JP3390777B2 - メタノール分解用触媒及びその製造方法 - Google Patents

メタノール分解用触媒及びその製造方法

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JP3390777B2
JP3390777B2 JP08244496A JP8244496A JP3390777B2 JP 3390777 B2 JP3390777 B2 JP 3390777B2 JP 08244496 A JP08244496 A JP 08244496A JP 8244496 A JP8244496 A JP 8244496A JP 3390777 B2 JP3390777 B2 JP 3390777B2
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安行 松村
禎一 宇佐見
謙吉 香川
政宣 川添
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタノールを分解
して水素と一酸化炭素とよりなる合成ガスを得るメタノ
ール接触分解用の触媒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタノールの接触分解の主反応は次式で
表わされる吸熱反応であるため、低温で行なうことがで
きると、それだけ省エネルギーに有利である。この反応
は、メタノールのスチームリホーミングとは異なり、水
蒸気は反応に関与しない。
【0003】 CH3OH→CO+2H2 ΔH=21.7kcal/mol
【0004】上記メタノール分解用の触媒としては、ア
ルミナやシリカ等の担体に白金族元素、ニッケル等の8
族元素やその酸化物、あるいは銅やその酸化物等を担持
したもの、その他種々の提案がある。例えば、特開昭5
7−144031号公報にはアルミナにニッケル及びカ
リウムを担持させた触媒、特開昭60−257837号
公報には銅、マグネシウム及びアルミニウムからなる触
媒、特開昭63−55101号公報にはリンとニッケル
とを含有する触媒、特開昭63−252548号公報に
は活性アルミナにパラジウムを担持させた触媒、特開昭
63−4849号公報には白金、パラジウム及びロジウ
ムから選ばれた少なくとも1種の元素とモリブデン及び
ランタンから選ばれた少なくとも1種の元素とをシリカ
に担持させた触媒、並びに特開昭63−264141号
公報にはパラジウムとアルミニウム等とをシリカに担持
させた触媒がそれぞれ記載されている。
【0005】また、従来、触媒の調製には、担体を触媒
金属の溶液に浸漬し、引き上げて乾燥・焼成する、とい
う含浸法が多く採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のメタノ
ール分解用触媒は300℃以下での低温活性が低い、あ
るいはジメチルエーテル、メタン等の副生成物が多い等
の問題がある。本発明は、このような問題を解決し、低
温活性及び選択性に優れたメタノール分解用触媒を提供
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
課題に対して、種々の実験・研究を進めた結果、特定の
種類の金属酸化物を担体とし、これにパラジウムを触媒
金属として担持させた場合、高い低温活性及び選択性が
得られ、また、該触媒の調製に特定の方法を採用するこ
とによって、所期の効果が得ることが容易になることを
見出だし、本発明を完成するに至ったものである。以
下、特許請求の範囲の各請求項に係る発明を具体的に説
明する。
【0008】(請求項1に係る発明) この発明は、Fe 2 3 、又はTiO 2 、CeO 2 及びZr
2 のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物とFe 2
3 との混合物、又はTi、Ce、Zr及びFeのうちか
ら選ばれた2種の金属の複合酸化物とFe 2 3 若しくは
上記混合物との混合物のうちのいずれかを担体とし、こ
の金属酸化物系担体にパラジウムが担持されていること
を特徴とするメタノール分解用触媒である。
【0009】この触媒の場合、後述する実施例で明らか
になるが、低温活性が高く且つ水素と一酸化炭素とより
なる合成ガスへの選択性が良い。その理由は明確ではな
いが、シリカやアルミナにパラジウムを担持させても高
い低温活性や選択性は得られず、また、上記TiO2
の金属酸化物にパラジウム以外の金属元素を担持させて
も所期の特性が得られない。従って、本発明の触媒の場
合、当該金属酸化物担体がメタノールの分解に寄与
し、パラジウムとの相互作用によって低温活性が高まっ
ており、また、副生成物が少なくなっている。
【0010】上記触媒の調製には含浸法、共沈法、析出
法など種々の方法を採用することができる。
【0011】(請求項2に係る発明) この発明は、上記請求項1に記載されているメタノール
分解用触媒において、上記パラジウムの担持量が、該パ
ラジウムと上記金属酸化物系担体との合計量の2〜50
wt%であることを特徴とする。
【0012】ここに、上記パラジウムの担持量を2wt
%以上としているのは、高い活性を得るためである。し
かし、この活性の向上には担体におけるパラジウムの分
散性を高めることが効果的であるものの、パラジウムが
一定量を越えると分散性自体はもはや高くならず、活性
の大きな向上は望めなくなる。逆に高価なパラジウムを
多量に用いることは不経済である。しかも、パラジウム
自体の比重が大きいために触媒全体が重くなり、触媒の
単位重量当たりの活性をみれば、それがパラジウム担持
量の増大とともに低下することになる。かかる観点か
ら、パラジウムの担持量の上限は50wt%とすること
が好適である。
【0013】(請求項3に係る発明) この発明は、担体が比表面積100m 2 /g以上のCe
2 であって、該担体にパラジウムが担持されているこ
とを特徴とするメタノール分解用触媒である。
【0014】当該メタノール分解用触媒は低温活性が高
い。その理由の一つとしてCeO2担体の比表面積が1
00m2/g以上と高いことが挙げられる。
【0015】(請求項4に係る発明) この発明は、上記請求項3に記載されているメタノール
分解用触媒において、上記パラジウムの担持量が該パラ
ジウムとCeO2担体との合計量の2〜20wt%であ
ることを特徴とする。
【0016】当該メタノール分解用触媒においては、パ
ラジウム担持量が2wt%以上で高い活性が得られる。
パラジウム担持量の上限を20wt%としているのは、
