JP2007296429A - 耐磨耗性、反応性に優れた金属担持粒子 - Google Patents

耐磨耗性、反応性に優れた金属担持粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、酸素存在下でアルデヒドとアルコールやアルコール類からカルボン酸エステルを製造する際等に触媒として用いられる金担持微粒子であって、触媒成分である金の耐剥離性や耐磨耗性の点で優れ、高い反応性を安定して維持することができる粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、シリカを含む担体に金が担持された粒子であって、前記粒子は、実質的に金を含まない外部層と、金を含む内部層とを含み、該内部層においては、前記金の濃度が該粒子の中心部より外周部で高くなっている、金担持粒子を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、触媒として用いられる金属担持粒子に関する。
アルデヒドとアルコールから一段でカルボン酸エステルを製造する方法は古くから数多く提案されている。例えば、特公昭57−35856号公報(特許文献1)、特公平4−72578号公報(特許文献2)、特開昭57−50545号公報(特許文献3)等にパラジウム−鉛系触媒が、特開昭61−243044号公報(特許文献4)にパラジウム−テルル系触媒が、特公昭57−35860号公報(特許文献5)にパラジウム−タリウム−水銀系触媒が、特公昭57−19090号公報(特許文献6)にパラジウム−アルカリ土類金属−亜鉛−カドミウム系触媒が、特公昭62−7902号公報(特許文献7)、特開平10−158214号公報(特許文献8)等にパラジウム−ビスマス系触媒を用いる製造方法が記載されている。
また、担体に特徴のある先行文献として、特開平5−148184号公報(特許文献9)には疎水性を有するテフロン(登録商標)担体、弗化黒鉛担体及びハイシリカゼオライト担体等を使用する方法、特開平8−332383号公報(特許文献10)にシリカ−アルミナ担体、特開平9−52044号公報(特許文献11)にシリカ−アルミナ−マグネシア担体、特開平9−192495号公報(特許文献12)に結晶性のメタロシリケート担体、特開2003−305366号公報(特許文献13)には、ジルコニウム、珪素、アルミニウム、を必須成分とした担体を使用する方法について記載されている。しかしながら、従来の金属担持粒子は一般に磨耗しやすく、より耐久性に優れた担体が求められている。
また、これまでに報告された液相反応で使用される触媒は、ほとんどがパラジウムを含むものであったが、近年パラジウム以外の金属を成分とする例も報告され、例えば、特開2000−154164号公報(特許文献14)には、疎水性担体と金を組み合わせた触媒が開示されている。
しかしながら、担体に金微粒子を担持させた触媒は、スラリーの撹拌時等に担体から剥離しやすく、その結果反応性が低下するという問題がある。これに対し、特開2002−361086号公報(特許文献15)、特開2004−181357号公報(特許文献16)、特開2004−181358号公報(特許文献17)、特開2004−181359号公報(特許文献18)では、6nm以下の金超微粒子を用いることによって、担体からの剥離性を改良する方法が提案されている。
しかしながら、金を触媒成分とする場合に、反応性と耐久性をさらに改善する技術が求められている。
特公昭57−35856号公報 特公平4−72578号公報 特開昭57−50545号公報 特開昭61−243044号公報 特公昭57−35860号公報 特公昭57−19090号公報 特公昭62−7902号公報 特開平10−158214号公報 特開平5−148184号公報 特開平8−332383号公報 特開平9−52044号公報 特開平9−192495号公報 特開2003−305366号公報 特開2000−154164号公報 特開2002−361086号公報 特開2004−181357号公報 特開2004−181358号公報 特開2004−181359号公報
本発明は、酸素存在下でアルデヒドとアルコールやアルコール類からカルボン酸エステルを製造する際等に触媒として用いられる金担持微粒子であって、触媒成分である金の耐剥離性や耐磨耗性の点で優れ、高い反応性を安定して維持することができる粒子を提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、粒子の表面よりやや内部に金を配置させ、実質的に金を含まない外部層を形成するとともに、金を含む内部層においては中心部より外周部に近い領域に金を偏在させることによって、耐剥離性、耐摩耗性に優れ、且つ反応性の高い金担持粒子を得られることを見出し、さらに、金がこのように分布する金担持微粒子の製造方法を見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
〔1〕シリカを含む担体に金が担持された粒子であって、前記粒子は、実質的に金を含まない外部層と、金を含む内部層とを含み、該内部層においては、前記金の濃度が該粒子の中心部より外周部で高くなっている、金担持粒子;
〔2〕前記担体の粒径が、20μm〜150μmの範囲であり、前記外部層が、前記粒子の最外表面から5μm以内の厚さで形成されている、上記〔1〕に記載の金担持粒子;
〔3〕窒素吸着法により窒素脱離スペクトルから求めた前記粒子の細孔直径の最高頻度が、3nm〜50nmの範囲である、上記〔1〕または〔2〕に記載の金担持粒子;
〔4〕前記粒子の細孔容積が、0.1ml/g〜0.5ml/gの範囲である、上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の金担持粒子;
