JP2004209773A - 複合成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接着剤を用いることなく、熱可塑性樹脂の樹脂部材と、熱可塑性エラストマーのエラストマー部材とが強固に接合した複合成形体を得る。
【解決手段】樹脂1kgに対し30mmol以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂、及びメルカプト基を有するポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種で構成された熱可塑性樹脂と、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体で構成された熱可塑性エラストマーとを熱融着させる。前記ジエン重合体ブロックの割合は、ブロック共重合体全体に対して50重量%以上程度であってもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】樹脂1kgに対し30mmol以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂、及びメルカプト基を有するポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種で構成された熱可塑性樹脂と、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体で構成された熱可塑性エラストマーとを熱融着させる。前記ジエン重合体ブロックの割合は、ブロック共重合体全体に対して50重量%以上程度であってもよい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の熱可塑性樹脂を含む樹脂部材と特定の熱可塑性エラストマーを含むエラストマー部材とが接着剤を用いることなく熱融着により一体に接合した複合成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
意匠性や装飾性を向上させたり、良好な感触(例えば、ソフトな感触)を付与するため、樹脂成形体の少なくとも一部を熱可塑性エラストマーで被覆した複合成形体が提案されている。
【0003】
このような複合成形体は、通常、二色成形やインサート成形などの成形法により製造されている。しかし、熱融着可能な熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの組合せは非常に制限されており、このため、適用できる複合成形体の用途も大きく制限される。また、用途に応じて、熱融着が困難な樹脂と熱可塑性エラストマーとで複合成形体を製造する場合、樹脂とエラストマーとの両者の複合部分に凹凸部分を設ける方法、芯材を部分的に表層材で覆う方法、芯材に孔を開け、表側から裏側にまで至る表層材を形成して物理的に接合する方法、接合部分に接着剤(プライマーなど)を塗布する方法などにより接合させている。そのため、得られた複合成形体は、両者間の接合力が小さかったり、接着剤層が硬くなって屈曲により容易に割れを生じたりする。また、製造工程では、複合体の構造を複雑化する必要が生じたり、製造工程が増加する。
【0004】
また、樹脂成形部材とゴム成形部材とを直接接合する方法が提案されている。例えば、特開平2−150439号公報、特開平3−133631号公報、特開平3−138114号公報には、ポリアミド系樹脂とゴム成分とを加硫系の存在下で加硫することにより複合成形体を製造する方法において、ゴム成分として、カルボキシル基又は酸無水物含有ゴムと過酸化物と加硫活性剤(エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなど)とアルコキシシラン化合物とを含むゴム成分を用いることが提案されている。これらの文献では、脂肪族ポリアミド系樹脂として主に末端カルボキシル基よりも末端アミノ基の多いポリアミド形樹脂が使用されている。
【0005】
特開平7−11013号公報には、ポリアミド成形体と、ゴム(EP(D)M,E−SBR,L−SBR,SBSなどのスチレン含有ブロックコポリマーなど)と、過酸化物加硫剤とシラン化合物とを含むゴムコンパウンドとを接触させて加硫することにより、ポリアミド成形体と加硫ゴムとの複合部材を得る方法が提案されている。
【0006】
しかし、上記のような複合成形体では、確実かつ高い強度で接合するためには、シラン化合物などの添加剤を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、接着剤を用いることなく、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを熱融着により直接的かつ強固に接合できる複合成形体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、簡単な組成で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを確実かつ強固に接合できる複合成形体及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、複雑な製造工程を経ることなく、簡便な方法で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが強固に熱融着した複合成形体を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の熱可塑性樹脂と特定の熱可塑性エラストマーとを使用することにより、接着剤を用いることなく、簡便な方法で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを直接的かつ強固に接合できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の複合成形体は、樹脂(A)で構成された樹脂部材と、熱可塑性エラストマー(B)で構成されたエラストマー部材とが直接接合しており、前記樹脂(A)が、樹脂1kgに対し、30mmol以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂及びメルカプト基を有するポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A1)で構成され、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)が、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体(B1)で構成されている。
【0012】
前記ポリアミド系樹脂は、樹脂1kgに対し、50〜250mmolのアミノ基を有していてもよく、前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、樹脂一分子中に平均0.5〜20のメルカプト基を有していてもよい。また、前記樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(A1)と第2の熱可塑性樹脂(A2)とで構成されていてもよく、前記第2の熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(A1)との割合が、前者/後者(重量比)=0/100〜50/50であってもよい。
【0013】
前記ジエン重合体ブロックの割合は、ブロック共重合体(B1)全体に対して50重量%以上であってもよい。また、熱可塑性エラストマー(B)は、ブロック共重合体(B1)と、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とで構成されていてもよく、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とブロック共重合体(B1)との割合が、前者/後者(重量比)=0/100〜60/40であってもよい。また、熱可塑性エラストマー(B)は、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウムなど)を含んでいてもよく、金属酸化物の割合は、熱可塑性エラストマー(B)100重量部に対して、1〜60重量部であってもよい。
【0014】
本発明は、樹脂(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着させて前記複合成形体を製造する方法も包含する。前記熱融着は、熱成形、射出成形、押出成形及びブロー成形などの成形方法により行ってもよい。
【0015】
なお、本明細書において、「樹脂」とは、「樹脂組成物」を含む意味に用い、また、「エラストマー」とは「エラストマー組成物」を含む意味に用いる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の複合成形体は、樹脂(A)で構成された樹脂部材と、熱可塑性エラストマー(B)で構成されたエラストマー部材とが直接接合している。
【0017】
[樹脂部材]
(熱可塑性樹脂(A))
樹脂部材を構成する樹脂(A)(又は樹脂組成物、以下、単に樹脂と称する場合がある)は、ポリアミド系樹脂及びポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A1)で構成されていればよい。熱可塑性樹脂(A1)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0018】
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4−10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数4〜20程度のアルカンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどの炭素数4〜20程度のラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数4〜20程度のアミノカルボン酸など)の単独重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)又は共重合体(6−アミノカプロン酸と12−アミノドデカン酸との共重合体;6−アミノカプロン酸、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸の共重合体;ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、水添ダイマー酸及び12−アミノドデカン酸の共重合体など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
