JPH092661A

JPH092661A - 転回装置

Info

Publication number: JPH092661A
Application number: JP18075895A
Authority: JP
Inventors: Yoshikazu Kitayama; 好和北山; Munenari Ogawa; 宗成小川
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1995-06-23
Filing date: 1995-06-23
Publication date: 1997-01-07

Abstract

(57)【要約】【目的】比較的周辺設備への制約がなく、装置の構造
が比較的簡単で、長尺材料の搬送路の一体構造が取り易
く、長尺材料の反転方向や反転角度の自由度が大きな転
回装置を提供する。【構成】搬送路１５上の長尺材料１１を挿通可能に配
置された複数本の可撓性の転回材料２７と、転回材料２
７を上昇させて、挿通された長尺材料１１を吊り上げ可
能な複数の第１の昇降手段２１Ａ、２１Ｂと、転回材料
２７を回転させて、吊り上げられた長尺材料１１を所定
角度だけ回転させる複数の第１の回転手段Ｍ１Ａ、Ｍ１
Ｂと、複数の第１の昇降手段２１Ａ、２１Ｂおよび複数
の第１の回転手段Ｍ１Ａ、Ｍ１Ｂを各々同期制御させる
第１の制御装置３８とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、転回装置に係り、更に
詳しくは、例えばブルーム、ビレット、形鋼などの長尺
材料を回転させる転回装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】連鋳工程で製造されたブルーム、ビレッ
トなどの長尺な鋼片（鋳片）は、冷却後に疵取りなど精
整されて、加熱炉による再加熱のうえ圧延機により圧延
される。これらのブルームやビレットは、製造された時
点において多少湾曲しており、そのまま加熱炉に搬入す
ると横向きに湾曲している分だけ本数が入らなかった
り、また湾曲によりこれらの鋼片の先端が加熱炉の内壁
に当接して炉内搬送に支障をきたす虞れがあった。そこ
で従来、これを解消する手段として、これらの鋼片を転
回装置により左右の何れかの方向に９０°または１８０
°回転させて、それぞれの湾曲方向を上向きに揃える方
法が採用されている。

【０００３】従来の転回装置としては、例えば実公平４
−２７８６１号公報の「反転装置」や実公平５−４４３
３３号公報の「形鋼反転装置」などが知られている。前
者は、上流より搬送されてきたブルームやビレットなど
を、複数のＬ字形のキッカにより受け止め、キッカが取
り付けられた台車を下流へ移動させながら、油圧シリン
ダにより各キッカを同期回転させることにより、ブルー
ムやビレットを効率良く９０°回転させて下流へ送り出
すものである。また、後者は、スライダにより傾斜スラ
イドカムがガイドローラ上を走行することにより、一対
のクランプ爪が起倒フレーム上に突出して形鋼をクラン
プし、起倒フレームが水平支軸回りに回動して起立状態
となって形鋼を９０度反転させるものであり、これによ
り装置の小型化が図れ、形鋼載置面上方への大きな突出
部がなく、形鋼を確実に９０度反転できる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
従来手段では、このように比較的大型でコストのかかる
台車を下流へ移動させながら、各キッカを同期回転させ
てブルームやビレットなどを９０度回転させるので、周
辺設備との取り合いや制約が生じるという問題点があっ
た。また、後者の従来手段では、明細書に添付された図
１〜３から明らかなように、装置の構造が複雑であり、
また起倒フレームを含めた装置全体がローラーテーブル
内に配備されるので、ローラーテーブルの一体構造が取
れない設計上の問題点があった。さらに、両者の従来手
段に共通する事項として、反転方向は一方向だけである
と共に、反転角度は９０°に限定されており、それぞれ
反転方向や反転角度の自由度に乏しいという問題点があ
った。

【０００５】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、比較的周辺設備への制約がなく、装置の構造が比較
的簡単で、長尺材料の搬送路の一体構造が取り易く、長
尺材料の反転方向や反転角度の自由度が大きいと共に同
位置での転回を行なう転回装置を提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載の転回装置は、搬送路上の長尺材料を挿通可能に配
置された複数本の可撓性の転回部材と、該転回部材を上
昇させて、挿通された前記長尺材料を吊り上げ可能な複
数の第１の昇降手段と、前記転回部材を回転させて、吊
り上げられた前記長尺材料を所定角度だけ回転させる複
数の第１の回転手段と、前記複数の第１の昇降手段およ
び前記複数の第１の回転手段を各々同期制御させる第１
の制御装置とを備えるものとした。