〔5〕前記担体がシリカと、Alと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含み、Siと前記Alの原子比が下記式(I)を満たし、前記Alと前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属との原子比が下記式(II)を満たす、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の金担持粒子、
Al/Si=0.02〜0.25 (I)
(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al≧0.5 (II);
〔6〕上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の金担持粒子の製造方法であって、前記シリカを含む担体を300℃以上で焼成した後、60℃以上で水熱処理を行う第1工程と、前記担体と、金を含む溶液とを接触させる第2工程と、を含む方法;
〔7〕前記第2工程の後に、少なくとも1回の超音波洗浄処理を行う、上記〔6〕に記載の製造方法;
〔8〕アルデヒド、アルコール及び酸素を液相で触媒の存在下反応させる工程を含むカルボン酸エステルの製造方法であって、前記触媒として、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の金担持粒子を用いる、方法;
〔9〕前記カルボン酸エステルがアクリル酸エステルであり、前記アルデヒドが、アクロレインであり、前記アルコールが、メタノール、エタノール、ブタノール2エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1つのアルコールである、上記〔8〕に記載の方法;
〔10〕前記カルボン酸エステルがメタクリル酸エステルであり、前記アルデヒドがメタクロレインであり、前記アルコールがメタノール、エタノール、ブタノール2エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1つのアルコールである、上記〔8〕に記載の方法;
〔11〕1または2種類のアルコール及び酸素を液相で触媒の存在下反応させる工程を含むカルボン酸エステルの製造方法であって、前記触媒として、上記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の金担持粒子を用いる、方法;
〔12〕前記カルボン酸エステルが、オキシカルボン酸メチル、オキシカルボン酸エチル、カルボン酸メチル、カルボン酸エチルであり、前記1または2種類のアルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、メタノール及びエタノールからなる群から選択される1または2種類のアルコールである、上記〔11〕に記載の方法;
〔13〕前記カルボン酸エステルが酢酸エチルであり、前記アルコールがエタノールである、上記〔11〕に記載の方法、に関する。
本発明によれば、金担持粒子における金の分布を制御することよって高い剥離抑制機能と高い反応活性を実現することが可能になる。酸素存在下でカルボン酸エステルを製造する方法において本発明の金担持粒子を触媒として用いると、長期間にわたり安定的に且つ高収率でカルボン酸エステルを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る金担持粒子は、シリカを含む担体に金が担持された粒子であって、実質的に金を含まない外部層と、金を含む内部層とからなる。内部層においては、粒子の中心部より外周部において、即ち外部層に近い領域において金の濃度が高くなっている。このような構成によれば、金が粒子から剥離するのを防ぎつつ、金により触媒の効果を高く維持することができる。
そこで、まず、剥離防止の点で最も効果のある金の担持分布について、より詳細に説明する。本発明者らは、数種類の担体を用いて金の担持と剥離性の改良について詳細な検討を行った。金属を担持した粒子を充填塔に充填固定して液体を流しても担持した金属は溶液に溶解しない場合には全く流失しない。しかし、スラリー状態で攪拌羽のついた容器で激しくかき混ぜると、担持方法によっては金が粒子から剥離すること、すなわち、粒子同士が衝突する場合に剥離が顕著に起こることがわかった。そして、EPMAなどの解析装置を用いて金担持粒子の断面を観測測定した結果、剥離現象が、粒子内における金の分布構造と深く関係することが明らかになった。
まず、スラリーの攪拌混合で起こる剥離は、粒子の外表面に担持された金粒子が存在する場合に顕著であることが確認された。すなわち、金担持粒子における金は、金溶液と担体とが接触し、粒子の表面から内部に金溶液が拡散することによって固定されるところ、この操作において担体の表面に付着した金粒子が剥離しやすいことが確認された。
さらに、EPMAの粒子断面解析を基に、粒子の外表面から内部に金の担持位置を変化させた金担持粒子を合成して評価したところ、金を担持した粒子で外表面から5μmまでに実質的に金が担持されない層を有し、該層より内部に金を担持する粒子では、スラリーを攪拌混合した剥離性の試験や反応実験の解析結果で、溶液中の金(即ち、粒子から剥離した金)の濃度がppm以下〜ppbレベルで、ほとんど検出できないことを確認した。
また、外側に金が担持されない層を有することにより、磨耗による剥離も防ぐことができる。耐磨耗性に関しては、使用する期間、混合状態によって粒子の磨耗度が異なるため、金が担持されない層については、使用条件に基づいて、粒子の外表面から5μmの範囲で最適な深さ方向の厚さを選定できる。
一方、実質的に金を含まない外部層を有していても、内部層において中心部より外周部に金を偏在させることによって、触媒として反応性が十分に維持されることも確認した。
