JP2011224875A - 熱線反射積層体及び熱線反射層保護層形成用組成物 - Google Patents

熱線反射積層体及び熱線反射層保護層形成用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い熱線反射性能を持ち、かつ、高湿度や高温などの腐食性環境化においても性能、外観の劣化が著しく抑制された、耐久性の高い熱線反射積層体及び熱線反射層の保護層を形成するための塗布液を提供する。
【解決手段】 透明基材上に、熱線反射層及び該熱線反射層に接する保護層を有する積層体において、該熱線反射層はバインダー及び金属を含有し、かつ該保護層が下記(i)及び/又は(ii)を含有することを特徴とする熱線反射積層体。
(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物
(ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
【選択図】なし

Description

本発明は、可視光線を透過し、熱線(赤外線)を反射する熱線反射層及びその保護層を有する熱線反射積層体と、熱線反射層保護層形成用組成物に関するものである。
近年、環境技術に対する関心が高まっており、利便性、快適性を損なわずにエネルギー効率を高める技術は非常に注目されているが、その中で、熱線反射は自動車や建物の窓等に適用することによって、室内の快適性を向上させながら、空調に要するエネルギーを低減させる技術として期待が高まっている。太陽光は可視光、紫外光の他に、エネルギーの約半分を占める赤外光を含んでいるが、赤外光は皮膚に当たるとその温度を上昇させ、いわゆるジリジリ感を催させ、また、物体一般に照射されるとその温度を上昇させるため、熱線と呼ばれ、自動車、建物等の室内温度上昇の大きな要因となる。
熱線遮蔽は、基材に入射した光のうち、可視光を透過させ、熱線を遮断するという技術で、窓等の透明な基材に適用した場合、窓等の透明性、視認性を保ちながらも熱線を遮蔽し、室内の温度上昇を抑制するという効果がもたらされる。熱線の遮蔽方法としては、熱線を吸収させる方法及び熱線を反射させる方法が挙げられるが、遮蔽効率及び基材の保護という観点からは、一般的に熱線反射の方法が優れているとされ、熱線反射の中でも金属薄膜を利用する技術が熱線の高効率な反射を比較的低コストで実現するために特に有効である。
金属薄膜を作製するためには、真空蒸着法やスパッタ法などのドライ製膜法や塗布による製膜法があるが、特に塗布による製膜法は、比較的簡便な装置で適用でき、生産コストが抑制できる点や細かな曲面など複雑な形状を持つ基材への適用が可能である点などから有用である。
この方法においては、金属微粒子を含有する塗布液を基材に塗布・乾燥して、金属微粒子が広範囲にわたって集合化した薄膜を形成し、その後焼成処理を行うことにより、金属微粒子同士を融着させ、高い可視光透過率と熱線反射性を両立した金属薄膜を得ることができる。しかしながら、金属薄膜を用いた熱遮断技術は、耐久性が未だ不十分であり、特に、負荷の大きな環境においては、金属の腐食や粗粒子化などが生じる。特に粗粒子化は、金属のイオン化、水などの媒体を通して金属イオンの移動及び金属の析出が組み合わさって発生し、結果として金属薄膜上に白化などの変色が生じて、熱線反射性能及び外観が顕著に劣化する。
これに対して、低い可視光線反射率、高い赤外線反射率を有し、かつ電磁波の透過と遮蔽製を制御可能な熱線反射性透明基材が提案される特開2002−131531号公報には、銀微粒子の表面に金若しくは白金単体又は金と白金の複合体をコーティングすることで、耐光性、耐薬品性、耐紫外線性が改善されることが記載されている。しかしながら、上記の技術では、耐久性の高い金属種であるAu、Ptなどが高価な貴金属である問題がある。
又、低い表面抵抗、帯電防止性、反射防止性及び電磁遮断性に優れ、かつ表面の平滑性・均一性、基材との密着性、耐薬品性に優れた透明導電性被付基材に関する特開2001−64540号公報には、金属微粒子と硫黄化合物と極性溶媒とを含む透明導電性被膜形成用塗布液を用いることが記載されている。しかしながら、上記従来技術は、導電性被膜に関するもので、可視光領域及び近赤外領域での反射防止について言及されているものの熱反射について言及しておらず、又、本発明者等の検討によれば、チオール化合物によって金属表面に被膜を形成させた場合には、腐食抑制のための被覆が金属微粒子の融着を妨害する要因となり、十分な熱線反射性能を得ることが困難となる。
また、発明者等は、先に熱線反射積層体の熱線反射層に複素環式化合物を含有することにより、金属薄膜の均一性の向上と金属表面保護の両効果により、その耐久性を向上させることを提案した(特願2009−244120)。しかしながら、上記熱線反射積層体では、金属表面と複素環式化合物の適度な親和性を利用することによって熱線反射性能と腐食耐久性の両立を実現しているが、長期間にわたる高湿環境への暴露などの大きな環境負荷に対しては、更なる耐久性の改善が望まれる。
特開2002−131531公報 特開2001−64540公報 特願2009−244120
本発明の課題は、高い熱線反射性能を持ち、かつ、高湿度や高温などの腐食性環境化においても性能、外観の劣化が著しく抑制された、耐久性の高い熱線反射積層体及び熱線反射層の保護層を形成するための塗布液を提供することにある。
本発明者等は、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、透明基材上に、熱線反射層及び該熱線反射層に接する保護層を有する積層体において、保護層が特定の置換基を有する化合物及び/又は特定の化合物を含有することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の第一の要旨は、透明基材上に、熱線反射層及び該熱線反射層に接する保護層を有する積層体において、該熱線反射層はバインダー及び金属を含有し、かつ該保護層が下記(i)及び/又は(ii)を含有することを特徴とする熱線反射積層体、に存する。
(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物
(ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
上記において、N原子及び/又はS原子を含む置換基は、アミノ基又はメルカプト基であるのが好ましい(請求項2)。
又、保護層が有機高分子及び/又は無機化合物を含有し、N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物、並びに、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物が、該有機高分子及び/又は無機化合物と結合形成能のある官能基を有し、該官能基の少なくとも一部が該有機高分子及び/又は無機化合物と結合しているのが好ましい(請求項3)
又、結合形成能のある官能基が、シラノール基又はその前駆体であることも好ましい(請求項4)。
又、保護層が(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する化合物を含有し、該化合物がメルカプト基含有化合物であり、結合形成能のある官能基がシラノール基又はその前駆体であることも好ましい(請求項5)。
又、メルカプト基含有化合物が、炭素数2〜4のアルキル基の末端にメルカプト基を有し、炭素数1〜2のアルコキシ基を有するメルカプトアルキルアルコキシシラン及びその加水分解物であることも好ましい(請求項6)。
又、保護層が、骨格がシロキサン結合を含むポリマーを含むことも好ましい(請求項7)。
保護層が、アクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する化合物の重合生成物を含むハードコート層であることも好ましい(請求項8)。
前記ハードコート層が体積平均粒径1nm以上、200nm以下の無機化合物粒子を含むことも好ましい(請求項9)。
又、熱線反射層に含まれる金属が、銀又は銀を主成分とする合金であることも好ましい(請求項10)。
又、本発明の第二の要旨は、硬化性化合物及び溶媒を含有し、熱線反射積層体の熱線反射層保護層形成用組成物であって、溶媒が沸点75℃以上の溶媒を含み、下記(i)及び/又は(ii)を含有することを特徴とする熱線反射層保護層形成用組成物、に存する。
(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する化合物
(ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
本発明の熱線反射層保護層形成用組成物は、硬化性化合物として、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物を含み、前記(i)及び/又は(ii)の化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤及びその加水分解物を含むことが好ましい(請求項11)。
更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい(請求項12)。
又、無機化合物粒子を含むことが好ましい(請求項13)。
更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含むことも好ましい(請求項14)。
本発明の積層体によれば、熱線反射層の反射性能を犠牲にすることなく、同時に大きな環境耐久性を得ることができる。とりわけ、高湿度下における耐久性に優れ、熱線反射性能の維持のみならず、金属の酸化や粗粒子化を原因とする熱線反射層の外観劣化を顕著に抑制することができる。このような熱線反射積層体を含有する窓材を用いることで、建物や自動車の内部の快適性の向上、エアコン負荷の低減による省エネルギー化が図られる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容には特定されない。
本発明の熱線反射積層体は、透明基材上に、金属とバインダーを含む熱線反射層及び、該熱線反射層に接する保護層を有し、通常、これらの層が順次積層された構成を有する。
1.透明基材
1−1.構成材料
本発明の熱線反射積層体に使用することができる透明基材の材料としては、各種樹脂やガラス等を用いることができる。透明基材に使用可能な材料の例としては、ソーダガラスや強化ガラスなどの無機ガラスが透明性、加工性、耐薬品性、擦傷性の観点から窓材に好ましく、その他に、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルフィド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、繊維素系樹脂、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
1−2.形態
透明基材の形態は、板、シート、フィルムなど任意であり、平面状(平板状)であって
も曲面を有していてもよい。
1−3.厚み
透明基材の厚みは、その形態に応じて適宜選択される。板状もしくはシート状の場合、透明基材の厚みは通常0.1mm〜10cmである。透明基材が薄過ぎると得られる積層体の機械的強度が低くなる傾向がある。また、透明基材が厚過ぎると透明性が低くなり、窓等に用いた際に視界が悪くなる場合がある。また、フィルム状の場合、透明基材の厚みは通常10μm〜0.5mmである。厚みが10μm未満ではハンドリングが悪くなる傾向があり、0.5mmを超えるとフィルムとしてのフレキシビリティーに劣るものとなる場合がある。
2.熱反射層
本発明の熱線反射層は、バインダー及び金属を含有する。
2−1.バインダー
