JP4056782B2 - カルボン酸エステル製造用触媒、その製法およびその触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸エステル製造用触媒、その製法およびその触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒドとアルコール及び酸素存在下でカルボン酸エステルを製造する際に使用する触媒の製造方法、その製法およびその触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルデヒドとアルコールから一段でカルボン酸エステルを製造する方法(以下「直メタ法」という。)は多く提案されている。気相反応で直メタ法を行う方法としては、例えば、特公昭53−15492号公報にパラジウム−リン−アンチモン系触媒を用いて製造する方法が記載されている。一方、液相反応で直メタ法を行う方法としては、例えば、特公昭57−35856号公報、特公平4−72578号公報、特開昭57−50545号公報等にパラジウム−鉛系触媒が、特開昭61−243044号公報にパラジウム-テルル系触媒が、特公昭57−35860号公報にパラジウム−タリウム−水銀系触媒が、特公昭57−19090号公報にパラジウム−アルカリ土類金属−亜鉛−カドミウム系触媒が、特公昭62−7902号公報、特開平10−158214号公報等にパラジウム−ビスマス系触媒を用いる製造方法が記載されている。
【0003】
液相反応で直メタ法を行う際に使用される少なくともパラジウムを含む触媒は、通常、パラジウムを含む金属触媒成分を担体に担持した状態で用いられることが多い。そのため、直メタ法の反応成績および反応の安定性を向上させる目的で、担体を改良した触媒が提案されている。例えば、特公昭57−35860号公報、特開平9−221452号公報には担体として炭酸カルシウム担体を用いる方法が、特公平4−46618号公報、特開平9−221453号公報には酸化亜鉛および他の酸化物を含めた担体を用いる方法が記載されている。また、特開昭57−50942号公報には比表面積が70m2/g以下のシリカ担体、アルミナ担体、チタニア担体、ジルコニア担体、ケイソウ土担体、シリコンカーバイド担体およびシリカ−アルミナ担体を用いる方法が、特開平5−148184号公報には疎水性を有するテフロン(登録商標)担体、弗化黒鉛担体およびハイシリカゼオライト担体等を使用する方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの触媒は反応成績ならびに触媒寿命の観点から必ずしも満足のいく触媒とはいえない。そのため、さらに、担体の強度を改善する方法として、特開平8−332383号公報にシリカ−アルミナ担体、特開平9−52044号公報にシリカ−アリミナ−マグネシア担体、特開平9−192495号公報に結晶性のメタロシリケート担体、特開2000−323828号公報にシリカもしくはシリカ−金属酸化物を用いる方法が提案されている。そして、これらの触媒は工業プロセスでの実用化を前提に耐破砕性ならびに耐水性がかなり改善されてはきている。但し、カルボン酸エステルを製造する反応場は、副生するカルボン酸および中和アルカリの影響による酸性もしくはアルカリ性に変動する領域が存在しており、その条件下に曝される触媒の耐薬品性能としては十分なものとはいえない。耐薬品性能は触媒金属成分の剥離や結晶成長の増大化などの劣化に大きく影響するため、プロセスの安定運転を成し遂げるために高い耐薬品性能が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、酸素存在下でアルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する方法において、耐薬品性および耐破砕性が優れていることに加え、高反応性を有するパラジウム担持触媒を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意研究の結果、本発明をなすに至っ
た。すなわち、本発明は、下記の通りである。
(1)酸素存在下でアルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパラジウムを担持してなるカルボン酸エステルの製造用触媒において、担体として、ジルコニウム、珪素、アルミニウムの3元素を必須とし、任意にマグネシウムを含めた4元素を含有する複合酸化物体を用いることを特徴とするカルボン酸エステルの製造用触媒。
(2)該担体が、含有する各元素を酸化物としての重量濃度に換算して、ジルコニアを30〜95wt%、シリカを4〜69wt%、アルミナを1〜20wt%、マグネシアを1〜20wt%の範囲内にあるものを使用することを特徴とする前記(1)記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
(3)該パラジウム担持触媒が、鉛を鉛/パラジウム原子比で0.2〜3の担持組成比の範囲内に含有していることを特徴とする前記(1)、(2)記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