【0019】
脂環族ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分及び/又は脂肪族ジカルボン酸成分の少なくとも一部として、脂環族ジアミン及び/又は脂環族ジカルボン酸を用いたポリアミドが挙げられる。脂環族ポリアミドには、例えば、前記脂肪族ジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分(シクロへキシルジアミンなどのC5−8シクロアルキルジアミン;ビス(アミノシクロへキシル)メタン、2,2−ビス(アミノシクロへキシル)プロパンなどのビス(アミノシクロへキシル)アルカン類など)との縮合体が含まれる。
【0020】
芳香族ポリアミド系樹脂には、前記脂肪族ジアミン成分及び脂肪族ジカルボン酸成分のうち少なくとも一方の成分が芳香族成分であるポリアミド、例えば、ジアミン成分が芳香族成分であるポリアミド[MXD−6などの芳香族ジアミン(メタキシリレンジアミンなど)と脂肪族ジカルボン酸との縮合体など]、ジカルボン酸成分が芳香族成分であるポリアミド[脂肪族ジアミン(トリメチルヘキサメチレンジアミンなど)と芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)との縮合体など]、ジアミン成分及びジカルボン酸成分が芳香族成分であるポリアミド[ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)などの全芳香族ポリアミド(アラミド)など]などが含まれる。
【0021】
ポリアミド系樹脂には、さらに、ダイマー酸をジカルボン酸成分とするポリアミド、少量の多官能性ポリアミン及び/又はポリカルボン酸成分を用い、分岐鎖構造を導入したポリアミド、変性ポリアミド(N−アルコキシメチルポリアミドなど)、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体(ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテルセグメントをソフトセグメントとして含むポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体など)なども含まれる。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明では、アミノ基(例えば、末端アミノ基)を有するポリアミド系樹脂が使用される。ポリアミド系樹脂において、アミノ基の割合は、例えば、樹脂1kgに対して、30mmol以上(例えば、30〜300mmol)、好ましくは50mmol以上(例えば、50〜250mmol)、さらに好ましくは60〜200mmol程度であり、通常、70〜150mmol程度であってもよい。アミノ基は、末端(主鎖末端、分岐鎖末端など)などに位置していればよい。また、アミノ基は、全末端(例えば、両末端)に有していてもよく、一部の末端(例えば、一方の末端など)に有していてもよい。なお、ポリアミド系樹脂が、上記割合でアミノ基を含有している限り、アミノ基を上記割合で含有しないポリアミド系樹脂を含んでいてもよい。
【0023】
ポリアリーレンスルフィド系樹脂としては、繰返し単位として、アリーレンスルフィド基[−Ar−S−(ただし、Arはアリーレン基)]を有するポリマーを使用できる。アリーレンスルフィド基において、アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基(1,4−フェニレン基)、m−フェニレン基(1,3−フェニレン基)、o−フェニレン基(1,2−フェニレン基)、アミノフェニレン基(3−アミノ−1,4−フェニレン基、2−アミノ−1,4−フェニレン基など)、ナフチレン基(2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基など)などの置換基を有していてもよいC6−20アリーレン基;ビフェニリレン基[p,p’−ビフェニリレン基(ビフェニル−4,4’−ジイル基)など];ジフェニレンスルホン基(p,p’−ジフェニレンスルホン基など);ジフェニレンエーテル基(p,p’−ジフェニレンエーテル基など);ジフェニレンカルボニル基(p,p’−ジフェニレンカルボニル基)などが挙げられる。アリーレン基は、単独で又は2種以上組み合わせて繰り返し単位を構成していてもよい。
【0024】
ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、単独のアリーレンサルファイド基を繰り返し単位とするホモポリマーであってもよく、異種のアリーレンサルファイド基を含むコポリマーであってもよい。例えば、加工性(例えば、ポリアリーレンスルフィド系樹脂と第2の熱可塑性樹脂との混合など)などの観点から、コポリマーを使用すると有利な場合がある。ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
好ましいポリアリーレンスルフィド系樹脂には、少なくともフェニレンスルフィド単位を有するポリマーが挙げられる。このようなホモポリマーとしては、アリーレン基がフェニレン基であるポリフェニレンサルファイド(特に、ポリ(p−フェニレンサルファイド)など)が挙げられる。コポリマーには、少なくともフェニレンスルフィド基(特に、p−フェニレンサルファイド基及びm−フェニレンサルファイド基)を含むコポリマーが例示でき、特に、アリーレンスルフィド基全体に対して、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上(例えば、70〜95モル%)、好ましくは80モル%以上(例えば、80〜90モル%)含むコポリマーが好ましい。このようなコポリマーを使用すると、耐熱性、流動性(成形性)、機械的特性などの物性上の点から有利である場合が多い。
【0026】
ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、メルカプト基(例えば、末端メルカプト基)を有する。メルカプト基の含有割合は、特に限定されないが、例えば、数平均分子量換算で、樹脂一分子中に平均0.1以上(例えば、0.1〜30)、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜10(例えば、1〜5)程度であってもよい。メルカプト基は、末端(主鎖末端、分岐鎖末端など)などに位置していればよい。また、メルカプト基は、全末端(例えば、両末端)に有していてもよく、一部の末端(例えば、一方の末端など)に有していてもよい。なお、ポリアリーレンスルフィド系樹脂全体として、上記割合でメルカプト基を含有している限り、メルカプト基を上記割合で含有しないポリアリーレンスルフィド系樹脂を含んでいてもよい。
【0027】
なお、ポリアリーレンサルファイド樹脂は、通常、2官能性ハロゲン芳香族化合物(1,4−ジクロロベンゼンなどのジハロC6−20アレーンなど)を主体とするモノマーを使用した縮重合によって得られ、実質的に直鎖状構造を有するポリマー(高分子量ポリマー)を好適に使用できるが、モノマーの一部として、3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物(例えば、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロC6−10アレーンなど)などを少量用いて、部分的に分岐構造または架橋構造を形成させたポリマーを使用してもよく、比較的低分子量の直鎖状構造のポリマーを酸素又は酸化剤存在下、高温で加熱して、酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーを使用してもよい。
【0028】
(第2の熱可塑性樹脂(A2))
本発明において、樹脂(A)は、少なくとも前記熱可塑性樹脂(A1)で構成されていればよく、熱可塑性樹脂(A1)と第2の熱可塑性樹脂(A2)とで構成されていてもよい。
【0029】
第2の熱可塑性樹脂(A2)としては、特に限定されず、慣用の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート、又はこれらのコポリエステルなど)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリイミド系樹脂(ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど)、ポリケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトンなど)、オレフィン系樹脂[C2−10オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、変性ポリオレフィンなど]、スチレン系樹脂[ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS樹脂)、ブタジエンに代えて各種ゴムXを用いたAXS樹脂など]、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体など)、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩素含有ビニル系樹脂、フッ素含有ビニル系樹脂など)などが挙げられる。これらの第2の熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせてもよく、複数の熱可塑性樹脂で構成されたポリマーアロイであってもよい。
【0030】
なお、第2の熱可塑性樹脂は、接着強度を低下させない範囲において、共重合やグラフト変性などの方法により、樹脂の特性を損なわない範囲で改質し、極性基を付与してもよい。
【0031】
第2の熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(A1)との割合は、前者/後者(重量比)=0/100〜70/30(例えば、0/100〜60/40)、好ましくは0/100〜50/50(例えば、5/95〜50/50)、さらに好ましくは0/100〜30/70(例えば、10/90〜30/70)程度であってもよい。第2の熱可塑性樹脂(A2)の含有割合が多すぎると、熱可塑性エラストマーに対する接合強度が低下する虞がある。
【0032】