バインダーは、本発明の熱線反射層の耐久性・密着性の向上、及び、後述する湿式製膜法における塗布性能の観点から熱線反射層含まれる。バインダーは熱線反射層の製膜性、安定性を向上させるものならばどのような化合物でもよいが、熱線反射層と接する保護層との密着性を向上させる観点からは親水基を含むことが好ましい。
親水基としては、ヒドロキシル基、オキシエチレン基等のオキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基、モルホリニル基、N−ピロリドニル基、アミド基、ニトロ基、シアノ基等のノニオン性基、カルボキシレート基、スルホネート基、ホスホネート基等のアニオン性基、アンモニウム基、テトラアルキルアンモニウム基、ピリジニウム基等のカチオン性基が挙げられる。
上記の中でも、ノニオン性、又はアニオン性の親水基が好ましく、特に好ましくは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキシエチレン基である。これらは金属に対して、強すぎない適度な相互作用を持つことから、本発明に用いられるバインダーの親水基として好適に用いられる。
かかる親水性基を含むバインダーとしては、ポリビニルアルコール、部分ベンジル化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール等の変性又は未変性ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルアクリレート(もしくはメタクリレート)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル(もしくはメタクリル)酸、アクリル(もしくはメタクリル)酸−アクリル(もしくはメタクリル)酸メチルの共重合体、アクリル(もしくはメタクリル)酸−アクリル(もしくはメタクリル)酸エチルの共重合体、アルコキシシラン加水分解物の重合体等が挙げられ、好ましくは、ポリビニルアルコール、部分ベンジル化ポリビニルアルコール、アルキルアセタール化ポリビニルアルコール等の変性又は未変性ポリビニルアルコール、アルコキシシラン加水分解物の重合体である。
かかるバインダーのうち、好適に用いられる市販のバインダーのうち、変性又は未変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、完全けん化ポリビニルアルコールPVA117(クラレ工業(株)製)、部分けん化ポリビニルアルコールPVA505(クラレ工業(株)製)、アルキルアセタールポリビニルアルコール エスレックKS−1、KS−10(積水化学工業(株)製)、部分ベンザール化ポリビニルアルコール エスレック KX−1(積水化学工業(株)製)などが挙げられる。また、好適に用いられる市販のバインダーのうち、アルコキシシラン加水分解物の重合体としては、例えば、MS51、MSEP2(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
尚、これらのバインダーは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
バインダーに含まれる親水性基含有量としては、1個以上の水酸基を含有する単量体が、重合体中に通常30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上含有されていることが好ましい。1個以上の水酸基を含有する単量体含有量が少なすぎる場合、金属との親和性が低くなり、膜の均一性が低下する場合がある。
また、熱線反射膜の耐久性を向上させる点から、バインダーが疎水基を有することも好ましい。疎水基としては、アルキル基、アセチル基、パーフルオロアルキル基、アリール基などが挙げられる。アルキル基は、通常、炭素数1〜5である。
バインダー樹脂として熱可塑性樹脂を用いた場合、ガラス転移温度(Tg)は好ましくは40〜300℃、より好ましくは50〜200℃、さらに好ましくは70〜150℃である。Tgがこの下限より低いと長期使用安定性が低くなる傾向がある。Tgがこの上限より高いと熱線反射層が後述の樹脂層や透明基材との界面で剥離が生じる恐れがある。バインダー樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)、動的粘弾性測定装置(DMA)、熱機械分析装置(TMA)により測定される。
2−2.金属
熱線反射層に含有される金属種はAu、Ag、Pd、Pt、Rh、Ru、Cu、Fe、Ni、Co、Sn、Ti、In、Al、Ta、Sbなどが挙げられる。好ましくはAu、Ag、Pd、Cu、より好ましくはAg及び/又はPd、さらに好ましくはAg(銀)である。これらの金属を単独で用いても、2種以上組み合わせて使用してもよい。またこれらの金属を含む合金であってもよい。
本発明に係る熱線反射層は、日射反射率及び熱線反射性能の点から、特に金属として銀を含むことが好ましい。熱線反射層を構成する全金属中に含まれる銀の含有割合は30重量%以上であることが好ましく、特に50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましく、80重量%以上であることが特に好ましく、85重量%以上であることがとりわけ好ましい。全金属中の銀の含有量が少なすぎる場合、日射反射率が低下し、熱線反射性能が不十分となる場合がある。また、同時に、可視領域の透過光が過度に着色し、美観が損なわれる恐れや、可視光線吸収率の増加による基材の温度上昇または、輻射熱による遮熱特性低下の恐れがある。なお、赤外線反射率を高めるには熱線反射層を構成する全金属中の銀の含有量が100重量%であることが好ましいが、耐光性をより高める観点では熱線反射層を構成する全金属中に含まれる銀の含有量は好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。この際、銀以外に含有される金属種としては、耐腐食性の観点から、Au(金)もしくはPd(パラジウム)が好ましく、特に色調の観点からPdが好ましい。
又、日射反射率及び熱線反射性能の点から、銀を主成分とする合金も好ましいが、主成分とは、合金中の銀の割合が50重量%を超えることを意味し、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることが特に好ましく、85重量%以上であることがとりわけ好ましい。
2−3.熱線反射層の添加剤
本発明の熱線反射層には、これに含まれる金属の劣化を防止する目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面処理剤、赤外線吸収剤、複素環式化合物などの各種添加剤が含まれていても良い。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい
2−4.熱線反射層の組成
本発明の熱線反射層における各成分の組成を以下に示す。
本発明の熱線反射層に含まれる金属量は、通常70.0〜99.9重量%、好ましくは80〜99重量%、より好ましくは90〜98重量%、さらに好ましくは90〜97重量%である。金属量が少なすぎる場合、熱線線反射性能が不十分となる傾向がある。但し、金属量が多過ぎると、熱線反射層の透明性を高めるために膜厚を薄くせざるをえず、この結果、熱線反射層の均一性が損なわれ、美観が損なわれる恐れがある。また、大面積かつ曲面の基材上に製膜する際に透過率が不均一となる恐れがあり、さらに耐熱性が低下する場合がある。
本発明の熱線反射層に含まれるバインダー量は、通常0.1〜30.0重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%、さらに好ましくは3〜10重量%である。バインダー量が多すぎる場合、熱線反射層の金属的性質が低下し、熱線反射性能が不十分となる傾向がある。ただし、バインダー量が少な過ぎると、熱線反射積層体に十分な耐久性・密着性が付与されず、また、後述する湿式製膜法における塗布性能も低下する傾向がある。
2−5.熱線反射層の厚さ
熱線反射層の膜厚は好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上、より好ましくは12nm以上、より好ましくは15nm以上、更に好ましくは20nm以上、とりわけ好ましくは25nm以上であり、また、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは60nm以下、とりわけ好ましくは50nm以下である。熱線反射層の膜厚が薄過ぎると、十分な熱線遮蔽性が得られないばかりでなく、膜欠陥が生じやすいため、環境耐久性が劣る場合がある。一方、熱線反射層の膜厚が厚過ぎると、透明性の低下及び/又は可視光線反射率の増加に起因する金属光沢感(いわゆるぎらつき)の増加の問題が生じる恐れがある。
3.保護層
本発明の熱線反射積層体において、保護層は熱線反射層に接して設けられる。保護層を設ける主な目的は、熱線反射層に含有される金属の腐食や粗粒子化を抑制することにある。金属の腐食や粗粒子化は金属原子のイオン化を介して発生するため、熱線反射層に密着する保護層が存在して、熱線反射層中の金属を酸化種の接近から防護することが、耐久性の向上に大きな効果を持つ。また、保護層を有することで、擦過や衝撃などの物理的な破壊要因から熱線反射層を保護することが可能である。
本発明の熱線反射積層体における保護層は、通常、有機高分子及び/又は無機化合物からなる保護層成分を主成分とする(以下、有機高分子及び/又は無機化合物からなる保護層成分を、保護層主成分と略することがある)が、本発明では、該保護層が、下記(i)及び/又は(ii)の化合物を含むことを必須とする。
(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物
(ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
3−1.保護層主成分
保護層主成分としては、有機高分子、無機化合物などが挙げられる。有機高分子としては、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアルキレングリコール、エポキシ樹脂などが挙げられ、ガラス転移温度が高く、耐熱性が良好であるという観点からはアクリル樹脂が好ましい。
無機化合物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物、シリカ、シリコーン樹脂などが挙げられ、製膜の容易さの観点からは、ゾルゲル法によって作製されるシリカ被膜及び熱硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
3−2.保護層かつハードコート層
また、本発明における保護層は、大きな耐擦過性及び耐衝撃性を付与するという観点からは、ハードコート層であることが好ましい。保護層がハードコート層である場合、保護層主成分はポリイソシアネート化合物やトリアルコキシシラン加水分解物に代表される硬化性化合物が反応して形成する架橋構造を持つ物質であり、保護層が該架橋構造を持つ物質を含む層である。また、当該ハードコート層を硬化させる方法としては、熱による硬化、紫外線などの照射による硬化など、従前知られた如何なる硬化方法を用いても構わない。
ハードコート層に用いられる硬化性化合物としてより具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、環状エーテル基、アミノ基、イソシアネート基、シラノール基、シラノール基の前駆体(例えば、アルコキシシリル基やクロロシリル基)からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するモノマー及び/又はオリゴマー、または、シラザン化合物が挙げられる。熱線反射層との密着性を向上させるという観点からは、シラノール基を有するアルキル置換シロキサン化合物、シラノール基を有するアクリレート化合物、シラザン化合物から選ばれる化合物を含むことが好ましい。