【0007】
(4)担体の原料として(a)コロイド平均粒子径3〜70nmのジルコニアゾル、(b)コロイド平均粒子径3〜50nmのシリカゾル、(c)アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物を用いたことを特徴とする前記(1)〜(3)記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
(5)原料を混合したスラリーもしくは任意にマグネシウム化合物を加えた混合スラリーを噴霧乾燥および焼成することにより球状担体を製造し、更にその球状担体にパラジウム単独もしくはパラジウムおよび鉛を液相中で吸着担持し、還元することを特徴とする前記(1)〜(4)記載のカルボン酸エステル製造用触媒の製造方法。
(6)酸素存在下でアルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する方法において、触媒として請求項1〜4のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法。
(7)カルボン酸エステルがメタクリル酸メチルであることを特徴とする請求項6記載のカルボン酸エステルの製造方法。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、触媒および担体の成分組成ならびに製造方法に特徴を有する結果、酸素存在下でアルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する方法において、耐薬品性および耐破砕性が優れていることに加え、高活性および高選択性を有する触媒を見出すに至った。
本発明は、ジルコニウム、珪素、アルミニウムの3元素を必須とし、任意にマグネシウムを含めた4元素を含有する複合酸化物をパラジウム触媒の担体として用いることが重要である。必須とする3元素の複合酸化物化に伴い、2元素の複合酸化物にみられない特異的な耐久性能をもつものである。つまり、必須とする3元素の中1元素でも除かれると耐薬品性および耐破砕性の効果が低くなる。そのため、用いる担体として、従来公知の「2成分系」あるいは「多成分系を可能」とする技術とは明らかに異なる効果がある。
【0009】
また、本発明において用いられる触媒担体は、含有する各元素を酸化物としての重量濃度に換算して、ジルコニアを30〜95wt%、シリカを4〜69wt%、アルミナを1〜20wt%、マグネシアを1〜20wt%の範囲内にあるものを使用することが好ましい。担体組成が本範囲にあることにより、さらに高い耐薬品性能が発現すると共に、触媒として活性および選択性に優れた反応特性を発揮する。
如何なる理由で高い耐久性能をもつのか解析は不十分であるが、本発明者の推察によれば、各元素が酸素を介在して架橋し合うため耐久性能が向上しているものとみている。例えば、ジルコニア単独のゲルは−Zr−O−Zr−O−のように結合しているが、複合化により−Zr−O−Al−O−Si−O−結合が新たに形成されることが考えられる。つまり、ジルコニア、シリカ、アルミナが複合化したメタルオキサン構造を形成することにより、耐破砕性および耐薬品性を発現している可能性がある。また、マグネシウムは、担体の耐久性を高める効果の他、多孔質体が架橋体構造を形成する上で生じた電荷バランスを安定化する働きがあると考えている。
【0010】
尚、カルボン酸エステルの製造において上記担体を用いることは、前述した以外にも、反応活性ならびに反応選択性の向上に寄与する。本発明者は、反応性を高める効果としては、3つの働きがあると考えている。一つは、パラジウムの高分散化であり、一つは、反応場における反応阻害因子の吸着抑制作用の発現であり、さらに、触媒製造において設計通りの構造体を調製および維持できることである。特に、触媒製造に関しては、耐薬品性の向上に関係するものであり、例えば、耐久性の弱い担体を用いた場合には、触媒化処理の際に構造変化を起こしてしまい、製造された時点で反応性が低い結果になることが考えられる。
【0011】
本発明において使用されるパラジウム触媒は、鉛を鉛/パラジウム原子比で0.2〜3の担持組成比の範囲内に含有していることが好ましい。尚、鉛量は、担体に担持されたパラジウムの状態で変化するが、原則的には触媒として鉛/パラジウム原子比で1/3の構造体を形成する量を用いればよい。担体上では、パラジウム単独原子ならびに鉛単独原子が偏在する可能性があり、触媒製造には鉛/パラジウム原子比で1/3の量に対して、ある程度過剰な鉛を用いることがよい。尚、パラジウムに吸着する鉛は、反応活性の向上ならびに反応選択性の向上に大きな効果をもつ。
【0012】
