JPH09277459A - 積層体およびその製造方法 - Google Patents

積層体およびその製造方法

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JPH09277459A JP8091475A JP9147596A JPH09277459A JP H09277459 A JPH09277459 A JP H09277459A JP 8091475 A JP8091475 A JP 8091475A JP 9147596 A JP9147596 A JP 9147596A JP H09277459 A JPH09277459 A JP H09277459A
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栄一 西
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正幸 斉藤
Yoshihiro Hatakeyama
義博 畠山
Yuuji Tanonaka
裕二 田野中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価に製造でき、層間の接着力が良好な熱可塑
性樹脂層からなる積層体の提供。 【解決手段】アミノ基を有するシランカップリング剤、
または、粉体に固定しアミノ基を有するシランカップリ
ング剤、を含む熱可塑性樹脂層とエポキシ基または活性
塩素を有するシランカップリング剤、または、粉体に固
定しエポキシ基または活性塩素を有するシランカップリ
ング剤、を含む熱可塑性樹脂層からなる積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は層間の接着力に優れ
た積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂層からなる積層体は、複数
の樹脂層を共押し出しやプレス等により重ね合わせ、接
着させることにより製造される。その際に、特性の大き
く異なる樹脂からなる層の積層体、特に、少なくとも一
層が熱可塑性フッ素樹脂層である積層体において、熱可
塑性フッ素樹脂層と他の熱可塑性樹脂層の充分な層間接
着力を得るために、一方の熱可塑性樹脂に接着性を付与
する官能基を有するグラフト性化合物をグラフトする
(特開平7−173446)など熱可塑性樹脂そのもの
を変性する等煩雑な工程を必要とした。また、テトラフ
ルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−パー
フルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体のよう
なフッ素樹脂と接着性を付与する官能基を有するグラフ
ト性化合物をグラフトすることが困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価に、充
分な層間の接着力を有する熱可塑性樹脂層からなる積層
体、特に熱可塑性フッ素樹脂層を有し、その層と充分な
層間の接着力を有する熱可塑性樹脂層からなる積層体、
およびその製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、アミノ基を有
するシランカップリング剤、または、粉体に固定したア
ミノ基を有するシランカップリング剤、を含む熱可塑性
樹脂(A)層と、エポキシ基または活性塩素を有するシ
ランカップリング剤、または、粉体に固定したエポキシ
基または活性塩素を有するシランカップリング剤、を含
む熱可塑性樹脂(B)層が接着してなる積層体に関す
る。
【0005】また、上記(A)および(B)を、それぞ
れ成形して熱融着することを特徴とする積層体の製造方
法に関する。
【0006】本発明において、公知の熱可塑性樹脂はす
べて使用可能である。熱可塑性樹脂として、ポリプロピ
レン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS
樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリフ
ェニレンスルフィド、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂
等が挙げられる。
【0007】熱可塑性フッ素樹脂として、テトラフルオ
ロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−パーフル
オロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合
体、テトラフルオロエチレン−エチレン系共重合体(以
下、ETFEという)、フッ化ビニリニデン系重合体、
クロロトリフルオロエチレン−エチレン系共重合体等が
挙げられる。さらに、上記の熱可塑性フッ素樹脂の他、
フッ化ビニリニデン系重合体、テトラフルオロエチレン
−プロピレン系共重合体等も挙げられる。
【0008】本発明により、熱可塑性フッ素樹脂層を用
いた積層体において、熱可塑性フッ素樹脂層と他の熱可
塑性樹脂層の層間の接着力は従来よりも著しく向上す
る。
【0009】シランカップリング剤は、加水分解性基と
非加水分解性有機基とを有するシラン化合物であり、非
加水分解性有機基は下記の官能基を有している。ケイ素
原子に結合している加水分解性基は2〜3個であること
が好ましく、官能基を有する非加水分解性有機基は1個
であることが好ましい。ケイ素原子には、官能基を有し
ない非加水分解性有機基が結合していてもよく、その数
は多くとも1個であることが好ましい。
【0010】加水分解性基としては、アルコキシ基、ア
シル基、塩素原子などがあり、特に炭素数4以下のアル
