JP4932321B2 - アルミとシリカを含む金担持粒子および該粒子を用いるカルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

アルミとシリカを含む金担持粒子および該粒子を用いるカルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カルボン酸エステルの製造等において、耐磨耗性に優れ、高い反応性を安定して維持することのできる触媒として好ましく使用できる金担持粒子、並びに、長期間にわたり安定的に且つ高収率でカルボン酸エステルを製造できる、カルボン酸エステルの製造方法に関する。
アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する方法は、一段に古くから数多く提案されている。例えば、特公昭57−35856号公報、特公平4−72578号公報、特開昭57−50545号公報等にはパラジウム−鉛系触媒を用いる製造方法が開示され、特開昭61−243044号公報にはパラジウム−テルル系触媒を用いる製造方法が開示され、特公昭57−35860号公報にはパラジウム−タリウム−水銀系触媒を用いる製造方法が開示され、特公昭57−19090号公報にはパラジウム−アルカリ土類金属−亜鉛−カドミウム系触媒を用いる製造方法が開示され、特公昭62−7902号公報、特開平10−158214号公報等にはパラジウム−ビスマス系触媒を用いる製造方法が開示されている。
また、担体に特徴のある先行技術として、特開平5−148184号公報には疎水性を有するテフロン(登録商標)担体、弗化黒鉛担体およびハイシリカゼオライト担体等を使用する方法、特開平8−332383号公報にはシリカ−アルミナ担体、特開平9−52044号公報にはシリカ−アリミナ−マグネシア担体、特開平9−192495号公報には結晶性のメタロシリケート担体、特開2003−305366号公報にはジルコニウム、珪素、アルミニウムを必須成分とした担体、の各開示がある。
さらに、従来、液相反応で使用される触媒はいずれもパラジウムを含む触媒の報告であった。近年パラジウム以外の金属を成分とする例が報告されている。特開2000−154164号公報には、疎水性担体と金を組み合わせた触媒が示され、特開2002−361086号公報、特開2004−181357号公報、特開2004−181358号公報および特開2004−181359号公報には、6nm以下の金超微粒子を特徴として、剥離性を改良した技術の開示がある。しかしながら、金を触媒成分とした先行技術では、工業的な水準での耐久性は依然として課題であった。
特公昭57−35856号公報 特公平4−72578号公報 特開昭57−50545号公報 特開昭61−243044号公報 特公昭57−35860号公報 特公昭57−19090号公報 特公昭62−7902号公報 特開平10−158214号公報 特開平5−148184号公報 特開平8−332383号公報 特開平9−52044号公報 特開平9−192495号公報 特開2003−305366号公報 特開2000−154164号公報 特開2002−361086号公報 特開2004−181357号公報 特開2004−181358号公報 特開2004−181359号公報
本発明は、酸素存在下でアルデヒドとアルコールやアルコール類からカルボン酸エステルを製造する方法において、耐磨耗性に優れ、高い反応性を安定して維持する金を含む担持粒子を提供することを課題とする。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意研究の結果、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1) 担体がシリカ、Al、並びにアルカリ金属および又はアルカリ土類金属を含む粒子であって、アルカリ金属および又はアルカリ土類金属とAlとの原子比、AlとSiとの原子比が、それぞれ下記式を満たす担体に、金が担持された粒子である金担持粒子。
(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al≧0.5
Al/Si=0.02〜0.25
2)シリカ原料として、粒子径が0.5〜80nmのシリカゾルを用い、噴霧乾燥後、焼成して得られた担体を用い、金担持した後に超音波洗浄してなる、前記1)記載の金担持粒子。
3)アルデヒド、アルコールおよび酸素を液相で触媒の存在下に反応させるカルボン酸エステルの製造方法であって、該触媒として前記1)又は2)記載の金担持粒子を用いる、カルボン酸エステルの製造方法。
4)前記アルデヒドとしてアクロレインを用い、前記アルコールとしてメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも一つを用いてアクリル酸エステルを製造する、前記3)記載のカルボン酸エステルの製造方法。
5)前記アルデヒドとしてメタクロレインを用い、前記アルコールとしてメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも一つを用いてメタクリル酸エステルを製造する、前記3)記載のカルボン酸エステルの製造方法。
6)1種または2種類のアルコールおよび酸素を液相で触媒の存在下反応させるカルボン酸エステルの製造方法であって、