これよりもパラジウム担持量が多くなっても低温活性の
大きな向上は望めず不経済になるからである。
【0017】(請求項5に係る発明) この発明は、担体がCeO2であって、該担体にパラジ
ウムと共に酸化タングステン又は酸化鉄が担持されてい
ることを特徴とするメタノール分解用触媒である
【0018】当該メタノール分解用触媒においては、酸
化タングステン又は酸化鉄のいずれも含まないパラジウ
ム/CeO2系触媒よりも低温活性が高くなる。その理
由は定かでないが、酸化タングステン又は酸化鉄がメタ
ノールの分解反応を促進する作用を呈していると考え
る。しかも、この反応の促進は選択率の実質的な低下を
招かないという特徴がある。
【0019】(請求項6に係る発明) この発明は、上記請求項5に記載されているメタノール
分解用触媒において、上記パラジウムの担持量が触媒全
量の2〜20wt%であり、上記酸化タングステン又は
酸化鉄の担持量が触媒全量の0.5〜5wt%であるこ
とを特徴とする。
【0020】上記パラジウムの担持量の限定理由は上記
請求項4と同じである。酸化タングステン又は酸化鉄の
担持量については、微量の添加(例えば0.1wt%程
度の添加)でも活性向上の効果があり、また、多少添加
量が多く(例えば10wt%程度に)なっても触媒活性
の大きな低下はないようである。しかし、実験によれ
ば、明白な効果が認められたのは0.5〜5wt%であ
る。特に、3wt%付近で活性向上のピークが見られ
た。
【0021】(請求項7に係る発明) この発明は、TiO 2 、CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2 3
のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物A、Ti、C
e、Zr及びFeのうちから選ばれた1種もしくは2種
の金属の複合酸化物B、又は上記金属酸化物Aと上記金
属複合酸化物Bとの混合物Cのうちのいずれかを担体と
し、この金属酸化物系担体にパラジウムが担持されてい
メタノール分解用触媒の製造方法であって、上記金属
酸化物系担体を形成するための金属の化合物とパラジウ
ム化合物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液を調製し、該
原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによって、上
記金属を上記金属酸化物系担体の前駆体である水酸化物
等として沈澱させると同時に、該金属酸化物系担体の前
駆体に上記パラジウムを共沈させることを特徴とする。
【0022】当該発明は、上記メタノール分解用触媒の
調製に所謂共沈法を採用したものであるが、この方法の
場合、上記金属酸化物系担体におけるパラジウムの分散
性が高くなり、活性の向上に有利になる。
【0023】すなわち、従来一般に採用されている含浸
法の場合は、パラジウム担持量を多くしても担体表面の
付着し易い部位に多量のパラジウムが塊になって担持さ
れていくだけで、分散性は高くならない。そして、この
含浸法の場合は、金属酸化物単独では比較的大きな比表
面積を有するにもかかわらず、パラジウムの担持量が多
くなるに従って触媒の比表面積が大きく低下していき、
その担持量が2wt%程度になると活性の向上は望めな
くなるのが通常である。
【0024】これに対して、当該発明の場合は、上記金
属酸化物系担体の前駆体が水酸化物等として沈澱生成す
る過程で同時にパラジウムも水酸化物等として共沈担持
されるから、金属酸化物系担体とパラジウムとが緊密に
結合されることになり、パラジウムが該金属酸化物系担
体に高分散担持される。特に限定するわけではないが、
パラジウム担持量を2〜50wt%にした場合でもパラ
ジウムの比表面積の低下は少なく、パラジウムの担持量
を多くすることによって触媒の活性を高めることができ
る。
【0025】ここに、上記金属酸化物系担体としては、
上記TiO 2 、CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2 3 のうちか
ら選ばれた1種類の金属酸化物単独であっても、これら
から選ばれた2種以上の金属酸化物の混合物であっても
よく、あるいはTi、Ce、Zr及びFeのうちから選
ばれた2種類の金属の複合酸化物であってもよい。さら
には、上記TiO 2 等の金属酸化物と上記金属複合酸化
物とを適宜組み合わせて混合したものであっても当該金
属酸化物系担体として用いることができる。
【0026】また、上記金属酸化物系担体を構成する金
属の化合物としては、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの電
解質、特に水溶性のものがよく、パラジウム化合物も同
様である。上記沈澱試薬としては、NaOH、NH4
H、Na2CO3等を用い、これによって上記原料溶液の
pHを調整することになる。また、得られた共沈物につ
いては、これを洗浄した後に乾燥し、300〜600℃
程度の温度で焼成すればよく、使用に際しては、例えば
当該触媒粉を固めてこれを粉砕することにより、適宜の
大きさの粒子とし、これをカラムに詰めればよい。
【0027】(請求項8に係る発明) この発明は、TiO 2 、CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2 3
のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物A、Ti、C
e、Zr及びFeのうちから選ばれた1種もしくは2種
の金属の複合酸化物B、又は上記金属酸化物Aと上記金
属複合酸化物Bとの混合物Cのうちのいずれかを担体と
し、この金属酸化物系担体にパラジウムが担持されてい
メタノール分解用触媒の製造方法であって、上記金属
酸化物系担体を混入してなるパラジウム化合物溶液と
アルカリ溶液とを混合することによって、該金属酸化物
系担体にパラジウムを水酸化物として析出させることを
特徴とする。
【0028】当該発明においても、含浸法とは違って、
パラジウムが水酸化物として金属酸化物上に析出するこ
とによって担持され、請求項3に係る発明と同様にパラ
ジウムの微細高分散担持が可能になり、得られるパラジ
ウムの粒径は小さいものになる。
【0029】ここに、上記金属酸化物系担体としては、
上記TiO 2 、CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2 3 のうちか
ら選ばれた1種類の金属酸化物単独であっても、これら
