JPH09187653A - メタノール分解用触媒及びその製造方法 - Google Patents
メタノール分解用触媒及びその製造方法Info
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- JPH09187653A JPH09187653A JP8082444A JP8244496A JPH09187653A JP H09187653 A JPH09187653 A JP H09187653A JP 8082444 A JP8082444 A JP 8082444A JP 8244496 A JP8244496 A JP 8244496A JP H09187653 A JPH09187653 A JP H09187653A
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Abstract
の選択性の高いメタノール分解用触媒を提供する。 【解決手段】TiO2 、CeO2 、ZrO2 及びFe2
O3 のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物A、T
i、Ce、Zr及びFeのうちから選ばれた1種もしく
は2種の金属の複合酸化物B、又は上記金属酸化物Aと
上記金属複合酸化物Bとの混合物Cのうちのいずれかを
担体とし、パラジウムを触媒金属とするメタノール分解
用触媒であり、担持方法としては共沈法や析出沈澱法を
採用する。
Description
して水素と一酸化炭素とよりなる合成ガスを得るメタノ
ール接触分解用の触媒及びその製造方法に関する。
表わされる吸熱反応であるため、低温で行なうことがで
きると、それだけ省エネルギーに有利である。この反応
は、メタノールのスチームリホーミングとは異なり、水
蒸気は反応に関与しない。
ルミナやシリカ等の担体に白金族元素、ニッケル等の8
族元素やその酸化物、あるいは銅やその酸化物等を担持
したもの、その他種々の提案がある。例えば、特開昭5
7−144031号公報にはアルミナにニッケル及びカ
リウムを担持させた触媒、特開昭60−257837号
公報には銅、マグネシウム及びアルミニウムからなる触
媒、特開昭63−55101号公報にはリンとニッケル
とを含有する触媒、特開昭63−252548号公報に
は活性アルミナにパラジウムを担持させた触媒、特開昭
63−4849号公報には白金、パラジウム及びロジウ
ムから選ばれた少なくとも1種の元素とモリブデン及び
ランタンから選ばれた少なくとも1種の元素とをシリカ
に担持させた触媒、並びに特開昭63−264141号
公報にはパラジウムとアルミニウム等とをシリカに担持
させた触媒がそれぞれ記載されている。
金属の溶液に浸漬し、引き上げて乾燥・焼成する、とい
う含浸法が多く採用されている。
ール分解用触媒は300℃以下での低温活性が低い、あ
るいはジメチルエーテル、メタン等の副生成物が多い等
の問題がある。本発明は、このような問題を解決し、低
温活性及び選択性に優れたメタノール分解用触媒を提供
するものである。
課題に対して、種々の実験・研究を進めた結果、特定の
種類の金属酸化物を担体とし、これにパラジウムを触媒
金属として担持させた場合、高い低温活性及び選択性が
得られ、また、該触媒の調製に特定の方法を採用するこ
とによって、所期の効果が得ることが容易になることを
見出だし、本発明を完成するに至ったものである。以
下、特許請求の範囲の各請求項に係る発明を具体的に説
明する。
O2 、CeO2 、ZrO2 及びFe2 O3 のうちから選
ばれた1種以上の金属酸化物A、Ti、Ce、Zr及び
Feのうちから選ばれた1種もしくは2種の金属の複合
酸化物B、又は上記金属酸化物Aと上記金属複合酸化物
Bとの混合物Cのうちのいずれかを担体とし、この金属
酸化物系担体にパラジウムが担持されていることを特徴
とするメタノール分解用触媒である。
になるが、低温活性が高く且つ水素と一酸化炭素とより
なる合成ガスへの選択性が良い。その理由は明確ではな
いが、シリカやアルミナにパラジウムを担持させても高
い低温活性や選択性は得られず、また、上記TiO2 等
の金属酸化物にパラジウム以外の金属元素を担持させて
も所期の特性が得られない。従って、本発明の触媒の場
合、当該金属酸化物担体がメタノールの分解に寄与し、
パラジウムとの相互作用によって低温活性が高まってお
り、また、副生成物が少なくなっている。
上記TiO2 、CeO2 、ZrO2及びFe2 O3 のう
ちから選ばれた1種類の金属酸化物単独であっても、こ
れらから選ばれた2種以上の金属酸化物の混合物であっ
てもよく、あるいはTi、Ce、Zr及びFeのうちか
ら選ばれた1種類の金属の複合酸化物であっても、2種
類の金属の複合酸化物であってもよい。さらには、上記
TiO2 等の金属酸化物と上記金属複合酸化物とを適宜
組み合わせて混合したものであっても当該金属酸化物系
担体として用いることができる。
法など種々の方法を採用することができる。
請求項1に記載されているメタノール分解用触媒におい
て、上記パラジウムの担持量が、該パラジウムと上記金
属酸化物系担体との合計量の2〜50wt%であること