前記触媒として前記1)又は2)記載の金担持粒子を用い、前記1種類のアルコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコールまたはブタンジオールを用い、前記2種類のアルコールの一つとしてメタノールまたはエタノールを用いて、オキシカルボン酸メチル、オキシカルボン酸エチル、カルボン酸メチル、またはカルボン酸エチルを製造する、カルボン酸エステルの製造方法。
7)前記アルコールの少なくとも一つとしてエタノールを用いて酢酸エチルを製造する、前記6)記載のカルボン酸エステルの製造方法。
本発明に係る金担持粒子によれば、酸素存在下でアルデヒドとアルコールやアルコール類からカルボン酸エステルを製造する方法において、耐磨耗性に優れ、高い反応性を安定して維持することのできる触媒としての効果を有する。
また、本発明に係るカルボン酸エステルの製造方法によれば、酸素存在下でカルボン酸エステルを製造する際の触媒として前記金担持触媒用いることで、長期間にわたり安定的に且つ高収率でカルボン酸エステルを製造できる。
以下、まず本発明の金担持粒子について詳細に説明する。
本発明の金担持粒子は、担持構造および担体の成分組成ならび物性と、その製造方法に特徴を有する。そして、本発明の金担持粒子は、酸素存在下でアルデヒドとアルコール、アルコール類からカルボン酸エステルを製造する方法において触媒として用いた場合に、耐磨耗性に優れ、高い反応性を安定して得られるものである。
本発明者は、金担持粒子に使用する担体の選定との組み合わせが極めて重要であることを見出した。本発明の金担持粒子に用いられる担体は、シリカに比べ高い耐水性を有し、アルミナに比べ耐酸性が高く、活性炭に比べて硬く、機械的強度が高いなど、従来の一般的に使用される担体に比して優れた物性を備える結果、長期にわたり大きく剥離性を改善できる。具体的には、シリカ、アリミナ、および(アルカリ金属及びまたはアルカリ土類金属)を含む担体が使用される。
本発明者の推察によれば、担体の好ましい実施形態では、シリカ、アリミナの元素が酸素を介在して架橋し合うため耐久性能が向上しているものとみている。例えば、シリカ、アルミナの本発明の組成範囲では、O−Al−O−Si−O−の結合が効果的に形成することによると推定される。すなわち、シリカ、アルミナが複合化したメタルオキサン構造を形成することにより、シリカゲル等の物性に比べ、高い機械的強度向上および耐薬品性を発現していると推定される。
本発明の金担持粒子に用いられる担体は、Alとシリカの組成比がAl/Si=0.02〜0.25の範囲であることが重要である。0.02以下では磨耗や割れなどの機械的強度向上の効果が低く、0.25以上では、アルミ単独の性質が発現するため好ましくない。組成比Al/Siは、より好ましくは0.03〜0.2の範囲である。
アルカリ金属、アルカリ土類金属は、シリカ・アルミナ結合で生じる固体酸点を電荷的に中性化する働きによって構造安定性にも寄与していると推定される。
したがって、(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al≧0.5であることが必要である。
左式の値が0.5未満ではシリカ・アルミナ結合による固体酸点が発現する。上限については特に限定されないが通常、Al原子の3倍以下の範囲から設定される。
また、アルカリ金属やアルカリ土類金属は、担体の耐久性を高める効果の他、多孔質体が架橋体構造を形成する上で生じた電荷バランスを安定化する重要な構成要素と考えている。本発明の組成範囲以外では、各構成成分自体の特性があらわれると推定され、効果が低減する傾向が見られ好ましくない。
担体の強度や化学的な安定性の向上が長期に渡る担持された金属の剥離抑制に効果的とする根拠の一つである化学的安定について示す。酸性条件や中性条件で安定な材料としてシリカゲルがあるが、本発明者の水中での緩やかな攪拌実験で数ppm程度のシリカイオンの溶解が観測される。シリカゲルの水に対する飽和溶解度が400ppmとされるから、通常の使用では問題とならないレベルに思えるが、1年、2年さらに長期にわたって使用する場合にはシリカゲルの10%以上が溶解することになり、当然担持された金属の剥離が緩やかであるが起こる。したがって、短期的に剥離の抑制には金の担持構造が大きく寄与するが、工業触媒として使用する場合には、年のオーダーでの担体の長期安定も重要な因子であることがわかる。
担体は、本発明に係る範囲の組成で、例えば、シリカ、アルミニウム、アルカリ金属および又はアルカリ土類金属の原料として、コロイド粒子径0.5〜80nmのシリカゾル、アルミナゾルあるいはアルミニウム化合物、アルカリ金属および又はアルカリ土類金属化合物を用い、これらの原料を混合したスラリーを噴霧乾燥、焼成すること等、により製造することできる。
シリカゾルは、一般公知の製造方法にしたがって調製できるほか、市販ゾルをそのまま用いても良い。例えば、その他、水ガラスを硫酸などの鉱酸で中和して得られるゾルあるいは水ガラスをイオン交換樹脂で処理して得られるゾルなどが使用できる。但し、粒子径0.5〜80nmの範囲内にあるものを使用することが、球状な耐久性のある担体を形成する上で好ましい。コロイドの粒子径が小さくなると比表面積の増加ならびに耐破砕性が向上する傾向にあるが形状が悪くなる傾向が見られ球状粒子を得る上で好ましくない。また、コロイドの粒子径が大き過ぎると細孔径および細孔容積が大きくなる傾向にあり、比表面積の低下ならびに耐薬品性および耐破砕性の低下に影響する。したがって、ゾル粒子径0.5〜80nmの範囲、さらに好ましくは1〜50nmで適宜必要とする担体の物性要求にあわせて選択すればよい。ゾルの粒子径が異なるものを組み合わせると、さらに強度の向上が認められ傾向があり、強度の点からはより好ましい。