本発明における触媒は、担体製造工程と触媒化工程に別けて製造することが可能である。担体は、ジルコニウム、珪素、アルミニウムの原料として、(a)コロイド平均粒子径3〜70nmのジルコニアゾル、(b)コロイド平均粒子径3〜50nmのシリカゾル、(c)アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物を用い、これらの原料を混合したスラリーもしくはマグネシウム化合物を加えて混合したスラリーを噴霧乾燥することにより製造することができる。尚、コロイドの粒子径は、レーザードップラー式光散乱法により測定される値である。また、本発明における担体は、製造方法として噴霧乾燥法に限定するものではなく、従来公知の球状担体を製造する技術を用いることもできる。
【0013】
ジルコニアゾルおよびシリカゾルは、一般公知の製造方法にしたがって調製できるほか、市販ゾルをそのまま用いても良い。例えば、ジルコニアゾルの場合は、水溶性ジルコニウム塩の水溶液を約120℃以下の温度で加熱して加水分解するか、あるいはアンモニア等のアルカリ剤によって中和することにより得ることができる。また、シリカゾルは、水ガラスを硫酸などの鉱酸で中和して得られるゾルあるいは水ガラスをイオン交換樹脂で処理して得られるゾルなどが使用できる。但し、ジルコニアゾルは平均粒子径3〜70nm、シリカゾルは平均粒子径3〜50nmの範囲内にあるものを使用することが、球状な耐久性のある担体を形成する上で好ましい。コロイドの粒子径が小さくなると比表面積の増加ならびに耐破砕性が向上する傾向にあるが、球状粒子を得る上で好ましくない。また、コロイドの粒子径が大き過ぎると細孔径および細孔容積が大きくなる傾向にあるが、比表面積の低下ならびに耐薬品性および耐破砕性の低下に影響する。したがって、前述した粒子径の範囲で適宜必要とする担体の物性要求にあわせて選択すればよい。
【0014】
アルミニウム原料としては、アルミナゾルもしくは一般の市販されるアルミニウム化合物を用いることができる。アルミナゾルとしては、ジルコニアゾルおよびシリカゾルと同様に通常の市販ゾルを適用できる。また、アルミニウム化合物としては、例えば、アルミン酸ソーダ、塩化アルミニウム六水和物、過塩素酸アルミニウム六水和物、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、二酢酸アルミニウムなどであり、好ましくは水溶性のアルミニウム化合物、より好ましくは硝酸アルミニウムである。水溶性のものが好ましい理由は、ジルコニアゾルならびにシリカゾルとの混合スラリーを調製する際に水溶液として添加することが可能であり、スラリー中に均一分散しやすいからである。また、硝酸アルミニウムが好ましいのは、球状成形した担体を焼成する過程において、アルミニウム以外は窒素酸化物として気化して消失するため、後から不純物を除去する操作等が必要ないからである。同様にアルミナゾルも他の不純物を残存しない利点がある。
【0015】
マグネシウムの原料としては、アルミニウム原料と同様に一般の市販されるマグネシウム化合物を用いることができる。好ましくは水溶性のマグネシウム化合物であり、より好ましいのは硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムである。
また、本発明においては、ジルコニア、シリカ、アルミニウム化合物の混合スラリー、もしくは任意にマグネシウム化合物を加えた混合スラリーに無機物および/あるいは有機物を加えることが可能である。用いられる無機物としては、硝酸、塩酸、硫酸等の鉱酸類およびアルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属塩ならびにアンモニアや硝酸アンモニウム等の水溶性化合物のほか、水中で分散して懸濁液を生じる粘土鉱物も使用できる。また、有機物としては、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の重合体などが用いることができる。
【0016】
無機物および有機物を加える効果は様々であるが、大別すると球状担体の成形と細孔径および細孔容積を上げる目的に使用する。球状な担体を得るには混合スラリーの液質が重要であり、無機物あるいは有機物によって粘度や固形分濃度を変更し、球状な担体が得られやすい液質に改良できる。また、細孔径および細孔容積を上げるには、無機物あるいは有機物を加えたスラリーを乾燥成形することにより、乾燥した粉体内部に該無機物あるいは該有機物を包含せしめ、成形後の焼成ならびに洗浄操作により不要な無機物あるいは有機物を除去することにより実施できる。したがって、細孔容積を上げる目的において用いる無機物あるいは有機物は、沸点あるいは分解温度が200〜800℃の範囲にある物質もしくは溶解が容易な溶媒をもつ物質を選択することが好ましい。無機物あるいは有機物の選定により、球状化の促進や要求される物性値に変更できる効果は大きい。
【0017】
さらに、本発明の担体は、前述した各種原料ならびに添加物の混合スラリーを噴霧乾燥することにより球状な成形体に製造することができる。混合スラリーを液滴化する方法としては、回転円盤方式、二流体ノズル方式、加圧ノズル方式など公知の噴霧装置を使用できる。