以上より、反応特性と剥離特性から、実質的に金を含まない外部層は5μm、より好ましくは外表面から3μm、磨耗が少ない反応系では外表面から2μmの厚みが好ましく選定される。
尚、本明細書において、「金を実質的に含まない」とは、EPMAによる分析で検出できないレベルをいう。
本発明に用いられる担体は、シリカを含む。シリカとしては、例えば、シリカゾルを用いることができる。シリカゾルは、一般公知の製造方法にしたがって調製できるほか、市販ゾルをそのまま用いても良い。その他、水ガラスを硫酸などの鉱酸で中和して得られるゾルあるいは水ガラスをイオン交換樹脂で処理して得られるゾルなどが使用できる。但し、粒子径0.5nm〜50nmの範囲内にあるものを使用することが、球状で耐久性のある担体を形成する上で好ましい。コロイドの粒子径が小さくなると比表面積の増加ならびに耐破砕性が向上する傾向にあるが形状が悪くなる傾向が見られ球状粒子を得る上で好ましくない。また、コロイドの粒子径が大き過ぎると細孔径及び細孔容積が大きくなる傾向にあり、比表面積の低下ならびに耐薬品性及び耐破砕性の低下に影響する。したがって、ゾル粒子径0.5nm〜50nmの範囲で適宜必要とする担体の物性要求にあわせて選択すればよい。ゾルの粒子径が異なるものを組み合わせると、さらに強度向上が認められる傾向があり、強度の点からはより好ましい。
本発明に用いられる担体には、シリカのほか、Alと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とが含まれることが好ましい。
Al原料としては、例えば、アルミナゾルまたはアルミニウム化合物を用いることができる。アルミナゾルとしては、シリカゾルと同様に通常の市販ゾルを適用でき、粒子径が0.5nm〜50nmのものが好ましい。また、アルミニウム化合物としては、例えば、アルミン酸ソーダ、塩化アルミニウム六水和物、過塩素酸アルミニウム六水和物、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、二酢酸アルミニウムなどを挙げることができる。好ましくは水溶性のアルミニウム化合物であり、より好ましくは硝酸アルミニウムである。硝酸アルミニウムが好ましい理由としては、球状に成形した担体を焼成する過程において、アルミニウム以外の成分が窒素酸化物として気化して消失するため、後から不純物を除去する操作が必要ないことを挙げることができる。同様にアルミナゾルも他の不純物が残存しないという利点がある。水溶性のものが好ましい理由としては、シリカゾルとの混合スラリーにおいて均一分散しやすいことを挙げることができる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属の原料としては、Al原料と同様に、一般に市販される化合物を用いることができる。好ましくは水溶性の化合物であり、より好ましいのは水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩である。
本発明に用いられる担体は、例えば、シリカと、Alと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを混合したスラリーを噴霧乾燥して形成することができる。このとき、当該スラリーにおいて、SiとAlの原子比は、下記式(I)を満たすことが望ましい。
Al/Si=0.02〜0.25 (I)
Al/Siの値が、0.02未満では効果が低く、0.25を超えると、Al単独の性質が発現しやすくなる傾向がある。0.03〜0.2の範囲がより好ましい。
一方、アルカリ金属、アルカリ土類金属はシリカ・アルミナ結合で生じる固体酸点を電荷的に中性化する働きによって構造安定性にも寄与していると推定される。したがって、アルミナとアルカリ金属、アルカリ土類金属の原子比は下記式(II)を満たすことが好ましい。
(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al≧0.5 (II)
(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Alが0.5を下回るとシリカ・アルミナ結合による固体酸点が発現する傾向がある。上限については特に限定されないが、通常、アルミニウム原子の3倍以下の範囲から設定される。
また、本発明においては、シリカと、Alと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを混合したスラリーに、スラリー性状、生成物の細孔構造などの特性、担体物性などの微調整を目的として、無機物及び/又は有機物を加えることが可能である。用いられる無機物としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の鉱酸類及び、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属などの金属塩が挙げられる。球状の担体を得るには混合スラリーの液質が重要な因子となるが、無機物あるいは有機物添加や粘度や固形分濃度を調製することによって、球状の担体が形成されやすい液質にすることができる。また、スラリーに添加する有機物としては、例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
本発明の担体は、前述した各種原料ならびに添加物の混合スラリーを噴霧乾燥して粒子状に形成することができる。混合スラリーを液滴化する方法としては、回転円盤方式、二流体ノズル方式、加圧ノズル方式など公知の噴霧装置を使用できる。