かかる硬化性化合物として好適に用いられる市販のハードコート製品としては、トスガード510(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シラノール基を有するポリアルキルシロキサンを含有)、SHC−900(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シラノール基を有する化合物を含有)、KP−851、KP−854(以上、信越シリコーン(株)製、シラノール基を有する化合物を含有)、AY42−150(東レダウコーニング、多官能アクリレート化合物を含有)、AY42−151(東レダウコーニング、アクリレート化合物を含有)、NSC−1520(日本精化(株)製、シラノール基を有する化合物の重合体を含有)、NSC−5100(日本精化(株)製、シラノール基を有する化合物の重合体を含有)、アクアミカNL110−20(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製、ポリ(ペルヒドロシラザン))、アクアミカNL110A−20(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製、ポリ(ペルヒドロシラザン))、などが挙げられる。
中でも、本発明の保護層は、骨格がシロキサン結合を有するポリマーを含有するのが、耐光性の点で好ましい。骨格がシロキサン結合を有するポリマーは、例えば、後述の保護層形成用溶液の成分として、上記硬化性化合物であるシラノール基を有するアルキル置換シロキサン化合物やシラノール基を有する化合物を用い、これを硬化することにより得ることができる。
又、本発明の保護層は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の重合生成物を含むハードコート層であるのが、生産効率の点で好ましく、該重合生成物は、例えば、後述の保護層形成用溶液の成分として、上記硬化性化合物であるアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物を用い、これを重合することにより得ることができる。
尚、ハードコート層の硬度は、JIS K5600−5−4の引っかき硬度(鉛筆法)試験において、通常HB以上、好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。
3−3.(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物、並びに、(ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
本発明の熱線反射積層体の保護層は、下記(i)及び/又は(ii)を含有する。
(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物(以下、(i)の化合物と略することがある)
(ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物(以下、(ii)の化合物と略することがある)
上記(i)の化合物及び(ii)の化合物は、N原子、S原子が持つ非共有電子対を介して、熱線反射層に含まれる金属と結合を形成することができる。
保護層中に含まれる上記(i)の化合物及び(ii)の化合物は、N原子及びS原子が持つ非共有電子対を介して、熱線反射層に含まれる金属と結合を形成し、金属表面に強固に結合した被膜が形成されることにより、酸素分子、水分子などの劣化因子が金属の表面に接近するのを阻害し、金属のイオン化が抑制され、熱線反射積層体の劣化抑制効果が大きくなると考えられる。又、保護層中に含まれる上記(i)の化合物及び(ii)の化合物が熱線反射層に含まれる金属と結合を形成することにより、保護層と熱線反射層の密着性が大幅に増大し、結果として保護層の防護効果が向上すると考えられる。
上記(i)の化合物におけるN原子及び/又はS原子を含む置換基としては、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基(好ましくは、総炭素数が1〜4のジアルキルアミノ基)、アミジノ基、ニトロ基、ニトロソ基、メルカプト基、スルホニル基などが挙げられ、好ましくは、アミノ基、メルカプト基であり、特に好ましくはメルカプト基である。これらの置換基は、金属との結合がより安定である。
上記(i)の化合物は、上述の通り、N原子及びS原子が持つ非共有電子対を介して、熱線反射層に含まれる金属と結合を形成すると考えられるため、N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物である限り、高分子化合物でも低分子化合物でもよく、高分子化合物の場合、その側鎖にN原子及び/又はS原子を含む置換基を有しているのが好ましい。しかしながら、N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する化合物が低分子成分として含まれると、保護層形成の際に熱線反射層の金属表面との結合が、分子の立体配座などが阻害要因になることなく、容易に形成されるため好ましい。
上記(i)の化合物として、具体的には、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキルアルコキシシラン類、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトアルキルアルコキシシラン類等のシランカップリング剤及びその加水分解物、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート、2−メルカプトエチルアクリレート、2−メルカプトエチルメタクリレート、3−メルカプトプロピルアクリレート、3−メルカプトプロピルメタクリレートなどのアミノまたはメルカプト基を有するアクリレート化合物又はメタクリレート化合物、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、1−ヘキサデカンチオール等のアルカンチオール、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン等のアルキルアミンなどがあげられる。アミノアルキルアルコシキシラン類及びメルカプトアルキルアルコシキシラン類のアルキル基の炭素数は、通常、1〜6、好ましくは2〜4であり、アルコキシ基の炭素数は、通常、1〜4、好ましくは1〜2である。また、アルカンチオールの炭素数は、通常3〜18、好ましくは4〜16、アルキルアミンの炭素数は、通常、3〜18、好ましくは4〜16である。又、シランカップリング剤の加水分解としては、シラン化合物のアルコキシ基の少なくとも一部が水酸基である化合物が挙げられる。
上記の中でも、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の炭素数2〜4のアルキル基の末端にメルカプト基又はアミノ基を有し、炭素数1〜2のアルコキシ基を有するメルカプトアルキルアルコキシシラン又はアミノアルキルアルコキシシラン及びその加水分解物、及び炭素数4〜16のアルカンチオール、2−メルカプトエチルアクリレート、3−メルカプトプロピルアクリレート等の炭素数2〜4のアルキル基の末端にメルカプト基を有するアクリレート化合物が好ましく、より好ましくは、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン及びその加水分解、特に好ましくは、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びその加水分解である。
上記(ii)の化合物も、上述の通り、N原子及びS原子が持つ非共有電子対を介して、熱線反射層に含まれる金属と結合を形成すると考えられるため、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物である限り特に限定されないが、N原子及び/又はS原子を含む芳香族複素環式化合物が金属との結合形成能が大きく、加えてその芳香環に由来する紫外線吸収能による熱線反射層保護効果も見込めるために好ましい。具体的には、ピロール、インドール、イソインドール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、プリン、ピラゾール、インダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、トリアゾール、テトラゾール、フェナントロリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、キノキサリン、ピリミジン、キナゾリン、ピリダジン、シンノリン、トリアジン、チオフェン、ベンゾチオフェン等、及びそれらの誘導体が挙げられる。ここで誘導体とは、上記の芳香族複素環式化合物の骨格を維持し、任意の置換基を有する化合物を意味する。尚、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物は単環でも縮合環構造をとっていてもよく、また、メルカプトベンゾチアゾールのように、複素環式化合物がN原子及び/又はS原子を含む置換基を有していてもよい。
より好ましくは、2−アルキルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,10−フェナントロリン、1,7−フェナントロリン、2,2’−ビピリジン、3,3’−ビピリジン、4,4’−ビピリジン、2,3’−ビピリジン、2,4’−ビピリジン、メチルビオロゲン、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール及びこれらの誘導体等が挙げられ、更に好ましくは1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,10−フェナントロリン、2−メルカプトベンゾチアゾールである。
これらの複素環式化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。
3−4.保護層主成分と、前記(i)の化合物又は前記(ii)の化合物との結合形成、及び、該結合を形成可能な前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物
本発明の保護層に含まれる前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物は、上記保護層主成分である有機高分子及び/又は無機化合物と結合を形成することができる官能基を持ち、少なくとも一部が上記保護層主成分と結合を形成していることが、保護層と熱線反射層の密着性がさらに向上し、劣化抑制効果が大きくなることから好ましい。
尚、前記(i)の化合物及び/又は前記(ii)の化合物が上記保護層主成分と結合する場合、上記結合に関与する化合物の割合は、前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物であって前記官能基を有する化合物の全体に対して、10モル%以上が好ましく、20モル%以上が更に好ましく、30モル%以上であるのが特に好ましい。この範囲であることで、密着性が向上することとなる。一方、上記結合に関与する化合物の割合は、製造の点からは、通常、90モル%以下であり、好ましくは80モル%以下である。