噴霧する液は、よく混合された状態で用いることが必要である。混合状態が悪く同種のものが偏在すると耐久性が上がらなくなるなど、担体の性能に影響する。特に原料調合時には、スラリーの粘度上昇および一部ゲル化(コロイドの縮合)が生じる場合もあり、この生成する微粒なゲル体も各種元素が均一に取り込まれていることが望まれる。そのため、原料の混合を攪拌下で徐々に行うなどの配慮を行うほか、酸性やアルカリ性の薬品を加えるなどの方法を用いることもよい。
【0018】
また、噴霧する液は、ある程度の粘度ならびに固形分濃度をもっていることが必要である。粘度や固形分濃度が低すぎると噴霧乾燥で得られる多孔質体が、真球とならず陥没球が多く生成する。また、高すぎると担体同士の分散性に悪影響を及ぼすことがある他、スラリーが噴霧ノズル内部で閉塞しやすくなるなど問題を生じる場合もある。そのため、粘度としては15〜400cpの範囲にあることが好ましく、また、固形分濃度は10〜50wt%の範囲内にあることが好ましい。尚、噴霧乾燥条件としては、噴霧乾燥器の乾燥塔入り口の熱風温度は200〜280℃、乾燥塔出口温度が110〜140℃の範囲内にあることが好ましい。
【0019】
本発明の担体の焼成温度は、300〜800℃の範囲内である。焼成条件は担体の物性が変化するため、適切な温度条件ならびに昇温条件の選定が必要である。焼成温度が低いと複合酸化物として耐久性の維持が難しく、高すぎると比表面積ならびに細孔容積の低下に至る。また、昇温条件は、プログラム昇温等を利用し徐々に昇温していくことが好ましい。急激に高い温度条件で焼成した場合は、無機物および有機物のガス化や燃焼が激しくなり、設定以上の高温状態に曝されるたり、粉砕の原因になるため好ましくない。
【0020】
以上、触媒の担体の製造について述べてきたが、こと、マグネシウムを担体に含有させる方法については、他の成分と同時に噴霧乾燥する以外に後からマグネシウムを吸着させる方法が使用できる。例えば、マグネシウム化合物を溶解した液中に担体を加えて乾燥処理を行うなど浸漬法を用いた方法、細孔容量分のマグネシウム溶液を担体に染み込ませて乾燥処理を行うなど含浸法を用いる方法も適用できる。但し、後からマグネシウムを吸着させる方法は、担体にマグネシウムを高分散化するうえで液乾燥処理を緩和な条件で行うなどの注意が必要である。
【0021】
本発明における触媒は、前述した担体にパラジウムおよび鉛を液相中で吸着担持し還元することにより製造できる。
パラジウムの原料としては、パラジウムの酢酸塩、蟻酸塩等のカルボン酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩類などの無機酸塩、パラジウム有機金属錯等の化合体を用いることができる。また、鉛の原料としては、酢酸鉛、蟻酸鉛などのカルボン酸塩、酸化鉛、水酸化鉛、硝酸鉛等の化合物が挙げられる。さらに、還元剤としては、ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、分子状水素を用いることができる。尚、触媒製造の際に液相中にアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を溶解させて用いることができる。好ましくはナトリウム塩、マグネシウム塩であり、より好ましくは酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウムである。
【0022】
パラジウムおよび鉛を担体に担持する方法は、従来公知の方法を用いることができる。代表的な触媒調製法について説明すれば、塩化パラジウムなどの可溶性のパラジウム化合物、及び可溶性の鉛化合物を溶解させた水溶液に担体を添加し、加温しながら含浸させることができる。この場合、パラジウムを担持する前に鉛を担持しておいてもよいし、あるいはパラジウムを担持した後に鉛を担持しても構わない。また、マグネシウムを含有する担体を用いる場合は、液相中でパラジウムおよび鉛をイオン交換的に吸着させることができる。この場合も、パラジウムおよび鉛の吸着させる順番は特に制限はない。尚、担持する際の温度条件は、室温〜200℃の温度で行うことができ、好ましくは40〜160℃である。
【0023】
還元方法としては、前述の触媒前駆体を水もしくはメタノール中にて、加温しながら、ホルマリン、蟻酸、ヒドラジンを添加することによって還元できる。また、分子状水素を使用して還元を行うこともできる。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジンの使用量は一般的にはパラジウム担持量に対し、0.5〜100倍モル、実用的には2〜10倍モルが使用される。また、この量を越えても特に問題はない。また、分子状水素による還元処理は、純粋な水素ガスまたは窒素あるいはメタン等の不活性なガスで希釈されたもの物を用いることができる。水素濃度は0.1vol%以上とし圧力は常圧ないしは数十気圧の条件で触媒製造時の分散液中に吹き込むなどして行われる。