【０００７】請求項２記載の転回装置は、請求項１記載
の転回装置において、前記転回部材が、前記長尺材料の
下面の幅と略同じ長さの転回リンクを有する転回チェー
ンであるようにした。

【０００８】請求項３記載の転回装置は、請求項１記載
の転回装置において、前記転回部材が、前記長尺材料の
下面の幅より短いリングを連結したリングチェーンまた
はベルトであるようにした。

【０００９】請求項４記載の転回装置は、搬送路上の長
尺材料が挿通可能に配置されて、前記長尺材料の複数の
支持手段が設けられた環状回転体と、該環状回転体を上
昇させて、前記搬送路上の長尺材料を吊り上げ可能な複
数の第２の昇降手段と、前記環状回転体を回転させて、
吊り上げられた前記長尺材料を所定角度だけ回転させる
複数の第２の回転手段と、前記複数の第２の昇降手段お
よび前記複数の第２の回転手段をそれぞれ同期制御させ
る第２の制御装置とを備えるものとした。

【００１０】

【作用】請求項１〜３記載の転回装置においては、搬送
路上を搬送されてきた長尺材料が可撓性の転回部材内に
挿通されると、第１の制御装置から複数の第１の昇降手
段に一括して作動指令が出されて転回部材が上昇される
ことにより、長尺材料が所定高さまで吊り上げられ、次
いで第１の制御装置から複数の第１の回転手段に一括し
て出された作動指令により、長尺材料の特定の側面が所
定方向に向くまで、それぞれの転回部材がその吊り上げ
位置で回転される。その後、第１の昇降手段により転回
部材を下降させることにより、長尺材料が搬送路上に戻
される。従って、長尺材料の反転方向や反転角度の自由
度が大きい。

【００１１】特に、請求項２記載の転回装置において
は、長尺材料が、長尺材料の下面の幅と略同じ長さの複
数の転回リンク上に載置されているので、この載置され
ている転回リンクの次の転回リンクが、長尺材料の下面
を支えるリンクになるまで各転回チェーンを一括して右
または左方向へ回転させれば、例えば長尺材料がその吊
り上げ位置で９０°回転するので、長尺材料の特定の側
面を所定方向へ向ける制御がし易い。さらに、次の転回
リンクが長尺材料の下面を支えるリンクとなるまで、複
数の第１の回転手段を介して、転回チェーンを同方向へ
回転させることにより、長尺材料がその場で１８０°回
転する。同様にして長尺材料を３６０°回転させること
もできる。

【００１２】また、請求項３記載の転回装置において
は、転回部材が、長尺材料の下面の幅より短いリングを
連結したリングチェーンか、ベルトであるので、寸法の
異なる長尺材料を取り扱う場合でも、その特定の側面が
所定方向へ向く分だけ、第１の回転手段によりリングチ
ェーンまたはベルトを回転させればよいので、適用でき
る長尺材料の品種が多くなる。

【００１３】請求項４記載の転回装置においては、長尺
材料が搬送路上を搬送されて、それぞれの環状回転体内
に配置されると、第２の制御装置から複数の支持手段に
一括して作動指令が出されて、長尺材料は各環状回転体
の複数の支持手段により支持されるので、寸法の異なる
長尺材料にも対応できる。次いで、第２の制御装置から
複数の第２の昇降手段に一括して作動指令が出されて、
環状回転体が上昇されることにより長尺材料が所定高さ
まで上昇され、それから複数の第２の回転手段により環
状回転体が右または左方向へ回転されて、支持された長
尺材料がその場で所定角度だけ回転する。その後、複数
の第２の昇降手段により環状回転体を下降させことによ
り、長尺材料が搬送路上に戻される。