から選ばれた2種以上の金属酸化物の混合物であっても
よく、あるいはTi、Ce、Zr及びFeのうちから選
ばれた2種類の金属の複合酸化物であってもよい。さら
には、上記TiO 2 等の金属酸化物と上記金属複合酸化
物とを適宜組み合わせて混合したものであっても当該金
属酸化物系担体として用いることができる。
【0030】(請求項9に係る発明) この発明は、上記請求項3に記載されているメタノール
分解用触媒の製造方法であって、上記CeO2担体を形
成するためのセリウム化合物とパラジウム化合物とを溶
媒に溶かしてなる原料溶液を調製し、上記原料溶液と炭
酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムとを混合すること
によって、上記CeO2担体の前駆体を沈澱させると同
時に、該前駆体に上記パラジウムを共沈させることを特
徴とする。
【0031】当該製造方法によれば、高比表面積のCe
2担体にパラジウムが高分散担持されたメタノール分
解用触媒を得ることができる。上記共沈物については、
上記請求項7に係る発明と同様に、該共沈物を洗浄した
後に乾燥し、300〜600℃程度の温度で焼成すれば
よく、使用に際しては、例えば当該触媒粉を固めてこれ
を粉砕することにより、適宜の大きさの粒子とし、これ
をカラムに詰めればよい。
【0032】(請求項10に係る発明) この発明は、上記請求項7に記載されているメタノール
分解用触媒の製造方法において、上記共沈物を乾燥させ
た後に、300〜800℃にて焼成し、その後にメタノ
ール含有ガス中又は水素ガス等の還元ガス中で還元処理
を施すことにより、上記パラジウムの水酸化物を金属パ
ラジウムに変えることを特徴とする。
【0033】当該方法において、上記焼成温度が300
℃未満では、パラジウム水酸化物を酸化物に変えて担体
に固着するに不充分であり、また、800℃を越える焼
成温度になると、触媒金属のシンタリングあるいは触媒
の構造破壊を招く。そして、上記焼成によって酸化物と
なったパラジウムの酸化物は水素ガスやメタノール含有
ガス等による還元処理によって金属パラジウムになり、
活性が向上することになる。この還元処理は、上記焼成
後、直ちに行なってもよいが、当該触媒をメタノールの
分解に使用する直前に行なう方が好ましい。
【0034】(請求項11に係る発明) この発明は、上記請求項5に記載されているメタノール
分解用触媒の製造方法であって、上記CeO2担体を形
成するためのセリウム化合物とパラジウム化合物とを溶
媒に溶かしてなる原料溶液と、アルカリ溶液とを調製
し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによっ
て、上記CeO2担体の前駆体を沈澱させると同時に、
該前駆体に上記パラジウムを共沈させるにあたり、タン
グステン化合物又は鉄化合物を上記原料溶液又はアルカ
リ溶液に溶かしておくことを特徴とする。
【0035】当該発明において、タングステン化合物又
は鉄化合物の溶液が酸性であれば、これを上記原料溶液
に溶かしておき、アルカリ性であれば、これを上記アル
カリ溶液に溶かしておくことになる。そして、このよう
にタングステン化合物又は鉄化合物の添加を行なった状
態で上記原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによ
り、CeO2担体の前駆体が沈澱すると同時にこれにパ
ラジウム、タングステン又は鉄が共沈する。よって、こ
の共沈物を洗浄・焼成することによって上記請求項5に
記載されているメタノール分解用触媒を得ることができ
る。この場合、上記タングステン又は鉄は、Pd粒子及
びCeO2担体の前駆体と共沈するときに、得られるP
d粒子及びCeO2粒子の微細化剤として働き、パラジ
ウムの高分散担持に寄与すると考えられる。
【0036】焼成温度としては300〜600℃が好適
であり、また、その後に行なう還元処理は150〜50
0℃で行なうことが好適である。
【0037】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、Fe
2 3 、又はTiO 2 、CeO 2 及びZrO 2 のうちから選
ばれた1種以上の金属酸化物とFe 2 3 との混合物A、
又はTi、Ce、Zr及びFeのうちから選ばれた2種
の金属の複合酸化物とFe 2 3 若しくは上記混合物Aと
の混合物Bのうちのいずれかを担体とし、この金属酸化
物系担体にパラジウムを担持させてなるから、高い低温
活性及び高い選択性が得られる。
【0038】請求項2に係る発明によれば、上記請求項
1に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記パラジウムの担持量を2〜50wt%としたから、高
い活性を得ることができる。
【0039】請求項3に係る発明によれば、担体を比表
面積100m2/g以上のCeO2とし、該CeO2担体
にパラジウムを担持させたから、低温活性が高くなる。
【0040】請求項4に係る発明によれば、上記請求項
3に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記パラジウムの担持量を該パラジウムとCeO2担体と
の合計量の2〜20wt%としたから、低温活性を高め
る上でより有利になる。
【0041】請求項5に係る発明によれば、担体をCe
2として、これにパラジウムと共に酸化タングステン
又は酸化鉄を担持させたから、選択率の低下を招くこと
なく低温活性を高めることができる。
【0042】請求項6に係る発明によれば、上記請求項
5に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記パラジウムの担持量を触媒全量の2〜20wt%と
し、上記酸化タングステン又は酸化鉄の担持量を触媒全
量の0.5〜5wt%としたから、選択率の低下を招く
ことなく低温活性を高める上で有利になる。
【0043】請求項7に係る発明によれば、TiO 2
CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2 3 のうちから選ばれた1種
以上の金属酸化物A、Ti、Ce、Zr及びFeのうち
から選ばれた1種もしくは2種の金属の複合酸化物B、
又は上記金属酸化物Aと上記金属複合酸化物Bとの混合
物Cのうちのいずれかを担体とし、この金属酸化物系担
体にパラジウムが担持されているメタノール分解触媒を
製造するにあたって、上記金属酸化物系担体を構成する
金属の化合物とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてな
る原料溶液を調製し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混
合することによって、上記金属酸化物系担体の前駆体を
沈澱させると同時に、該金属酸化物系担体の前駆体に上
記パラジウムを水酸化物等として共沈させるようにした
から、パラジウムを担体に対して高分散に担持させるこ
とができ、つまり、パラジウムの比表面積を低下させる
ことなく多量のパラジウムを当該担体に担持させること
ができ、触媒の活性の向上に有利になる。
【0044】請求項8に係る発明によれば、TiO 2
CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2 3 のうちから選ばれた1種
以上の金属酸化物A、Ti、Ce、Zr及びFeのうち
から選ばれた1種もしくは2種の金属の複合酸化物B、
又は上記金属酸化物Aと上記金属複合酸化物Bとの混合
物Cのうちのいずれかを担体とし、この金属酸化物系担
体にパラジウムが担持されているメタノール分解用触媒
を製造するにあたって、上記金属酸化物系担体を混入し
てなるパラジウム化合物溶液とアルカリ溶液とを混合
することによって、該担体にパラジウムを水酸化物とし
て析出させるようにしたから、請求項3に係る発明と同
様にパラジウムの高分散担持が可能になり、触媒の活性
の向上に有利になる。
【0045】請求項9に係る発明によれば、上記請求項
3に記載されているメタノール分解用触媒を製造するに
あたって、CeO2担体を形成するためのセリウム化合
物とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液
を調製し、該原料溶液と炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナ
トリウムとを混合することによって、上記CeO2担体
の前駆体を沈澱させると同時に、該前駆体に上記パラジ
ウムを共沈させるようにしたから、高比表面積のCeO
2担体にパラジウムが高分散担持されたメタノール分解
用触媒を得ることができる。
【0046】請求項10に係る発明によれば、請求項7
に記載されているメタノール分解用触媒の製造方法にお
いて、共沈物を300〜800℃の温度で焼成してか
ら、メタノール含有ガス中又は水素ガス等の還元ガス中
で還元処理を施すようにしたから、シンタリング等の不
具合を招くことなく、パラジウムを担体に確実に固着さ
せることができるとともに、還元処理によって触媒の活
性を向上させることができる。
【0047】請求項11に係る発明によれば、CeO2
担体を形成するためのセリウム化合物とパラジウム化合
物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液と、アルカリ溶液と
を調製し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混合するにあ
たり、タングステン化合物又は鉄化合物を上記原料溶液
又はアルカリ溶液に溶かしておくようにしたから、Ce
2担体の前駆体を沈澱させると同時に、該前駆体に上
記パラジウム、タングステン又は鉄の化合物を共沈させ
て、請求項5に記載されているメタノール分解用触媒を
得ることができるようになる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。
【0049】<No.1〜10触媒の調製> −No.1触媒− パラジウム化合物として塩化パラジウムPdCl2
0.62g、ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウ
ムZrO(NO32・2H2Oを4.6gそれぞれ秤量
し、これを600mLの蒸溜水に溶解させてA液とし
た。一方、沈澱試薬として水酸化ナトリウムの1Nの水
溶液を調製してこれをB液とした。
【0050】そして、上記A液を撹拌しながらこれにB
液を滴下していくことによって共沈物を生成させた。な
お、希釈したB液にA液を流しこむことによっても同様
の共沈物を得ることができる。このようにして得られた
共沈物を1時間撹拌した後、充分に水洗して乾燥し、5
00℃×5時間の焼成を行なった。
【0051】得られた触媒パラジウムPd/ZrO
2は、ZrO2にパラジウムが高分散に担持されたもので
あり、パラジウムの担持量は該パラジウムとZrO2
の合計量の15wt%である。
【0052】−No.2,3の触媒− 上記No.1触媒と同様の共沈法によって、CeO2にパ
ラジウムを担持させてなるパラジウムPd/CeO2
媒(No.2)及びFe23にパラジウムを担持させてな
るパラジウムPd/Fe23触媒(No.3)を調製し
た。パラジウムの担持量はいずれの触媒も15wt%で
ある。
【0053】−No.4触媒(参考例)− チタニアTiO2(日本アエロジル社製酸化チタン)に
パラジウムを析出沈澱法によって担持させたパラジウム
Pd/TiO2触媒を得た。この析出沈澱法は以下の通
りである。
【0054】すなわち、No.1触媒と同様に、塩化パラ
ジウムPdCl20.62gを秤量し、これを600m
Lの蒸溜水に溶解させてA液とした。このA液にチタニ
アTiO22.15gを混入し、これと沈澱試薬として
の水酸化ナトリウムの1N溶液とを混合して沈澱物を生
成させた。その後、撹拌熟成、水洗、乾燥の各過程を経
て、500℃×5時間の焼成を行なった。これによって
得られたパラジウムPd/TiO2触媒のパラジウム担
持量は15wt%である。
【0055】−No.5,6の各触媒(参考例)− 上記No.1触媒と同様の共沈法によって、Al23にパ
ラジウムを担持させてなるパラジウムPd/Al23
媒(No.5)及びZnOにパラジウムを担持させてなる
パラジウムPd/ZnO触媒(No.6)を調製した。パ
ラジウムの担持量はいずれの触媒も15wt%である。
【0056】−No.7触媒(参考例)− No.1触媒と同様の組成のパラジウムPd/ZrO2
媒を含浸法によって調製した。すなわち、ZrO2粉末
を塩化パラジウム水溶液に浸漬し、引き上げて乾燥・焼
成することによってZrO2粉末にパラジウムを担持さ
せたものである。パラジウムの担持量は15wt%であ
る。
【0057】−No.8〜10の各触媒(参考例)− No.8触媒として、含浸法によってSiO2にNiを5
wt%担持させたNi/SiO2触媒を調製し、さらに
No.9触媒として、含浸法によってNi担持量を15w
t%としたNi/SiO2触媒を調製した。また、No.