コキシ基が好ましい。官能基を有しない非加水分解性有
機基としては、炭素数4以下のアルキル基、特にメチル
基とエチル基が好ましい。これらのシランカップリング
剤の部分加水分解縮合物もまたシランカップリング剤と
して用いることができる。
【0011】本発明においてアミノ基を含むシランカッ
プリング剤は、官能基としてアミノ基を有する非加水分
解性有機基を有するシランカップリング剤である。同様
に、エポキシ基または活性塩素を含むシランカップリン
グ剤も、官能基としてエポキシ基または活性塩素を有す
る非加水分解性有機基を有するシランカップリング剤で
ある。また、アミノ基を有するシランカップリング剤
は、その部分加水分解縮合物であってもよく、アミノ基
を有するシランカップリング剤と他のシランカップリン
グ剤(ただし、エポキシ基あるいは活性塩素を有するも
のを除く)との部分共加水分解縮合物であってもよい。
エポキシ基あるいは活性塩素を有するシランカップリン
グ剤も同様の部分加水分解縮合物、部分共加水分解縮合
物であってもよい。
【0012】本発明において(A)層に含まれるシラン
カップリング剤のアミノ基は、(B)層に含まれるシラ
ンカップリング剤のエポキシ基や活性塩素と反応して層
間の接着力を高める。アミノ基を含むシランカップリン
グ剤としては、具体的には、γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、[N−(β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピル]メチルジエトキシシラン、N−シクロヘキ
シル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、または
これらシランの部分加水分解縮合物や加水分解性基を有
する他のシラン化合物との部分共加水分解縮合物等が挙
げられる。
【0013】エポキシ基または活性塩素を含むシランカ
ップリング剤としては、具体的には、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、クロロプロ
ピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシ
ラン、ジクロロメチルトリメトキシシラン、またはこれ
らシランの部分加水分解縮合物や加水分解性基を有する
他のシラン化合物との部分共加水分解縮合物等が挙げら
れる。
【0014】本発明において、シランカップリング剤を
熱可塑性樹脂に練り混むことにより、積層されるそれぞ
れの層表面に存在するシランカップリング剤の官能基同
士が積層体成形時に反応して、層間の接着を向上させる
ことができる。しかし、溶融温度の高い熱可塑性樹脂に
シランカップリング剤を練り混む場合には、シランカッ
プリング剤の沸点が比較的低いため練り混み時に蒸発飛
散しやすく、シランカップリング剤の蒸発、熱分解物の
飛散により、作業環境が悪化し、また、練り混み量のば
らつきが起こりやすい。
【0015】そのため、シランカップリング剤をシリ
カ、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシ
ウム等の無機化合物などの粉体に担持させて使用する
か、またはシランカップリング剤でそれら粉体を処理し
て得られる粉体を使用することが好ましい。加熱処理な
どを行うことにより、粉体表面の水酸基とシランカップ
リング剤のアルコキシ基が化学結合し、シランカップリ
ング剤が粉体表面に固定される。粉体に固定したシラン
カップリング剤を用いることにより、練り混み時の作業
環境が良好であり、また、精度よく容易にシランカップ
リング剤を熱可塑性樹脂に練り込むことができる。
【0016】(A)層または(B)層中のシランカップ
リング剤または粉体に固定したシランカップリング剤の
量は熱可塑性樹脂や成形条件等により適宜決められるも
ので、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂に
対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜3
重量%の範囲である。
【0017】本発明の積層体は、(A)層および(B)
層を共押し出し同時に融着し、または、あらかじめ所定
の厚さにシート化した後プレスすること等で製造でき
る。その際には、50℃以上、好ましくは一方の熱可塑
性樹脂の軟化温度以上に加熱することが好ましい。同様
にして3層以上の層からなる積層体も製造できる。積層
体を構成する層の厚みは、数μm〜1mmが好ましく、
積層体はチューブ状またはシート状であることが好まし
い。
【0018】シランカップリング剤が含有されている層
は、金属、石、セラミクス、ガラス等の層と積層するこ
とも可能である。
【0019】熱可塑性樹脂とシランカップリング剤を担
持した粉末を押し出し機などを用いて練り混む時間、す
なわち滞留時間は1〜10分が好ましい。
【0020】本発明の積層体を形成する熱可塑性樹脂に
は、積層体の性能を損なわない範囲でシリカ粉末、カー
ボン粉末、ガラス繊維や炭素繊維等の充填剤、顔料、可
塑剤、接着付与剤、他のシランカップリング剤やチタネ
ート系カップリング剤等の任意の成分を混合することが
可能である。
【0021】本発明の積層体は、フィルム、シート、チ
ューブ、ホース等の成形品として好適に用いられる。ま
た、他の成形品も公知の方法により容易に製造可能であ
る。
【0022】
【作用】本発明の積層体は、一方の熱可塑性樹脂層中の
アミノ基を含有するシランカップリング剤と、もう一方
の熱可塑性樹脂層中のエポキシ基または活性塩素を含有
するシランカップリング剤とが積層体製造時に反応する