【００１４】

【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここで、長尺材料の搬送方向をＸ方向、それに直交
する方向をＹ方向、高さ方向をＺ方向とする。また、長
尺材料の搬送方向に向かって左側をＡ側、右側をＢ側と
する。ここに、図１は本発明の第１の実施例に係る転回
装置の正面図、図２は加熱炉へのブルーム搬入系を示す
概略平面図、図３は同側面図、図４は架台の上部平面
図、図５は図１のＳ５−Ｓ５拡大断面図、図６は同制御
系のブロック図、図７（ａ）はブルームのローラーテー
ブル載置状態を示す概略正面図、図７（ｂ）はブルーム
の吊り上げ状態を示す概略正面図、図７（ｃ）はブルー
ムの回転途中状態を示す概略正面図、図７（ｄ）はブル
ームの９０°回転状態を示す概略正面図、図７（ｅ）は
回転されたブルームの下降終了状態を示す概略正面図、
図７（ｆ）はブルームの待機状態を示す概略正面図、図
８は他の転回部材の使用状態を示す拡大正面図、図９は
さらに他の転回部材の使用状態を示す拡大正面図、図１
０は同全体斜視図、図１１は本発明の第２の実施例に係
る転回装置の正面図、図１２は同側面図、図１３は同要
部拡大断面図、図１４は同要部拡大側面図、図１５は同
制御系のブロック図である。

【００１５】まず、図１〜１０に基づいて、本発明の第
１の実施例に係る転回装置を説明する。図２に示すよう
に、本発明の第１の実施例に係る転回装置１０は、長尺
材料の一例であるブルーム１１を圧延するために加熱す
る加熱炉１２の入側コンベア群１３に配置されている。
入側コンベア群１３は、Ｘ方向に長い第１のローラーテ
ーブル１４と、搬送路の一例である第２のローラーテー
ブル１５とからなり、転回装置１０は、第２のローラー
テーブル１５の上流側と下流側とに一対配置された転回
ユニット１００を有している。なお、第２のローラーテ
ーブル１５の下流は、加熱炉１２の炉内コンベア１６に
接続されている。以下、図１、３〜６を参照してこれら
の転回ユニット１００を詳細に説明する。上、下流側の
転回ユニット１００の構造が同じであるため、ここでは
上流側の転回ユニット１００を例にする。

【００１６】図１、３に示すように、転回ユニット１０
０は、第２のローラーテーブル１５を跨ぐように設けら
れた４本脚の架台１７を有しており、架台１７の上部外
縁には手摺１８および梯子１９付きの作業床２０が設け
られている。架台１７の上方には、架台１７の上部中央
に取り付けられた第１の昇降手段の一例であるＺ方向へ
延びる油圧シリンダ２１Ａ（下流側の転回ユニット１０
０用は２１Ｂ）により昇降される昇降台２２が配置され
ており、昇降台２２の四隅の裏面から下方へ延びる４本
のスライドロッド２１ｂが、架台１７の上部の四隅に配
設されたスライドリング２１ｃに遊挿されている。油圧
シリンダ２１Ａのロッド２１ａを出し入れさせることに
より、スライドリング２１ｃにスライドロッド２１ｂが
ガイドされながら昇降台２２が昇降する。

【００１７】昇降台２２の中央部上には、両端部付近に
スプロケット２３が固着された回転軸２４が、一対の軸
受２５を介して取り付けられており、また昇降台２２の
両側面の両端部には、アイドル用のスプロケット２６が
軸着されている。この昇降台２２の両側部において、Ｘ
方向に向かって三角配置された各スプロケット２３、２
６、２６に上部が掛け渡された状態で、第２のローラー
テーブル１５上のブルーム１１を挿通可能に配置された
可撓性の転回部材の一例である転回チェーン２７がＺ方
向に垂下されている。転回チェーン２７は、その下部
に、断面正方形のブルーム１１の下面の幅と略同じ長さ
の７対の大きな転回リンク２８を有するチェーンであ
り、一端側から数えて中間の４対目の転回リンク２８が
水平配置されるように弛んでいる。なお、転回チェーン
２７に代えて、図８に示すように、ブルーム１１の下面
の幅より短いリング５０ａを連結したリングチェーン５
０を有するものや、リングを使わないベルト５２を有す
るもの（図９参照）を採用してもよい。これにより、寸
法の異なるブルーム１１を取り扱う場合でも、その特定
の側面が所定方向へ向く分だけ、リングチェーン５０ま
たはベルト５２を回転させれば、寸法が大きくても小さ
くても、ブルーム１１を支障なく所定角度だけ回転でき
る。