アルミニウム原料としては、アルミナゾルもしくは一般の市販されるアルミニウム化合物を用いることができる。アルミナゾルとしては、シリカゾルと同様に通常の市販ゾルを適用できる。また、アルミニウム化合物としては、例えば、アルミン酸ソーダ、塩化アルミニウム六水和物、過塩素酸アルミニウム六水和物、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、二酢酸アルミニウムなどを挙げることができる。好ましくは水溶性のアルミニウム化合物であり、より好ましくは硝酸アルミニウムである。硝酸アルミニウムが好ましい理由は、球状に成形した担体を焼成する過程において、アルミニウム以外は窒素酸化物として気化して消失するため、後から不純物を除去する操作が必要ないことを挙げることができる。同様にアルミナゾルも他の不純物を残存しない利点がある。水溶性のものが好ましい理由は、シリカゾルとの混合スラリーの均一分散しやすいことを挙げることができる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属の原料としては、アルミニウム原料と同様に一般の市販される化合物を用いることができる。好ましくは水溶性の化合物であり、より好ましいのは水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩である。
また、本発明においては、担体の調製に際して、シリカ、アルミニウム化合物もしくはアルカリ金属、および又はアルカリ土類金属化合物の混合スラリーに、スラリー性状の制御や生成物の細孔構造、などの特性や得られる担体物性を微調整するために無機物および/あるいは有機物を加えることが可能である。用いられる無機物の具体的な例としては、硝酸、塩酸、硫酸等の鉱酸類および、Li,Na,K,Rb,Csなどのアルカリ金属、Mg,Ca,Sr,Baなどのアルカリ土類金属などの金属塩ならびにアンモニアや硝酸アンモニウム等の水溶性化合物のほか、水中で分散して懸濁液を生じる粘土鉱物も使用できる。また、有機物としては、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等の重合体などが用いることができる。
無機物および有機物を加える効果は様々であるが、球状担体の成形、細孔径および細孔容積の制御などであり、具体的には球状の担体を得るには混合スラリーの液質が重要な因子となる。無機物あるいは有機物によって粘度や固形分濃度を調製することによって、球状の担体が得られやすい液質に変更できる。また、細孔径および細孔容積の制御では、担体の成形段階で内部に残存し、成形後の焼成ならびに洗浄操作により残存物を除去できる最適な有機化合物を選択することによって実施できる。無機物あるいは有機物を選定して添加することにより、球状化の促進や物性値を微調整できる効果は大きい。
本発明に用いられる担体は、前述した各種原料ならびに添加物の混合スラリーを噴霧乾燥して製造することができる。混合スラリーを液滴化する方法としては、回転円盤方式、二流体ノズル方式、加圧ノズル方式など公知の噴霧装置を使用できる。
噴霧する液は、よく混合された状態で用いることが望ましい。混合状態が悪い場合には組成の偏在によって耐久性が低下するなど、担体の性能に影響する。特に原料調合時には、スラリーの粘度上昇および一部ゲル化(コロイドの縮合)が生じる場合もあり、不均一な粒子を形成することが懸念され、そのため、原料の混合を攪拌下で徐々に行うなどの配慮を行うほか、酸やアルカリを加えるなどの方法によって、例えばpH2付近のシリカゾルの準安定領域に制御して行うことが好ましい場合もある。
また、噴霧する液は、ある程度の粘度ならびに固形分濃度をもっていることが望ましい。粘度や固形分濃度が低すぎると噴霧乾燥で得られる多孔質体が、真球とならず陥没球が多く生成する場合がある。また、高すぎると多孔質体同士の分散性に悪影響を及ぼすことがある他、性状によっては安定に液滴の形成ができなくなる場合がある。そのため、粘度としては噴霧可能であれば、5〜10000cpの範囲にあることが好ましく、形状からは噴霧可能な高い粘度の方が好ましい傾向が見られ、操作性とのバランスからより好ましくは10〜1000cpの範囲から選択できる。また、固形分濃度は10〜50wt%の範囲内にあることが形状や粒子径から好ましく、適した濃度を選択できる。尚、噴霧乾燥条件としての目安として、噴霧乾燥器の乾燥塔入り口の熱風温度は200〜280℃、乾燥塔出口温度が110〜140℃の範囲内が好ましい。
本発明に用いられる担体を調製する際の焼成温度は、300〜800℃が好ましい範囲である。焼成条件は多孔質性などの担体物性が変化するため、適切な温度条件ならびに昇温条件の選定が必要である。焼成温度が低いと複合酸化物として耐久性の維持が難しく、高すぎると細孔容積の低下に至る。また、昇温条件は、プログラム昇温等を利用し徐々に昇温していくことが好ましい。急激に高い温度条件で焼成した場合は、無機物および有機物のガス化や燃焼が激しくなり、設定以上の高温状態に曝されるたり、粉砕の原因になるため好ましくない。