噴霧するスラリーは、よく混合された状態で用いることが必要である。混合状態が悪い場合には組成の偏在によって耐久性が低下するなど、担体の性能に影響する。特に原料調合時には、スラリーの粘度上昇及び一部ゲル化(コロイドの縮合)が生じる場合もあり、不均一な粒子を形成することが懸念され、そのため、原料の混合を攪拌下で徐々に行うなどの配慮を行うほか、酸やアルカリを加えるなどの方法によって、例えばpH2付近のシリカゾルの準安定領域に制御して行うことが好ましい場合もある。
また、噴霧する液は、ある程度の粘度ならびに固形分濃度を有していることが必要である。粘度や固形分濃度が低すぎると噴霧乾燥で得られる多孔質体が、真球とならず陥没球が多く生成する。また、高すぎると多孔質体同士の分散性に悪影響を及ぼすことがある他、性状によっては安定に液滴の形成ができなくなる。そのため、粘度としては噴霧可能であれば、5cp〜10000cpの範囲にあることが好ましく、形状からは噴霧可能な高い粘度の方が好ましい傾向が見られ、操作性とのバランスからより好ましくは10cp〜1000cpの範囲から選択できる。また、固形分濃度は10wt%〜50wt%の範囲内にあることが形状や粒子径から好ましく、適した濃度を選択できる。尚、噴霧乾燥条件の目安として、噴霧乾燥器の乾燥塔入り口の熱風温度は200℃〜280℃、乾燥塔出口温度が110℃〜140℃の範囲内であることが好ましい。
次に、噴霧乾燥により粒形に形成された担体を焼成する。本発明の多孔質担体の焼成温度は、300℃〜800℃の範囲とすることが好ましく、400℃〜800℃の範囲とすることがより好ましい。
焼成後、反応形式に応じて、所定の粒子径を有する多孔質担体を適宜選択することができる。例えば、液相懸濁状態で使用する場合は触媒の分離方法によって変わり、自然沈降分離では、好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは30〜150μmである。20μm以下では、反応に用いた場合に沈降分離などの簡便な分離方法の適用が困難になり、触媒が流失しやすくなる。一方、150μm以上では、液相反応で用いると細孔内拡散抵抗が大きくなり、スラリー状態で沈降しやすくなる傾向がある。したがって、分離性、反応性、溶液スラリー特性として、20μm〜150μmの粒子径の範囲が最もバランスが良く好ましい。沈降時間が短くなる場合や抜き出し液の流速が早くなる場合は30μm〜150μmを選択するとよい。所定の粒子径を有する粒子の選択は、焼成後、分級処理を行うことにより行うことができる。
本発明に係る金担持粒子は、焼成した担体を、水熱処理した後に、金を担持させることによって製造することができる。水熱処理を行うことによって、その後、金を担持させるときに、内部層において中心部よりも外周部に金が偏在するよう分布を制御することが可能となる。焼成後の水熱処理による効果は、窒素吸着による細孔分布測定に基づけば、窒素脱離により形成される細孔、すなわちボトルネック部の細孔構造の再編が行われ、より均質でシャープになるためであると推測される。水熱処理は室温でも可能であるが変化が遅いため、60℃〜150℃、常圧では70℃〜100℃が好ましい。反応時間は温度との兼ね合いで低い温度ほど時間は長くなる。例えば90℃では1〜6時間程度が好ましい。水熱処理後に、そのまま金を担持させることも可能であるが、一度乾燥、焼成してから担持させることが好ましい。乾燥、焼成の温度は400℃〜800℃の範囲が好ましく、より好ましくは400℃から650℃の範囲である。
担体の細孔構造は、強度以外にも、金属成分の担持特性、剥離などを含めた長期安定性、反応特性から極めて重要な物性の1つである。本発明の細孔径はこれらの特性を発現するための必要な物性値である。3nmより小さい細孔では、担持金属の剥離性上は好ましい方向であるが、細孔径が小さくなりすぎると、触媒として液相反応などで使用する場合、細孔内拡散抵抗が大きくなり反応基質の拡散過程が律速となり、反応活性が低くなってしまうことが多い。一方、50nmより大きな細孔が存在すると、担持した金属が剥離し易くなる傾向が見られ、触媒が割れやすくなるなどの結果、剥離が進行するために好ましくない。したがって、担体の細孔径は、好ましくは3nm〜50nmの範囲であり、より好ましくは3nm〜30nmである。細孔容積は貴金属を担持する細孔が存在するために必要である。しかし細孔容積が大きくなると急激に強度が低下する傾向が見られる。したがって、0.1〜0.5ml/gの範囲が強度、担持特性から好ましい。さらに好ましくは0.1〜0.4ml/gの範囲である。細孔径及び細孔容積の両者が上記範囲を満たすものが好ましい。
次に、上述の方法により、製造された担体に、金を担持させる。担持に用いる金の原料としては、テトラクロロ金酸、テトラクロロ金酸ナトリウム、ジシアノ金酸カリウム、ジエチルアミン金三塩化物、シアン化金等を挙げることができる。
担体と接触させる金溶液のpHは、本発明の場合金の担持で一般的に行われている中性から塩基性ではなく、酸性溶液として担体と接触させることが好ましく、pH7以下このましくはpH5以下より好ましくはpH3以下の金溶液と担体を接触させることがこのましい。
金単独で担持させる場合には200℃〜800℃以上の焼成で金属金とすることが可能である。一般的な還元剤を用いて還元して金属金とすることもできる。還元剤としては、ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、分子状水素、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いることができる。