を特徴とする。
%以上としているのは、高い活性を得るためである。し
かし、この活性の向上には担体におけるパラジウムの分
散性を高めることが効果的であるものの、パラジウムが
一定量を越えると分散性自体はもはや高くならず、活性
の大きな向上は望めなくなる。逆に高価なパラジウムを
多量に用いることは不経済である。しかも、パラジウム
自体の比重が大きいために触媒全体が重くなり、触媒の
単位重量当たりの活性をみれば、それがパラジウム担持
量の増大とともに低下することになる。かかる観点か
ら、パラジウムの担持量の上限は50wt%とすること
が好適である。
請求項1に記載されているメタノール分解用触媒におい
て、上記担体が比表面積100m2 /g以上のCeO2
であり、該CeO2 担体に上記パラジウムが担持されて
いることを特徴とする。
い。その理由の一つとしてCeO2担体の比表面積が1
00m2 /g以上と高いことが挙げられる。
請求項3に記載されているメタノール分解用触媒におい
て、上記パラジウムの担持量が該パラジウムとCeO2
担体との合計量の2〜20wt%であることを特徴とす
る。
ラジウム担持量が2wt%以上で高い活性が得られる。
パラジウム担持量の上限を20wt%としているのは、
これよりもパラジウム担持量が多くなっても低温活性の
大きな向上は望めず不経済になるからである。
請求項1に記載されているメタノール分解用触媒におい
て、上記担体がCeO2 であって、該担体にパラジウム
と共に酸化タングステン又は酸化鉄が担持されているこ
とを特徴とする。
化タングステン又は酸化鉄のいずれも含まないパラジウ
ム/CeO2 系触媒よりも低温活性が高くなる。その理
由は定かでないが、酸化タングステン又は酸化鉄がメタ
ノールの分解反応を促進する作用を呈していると考え
る。しかも、この反応の促進は選択率の実質的な低下を
招かないという特徴がある。
請求項5に記載されているメタノール分解用触媒におい
て、上記パラジウムの担持量が触媒全量の2〜20wt
%であり、上記酸化タングステン又は酸化鉄の担持量が
触媒全量の0.5〜5wt%であることを特徴とする。
請求項4と同じである。酸化タングステン又は酸化鉄の
担持量については、微量の添加(例えば0.1wt%程
度の添加)でも活性向上の効果があり、また、多少添加
量が多く(例えば10wt%程度に)なっても触媒活性
の大きな低下はないようである。しかし、実験によれ
ば、明白な効果が認められたのは0.5〜5wt%であ
る。特に、3wt%付近で活性向上のピークが見られ
た。
請求項1に記載されているメタノール分解用触媒の製造
方法であって、上記金属酸化物系担体を形成するための
金属の化合物とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてな
る原料溶液を調製し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混
合することによって、上記金属を上記金属酸化物系担体
の前駆体である水酸化物等として沈澱させると同時に、
該金属酸化物系担体の前駆体に上記パラジウムを共沈さ
せることを特徴とする。
調製に所謂共沈法を採用したものであるが、この方法の
場合、上記金属酸化物系担体におけるパラジウムの分散
性が高くなり、活性の向上に有利になる。
法の場合は、パラジウム担持量を多くしても担体表面の
付着し易い部位に多量のパラジウムが塊になって担持さ
れていくだけで、分散性は高くならない。そして、この
含浸法の場合は、金属酸化物単独では比較的大きな比表
面積を有するにもかかわらず、パラジウムの担持量が多
くなるに従って触媒の比表面積が大きく低下していき、
その担持量が2wt%程度になると活性の向上は望めな
くなるのが通常である。
属酸化物系担体の前駆体が水酸化物等として沈澱生成す
る過程で同時にパラジウムも水酸化物等として共沈担持
されるから、金属酸化物系担体とパラジウムとが緊密に
結合されることになり、パラジウムが該金属酸化物系担
体に高分散担持される。特に限定するわけではないが、
パラジウム担持量を2〜50wt%にした場合でもパラ
ジウムの比表面積の低下は少なく、パラジウムの担持量
を多くすることによって触媒の活性を高めることができ
る。
金属の化合物としては、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの
電解質、特に水溶性のものがよく、パラジウム化合物も
同様である。上記沈澱試薬としては、NaOH、NH4
OH、Na2 CO3 等を用い、これによって上記原料溶
液のpHを調整することになる。また、得られた共沈物
については、これを洗浄した後に乾燥し、300〜60
0℃程度の温度で焼成すればよく、使用に際しては、例
えば当該触媒粉を固めてこれを粉砕することにより、適
宜の大きさの粒子とし、これをカラムに詰めればよい。
請求項1に記載されているメタノール分解用触媒の製造
方法であって、上記金属酸化物系担体を分散させてなる
溶液にパラジウム化合物を溶かし、該溶液とアルカリ溶
液とを混合することによって、該金属酸化物系担体にパ