前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物が持つ上記の結合を形成するの官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、シラノール基及びその前駆体(例えば、アルコキシシリル基やクロロシリル基)、グリシジル基、ジアゾニオ基、アリール基、ホルミル基、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エチニル基、プロパルギル基、スクシンイミジル基、マレイミジル基等が挙げられ、好ましくは、アミノ基、イソシアネート基、シラノール基及びその前駆体、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スクシンイミジル基、マレイミジル基、更に好ましくは、シラノール基及びその前駆体、アクリロイル基、メタクリロイル基、特に好ましくはシラノール基及びその前駆体である。尚、シラノール基の前駆体であるアルコキシシリル基としては、メトキシシリル、エトキシシリル、プロポキシシリル等の炭素数1〜4のアルコキシシリル基が好ましく、特に、炭素数1又は2アルコキシシリル基が好ましい。
また、本発明の保護層に含まれる前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物と、上記保護層主成分として含まれる有機高分子及び/又は無機化合物との間の結合により形成される結合としては、エステル、ウレタン、アミド、シロキサン、エーテル、アゾ、スルフィド、ジスルフィド、二級アミン、三級アミン、イミン、リン酸ジエステル、アセタール、炭素−炭素結合、炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合等が挙げられ、好ましくはウレタン、アミド、シロキサン、エーテル、スルフィド、二級アミン、三級アミン、炭素−炭素結合であり、更に好ましくはシロキサン、炭素−炭素結合である。
上記官能基を有する前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物を例示すると、メルカプト基を有する(i)の化合物としては、3−アミノプロパンチオール、1,6−ヘキサンジチオール等が挙げられ、メルカプト基を有する(ii)の化合物としては、2−(2−メルカプトエチル)イミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メルカプト−1,2,3−トリアゾール、5−メルカプト−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−メルカプト−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、カルボキシル基を有する(i)の化合物としては、グリシン、3−アミノプロピオン酸、ω−メルカプトヘキサデカン酸等が挙げられ、カルボキシル基を有する(ii)の化合物としては、2−(2−カルボキシルエチル)イミダゾール、5−(2−カルボキシルエチル)ベンゾイミダゾール、2−カルボキシルチアゾール、2−カルボキシルベンゾチアゾール、5−カルボキシル−1,2,3−トリアゾール、5−カルボキシル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシル−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、イソシアネート基を有する(i)の化合物としては、3−アミノプロピルイソシアネート、8−メルカプトオクチルイソシアネート等が挙げられ、イソシアネート基を有する(ii)の化合物としては、2−(2−イソシアン酸エチル)イミダゾール、5−(2−イソシアン酸エチル)ベンゾイミダゾール、4−(2−イソシアン酸エチル)チアゾール、6−(2−イソシアン酸エチル)ベンゾチアゾール、4−(2−イソシアン酸エチル)−1,2,3−トリアゾール、5−(2−イソシアン酸エチル)−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−(2−イソシアン酸エチル)−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、グリシジル基を有する(i)の化合物としては、3−グリシジルオキシプロピルアミン、3−グリシジルオキシプロパンチオール等が挙げられ、グリシジル基を有する(ii)の化合物としては、2−(2−グリシジルオキシプロピル)イミダゾール、5−(2−グリシジルオキシプロピル)ベンゾイミダゾール、4−(2−グリシジルオキシプロピル)ベンゾチアゾール、6−(2−グリシジルオキシプロピル)ベンゾチアゾール、4−(2−グリシジルオキシプロピル)−1,2,3−トリアゾール、5−(2−グリシジルオキシプロピル)−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−(2−グリシジルオキシプロピル)−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、ジアゾニオ基を有する(i)の化合物としては、4−(2−アミノエチル)ベンゼンクロリド、4−(2−メルカプトエチル)ベンゼンクロリド等が挙げられ、ジアゾニオ基を有する(ii)の化合物としては、2−ジアゾニオイミダゾールクロリド、5−ジアゾニオベンゾイミダゾールクロリド、5−ジアゾニオチアゾールクロリド、6−ジアゾニオベンゾチアゾールクロリド、3−ジアゾニオ−1,2,4−トリアゾールクロリド、4−ジアゾニオ−1,2,3−ベンゾトリアゾールクロリド、5−ジアゾニオ−1,10−フェナントロリンクロリド等が挙げられ、アリール基を有する(i)の化合物としては、アニリン、ベンジルアミン、ベンジルチオール等が挙げられ、アリール基を有する(ii)の化合物としては、2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンゾイミダゾール、4−フェニルチアゾール、2−フェニルベンゾチアゾール、3−フェニルトリアゾール、2−フェニルベンゾトリアゾール、4−フェニル−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、ホルミル基を有する(i)の化合物としては、3−アミノプロピオンアルデヒド、6−メルカプトヘキサナール等が挙げられ、ホルミル基を有する(ii)の化合物としては、2−(2−ホルミルエチル)イミダゾール、5−(2−ホルミルエチル)ベンゾイミダゾール、4−(2−ホルミルエチル)チアゾール、6−(2−ホルミルエチル)ベンゾチアゾール、4−(2−ホルミルエチル)−1,2,3−トリアゾール、5−(2−ホルミルエチル)−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−(2−ホルミルエチル)−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、ビニル基を有する(i)の化合物としては、ビニルアミン、ビニルチオール等が挙げられ、ビニル基を有する(ii)の化合物としては、1−ビニルイミダゾール、5−ビニルオキシベンゾイミダゾール、4−ビニルオキシチアゾール、6−ビニルオキシベンゾチアゾール、4−ビニルオキシ−1,2,3−トリアゾール、5−ビニルオキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4,7−ジ(ビニルオキシ)−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、アリル基を有する(i)の化合物としては、アリルアミン、アリルチオール等が挙げられ、アリル基を有する(ii)の化合物としては、1−アリル−1H−イミダゾール、5−アリルオキシベンゾイミダゾール、4−アリルオキシチアゾール、6−アリルオキシベンゾチアゾール、4−アリルオキシ−1,2,3−トリアゾール、5−アリルオキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4,7−ジ(アリルオキシ)−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、アクリロイル基を有する(i)の化合物としては、アミノエチルアクリレート、2−メルカプトエチルアクリレート等が挙げられ、アクリロイル基を有する(ii)の化合物としては、2−アクリロイル−1H−イミダゾール、2−アクリロイル−1H−ベンゾイミダゾール、2−アクリロイルチアゾール、2−アクリロイルベンゾチアゾール、1−アクリロイル−1H−1,2,4−トリアゾール、3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルアクリレート、5−アクリロキシフェナントロリン等が挙げられ、メタクリロイル基を有する(i)の化合物としては、アミノエチルメタクリレート、2−メルカプトエチルメタクリレート等が挙げられ、メタクリロイル基を有する(ii)の化合物としては、2−メタクリロイル−1H−イミダゾール、2−メタクリロイル−1H−ベンゾイミダゾール、2−メタクリロイルチアゾール、2−メタクリロイルベンゾチアゾール、1−メタクリロイル−1H−1,2,4−トリアゾール、3−(2H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェネチルメタクリレート、5−メタクリロキシフェナントロリン等が挙げられ、エチニル基を有する(i)の化合物としては、3−エチニルアニリン、3−(メルカプトエチル)エチニルベンゼン等が挙げられ、エチニル基を有する(ii)の化合物としては、4−エチニルイミダゾール、5−エチニル−1H−ベンゾイミダゾール、4−エチニルチアゾール、2−エチニルベンゾチアゾール、1−エチニル−1H−トリアゾール、1−エチニル−1H−ベンゾトリアゾール、5−エチニル−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、プロパルギル基を有する(i)の化合物としては、プロパルギルアミン、プロパルギル酸(2−メルカプトエチル)等が挙げられ、プロパルギル基を有する(ii)の化合物としては、1−プロパルギル−1H−イミダゾール、6−プロパルギル−1H−ベンゾイミダゾール、3−プロパルギルチアゾール、6−プロパルギルオキシベンゾチアゾール、1−プロパルギル−1H−1,2,4−トリアゾール、1−プロパルギル−1H−ベンゾトリアゾール、5−プロパルギル−1,10−フェナントロリン等が挙げられ、スクシンイミジル基を有する(i)の化合物としては、4−アミノ酪酸(N−スクシンイミジル)、4−メルカプト酪酸(N−スクシンイミジル)等が挙げられ、スクシンイミジル基を有する(ii)の化合物としては、(1H−イミダゾール−2−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)、(1H−ベンゾイミダゾール−5−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)、(チアゾール−2−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)、(ベンゾチアゾール−6−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)、(1,2,3−トリアゾール−4−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)、(1H−ベンゾトリアゾール−5−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)、(1,10−フェナントロリン−5−イル)酢酸(N−スクシンイミジル)等が挙げられ、マレイミジル基を有する(i)の化合物としては、8−(4−N−マレイミジルフェニル)オクチルアミン、8−(4−N−マレイミジルフェニル)オクタンチオール等が挙げられ、マレイミジル基を有する(ii)の化合物としては、2−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)イミダゾール、5−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)ベンゾイミダゾール、4−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)チアゾール、6−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)ベンゾチアゾール、4−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)−1,2,3−トリアゾール、5−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−(2−(4−N−マレイミジルフェニル)エチル)−1,10−フェナントロリン等が挙げられる。