また、樹脂部材を形成するための樹脂組成物は、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー又は補強剤(強化繊維など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤)、着色剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。なお、安定剤は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの接着強度を低下させる場合があるので、その添加量は少量[例えば、樹脂組成物全体に対して0.5重量%以下(例えば、0.05〜0.5重量%)]であることが好ましい。
【0033】
なお、樹脂組成物は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂(A1)と、必要に応じて、他の成分(第2の熱可塑性樹脂(A2)、添加剤など)とを、溶融混合又は混練させる方法や、熱可塑性樹脂(A1)と、必要に応じて他の成分とを溶媒に溶解させた後、溶媒を揮発させ乾燥する方法などにより調製することができる。溶融混合又は混練には、押出機、ニーダーなどの慣用の混合又は混練手段を使用できる。
【0034】
[エラストマー部材]
エラストマー部材を構成する熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物、以下、単に熱可塑性エラストマーと称する場合がある)は、熱可塑性エラストマー成分として、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体(B1)で構成されていればよい。
【0035】
(ブロック共重合体(B1))
ブロック共重合体(B1)において、ビニル芳香族重合体ブロックに対応するビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ジメチルスチレンなどの置換基を有していてもよいビニルベンゼン類が例示できる。これらのビニル芳香族化合物のうち、特に、スチレンが好ましい。ビニル芳香族化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。また、ジエン重合体ブロックに対応するジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ピペリレンなどのC4−8アルカジエンなどが例示できる。これらのジエン化合物のうち、特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。ジエン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0036】
ブロック共重合体において、末端ブロックは、ビニル芳香族重合体ブロック及びジエン重合体ブロックのうちいずれであってもよいが、通常、ビニル芳香族重合体ブロックで構成できる。また、ブロック共重合体の構造は、ジブロック構造であってもよいが、通常、トリブロック構造、テトラブロック構造などで構成でき、リニア(直鎖状)型(ABA型など)、星型(ラジアルテレブロック型など)、テーパー型などであってもよい。これらのうち、リニア型のトリブロック共重合体が好ましい。また、ブロック共重合体(B1)は、熱可塑性エラストマーとしての特性を損なわない範囲で、共重合性単量体((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体など)と共重合していてもよく、グラフトなどにより変性(例えば、酸変性など)されていてもよく、残存二重結合の一部が水素添加されていてもよい。
【0037】
具体的なブロック共重合体(B1)としては、ポリスチレン系エラストマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン(SIBS)ブロック共重合体などのスチレン重合体ブロックがジエン重合体ブロックの両端に結合したブロック共重合体などを例示できる。ブロック共重合体(B1)は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0038】
ブロック共重合体(B1)において、ジエン重合体ブロックの割合は、ブロック共重合体(B1)全体に対して、例えば、50重量%以上(例えば、50〜95重量%)、好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは50〜70重量%程度のポリマーを好適に使用できる。
【0039】
また、ブロック共重合体(B1)において、各ブロックの重量平均分子量は、例えば、200〜50000、好ましくは500〜30000、さらに好ましくは800〜20000程度であってもよい。
【0040】
(第2の熱可塑性エラストマー(B2))
エラストマー部材は、熱可塑性エラストマーとして、少なくとも前記ブロック共重合体(B1)で構成されていればよく、ブロック共重合体(B)と、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とで構成されていてもよい。
【0041】
第2の熱可塑性エラストマー(B2)としては、ゴム状弾性の顕著な熱可塑性材料であれば特に制限されず、例えば、ポリアミド系エラストマー(ポリアミドを硬質相とし、脂肪族ポリエーテルを軟質相とする共重合体)、ポリエステル系エラストマー(ポリアルキレンアリレートを硬質相とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質相とする共重合体)、ポリウレタン系エラストマー(短鎖グリコールのポリウレタンを硬質相とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質相とする共重合体、例えば、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマーなど)、ポリオレフィン系エラストマー(ポリスチレン又はポリプロピレンを硬質相とし、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−プロピレン−ジエンゴムを軟質相とするエラストマー、結晶化度の異なる硬質相と軟質相とで構成されたオレフィン系エラストマーなど)、ポリスチレン系エラストマー(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体などの前記ブロック共重合体(B1)の範疇に属さないポリスチレン系エラストマー)、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが含まれる。前記脂肪族ポリエーテルとしては、(ポリ)オキシC2−4アルキレングリコール類(例えば、(ポリ)オキシエチレングリコール、(ポリ)オキシトリメチレングリコール、(ポリ)オキシプロピレングリコール、(ポリ)オキシテトラメチレングリコールなど)などが使用でき、前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリエステルジオールなどが使用できる。これらの熱可塑性エラストマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
第2の熱可塑性エラストマー(B2)とブロック共重合体(B1)との割合は、前者/後者(重量比)=0/100〜75/25(例えば、5/100〜70/30)、好ましくは0/100〜60/40(例えば、5/95〜50/50)、さらに好ましくは0/100〜50/50(例えば、10/90〜50/50)程度であってもよい。第2の熱可塑性エラストマー(B2)の含有割合が多すぎると、樹脂に対する熱融着性が低下する虞がある。
【0043】
(金属酸化物)
熱可塑性エラストマー(B)は、金属酸化物を含有していてもよい。金属酸化物としては、多価金属酸化物、例えば、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの周期表2A族金属の酸化物;酸化亜鉛などの周期表2B族金属の酸化物;酸化鉛などの周期表4B族金属の酸化物などが挙げられる。金属酸化物は、単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。好ましい金属酸化物には、酸化マグネシウム、酸化亜鉛が含まれる。
【0044】
金属酸化物の配合割合は、熱可塑性エラストマー(B)(ブロック共重合体(B1)、又はブロック共重合体(B1)及び第2の熱可塑性エラストマー(B2))100重量部に対して、例えば、1〜60重量部(例えば、1〜40重量部)、好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部(例えば、5〜10重量部)程度である。金属の酸化物の配合割合が多すぎると、熱可塑性エラストマーとしてのゴムの特性(ゴム状弾性など)が低下する虞がある。
【0045】
また、熱可塑性エラストマー(又はエラストマー組成物)は、本発明の効果を損なわない範囲で、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤)、着色剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などの種々の添加剤、熱可塑性樹脂(前記第2の熱可塑性樹脂(B2)など)などを含んでいてもよい。なお、安定剤は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの接着強度を低下させることがあるので、その添加量は少量[例えば、熱可塑性エラストマー組成物全体に対して0.5重量%以下(例えば、0.05〜0.5重量%)]であることが好ましい。
【0046】
なお、熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法は、特に限定されないが、ブロック共重合体(B1)と、必要に応じて、他の成分(第2の熱可塑性エラストマー(B2)、可塑剤などの添加剤など)とを、溶融混合又は混練させる方法や、ブロック共重合体(B1)(及び必要に応じて他の成分)を溶媒に溶解させた後、溶媒を揮発させ乾燥する方法などにより製造することができる。溶融混合又は混練には、押出機、ニーダーなどの慣用の混合又は混練手段を使用できる。
【0047】
[複合成形体の製造方法]
本発明の複合成形体は、前記樹脂(A)と、前記熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着させることにより製造できる。
