては、貴金属化合物を溶解させた水溶液に担体を添加し、加温しながら含浸させるという方法である。この場合、水溶液中の貴金属化合物の濃度は、最終的に触媒に担持させたい量に合わせて適宜決定される。また、水溶液中の貴金属を効率的に担体に担持させるため、貴金属化合物を溶解させた水溶液のpHを適宜設定する場合もある。貴金属化合物を溶解させた水溶液のpHを調整する場合は、例えば、アルカリであれば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、酸であれば塩酸、硝酸等を用いることができる。また、必要に応じて、貴金属化合物を溶解させた水溶液に界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤は、公知のもの又は市販品から適宜選択すればよく、例えば、長鎖アルキルスルホン酸及びその塩等を用いることができ、使用量も限定されない。貴金属の他に異種元素を担持する際は、貴金属を担持する前に異種元素化合物を溶解させた水溶液に担体を添加し、予め異種元素を担持させておいても構わないし、あるいはその逆でも構わない。また、貴金属化合物と異種元素化合物を同時に溶解させた水溶液に担体を添加し、加温しながら含浸させるという方法をとることもできる。異種元素化合物を添加した担持においても、必要に応じて、pHの調整や、界面活性剤の添加を行うことができる。触媒調製を行う際の温度条件は特に限定されるものではないが、代表的な触媒調製方法を行う場合、好ましくは40〜100℃で行われる。本発明においては、粒子の最大頻度粒子の直径>6nmである貴金属粒子又は貴金属を含む粒子を担持することが重要となるが、この目的のために、貴金属及び/又は貴金属以外の異種元素を担体に担持させる操作の後に、熟成操作を取り入れることもできる。一例を示すと、塩化パラジウム溶液に担体を添加し、担体に塩化パラジウムを吸着させた後、90℃に加温し数時間〜数十時間程度熟成させるというものである。熟成操作の条件については貴金属及び/又は貴金属以外の異種元素を含む種、担持量等によって異なる。
本発明においては、貴金属及び/又は貴金属以外の異種元素を担体に担持させた後、還元操作が必要となる。還元方法については、気相、液相等、公知の方法を利用することができ、特に限定されるものではない。例えば、液相で還元を行う場合、貴金属及び/又は貴金属の他に異種元素を担体に担持させた触媒前駆体を、水又はメタノール等アルコール中にて、加温しながらホルマリン、蟻酸、ヒドラジン等を添加することによって還元することができる。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン等の使用量は、貴金属担持量に対して、通常、0.5〜10倍mol使用されるが、この量を超えても構わない。また、液相で、分子状水素を用いて還元を行うこともでき、この場合は純粋な水素ガス又は窒素等の不活性なガスで希釈されたガスを、常圧〜数十気圧の条件で触媒の分散液に吹き込む等の方法で行われる。還元処理時間については貴金属及び/又は貴金属以外の異種元素を含む種、担持量等によって異なるが、大まかには、数分〜数十時間程度である。気相で還元を行う場合、空気中で焼成を行う方法、分子状水素等還元性雰囲気中で焼成を行う方法等を用いることができる。焼成を行う場合、貴金属及び/又は貴金属の他に異種元素を含む種によって焼成温度は異なるが、通常、200〜800℃程度で行われ、焼成時間も適宜決定することができる。分子状水素等還元性雰囲気中で焼成を行う場合、純粋な水素ガスのみならず窒素等の不活性なガスで希釈されたものを用いることができる。また、本発明の触媒調製においては、還元操作後水洗し、さらに水中又はアルコール等の溶媒中に分散させて超音波洗浄を行うこともできる。
本発明に係る触媒は、分子状酸素の存在下に、アルデヒドとアルコール、又は1種もしくは2種以上のアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する反応に対して使用することができる。反応形式に関しては特に限定されるものではないが、通常、液相反応の連続式において、本発明に係る触媒は好適に用いられる。反応器に関しては従来公知のものを用いることができ、例えば、気泡塔反応器、ドラフトチューブ反応器、撹拌槽反応器等が挙げられる。また、滞留時間、触媒使用量等も選択した反応器、また設定した条件(例えば、原料であるアルデヒドとアルコール、又は1種もしくは2種以上のアルコールの組み合わせ、触媒の種類等)により異なるので特に規定されるものではない。例えば、液相懸濁状態で使用される際、スラリー中の触媒(固形分)濃度としては4〜50重量/容量%の範囲内が好ましく、また滞留時間については副生成物の生成抑制等の点から1〜20時間の範囲内で設定することが好ましい。
本発明において使用する酸素は分子状酸素、すなわち酸素ガス自体又は酸素ガスを反応に不活性な希釈剤、例えば、窒素、炭酸ガスなどで希釈した混合ガスの形とすることができ、空気を用いることもできる。反応圧力は任意の範囲で実施することができるが、通常、0.5〜20kg/cm2で実施される。反応器流出ガスの酸素濃度が爆発限界範囲を超えないように反応圧力を設定することが好ましい。
本発明において目的とするカルボン酸エステルの種類等によって、アルデヒドとアルコール、又は1種もしくは2種以上のアルコールの組み合わせを適宜選択すればよい。例えば、メタクリル酸メチルを製造する場合には、アルデヒドとしてメタクロレイン、アルコールとしてメタノールを、グリコール酸メチルを製造する場合には、2種のアルコールとしてエチレングリコールとメタノールを選択すればよい。