また、上記官能基を有する前記(i)の化合物としては、N原子及び/またはS原子を含む置換基を有する化合物と、保護層主成分と結合を形成することができる官能基を持つ化合物とが共に保護層に含まれ、それらの化合物の一部もしくは全部が結合することで得られる化合物であってもよい。具体的には、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルが共に含まれ、両化合物のアルコキシシリル基が加水分解と脱水縮合を経て結合し、S原子を含む置換基を有し、かつ、保護層の成分と結合を形成することができる官能基を持つ化合物が形成される例が挙げられる。
上記の化合物が持つ官能基は、後述するように保護層がハードコート層である場合、熱処理、紫外線照射などにより、ハードコート層の成分と容易に反応して結合を形成することができ、製造効率の向上に有利である。
尚、保護層主成分と、前記(i)の化合物又は前記(ii)の化合物との結合形成が行なわれている場合には、後述の積層体製造において必要により設けられる加熱工程、紫外線照射工程等により行なわれる。
3−5.その他の添加物
本発明の保護層には、酸化防止剤、熱安定剤、光吸収剤等の安定剤類;シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、酸化セリウム粒子、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、金属繊維、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料;帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤;モノマー及び/又はそのオリゴマー又は無機成分の合成に必要な硬化剤(酸、アルカリ、水など)、触媒、硬化促進剤類などが含まれていてもよい。
3−6.保護層組成
保護層主成分の含有量は、保護層主成分並びに前記(i)の化合物及び(ii)の化合物の合計に対して、通常、80〜99.999重量%、好ましくは85〜99.995重量%、より好ましくは90〜99.99重量%である。含有量が少なすぎると、強度が劣る傾向となり、多すぎると熱線反射層との密着が不十分となる可能性がある。
また、前記(i)の化合物及び(ii)の化合物の含有量(合計)は、保護層主成分並びに前記(i)の化合物及び(ii)の化合物の合計に対して、通常0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜15重量%、より好ましくは0.01重量%〜10重量%である。ただし、前記(i)の化合物が、高分子の側鎖にN原子及び/又はS原子を含む置換基を有する化合物である場合、及び、保護層主成分と前記(i)の化合物及び/又は前記(ii)の化合物が結合している場合には、保護層の固形分1g中、N原子及び/又はS原子の含有量が好ましくは、0.01〜50mmol、より好ましくは0.1〜30mmol、さらに好ましくは0.3〜20mmolである。含有量が少なすぎると、劣化抑制効果が不十分となる傾向があり、多すぎると保護層が脆弱になる可能性がある。尚、前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物を検出するためには、本発明の熱線反射積層体から保護層を露出させた後、エネルギー分散型蛍光X線分析法(EDX)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、X線光電子分光法(XPS)、元素分析(EA)などを用いることができる。
3−7.ハードコート層のプライマー層
本発明の熱反射積層体がハードコート層を有する場合、ハードコート層に接するプライマー層を設けることで、ハードコート層の密着性、耐擦過性及び耐衝撃性を向上させることもできる。本発明の熱線反射積層体にハードコート層とプライマー層を共に設ける場合には、該保護層がプライマー層であることが好ましい。保護層がプライマー層も兼ねることによって、製造コストを抑制することができる。
プライマー層の成分としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、中でも、アクリル樹脂、メタクリル樹脂を含むことが熱線反射層との密着性を向上させるという観点から好ましい。
尚、保護層をプライマー層とする場合、その線膨張係数は、好ましくは3×10−6/K以上、150×10−6/K以下である。保護層の線膨張係数がこの下限よりも小さいと、ハードコート層硬化時の収縮を緩和できず、密着が十分に得られず、この上限よりも大きいと、高温時に保護層が膨張して、反射層との間に剥離が生じる。線膨張係数は、熱機械分析装置、ディラトメータ測定装置により測定される。
3−8.保護層の厚さ
保護層の厚さは、通常、通常0.1〜200μm、好ましくは、0.5〜150μm、特に好ましくは、1〜100μmである。保護層が厚すぎると保護層による赤外線吸収の影響が大きくなり、積層体の熱線反射性能が低下し、薄すぎると耐擦過性・耐衝撃性の効果を十分に得ることができない場合がある。
なかでも、ハードコート層として用いられる場合の保護層の厚さは、その用途に応じた要求特性や、保護層の構成材料等によっても異なるが、通常0.1〜50μm、好ましくは、0.5〜40μm、特に好ましくは、1〜30μmである。保護層が厚すぎると硬化収縮による内部応力によりはがれやすくなり、薄いと耐擦過性・耐衝撃性の効果を十分に得ることができない場合がある。
また、プライマー層として用いられる場合の保護層の厚さは、ハードコート層の密着性、耐擦過性及び耐衝撃性を向上させるために、通常0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。一方、保護層を、塗布液の塗布乾燥により形成する際の乾燥性に優れるという理由から、通常100μm以下、好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。
4.ハードコート層
本発明の保護層をプライマー層とし、ハードコート層を積層する場合のハードコート層としては、保護層をハードコート層とする場合について上述したハードコート層に用いられる硬化性化合物の硬化物が挙げられる。
尚、本発明において、保護層がハードコート層である場合、及び、保護層がプライマー層であって、さらにハードコート層を有する場合、該ハードコート層は、体積平均粒子径が1nm以上200nm以下の無機化合物粒子を含んでいることが好ましく、特にハードコート層の成分として、アクリル基もしくはメタクリル基を有する化合物の重合生成物が用いられている場合には、無機化合物粒子を含むことにより、ハードコート層の耐擦過性が大きく向上する。体積平均粒子径は、好ましくは、10nm以上100nm以下である。
本発明に好適な無機化合物粒子としては、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、酸化セリウム粒子などが挙げられるが、安価であり、均一な粒径を持つ製品を利用できるという点では、シリカ粒子をコロイド溶液としたものが好ましい。また分散媒を含有しない粉末状の微粒子シリカも好適に使用できる。
これらのシリカ粒子は周知の方法で製造され市販されているものから上記粒径のものを選んで用いることができる。例えば、日産化学株式会社から市販されている商品名スノーテックスO、AK、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、MIBK−ST、PMA−ST、日揮触媒化成社から市販されている商品名Cataloid−SN、OSCAL1432等である。粉末状の微粒子シリカとしては日揮触媒化成社から市販されている商品名OSCAP、シーアイ化成社から市販されている商品名ナノテック等を挙げることができる。
プライマー層上に設けられるハードコート層の厚みは、保護層がハードコート層である場合について上記したものと同様である。
5.熱線反射積層体の製造
本発明の熱線反射積層体の製造は、透明基材上に、熱線反射層、保護層を順次積層することにより行なうことができる。
5−1.熱線反射層の形成
本発明の熱線反射層の形成方法には特に制限はなく、ドライプロセスによる製膜でも塗布液を塗布するなどの湿式製膜法によるものでもよい。ドライ製膜法による場合、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法で金属薄膜を形成し、該膜にバインダーを含む塗布液を塗布・乾燥することで、本発明の熱線反射層を作製することができる。高価な装置を必要とすることがなく簡便に製膜できること、曲面や大型の基材に熱線反射性能を付与できるという観点からは、本発明の熱線反射層の製膜法としては湿式製膜法が特に好ましい。
湿式製膜法による熱線反射層の製膜において、例えば、基材上で硝酸銀、塩化銀などの金属溶液から還元剤溶液により銀を析出させる、いわゆる無電解めっき法により金属薄膜を作製しても良い。
また、後述するような金属微粒子を含む熱反射層形成用塗布液を透明基板に塗布及び熱処理して熱線反射層を形成するのも好ましい。熱線反射層の塗布方法は、特に制限されず、ディップコート法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等、従前知られるいずれの塗工方法によっても塗布することができる。
その後、好ましくは、熱処理工程を行うことにより、熱線の反射特性を向上させることができる。この時の熱処理温度は、通常70〜300℃、好ましくは、100〜200℃、より好ましくは、100〜150℃である。この温度が高すぎると、金属微粒子の融着が進行し過ぎて熱線反射層の耐久性が低下する傾向があり、低すぎると十分な反射特性を得ることが困難な場合がある。
また、熱処理時間は、通常10秒〜6時間、好ましくは、1分〜2時間、より好ましくは1分〜30分間である。熱処理時間が長すぎると生産効率が劣ることとなり、短すぎると反射特性が不十分となる恐れがある。
5−2.熱反射層形成用塗布液
以下に、本発明の熱線反射層を湿式製膜法によって作製する際に好適に用いられる、金属微粒子、バインダー、溶媒及び分散剤などの添加剤を含む熱線反射層形成用塗布液について述べる。以下、単に塗布液との記述は熱線反射層形成用塗布液を指す。
