JP2003305366A - カルボン酸エステル製造用触媒、その製法およびその触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

カルボン酸エステル製造用触媒、その製法およびその触媒を用いたカルボン酸エステルの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素存在下でアルデヒドとアルコールからカ
ルボン酸エステルを製造する方法において、耐薬品性お
よび耐破砕性が優れていることに加え、高反応性を有す
るパラジウム担持触媒を提供できる。本発明の触媒を用
いることにより、触媒劣化が少なく、長期間にわたり安
定的に且つ高収率でカルボン酸エステルを製造可能を課
題とする。 【解決手段】 カルボン酸エステルの製造触媒として、
パラジウム担持触媒を用いる上で、担体にジルコニウ
ム、珪素、アルミニウムの3元素もしくはマグネシウム
を含めた4元素を含有する複合酸化物体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルデヒドとアル
コール及び酸素存在下でカルボン酸エステルを製造する
際に使用する触媒の製造方法、その製法およびその触媒
を用いたカルボン酸エステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルデヒドとアルコールから一段でカル
ボン酸エステルを製造する方法(以下「直メタ法」とい
う。)は多く提案されている。気相反応で直メタ法を行
う方法としては、例えば、特公昭53−15492号公
報にパラジウム−リン−アンチモン系触媒を用いて製造
する方法が記載されている。一方、液相反応で直メタ法
を行う方法としては、例えば、特公昭57−35856
号公報、特公平4−72578号公報、特開昭57−5
0545号公報等にパラジウム−鉛系触媒が、特開昭6
1−243044号公報にパラジウム-テルル系触媒
が、特公昭57−35860号公報にパラジウム−タリ
ウム−水銀系触媒が、特公昭57−19090号公報に
パラジウム−アルカリ土類金属−亜鉛−カドミウム系触
媒が、特公昭62−7902号公報、特開平10−15
8214号公報等にパラジウム−ビスマス系触媒を用い
る製造方法が記載されている。
【0003】液相反応で直メタ法を行う際に使用される
少なくともパラジウムを含む触媒は、通常、パラジウム
を含む金属触媒成分を担体に担持した状態で用いられる
ことが多い。そのため、直メタ法の反応成績および反応
の安定性を向上させる目的で、担体を改良した触媒が提
案されている。例えば、特公昭57−35860号公
報、特開平9−221452号公報には担体として炭酸
カルシウム担体を用いる方法が、特公平4−46618
号公報、特開平9−221453号公報には酸化亜鉛お
よび他の酸化物を含めた担体を用いる方法が記載されて
いる。また、特開昭57−50942号公報には比表面
積が70m2/g以下のシリカ担体、アルミナ担体、チ
タニア担体、ジルコニア担体、ケイソウ土担体、シリコ
ンカーバイド担体およびシリカ−アルミナ担体を用いる
方法が、特開平5−148184号公報には疎水性を有
するテフロン(登録商標)担体、弗化黒鉛担体およびハ
イシリカゼオライト担体等を使用する方法が記載されて
いる。
【0004】しかしながら、これらの触媒は反応成績な
らびに触媒寿命の観点から必ずしも満足のいく触媒とは
いえない。そのため、さらに、担体の強度を改善する方
法として、特開平8−332383号公報にシリカ−ア
ルミナ担体、特開平9−52044号公報にシリカ−ア
リミナ−マグネシア担体、特開平9−192495号公
報に結晶性のメタロシリケート担体、特開2000−3
23828号公報にシリカもしくはシリカ−金属酸化物
を用いる方法が提案されている。そして、これらの触媒
は工業プロセスでの実用化を前提に耐破砕性ならびに耐
水性がかなり改善されてはきている。但し、カルボン酸
エステルを製造する反応場は、副生するカルボン酸およ
び中和アルカリの影響による酸性もしくはアルカリ性に
変動する領域が存在しており、その条件下に曝される触
媒の耐薬品性能としては十分なものとはいえない。耐薬
品性能は触媒金属成分の剥離や結晶成長の増大化などの
劣化に大きく影響するため、プロセスの安定運転を成し
遂げるために高い耐薬品性能が要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、酸素存在下
でアルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製
造する方法において、耐薬品性および耐破砕性が優れて
いることに加え、高反応性を有するパラジウム担持触媒
を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決するために鋭意研究の結果、本発明をなすに至っ
た。すなわち、本発明は、下記の通りである。 (1)酸素存在下でアルデヒドとアルコールを反応させ
てカルボン酸エステルを製造する際に用いるパラジウム
担持触媒の製造において、担体として、ジルコニウム、
珪素、アルミニウムの3元素を必須とし、任意にマグネ
シウムを含めた4元素を含有する複合酸化物体を用いる
ことを特徴とするカルボン酸エステルの製造用触媒。 (2)該担体が、含有する各元素を酸化物としての重量
濃度に換算して、ジルコニアを30〜95wt%、シリ