【0048】
なお、熱融着とは、樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)のうち、少なくとも一方を融点又はガラス転移点以上に加熱し、溶融させた状態で、双方を接触させて接着させる方法をいう。すなわち、樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)のうち、双方の成分を溶融させて、接触させることにより複合成形体を製造してもよく、いずれか一方の成分(例えば、熱可塑性エラストマー(B))を溶融させ、成形された他方の部材(例えば、樹脂(A)で構成された樹脂部材)と接触させることにより複合成形体を製造してもよい。
【0049】
より具体的には、本発明の複合成形体は、例えば、熱成形(熱プレス成形、インジェクションプレス成形など)、射出成形(インサート射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形など)、押出成形(共押出成形、Tダイラミネート成形など)、ブロー成形などの慣用の成形法により樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着することにより製造できる。
【0050】
熱プレス成形では、樹脂(A)(又は樹脂組成物)及び熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のうち、少なくとも一方をプレス成形の金型内で溶融させ、双方を接触させて加圧し、接着させて複合成形体を製造できる。熱プレス成形において、樹脂(A)及び/又は熱可塑性エラストマー(B)は、ペレット状や粉状などの形状で金型に充填してもよく、予め他の成形方法で賦形した成形品として金型に装着してもよい。
【0051】
インサート射出成形法では、樹脂(A)(又は樹脂組成物)および熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のうち、いずれか一方を射出成形、押出成形、シート成形、フィルム成形などの成形法により成形し、賦形された成形品を金型内にインサートした後、前記成形品と金型との間の空隙に他方を射出成形することにより複合成形体を製造できる。インサート射出成形においては、金型内にインサートする成形品を可能な限り高温に予熱しておくことが好ましい。
【0052】
二色射出成形法では、二台以上の射出成形機を用いて、樹脂(A)(又は樹脂組成物)および熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のいずれか一方の成分を金型に射出成形し、金型の回転又は移動により、金型のキャビティを交換し、前記成形品と金型との間に形成された空隙に他方の成分を射出成形することにより複合成形体を製造できる。
【0053】
コアバック射出成形法では、樹脂(A)(又は樹脂組成物)および熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のうち、いずれか一方の成分を金型に射出成形し、金型のキャビティー容積を拡大させ、前記成形品と金型との間に形成された空隙に他方の成分を射出成形することにより複合成形体を製造できる。
【0054】
熱融着において、樹脂(A)及び/又は熱可塑性エラストマー(B)の溶融温度(又は熱融着温度)は、樹脂(又は樹脂組成物)又は熱可塑性エラストマー(又は熱可塑性エラストマー組成物)の種類に応じて選択でき、例えば、100〜250℃、好ましくは120〜230℃、さらに好ましくは150〜220℃程度であってもよい。
【0055】
複合成形体の構造及び形状は、特に限定されないが、意匠性、装飾性、感触性などに適した構造、例えば、樹脂部材の一部又は全部をエラストマー部材で被覆又はラミネートした構造(例えば、樹脂部材と人体(手など)との接触部分をエラストマー部材で被覆した構造など)などであってもよい。具体的な構造には、例えば、二次元的構造(シート状、板状など)、三次元的構造(例えば、棒状、チューブ状、ケーシング、ハウジングなど)などが挙げられる。
【0056】
本発明では、複雑な製造工程(複合部分に凹凸部分を設ける工程、接着剤の塗布工程、加硫工程など)を経ることなく、熱融着により、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを直接的かつ強固に接合できるため、意匠性、装飾性、良好な感触(ソフトな感触など)などの性質に優れた複合成形体を簡便に得ることができる。また、複合成形体において、少なくとも前記特定の樹脂及び特定のエラストマーを使用すればよく、第2の樹脂や第2のエラストマーを含んでいてもよいため、用途に応じて種々の複合成形体を製造できる。
【0057】
本発明の複合成形体は、各種工業部品、例えば、自動車用部品(インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバッグカバーなどの自動車内装部品;モール等の自動車外装部品;ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品など)、家電用部品(掃除機バンパー、リモコンスイッチ、OA(オフィスオートメーション)機器のキートップなど)、水中使用製品(水中眼鏡、水中カメラカバーなど)、工業用部品(カバー部品;密閉性、防水性、防音性、防振性等を目的とした各種パッキン付き工業用部品など)、電気・電子用部品(カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギアなど)、スポーツ用品、意匠性や装飾性を要する部品(例えば、サングラス、メガネなど)などに使用できる。
【0058】
【発明の効果】
本発明では、接着剤を使用することなく、熱融着により、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが確実かつ強固に直接接合した複合成形体を得ることができる。また、本発明では、特定の熱可塑性樹脂と特定の熱可塑性エラストマーを使用するため、複雑な製造工程を経ることなく、簡単な組成で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが直接的かつ強固に熱融着し、種々の工業部品として有用な複合成形体を簡便な方法で得ることができる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0060】
なお、熱可塑性樹脂組成物と熱可塑性エラストマー組成物との熱融着性の評価は、実施例及び比較例に記した方法で作成した複合成形体を、幅20mm、長さ100mmに切り出し、180℃方向に引張速度50mm/分で引張試験を行い、融着界面の剥離強度を測定することにより行った。
【0061】
実施例1
熱可塑性樹脂として末端アミノ基濃度が90mmol/kgのポリアミド12(ダイセル・ヒュルス(株)製 ダイアミド)を用いるとともに、熱可塑性エラストマーとしてブタジエン成分を60%含有するスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体(日本合成ゴム(株)製 TR2000)を用い、厚み1mmの熱可塑性樹脂と厚み2mmの熱可塑性エラストマーとを重ね合わせて熱プレスし、100mm角、厚み約3mmの平板を作製した。この平板を20mm幅に切り出して評価したところ、100N/cmの剥離強度を示した。
【0062】
実施例2
熱可塑性エラストマーに酸化亜鉛5重量%を混合した実施例1のSBSブロック共重合体を用いる以外、実施例1と同じ方法で平板を作製し、引張り試験を行ったところ、融着界面が剥離せずに破壊した。
【0063】
実施例3
熱可塑性樹脂として末端アミノ基濃度が97mmo1/kgのポリアミド6(ユニチカ(株)製 A8030A)を用いるとともに、熱可塑性エラストマーとしてブタジエン成分を70%含有するSBS共重合体(日本合成ゴム(株)製 TR2601)とスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体(三菱化学(株)製 ラバロンMJ6301C)を50重量部ずつ混合した組成物を用いた。成形には二色射出成形機(高橋精機工業所(株)製 KS−2C−680)を用い、まず、250℃で1.5mm厚みの熱可塑性樹脂組成物を成形し、次いで200℃で熱可塑性エラストマー組成物を成形するという順序で、100mm×100mm×3mmの平板を作製した。この平板を20mm幅に切り出して評価したところ、80N/cmの剥離強度を示した。
【0064】
実施例4
熱可塑性樹脂として両末端にメルカプト基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業(株)製 フォートロンKPS)を用いるとともに、熱可塑性エラストマーとしてブタジエン成分を60%含有するSBSブロック共重合体(日本合成ゴム(株)製 TR2000)を用い、厚み1mmの熱可塑性樹脂と厚み2mmの熱可塑性エラストマーとを重ね合わせて熱プレスし、100mm角、厚み約3mmの平板を作製した。この平板を20mm幅に切り出して評価したところ、80N/cmの剥離強度を示した。
【0065】
比較例1
熱可塑性樹脂に、末端アミノ基濃度が10mmo1/kgのポリアミド12(ダイセル・ヒュルス(株)製 ダイアミド)を用いる以外、実施例1と同じ方法で平板を作製し、評価を行ったところ、剥離強度は2N/cmを示した。
【0066】
比較例2
熱可塑性樹脂に、末端アミノ基濃度が10mmol/kgのポリアミド12(ダイセル・ヒュルス(株)製 ダイアミド)を用いる以外、実施例2と同じ方法で平板を作製し、評価を行ったところ、剥離強度は1N/cmを示した。
【0067】
比較例3
熱可塑性樹脂に、末端に塩素原子を有するポリフェニレンサルファイド樹脂(呉羽化学工業(株)製 フォートロンKPS)を用いる以外、実施例4と同じ方法で平板を作製し、評価を行ったところ、剥離強度は1N/cmを示した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の熱可塑性樹脂を含む樹脂部材と特定の熱可塑性エラストマーを含むエラストマー部材とが接着剤を用いることなく熱融着により一体に接合した複合成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
意匠性や装飾性を向上させたり、良好な感触(例えば、ソフトな感触)を付与するため、樹脂成形体の少なくとも一部を熱可塑性エラストマーで被覆した複合成形体が提案されている。
【0003】