ラジウムを水酸化物として析出させることを特徴とす
る。
パラジウムが水酸化物として金属酸化物上に析出するこ
とによって担持され、請求項3に係る発明と同様にパラ
ジウムの微細高分散担持が可能になり、得られるパラジ
ウムの粒径は小さいものになる。
請求項3に記載されているメタノール分解用触媒の製造
方法であって、上記CeO2 担体を形成するためのセリ
ウム化合物とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてなる
原料溶液を調製し、上記原料溶液と炭酸ナトリウム又は
炭酸水素ナトリウムとを混合することによって、上記C
eO2 担体の前駆体を沈澱させると同時に、該前駆体に
上記パラジウムを共沈させることを特徴とする。
O2 担体にパラジウムが高分散担持されたメタノール分
解用触媒を得ることができる。上記共沈物については、
上記請求項7に係る発明と同様に、該共沈物を洗浄した
後に乾燥し、300〜600℃程度の温度で焼成すれば
よく、使用に際しては、例えば当該触媒粉を固めてこれ
を粉砕することにより、適宜の大きさの粒子とし、これ
をカラムに詰めればよい。
記請求項7に記載されているメタノール分解用触媒の製
造方法において、上記共沈物を乾燥させた後に、300
〜800℃にて焼成し、その後にメタノール含有ガス中
又は水素ガス等の還元ガス中で還元処理を施すことによ
り、上記パラジウムの水酸化物を金属パラジウムに変え
ることを特徴とする。
℃未満では、パラジウム水酸化物を酸化物に変えて担体
に固着するに不充分であり、また、800℃を越える焼
成温度になると、触媒金属のシンタリングあるいは触媒
の構造破壊を招く。そして、上記焼成によって酸化物と
なったパラジウムの酸化物は水素ガスやメタノール含有
ガス等による還元処理によって金属パラジウムになり、
活性が向上することになる。この還元処理は、上記焼成
後、直ちに行なってもよいが、当該触媒をメタノールの
分解に使用する直前に行なう方が好ましい。
記請求項5に記載されているメタノール分解用触媒の製
造方法であって、上記CeO2 担体を形成するためのセ
リウム化合物とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてな
る原料溶液と、アルカリ溶液とを調製し、該原料溶液と
アルカリ溶液とを混合することによって、上記CeO2
担体の前駆体を沈澱させると同時に、該前駆体に上記パ
ラジウムを共沈させるにあたり、タングステン化合物又
は鉄化合物を上記原料溶液又はアルカリ溶液に溶かして
おくことを特徴とする。
は鉄化合物の溶液が酸性であれば、これを上記原料溶液
に溶かしておき、アルカリ性であれば、これを上記アル
カリ溶液に溶かしておくことになる。そして、このよう
にタングステン化合物又は鉄化合物の添加を行なった状
態で上記原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによ
り、CeO2 担体の前駆体が沈澱すると同時にこれにパ
ラジウム、タングステン又は鉄が共沈する。よって、こ
の共沈物を洗浄・焼成することによって上記請求項5に
記載されているメタノール分解用触媒を得ることができ
る。この場合、上記タングステン又は鉄は、Pd粒子及
びCeO2 担体の前駆体と共沈するときに、得られるP
d粒子及びCeO2 粒子の微細化剤として働き、パラジ
ウムの高分散担持に寄与すると考えられる。
であり、また、その後に行なう還元処理は150〜50
0℃で行なうことが好適である。
O2 、CeO2 、ZrO2 及びFe2 O3のうちから選
ばれた1種以上の金属酸化物A、Ti、Ce、Zr及び
Feのうちから選ばれた1種もしくは2種の金属の複合
酸化物B、又は上記金属酸化物Aと上記金属複合酸化物
Bとの混合物Cのうちのいずれかを担体とし、この金属
酸化物系担体にパラジウムを担持させてなるから、高い
低温活性及び高い選択性が得られる。
1に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記パラジウムの担持量を2〜50wt%としたから、高
い活性を得ることができる。
1に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記担体を比表面積100m2 /g以上のCeO2 とし、
該CeO2 担体に上記パラジウムを担持させたから、低
温活性が高くなる。
3に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記パラジウムの担持量を該パラジウムとCeO2 担体と
の合計量の2〜20wt%としたから、低温活性を高め
る上でより有利になる。
O2 として、これにパラジウムと共に酸化タングステン
又は酸化鉄を担持させたから、選択率の低下を招くこと
なく低温活性を高めることができる。
5に記載されているメタノール分解用触媒において、上
記パラジウムの担持量を触媒全量の2〜20wt%と
し、上記酸化タングステン又は酸化鉄の担持量を触媒全
量の0.5〜5wt%としたから、選択率の低下を招く
ことなく低温活性を高める上で有利になる。
1に記載されているメタノール分解触媒を製造するにあ