以上、本発明に用いられる担体の製造について述べてきたが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を担体に含有させる方法については、他の成分と同時に噴霧乾燥する方法や、後からアルカリ金属、アルカリ土類金属を吸着させる方法が使用できる。例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を溶解した液中に担体を加えて乾燥処理を行うなど浸漬法を用いた方法、細孔容量分のアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を担体に染み込ませて乾燥処理を行うなど含浸法を用いる方法も適用できる。但し、後からアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を吸着させる方法は、担体にアルカリ金属、アルカリ土類金属化合物を高分散化するうえで液乾燥処理を緩和な条件で行うなどの注意が必要である。
また、担体の細孔構造は、強度以外の金属成分の担持特性、剥離などを含めた長期安定性、反応特性から極めて重要な物性の一つである。担体の細孔径はこれらの特性を発現するために望ましい物性値である。3nmより小さい細孔では、担持金属の剥離性上は好ましい方向であるが、細孔径が小さくなりすぎると、触媒として液相反応などで使用する場合、細孔内拡散抵抗が大きくなり反応基質の拡散過程が律速となり、反応活性が低くなってしまうことが多い。一方、50nmより大きな細孔が存在すると、担持した金属が剥離し易くなる傾向が見られ、触媒が割れやすくなるな結果、剥離が進行するために好ましくない。したがって、担体の細孔径は、好ましくは3nm〜50nmの範囲であり、より好ましくは、3nm〜30nmである。細孔容積は貴金属を担持する細孔が存在するために必要である。しかし細孔容積が大きくなると急激に強度が低下する傾向が見られる。したがって、担体の細孔容積は、0.1〜0.5ml/gの範囲が強度、担持特性から好ましい。さらに好ましくが0.1〜0.4ml/gの範囲である。すなわち細孔径および細孔容積の両者の範囲を満たすものが好ましい。
本発明の金担持粒子は、前述した担体に、金が担持された粒子である。
本発明に用いられる金の原料としては、テトラクロロ金酸、テトラクロロ金酸ナトリウム、ジシアノ金酸カリウム、ジエチルアミン金三塩化物、シアン化金等を挙げることができる。金単独で担持する場合には200℃〜800以上の焼成で金属金とすることが可能である。一般的な還元剤を用いて還元して金属金とすることもできる。還元剤としては、ホルマリン、蟻酸、ヒドラジン、分子状水素、水素化ホウ素ナトリウムなどを用いることができる。
本発明の金担持粒子の代表的な調製法について、マグネシウムを塩基成分として含有する担体を用いた場合を例に説明する。例えば、水中に担体を短時間で投入しスラリーとして攪拌する。ついで、pH2以下に調製したテトラクロロ金酸などの金水溶液を溶解させた水溶液に加えると、金イオンは粒子表面から粒子の内部へ拡散し、内部の塩基と中和反応によって析出して固定される。この段階で金の担体内部固定が完了する。水洗を行い乾燥200℃〜800℃の温度で焼成し、さらに水中に分散させて超音波洗浄することで、金属金が担持された粒子が得られる。一方、還元工程として5〜100℃の温度でヒドラジン等によって還元し、その後上澄みをデカント、水洗、超音波洗浄を行った後に真空乾燥して金が担持された粒子を得ることもできる。本発明の金担持粒子の調製方法で、超音波洗浄を行った場合としない場合の比較検討の結果、通常の洗浄操作では除去できなかった外表面に付着した金を超音波洗浄は効果的に除去できることを確認した。本発明の金担持粒子の調製に際して、超音波洗浄を組み込んだ調製方法は極めて有効な方法である。
金を担持する際の温度条件は、室温〜200℃の温度で行うことができるが低い温度ほど、金の分布が広がることから高い温度が好ましく、70℃以上が好ましく、常圧の場合には90〜100℃付近がより好ましい。
還元方法は、金を担持した後の触媒前駆体を水もしくはメタノール中にて、加温しながら、ホルマリン、蟻酸、を添加することによっても還元できる。また、分子状水素を使用して還元を行うこともできる。ホルマリン、蟻酸、ヒドラジンの使用量は一般的には金担持量に対し、0.5〜100倍モル、実用的には1〜10倍モルが使用される。また、この量を越えても特に問題はない。また、分子状水素による還元処理は、純粋な水素ガスまたは窒素あるいはメタン等の不活性なガスで希釈されたもの物を用いることができる。水素濃度は0.1vol%以上とし圧力は常圧ないしは数十気圧の条件で触媒製造時の分散液中に吹き込むなどして行われる。還元する際の温度ならびに圧力条件は、溶液が凍結しない低い温度から〜160℃、圧力が常圧〜数気圧であることが好ましくい。さらに、還元処理時間は触媒種、処理条件により変わるが、大まかに数分〜100時間である。数時間以内に処理が完了するように条件を設定するのが好都合である。
本発明の金担持粒子における金担持量は、特に限定はないが、担体重量に対し、好ましくは0.1〜20wt%、より好ましくは1〜10wt%である。本範囲を外れた高い担持量では、金が凝集し触媒金属当たりの活性が低くなり、低過ぎると触媒当たりの活性が低くなるため好ましくない。