このような複合成形体は、通常、二色成形やインサート成形などの成形法により製造されている。しかし、熱融着可能な熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの組合せは非常に制限されており、このため、適用できる複合成形体の用途も大きく制限される。また、用途に応じて、熱融着が困難な樹脂と熱可塑性エラストマーとで複合成形体を製造する場合、樹脂とエラストマーとの両者の複合部分に凹凸部分を設ける方法、芯材を部分的に表層材で覆う方法、芯材に孔を開け、表側から裏側にまで至る表層材を形成して物理的に接合する方法、接合部分に接着剤(プライマーなど)を塗布する方法などにより接合させている。そのため、得られた複合成形体は、両者間の接合力が小さかったり、接着剤層が硬くなって屈曲により容易に割れを生じたりする。また、製造工程では、複合体の構造を複雑化する必要が生じたり、製造工程が増加する。
【0004】
また、樹脂成形部材とゴム成形部材とを直接接合する方法が提案されている。例えば、特開平2−150439号公報、特開平3−133631号公報、特開平3−138114号公報には、ポリアミド系樹脂とゴム成分とを加硫系の存在下で加硫することにより複合成形体を製造する方法において、ゴム成分として、カルボキシル基又は酸無水物含有ゴムと過酸化物と加硫活性剤(エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレートなど)とアルコキシシラン化合物とを含むゴム成分を用いることが提案されている。これらの文献では、脂肪族ポリアミド系樹脂として主に末端カルボキシル基よりも末端アミノ基の多いポリアミド形樹脂が使用されている。
【0005】
特開平7−11013号公報には、ポリアミド成形体と、ゴム(EP(D)M,E−SBR,L−SBR,SBSなどのスチレン含有ブロックコポリマーなど)と、過酸化物加硫剤とシラン化合物とを含むゴムコンパウンドとを接触させて加硫することにより、ポリアミド成形体と加硫ゴムとの複合部材を得る方法が提案されている。
【0006】
しかし、上記のような複合成形体では、確実かつ高い強度で接合するためには、シラン化合物などの添加剤を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、接着剤を用いることなく、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを熱融着により直接的かつ強固に接合できる複合成形体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、簡単な組成で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを確実かつ強固に接合できる複合成形体及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、複雑な製造工程を経ることなく、簡便な方法で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが強固に熱融着した複合成形体を製造する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の熱可塑性樹脂と特定の熱可塑性エラストマーとを使用することにより、接着剤を用いることなく、簡便な方法で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを直接的かつ強固に接合できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の複合成形体は、樹脂(A)で構成された樹脂部材と、熱可塑性エラストマー(B)で構成されたエラストマー部材とが直接接合しており、前記樹脂(A)が、樹脂1kgに対し、30mmol以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂及びメルカプト基を有するポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A1)で構成され、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)が、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体(B1)で構成されている。
【0012】
前記ポリアミド系樹脂は、樹脂1kgに対し、50〜250mmolのアミノ基を有していてもよく、前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、樹脂一分子中に平均0.5〜20のメルカプト基を有していてもよい。また、前記樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(A1)と第2の熱可塑性樹脂(A2)とで構成されていてもよく、前記第2の熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(A1)との割合が、前者/後者(重量比)=0/100〜50/50であってもよい。
【0013】
前記ジエン重合体ブロックの割合は、ブロック共重合体(B1)全体に対して50重量%以上であってもよい。また、熱可塑性エラストマー(B)は、ブロック共重合体(B1)と、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とで構成されていてもよく、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とブロック共重合体(B1)との割合が、前者/後者(重量比)=0/100〜60/40であってもよい。また、熱可塑性エラストマー(B)は、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化マグネシウムなど)を含んでいてもよく、金属酸化物の割合は、熱可塑性エラストマー(B)100重量部に対して、1〜60重量部であってもよい。
【0014】
本発明は、樹脂(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着させて前記複合成形体を製造する方法も包含する。前記熱融着は、熱成形、射出成形、押出成形及びブロー成形などの成形方法により行ってもよい。
【0015】
なお、本明細書において、「樹脂」とは、「樹脂組成物」を含む意味に用い、また、「エラストマー」とは「エラストマー組成物」を含む意味に用いる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の複合成形体は、樹脂(A)で構成された樹脂部材と、熱可塑性エラストマー(B)で構成されたエラストマー部材とが直接接合している。
【0017】
[樹脂部材]
(熱可塑性樹脂(A))
樹脂部材を構成する樹脂(A)(又は樹脂組成物、以下、単に樹脂と称する場合がある)は、ポリアミド系樹脂及びポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A1)で構成されていればよい。熱可塑性樹脂(A1)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0018】
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミド系樹脂、脂環族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、通常、脂肪族ポリアミド系樹脂が使用される。脂肪族ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ジアミン成分(テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのC4−10アルキレンジアミン)と脂肪族ジカルボン酸成分(アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数4〜20程度のアルカンジカルボン酸など)との縮合物(例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010など)、ラクタム(ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどの炭素数4〜20程度のラクタムなど)又はアミノカルボン酸(ω−アミノウンデカン酸などの炭素数4〜20程度のアミノカルボン酸など)の単独重合体(例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12など)又は共重合体(6−アミノカプロン酸と12−アミノドデカン酸との共重合体;6−アミノカプロン酸、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸の共重合体;ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、水添ダイマー酸及び12−アミノドデカン酸の共重合体など)、これらのポリアミド成分が共重合したコポリアミド(例えば、ポリアミド6/11,ポリアミド6/12,ポリアミド66/11,ポリアミド66/12など)などが挙げられる。
【0019】
脂環族ポリアミド系樹脂としては、前記脂肪族ジアミン成分及び/又は脂肪族ジカルボン酸成分の少なくとも一部として、脂環族ジアミン及び/又は脂環族ジカルボン酸を用いたポリアミドが挙げられる。脂環族ポリアミドには、例えば、前記脂肪族ジカルボン酸成分と脂環族ジアミン成分(シクロへキシルジアミンなどのC5−8シクロアルキルジアミン;ビス(アミノシクロへキシル)メタン、2,2−ビス(アミノシクロへキシル)プロパンなどのビス(アミノシクロへキシル)アルカン類など)との縮合体が含まれる。
【0020】
芳香族ポリアミド系樹脂には、前記脂肪族ジアミン成分及び脂肪族ジカルボン酸成分のうち少なくとも一方の成分が芳香族成分であるポリアミド、例えば、ジアミン成分が芳香族成分であるポリアミド[MXD−6などの芳香族ジアミン(メタキシリレンジアミンなど)と脂肪族ジカルボン酸との縮合体など]、ジカルボン酸成分が芳香族成分であるポリアミド[脂肪族ジアミン(トリメチルヘキサメチレンジアミンなど)と芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)との縮合体など]、ジアミン成分及びジカルボン酸成分が芳香族成分であるポリアミド[ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)などの全芳香族ポリアミド(アラミド)など]などが含まれる。