尚、触媒製造の際に液相中に添加して用いられるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩の量は、パラジウムの1〜15倍モルの範囲であることが好ましい。還元する際の温度ならびに圧力条件は、温度が40〜160℃、圧力が常圧〜数気圧であることが好ましくい。さらに、還元処理時間は触媒種、処理条件により変わるが、大まかに数分〜100時間である。数時間以内に処理が完了するように条件を設定するのが好都合である。
【0024】
本発明における触媒のパラジウム担持量は、特に限定はないが、担体重量に対し、好ましくは0.1〜20wt%、より好ましくは1〜10wt%である。本範囲を外れて高過ぎると担体中に分散させるパラジウムが凝集し触媒金属当たりの活性が低くなり、低過ぎると触媒当たりの活性が低くなる。
また、本発明における触媒は、パラジウム、鉛の他に異種元素を含有させることもできる。例えば、水銀、タリウム、ビスマス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、 アンチモン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素などを含ませることが可能である。これらの異種元素は、触媒あたり5wt%以下ないし、1wt%以下の濃度であることが好ましい。さらに、触媒にアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一種の金属塩を含有させてもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属の含有量は、触媒あたり15wt%以下の範囲から選ばれる。尚、これらの異種元素もしくはアルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物は、触媒製造や反応の際に触媒中に含有させてもよいし、あらかじめ担体に含有させておく方法も用いることができる。
【0025】
尚、パラジウムおよび鉛の他に異種元素を含有させた触媒は、種々の反応において使用することができる。例えば、アルデヒドとアルコールから酸化的カルボン酸エステル化反応、アセチレン類のオレフィン類への部分水素化反応、パラフィン類への完全水素化反応、ジオレフィン類のモノオレフィン化反応、オレフィンの選択水素化反応、脂肪族脱ハロゲン化反応、酸クロライドの還元反応、芳香族ニトロ化合物のアミンへの水素化反応、芳香族カルボニルの水素化反応、安息香酸の環水素化反応、フェノールのシクロヘキサンへの水素化反応、芳香族ケトンのアルコールへの水素化反応、芳香族ケトンのアルキル芳香族への水素化反応、芳香族カルボニルの水素化分解反応、芳香族カルボニルの脱カルボニル化反応、芳香族ニトリルのアミンへの水素化反応、芳香族ニトリルアルデヒドへの水素化反応、シクロヘキセンの不均化反応、オレフィンの異性化反応、アニリン類の還元N−メチル化反応、芳香族ニトロ化合物のヒドラゾベンゼン化合物への水素化反応、ニトロヘキサン類のシクロオキサノン類への水素化反応、ニトロオレフィン類のアルキルアミン類への水素化反応、オキシム類の第一アミンへの水素化反応、脱ベンジル反応、エポキサイドのアルコールへの水素化反応、還元アミノ化反応、キノン類のハイドロキノン類への水素化反応、芳香族エステル類の環水素化反応、フラン環の水素化反応、ピリジン化合物の環の水素化反応、硝酸塩のヒドロキシアミンへの水素化反応、過酸化物の水素化反応、脂肪族ニトロ化合物の水素化反応、アセトオキシレーション、カルボニレーション、脱水素反応、液相酸化反応、デオキソ反応、一酸化炭素の酸化反応、NOXの還元反応などの触媒として利用できる。
【0026】
本発明におけるパラジウム/鉛含有担持触媒は、前述した各種利用できる反応の中でも、特にアルデヒドをアルコール及び分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造する反応に好適に使用することができる。触媒の使用量は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式などによって大巾に変更することができ、特に限定はないが、触媒をスラリー状態で反応させる場合は、スラリー中の固形分濃度として、4〜50wt/vol%の範囲内に収まるよう使用するのが好ましい。
また、原料に用いるアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、ならびにアルデヒドの誘導体などが挙げられる。これらのアルデヒドは、単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いることができる。
【0027】
一方、アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アルコール、エチレングリコール、ブタンジオールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。これらも、また、アルコールは単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いることができる。さらに、酸素は、分子状酸素すなわち酸素ガスまたは不活性ガスに希釈した酸素ならびに空気を用いることができる。