また、本発明における金担持粒子は、金の他に異種元素を含有させることもできる。例えば、パラジウム、銀、水銀、タリウム、ビスマス、テルル、ニッケル、クロム、コバルト、インジウム、タンタル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、タングステン、マンガン、銀、レニウム、アンチモン、スズ、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、白金、チタン、アルミニウム、硼素、珪素などを含ませることが可能である。これらの異種元素は、触媒として好ましく用いられる金担持粒子あたり0.01〜20wt%、好ましくは0.1〜10wt%が好ましい。さらに、触媒にアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物、希土類化合物から選ばれた少なくとも一種の金属塩を含有させてもよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類の含有量は、触媒として好ましく用いられる金担持粒子あたり15wt%以下の範囲から選ばれる。尚、これらの異種元素もしくはアルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物、希土類化合物は、金担持粒子の製造や反応の際に触媒中に含有させてもよいし、あらかじめ担体に含有させておく方法も用いることができる。
本発明の金担持粒子は、その用途に特に制限はないが、これを触媒として用い、アルデヒドやアルコール、及び分子状酸素と反応させてカルボン酸エステルを製造する反応等に好適に使用することができる。
次に、本発明のカルボン酸エステルの製造方法について詳細に説明する。
本発明に係るカルボン酸エステルの製造方法は、アルデヒド、アルコールおよび酸素を液相で触媒の存在下に反応させるカルボン酸エステルの製造方法であって、該触媒として前述した金担持粒子を用いることを特徴とする。
本発明の製造方法において、触媒の使用量は、反応原料の種類、触媒の組成や調製法、反応条件、反応形式などによって大巾に変更することができ、特に限定はないが、触媒をスラリー状態で反応させる場合は、スラリー中の固形分濃度として、4〜50wt/vol%、好ましくは4〜30wt%より好ましくは10〜25%wt%の範囲内に収まるよう使用するのが好ましい。
また、原料に用いるアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、グリオキサールなどの脂肪族飽和アルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒドなどの脂肪族α・β−不飽和アルデヒド、ベンズアルデヒド、トリルアルデヒド、ベンジルアルデヒド、フタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、ならびにアルデヒドの誘導体などが挙げられる。これらのアルデヒドは、単独もしくは任意の二種以上の混合物として用いることができる。
一方、アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、オクタノールなどの脂肪族飽和アルコール、シクロヘキサノール、のような脂肪族環状アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのジオール、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの脂肪族不飽和アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコールなどが挙げられる。アルデヒドとアルコールからは対応するカルボン酸エステルを合成することができ、また、アルコールは単独もしくは任意の二種以上、例えばエタノールから酢酸エチルの合成やエチレングリコールとメタノールの混合物からグリコール酸メチルの合成などの反応として用いることができる。
好ましい態様として、アルデヒドとしてアクロレインを用い、アルコールとしてメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも一つを用いることにより、アクリル酸エステルを製造することができる。
また好ましい他の態様として、アルデヒドとしてメタクロレインを用い、アルコールとしてメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも一つを用いることにより、メタクリル酸エステルを製造することができる。
さらに、酸素は、分子状酸素すなわち酸素ガスまたは不活性ガスに希釈した酸素ならびに空気を用いることができる。
尚、カルボン酸エステルを製造する反応において、アルデヒドとアルコールの使用量比は、例えば、(アルデヒドまたはアルコール)/アルコールのモル比で2/1〜1/50の範囲であるが、目的とする反応に合わせて設定することができる。例えばメタクロレイン/メタノールからメタクリル酸メチル、グリコール類/メタノールからグリコール酸メチルなどでは1/2〜1/10の範囲が好ましく選定される。反応系に存在させる酸素量は、反応に必要な化学量論量以上、好ましくは化学量論量の1.2倍以上であればよい。