カを4〜69wt%、アルミナを1〜20wt%、マグ
ネシアを1〜20wt%の範囲内にあるものを使用する
ことを特徴とする前記(1)記載のカルボン酸エステル
の製造用触媒。 (3)該パラジウム担持触媒が、鉛を鉛/パラジウム原
子比で0.2〜3の担持組成比の範囲内に含有している
ことを特徴とする前記(1)、(2)記載のカルボン酸
エステルの製造用触媒。
【0007】(4)酸素存在下でアルデヒドとアルコー
ルを反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用い
るパラジウム担持触媒の製造において、担体の原料とし
て(a)コロイド平均粒子径3〜70nmのジルコニア
ゾル、(b)コロイド平均粒子径3〜50nmのシリカ
ゾル、(c)アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物
を用い、これらの3種の原料を混合したスラリーもしく
は任意にマグネシウム化合物を加えた混合スラリーを噴
霧乾燥および焼成することにより球状担体を製造し、更
にその球状担体にパラジウム単独もしくはパラジウムお
よび鉛を液相中で吸着担持し、還元することを特徴とす
るカルボン酸エステル製造用触媒の製造方法。 (5)該カルボン酸エステル製造用触媒の製造方法を用
いることを特徴とする前記(1)〜(3)記載のカルボ
ン酸エステルの製造用触媒。 (6)酸素存在下でアルデヒドとアルコールを反応させ
てカルボン酸エステルを製造する際に用いるアルデヒド
がメタクロレインであり、アルコールがメタノールであ
ることを特徴とし、触媒として前記(1)〜(3)およ
び(5)記載のカルボン酸エステルの製造用触媒を用い
てメタクリル酸メチルを製造する方法。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明
は、触媒および担体の成分組成ならびに製造方法に特徴
を有する結果、酸素存在下でアルデヒドとアルコールか
らカルボン酸エステルを製造する方法において、耐薬品
性および耐破砕性が優れていることに加え、高活性およ
び高選択性を有する触媒を見出すに至った。本発明は、
ジルコニウム、珪素、アルミニウムの3元素を必須と
し、任意にマグネシウムを含めた4元素を含有する複合
酸化物をパラジウム触媒の担体として用いることが重要
である。必須とする3元素の複合酸化物化に伴い、2元
素の複合酸化物にみられない特異的な耐久性能をもつも
のである。つまり、必須とする3元素の中1元素でも除
かれると耐薬品性および耐破砕性の効果が低くなる。そ
のため、用いる担体として、従来公知の「2成分系」あ
るいは「多成分系を可能」とする技術とは明らかに異な
る効果がある。
【0009】また、本発明において用いられる触媒担体
は、含有する各元素を酸化物としての重量濃度に換算し
て、ジルコニアを30〜95wt%、シリカを4〜69
wt%、アルミナを1〜20wt%、マグネシアを1〜
20wt%の範囲内にあるものを使用することが好まし
い。担体組成が本範囲にあることにより、さらに高い耐
薬品性能が発現すると共に、触媒として活性および選択
性に優れた反応特性を発揮する。如何なる理由で高い耐
久性能をもつのか解析は不十分であるが、本発明者の推
察によれば、各元素が酸素を介在して架橋し合うため耐
久性能が向上しているものとみている。例えば、ジルコ
ニア単独のゲルは−Zr−O−Zr−O−のように結合
しているが、複合化により−Zr−O−Al−O−Si
−O−結合が新たに形成されることが考えられる。つま
り、ジルコニア、シリカ、アルミナが複合化したメタル
オキサン構造を形成することにより、耐破砕性および耐
薬品性を発現している可能性がある。また、マグネシウ
ムは、担体の耐久性を高める効果の他、多孔質体が架橋
体構造を形成する上で生じた電荷バランスを安定化する
働きがあると考えている。
【0010】尚、カルボン酸エステルの製造において上
記担体を用いることは、前述した以外にも、反応活性な
らびに反応選択性の向上に寄与する。本発明者は、反応
性を高める効果としては、3つの働きがあると考えてい
る。一つは、パラジウムの高分散化であり、一つは、反
応場における反応阻害因子の吸着抑制作用の発現であ
り、さらに、触媒製造において設計通りの構造体を調製
および維持できることである。特に、触媒製造に関して
は、耐薬品性の向上に関係するものであり、例えば、耐
久性の弱い担体を用いた場合には、触媒化処理の際に構
造変化を起こしてしまい、製造された時点で反応性が低
い結果になることが考えられる。
【0011】本発明において使用されるパラジウム触媒
は、鉛を鉛/パラジウム原子比で0.2〜3の担持組成
比の範囲内に含有していることが好ましい。尚、鉛量
は、担体に担持されたパラジウムの状態で変化するが、
原則的には触媒として鉛/パラジウム原子比で1/3の
構造体を形成する量を用いればよい。担体上では、パラ
ジウム単独原子ならびに鉛単独原子が偏在する可能性が
あり、触媒製造には鉛/パラジウム原子比で1/3の量
に対して、ある程度過剰な鉛を用いることがよい。尚、
パラジウムに吸着する鉛は、反応活性の向上ならびに反
応選択性の向上に大きな効果をもつ。
【0012】本発明における触媒は、担体製造工程と触
媒化工程に別けて製造することが可能である。担体は、
ジルコニウム、珪素、アルミニウムの原料として、
(a)コロイド平均粒子径3〜70nmのジルコニアゾ