【0021】
ポリアミド系樹脂には、さらに、ダイマー酸をジカルボン酸成分とするポリアミド、少量の多官能性ポリアミン及び/又はポリカルボン酸成分を用い、分岐鎖構造を導入したポリアミド、変性ポリアミド(N−アルコキシメチルポリアミドなど)、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体(ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエーテルセグメントをソフトセグメントとして含むポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体など)なども含まれる。これらのポリアミド系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明では、アミノ基(例えば、末端アミノ基)を有するポリアミド系樹脂が使用される。ポリアミド系樹脂において、アミノ基の割合は、例えば、樹脂1kgに対して、30mmol以上(例えば、30〜300mmol)、好ましくは50mmol以上(例えば、50〜250mmol)、さらに好ましくは60〜200mmol程度であり、通常、70〜150mmol程度であってもよい。アミノ基は、末端(主鎖末端、分岐鎖末端など)などに位置していればよい。また、アミノ基は、全末端(例えば、両末端)に有していてもよく、一部の末端(例えば、一方の末端など)に有していてもよい。なお、ポリアミド系樹脂が、上記割合でアミノ基を含有している限り、アミノ基を上記割合で含有しないポリアミド系樹脂を含んでいてもよい。
【0023】
ポリアリーレンスルフィド系樹脂としては、繰返し単位として、アリーレンスルフィド基[−Ar−S−(ただし、Arはアリーレン基)]を有するポリマーを使用できる。アリーレンスルフィド基において、アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基(1,4−フェニレン基)、m−フェニレン基(1,3−フェニレン基)、o−フェニレン基(1,2−フェニレン基)、アミノフェニレン基(3−アミノ−1,4−フェニレン基、2−アミノ−1,4−フェニレン基など)、ナフチレン基(2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基など)などの置換基を有していてもよいC6−20アリーレン基;ビフェニリレン基[p,p’−ビフェニリレン基(ビフェニル−4,4’−ジイル基)など];ジフェニレンスルホン基(p,p’−ジフェニレンスルホン基など);ジフェニレンエーテル基(p,p’−ジフェニレンエーテル基など);ジフェニレンカルボニル基(p,p’−ジフェニレンカルボニル基)などが挙げられる。アリーレン基は、単独で又は2種以上組み合わせて繰り返し単位を構成していてもよい。
【0024】
ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、単独のアリーレンサルファイド基を繰り返し単位とするホモポリマーであってもよく、異種のアリーレンサルファイド基を含むコポリマーであってもよい。例えば、加工性(例えば、ポリアリーレンスルフィド系樹脂と第2の熱可塑性樹脂との混合など)などの観点から、コポリマーを使用すると有利な場合がある。ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0025】
好ましいポリアリーレンスルフィド系樹脂には、少なくともフェニレンスルフィド単位を有するポリマーが挙げられる。このようなホモポリマーとしては、アリーレン基がフェニレン基であるポリフェニレンサルファイド(特に、ポリ(p−フェニレンサルファイド)など)が挙げられる。コポリマーには、少なくともフェニレンスルフィド基(特に、p−フェニレンサルファイド基及びm−フェニレンサルファイド基)を含むコポリマーが例示でき、特に、アリーレンスルフィド基全体に対して、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上(例えば、70〜95モル%)、好ましくは80モル%以上(例えば、80〜90モル%)含むコポリマーが好ましい。このようなコポリマーを使用すると、耐熱性、流動性(成形性)、機械的特性などの物性上の点から有利である場合が多い。
【0026】
ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、メルカプト基(例えば、末端メルカプト基)を有する。メルカプト基の含有割合は、特に限定されないが、例えば、数平均分子量換算で、樹脂一分子中に平均0.1以上(例えば、0.1〜30)、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜10(例えば、1〜5)程度であってもよい。メルカプト基は、末端(主鎖末端、分岐鎖末端など)などに位置していればよい。また、メルカプト基は、全末端(例えば、両末端)に有していてもよく、一部の末端(例えば、一方の末端など)に有していてもよい。なお、ポリアリーレンスルフィド系樹脂全体として、上記割合でメルカプト基を含有している限り、メルカプト基を上記割合で含有しないポリアリーレンスルフィド系樹脂を含んでいてもよい。
【0027】
なお、ポリアリーレンサルファイド樹脂は、通常、2官能性ハロゲン芳香族化合物(1,4−ジクロロベンゼンなどのジハロC6−20アレーンなど)を主体とするモノマーを使用した縮重合によって得られ、実質的に直鎖状構造を有するポリマー(高分子量ポリマー)を好適に使用できるが、モノマーの一部として、3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物(例えば、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのトリハロC6−10アレーンなど)などを少量用いて、部分的に分岐構造または架橋構造を形成させたポリマーを使用してもよく、比較的低分子量の直鎖状構造のポリマーを酸素又は酸化剤存在下、高温で加熱して、酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーを使用してもよい。
【0028】
(第2の熱可塑性樹脂(A2))
本発明において、樹脂(A)は、少なくとも前記熱可塑性樹脂(A1)で構成されていればよく、熱可塑性樹脂(A1)と第2の熱可塑性樹脂(A2)とで構成されていてもよい。
【0029】
第2の熱可塑性樹脂(A2)としては、特に限定されず、慣用の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレート、又はこれらのコポリエステルなど)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリイミド系樹脂(ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど)、ポリケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトンなど)、オレフィン系樹脂[C2−10オレフィンの単独又は共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、オレフィンと共重合性単量体との共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、変性ポリオレフィンなど]、スチレン系樹脂[ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(ABS樹脂)、ブタジエンに代えて各種ゴムXを用いたAXS樹脂など]、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体など)、ハロゲン含有ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩素含有ビニル系樹脂、フッ素含有ビニル系樹脂など)などが挙げられる。これらの第2の熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせてもよく、複数の熱可塑性樹脂で構成されたポリマーアロイであってもよい。
【0030】
なお、第2の熱可塑性樹脂は、接着強度を低下させない範囲において、共重合やグラフト変性などの方法により、樹脂の特性を損なわない範囲で改質し、極性基を付与してもよい。
【0031】
第2の熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(A1)との割合は、前者/後者(重量比)=0/100〜70/30(例えば、0/100〜60/40)、好ましくは0/100〜50/50(例えば、5/95〜50/50)、さらに好ましくは0/100〜30/70(例えば、10/90〜30/70)程度であってもよい。第2の熱可塑性樹脂(A2)の含有割合が多すぎると、熱可塑性エラストマーに対する接合強度が低下する虞がある。
【0032】
また、樹脂部材を形成するための樹脂組成物は、必要に応じて、種々の添加剤、例えば、フィラー又は補強剤(強化繊維など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤)、着色剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。なお、安定剤は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの接着強度を低下させる場合があるので、その添加量は少量[例えば、樹脂組成物全体に対して0.5重量%以下(例えば、0.05〜0.5重量%)]であることが好ましい。
【0033】
なお、樹脂組成物は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂(A1)と、必要に応じて、他の成分(第2の熱可塑性樹脂(A2)、添加剤など)とを、溶融混合又は混練させる方法や、熱可塑性樹脂(A1)と、必要に応じて他の成分とを溶媒に溶解させた後、溶媒を揮発させ乾燥する方法などにより調製することができる。溶融混合又は混練には、押出機、ニーダーなどの慣用の混合又は混練手段を使用できる。
【0034】
[エラストマー部材]
エラストマー部材を構成する熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物、以下、単に熱可塑性エラストマーと称する場合がある)は、熱可塑性エラストマー成分として、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体(B1)で構成されていればよい。