ここで、実質的に金を含まない外部層が形成されるように金の分布を制御する代表的な方法について、マグネシウムを塩基成分として含有する担体を用いた場合を例に説明する。例えば、硝酸アルミニウムを溶解した溶液を加温し攪拌しておき、そこに担体を短時間投入する。この工程で担体粒子の表面から深さ方向の塩基成分が、アルミニウムと等量、吸着中和で消費される。ついで、pH2以下に調製したテトラクロロ金酸などの金水溶液を溶解させた水溶液に加えると、金イオンは粒子表面近傍の塩基がアルミニウムで消費されているため、粒子の内部へ拡散し内部の塩基と中和反応によって析出して固定される。この過程に水熱処理によって均質になったネック径の細孔が金の拡散速度を均質に低減させ金の担体内部固定が完了する。
続いて水洗を行い乾燥200℃〜800℃の温度で焼成し、さらに水中に分散させて超音波洗浄することで、金属金が担持された粒子が得られる。一方、還元工程として5℃〜100℃の温度でヒドラジン等によって還元し、その後上澄みをデカント、水洗、超音波洗浄を行った後に真空乾燥して金が担持された粒子を得ることもできる。本発明の方法によれば、金を添加する前に添加する硝酸アルミニウムの量を変えることによって、金が担持されない外部層の厚みを任意に制御することができる。また、超音波洗浄を行った場合と行わない場合の比較検討の結果、通常の洗浄操作では除去できなかった外表面に付着した金を超音波洗浄は効果的に除去できることを確認した。本発明の超音波洗浄を組み込んだ調製方法は極めて有効な方法である。
金を担持させる際の温度条件は、室温〜200℃の温度で行うことができるが低い温度ほど、金の分布が広がることから高い温度、例えば70℃以上が好ましく、常圧の場合には90〜100℃付近がより好ましい。
還元方法は、金を担持した後の触媒前駆体を水もしくはメタノール中にて、加温しながら、ホルマリン、蟻酸、を添加することによっても還元できる。また、分子状水素を使用して還元を行うこともできる。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジンの使用量は一般的には金担持量に対し、0.5〜100倍モル、実用的には1〜10倍モルが使用される。また、この量を越えても特に問題はない。また、分子状水素による還元処理は、純粋な水素ガス又は窒素あるいはメタン等の不活性なガスで希釈されたものを用いることができる。水素濃度は0.1vol%以上とし、圧力は常圧ないしは数十気圧の条件で、触媒製造時の分散液中に吹き込むなどして行われる。還元する際の温度ならびに圧力条件は、溶液が凍結しない低い温度から160℃の場合、圧力が常圧〜数気圧であることが好ましい。さらに、還元処理時間は触媒種、処理条件により変わるが、大まかに数分〜100時間である。数時間以内に処理が完了するように条件を設定するのが好都合である。
本発明における金担持量は、特に限定はないが、担体重量に対し、好ましくは0.1wt%〜20wt%、より好ましくは1wt%〜10wt%である。本範囲を外れた高い担持量では、金が凝集し触媒金属当たりの活性が低くなり、低過ぎると触媒当たりの活性が低くなる傾向がある。
また、本発明における金担持粒子は、金の他に異種元素を含有させることもできる。例えば、パラジウム、銀、水銀、タリウム、ビスマス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、 、ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、 アンチモン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素などを含ませることが可能である。これらの異種元素は、触媒あたり0.01wt%〜20wt%、好ましくは0.1wt%〜10wt%が好ましい。さらに、触媒にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物、希土類化合物から選ばれた少なくとも一種の金属塩を含有させてもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類の含有量は、触媒あたり15wt%以下の範囲から選ばれる。尚、これらの異種元素もしくはアルカリ金属及びアルカリ土類金属化合物、希土類化合物は、金担持粒子の製造や反応の際に触媒中に含有させてもよいし、あらかじめ担体に含有させておく方法も用いることができる。
上述した本発明に係る金担持粒子を触媒として用い、アルデヒドやアルコール、及び分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造する反応に好適に行うことができる。触媒の使用量は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式などによって大幅に変更することができ、特に限定はないが、触媒をスラリー状態で反応させる場合は、スラリー中の固形分濃度として、4〜50wt/vol%、好ましくは4〜30wt/vol%より好ましくは10〜25wt/vol%の範囲内に収まるよう使用するのが好ましい。
原料に用いるアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、ならびにアルデヒドの誘導体などが挙げられる。これらのアルデヒドは、単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いることができる。
一方、アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アルコール、シクロヘキサノール、のような脂肪族環状アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。アルデヒドとアルコールからは対応するカルボン酸エステルを合成することができ、また、アルコールは単独もしくは任意の二種以上、例えばエタノールから酢酸エチルの合成やエチレングリコールとメタノールの混合物からグリコール酸メチルの合成などの反応として用いることができる。