10触媒として、SiO2にNi及びCuを担持させた
市販のメタノール分解用触媒(Ni−Cu/SiO2
媒)を準備した。
【0058】<No.1〜10触媒の評価> 上記No.1〜10の各触媒を固定床流通式反応装置に組
み込み、この触媒にH2 還元処理を施した後、メタノー
ル15%を含むアルゴンガスを温度250℃、空間速度
10000mL・h-1・g-1で通し、反応生成物の組成
を測定することによって、各触媒のメタノール分解特性
(転化率,選択率)を評価した。結果は表1に示されて
いる。
【0059】
【表1】
【0060】まず、沈澱試薬として水酸化ナトリウムを
用いた共沈法によって調製したNo.1〜3,5,6の各
触媒を比較すると、No.1のパラジウムPd/ZrO2
触媒が最も高い転化率を示し、且つ合成ガス(CO+2
2)への選択率も比較的高い。これに対して、No.5
のパラジウムPd/Al23触媒もかなり高い転化率を
示しているが、それでも担体としてZrO2、CeO2
Fe23を用いたNo.1〜3の各触媒に比べて選択率が
低い。これはアルミナ上の酸点の存在のためであると考
えられる。No.6のパラジウムPd/ZnO触媒は同じ
くパラジウムを触媒金属とするが、活性が極めて低い。
【0061】以上の結果から、沈澱試薬として水酸化ナ
トリウムを用いた共沈法で触媒を調製する場合、パラジ
ウムの担体としては、ZrO2、CeO2又はFe23
良いこと、その中でも特にZrO2が良いことがわか
る。
【0062】また、共沈法によるNo.1のパラジウムP
d/ZrO2触媒と含浸法によるNo.7のパラジウムP
d/ZrO2触媒とを比較すると、転化率は共沈法によ
る方が格段に高い。このことから、共沈法によって触媒
を調製することの有利性が裏付けられる。
【0063】次に、No.4のパラジウムPd/TiO2
触媒は析出沈澱法によって調製したものであるが、No.
7の含浸法によるパラジウムPd/ZrO2触媒よりも
転化率が高い。TiO2とZrO2とはパラジウムの担体
として活性の向上に概ね同じ程度の寄与をすると考えら
れるが、析出沈澱法によるNo.4の触媒の方が含浸法に
よるNo.7の触媒よりも転化率が高いことから、該析出
沈澱法も共沈法と同様に担体におけるパラジウムの分散
担持性に有利であることがわかる。
【0064】また、No.8〜10の担体としてシリカを
用いた各触媒では選択率は比較的高いものの転化率が低
く、期待する低温活性を得ることはできない。
【0065】 <パラジウム担持量と触媒の活性との関係> 先のNo.1の触媒の場合と同じ共沈法によってパラジウ
ムの担持量が互いに異なる数種類のパラジウムPd/Z
rO2触媒を調製し、先の場合と同じ条件及び方法によ
って触媒の活性を調べた。結果は表2に示されている。
【0066】
【表2】
【0067】同表によれば、パラジウムの担持量が多く
なるに従って転化率が高くなっているものの、該担持量
が20wt%を越えると転化率は概ね一定となる。これ
は、パラジウムの粒子径が大きくなり、触媒の単位重量
当たりのパラジウムの表面積が低下したためであると考
えられる。上記結果から、共沈法においてはパラジウム
の担持量は高い転化率を得る観点から下限を5wt%と
することがよいこと、また、表3より析出沈澱法では下
限を2wt%とすることがよいこと、そして、上限を5
0wt%としても高い転化率を得ることができることが
わかる。
【0068】<No.11〜21触媒の調製> −No.11触媒− パラジウム化合物として塩化パラジウムPdCl2
0.62g、セリウム化合物として硝酸セリウム5.3
gそれぞれ秤量し、これを600mLの蒸溜水に溶解さ
せてA液とした。一方、沈澱試薬として炭酸ナトリウム
の0.1Nの水溶液を調製してこれをB液とした。そし
て、このB液に上記A液を流し込むことによって共沈物
を生成させた。このようにして得られた共沈物を1時間
撹拌した後、充分に水洗して乾燥し、500℃×5時間
の焼成を行なった。
【0069】得られたパラジウムPd/CeO2触媒
は、CeO2にパラジウムが高分散に担持されたもので
あり、パラジウムの担持量は該パラジウムとCeO2
の合計量の15wt%である。
【0070】−No.12触媒(参考例)− No.12触媒として、沈澱試薬として水酸化ナトリウム
を用いた共沈法によってPd担持量を15wt%とした
パラジウムPd/Nd23触媒を調製した。
【0071】−No.13触媒(参考例)− No.13触媒として、沈澱試薬として同じく水酸化ナト
リウムを用いた共沈法によってPd担持量を15wt%
としたパラジウムPd/Sm23触媒を調製した。
【0072】−No.14触媒− CeO2(第一稀元素工業(株)製)担体に、PdCl2
水溶液と沈澱試薬NaOH水溶液とを用いた析出沈澱法
によってパラジウムを5wt%担持させたパラジウムP
d/CeO2触媒を得た。
【0073】−No.15触媒− No.15触媒として、析出沈澱法によってPd担持量を
2wt%としたパラジウムPd/CeO2触媒を調製し
た。
【0074】−No.16触媒− No.16触媒として、析出沈澱法によってPd担持量を
5wt%としたパラジウムPd/ZrO2触媒を調製し
た。
【0075】−No.17触媒− No.17触媒として、析出沈澱法によってPd担持量を
2wt%としたパラジウムPd/ZrO2触媒を調製し
た。
【0076】−No.18触媒(参考例)− CeO2粉末をPdCl2水溶液に浸漬し、引き上げて乾
燥・焼成する、という含浸法によってパラジウムを5w
t%担持させたパラジウムPd/CeO2触媒を得た。
【0077】−No.19触媒(参考例)− No.19触媒として、含浸法によってPd担持量を5w
t%としたパラジウムPd/ZrO2触媒を調製した。
【0078】−No.20触媒(参考例)− No.19触媒として、含浸法によってPd担持量を5w
t%としたパラジウムPd/SiO2触媒を調製した。