ル、(b)コロイド平均粒子径3〜50nmのシリカゾ
ル、(c)アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物を
用い、これらの原料を混合したスラリーもしくはマグネ
シウム化合物を加えて混合したスラリーを噴霧乾燥する
ことにより製造することができる。尚、コロイドの粒子
径は、レーザードップラー式光散乱法により測定される
値である。また、本発明における担体は、製造方法とし
て噴霧乾燥法に限定するものではなく、従来公知の球状
担体を製造する技術を用いることもできる。
【0013】ジルコニアゾルおよびシリカゾルは、一般
公知の製造方法にしたがって調製できるほか、市販ゾル
をそのまま用いても良い。例えば、ジルコニアゾルの場
合は、水溶性ジルコニウム塩の水溶液を約120℃以下
の温度で加熱して加水分解するか、あるいはアンモニア
等のアルカリ剤によって中和することにより得ることが
できる。また、シリカゾルは、水ガラスを硫酸などの鉱
酸で中和して得られるゾルあるいは水ガラスをイオン交
換樹脂で処理して得られるゾルなどが使用できる。但
し、ジルコニアゾルは平均粒子径3〜70nm、シリカ
ゾルは平均粒子径3〜50nmの範囲内にあるものを使
用することが、球状な耐久性のある担体を形成する上で
好ましい。コロイドの粒子径が小さくなると比表面積の
増加ならびに耐破砕性が向上する傾向にあるが、球状粒
子を得る上で好ましくない。また、コロイドの粒子径が
大き過ぎると細孔径および細孔容積が大きくなる傾向に
あるが、比表面積の低下ならびに耐薬品性および耐破砕
性の低下に影響する。したがって、前述した粒子径の範
囲で適宜必要とする担体の物性要求にあわせて選択すれ
ばよい。
【0014】アルミニウム原料としては、アルミナゾル
もしくは一般の市販されるアルミニウム化合物を用いる
ことができる。アルミナゾルとしては、ジルコニアゾル
およびシリカゾルと同様に通常の市販ゾルを適用でき
る。また、アルミニウム化合物としては、例えば、アル
ミン酸ソーダ、塩化アルミニウム六水和物、過塩素酸ア
ルミニウム六水和物、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニ
ウム九水和物、二酢酸アルミニウムなどであり、好まし
くは水溶性のアルミニウム化合物、より好ましくは硝酸
アルミニウムである。水溶性のものが好ましい理由は、
ジルコニアゾルならびにシリカゾルとの混合スラリーを
調製する際に水溶液として添加することが可能であり、
スラリー中に均一分散しやすいからである。また、硝酸
アルミニウムが好ましいのは、球状成形した担体を焼成
する過程において、アルミニウム以外は窒素酸化物とし
て気化して消失するため、後から不純物を除去する操作
等が必要ないからである。同様にアルミナゾルも他の不
純物を残存しない利点がある。
【0015】マグネシウムの原料としては、アルミニウ
ム原料と同様に一般の市販されるマグネシウム化合物を
用いることができる。好ましくは水溶性のマグネシウム
化合物であり、より好ましいのは硝酸マグネシウム、酢
酸マグネシウムである。また、本発明においては、ジル
コニア、シリカ、アルミニウム化合物の混合スラリー、
もしくは任意にマグネシウム化合物を加えた混合スラリ
ーに無機物および/あるいは有機物を加えることが可能
である。用いられる無機物としては、硝酸、塩酸、硫酸
等の鉱酸類およびアルカリ金属、アルカリ土類金属など
の金属塩ならびにアンモニアや硝酸アンモニウム等の水
溶性化合物のほか、水中で分散して懸濁液を生じる粘土
鉱物も使用できる。また、有機物としては、ポリエチレ
ングリコール、メチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の重合体な
どが用いることができる。
【0016】無機物および有機物を加える効果は様々で
あるが、大別すると球状担体の成形と細孔径および細孔
容積を上げる目的に使用する。球状な担体を得るには混
合スラリーの液質が重要であり、無機物あるいは有機物
によって粘度や固形分濃度を変更し、球状な担体が得ら
れやすい液質に改良できる。また、細孔径および細孔容
積を上げるには、無機物あるいは有機物を加えたスラリ
ーを乾燥成形することにより、乾燥した粉体内部に該無
機物あるいは該有機物を包含せしめ、成形後の焼成なら
びに洗浄操作により不要な無機物あるいは有機物を除去
することにより実施できる。したがって、細孔容積を上
げる目的において用いる無機物あるいは有機物は、沸点
あるいは分解温度が200〜800℃の範囲にある物質
もしくは溶解が容易な溶媒をもつ物質を選択することが
好ましい。無機物あるいは有機物の選定により、球状化
の促進や要求される物性値に変更できる効果は大きい。
【0017】さらに、本発明の担体は、前述した各種原
料ならびに添加物の混合スラリーを噴霧乾燥することに
より球状な成形体に製造することができる。混合スラリ
ーを液滴化する方法としては、回転円盤方式、二流体ノ
ズル方式、加圧ノズル方式など公知の噴霧装置を使用で
きる。噴霧する液は、よく混合された状態で用いること
が必要である。混合状態が悪く同種のものが偏在すると
耐久性が上がらなくなるなど、担体の性能に影響する。
特に原料調合時には、スラリーの粘度上昇および一部ゲ
ル化(コロイドの縮合)が生じる場合もあり、この生成
する微粒なゲル体も各種元素が均一に取り込まれている