【0035】
(ブロック共重合体(B1))
ブロック共重合体(B1)において、ビニル芳香族重合体ブロックに対応するビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、ジメチルスチレンなどの置換基を有していてもよいビニルベンゼン類が例示できる。これらのビニル芳香族化合物のうち、特に、スチレンが好ましい。ビニル芳香族化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。また、ジエン重合体ブロックに対応するジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ピペリレンなどのC4−8アルカジエンなどが例示できる。これらのジエン化合物のうち、特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。ジエン化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0036】
ブロック共重合体において、末端ブロックは、ビニル芳香族重合体ブロック及びジエン重合体ブロックのうちいずれであってもよいが、通常、ビニル芳香族重合体ブロックで構成できる。また、ブロック共重合体の構造は、ジブロック構造であってもよいが、通常、トリブロック構造、テトラブロック構造などで構成でき、リニア(直鎖状)型(ABA型など)、星型(ラジアルテレブロック型など)、テーパー型などであってもよい。これらのうち、リニア型のトリブロック共重合体が好ましい。また、ブロック共重合体(B1)は、熱可塑性エラストマーとしての特性を損なわない範囲で、共重合性単量体((メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系単量体など)と共重合していてもよく、グラフトなどにより変性(例えば、酸変性など)されていてもよく、残存二重結合の一部が水素添加されていてもよい。
【0037】
具体的なブロック共重合体(B1)としては、ポリスチレン系エラストマー、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン(SIBS)ブロック共重合体などのスチレン重合体ブロックがジエン重合体ブロックの両端に結合したブロック共重合体などを例示できる。ブロック共重合体(B1)は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0038】
ブロック共重合体(B1)において、ジエン重合体ブロックの割合は、ブロック共重合体(B1)全体に対して、例えば、50重量%以上(例えば、50〜95重量%)、好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは50〜70重量%程度のポリマーを好適に使用できる。
【0039】
また、ブロック共重合体(B1)において、各ブロックの重量平均分子量は、例えば、200〜50000、好ましくは500〜30000、さらに好ましくは800〜20000程度であってもよい。
【0040】
(第2の熱可塑性エラストマー(B2))
エラストマー部材は、熱可塑性エラストマーとして、少なくとも前記ブロック共重合体(B1)で構成されていればよく、ブロック共重合体(B)と、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とで構成されていてもよい。
【0041】
第2の熱可塑性エラストマー(B2)としては、ゴム状弾性の顕著な熱可塑性材料であれば特に制限されず、例えば、ポリアミド系エラストマー(ポリアミドを硬質相とし、脂肪族ポリエーテルを軟質相とする共重合体)、ポリエステル系エラストマー(ポリアルキレンアリレートを硬質相とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質相とする共重合体)、ポリウレタン系エラストマー(短鎖グリコールのポリウレタンを硬質相とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質相とする共重合体、例えば、ポリエステルウレタンエラストマー、ポリエーテルウレタンエラストマーなど)、ポリオレフィン系エラストマー(ポリスチレン又はポリプロピレンを硬質相とし、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−プロピレン−ジエンゴムを軟質相とするエラストマー、結晶化度の異なる硬質相と軟質相とで構成されたオレフィン系エラストマーなど)、ポリスチレン系エラストマー(スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体などの前記ブロック共重合体(B1)の範疇に属さないポリスチレン系エラストマー)、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが含まれる。前記脂肪族ポリエーテルとしては、(ポリ)オキシC2−4アルキレングリコール類(例えば、(ポリ)オキシエチレングリコール、(ポリ)オキシトリメチレングリコール、(ポリ)オキシプロピレングリコール、(ポリ)オキシテトラメチレングリコールなど)などが使用でき、前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリエステルジオールなどが使用できる。これらの熱可塑性エラストマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0042】
第2の熱可塑性エラストマー(B2)とブロック共重合体(B1)との割合は、前者/後者(重量比)=0/100〜75/25(例えば、5/100〜70/30)、好ましくは0/100〜60/40(例えば、5/95〜50/50)、さらに好ましくは0/100〜50/50(例えば、10/90〜50/50)程度であってもよい。第2の熱可塑性エラストマー(B2)の含有割合が多すぎると、樹脂に対する熱融着性が低下する虞がある。
【0043】
(金属酸化物)
熱可塑性エラストマー(B)は、金属酸化物を含有していてもよい。金属酸化物としては、多価金属酸化物、例えば、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなどの周期表2A族金属の酸化物;酸化亜鉛などの周期表2B族金属の酸化物;酸化鉛などの周期表4B族金属の酸化物などが挙げられる。金属酸化物は、単独で又は2種以上組合わせて使用してもよい。好ましい金属酸化物には、酸化マグネシウム、酸化亜鉛が含まれる。
【0044】
金属酸化物の配合割合は、熱可塑性エラストマー(B)(ブロック共重合体(B1)、又はブロック共重合体(B1)及び第2の熱可塑性エラストマー(B2))100重量部に対して、例えば、1〜60重量部(例えば、1〜40重量部)、好ましくは2〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部(例えば、5〜10重量部)程度である。金属の酸化物の配合割合が多すぎると、熱可塑性エラストマーとしてのゴムの特性(ゴム状弾性など)が低下する虞がある。
【0045】
また、熱可塑性エラストマー(又はエラストマー組成物)は、本発明の効果を損なわない範囲で、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤)、着色剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤などの種々の添加剤、熱可塑性樹脂(前記第2の熱可塑性樹脂(B2)など)などを含んでいてもよい。なお、安定剤は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの接着強度を低下させることがあるので、その添加量は少量[例えば、熱可塑性エラストマー組成物全体に対して0.5重量%以下(例えば、0.05〜0.5重量%)]であることが好ましい。
【0046】
なお、熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法は、特に限定されないが、ブロック共重合体(B1)と、必要に応じて、他の成分(第2の熱可塑性エラストマー(B2)、可塑剤などの添加剤など)とを、溶融混合又は混練させる方法や、ブロック共重合体(B1)(及び必要に応じて他の成分)を溶媒に溶解させた後、溶媒を揮発させ乾燥する方法などにより製造することができる。溶融混合又は混練には、押出機、ニーダーなどの慣用の混合又は混練手段を使用できる。
【0047】
[複合成形体の製造方法]
本発明の複合成形体は、前記樹脂(A)と、前記熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着させることにより製造できる。
【0048】
なお、熱融着とは、樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)のうち、少なくとも一方を融点又はガラス転移点以上に加熱し、溶融させた状態で、双方を接触させて接着させる方法をいう。すなわち、樹脂(A)及び熱可塑性エラストマー(B)のうち、双方の成分を溶融させて、接触させることにより複合成形体を製造してもよく、いずれか一方の成分(例えば、熱可塑性エラストマー(B))を溶融させ、成形された他方の部材(例えば、樹脂(A)で構成された樹脂部材)と接触させることにより複合成形体を製造してもよい。
【0049】
より具体的には、本発明の複合成形体は、例えば、熱成形(熱プレス成形、インジェクションプレス成形など)、射出成形(インサート射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形など)、押出成形(共押出成形、Tダイラミネート成形など)、ブロー成形などの慣用の成形法により樹脂(A)と熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着することにより製造できる。
【0050】
熱プレス成形では、樹脂(A)(又は樹脂組成物)及び熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のうち、少なくとも一方をプレス成形の金型内で溶融させ、双方を接触させて加圧し、接着させて複合成形体を製造できる。熱プレス成形において、樹脂(A)及び/又は熱可塑性エラストマー(B)は、ペレット状や粉状などの形状で金型に充填してもよく、予め他の成形方法で賦形した成形品として金型に装着してもよい。