さらに、酸素は、分子状酸素すなわち酸素ガス又は不活性ガスに希釈した酸素ならびに空気を用いることができる。
尚、カルボン酸エステルを製造する反応において、アルデヒドとアルコールの使用量比は、例えば、(アルデヒド又はアルコール)/アルコールのモル比で2/1〜1/50の範囲であるが、目的とする反応に合わせて設定することができる。例えばメタクロレイン/メタノールからメタクリル酸メチル、グリコール類/メタノールからグリコール酸メチルが生成する反応などでは1/2〜1/10の範囲が好ましく選定される。反応系に存在させる酸素量は、反応に必要な化学量論量以上、好ましくは化学量論量の1.2倍以上であればよい。
また、本発明のカルボン酸エステル製造反応は、気相反応、液相反応、潅液反応などの任意の方法で回分式又は連続式のいずれによっても実施できる。反応は無溶媒でも実施できるが、反応成分に対して不活性な溶媒、例えばヘキサン、デカン、ベンゼン、ジオキサンなどを用いてもよい。反応器形式としては、固定床式、流動床式、撹拌槽式など従来公知の形式を採用できる。尚、本発明の触媒は耐破砕性をもつため、流動床反応器、気泡塔反応器、撹拌槽反応器にも安定に使用できる。
本発明のカルボン酸エステル製造反応プロセスを液相等で実施する場合には、反応系にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して反応系のpHを6〜8に保持することが好ましい。反応器出口側の酸素分圧や反応させるアルデヒド種、アルコール種などの反応原料、反応条件もしくは反応器形式などにより変化するが、実用的には反応器出口の酸素分圧は爆発範囲の下限以下の濃度となる範囲で、例えば20kPa〜80kPaに管理し、その他、反応圧力は減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲で実施することができきるが、通常は0.05MPa〜2MPaの圧力で実施される。反応器流出ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧を設定することが安全性から好ましい。また、反応温度は、100℃以上の高温でも実施できるが、好ましくは30℃〜100℃である。反応時間は反応生成物、副生成物の挙動、生産性によって最適な時間を設定することがこのましく、一義的には決められないが、通常1時間〜20時間である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。まず、本実施例に用いられる各種の工程を以下に説明する。
(形状観察)
日立製製作所主製X−650走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
(物性測定:細孔径、比表面積、細孔容積)
ユアサ・アイオニクス/オートソーブ3MP装置により、吸着ガスとして窒素を用いて測定した。尚、表面積はBET法、細孔径ならびに細孔分布はBJH法、細孔容積はP/P0,Maxでの吸着量を採用した。
(EPMA解析)
金担持粒子を樹脂に抱埋し、研磨して得られる粒子断面の解析を、島津製作所製:EPMA1600を用い、 加速電:15KeVで測定した。反射電子像、線分析(Au分析は波長:5.8419、分光結晶:PET、Si分析は波長:7.1224、分光結晶ADPを用いた)からAuの外表面から深さ方向の解析を行った。
(超音波洗浄)
超音波洗浄装置は東京超音波技術株式会社製:IUC−3011を用い、出力600W/L、電力密度20W/L、発振周波数27KHzで行った。
(ICP−MS分析)
溶液中のAu濃度の分析はTnermo Elemental社製、X7ICP/MS型を用いて測定した。
まず、以下の担体製造例1及び2に従って2種類の担体を製造し、実施例、比較例に供した。
〔担体製造例1〕
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)3.75kg、硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬製)2.56kgを純水4.67kgに溶解した水溶液を、15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル(ナルコ社製、商品名:TX11561をSiO2含有量30wt%に調整水溶液)20.0kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムの混合スラリーを得た。その後、混合スラリーを50℃で24時間保持し熟成させた。室温に冷却した後、攪拌しながらスプレードライヤー装置を用いて空気中で出口温度130℃に設定したスプレードライヤーで噴霧乾燥成形し、その後、400℃で焼成後、分級処理を行い30μ以下の粒子及び150μm以上の粒子を除去して平均粒子径60μmの粒子を得た。再度580℃で焼成を行い白色のシリカ・Al・マグネシア担体を得た。得られ担体の細孔径は窒素脱離から得られた値は3〜15nmで最高頻度径は8nm、細孔容積は、0.29ml/gであった。
本製造例においては、
(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al=0.5であり、Al/Si=0.10である。
〔担体製造例2〕