また、本発明に係るカルボン酸エステルの製造方法においては、気相反応、液相反応、潅液反応などの任意の方法で回分式又は連続式のいずれによっても実施できる。反応は無溶媒でも実施できるが、反応成分に対して不活性な溶媒、例えばヘキサン、デカン、ベンゼン、ジオキサンなどを用いてもよい。反応器形式としては、固定床式、流動床式、撹拌槽式など従来公知の形式を採用できる。尚、本発明の触媒は耐破砕性をもつため、流動床反応器、気泡塔反応器、撹拌槽反応器にも安定に使用できる。
本発明における触媒の粒子径は、反応形式に応じて適宜選ぶことができる。例えば、液相懸濁状態で使用する際は触媒の分離方法によって変わり、自然沈降分離では、好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは20〜100μmである。
本発明に係るカルボン酸エステルの製造方法における反応プロセスを液相等で実施する場合には、反応系にアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の化合物(例えば、酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩など)を添加して反応系のpHを6〜8に保持することが好ましい。反応器出口側の酸素分圧や反応させるアルデヒド種、アルコール種などの反応原料、反応条件もしくは反応器形式などにより変化するが、実用的には反応器出口の酸素分圧は爆発範囲の下限以下の濃度となる範囲で、例えば20〜80kPaに管理し、その他、反応圧力は減圧から加圧下の任意の広い圧力範囲で実施することができきるが、通常は0.05〜2MPaの圧力で実施される。反応器流出ガスの酸素濃度が爆発範囲(8%)を越えないように全圧を設定することが安全性から好ましい。また、反応温度は、100℃以上の高温でも実施できるが、好ましくは30〜100℃である。反応時間は反応生成物、副生成物の挙動、生産性によって最適な時間を設定することがこのましく、一義的には決められないが、通常1〜20時間である。
本発明は、更に、1種または2種類のアルコールおよび酸素を液相で触媒の存在下反応させるカルボン酸エステルの製造方法であって、前記触媒として前述した金担持粒子を用い、前記1種類のアルコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコールまたはブタンジオールを用い、前記2種類のアルコールの一つとしてメタノールまたはエタノールを用いて、オキシカルボン酸メチル、オキシカルボン酸エチル、カルボン酸メチル、またはカルボン酸エチルを製造する、カルボン酸エステルの製造方法を提供することができる。
このカルボン酸エステルの製造方法における好ましい態様として、アルコールの少なくとも一つとしてエタノールを用いることにより、酢酸エチルを製造することができる。
かかるカルボン酸エステルの製造方法における、反応成分等の好ましい実施形態としては、前述したものと同様であり、前述の説明事項が適宜適用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(形状観察)
日立製作所主製X−650走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
(物性測定:細孔径、比表面積、細孔容積)
ユアサ・アイオニクス/オートソーブ3MP装置により、吸着ガスとして窒素を用いて測定した。尚、表面積はBET法、細孔径ならびに細孔分布はBJH法、細孔容積はP/P0,Maxでの吸着量を採用した。
(EPMA解析)
金担持粒子を樹脂に抱埋、研磨して得られる粒子断面の解析を、島津製作所製:EPMA1600を用い、加速電:15KeVで測定した。反射電子像、線分析(Au分析は波長:5.8419、分光結晶:PET、Si分析は波長:7.1224、分光結晶ADPを用いた)からAuの外表面から深さ方向の解析を行った。
(超音波洗浄)
超音波洗浄装置は東京超音波技術株式会社製:IUC-3011を用い、出力600W/L、電力密度20W/L、発振周波数27KHzで行った。
(ICP−MS分析)
溶液中のAu濃度の分析はTnermo Elemental社製、X7ICP/MS型を用いて測定した。
(担体の製造)
〔製造参考例1〕
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)3.75kg、硝酸マグネシウム・6水和物(和光純薬製)2.56kgを純水4.67kgに溶解した水溶液を、15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル(ナルコ社製、商品名:TX11561をSiO2含有量30wt%に調整水溶液)20.0kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウムの混合スラリーを得た。その後、混合スラリーを50℃で24時間保持し熟成させた。室温に冷却した後、攪拌しながらスプレードライヤー装置を用いて空気中で出口温度130℃に設定したスプレードライヤーで噴霧乾燥成形し、その後、400℃で焼成後分級処理を行い30μ以下の粒子、150μm以上の粒子を除去して平均粒子径60μmの粒子を得た。再度580℃で焼成を行い白色のシリカ・アルミナ・マグネシア担体を得た。得られた担体の細孔径は3〜15nmで最高頻度径は8nm、細孔容積は、0.27ml/gであった。
なお、この製造参考例1で得られた担体は、(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al=0.5、Al/Si=0.10であった。