金属の種類、バインダー及び添加剤は上述の熱反射層において説明したものを好適に使用することが出来る。尚、バインダーがアルコキシシラン加水分解物の重合体である場合、熱線反射層形成用塗布液中における重合度は、通常、1〜80、好ましくは、3〜50である。この値が小さすぎると、熱線反射層の製膜性が低下し、大きすぎると十分な熱線反射性能が得られない場合がある。
(金属微粒子)
金属微粒子の平均粒子径は100nm以下、好ましくは、1〜50nm、さらに好ましくは2〜50nmである。平均粒子径が大きすぎると形成される金属薄膜の金属光沢が強くなり、さらに金属微粒子による光の散乱に起因する白濁が外観に見られるようになる場合がある。金属微粒子の平均粒子径が小さすぎると、金属微粒子が凝集しやすく、塗布液の安定性が得にくい場合がある。上記の範囲の粒子径であれば、好適な熱線反射層の外観と微粒子の分散安定性を共に得ることができる。
金属微粒子の粒子径の測定は、動的光散乱測定による平均粒子径測定であってもよいし、走査型電子顕微鏡、または透過型電子顕微鏡による直接観測によって測定される平均粒子径であってもよい。本発明においては、測定された金属微粒子の粒子径の50点の平均値を平均粒子径とする。
金属微粒子は、異なる金属種のものを2種以上用いてもよく、また、平均粒子径の異なる金属微粒子を混合して用いてもよい。
(溶媒)
上記熱線反射層形成用塗布液の溶媒としては、水との混合液における重量比率が5〜95%の範囲のいずれかの混合比率において、常温常圧で均一な溶液を形成できるものが好ましい。
このような溶媒を塗布液の分散媒として用いることで、金属微粒子の分散安定性を
向上させ、塗膜における凝集物の発生を抑制する効果やバインダーの塗布液中における溶解性を向上させる効果が得られ、塗布液の保存安定性、基材への塗布性が向上する。
かかる極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で使用してもよいが、2種以上を混合して使用し、その
内の1種が水であることが好ましい。塗布液が水を含有することで、該金属微粒子の分散性向上効果、形成される塗膜の凝集物抑制効果が得られる。
(分散剤)
上記熱線反射層形成用塗布液には分散剤が含まれていることが好ましい。分散剤とは、金属微粒子表面に親和性を持ち、かつ、金属微粒子の分散安定性を向上させる機能を持った化合物である。分散剤は塗布液に加えられているだけでなく、金属微粒子表面を被覆していてもよい。
分散剤としては、酢酸、酪酸等の1価のカルボン酸類或いは2価以上の多価カル
ボン酸類、アニリン及びその誘導体、メルカプト酢酸等の酸チオール類、メチルメルカプタン等の脂肪族チオール類、シクロヘキシルチオール等の脂環式チオール類、チオフェノール等の芳香族チオール類等のチオール類、チオジエチレングリコール等のチオグリコール類、チオホルムアミド等のチオアミド類、ジチオール類、チオン類、ポリチオール類、チオ炭酸類、チオ尿素類、硫化水素等の硫黄化合物及びそれらの誘導体等が挙げられる。
これらの中でも特に、多価カルボン酸及び/又はその誘導体が塗布液に加えられていることが望ましい。多価カルボン酸及び/又はその誘導体としては例えば、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸、Lーグルタミン酸、Lーアスコルビン酸等及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、エステル化合物、アミド化合物が挙げられる。これらの化合物は1分子の中に電荷を多く持ち得るために、金属微粒子の分散安定性に対する寄与が大きく、さらに好適な還元性を持つために、塗布液を基材に塗布した後の焼成過程において、金属微粒子の融着を促進させることができる。
これらの分散剤は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
上記分散剤の含有量は塗布液中の金属微粒子に対し、好ましくは0.0001〜50重量%、より好ましくは0.001〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。分散剤の量が少な過ぎると金属微粒子に対する分散剤の量が不十分となり、金属微粒子が凝集しやすい傾向にあり、塗布液の安定性が得にくい場合がある。分散剤量が多過ぎると金属微粒子の融着を阻害し、得られる熱線反射層の反射性能が低下する場合がある。
(反射層塗布液の組成)
上記熱線反射層形成用塗布液における金属、バインダーの比率は上述の反射層での記述と同じであるが、さらに添加剤を加えた固形分(ここで、固形分とは、塗布液中の溶媒を除く、全成分の合計をさす)の濃度は、30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下である。
固形分の濃度が高いと、塗布液中の各成分の相互作用が大きくなり、塗布液を長期保存する際に沈殿が生じる可能性が高くなる。一方、塗布の効率等の点から、通常、0.1重量%以上、好ましくは、0.5重量%以上である。
5−3.保護層の形成
本発明の保護層の形成方法には特に制限はなく、ドライ製膜法によるものでも塗布液を塗布するなどの湿式製膜法によるものでもよい。
(ドライ製膜法)
ドライ製膜法による場合には、例えば、本発明の熱線反射層を作製した後、上記(i)の化合物及び/又は上記(ii)の化合物を含む溶液を塗布・乾燥させた後、真空蒸着法、スパッタリング法や化学気相蒸着法で、金属酸化物などによる保護層を形成させる方法がある。
(湿式製膜法)
高価な装置を必要とすることがなく簡便に製膜できること、曲面や大型の基材に熱線反射性能を付与できること、さらに本発明の熱線反射層の製膜法として湿式製膜法が好適であり、熱線反射層の製膜と共通の設備を用いて連続的に実施できることから湿式製膜法が特に好ましい。
湿式製膜法については特に制限されず、例えば、後述の保護層形成用溶液をディップコート法、フローコート法、スプレー法、スピンコート法、バーコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等、従前知られるいずれの塗工方法によっても塗布することができる。
保護層形成用溶液を塗布後、通常、乾燥することで保護層を形成するが、特に、保護層形成用溶液が硬化性化合物を含み、これを硬化することで保護層をハードコート層とする場合には、硬化性化合物の種類に応じて、乾燥後、常法に準じて、例えば、70℃〜200℃で、1分〜3時間加熱するか、例えば、100mJ/m〜5000J/mのエネルギーで紫外線照射することによりハードコート層を形成する。
5−4.保護層形成用組成物(以下、保護層形成用溶液と称することがある)
本発明の保護層を湿式製膜法によって形成するための保護層形成用溶液の一形態として、溶媒の少なくとも一つの成分が沸点75℃以上であり、硬化性化合物及び前記(i)の化合物及び/又は前記(ii)の化合物を含む組成物(溶液)が挙げられる。
上記保護層形成用溶液の溶媒の少なくとも一つの成分は、沸点が75℃以上であることが好ましく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。上記下限より沸点が低いと、湿式製膜時に溶媒の揮発が速く、塗膜の平坦性が失われる可能性があり、上記上限より高いと、塗膜の乾燥に時間がかかってしまう可能性がある。
かかる溶媒として具体的には、水、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジアセトンアルコール、キシレン、エチルベンゼン、アニソールなどが挙げられる。
全溶媒中、沸点が75℃以上の溶媒の割合は5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。他の溶媒としては、メタノール、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
上記保護層形成用溶液に含まれる硬化性化合物としては、保護層がハードコート層である場合において例示したような硬化性化合物が好適に用いられるが、溶液の保存安定性、保護層の塗布・硬化工程の効率を向上させるという観点からは、硬化性成分として、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物を含むことが好ましい。
上記保護層形成用溶液に含まれる、前記(i)の化合物及び/又は前記(ii)の化合物としては、前述したものが好適に用いられる。好ましくは、メルカプト基を有するシランカップリング剤、具体的には、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランである。また、上記硬化性成分として、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物を含んでいる場合、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有し、かつメルカプト基を有する化合物が好ましい。
上記保護層形成用溶液には、上記成分以外の添加物が含まれていてもよく、具体的には、前述した保護層の添加物が好適に用いられる。上記硬化性化合物として、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物を含んでいる場合、耐擦過性向上の観点からは、無機化合物粒子を、形成される熱線反射保護層の密着性向上の観点からは、上記硬化性化合物とは別にアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい。具体的には、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、アクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3−(トリエトキシシリル)プロピル等の、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤が挙げられる。
上記保護層形成用溶液の固形分の含有量は、硬化性化合物については前述した保護層主成分の含有量に準じ、前記(i)の化合物、及び、前記(ii)の化合物については、前述の含有量に準ずる。又、無機化合物粒子を含有する場合、その含有量は、通常、硬化性化合物、前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物の合計に対して、0.001〜50重量%、好ましくは0.005〜30重量%、より好ましくは0.01重量%〜20重量%である。アクリル基及び/又はメタクリル基を有するシランカップリング剤を含む場合、その含有量は、通常、硬化性化合物、前記(i)の化合物及び前記(ii)の化合物の合計に対して、0.002〜20重量%、好ましくは0.005〜15重量%、より好ましくは0.01重量%〜10重量%である。
上記保護層形成用溶液の固形分濃度は、湿式製膜法において用いる塗工方法に応じて適切な濃度が選択されるが、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.3〜60重量%、さらに好ましくは0.5〜50重量%である。濃度が小さすぎると、湿式製膜法によって十分な膜厚の保護層を形成できない恐れがあり、大すぎると保護層形成用溶液が不安定になり、不溶成分の析出などが生じる場合がある。
なお、上記保護層形成用溶液は、真空蒸着法やスパッタリング法などのドライ製膜法により基板上に作製された金属薄膜を用いる熱線反射層にも適用することが可能であり、前期(i)の化合物及び/又は前記(ii)の化合物を含有する保護層は、負荷の大きな腐食性環境化における金属薄膜の外観の劣化を抑制する。
6.熱線反射積層体の性能