本発明において使用するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどの脂肪族α、β−不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、及びこれらアルデヒドの誘導体などが挙げられる。これらのアルデヒドは、単独又は任意の2種以上の混合物として用いることができる。
本発明において使用するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アルコール、エチレングリコール、ブタンジオールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、単独又は任意の2種以上の混合物として用いることができる。
本発明においてアルデヒドとアルコールとの使用量比に特に限定はなく、例えば、アルデヒド/アルコールのモル比で10〜1/1000のような広い範囲で実施できるが、通常、1/2〜1/50の範囲で実施される。特に本発明の触媒を使用すれば、アルデヒド濃度が高い濃度で実施することも可能であり、例えば、アルデヒド濃度が30〜60重量%の濃度でも実施することができる。
本発明において反応温度は、反応形式、反応器、設定した条件等に応じて適宜決定すればよい。例えば、アルデヒド濃度が30重量%以上の濃度で実施する場合には、100℃以上でも実施でき、好ましくは30〜100℃であり、より好ましくは60〜95℃である。
本発明においては副生成物抑制等の目的から、反応系内のpHを6〜9に保持することが好ましい。pH調節のためにアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加することも可能である。これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。
以下に示す本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は以下の実施例等に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
[実施例1]
1)担体の調製
硝酸アルミニウム9水和物を3.75kg、硝酸マグネシウム6水和物2.56kg、60%硝酸0.54kg、純水4.7kgを入れ撹拌した後、シリカゾル溶液(ナルコ社製、TX11561をSiO2分30重量%に調整した溶液)20.0kgを少しずつ加え混合した後スラリーを50℃24hr熟成させた。室温に冷却した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し固形物を得た。その後400℃で焼成後分級処理を行い、30μm以下の粒子及び150μm以上の粒子を除去して平均粒子径60μmの粒子を得た。再度580℃で焼成を行い、担体を得た。なお、形状観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)日立製X−650で行った(以下実施例における使用装置同じ)。
2)担持触媒の調製
担体100重量部に対し、Alとして0.35重量部となるように調製した硝酸アルミニウム水溶液を90℃に加温し撹拌した。次に前記1)で調製した担体100重量部を瞬時に投入し90℃で撹拌した。さらに担体100重量部あたりPdとして3重量部となるように調製した塩化パラジウム及び塩化ナトリウム含有水溶液(塩化パラジウム15重量%、塩化ナトリウム10重量%)を90℃に加温し、瞬時に担体分散液に投入し90℃でさらに1hr撹拌させ、さらに90℃で9hr熟成させた。熟成後デカントし、数回蒸留水にて洗浄した。次に、酢酸ナトリウムを9倍モル量に調製した水溶液に、得られた塩化パラジウム担持担体を投入し撹拌した。続いて、酢酸鉛水溶液をPbとしてPd/Pb=3/1.3相当分添加し、90℃で1hr撹拌した。さらに続いてPd+Pbに対して3倍モル量のヒドラジン水溶液をゆっくり滴下し、還元処理を24時間行った。還元処理後デカントし、数回蒸留水にて洗浄した。その後、得られた固体を再度水中に分散させ、超音波処理を30分間行った。なお、超音波処理は、東京超音波技術製IUC−3011を用いて行った(以下実施例における使用装置同じ)。さらに、デカントし数回蒸留水にて洗浄後、ろ過によって得られた固体を80℃で真空乾燥し、Pd−Pb担持触媒を得た。得られた担持触媒の、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立製HF−2000、以下実施例における使用装置同じ)を用いた分析を行ったところ、Pdを含む最大頻度粒子の直径は6.8nmであった。
3)メタクリル酸メチル(MMA)の合成
触媒分離部を備えた液相部8.4lの撹拌式反応器に調製した触媒1.75kgを仕込み、36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を4.2l/hr、NaOH/メタノール溶液を0.42l/hr連続的に反応器に供給し、反応温度80℃、反応圧力0.5MPaで出口酸素濃度が4.0容量%となるように空気量を調整しながら反応器に空気を供給した。反応液のpHは6.9となるように反応器に供給するNaOH濃度をコントロールした。200時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率43.2%であり、MMA選択率91.5%であった。2800時間経過後メタクロレイン転化率43.0%であり、MMA選択率91.4%であった。2800時間経過後触媒を回収し分析を行ったところ、Pdを含む最大頻度粒子の直径は7.0nmであった。