【0028】
尚、カルボン酸エステルを製造する反応において、アルデヒドとアルコールの使用量比は、例えば、アルデヒド/アルコールのモル比で1/2〜1/50の範囲であるが、特に制限はない。また、反応系に存在させる酸素量は、反応に必要な化学量論量以上、好ましくは化学量論量の1.2倍以上であればよい。
また、本発明のカルボン酸エステル製造反応は、気相反応、液相反応、潅液反応などの任意の方法で回分式又は連続式のいずれによっても実施できる。反応は無溶媒でも実施できるが、反応成分に対して不活性な溶媒、例えばヘキサン、デカン、ベンゼン、ジオキサンなどを用いてもよい。反応器形式としては、固定床式、流動床式、撹拌槽式など従来公知の形式を採用できる。尚、本発明の触媒は耐破砕性をもつため、流動床反応器、気泡塔反応器、撹拌槽反応器にも安定に使用できる。
【0029】
本発明における触媒の粒子径は、反応形式に応じて適宜選ぶことができる。例えば、液相懸濁状態で使用する際は触媒の分離方法によって変わり、自然沈降分離では、好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは20〜100μmである。また、フィルター分離を用いる方法では、0.1〜20μmの微粒子が使用される場合もある。
本発明のカルボン酸エステル製造反応プロセスを液相等で実施する場合には、反応系にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して反応系のpHを6〜9に保持することが好ましい。また、本反応を連続的に実施する際には、鉛を含む物質を反応器に加えながら反応を行うことが好ましい。このときの鉛量は、反応器出口側の酸素分圧や反応させるアルデヒド種、アルコール種などの反応原料、反応条件もしくは反応器形式などにより変化するが、実用的には反応器出口の酸素分圧を20〜80kPaに管理し、反応器に添加する鉛濃度を0.1〜2000ppmの範囲で反応を行うことが好ましい。
【0030】
その他、反応圧力は減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲で実施することができきるが、通常は0.05〜2MPaの圧力で実施される。反応器流出ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧を設定するとよい。また、反応温度は、100℃以上の高温でも実施できるが、好ましくは30〜100℃である。反応時間は特に限定されるものではなく、設定した条件により異なるので一義的には決められないが、通常1〜20時間である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。尚、触媒の耐薬品性は担体の性能に基づくため、担体を含めて性能試験を実施した。各種物性の評価方法は下記に示す通りである。
(形状観察)
日立製製作所主製X−650走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
(物性測定:細孔径、比表面積、細孔容積)
ユアサ・アイオニクス/オートソーブ3MP装置により、吸着ガスとして窒素を用いて測定した。尚、表面積はBET法、細孔径ならびに細孔分布はBJH法、細孔容積はP/P0,Maxでの吸着量を採用した。
(耐破砕強度試験)
島津製作所/島津微小圧縮試験機MCM−500によって測定した。室温下破断点の負荷を求め下記式で算出した。
St=2.8P/πd2
Stは強度(MPa)、Pは試験力(N)、dは粒子径(mm)
【0032】
(担体の耐食試験)
120mlのSUS製マイクロボンベに0.01N硝酸18gを仕込み、その溶液中に担体2gを添加した後、60℃の温度条件下で10分間攪拌した。その後、酸処理された担体をろ過および水洗し、続いて0.01Nの苛性ソーダを18g加え、酸処理と同様な方法でアルカリ処理を行った。以上の操作を各処理とも交互に2回繰り返し、ろ過液中に溶出したジルコニア、珪素、アルミニウムの量を理学/JY−138−ICP発光分析装置により測定した。尚、実施例ならびに比較例に記載する溶出量は処理した担体の全重量に対する各元素の溶出した重量の割合で表した。
【0033】
(触媒の構造耐久試験)
耐食試験同様に同様な方式で、酸性薬品およびアルカリ性薬品で処理をおこなった。但し、酸性薬品としてPH4の標準緩衝液(フタル酸塩標準液)、アルカリ性薬品としてPH9の標準緩衝液(ほう酸塩標準液)に1Nの苛性ソーダを加えてPH10とした液を用いた。また、温度ならびに処理時間を90℃で10分間とし、処理回数を酸、アルカリ処理を交互に各10回繰り返したとした。物性変化の指標として処理前後の細孔分布の測定をおこなった。
【0034】
【実施例1】