本発明の熱線反射積層体の光学特性は、熱線反射層側を含む面より測定した分光反射率を用いて、JIS R3106記載の方法に従って計算された日射反射率が通常5〜80%、好ましくは、7〜70%、さらに好ましくは、10〜60%である。上記上限値以上である場合、可視光領域の反射が強くなりすぎ、ギラツキ感がまし、そのため外観を損なう恐れがある。また上記下限値以下の場合、遮熱特性が十分ではなくなる恐れがある。
本発明の積層体は、端面などから熱線反射層に電極を取り付け、通電して発熱させることにより、デフロスターとして機能してもよい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、熱線反射積層体の評価は以下の方法で行った。
[湿熱耐久試験]
評価試料を環境試験機(SH−241、エスペック株式会社製)の試験槽内に設置し、85℃、95%RHの環境条件に45時間静置した後、以下の反射層の外観劣化評価を行った。
<反射層の外観劣化評価>
評価試料を肉眼で観察し、端面に白色部分が生じているなどの外観上の劣化が生じている場合には「×」、外観に変化が生じていない場合には「○」として評価した。
[密着性試験]
試料の被評価箇所に、ガイド(スーパーカッターガイド, 太佑機材)を用いて、カッターによって縦横11本ずつの交差する切込みを1mm間隔で入れ、切込みの上にセロハンテープ(セロテープ(登録商標) No.405−1P、ニチバン, JIS Z−1522に適合)を貼り付けた後、テープの端を60°程度の角度をつけて持ちながら、一気に引き離した。テープの貼りはがしを5回繰り返した。被評価箇所を観察し、剥離が見られる試料は「×」、剥離が見られない試料は「○」として評価した。
[テーバー磨耗試験]
試料をテーバー磨耗試験機(東洋精機製作所)に取り付け、磨耗輪CS−10F(XX)によってテーバー磨耗試験を行った。荷重は500g、回転数は100とした。試験後、試料を観察し、試料表面が磨耗して熱線反射層の剥離が確認される試料は「×」、確認されない試料は「○」として評価した。
[実施例1]
<熱線反射層塗布液1の調製>
メタノール(純正化学株式会社製)13.4重量部にシリケートMSEP2(三菱化学株式会社製)8.5重量部、脱塩水1.5重量部を加えてMSEP2溶液を調製した。この溶液4重量部に対して、銀コロイド水溶液(動的光散乱法で評価された銀微粒子の平均粒子径21.2nm、固形分濃度10.6重量%、pH=5.1)を120重量部、PGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル:和光純薬工業株式会社製)を156重量部加えて混合し、熱線反射層塗布液1を調製した。
<保護層形成用塗布液1の調製>
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(東京化成工業株式会社製)0.06重量部をメタノール(純正化学株式会社製)13.4重量部に溶解した後、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)8.5重量部、脱塩水1.5重量部を加え、60℃で30分間攪拌した。得られた溶液2重量部に熱硬化型ハードコート液トスガード510(モメンティブ・マテリアルズ・パフォーマンス・ジャパン合同会社製、成分としてシラノール基を有するポリアルキルシロキサンを含む、固形分濃度21重量%)70重量部を加え、保護層形成用塗布液1を得た。
<熱線反射積層体1の作製>
熱線反射層塗布液1をガラス基板(基板サイズ10cm×10cm、厚み3mm)に約2mL滴下し、500rpm、30秒の条件でスピンコーター(ミカサ株式会社製「1H−D7」)により塗布した後、温風を吹き付けて乾燥させた。その後、150℃の定温乾燥器(アズワン株式会社製「DO−450FPA」)内で30分間加熱して熱線反射層を作製した。さらに、保護層形成用塗布液1を約2mL滴下し、300rpm、30秒の条件でスピンコーターにより塗布し、温風を吹き付けて乾燥させた後、120℃の定温乾燥器内で10分間加熱処理して、熱線反射積層体1を作製した。
[実施例2]
<保護層形成用塗布液2の調製>
3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの代わりに、3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いたこと以外は、保護層形成用塗布液1の調製と同様の操作を行って、保護層形成用塗布液2を得た。
<熱線反射積層体2の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液2を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体2を得た。
[実施例3]
<熱線反射層塗布液3の調製>
MSEP2溶液4重量部の代わりに、ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製「PVA117」の溶液、固形分濃度1重量%)を40重量部、PGMを120重量部用いたこと以外は、熱線反射層塗布液1の調製と同様の操作を行って、熱線反射層塗布液3を調製した。
<熱線反射積層体3の作製>
熱線反射層塗布液1の代わりに、熱線反射層塗布液3を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体3を得た。
[実施例4]
<保護層形成用塗布液4の調製>
トスガード510(18重量部)に、保護層形成用塗布液1(2重量部)を混合し、保護層形成用塗布液4を得た。
<熱線反射積層体4の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液4を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体4を得た。
[実施例5]
<保護層形成用塗布液5の調製>
トスガード510(99重量部)に、1−ドデカンチオール(東京化成工業株式会社製、1重量部)を混合し、保護層形成用塗布液5を得た。
<熱線反射積層体5の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液5を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体5を得た。
[実施例6]
<保護層形成用塗布液6の調製>
トスガード510(57重量部)に、20重量%の1,2,3−ベンゾトリアゾール溶液(東京化成工業株式会社製、溶媒:PGM、3重量部)を混合し、保護層形成用塗布液6を得た。
<熱線反射積層体6の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液6を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体6を得た。
[実施例7]
<保護層形成用塗布液7の調製>
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(東京化成工業株式会社製)0.03重量部をメタノール(純正化学株式会社製)7.5重量部に溶解した後、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)10重量部、脱塩水2.5重量部を加え、60℃で30分間攪拌した。得られた溶液0.4重量部に、アクリル樹脂プライマーPH−91(モメンティブ・マテリアルズ・パフォーマンス・ジャパン合同会社製、固形分濃度4.0重量%)99.6重量部)を加え、保護層形成用塗布液7を得た。
<熱線反射積層体7の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液7を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体7を得た。
[実施例8]
<熱線反射層塗布液8の調製>
ポリビニルアルコール溶液の代わりに、部分ベンジル化ポリビニルアルコール(積水化学工業株式会社製「エスレックKX−1」、疎水基としてフェニル基を持つ)をIPA(2−プロパノール:純正化学株式会社製)と脱塩水の混合液(重量比 IPA:脱塩水=4:6)に溶解して調製した、固形分濃度1重量%の溶液を用いたこと以外は、熱線反射層塗布液3の調製と同様の操作を行って、熱線反射層塗布液8を調製した。
<熱線反射積層体8の作製>
熱線反射層塗布液8をポリカーボネート基板(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロン・シートNF−2000U」、基板サイズ5cm×5cm、厚み3mm)に約1mL滴下し、500rpm、30秒の条件でスピンコーターにより塗布した後、温風を吹き付けて乾燥させた。その後、120℃の定温乾燥器内で60分間加熱して熱線反射層を作製した。さらに、保護層形成用塗布液1を約1mL滴下し、300rpm、30秒の条件でスピンコーターにより塗布し、温風を吹き付けて乾燥させた後、120℃の定温乾燥器内で10分間加熱処理して、熱線反射積層体8を作製した。
[実施例9]
<熱線反射積層体9の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液2を用いたこと以外は、熱線反射積層体8の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体9を得た。
[実施例10]
<熱線反射積層体10の作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、保護層形成用塗布液7を用いたこと以外は、熱線反射積層体8の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体を作製し、保護層の上層にトスガード510を約1mL滴下し、300rpm、30秒の条件でスピンコーターにより塗布し、温風を吹き付けて乾燥させた後、120℃の定温乾燥器内で10分間加熱処理して、熱線反射積層体10を作製した。
[比較例1]
<熱線反射積層体Aの作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、トスガード510を用いたこと以外は、熱線反射積層体1の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体Aを得た。
[比較例2]
<熱線反射積層体Bの作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、トスガード510を用いたこと以外は、熱線反射積層体3の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体Bを得た。
[比較例3]
<熱線反射積層体Cの作製>
保護層形成用塗布液7の代わりに、PH−91を用いたこと以外は、熱線反射積層体7の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体Cを得た。
[比較例4]
<熱線反射積層体Dの作製>
保護層形成用塗布液1の代わりに、トスガード510を用いたこと以外は、熱線反射積層体8の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体Dを得た。
[比較例5]
<熱線反射積層体Eの作製>
保護層形成用塗布液7の代わりに、PH−91を用いたこと以外は、熱線反射積層体10の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体Eを得た。
Figure 2011224875