ことにより、両層が強固に接着する。
【0023】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。な
お、実施例中、部とは重量部を示す。
【0024】[参考例1]シリカ粉末(ニプシルLP、
日本シリカ工業製)100部に対してグリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランを10部混合した後、50℃で
3時間加熱し、グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンで処理したシリカ粉末1を得た。
【0025】[参考例2]参考例1のグリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランの代りに、アミノプロピルトリ
メトキシシラン10部で処理した他は、参考例1と同様
にしてシリカ粉末2を得た。
【0026】[参考例3]参考例1のグリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランの代りに、クロロプロビルトリ
メトキシシラ10部で処理した他は、参考例1と同様に
してシリカ粉末3を得た。
【0027】[実施例1]ETFE(テトラフルオロエ
チレン/エチレン/パーフルオロブチルエチレン=53
/47/1.5(モル比)、旭硝子製)粉体100部、
シリカ粉末1を5部を予め均一に混合した後、2軸押し
出し機を用いて、温度300℃、滞留時間5分で溶融混
合して、ペレット1を得た。また、ナイロン−12(リ
ルサンAESN 0 TL12(可塑剤無添加)、東レ
製)ペレット100部、シリカ粉末2を5部を予め均一
に混合した後、2軸押し出しを用いて、温度240℃、
滞留時間5分間で溶融混合してペレット2を得た。
【0028】ペレット1とペレット2を2層の共押し出
し機を用いて、ETFE層が内層、ナイロン−12が外
層であり、内径が6mm、内層、外層の厚さがそれぞれ
0.4mm、0.6mmである積層チューブを作製し
た。共押し出し条件は、ETFEの押し出し温度は30
0℃、ナイロン−12の押し出し温度は240℃、共ダ
イ温度は250〜260℃である。このようにして得ら
れた積層チューブのETFE層とナイロン−12層の剥
離強度は、5.6kg/cmであり、また、燃料油に4
0℃で70時間浸漬後の剥離強度は、5.2kg/cm
であった。
【0029】[実施例2]ポリプロピレン(ポリプロF
401、三井石油化学工業製)ペレット100部、シリ
カ粉末3を5部を予め均一に混合した後、2軸押し出し
機を用いて、温度240℃、滞留時間5分で溶融混合し
て、ペレット3を得た。また、ナイロン−6(UBEナ
イロン1013B、宇部興産製)ペレット100部、シ
リカ粉末2を5部を予め均一に混合した後、2軸押し出
しを用いて、温度260℃、滞留時間5分間で溶融混合
してペレット4を得た。
【0030】ペレット3とペレット4を2層の共押し出
し機を用いて、ポリプロピレン層、ナイロン−6層の厚
さが0.1mmである積層フィルムを作製した。共押し
出し条件は、ポリプロピレンの押し出し温度は240
℃、ナイロン−6の押し出し温度は260℃、共ダイ温
度は250〜260℃である。このようにして得られた
積層フィルムの剥離強度は、7.1kg/cmであっ
た。
【0031】[比較例1]実施例1と同じETFE粉
末、および実施例1と同じナイロン−12ペレットを2
層の共押し出し機を用いて、ETFE層が内層、ナイロ
ン−12が外層であり、内径が6mm、内層、外層の厚
さがそれぞれ0.4mm、0.6mmである積層チュー
ブを作製した。共押し出し条件は、ETFEの押し出し
温度は300℃、ナイロン−12の押し出し温度は24
0℃、共ダイ温度は250〜260℃である。このよう
にして得られた積層チューブは容易に剥がれ、剥離強度
は、それぞれ0.1kg/cm未満であった。
【0032】
【発明の効果】本発明は、熱可塑性フッ素樹脂層と他の
熱可塑性樹脂層との層間接着力が良好な積層体を安価に
提供するものであり、工業的にきわめて有用である。本
発明により、各種の熱可塑性樹脂の積層体が容易に製造
することができ、フィルム、チューブ、ホース等として
幅広い産業分野で用いることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田野中 裕二 神奈川県川崎市幸区塚越3丁目474番地2 旭硝子株式会社玉川分室内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノ基を有するシランカップリング剤、
    または、粉体に固定したアミノ基を有するシランカップ
    リング剤、を含む熱可塑性樹脂(A)層と、エポキシ基
    または活性塩素を有するシランカップリング剤、また
    は、粉体に固定したエポキシ基または活性塩素を有する
    シランカップリング剤、を含む熱可塑性樹脂(B)層が
    接着してなる積層体。
  2. 【請求項2】(A)および(B)の少なくとも一方が熱
    可塑性フッ素樹脂である請求項1の積層体。
  3. 【請求項3】アミノ基を有するシランカップリング剤、
    または、粉体に固定したアミノ基を有するシランカップ
    リング剤、を含む熱可塑性樹脂(A)と、エポキシ基ま
    たは活性塩素を有するシランカップリング剤、または、
    粉体に固定したエポキシ基または活性塩素を有するシラ
    ンカップリング剤、を含む熱可塑性樹脂(B)を、それ
    ぞれ成形して熱融着することを特徴とする積層体の製造
    方法。
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