たって、上記金属酸化物系担体を構成する金属の化合物
とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液を
調製し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混合することに
よって、上記金属酸化物系担体の前駆体を沈澱させると
同時に、該金属酸化物系担体の前駆体に上記パラジウム
を水酸化物等として共沈させるようにしたから、パラジ
ウムを担体に対して高分散に担持させることができ、つ
まり、パラジウムの比表面積を低下させることなく多量
のパラジウムを当該担体に担持させることができ、触媒
の活性の向上に有利になる。
1に記載されているメタノール分解用触媒を製造するに
あたって、上記金属酸化物系担体を分散させてなる溶液
にパラジウム化合物を溶かし、これとアルカリ溶液とを
混合することによって、該担体にパラジウムを水酸化物
として析出させるようにしたから、請求項3に係る発明
と同様にパラジウムの高分散担持が可能になり、触媒の
活性の向上に有利になる。
3に記載されているメタノール分解用触媒を製造するに
あたって、CeO2 担体を形成するためのセリウム化合
物とパラジウム化合物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液
を調製し、該原料溶液と炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナ
トリウムとを混合することによって、上記CeO2 担体
の前駆体を沈澱させると同時に、該前駆体に上記パラジ
ウムを共沈させるようにしたから、高比表面積のCeO
2 担体にパラジウムが高分散担持されたメタノール分解
用触媒を得ることができる。
に記載されているメタノール分解用触媒の製造方法にお
いて、共沈物を300〜800℃の温度で焼成してか
ら、メタノール含有ガス中又は水素ガス等の還元ガス中
で還元処理を施すようにしたから、シンタリング等の不
具合を招くことなく、パラジウムを担体に確実に固着さ
せることができるとともに、還元処理によって触媒の活
性を向上させることができる。
担体を形成するためのセリウム化合物とパラジウム化合
物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液と、アルカリ溶液と
を調製し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混合するにあ
たり、タングステン化合物又は鉄化合物を上記原料溶液
又はアルカリ溶液に溶かしておくようにしたから、Ce
O2 担体の前駆体を沈澱させると同時に、該前駆体に上
記パラジウム、タングステン又は鉄の化合物を共沈させ
て、請求項5に記載されているメタノール分解用触媒を
得ることができるようになる。
る。
0.62g、ジルコニウム化合物として硝酸ジルコニウ
ムZrO(NO3 )2 ・2H2 Oを4.6gそれぞれ秤
量し、これを600mLの蒸溜水に溶解させてA液とし
た。一方、沈澱試薬として水酸化ナトリウムの1Nの水
溶液を調製してこれをB液とした。
液を滴下していくことによって共沈物を生成させた。な
お、希釈したB液にA液を流しこむことによっても同様
の共沈物を得ることができる。このようにして得られた
共沈物を1時間撹拌した後、充分に水洗して乾燥し、5
00℃×5時間の焼成を行なった。
2 は、ZrO2 にパラジウムが高分散に担持されたもの
であり、パラジウムの担持量は該パラジウムとZrO2
との合計量の15wt%である。
ラジウムを担持させてなるパラジウムPd/CeO2 触
媒(No.2)及びFe2 O3 にパラジウムを担持させて
なるパラジウムPd/Fe2 O3 触媒(No.3)を調製
した。パラジウムの担持量はいずれの触媒も15wt%
である。
パラジウムを析出沈澱法によって担持させたパラジウム
Pd/TiO2 触媒を得た。この析出沈澱法は以下の通
りである。
ジウムPdCl2 0.62gを秤量し、これを600m
Lの蒸溜水に溶解させてA液とした。このA液にチタニ
アTiO2 2.15gを混入し、これと沈澱試薬として
の水酸化ナトリウムの1N溶液とを混合して沈澱物を生
成させた。その後、撹拌熟成、水洗、乾燥の各過程を経
て、500℃×5時間の焼成を行なった。これによって
得られたパラジウムPd/TiO2 触媒のパラジウム担
持量は15wt%である。
パラジウムを担持させてなるパラジウムPd/Al2 O
3 触媒(No.5)及びZnOにパラジウムを担持させて
なるパラジウムPd/ZnO触媒(No.6)を調製し
た。パラジウムの担持量はいずれの触媒も15wt%で
ある。
媒を含浸法によって調製した。すなわち、ZrO2 粉末
を塩化パラジウム水溶液に浸漬し、引き上げて乾燥・焼
成することによってZrO2 粉末にパラジウムを担持さ
せたものである。パラジウムの担持量は15wt%であ
る。
wt%担持させたNi/SiO2 触媒を調製し、さらに
No.9触媒として、含浸法によってNi担持量を15w
t%としたNi/SiO2 触媒を調製した。また、No.