【0079】−No.21触媒− No.21触媒として、共沈法によってPd担持量を15
wt%、酸化鉄担持量を3wt%としたPd/CeO2
+Fe23触媒を調製した。
【0080】 <No.11〜21及び先のNo.1〜3,6,8の各触媒
の低温活性評価> No.11〜21及び先のNo.1〜3,6,8の各触媒を
固定床流通式反応装置に組み込み、この触媒にH2還元
処理を施した後、メタノール20%を含むアルゴンガス
を温度200℃、空間速度5000mL・h-1・g-1
通し、反応生成物の組成を測定することによって、各触
媒のメタノール分解特性(転化率,選択率)を評価し
た。結果は表3に示されている。
【0081】
【表3】
【0082】まず、共沈法によって調製した各触媒を比
較すると、沈澱試薬として炭酸ナトリウムを用いたNo.
11のパラジウムPd/CeO2触媒が最も高い転化率
を示し、且つ合成ガスへの選択率も高い。これに対し
て、沈澱試薬として水酸化ナトリウムを用いた先のNo.
2は同じくパラジウムPd/CeO2触媒ではあるが、
転化率はNo.1に劣る。
【0083】次に、析出沈澱法によって調製したNo.1
4〜17の各触媒を比較すると、各触媒の転化率及び選
択率に大きな差はないが、パラジウムPd/CeO2
媒の転化率が若干高い。また、No.14の触媒とNo.1
5の触媒とは互いのPd担持量が異なるパラジウムPd
/CeO2触媒(前者は5wt%、後者は2wt%)で
あるが、その転化率には大きな差はない。No.16の触
媒とNo.17の触媒とは互いのPd担持量が異なるパラ
ジウムPd/ZrO2触媒(前者は5wt%、後者は2
wt%)であるが、この担持量の違いは転化率にあまり
影響を与えていない。従って、析出沈澱法ではPd担持
量の下限を2wt%としても比較的高い転化率を得るこ
とができることがわかる。
【0084】次に、含浸法によって調製した各触媒を比
較すると、転化率はNo.18のパラジウムPd/CeO
2触媒が最も高く、このNo.18触媒にNo.19のパラ
ジウムPd/ZrO2触媒が続き、シリカを担体とする
No.20,No.8の各触媒の転化率はかなり低い。
【0085】以上のことから、沈澱試薬として炭酸ナト
リウムを用いて共沈法によりパラジウムPd/CeO2
触媒を調製することが当該触媒の低温活性の向上に最も
有効であることがわかる。また、Pd/CeO2触媒に
添加物としてFe23を採用するとさらに活性が向上し
た(No.11触媒及びNo.21触媒参照)。
【0086】<触媒の比表面積と転化率との関係> 上記パラジウムPd/CeO2触媒の比表面積と転化率
との関係を調べると、表4に示す結果が得られた。同表
中のNo.22触媒は、No.2及びNo.11の各触媒と同
じく共沈法によって調製しており、沈澱試薬として水酸
化ナトリウムと炭酸ナトリウムとを混合して用いたもの
である。また、同表には他の触媒についても参考のため
に示している。
【0087】
【表4】
【0088】この表から、触媒の種類が同じであれば、
比表面積と転化率とには一定の関係があること、また、
パラジウムPd/CeO2触媒に関しては、No.11の
ように沈澱試薬として炭酸ナトリウムを用いて共沈法に
よって調製すると大きな比表面積が得られ、転化率の向
上に有効であることがわかる。
【0089】図1は共沈法によって調製したパラジウム
Pd/CeO2触媒の比表面積と転化率との関係をグラ
フ化したものである。比表面積100m2/g以上で高
い転化率が得られることがわかる。
【0090】<触媒のPd担持量と転化率との関係> 共沈法によって調製したパラジウムPd/CeO2触媒
のPd担持量と転化率との関係を調べると表5のように
なった。
【0091】
【表5】
【0092】Pd担持量が多くなると転化率が高くなる
傾向があるが、30wt%になると転化率が20wt%
の場合よりも低くなっている。これは、Pd担持量があ
る程度以上になってくると、その分散度は高くならず、
かえって触媒の比表面積が低下するためと考えられる。
この結果から、Pd担持量は30wt%以下、さらには
20wt%以下にすることが好適であることがわかる。
但し、5wt%未満になると、PdによるCeO2担体
のシンタリング防止効果があまり得られなくなるため、
触媒の比表面積が低下して転化率が低くなる。しかし、
析出沈澱法によってPd/CeO2触媒を調製したもの
は2wt%を限界として高活性が得られた。よって、P
d担持量は2wt%以上とすることが好適である。
【0093】<A〜J触媒の調製> 以下に説明する各触媒例は、Pd/CeO2系の触媒に
おける添加剤の効果を評価するためのものである。
【0094】−A触媒− パラジウム化合物として塩化パラジウムPdCl2
0.62g、セリウム化合物として硝酸セリウム5.3
gそれぞれ秤量し、これを600mLの蒸溜水に溶解さ
せてA液とした。一方、沈澱試薬として炭酸ナトリウム
の0.1Nの水溶液を調製し、さらに該水溶液に適量の
タングステン酸アンモニウムを溶かしてこれをB液とし
た。そして、このB液に上記A液を流し込むことによっ
て共沈物を生成させた。このようにして得られた共沈物
を1時間撹拌した後、充分に水洗して乾燥し、500℃
×5時間の焼成を行なった。
【0095】得られたPd/CeO2+WOx 触媒は、
CeO2にパラジウム及び酸化タングステンが高分散に
担持されたものであり、パラジウムの担持量は触媒全量
の15wt%、また、酸化タングステンの担持量は触媒
全量の3wt%である。
【0096】−B触媒− パラジウム化合物として塩化パラジウムPdCl2
0.62g、セリウム化合物として硝酸セリウム5.3
gそれぞれ秤量し、これを600mLの蒸溜水に溶解さ
せて、さらに該水溶液に適量の硝酸鉄を溶かしてA液と
した。一方、沈澱試薬として炭酸ナトリウムの0.1N
の水溶液を調製してこれをB液とした。そして、このB