ことが望まれる。そのため、原料の混合を攪拌下で徐々
に行うなどの配慮を行うほか、酸性やアルカリ性の薬品
を加えるなどの方法を用いることもよい。
【0018】また、噴霧する液は、ある程度の粘度なら
びに固形分濃度をもっていることが必要である。粘度や
固形分濃度が低すぎると噴霧乾燥で得られる多孔質体
が、真球とならず陥没球が多く生成する。また、高すぎ
ると担体同士の分散性に悪影響を及ぼすことがある他、
スラリーが噴霧ノズル内部で閉塞しやすくなるなど問題
を生じる場合もある。そのため、粘度としては15〜4
00cpの範囲にあることが好ましく、また、固形分濃
度は10〜50wt%の範囲内にあることが好ましい。
尚、噴霧乾燥条件としては、噴霧乾燥器の乾燥塔入り口
の熱風温度は200〜280℃、乾燥塔出口温度が11
0〜140℃の範囲内にあることが好ましい。
【0019】本発明の担体の焼成温度は、300〜80
0℃の範囲内である。焼成条件は担体の物性が変化する
ため、適切な温度条件ならびに昇温条件の選定が必要で
ある。焼成温度が低いと複合酸化物として耐久性の維持
が難しく、高すぎると比表面積ならびに細孔容積の低下
に至る。また、昇温条件は、プログラム昇温等を利用し
徐々に昇温していくことが好ましい。急激に高い温度条
件で焼成した場合は、無機物および有機物のガス化や燃
焼が激しくなり、設定以上の高温状態に曝されるたり、
粉砕の原因になるため好ましくない。
【0020】以上、触媒の担体の製造について述べてき
たが、こと、マグネシウムを担体に含有させる方法につ
いては、他の成分と同時に噴霧乾燥する以外に後からマ
グネシウムを吸着させる方法が使用できる。例えば、マ
グネシウム化合物を溶解した液中に担体を加えて乾燥処
理を行うなど浸漬法を用いた方法、細孔容量分のマグネ
シウム溶液を担体に染み込ませて乾燥処理を行うなど含
浸法を用いる方法も適用できる。但し、後からマグネシ
ウムを吸着させる方法は、担体にマグネシウムを高分散
化するうえで液乾燥処理を緩和な条件で行うなどの注意
が必要である。
【0021】本発明における触媒は、前述した担体にパ
ラジウムおよび鉛を液相中で吸着担持し還元することに
より製造できる。パラジウムの原料としては、パラジウ
ムの酢酸塩、蟻酸塩等のカルボン酸塩、塩酸塩、硝酸
塩、硫酸塩、燐酸塩類などの無機酸塩、パラジウム有機
金属錯等の化合体を用いることができる。また、鉛の原
料としては、酢酸鉛、蟻酸鉛などのカルボン酸塩、酸化
鉛、水酸化鉛、硝酸鉛等の化合物が挙げられる。さら
に、還元剤としては、ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、
分子状水素を用いることができる。尚、触媒製造の際に
液相中にアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩を
溶解させて用いることができる。好ましくはナトリウム
塩、マグネシウム塩であり、より好ましくは酢酸ナトリ
ウム、酢酸マグネシウムである。
【0022】パラジウムおよび鉛を担体に担持する方法
は、従来公知の方法を用いることができる。代表的な触
媒調製法について説明すれば、塩化パラジウムなどの可
溶性のパラジウム化合物、及び可溶性の鉛化合物を溶解
させた水溶液に担体を添加し、加温しながら含浸させる
ことができる。この場合、パラジウムを担持する前に鉛
を担持しておいてもよいし、あるいはパラジウムを担持
した後に鉛を担持しても構わない。また、マグネシウム
を含有する担体を用いる場合は、液相中でパラジウムお
よび鉛をイオン交換的に吸着させることができる。この
場合も、パラジウムおよび鉛の吸着させる順番は特に制
限はない。尚、担持する際の温度条件は、室温〜200
℃の温度で行うことができ、好ましくは40〜160℃
である。
【0023】還元方法としては、前述の触媒前駆体を水
もしくはメタノール中にて、加温しながら、ホルマリ
ン、蟻酸、ヒドラジンを添加することによって還元でき
る。また、分子状水素を使用して還元を行うこともでき
る。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジンの使用量は一般的に
はパラジウム担持量に対し、0.5〜100倍モル、実
用的には2〜10倍モルが使用される。また、この量を
越えても特に問題はない。また、分子状水素による還元
処理は、純粋な水素ガスまたは窒素あるいはメタン等の
不活性なガスで希釈されたもの物を用いることができ
る。水素濃度は0.1vol%以上とし圧力は常圧ない
しは数十気圧の条件で触媒製造時の分散液中に吹き込む
などして行われる。尚、触媒製造の際に液相中に添加し
て用いられるアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属
塩の量は、パラジウムの1〜15倍モルの範囲であるこ
とが好ましい。還元する際の温度ならびに圧力条件は、
温度が40〜160℃、圧力が常圧〜数気圧であること
が好ましくい。さらに、還元処理時間は触媒種、処理条
件により変わるが、大まかに数分〜100時間である。
数時間以内に処理が完了するように条件を設定するのが
好都合である。
【0024】本発明における触媒のパラジウム担持量
は、特に限定はないが、担体重量に対し、好ましくは
0.1〜20wt%、より好ましくは1〜10wt%で
ある。本範囲を外れて高過ぎると担体中に分散させるパ
ラジウムが凝集し触媒金属当たりの活性が低くなり、低