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)4.86kg、硝酸ルビジウム(和光純薬製)3.05kgを純水5.0kgに溶解した水溶液を、15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル(ナルコ社製、商品名:TX11561をSiO2含有量30wt%に調整水溶液)20.0kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸ルビジウムの混合スラリーを得た。その後、混合スラリーを室温で24時間保持し熟成させた。室温で攪拌しながらスプレードライヤー装置を用いて空気中で出口温度130℃に設定したスプレードライヤーで噴霧乾燥成形し、その後、400℃で焼成後分級処理を行い30μ以下の粒子、150μm以上の粒子を除去して平均粒子径60μmの粒子を得た。再度580℃で焼成を行い白色のシリカ・Al・ルビジウム担体を得た。細孔径は窒素脱離から得られた値は3〜15nmで最高頻度径は7nm、細孔容積は、0.27ml/gであった。
本製造例においては、
(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al=0.77であり、Al/Si=0.13である。
〔実施例1:金担持粒子の製造〕
担体製造例1の担体を90℃の熱水中で攪拌し、4時間の水熱処理を行った。乾燥後、400℃まで2時間かけて昇温後3時間焼成した。室温まで冷却した担体100重量部に対し、Alとして0.35重量部の硝酸アルミニウム水溶液攪拌した状態で90℃に維持し、担体を瞬時に投入後10分間攪拌した。次に担体100重量部に対し金属金として3重量部となるテトラクロロ金酸水溶液と少量の硝酸を加えた溶液を瞬時に加え、90℃で10分間攪拌した。上澄みをデカントして除去した後、室温で蒸留水を用いて洗浄後、乾燥し、400℃で焼成した。続いて、金担持体を水中に分散させ、超音波洗浄を30分行った。その後上澄みが透明になるまで水洗を行い、80℃で真空乾燥して金担持粒子を得た。EPMA解析の結果、粒子の外表面から深さ方向2μmには金が担持されない外部層を有し、内部層においては、中心部に比べ、表面近傍に金が高い濃度で担持されていることを確認した。
〔比較例1:金担持粒子の製造〕
水熱処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行って金担持粒子を調整した。EPMA解析の結果、粒子の外表面から深さ5μmの範囲には金が担持されていなかったが、内部層においては、中心部まで均一に金が担持されていることが確認された。
〔実施例2:エステル化反応〕
実施例1の金担持粒子200gを触媒として、触媒分離器を備えた液相部が1.2リットルの攪拌式スレンレス製反応器に仕込み、攪拌羽の先端速度を4m/sとして内容物を攪拌しながら、アルデヒドとアルコールの酸化的エルテル化反応を実施した。36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.6リットル/時で供給し、80℃、0.4Mpa圧力で、出口酸素濃度が0.02Mpa以下となるように空気を吹き込んで反応を行った。生成物を一定の速度で抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析して反応性を調べた。また、反応開始から20時間のメタクリル酸メチル(MMA)の生成速度は6.5mol/h・KgCat、選択率は92.6%であった。500時間経過時点の反応性は、メタクリル酸メチル(MMA)の生成速度が6.4mol/h・KgCat、選択率が92.8%であり、ほとんど変化しなかった。また、反応液中の金の濃度をICP−MSを用いて測定したところ、20、100、500時間、各時点の反応液中の金濃度は1ppb以下であり、金の剥離等が完全に抑制されていることが確認された。
〔比較例2:エステル化反応〕
触媒を比較例1の触媒に変更した以外は、実施例2と同様の操作でエステル化反応を行った。反応開始から20時間のメタクリル酸メチル(MMA)の生成速度は5.2mol/h・KgCat、選択率は91.7%であった。500時間経過時点の反応性はメタクリル酸メチル(MMA)の生成速度は5.1mol/h・KgCat、選択率は91.8%であった。反応液中の金濃度は2ppb以下であったが、粒子内部まで均一に金が分布した触媒は、実施例1に比べて活性が低いことが確認できた。
〔実施例3:金担持粒子の製造〕
担体製造例2の担体100重量部に対し、Alとして0.50重量部を用意した。硝酸アルミニウム水溶液を90℃に維持して撹拌している中に、担体を投入し、90℃に維持して撹拌を続け、3時間の水熱処理を行った。乾燥後、500℃まで2時間かけて昇温させた後、3時間焼成した。室温に冷却後、アルミニウム処理した担体を水に分散させ、次に、担体100重量部を瞬時に投入し、10分間攪拌した。次に、担体100重量部に対し金属金として4重量部となるテトラクロロ金酸水溶液と少量の硝酸を加えた溶液を瞬時に加え、90℃で10分間攪拌した。上澄みをデカントして除去した後、室温で蒸留水を用いて洗浄後、乾燥し、400℃で焼成した。続いて、金担持粒子を水中に分散させ、超音波洗浄を30分行った。その後水洗を上澄みが透明になるまで行い、80℃で真空乾燥して金担持粒子を得た。EPMA解析の結果、粒子の外表面から深さ方向3μmには金が担持されない外部層を有し、内部層においては、中心部に比べ、表面近傍に金が高い濃度で担持されていることを確認した。
〔実施例4:エステル化反応〕
実施例3の金担持粒子200gを触媒として、触媒分離器を備えた液相部が1.2リットルの攪拌式スレンレス製反応器に仕込み、攪拌羽の先端速度を4m/sとして内容物を攪拌しながらアルコールの酸化的エステル化反応を実施した。25.0重量%のエチレングリコール/メタノール溶液を0.6リットル/時で供給し、90℃、0.4Mpa圧力で、出口酸素濃度が0.02Mpa以下となるように空気を吹き込んで反応を行った。生成物は一定の速度で抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析して反応性を調べた。反応開始から20時間のグリコール酸メチル(GM)の生成速度は5.1mol/h・KgCat、選択率は78.6%であった。500時間経過時点の反応性は、グリコール酸メチル(GM)の生成速度が5.0mol/h・KgCat、選択率が79.2%であり、ほとんど変化しなかった。また、反応液中の金濃度をICP−MSを用いて測定したところ、20、500時間の各時点の反応液中金濃度はいずれも1ppb以下であり、金の剥離等が完全に抑制されていることが確認された。