【0051】
インサート射出成形法では、樹脂(A)(又は樹脂組成物)および熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のうち、いずれか一方を射出成形、押出成形、シート成形、フィルム成形などの成形法により成形し、賦形された成形品を金型内にインサートした後、前記成形品と金型との間の空隙に他方を射出成形することにより複合成形体を製造できる。インサート射出成形においては、金型内にインサートする成形品を可能な限り高温に予熱しておくことが好ましい。
【0052】
二色射出成形法では、二台以上の射出成形機を用いて、樹脂(A)(又は樹脂組成物)および熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のいずれか一方の成分を金型に射出成形し、金型の回転又は移動により、金型のキャビティを交換し、前記成形品と金型との間に形成された空隙に他方の成分を射出成形することにより複合成形体を製造できる。
【0053】
コアバック射出成形法では、樹脂(A)(又は樹脂組成物)および熱可塑性エラストマー(B)(又は熱可塑性エラストマー組成物)のうち、いずれか一方の成分を金型に射出成形し、金型のキャビティー容積を拡大させ、前記成形品と金型との間に形成された空隙に他方の成分を射出成形することにより複合成形体を製造できる。
【0054】
熱融着において、樹脂(A)及び/又は熱可塑性エラストマー(B)の溶融温度(又は熱融着温度)は、樹脂(又は樹脂組成物)又は熱可塑性エラストマー(又は熱可塑性エラストマー組成物)の種類に応じて選択でき、例えば、100〜250℃、好ましくは120〜230℃、さらに好ましくは150〜220℃程度であってもよい。
【0055】
複合成形体の構造及び形状は、特に限定されないが、意匠性、装飾性、感触性などに適した構造、例えば、樹脂部材の一部又は全部をエラストマー部材で被覆又はラミネートした構造(例えば、樹脂部材と人体(手など)との接触部分をエラストマー部材で被覆した構造など)などであってもよい。具体的な構造には、例えば、二次元的構造(シート状、板状など)、三次元的構造(例えば、棒状、チューブ状、ケーシング、ハウジングなど)などが挙げられる。
【0056】
本発明では、複雑な製造工程(複合部分に凹凸部分を設ける工程、接着剤の塗布工程、加硫工程など)を経ることなく、熱融着により、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを直接的かつ強固に接合できるため、意匠性、装飾性、良好な感触(ソフトな感触など)などの性質に優れた複合成形体を簡便に得ることができる。また、複合成形体において、少なくとも前記特定の樹脂及び特定のエラストマーを使用すればよく、第2の樹脂や第2のエラストマーを含んでいてもよいため、用途に応じて種々の複合成形体を製造できる。
【0057】
本発明の複合成形体は、各種工業部品、例えば、自動車用部品(インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバッグカバーなどの自動車内装部品;モール等の自動車外装部品;ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツなどの自動車機能部品など)、家電用部品(掃除機バンパー、リモコンスイッチ、OA(オフィスオートメーション)機器のキートップなど)、水中使用製品(水中眼鏡、水中カメラカバーなど)、工業用部品(カバー部品;密閉性、防水性、防音性、防振性等を目的とした各種パッキン付き工業用部品など)、電気・電子用部品(カールコード電線被覆、ベルト、ホース、チューブ、消音ギアなど)、スポーツ用品、意匠性や装飾性を要する部品(例えば、サングラス、メガネなど)などに使用できる。
【0058】
【発明の効果】
本発明では、接着剤を使用することなく、熱融着により、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが確実かつ強固に直接接合した複合成形体を得ることができる。また、本発明では、特定の熱可塑性樹脂と特定の熱可塑性エラストマーを使用するため、複雑な製造工程を経ることなく、簡単な組成で、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとが直接的かつ強固に熱融着し、種々の工業部品として有用な複合成形体を簡便な方法で得ることができる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0060】
なお、熱可塑性樹脂組成物と熱可塑性エラストマー組成物との熱融着性の評価は、実施例及び比較例に記した方法で作成した複合成形体を、幅20mm、長さ100mmに切り出し、180℃方向に引張速度50mm/分で引張試験を行い、融着界面の剥離強度を測定することにより行った。
【0061】
実施例1
熱可塑性樹脂として末端アミノ基濃度が90mmol/kgのポリアミド12(ダイセル・ヒュルス(株)製 ダイアミド)を用いるとともに、熱可塑性エラストマーとしてブタジエン成分を60%含有するスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体(日本合成ゴム(株)製 TR2000)を用い、厚み1mmの熱可塑性樹脂と厚み2mmの熱可塑性エラストマーとを重ね合わせて熱プレスし、100mm角、厚み約3mmの平板を作製した。この平板を20mm幅に切り出して評価したところ、100N/cmの剥離強度を示した。
【0062】
実施例2
熱可塑性エラストマーに酸化亜鉛5重量%を混合した実施例1のSBSブロック共重合体を用いる以外、実施例1と同じ方法で平板を作製し、引張り試験を行ったところ、融着界面が剥離せずに破壊した。
【0063】
実施例3
熱可塑性樹脂として末端アミノ基濃度が97mmo1/kgのポリアミド6(ユニチカ(株)製 A8030A)を用いるとともに、熱可塑性エラストマーとしてブタジエン成分を70%含有するSBS共重合体(日本合成ゴム(株)製 TR2601)とスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン(SEBS)ブロック共重合体(三菱化学(株)製 ラバロンMJ6301C)を50重量部ずつ混合した組成物を用いた。成形には二色射出成形機(高橋精機工業所(株)製 KS−2C−680)を用い、まず、250℃で1.5mm厚みの熱可塑性樹脂組成物を成形し、次いで200℃で熱可塑性エラストマー組成物を成形するという順序で、100mm×100mm×3mmの平板を作製した。この平板を20mm幅に切り出して評価したところ、80N/cmの剥離強度を示した。
【0064】
実施例4
熱可塑性樹脂として両末端にメルカプト基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂(呉羽化学工業(株)製 フォートロンKPS)を用いるとともに、熱可塑性エラストマーとしてブタジエン成分を60%含有するSBSブロック共重合体(日本合成ゴム(株)製 TR2000)を用い、厚み1mmの熱可塑性樹脂と厚み2mmの熱可塑性エラストマーとを重ね合わせて熱プレスし、100mm角、厚み約3mmの平板を作製した。この平板を20mm幅に切り出して評価したところ、80N/cmの剥離強度を示した。
【0065】
比較例1
熱可塑性樹脂に、末端アミノ基濃度が10mmo1/kgのポリアミド12(ダイセル・ヒュルス(株)製 ダイアミド)を用いる以外、実施例1と同じ方法で平板を作製し、評価を行ったところ、剥離強度は2N/cmを示した。
【0066】
比較例2
熱可塑性樹脂に、末端アミノ基濃度が10mmol/kgのポリアミド12(ダイセル・ヒュルス(株)製 ダイアミド)を用いる以外、実施例2と同じ方法で平板を作製し、評価を行ったところ、剥離強度は1N/cmを示した。
【0067】
比較例3
熱可塑性樹脂に、末端に塩素原子を有するポリフェニレンサルファイド樹脂(呉羽化学工業(株)製 フォートロンKPS)を用いる以外、実施例4と同じ方法で平板を作製し、評価を行ったところ、剥離強度は1N/cmを示した。
Claims (11)
- 樹脂(A)で構成された樹脂部材と、熱可塑性エラストマー(B)で構成されたエラストマー部材とが直接接合した複合成形体であって、前記樹脂(A)が、樹脂1kgに対し、30mmol以上のアミノ基を有するポリアミド系樹脂及びメルカプト基を有するポリアリーレンスルフィド系樹脂から選択された少なくとも1種の熱可塑性樹脂(A1)で構成され、かつ前記熱可塑性エラストマー(B)が、ビニル芳香族重合体ブロックとジエン重合体ブロックとを有するブロック共重合体(B1)で構成されている複合成形体。
- ポリアミド系樹脂が、樹脂1kgに対し、50〜250mmolのアミノ基を有する請求項1記載の複合成形体。
- ポリアリーレンスルフィド系樹脂が、樹脂一分子中に平均0.5〜20のメルカプト基を有する請求項1記載の複合成形体。
- 樹脂(A)が、熱可塑性樹脂(A1)と第2の熱可塑性樹脂(A2)とで構成され、前記第2の熱可塑性樹脂(A2)と熱可塑性樹脂(A1)との割合が、前者/後者(重量比)=0/100〜50/50である請求項1記載の複合成形体。
- ジエン重合体ブロックの割合が、ブロック共重合体(B1)全体に対して50重量%以上である請求項1記載の複合成形体。
- 熱可塑性エラストマー(B)が、ブロック共重合体(B1)と、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とで構成され、第2の熱可塑性エラストマー(B2)とブロック共重合体(B1)との割合が、前者/後者(重量比)=0/100〜60/40である請求項1記載の複合成形体。
- 熱可塑性エラストマー(B)が、金属酸化物を含む請求項1記載の複合成形体。
- 金属酸化物が、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムから選択された少なくとも1種である請求項7記載の複合成形体。
- 金属酸化物の割合が、熱可塑性エラストマー(B)100重量部に対して、1〜60重量部である請求項7記載の複合成形体。
- 樹脂(A)と、熱可塑性エラストマー(B)とを熱融着させて請求項1記載の複合成形体を製造する方法。
- 熱成形、射出成形、押出成形及びブロー成形から選択された成形方法により熱融着する請求項10記載の製造方法。
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