[実施例2]
アクリル酸メチル(MA)の合成
実施例1でメタクロレインをアクロレインに変更した以外は、同様の条件にて反応を実施した。100時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、アクロレイン転化率42.1%であり、MA選択率90.6%であった。1000時間経過後メタクロレイン転化率42.0%であり、MA選択率90.5%であった。1000時間経過後触媒を回収し分析を行ったところ、Pdを含む最大頻度粒子の直径は6.9nmであった。
[実施例3]
1)担持触媒の調製
実施例1の1)で得られた担体を使用し、Au担持触媒の調製を行った。
担体100重量部に対し、Alとして0.35重量部となるように調製した硝酸アルミニウム水溶液を90℃に加温し撹拌した。次に、実施例1の1)で調製した担体100重量部を瞬時に投入し90℃で撹拌した。さらに、担体100重量部あたりAuとして2.5重量部となるように調製したテトラクロロ金酸水溶液(Au分20重量%)を90℃に加温し、瞬時に担体分散液に投入し90℃でさらに1hr撹拌させ、90℃で5hr熟成させた。熟成後デカントし、数回蒸留水にて洗浄した。続いて、ろ過によって固体を回収し、80℃で真空乾燥した後、400℃で3hr焼成した。その後、得られた固体を水中に分散させ、超音波処理を30分間行った。デカントし数回蒸留水にて洗浄後、ろ過によって得られた固体を80℃で真空乾燥し、Au担持触媒を得た。得られた担持触媒の、Auを含む最大頻度粒子の直径は7.5nmであった。
2)グリコール酸メチル(GM)の合成
触媒分離部を備えた液相部8.4lの撹拌式反応器に調製した触媒1.40kgを仕込み、25.0重量%のエチレングリコール/メタノール溶液を4.2l/hr連続的に反応器に供給し、反応温度90℃、反応圧力0.5MPaで出口酸素濃度が4.0容量%となるように空気量を調整しながら反応器に空気を供給した。100時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、エチレングリコール転化率53.0%であり、GM選択率76.5%であった。1000時間経過後エチレングリコール転化率52.4%であり、GM選択率75.9%であった。1000時間経過後触媒を回収し分析を行ったところ、最大頻度粒子の直径(Au)は7.8nmであった。
[実施例4]
1)担体の調製
硝酸アルミニウム9水和物を0.56kg、硝酸マグネシウム6水和物0.85kgを純水に溶解した水溶液を、シリカゾル溶液(ナルコ社製、TX11561をSiO2分30重量%に調整した溶液)1.20kg中へ少しずつ加え混合させた。次に、この混合液を、ジルコニアゾル溶液(第一稀元素化学工業(株)製、ZSL−20N(ZrO2分20重量%))8.5kg中へを少しずつ加え混合させた。充分に混合した後スラリーの粘度を保つため、純水、硝酸、アンモニウム、硝酸アンモニウムを少量加え、さらに3hr撹拌した。その後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し固形物を得た。その後、400℃で焼成後分級処理を行い、30μm以下の粒子及び150μm以上の粒子を除去して平均粒子径60μmの粒子を得た。再度580℃で焼成を行い、担体を得た。
2)担持触媒の調製
上記担体を用い、実施例1の2)と同様の方法でPd−Pb担持触媒の調製を行った。得られた担持触媒の、Pdを含む最大頻度粒子の直径は8.2nmであった。
3)メタクリル酸メチル(MMA)の合成
実施例1と同様の条件にて反応を実施した。100時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率40.7%であり、MMA選択率90.2%であった。1000時間経過後メタクロレイン転化率40.4%であり、MMA選択率90.1%であった。1000時間経過後触媒を回収し分析を行ったところ、Pdを含む最大頻度粒子の直径は8.3nmであった。
[実施例5]
1)担持触媒の調製
実施例1の1)で得られた担体を使用し、Ru担持触媒の調製を行った。
担体100重量部に対し、Alとして0.35重量部となるように調製した硝酸アルミニウム水溶液を90℃に加温し撹拌した。次に、実施例1の1)で調製した担体100重量部を瞬時に投入し90℃で撹拌した。さらに、担体100重量部あたりRuとして2重量部となるように調製した塩化ルテニウム塩酸溶液(Ru分9重量%)を90℃に加温し、瞬時に担体分散液に投入し90℃で1hr撹拌させ、さらに、90℃で6hr熟成させた。熟成後デカントし数回蒸留水にて洗浄した後、純水を加えて撹拌し、Ruに対して3倍モル量のヒドラジン水溶液をゆっくり滴下し、還元処理を24時間行った。還元処理後デカントし、数回蒸留水にて洗浄した。その後、得られた固体を再度水中に分散させ、超音波処理を30分間行った。さらにデカントし数回蒸留水にて洗浄後、ろ過によって得られた固体を80℃で真空乾燥し、Ru担持触媒を得た。得られた担持触媒の、Ruを含む最大頻度粒子の直径は10.1nmであった。
2)メタクリル酸メチル(MMA)の合成
実施例1と同様の条件にて反応を実施した。200時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率15.8%であり、MMA選択率48.5%であった。1000時間経過後メタクロレイン転化率15.9%であり、MMA選択率48.4%であった。1000時間経過後触媒を回収し分析を行ったところ、最大頻度粒子の直径(Ru)は10.1nmであった。