過ぎると触媒当たりの活性が低くなる。また、本発明に
おける触媒は、パラジウム、鉛の他に異種元素を含有さ
せることもできる。例えば、水銀、タリウム、ビスマ
ス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウ
ム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、
タングステン、マンガン、銀、レニウム、 アンチモ
ン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、
金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素などを含ませる
ことが可能である。これらの異種元素は、触媒あたり5
wt%以下ないし、1wt%以下の濃度であることが好
ましい。さらに、触媒にアルカリ金属化合物およびアル
カリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一種の金属
塩を含有させてもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金
属の含有量は、触媒あたり15wt%以下の範囲から選
ばれる。尚、これらの異種元素もしくはアルカリ金属お
よびアルカリ土類金属化合物は、触媒製造や反応の際に
触媒中に含有させてもよいし、あらかじめ担体に含有さ
せておく方法も用いることができる。
【0025】尚、パラジウムおよび鉛の他に異種元素を
含有させた触媒は、種々の反応において使用することが
できる。例えば、アルデヒドとアルコールから酸化的カ
ルボン酸エステル化反応、アセチレン類のオレフィン類
への部分水素化反応、パラフィン類への完全水素化反
応、ジオレフィン類のモノオレフィン化反応、オレフィ
ンの選択水素化反応、脂肪族脱ハロゲン化反応、酸クロ
ライドの還元反応、芳香族ニトロ化合物のアミンへの水
素化反応、芳香族カルボニルの水素化反応、安息香酸の
環水素化反応、フェノールのシクロヘキサンへの水素化
反応、芳香族ケトンのアルコールへの水素化反応、芳香
族ケトンのアルキル芳香族への水素化反応、芳香族カル
ボニルの水素化分解反応、芳香族カルボニルの脱カルボ
ニル化反応、芳香族ニトリルのアミンへの水素化反応、
芳香族ニトリルアルデヒドへの水素化反応、シクロヘキ
センの不均化反応、オレフィンの異性化反応、アニリン
類の還元N−メチル化反応、芳香族ニトロ化合物のヒド
ラゾベンゼン化合物への水素化反応、ニトロヘキサン類
のシクロオキサノン類への水素化反応、ニトロオレフィ
ン類のアルキルアミン類への水素化反応、オキシム類の
第一アミンへの水素化反応、脱ベンジル反応、エポキサ
イドのアルコールへの水素化反応、還元アミノ化反応、
キノン類のハイドロキノン類への水素化反応、芳香族エ
ステル類の環水素化反応、フラン環の水素化反応、ピリ
ジン化合物の環の水素化反応、硝酸塩のヒドロキシアミ
ンへの水素化反応、過酸化物の水素化反応、脂肪族ニト
ロ化合物の水素化反応、アセトオキシレーション、カル
ボニレーション、脱水素反応、液相酸化反応、デオキソ
反応、一酸化炭素の酸化反応、NOXの還元反応などの
触媒として利用できる。
【0026】本発明におけるパラジウム/鉛含有担持触
媒は、前述した各種利用できる反応の中でも、特にアル
デヒドをアルコール及び分子状酸素と反応させてカルボ
ン酸エステルを製造する反応に好適に使用することがで
きる。触媒の使用量は、反応原料の種類、触媒の組成や
調製法、反応条件、反応形式などによって大巾に変更す
ることができ、特に限定はないが、触媒をスラリー状態
で反応させる場合は、スラリー中の固形分濃度として、
4〜50wt/vol%の範囲内に収まるよう使用する
のが好ましい。また、原料に用いるアルデヒドは、ホル
ムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪
族飽和アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、ク
ロトンアルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒ
ド、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルア
ルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、
ならびにアルデヒドの誘導体などが挙げられる。これら
のアルデヒドは、単独もしくは任意の二種以上の混合物
として用いることができる。
【0027】一方、アルコールとしては、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂
肪族飽和アルコール、エチレングリコール、ブタンジオ
ールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアル
コールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコ
ールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。これら
も、また、アルコールは単独もしくは任意の二種以上の
混合物として用いることができる。さらに、酸素は、分