〔製造参考例2〕
硝酸アルミニウム・9水和物(和光純薬製)4.86kg、硝酸ルビジウム(和光純薬製)3.05kgを純水5.0kgに溶解した水溶液を、15℃に保持した攪拌状態のコロイド粒子径10〜20nmのシリカゾル(ナルコ社製、商品名:TX11561をSiO2含有量30wt%に調整水溶液)20.0kg中へ徐々に滴下し、シリカゾル、硝酸アルミニウム、硝酸ルビジウムの混合スラリーを得た。その後、混合スラリーを室温で24時間保持し熟成させた。室温で攪拌しながらスプレードライヤー装置を用いて空気中で出口温度130℃に設定したスプレードライヤーで噴霧乾燥成形し、その後、400℃で焼成後分級処理を行い30μ以下の粒子、150μm以上の粒子を除去して平均粒子径60μmの粒子を得た。再度580℃で焼成を行い白色のシリカ・アルミナ・ルビジウム担体を得た。得られた担体の細孔径は3〜13nmで最高頻度径は7nm、細孔容積は、0.26ml/gであった。
なお、この製造参考例2で得られた担体は、(アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al=0.77、Al/Si=0.13であった。
担体100重量部に対し水溶液攪拌した状態、90℃で製造参考例1の担体を投入後10分間攪拌した、次に担体100重量部に対し金属金として3重量部となるテトラクロロ金酸水溶液と少量の硝酸を加えた溶液を瞬時に加え90℃で10分間攪拌した。上澄みをデカントして除去した後室温で蒸留水を用いて洗浄後、乾燥、400℃で焼成した。続いて、金担持体を水中に分散させ、超音波洗浄を30分、上澄みをデカントして超音波洗浄する操作を5回繰り返した。その後水洗を上澄みが透明になるまで行い、80℃で真空乾燥して金の担持量が2.4重量%の金担持粒子を得た。
参考例1
実施例1において超音波洗浄を行わなかったこと以外は、同様の操作で金担持粒子を得た。
実施例1の金担持粒子を触媒として200gを、触媒分離器を備えた液相部が1.2リットルの攪拌式スレンレス製反応器に仕込み、攪拌羽の先端速度が4m/sの速度で内容物を攪拌しながらアルデヒドとアルコールの酸化的エルテル化反応を実施した。36.7重量%のメタクロレイン/メタノール溶液を0.6リットル/hrで供給し80℃、0.4Mpa圧力で、出口酸素濃度が0.02Mpa以下となるように空気を吹き込み反応を行った。生成物は一定の速度で抜き出しガスクロマトグラフィーで分析して反応性を調べた。また、反応開始から20時間のメタクリル酸メチル(MMA)の生成速度は5.2mol/h・KgCat、選択率は92.8%であった。100時間、200時間経過時点の反応性はほとんど変化しなかった。また、反応液を液中の金の濃度をICP−MSを用いて測定したところ、100、200時間の各時点での反応液中の金濃度は0.1ppm以下であった。
参考例2
参考例1で得られた金担持粒子を触媒として用いたほか、実施例3の方法と同様反応を行った。反応開始から20時間のMMAの生成速度は6.0mol/h・KgCat、選択率は92.3%であった。また、反応液に若干の着色が見られた。100時間目はMMA生成速度5.3mol/h・KgCat選択率は92.4%、500時間経過時点のMMA生成速度は、4.4mol/h・KgCat選択率92.5%であり活性低下が認められた。また、反応液中の金の濃度を、ICPを用いて測定したところ、20時間で53ppm、100時間で1ppm、500時間の時点で0.3ppmであり、金の剥離等によって活性が低下したものと推定した。
500時間以降さらに1000時間反応を行った。1000時間でのMMAの生成速度は4.3mol/h・KgCat選択率92.6%であり、反応液中の金の濃度は0.1ppm以下であった。
[実施例5]
担体100重量部を90℃に維持した水中に担体製造参考例2の担体を投入後10分間攪拌した、次に担体100重量部に対し金属金として4重量部となるテトラクロロ金酸水溶液と少量の硝酸を加えた溶液を瞬時に加え80℃で10分間攪拌した。上澄みをデカントして除去した後室温で蒸留水を用いて洗浄後、乾燥、400℃で焼成した。続いて、金担持体を水中に分散させ、超音波洗浄を30分行った。上澄みをデカントして超音波洗浄する操作を5回繰り返した。その後水洗を上澄みが透明になるまで行い、80℃で真空乾燥して金担持粒子を得た。金の担持量は3.1重量%担持であることが確認された。
触媒として実施例5の金担持粒子200gを、触媒分離器を備えた液相部が1.2リットルの攪拌式スレンレス製反応器に仕込み、攪拌羽の先端速度が4m/sの速度で内容物を攪拌しながらアルコールの酸化的エステル化反応を実施した。25.0重量%のエチレングリコール/メタノール溶液を0.6リットル/hrで供給し90℃、0.4Mpa圧力で、出口酸素濃度が0.02Mpa以下となるように空気を吹き込み、反応を行った。生成物は一定の速度で抜き出しガスクロマトグラフィーで分析して反応性を調べた。
反応開始から20時間のグリコール酸メチル(GM)の生成速度は4.7mol/h・KgCat、選択率は78.6%であった。300時間経過時点の反応性はグリコール酸メチル(GM)の生成速度は4.6mol/h・KgCat、選択率は79.6%であった。ほとんど変化しなかった。また、反応液中の金の濃度をICPを用いて測定したところ、20、500時間の各時点の反応液中金濃度はいずれも1ppm以下であった。
〔比較例1〕