実施例1と比較例1から、保護層(ハードコート層)がメルカプト基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有することで、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例2と比較例1から、保護層(ハードコート層)が、アミノ基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有することで、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例1及び実施例3と比較例2から、保護層(ハードコート層)にメルカプト基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有することで、熱線反射層のバインダーによらず、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例4から、保護層(ハードコート層)に含有されるメルカプト基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物が0.2重量%であっても、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例5と比較例1から、保護層(ハードコート層)にチオール基を持つ化合物を含有することで、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例6と比較例1から、保護層(ハードコート層)にN原子を含む複素環式化合物を含有することで、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例7と比較例3から、保護層(ハードコート層でない)にメルカプト基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有することで、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例1及び実施例8と比較例4から、保護層(ハードコート層)にメルカプト基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有することで、基板によらず、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例2及び実施例9と比較例4から、保護層(ハードコート層)に、アミノ基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有することで、基板によらず、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例10と比較例5から、保護層(ハードコート層のプライマー層)にメルカプト基とシラノール基もしくはその前駆体を持つ化合物を含有し、更にハードコート層を有することで、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
[実施例11]
<保護層形成用塗布液11の調製>
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(東京化成工業株式会社製)0.03重量部をメタノール(純正化学株式会社製)7.5重量部に溶解した後、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)10重量部、脱塩水2.5重量部を加え、60℃で30分間攪拌し、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの加水分解物溶液を得た。得られた溶液1重量部に紫外線硬化型ハードコート液AY42−150(東レダウコーニング社製、成分として、多官能性アクリレート、シリカ粒子を含む、固形分36重量%)49重量部を加え、保護層形成用塗布液11を得た。
<熱線反射積層体11の作製>
熱線反射層塗布液2をポリカーボネート基板(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロン・シートNF−2000U」、基板サイズ10cm×10cm、厚み3mm)に約2mL滴下し、500rpm、30秒の条件でスピンコーターにより塗布した後、温風を吹き付けて乾燥させた。その後、120℃の定温乾燥器内で60分間加熱して熱線反射層を作製した。さらに、保護層形成用塗布液7を約2mL滴下し、300rpm、30秒の条件でスピンコーターにより塗布し、温風を吹き付け、さらに80℃の定温乾燥器内で2分間加熱処理して乾燥させた後、紫外線照射装置(LH6/LC−6BUVコンベアシステム:フュージョンUVシステムズ社製Dバルブ使用)を用いて積算照射量が1J/cm2となるように紫外線を照射し、さらに、120℃の定温乾燥器内で10分間加熱処理して、熱線反射積層体11を作製した。
[実施例12]
<保護層形成用塗布液12の調製>
トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)(東京化成工業株式会社製)0.03重量部をメタノール(純正化学株式会社製)7.5重量部に溶解した後、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製)10重量部、脱塩水2.5重量部を加え、60℃で30分間攪拌し、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの加水分解物溶液を得た。一方、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの代わりにアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルを用いて同様の操作を行い、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルの加水分解物溶液を得た。得られた溶液をそれぞれ3重量部ずつ、144重量部のAY42−150に加えて保護層形成用塗布液12を得た。
<熱線反射積層体12の作製>
保護層形成用塗布液11の代わりに、保護層形成用塗布液12を用いたこと以外は、熱線反射積層体11の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体12を得た。
[比較例6]
<熱線反射積層体Fの作製>
保護層形成用塗布液11の代わりに、AY42−150を用いたこと以外は、熱線反射積層体11の作製と同様の操作を行って、熱線反射積層体Fを得た。
Figure 2011224875
実施例11と比較例6から、アクリル基を有する化合物とシリカ粒子を含む耐擦過性の高いハードコート層に3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの加水分解処理化合物を添加することで、保護層と熱線反射層の密着性が向上し、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
実施例12と比較例6から、アクリル基を有する化合物とシリカ粒子を含む耐擦過性の高いハードコート層に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びアクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルの加水分解処理化合物を添加することで、保護層と熱線反射層の密着性が向上し、熱線反射層の湿熱負荷による外観劣化を抑制できることが分かる。
以上の結果より、本発明の前記(i)及び/又は(ii)の化合物を含有する保護層を熱線反射層に接するように配した熱線反射積層体は耐久性が高く、負荷の大きな腐食性環境化においても外観の劣化が著しく抑制されると言える。

Claims (14)

  1. 透明基材上に、熱線反射層及び該熱線反射層に接する保護層を有する積層体において、該熱線反射層はバインダー及び金属を含有し、かつ該保護層が下記(i)及び/又は(ii)を含有することを特徴とする熱線反射積層体。
    (i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物
    (ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
  2. N原子及び/又はS原子を含む置換基が、アミノ基又はメルカプト基である請求項1に記載の熱線反射積層体。
  3. 保護層が有機高分子及び/又は無機化合物を含有し、N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物、並びに、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物が、該有機高分子及び/又は無機化合物と結合形成能のある官能基を有し、該官能基の少なくとも一部が該有機高分子及び/又は無機化合物と結合していることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱線反射積層体。
  4. 結合形成能のある官能基が、シラノール基又はその前駆体であることを特徴とする請求項3に記載の熱線反射積層体。
  5. 保護層が(i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する有機化合物を含有し、該有機化合物がメルカプト基含有化合物であり、結合形成能のある官能基がシラノール基又はその前駆体であることを特徴とする請求項3に記載の熱線反射積層体。
  6. メルカプト基含有化合物が、炭素数2〜4のアルキル基の末端にメルカプト基を有し、炭素数1〜2のアルコキシ基を有するメルカプトアルキルアルコキシシラン及び/又はその加水分解物であることを特徴とする請求項5に記載の熱線反射積層体。
  7. 保護層が、骨格がシロキサン結合を含むポリマーを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱線反射積層体。
  8. 保護層が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の重合生成物を含むハードコート層であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の熱線反射積層体。
  9. 前記ハードコート層が、体積平均粒径1nm以上、200nm以下の無機化合物粒子を含むことを特徴とする請求項8に記載の積層体。
  10. 熱線反射層に含まれる金属が、銀又は銀を主成分とする合金であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の熱線反射積層体。
  11. 硬化性化合物及び溶媒を含有する熱線反射積層体の熱線反射層保護層形成用組成物であって、溶媒が沸点75℃以上の溶媒を含み、下記(i)及び/又は(ii)を含有することを特徴とする熱線反射層保護層形成用組成物。
    (i)N原子及び/又はS原子を含む置換基を有する化合物
    (ii)環構造中に、N原子及び/又はS原子を含む複素環式化合物
  12. 硬化性化合物として、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物を含み、前記(i)及び/又は(ii)の化合物として、メルカプト基を有するシランカップリング剤及び/又はその加水分解物を含むことを特徴とする請求項11の熱線反射層保護層形成用組成物。
  13. 無機化合物粒子を含むことを特徴とする請求項12に記載の熱線反射層保護層形成用組成物。
  14. 更に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の熱線反射層保護層形成用組成物。
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