子状酸素すなわち酸素ガスまたは不活性ガスに希釈した
酸素ならびに空気を用いることができる。
【0028】尚、カルボン酸エステルを製造する反応に
おいて、アルデヒドとアルコールの使用量比は、例え
ば、アルデヒド/アルコールのモル比で1/2〜1/5
0の範囲であるが、特に制限はない。また、反応系に存
在させる酸素量は、反応に必要な化学量論量以上、好ま
しくは化学量論量の1.2倍以上であればよい。また、
本発明のカルボン酸エステル製造反応は、気相反応、液
相反応、潅液反応などの任意の方法で回分式又は連続式
のいずれによっても実施できる。反応は無溶媒でも実施
できるが、反応成分に対して不活性な溶媒、例えばヘキ
サン、デカン、ベンゼン、ジオキサンなどを用いてもよ
い。反応器形式としては、固定床式、流動床式、撹拌槽
式など従来公知の形式を採用できる。尚、本発明の触媒
は耐破砕性をもつため、流動床反応器、気泡塔反応器、
撹拌槽反応器にも安定に使用できる。
【0029】本発明における触媒の粒子径は、反応形式
に応じて適宜選ぶことができる。例えば、液相懸濁状態
で使用する際は触媒の分離方法によって変わり、自然沈
降分離では、好ましくは20〜200μmであり、より
好ましくは20〜100μmである。また、フィルター
分離を用いる方法では、0.1〜20μmの微粒子が使
用される場合もある。本発明のカルボン酸エステル製造
反応プロセスを液相等で実施する場合には、反応系にア
ルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例え
ば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を
添加して反応系のpHを6〜9に保持することが好まし
い。また、本反応を連続的に実施する際には、鉛を含む
物質を反応器に加えながら反応を行うことが好ましい。
このときの鉛量は、反応器出口側の酸素分圧や反応させ
るアルデヒド種、アルコール種などの反応原料、反応条
件もしくは反応器形式などにより変化するが、実用的に
は反応器出口の酸素分圧を20〜80kPaに管理し、
反応器に添加する鉛濃度を0.1〜2000ppmの範
囲で反応を行うことが好ましい。
【0030】その他、反応圧力は減圧から加圧下の任意
の広い圧力範囲で実施することができきるが、通常は
0.05〜2MPaの圧力で実施される。反応器流出ガ
スの酸素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧
を設定するとよい。また、反応温度は、100℃以上の
高温でも実施できるが、好ましくは30〜100℃であ
る。反応時間は特に限定されるものではなく、設定した
条件により異なるので一義的には決められないが、通常
1〜20時間である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいて
説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるもの
ではない。尚、触媒の耐薬品性は担体の性能に基づくた
め、担体を含めて性能試験を実施した。各種物性の評価
方法は下記に示す通りである。 (形状観察)日立製製作所主製X−650走査型電子顕
微鏡を用いて観察した。 (物性測定:細孔径、比表面積、細孔容積)ユアサ・ア
イオニクス/オートソーブ3MP装置により、吸着ガス
として窒素を用いて測定した。尚、表面積はBET法、
細孔径ならびに細孔分布はBJH法、細孔容積はP/P
0,Maxでの吸着量を採用した。 (耐破砕強度試験)島津製作所/島津微小圧縮試験機M
CM−500によって測定した。室温下破断点の負荷を
求め下記式で算出した。 St=2.8P/πd2 Stは強度(MPa)、Pは試験力(N)、dは粒子径
(mm)
【0032】(担体の耐食試験)120mlのSUS製
マイクロボンベに0.01N硝酸18gを仕込み、その
溶液中に担体2gを添加した後、60℃の温度条件下で
10分間攪拌した。その後、酸処理された担体をろ過お
よび水洗し、続いて0.01Nの苛性ソーダを18g加
え、酸処理と同様な方法でアルカリ処理を行った。以上
の操作を各処理とも交互に2回繰り返し、ろ過液中に溶
出したジルコニア、珪素、アルミニウムの量を理学/J
Y−138−ICP発光分析装置により測定した。尚、
実施例ならびに比較例に記載する溶出量は処理した担体
の全重量に対する各元素の溶出した重量の割合で表し
た。
【0033】(触媒の構造耐久試験)耐食試験同様に同
様な方式で、酸性薬品およびアルカリ性薬品で処理をお
こなった。但し、酸性薬品としてPH4の標準緩衝液
(フタル酸塩標準液)、アルカリ性薬品としてPH9の
標準緩衝液(ほう酸塩標準液)に1Nの苛性ソーダを加
えてPH10とした液を用いた。また、温度ならびに処
理時間を90℃で10分間とし、処理回数を酸、アルカ
リ処理を交互に各10回繰り返したとした。物性変化の
指標として処理前後の細孔分布の測定をおこなった。
【0034】
【実施例1】硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬
製)1.39kgを純水に溶解した水溶液を、攪拌下の
コロイド平均粒子径10〜20nmのシリカゾル(日産
化学株式会社製、商品名:スノーテックス−N30、S
iO2含有量30wt%)0.71kg中へ徐々に滴下
し、シリカゾルと硝酸アルミニウムの混合液を調合し