市販シリカ担体(富士シリシア化学 キャリアクトQ−10、平均粒子径70μm)1.0Kgに、チタンイソプロポキシド(和光純薬)680gを溶解させた2−プロパノール溶液2Lを加えて、加温して溶媒を留去し、チタン含有化合物を含浸担持した。110℃で10時間乾燥後580℃4時間空気中で焼成した。次に、15mMol塩化金酸水溶液6Lを70℃に保持しながら、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に調整した。この溶液にテトラアンミンパラジウム水酸塩水溶液(Pd含有量20g/L)10mlを加えたあと、上記のチタン含有シリカ担体200gを投入し、70℃で1時間攪拌した。その後、静置して上澄みを除去して残った金固定化物に蒸留水4Lを加え5分間攪拌した後上澄みを除去するという洗浄操作を3回繰り返した。ろ過後110℃で10時間乾燥し、空気中350℃4時間焼成することでチタン含有シリカに金が担持された粒子を得た。この粒子を触媒として、実施例6で用いた触媒にかえた以外は同様にして反応した。
反応開始から20時間のグリコール酸メチル(GM)の生成速度は5.1mol/h・KgCat、選択率は78.3%であった。100時間経過時点のグリコール酸メチル(GM)の生成速度は4.7mol/h・KgCat、選択率は78.5%であった。また、反応液中の金濃度をICP−MSを用いて測定したところ、20、100時間の各時点の反応液中金濃度は6ppm、0.1ppmで金の剥離が認められた。
製造参考例2の担体に、金属金を4.5重量部加えるように変更した以外は、実施例1の操作方法で金を担持した粒子を得た。得られた粒子を触媒として200gを、触媒分離器を備えた液相部が1.2リットルの攪拌式スレンレス製反応器に仕込み、攪拌羽の先端速度が4m/sの速度で内容物を攪拌しながらアルコールの酸化的エステル化反応を実施した。エタノールを0.6リットル/hrで供給し80℃、0.5Mpa圧力で、出口酸素濃度が0.02Mpa以下となるように空気を吹き込み、反応を行った。生成物は一定の速度で抜き出しガスクロマトグラフィーで分析して反応性を調べた。反応開始から20時間の酢酸エチルの生成速度は3.7mol/h・KgCat、選択率は84.3%であった。100時間経過時点の反応性は酢酸エチルの生成速度は3.6mol/h・KgCat、選択率は84.5%であった。100時間の各時点の反応液中金濃度はいずれも1ppm以下であった。
本発明は、酸素存在下でアルデヒドとアルコールやアルコール類からカルボン酸エステルを製造する方法において、耐磨耗性に優れ、高い反応性を安定して維持することのできる触媒としての効果を有する金担持粒子、並びに、長期間にわたり安定的に且つ高収率でカルボン酸エステルを製造できる、カルボン酸エステルの製造方法として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 担体がシリカ、Al、並びにアルカリ金属および又はアルカリ土類金属を含む粒子であって、アルカリ金属および又はアルカリ土類金属とAlとの原子比、AlとSiとの原子比が、それぞれ下記式を満たす担体に、金が担持された粒子であり、且つ、超音波洗浄されたカルボン酸エステル製造用触媒
    (アルカリ金属+0.5×アルカリ土類金属)/Al≧0.5
    Al/Si=0.02〜0.25
  2. 請求項1記載のカルボン酸エステル製造用触媒の製造方法であって、
    シリカ原料として、粒子径が0.5〜80nmのシリカゾルを用い、噴霧乾燥後、焼成して得られた担体を用い、金担持した後に超音波洗浄することを含む、製造方法
  3. アルデヒド、アルコールおよび酸素を液相で触媒の存在下に反応させるカルボン酸エステルの製造方法であって、該触媒として請求項1記載のカルボン酸エステル製造用触媒を用いる、カルボン酸エステルの製造方法。
  4. 前記アルデヒドとしてアクロレインを用い、前記アルコールとしてメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも一つを用いてアクリル酸エステルを製造する、請求項3記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  5. 前記アルデヒドとしてメタクロレインを用い、前記アルコールとしてメタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブタンジオールからなる群より選ばれた少なくとも一つを用いてメタクリル酸エステルを製造する、請求項3記載のカルボン酸エステルの製造方法。
  6. 1種または2種類のアルコールおよび酸素を液相で触媒の存在下反応させるカルボン酸エステルの製造方法であって、
    前記触媒として請求項1記載のカルボン酸エステル製造用触媒を用い、前記1種類のアルコールとしてエチレングリコール、プロピレングリコールまたはブタンジオールを用い、前記2種類のアルコールの一つとしてメタノールまたはエタノールを用いて、オキシカルボン酸メチル、オキシカルボン酸エチル、カルボン酸メチル、またはカルボン酸エチルを製造する、カルボン酸エステルの製造方法。
  7. 前記アルコールの少なくとも一つとしてエタノールを用いて酢酸エチルを製造する、請求項6記載のカルボン酸エステルの製造方法。
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