液に上記A液を流し込むことによって共沈物を生成させ
た。このようにして得られた共沈物を1時間撹拌した
後、充分に水洗して乾燥し、500℃×5時間の焼成を
行なった。
【0097】得られたPd/CeO2+Fe23触媒
は、CeO2にパラジウム及び酸化鉄が高分散に担持さ
れたものであり、先に説明したNo.21触媒に相当する。
このB触媒のパラジウムの担持量は触媒全量の15wt
%、また、酸化鉄の担持量は触媒全量の3wt%であ
る。
【0098】−C触媒− 添加剤としてモリブデン酸アンモニウムを用い、A触媒
と同じ条件及び方法によってPd/CeO2+MoOx
触媒を得た。すなわち、この触媒は、CeO2にパラジ
ウム及び酸化モリブデンが高分散に担持されたものであ
り、パラジウムの担持量は触媒全量の15wt%、ま
た、酸化モリブデンの担持量は触媒全量の3wt%であ
る。
【0099】D〜Iの各触媒− 添加剤として、D触媒の調製には硝酸ニッケル、E触媒
の調製には硝酸マグネシウム、F触媒の調製には硝酸プ
ラセオジウム、G触媒の調製には硝酸サマリウム、H触
媒の調製には硝酸ネオジム、I触媒の調製には硝酸銅を
それぞれ用い、B触媒と同じ条件及び方法によって表6
に示す各触媒を得た。パラジウムの担持量はA〜C触媒
と同様に15wt%であり、各添加剤によって生成した
酸化物の担持量もA〜C触媒と同様に3wt%である。
【0100】−J触媒− 添加剤を加えることなくA触媒と同じ条件及び方法によ
ってPd/CeO2触媒を得た。この触媒は先に説明し
たNo.11触媒に相当するものであり、パラジウムの担
持量は触媒全量の15wt%である。
【0101】<A〜J触媒の評価> 先に説明したNo.11〜21触媒の場合と同じ方法によ
って、A〜J触媒のメタノール分解特性(転化率,選択
率)を評価した。結果は表6に示されている。
【0102】
【表6】
【0103】酸化物無添加のJ触媒と、酸化物を添加し
た他の触媒A〜Iとを比較すると、A触媒及びB触媒に
ついては酸化物の添加による活性の向上が見られるが、
他の触媒ではいずれも活性が低下している。従って、添
加すべき酸化物としては、酸化タングステン及び酸化鉄
が好適であることがわかる。しかも、この両酸化物の場
合は、選択率の実質的な低下もほとんどみられない。
【0104】図2は上記J触媒及びB触媒のX線回折パ
ターンを示している。このX線回折パターンではピーク
幅が広いほど粒径が細かいことを表わすので、同図から
酸化鉄を添加したB触媒では、その添加によってPd粒
子及びCeO2粒子が微細になっていることがわかる。
そして、この微細化がB触媒の活性の向上に寄与してい
るものと考えられる。
【0105】表7は上記B触媒について、酸化鉄の添加
量を変えてその活性を評価した結果を示している。評価
条件は表6の場合と同じである。
【0106】
【表7】
【0107】同表によれば、酸化鉄量が0.5〜5wt
%の範囲では無添加のJ触媒よりも活性が高くなるこ
と、そして、特に3wt%のときに活性が最も高くなる
ことがわかる。酸化タングステンに関しても、その量と
活性との関係は酸化鉄と実質的に同じであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】共沈法によって調製したパラジウムPd/Ce
2触媒の比表面積と転化率との関係を示すグラフ図。
【図2】酸化鉄を添加したPd/CeO2触媒及びその
添加がないPd/CeO2触媒のX線回折パターンを比
較した図。
【符号の説明】 符号なし。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C01B 3/22 B01J 23/64 103M (72)発明者 松村 安行 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業 技術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 宇佐見 禎一 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工 業株式会社 堺製作所 金岡工場内 (72)発明者 香川 謙吉 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工 業株式会社 堺製作所 金岡工場内 (72)発明者 川添 政宣 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工 業株式会社 堺製作所 金岡工場内 (56)参考文献 特開 昭61−259758(JP,A) 特開 昭60−122038(JP,A) 特開 昭63−7843(JP,A) Yasuo Satoh,Effec t of Pd Dispersion on methanol Decom position over Supp orted Pd Catalyst s,Bull.Chem.Soc.Jp n.,1990年,vol.63,No.1, p.108−115 斎藤保夫,チタニア及びジルコニア担 持パラジウム触媒におけるパラジウムの 分散製と活性(予稿),触媒,1984年, 第26巻、第5号,p.378−380 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 21/00 - 21/36 C01B 3/22,3/32 JICSTファイル(JOIS)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe 2 3 、又はTiO 2 、CeO 2 及びZ
    rO 2 のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物とFe 2
    3 との混合物、又はTi、Ce、Zr及びFeのうち
    から選ばれた2種の金属の複合酸化物とFe 2 3 若しく