た。次に、この混合液を、攪拌下のコロイド平均粒子径
50nmのジルコニアゾル(ニューテックス株式会社
製、商品名:ZSL−20N、ZrO2含有量20wt
%)8kg中へ少量ずつ加え、ジルコニアゾル、シリカ
ゾル、硝酸アルミニウムの混合白色スラリーを得た。
尚、スラリー調合および攪拌の際にスラリーの粘度が上
昇したため、適宜純水を加えて粘度上昇を抑えた。続い
て、この混合スラリーを攪拌しながらスプレードライヤ
ー装置を用いて空気中に噴霧し乾燥された球状成形体を
得た。その後、電気炉にてプログラム焼成を行い白色の
担体を得た。尚、焼成は、昇温条件を15℃/分とし
て、途中、200℃にて1時間、400℃にて1時間、
さらに620℃で4時間焼成する方法をとった。得られ
た担体の組成ならびに各評価結果を表1に示す。
【0035】
【実施例2】ジルコニアゾルの原料としてコロイド平均
粒子径10nmのゾル(ニューテックス株式会社製、商
品名:ZSL−10T、ZrO2含有量10wt%)を
ZrO2濃度15wt%まで濃縮したものを8kg用い
た以外は実施例1と同様な方法を用いて担体の製造およ
び評価をおこなった。結果を表1に示す。
【0036】
【実施例3】硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬
製)0.56kg、硝酸マグネシウム・6水和物(和光
純薬製)0.85kgを純水に溶解した水溶液を、攪拌
下のコロイド平均粒子径10〜20nmシリカゾル(日
産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−O20、
SiO2含有量20wt%)0.94kg中へ徐々に滴
下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウ
ムの混合液を調合した。次に、この混合液を、攪拌下の
コロイド平均粒子径50nmのジルコニアゾル(商品
名:ZSL−20N、ニューテックス株式会社製、Zr
2含有量20wt%)8.5kgに少量ずつ加え、各
種原料を混合した白色スラリーを得た。このスラリー
を、実施例1と同様な方法を用いて噴霧乾燥および焼成
をおこなった。担体の組成ならびに各評価結果を表1に
示す。
【0037】
【比較例1】硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬
製)0.85kg、硝酸マグネシウム・6水和物(和光
純薬製)1.06kgを純水に溶解した水溶液を、攪拌
下のコロイド平均粒子径10〜20nmのシリカゾル
(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−N3
0、SiO2含有量30wt%)5.67kg中へ徐々
に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸マグネ
シウムの混合スラリーを得た。尚、このスラリーを実施
例1同様の方式で担体を製造した。得られた担体の組成
ならびに各評価結果を表1に示す。
【0038】
【比較例2、3】実施例1と同様な方法により、但し、
ジルコニウムの原料をコロイド平均粒子径50nmのジ
ルコニアゾル(ニューテックス株式会社製、商品名:Z
SL−20N、ZrO2含有量20wt%)、珪素の原
料をコロイド平均粒子径10〜20nmのシリカゾル
(日産化学株式会社製、商品名:スノーテックス−N3
0、SiO2含有量30wt%)、アルミニウムの原料
を硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)、マグネ
シウムの原料を硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬
製)と用いる原料種を定め、使用量を変更することによ
り異なる組成の担体を製造した。得られた担体の組成な
らびに各評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例4】実施例3で得られた担体100gを酢酸ナ
トリウム1水和物が8wt%溶解した300mlの液中
に投入し、90℃で攪拌した。続いて、この担体入りの
液中へ塩化パラジウム2.5g、酢酸鉛・3水和物1
0.8g、それぞれ溶解させた液を順じ加え1時間攪拌
し、その後、ヒドラジンを触媒還元に必要な化学量論量
の2倍量添加して還元処理を行った。こうして得られた
触媒を、さらに、Clイオンが検出されなくなるまで水
洗した後、80℃で真空乾燥処理し触媒を得た。この触
媒を使用して、触媒の構造耐久試験を行った。その結
果、担体と触媒の酸・アルカリ処理前後で細孔構造に変
化がないことが明らかになった。担体、および触媒の構
造耐久試験前後の細孔分布を図1に示す。
【0041】
【比較例4】比較例1で得られた担体を用いたほか、実
施例4の方法と同様にして触媒製造をおこなった。ま
た、この触媒の構造耐久試験をおこなった。評価の結
果、担体から触媒化した時点で細孔構造が大きく変化し
ていることがわかった。また、構造耐久試験前後におい
ても、さらに変化していることがわかった。担体および
触媒の構造耐久試験前後の細孔分布変化を図2に示す。
【0042】
【実施例5】実施例4で得られた触媒を120mlSU
S製マイクロリアクターに0.25g仕込み、内部に残
存する空気を窒素置換した後、10wt%のメタクロレ
ン/メタノール溶液10gを投入した。その後、7%O