[比較例1]
実施例1の2)と同様の組成を持つ触媒(Pd−Pb/SiO2−Al2O3−MgO)で、Pdを含む最大頻度粒子の直径が3.9nmの触媒を用い、実施例1と同様の条件にて反応を実施した。200時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率50.3%であったが、1000時間経過後メタクロレイン転化率45.0%、2800時間経過後メタクロレイン転化率42.8%になり、活性の低下が確認された。
[比較例2]
担体に活性炭を用いた他は、実施例1の2)と同様の組成を持つ触媒(Pd−Pb/カルゴン社製活性炭:比表面積600m2/g)で、Pdを含む最大頻度粒子の直径が2.5nmの触媒を用い、実施例1と同様の条件にて反応を実施した。20時間経過で抜き出した反応生成物を分析したところ、メタクロレイン転化率54.7%であったが、1000時間経過後メタクロレイン転化率33.8%であった。1000時間経過後触媒を回収し分析を行ったところ、Pdを含む最大頻度粒子の直径は21.2nmであった。
本発明に係る触媒は、アルデヒドとアルコール及び分子状酸素、又は1種もしくは2種以上のアルコール及び分子状酸素を反応させてカルボン酸エステルを一段で製造するに際し、急激な活性低下が起こらず、安定した触媒性能を長期にわたり発現することができる。この触媒を使用することで工業生産において長期安定に運転を継続することができ、非常に有用である。

Claims (8)

  1. 酸素の存在下、アルデヒドとアルコール、又は1種もしくは2種以上のアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造するためのカルボン酸エステルの製造用触媒であって、
    (1)次の(A)又は(B)である担体と、
    (A)シリカと、アルミナと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む担体であって、該担体の総重量に対して、該シリカを50〜92重量%、該アルミナを5〜40重量%含み、該アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、Csからなる群から選択される元素であり、該アルカリ土類金属が、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から選択される元素であり、該アルカリ金属及び/又は該アルカリ土類金属を少なくとも1種以上を酸化物として3〜30重量%を含む担体:
    (B)ジルコニアと、シリカと、アルミナと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含む担体であって、該担体の総重量に対して、該ジルコニアを35〜95重量%、該シリカを4〜69重量%、該アルミナを1〜20重量%含み、該アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、Csからなる群から選択される元素であり、該アルカリ土類金属が、Mg、Ca、Sr、Baからなる群から選択される元素であり、該アルカリ金属及び/又は該アルカリ土類金属を少なくとも1種以上を酸化物として1〜20重量%を含む担体:
    (2)該担体に担持された貴金属であって、該担持された貴金属の粒子又は該貴金属を含む粒子の最大頻度粒子の直径が6nmより大きい貴金属と、
    を含むカルボン酸エステルの製造用触媒。
  2. 該貴金属の粒子又は該貴金属を含む粒子が、パラジウム、ルテニウム、金からなる群から選択される元素を少なくとも1種以上を含む、請求項1記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
  3. 酸素の存在下、アルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する製造方法であって、
    請求項1又は2記載の触媒の存在下で反応を行う、カルボン酸エステルの製造方法。
  4. 前記アルデヒドが、アクロレイン、メタクロレイン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  5. 前記アルコールが、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチル−ヘキサノール、シクロヘキサノールからなる群から選択される少なくとも1種のアルコールである、請求項3又は4に記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  6. 酸素の存在下、1種又は2種以上のアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する製造方法であって、
    請求項1又は2記載の触媒の存在下で反応を行う、カルボン酸エステルの製造方法。
  7. 前記1種のアルコールが、エチレングリコールである、請求項6記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  8. 前記2種以上のアルコールが、エチレングリコールと、メタノール又はエタノールの何れか1種のアルコールである、請求項6又は7記載のカルボン酸エステルの製造方法。
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