10触媒として、SiO2 にNi及びCuを担持させた
市販のメタノール分解用触媒(Ni−Cu/SiO2 触
媒)を準備した。
10の各触媒を固定床流通式反応装置に組み込み、この
触媒にH2 還元処理を施した後、メタノール15%を含
むアルゴンガスを温度250℃、空間速度10000m
L・h-1・g-1で通し、反応生成物の組成を測定するこ
とによって、各触媒のメタノール分解特性(転化率,選
択率)を評価した。結果は表1に示されている。
用いた共沈法によって調製したNo.1〜3,5,6の各
触媒を比較すると、No.1のパラジウムPd/ZrO2
触媒が最も高い転化率を示し、且つ合成ガス(CO+2
H2 )への選択率も比較的高い。これに対して、No.5
のパラジウムPd/Al2 O3 触媒もかなり高い転化率
を示しているが、それでも担体としてZrO2 、CeO
2 、Fe2 O3 を用いたNo.1〜3の各触媒に比べて選
択率が低い。これはアルミナ上の酸点の存在のためであ
ると考えられる。No.6のパラジウムPd/ZnO触媒
は同じくパラジウムを触媒金属とするが、活性が極めて
低い。
トリウムを用いた共沈法で触媒を調製する場合、パラジ
ウムの担体としては、ZrO2 、CeO2 又はFe2 O
3 が良いこと、その中でも特にZrO2 が良いことがわ
かる。
d/ZrO2 触媒と含浸法によるNo.7のパラジウムP
d/ZrO2 触媒とを比較すると、転化率は共沈法によ
る方が格段に高い。このことから、共沈法によって触媒
を調製することの有利性が裏付けられる。
触媒は析出沈澱法によって調製したものであるが、No.
7の含浸法によるパラジウムPd/ZrO2 触媒よりも
転化率が高い。TiO2 とZrO2 とはパラジウムの担
体として活性の向上に概ね同じ程度の寄与をすると考え
られるが、析出沈澱法によるNo.4の触媒の方が含浸法
によるNo.7の触媒よりも転化率が高いことから、該析
出沈澱法も共沈法と同様に担体におけるパラジウムの分
散担持性に有利であることがわかる。
用いた各触媒では選択率は比較的高いものの転化率が低
く、期待する低温活性を得ることはできない。
>先のNo.1の触媒の場合と同じ共沈法によってパラジ
ウムの担持量が互いに異なる数種類のパラジウムPd/
ZrO2 触媒を調製し、先の場合と同じ条件及び方法に
よって触媒の活性を調べた。結果は表2に示されてい
る。
なるに従って転化率が高くなっているものの、該担持量
が20wt%を越えると転化率は概ね一定となる。これ
は、パラジウムの粒子径が大きくなり、触媒の単位重量
当たりのパラジウムの表面積が低下したためであると考
えられる。上記結果から、共沈法においてはパラジウム
の担持量は高い転化率を得る観点から下限を5wt%と
することがよいこと、また、表3より析出沈澱法では下
限を2wt%とすることがよいこと、そして、上限を5
0wt%としても高い転化率を得ることができることが
わかる。
0.62g、セリウム化合物として硝酸セリウム5.3
gそれぞれ秤量し、これを600mLの蒸溜水に溶解さ
せてA液とした。一方、沈澱試薬として炭酸ナトリウム
の0.1Nの水溶液を調製してこれをB液とした。そし
て、このB液に上記A液を流し込むことによって共沈物
を生成させた。このようにして得られた共沈物を1時間
撹拌した後、充分に水洗して乾燥し、500℃×5時間
の焼成を行なった。
は、CeO2 にパラジウムが高分散に担持されたもので
あり、パラジウムの担持量は該パラジウムとCeO2 と
の合計量の15wt%である。
を用いた共沈法によってPd担持量を15wt%とした
パラジウムPd/Nd2 O3 触媒を調製した。
リウムを用いた共沈法によってPd担持量を15wt%
としたパラジウムPd/Sm2 O3 触媒を調製した。
2 水溶液と沈澱試薬NaOH水溶液とを用いた析出沈澱
法によってパラジウムを5wt%担持させたパラジウム
Pd/CeO2 触媒を得た。
2wt%としたパラジウムPd/CeO2 触媒を調製し
た。
5wt%としたパラジウムPd/ZrO2 触媒を調製し
た。
2wt%としたパラジウムPd/ZrO2 触媒を調製し
た。
乾燥・焼成する、という含浸法によってパラジウムを5
wt%担持させたパラジウムPd/CeO2 触媒を得
た。
t%としたパラジウムPd/ZrO2 触媒を調製した。
t%としたパラジウムPd/SiO2 触媒を調製した。