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)1.39kgを純水に溶解した水溶液を、攪拌下のコロイド平均粒子径10〜20nmのシリカゾル(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−N30、SiO2含有量30wt%)0.71kg中へ徐々に滴下し、シリカゾルと硝酸アルミニウムの混合液を調合した。次に、この混合液を、攪拌下のコロイド平均粒子径50nmのジルコニアゾル(ニューテックス株式会社製、商品名:ZSL−20N、ZrO2含有量20wt%)8kg中へ少量ずつ加え、ジルコニアゾル、シリカゾル、硝酸アルミニウムの混合白色スラリーを得た。尚、スラリー調合および攪拌の際にスラリーの粘度が上昇したため、適宜純水を加えて粘度上昇を抑えた。続いて、この混合スラリーを攪拌しながらスプレードライヤー装置を用いて空気中に噴霧し乾燥された球状成形体を得た。その後、電気炉にてプログラム焼成を行い白色の担体を得た。尚、焼成は、昇温条件を15℃/分として、途中、200℃にて1時間、400℃にて1時間、さらに620℃で4時間焼成する方法をとった。得られた担体の組成ならびに各評価結果を表1に示す。
【0035】
【実施例2】
ジルコニアゾルの原料としてコロイド平均粒子径10nmのゾル(ニューテックス株式会社製、商品名:ZSL−10T、ZrO2含有量10wt%)をZrO2濃度15wt%まで濃縮したものを8kg用いた以外は実施例1と同様な方法を用いて担体の製造および評価をおこなった。結果を表1に示す。
【0036】
【実施例3】
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)0.56kg、硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬製)0.85kgを純水に溶解した水溶液を、攪拌下のコロイド平均粒子径10〜20nmシリカゾル(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−O20、SiO2含有量20wt%)0.94kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムの混合液を調合した。次に、この混合液を、攪拌下のコロイド平均粒子径50nmのジルコニアゾル(商品名:ZSL−20N、ニューテックス株式会社製、ZrO2含有量20wt%)8.5kgに少量ずつ加え、各種原料を混合した白色スラリーを得た。このスラリーを、実施例1と同様な方法を用いて噴霧乾燥および焼成をおこなった。担体の組成ならびに各評価結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1】
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)0.85kg、硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬製)1.06kgを純水に溶解した水溶液を、攪拌下のコロイド平均粒子径10〜20nmのシリカゾル(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−N30、SiO2含有量30wt%)5.67kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムの混合スラリーを得た。尚、このスラリーを実施例1同様の方式で担体を製造した。得られた担体の組成ならびに各評価結果を表1に示す。
【0038】
【比較例2、3】
実施例1と同様な方法により、但し、ジルコニウムの原料をコロイド平均粒子径50nmのジルコニアゾル(ニューテックス株式会社製、商品名:ZSL−20N、ZrO2含有量20wt%)、珪素の原料をコロイド平均粒子径10〜20nmのシリカゾル(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−N30、SiO2含有量30wt%)、アルミニウムの原料を硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)、マグネシウムの原料を硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬製)と用いる原料種を定め、使用量を変更することにより異なる組成の担体を製造した。得られた担体の組成ならびに各評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004056782
【0040】
【実施例4】
実施例3で得られた担体100gを酢酸ナトリウム1水和物が8wt%溶解した300mlの液中に投入し、90℃で攪拌した。続いて、この担体入りの液中へ塩化パラジウム2.5g、酢酸鉛・3水和物10.8g、それぞれ溶解させた液を順じ加え1時間攪拌し、その後、ヒドラジンを触媒還元に必要な化学量論量の2倍量添加して還元処理を行った。こうして得られた触媒を、さらに、Clイオンが検出されなくなるまで水洗した後、80℃で真空乾燥処理し触媒を得た。この触媒を使用して、触媒の構造耐久試験を行った。その結果、担体と触媒の酸・アルカリ処理前後で細孔構造に変化がないことが明らかになった。担体、および触媒の構造耐久試験前後の細孔分布を図1に示す。