〔実施例5:エステル化反応〕
実施例1の触媒200gを、触媒分離器を備えた液相部が1.2リットルの攪拌式スレンレス製反応器に仕込み、攪拌羽の先端速度を4m/sとして内容物を攪拌しながらアルコールの酸化的エステル化反応を実施した。エタノールを0.6リットル/時で供給し、80℃、0.5Mpa圧力で、出口酸素濃度が0.02Mpa以下となるように空気を吹き込んで反応を行った。生成物は一定の速度で抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析して反応性を調べた。反応開始から30時間の酢酸エチルの生成速度は3.8mol/h・KgCat、選択率は84.5%であった。300時間経過時点の反応性は酢酸エチルの生成速度は3.8mol/h・KgCat、選択率は84.6%であった。また、反応液中の金濃度をICP−MSを用いて測定したところ、30、300時間の各時点の反応液中金濃度はいずれも1ppb以下であり、金の剥離等が完全に抑制されていることが確認された。

Claims (14)

  1. シリカを含む担体に金が担持された粒子であって、
    前記粒子は、実質的に金を含まない外部層と、金を含む内部層とを含み、該内部層においては、前記金の濃度が該粒子の中心部より外周部で高くなっている、金担持粒子。
  2. 前記担体の粒径が、20μm〜150μmの範囲であり、前記外部層が、前記粒子の最外表面から5μm以内の厚さで形成されている、請求項1に記載の金担持粒子。
  3. 窒素吸着法により窒素脱離スペクトルから求めた前記粒子の細孔直径の最高頻度が、3nm〜50nmの範囲である、請求項1または2に記載の金担持粒子。
  4. 前記粒子の細孔容積が、0.1ml/g〜0.5ml/gの範囲である、請求項1から3のいずれか1項に記載の金担持粒子。
  5. 前記担体がシリカと、Alと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属とを含み、
    Siと前記Alの原子比が下記式(I)を満たし、前記Alと前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属との原子比が下記式(II)を満たす、請求項1から4のいずれか1項に記載の金担持粒子。
    Al/Si=0.02〜0.25 (I)
    (アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al≧0.5 (II)
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の金担持粒子の製造方法であって、
    前記シリカを含む担体を300℃以上で焼成した後、60℃以上で水熱処理を行う第1工程と、
    前記担体と、金を含む溶液とを接触させる第2工程と、を含む方法。
  7. 前記金を含む溶液が酸性に調整されている、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記第2工程の後に、少なくとも1回の超音波洗浄処理を行う、請求項6または7に記載の製造方法。
  9. アルデヒド、アルコール及び酸素を液相で触媒の存在下反応させる工程を含むカルボン酸エステルの製造方法であって、
    前記触媒として、請求項1から5のいずれか1項に記載の金担持粒子を用いる、方法。
  10. 前記カルボン酸エステルがアクリル酸エステルであり、
    前記アルデヒドが、アクロレインであり、
    前記アルコールが、メタノール、エタノール、ブタノール2エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1つのアルコールである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記カルボン酸エステルがメタクリル酸エステルであり、
    前記アルデヒドがメタクロレインであり、
    前記アルコールがメタノール、エタノール、ブタノール2エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1つのアルコールである、請求項9に記載の方法。
  12. 1または2種類のアルコール及び酸素を液相で触媒の存在下反応させる工程を含むカルボン酸エステルの製造方法であって、
    前記触媒として、請求項1から5のいずれか1項に記載の金担持粒子を用いる、方法。
  13. 前記カルボン酸エステルが、オキシカルボン酸メチル、オキシカルボン酸エチル、カルボン酸メチル、カルボン酸エチルであり、
    前記1または2種類のアルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、メタノール及びエタノールからなる群から選択される1または2種類のアルコールである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記カルボン酸エステルが酢酸エチルであり、
    前記アルコールがエタノールである、請求項12に記載の方法。
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