wt%、酸化鉄担持量を3wt%としたPd/CeO2
+Fe2 O3 触媒を調製した。
6,8の各触媒の低温活性評価>No.11〜21及び先
のNo.1〜3,6,8の各触媒を固定床流通式反応装置
に組み込み、この触媒にH2 還元処理を施した後、メタ
ノール20%を含むアルゴンガスを温度200℃、空間
速度5000mL・h-1・g-1で通し、反応生成物の組
成を測定することによって、各触媒のメタノール分解特
性(転化率,選択率)を評価した。結果は表3に示され
ている。
較すると、沈澱試薬として炭酸ナトリウムを用いたNo.
11のパラジウムPd/CeO2 触媒が最も高い転化率
を示し、且つ合成ガスへの選択率も高い。これに対し
て、沈澱試薬として水酸化ナトリウムを用いた先のNo.
2は同じくパラジウムPd/CeO2 触媒ではあるが、
転化率はNo.1に劣る。
4〜17の各触媒を比較すると、各触媒の転化率及び選
択率に大きな差はないが、パラジウムPd/CeO2 触
媒の転化率が若干高い。また、No.14の触媒とNo.1
5の触媒とは互いのPd担持量が異なるパラジウムPd
/CeO2 触媒(前者は5wt%、後者は2wt%)で
あるが、その転化率には大きな差はない。No.16の触
媒とNo.17の触媒とは互いのPd担持量が異なるパラ
ジウムPd/ZrO2 触媒(前者は5wt%、後者は2
wt%)であるが、この担持量の違いは転化率にあまり
影響を与えていない。従って、析出沈澱法ではPd担持
量の下限を2wt%としても比較的高い転化率を得るこ
とができることがわかる。
較すると、転化率はNo.18のパラジウムPd/CeO
2 触媒が最も高く、このNo.18触媒にNo.19のパラ
ジウムPd/ZrO2 触媒が続き、シリカを担体とする
No.20,No.8の各触媒の転化率はかなり低い。
リウムを用いて共沈法によりパラジウムPd/CeO2
触媒を調製することが当該触媒の低温活性の向上に最も
有効であることがわかる。また、Pd/CeO2 触媒に
添加物としてFe2 O3 を採用するとさらに活性が向上
した(No.11触媒及びNo.21触媒参照)。
パラジウムPd/CeO2 触媒の比表面積と転化率との
関係を調べると、表4に示す結果が得られた。同表中の
No.22触媒は、No.2及びNo.11の各触媒と同じく
共沈法によって調製しており、沈澱試薬として水酸化ナ
トリウムと炭酸ナトリウムとを混合して用いたものであ
る。また、同表には他の触媒についても参考のために示
している。
比表面積と転化率とには一定の関係があること、また、
パラジウムPd/CeO2 触媒に関しては、No.11の
ように沈澱試薬として炭酸ナトリウムを用いて共沈法に
よって調製すると大きな比表面積が得られ、転化率の向
上に有効であることがわかる。
Pd/CeO2 触媒の比表面積と転化率との関係をグラ
フ化したものである。比表面積100m2 /g以上で高
い転化率が得られることがわかる。
沈法によって調製したパラジウムPd/CeO2 触媒の
Pd担持量と転化率との関係を調べると表5のようにな
った。
傾向があるが、30wt%になると転化率が20wt%
の場合よりも低くなっている。これは、Pd担持量があ
る程度以上になってくると、その分散度は高くならず、
かえって触媒の比表面積が低下するためと考えられる。
この結果から、Pd担持量は30wt%以下、さらには
20wt%以下にすることが好適であることがわかる。
但し、5wt%未満になると、PdによるCeO2 担体
のシンタリング防止効果があまり得られなくなるため、
触媒の比表面積が低下して転化率が低くなる。しかし、
析出沈澱法によってPd/CeO2 触媒を調製したもの
は2wt%を限界として高活性が得られた。よって、P
d担持量は2wt%以上とすることが好適である。
媒例は、Pd/CeO2 系の触媒における添加剤の効果
を評価するためのものである。
0.62g、セリウム化合物として硝酸セリウム5.3
gそれぞれ秤量し、これを600mLの蒸溜水に溶解さ
せてA液とした。一方、沈澱試薬として炭酸ナトリウム
の0.1Nの水溶液を調製し、さらに該水溶液に適量の
タングステン酸アンモニウムを溶かしてこれをB液とし
た。そして、このB液に上記A液を流し込むことによっ
て共沈物を生成させた。このようにして得られた共沈物
を1時間撹拌した後、充分に水洗して乾燥し、500℃
×5時間の焼成を行なった。
CeO2 にパラジウム及び酸化タングステンが高分散に