【0041】
【比較例4】
比較例1で得られた担体を用いたほか、実施例4の方法と同様にして触媒製造をおこなった。また、この触媒の構造耐久試験をおこなった。評価の結果、担体から触媒化した時点で細孔構造が大きく変化していることがわかった。また、構造耐久試験前後においても、さらに変化していることがわかった。担体および触媒の構造耐久試験前後の細孔分布変化を図2に示す。
【0042】
【実施例5】
実施例4で得られた触媒を120mlSUS製マイクロリアクターに0.25g仕込み、内部に残存する空気を窒素置換した後、10wt%のメタクロレン/メタノール溶液10gを投入した。その後、7%O2/N2ガスを1.5Mpaになるまで充填し、さらに45℃オイルバス中にて加温しながら2時間反応を実施した。(尚、予め仕込んでおいたマグネチックスターラーで反応中攪拌を継続した。)2時間後の反応液をガスクロ分析した結果、メタクロレンの転化率は31.3%、メタクリル酸メチルの選択率は92.1%であり、副生物としてプロピレンが1.3%、蟻酸メチル/メタクリル酸メチルが8モル/モルで生成していた。
【0043】
【比較例5】
比較例4で得られた触媒を使用したほか、実施例5の方法と同様の方式および条件で反応をおこなった。その結果、メタクロレンの転化率は21.2%、メタクリル酸メチルの選択率は80.0%であり、副生物としてプロピレンが4.4%、蟻酸メチル/メタクリル酸メチルが14モル/モルで生成していた。この結果より、本発明における触媒の反応性が高いことが明らかになった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素存在下でアルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する方法において、耐薬品性および耐破砕性の優れていることに加え、高反応性を有するパラジウム担持触媒を提供できる。本発明の触媒を用いることにより、触媒劣化が少なく、長期間にわたり安定的に且つ高活性および高選択率でカルボン酸エステルを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、担体および触媒の構造耐久試験前後の細孔分布(脱着)変化を表す構造図
【図2】図2は、担体および触媒の構造耐久試験前後の細孔分布(脱着)変化を表す比較構造図

Claims (7)

  1. 酸素存在下でアルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパラジウムを担持してなるカルボン酸エステルの製造用触媒において、担体として、ジルコニウム、珪素、アルミニウムの3元素を必須とし、任意にマグネシウムを含めた4元素を含有する複合酸化物体を用いることを特徴とするカルボン酸エステルの製造用触媒。
  2. 該担体が、含有する各元素を酸化物としての重量濃度に換算して、ジルコニアを30〜95wt%、シリカを4〜69wt%、アルミナを1〜20wt%、マグネシアを1〜20wt%の範囲内にあるものを使用することを特徴とする請求項1記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
  3. 該パラジウム担持触媒が、鉛を鉛/パラジウム原子比で0.2〜3の担持組成比の範囲内に含有していることを特徴とする請求項1又は2記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
  4. 担体の原料として(a)コロイド平均粒子径3〜70nmのジルコニアゾル、(b)コロイド平均粒子径3〜50nmのシリカゾル、(c)アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物を用いたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカルボン酸エステルの製造用触媒。
  5. 原料を混合したスラリーもしくは任意にマグネシウム化合物を加えた混合スラリーを噴霧乾燥および焼成することにより球状担体を製造し、更にその球状担体にパラジウム単独もしくはパラジウムおよび鉛を液相中で吸着担持し、還元することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカルボン酸エステル製造用触媒の製造方法。
  6. 酸素存在下でアルデヒドとアルコールを反応させてカルボン酸エステルを製造する方法において、触媒として請求項1〜4のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法。
  7. カルボン酸エステルがメタクリル酸メチルであることを特徴とする請求項6記載のカルボン酸エステルの製造方法。
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