2/N2ガスを1.5Mpaになるまで充填し、さらに4
5℃オイルバス中にて加温しながら2時間反応を実施し
た。(尚、予め仕込んでおいたマグネチックスターラー
で反応中攪拌を継続した。)2時間後の反応液をガスク
ロ分析した結果、メタクロレンの転化率は31.3%、
メタクリル酸メチルの選択率は92.1%であり、副生
物としてプロピレンが1.3%、蟻酸メチル/メタクリ
ル酸メチルが8モル/モルで生成していた。
【0043】
【比較例5】比較例4で得られた触媒を使用したほか、
実施例5の方法と同様の方式および条件で反応をおこな
った。その結果、メタクロレンの転化率は21.2%、
メタクリル酸メチルの選択率は80.0%であり、副生
物としてプロピレンが4.4%、蟻酸メチル/メタクリ
ル酸メチルが14モル/モルで生成していた。この結果
より、本発明における触媒の反応性が高いことが明らか
になった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、酸素存在下でアルデヒ
ドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する方法
において、耐薬品性および耐破砕性の優れていることに
加え、高反応性を有するパラジウム担持触媒を提供でき
る。本発明の触媒を用いることにより、触媒劣化が少な
く、長期間にわたり安定的に且つ高活性および高選択率
でカルボン酸エステルを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、担体および触媒の構造耐久試験前後の
細孔分布(脱着)変化を表す構造図
【図2】図2は、担体および触媒の構造耐久試験前後の
細孔分布(脱着)変化を表す比較構造図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA01 AA03 AA08 BA01A BA01B BA02A BA02B BA05A BA05B BA06A BA06B BA20A BA20B BB02A BB02B BC21A BC21B BC72A BC72B CB25 CB75 EA04X EA04Y EC02Y EC03Y EC06Y EC14Y EC15Y ED03 FA01 FA02 FA06 FB08 FB14 FB63 FC08 4H006 AA02 AC48 BA11 BA25 BA55 BA56 BA81 BB14 BC10 BC11 BC31 BC32 BE30 KA35 KC14 4H039 CA66 CC30 CD30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素存在下でアルデヒドとアルコールを
    反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパ
    ラジウム担持触媒の製造において、担体として、ジルコ
    ニウム、珪素、アルミニウムの3元素を必須とし、任意
    にマグネシウムを含めた4元素を含有する複合酸化物体
    を用いることを特徴とするカルボン酸エステルの製造用
    触媒。
  2. 【請求項2】 該担体が、含有する各元素を酸化物とし
    ての重量濃度に換算して、ジルコニアを30〜95wt
    %、シリカを4〜69wt%、アルミナを1〜20wt
    %、マグネシアを1〜20wt%の範囲内にあるものを
    使用することを特徴とする請求項1記載のカルボン酸エ
    ステルの製造用触媒。
  3. 【請求項3】 該パラジウム担持触媒が、鉛を鉛/パラ
    ジウム原子比で0.2〜3の担持組成比の範囲内に含有
    していることを特徴とする請求項1、2記載のカルボン
    酸エステルの製造用触媒。
  4. 【請求項4】 酸素存在下でアルデヒドとアルコールを
    反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるパ
    ラジウム担持触媒の製造において、担体の原料として
    (a)コロイド平均粒子径3〜70nmのジルコニアゾ
    ル、(b)コロイド平均粒子径3〜50nmのシリカゾ
    ル、(c)アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物を
    用い、これらの3種の原料を混合したスラリーもしくは
    任意にマグネシウム化合物を加えた混合スラリーを噴霧
    乾燥および焼成することにより球状担体を製造し、更に
    その球状担体にパラジウム単独もしくはパラジウムおよ
    び鉛を液相中で吸着担持し、還元することを特徴とする
    カルボン酸エステル製造用触媒の製造方法。
  5. 【請求項5】 該カルボン酸エステル製造用触媒の製造
    方法を用いることを特徴とする請求項1〜3記載のカル
    ボン酸エステルの製造用触媒。
  6. 【請求項6】 酸素存在下でアルデヒドとアルコールを
    反応させてカルボン酸エステルを製造する際に用いるア
    ルデヒドがメタクロレインであり、アルコールがメタノ
    ールであることを特徴とし、触媒として請求項1〜3お
    よび5記載のカルボン酸エステルの製造用触媒を用いて
    メタクリル酸メチルを製造する方法。
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