担持されたものであり、パラジウムの担持量は触媒全量
の15wt%、また、酸化タングステンの担持量は触媒
全量の3wt%である。
0.62g、セリウム化合物として硝酸セリウム5.3
gそれぞれ秤量し、これを600mLの蒸溜水に溶解さ
せて、さらに該水溶液に適量の硝酸鉄を溶かしてA液と
した。一方、沈澱試薬として炭酸ナトリウムの0.1N
の水溶液を調製してこれをB液とした。そして、このB
液に上記A液を流し込むことによって共沈物を生成させ
た。このようにして得られた共沈物を1時間撹拌した
後、充分に水洗して乾燥し、500℃×5時間の焼成を
行なった。
は、CeO2 にパラジウム及び酸化鉄が高分散に担持さ
れたものであり、先に説明したNo.21触媒に相当する。
このB触媒のパラジウムの担持量は触媒全量の15wt
%、また、酸化鉄の担持量は触媒全量の3wt%であ
る。
と同じ条件及び方法によってPd/CeO2 +MoOx
触媒を得た。すなわち、この触媒は、CeO2にパラジ
ウム及び酸化モリブデンが高分散に担持されたものであ
り、パラジウムの担持量は触媒全量の15wt%、ま
た、酸化モリブデンの担持量は触媒全量の3wt%であ
る。
の調製には硝酸マグネシウム、F触媒の調製には硝酸プ
ラセオジウム、G触媒の調製には硝酸サマリウム、H触
媒の調製には硝酸ネオジム、I触媒の調製には硝酸銅を
それぞれ用い、B触媒と同じ条件及び方法によって表6
に示す各触媒を得た。パラジウムの担持量はA〜C触媒
と同様に15wt%であり、各添加剤によって生成した
酸化物の担持量もA〜C触媒と同様に3wt%である。
ってPd/CeO2 触媒を得た。この触媒は先に説明し
たNo.11触媒に相当するものであり、パラジウムの担
持量は触媒全量の15wt%である。
1〜21触媒の場合と同じ方法によって、A〜J触媒の
メタノール分解特性(転化率,選択率)を評価した。結
果は表6に示されている。
た他の触媒A〜Iとを比較すると、A触媒及びB触媒に
ついては酸化物の添加による活性の向上が見られるが、
他の触媒ではいずれも活性が低下している。従って、添
加すべき酸化物としては、酸化タングステン及び酸化鉄
が好適であることがわかる。しかも、この両酸化物の場
合は、選択率の実質的な低下もほとんどみられない。
ターンを示している。このX線回折パターンではピーク
幅が広いほど粒径が細かいことを表わすので、同図から
酸化鉄を添加したB触媒では、その添加によってPd粒
子及びCeO2 粒子が微細になっていることがわかる。
そして、この微細化がB触媒の活性の向上に寄与してい
るものと考えられる。
量を変えてその活性を評価した結果を示している。評価
条件は表6の場合と同じである。
%の範囲では無添加のJ触媒よりも活性が高くなるこ
と、そして、特に3wt%のときに活性が最も高くなる
ことがわかる。酸化タングステンに関しても、その量と
活性との関係は酸化鉄と実質的に同じであった。
O2 触媒の比表面積と転化率との関係を示すグラフ図。
添加がないPd/CeO2 触媒のX線回折パターンを比
較した図。
Claims (11)
- 【請求項1】 TiO2 、CeO2 、ZrO2 及びFe
2 O3 のうちから選ばれた1種以上の金属酸化物A、T
i、Ce、Zr及びFeのうちから選ばれた1種もしく
は2種の金属の複合酸化物B、又は上記金属酸化物Aと
上記金属複合酸化物Bとの混合物Cのうちのいずれかを
担体とし、この金属酸化物系担体にパラジウムが担持さ
れていることを特徴とするメタノール分解用触媒。 - 【請求項2】 請求項1に記載されているメタノール分
解用触媒において、 上記パラジウムの担持量が、該パラジウムと上記金属酸
化物系担体との合計量の2〜50wt%であることを特
徴とするメタノール分解用触媒。 - 【請求項3】 請求項1に記載されているメタノール分
解用触媒において、 上記担体が比表面積100m2 /g以上のCeO2 であ
り、該CeO2 担体に上記パラジウムが担持されている
ことを特徴とするメタノール分解用触媒。 - 【請求項4】 請求項3に記載されているメタノール分
解用触媒において、 上記パラジウムの担持量が該パラジウムとCeO2 担体
との合計量の2〜20wt%であることを特徴とするメ
タノール分解用触媒。 - 【請求項5】 請求項1に記載されているメタノール分
解用触媒において、 上記担体がCeO2 であって、該担体にパラジウムと共