    は上記混合物との混合物のうちのいずれかを担体とし、
    この金属酸化物系担体にパラジウムが担持されているこ
    とを特徴とするメタノール分解用触媒。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されているメタノール分
    解用触媒において、上記パラジウムの担持量が、該パラ
    ジウムと上記金属酸化物系担体との合計量の2〜50w
    t%であることを特徴とするメタノール分解用触媒。
  3. 【請求項3】 担体が比表面積100m 2 /g以上のC
    eO 2 であって、該担体にパラジウムが担持されている
    ことを特徴とするメタノール分解用触媒。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載されているメタノール分
    解用触媒において、上記パラジウムの担持量が該パラジ
    ウムとCeO2担体との合計量の2〜20wt%である
    ことを特徴とするメタノール分解用触媒。
  5. 【請求項5】 担体がCeO2であって、該担体にパラ
    ジウムと共に酸化タングステン又は酸化鉄が担持されて
    いることを特徴とするメタノール分解用触媒。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載されているメタノール分
    解用触媒において、上記パラジウムの担持量が触媒全量
    の2〜20wt%であり、上記酸化タングステン又は酸
    化鉄の担持量が触媒全量の0.5〜5wt%であること
    を特徴とするメタノール分解用触媒。
  7. 【請求項7】 TiO 2 、CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2
    3 のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物A、Ti、
    Ce、Zr及びFeのうちから選ばれた1種もしくは2
    種の金属の複合酸化物B、又は上記金属酸化物Aと上記
    金属複合酸化物Bとの混合物Cのうちのいずれかを担体
    とし、この金属酸化物系担体にパラジウムが担持されて
    いるメタノール分解用触媒の製造方法であって、 上記金属酸化物系担体を形成するための金属の化合物と
    パラジウム化合物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液を調
    製し、 上記原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによっ
    て、上記金属を上記金属酸化物系担体の前駆体である水
    酸化物等として沈澱させると同時に、該金属酸化物系担
    体の前駆体に上記パラジウムを水酸化物として共沈させ
    ることを特徴とするメタノール分解用触媒の製造方法。
  8. 【請求項8】 TiO 2 、CeO 2 、ZrO 2 及びFe 2
    3 のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物A、Ti、
    Ce、Zr及びFeのうちから選ばれた1種もしくは2
    種の金属の複合酸化物B、又は上記金属酸化物Aと上記
    金属複合酸化物Bとの混合物Cのうちのいずれかを担体
    とし、この金属酸化物系担体にパラジウムが担持されて
    いるメタノール分解用触媒の製造方法であって、 上記金属酸化物系担体を混入してなるパラジウム化合物
    溶液とアルカリ溶液とを混合することによって、該金
    属酸化物系担体にパラジウムを水酸化物として析出させ
    ることを特徴とするメタノール分解用触媒の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載されているメタノール分
    解用触媒の製造方法であって、上記CeO2担体を形成
    するためのセリウム化合物とパラジウム化合物とを溶媒
    に溶かしてなる原料溶液を調製し、 上記原料溶液と炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム
    とを混合することによって、上記CeO2担体の前駆体
    を沈澱させると同時に、該前駆体に上記パラジウムを共
    沈させることを特徴とするメタノール分解用触媒の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項7に記載されているメタノール
    分解用触媒の製造方法において、 上記共沈物を乾燥させた後に、300〜800℃にて焼
    成し、その後にメタノール含有ガス中又は水素ガス等の
    還元ガス中で還元処理を施すことにより、上記パラジウ
    ムの水酸化物を金属パラジウムに変えることを特徴とす
    るメタノール分解用触媒の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項5に記載されているメタノール
    分解用触媒の製造方法であって、上記CeO2担体を形
    成するためのセリウム化合物とパラジウム化合物とを溶
    媒に溶かしてなる原料溶液と、アルカリ溶液とを調製
    し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによっ
    て、上記CeO2担体の前駆体を沈澱させると同時に、
    該前駆体に上記パラジウムを共沈させるにあたり、タン
    グステン化合物又は鉄化合物を上記原料溶液又はアルカ
    リ溶液に溶かしておくことを特徴とするメタノール分解
    用触媒の製造方法。
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