に酸化タングステン又は酸化鉄が担持されていることを
特徴とするメタノール分解用触媒。 - 【請求項6】 請求項5に記載されているメタノール分
解用触媒において、 上記パラジウムの担持量が触媒全量の2〜20wt%で
あり、上記酸化タングステン又は酸化鉄の担持量が触媒
全量の0.5〜5wt%であることを特徴とするメタノ
ール分解用触媒。 - 【請求項7】 請求項1に記載されているメタノール分
解用触媒の製造方法であって、 上記金属酸化物系担体を形成するための金属の化合物と
パラジウム化合物とを溶媒に溶かしてなる原料溶液を調
製し、 上記原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによっ
て、上記金属を上記金属酸化物系担体の前駆体である水
酸化物等として沈澱させると同時に、該金属酸化物系担
体の前駆体に上記パラジウムを水酸化物として共沈させ
ることを特徴とするメタノール分解用触媒の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1又は請求項3に記載されている
メタノール分解用触媒の製造方法であって、 上記金属酸化物系担体を分散させてなる溶液にパラジウ
ム化合物を溶かし、該溶液とアルカリ溶液とを混合する
ことによって、該金属酸化物系担体にパラジウムを水酸
化物として析出させることを特徴とするメタノール分解
用触媒の製造方法。 - 【請求項9】 請求項3に記載されているメタノール分
解用触媒の製造方法であって、上記CeO2 担体を形成
するためのセリウム化合物とパラジウム化合物とを溶媒
に溶かしてなる原料溶液を調製し、 上記原料溶液と炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム
とを混合することによって、上記CeO2 担体の前駆体
を沈澱させると同時に、該前駆体に上記パラジウムを共
沈させることを特徴とするメタノール分解用触媒の製造
方法。 - 【請求項10】 請求項7に記載されているメタノール
分解用触媒の製造方法において、 上記共沈物を乾燥させた後に、300〜800℃にて焼
成し、その後にメタノール含有ガス中又は水素ガス等の
還元ガス中で還元処理を施すことにより、上記パラジウ
ムの水酸化物を金属パラジウムに変えることを特徴とす
るメタノール分解用触媒の製造方法。 - 【請求項11】 請求項5に記載されているメタノール
分解用触媒の製造方法であって、上記CeO2 担体を形
成するためのセリウム化合物とパラジウム化合物とを溶
媒に溶かしてなる原料溶液と、アルカリ溶液とを調製
し、該原料溶液とアルカリ溶液とを混合することによっ
て、上記CeO2 担体の前駆体を沈澱させると同時に、
該前駆体に上記パラジウムを共沈させるにあたり、タン
グステン化合物又は鉄化合物を上記原料溶液又はアルカ
リ溶液に溶かしておくことを特徴とするメタノール分解
用触媒の製造方法。
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---|---|---|---|
JP08244496A JP3390777B2 (ja) | 1995-04-18 | 1996-04-04 | メタノール分解用触媒及びその製造方法 |
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JP7-92844 | 1995-04-18 | ||
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JP28828195 | 1995-11-07 | ||
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JP08244496A Expired - Lifetime JP3390777B2 (ja) | 1995-04-18 | 1996-04-04 | メタノール分解用触媒及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1996
- 1996-04-04 JP JP08244496A patent/JP3390777B2/ja not_active Expired - Lifetime
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