【００１８】図１、３、４に示すように、昇降台２２の
一側部上には、第１の回転手段の一例である駆動モータ
Ｍ１Ａ（下流側の転回ユニット１００用はＭ１Ｂ）が取
り付けられており、減速機３０からＸ方向へ延びる出力
軸３１には比較的小径なスプロケット３２が固着されて
いる。スプロケット３２に対応するスプロケット３３
が、回転軸２４の中央部付近に固着されている。これら
のスプロケット３２、３３にチェーン３４が掛け渡され
ており、出力軸３１の先端部には駆動モータＭ１Ａの回
転数を検出するパルスジェネレータ３５Ａ（下流側の転
回ユニット１００用は３５Ｂ）が取り付けられている。
駆動モータＭ１Ａにより出力軸３１が回転すると、その
回転力がスプロケット３２、チェーン３４、スプロケッ
ト３３を介して回転軸２４に伝達され、これにより両ス
プロケット２３が回転して、架台１７の上部の中央部付
近の裏面から下方に延びるチェーンガイド３６にガイド
されながら、両転回チェーン２７が右または左方向へ回
転する。その回転数をパルスジェネレータ３５Ａが検出
する。次に、図６を参照して、上下流側の転回ユニット
１００に用いられている一対の油圧シリンダ２１Ａ、２
１Ｂおよび駆動モータＭ１Ａ、Ｍ１Ｂを同期制御させる
制御系３７を説明する。

【００１９】図６に示すように、制御系３７は、各油圧
シリンダ２１Ａ、２１Ｂの油圧制御系の途中に接続され
た電磁弁３９Ａ、３９Ｂの同期弁切り換え操作およびパ
ルスジェネレータ３５Ａ、３５Ｂからの検出信号に基づ
く駆動モータＭ１Ａ、Ｍ１Ｂの回転数の同期制御を行な
う第１の制御装置３８を有している。図７に示すよう
に、第１の制御装置３８は、予め設定されたブルーム１
１の回転プログラム（ここでは搬送方向に対して９０°
右回転させるプログラム）に基づいて、電磁弁３９Ａ、
３９Ｂの同期弁切り換えによるブルーム１１の所定高さ
までの吊り上げ（図７（ｂ））、駆動モータＭ１Ａ、Ｍ
１Ｂによる９０°同期回転（図７（ｃ））、それをパル
スジェネレータ３５Ａ、３５Ｂにより検出しての回転停
止（図７（ｄ））、さらに電磁弁３９Ａ、３９Ｂの同期
弁切り換えによるブルーム１１の第２のローラーテーブ
ル１５への載置（図７（ｅ））などを指令する。図１に
おいて、符号４０はスケールコンベア、図６において、
符号４１は逆止弁である。

【００２０】続いて、本発明の第１の実施例に係る転回
装置１０の動作を説明する。図２に示すように、第１の
ローラーテーブル１４上に載置されたブルーム１１は、
第２のローラーテーブル１５へ搬送されて停止される。
このとき、ブルーム１１の両端部は、上、下流側の転回
ユニット１００の転回チェーン２７内に挿入されている
（図７（ａ）、図１０参照）。次いで、第１の制御装置
３８からの指令により電磁弁３９Ａ、３９Ｂがロッド突
出側へ同期弁切り換えされ、油圧シリンダ２１Ａ、２１
Ｂのロッド２１ａが同時に同じ長さだけ突出する。これ
により、昇降台２２が上昇されて、転回チェーン２７に
よりブルーム１１が吊り上げられる（図７（ｂ）参
照）。

【００２１】ブルーム１１がＡ側に曲がっていた場合
（図７（ａ））、第１の制御装置３８からの指令により
駆動モータＭ１Ａ、Ｍ１Ｂが同期回転して、両転回チェ
ーン２７がそれぞれブルーム１１の搬送方向に対して右
側へ回転し（図７（ｃ）参照）、ブルーム１１が載置さ
れている各転回リンク２８の次の各転回リンク２８が、
ブルーム１１の下面を支えるリンクになるまで回転した
ことを各パルスジェネレータ３５Ａ、３５Ｂが検出する
と、第１の制御装置３８より指令が出されて、駆動モー
タＭ１Ａ、Ｍ１Ｂが停止する（図７（ｄ）参照）。これ
により、ブルーム１１は、そのＡ側の側面を上に向けた
９０°回転された状態となる。それから、油圧シリンダ
２１Ａ、２１Ｂのロッド２１ａを引き込ませてブルーム
１１を第２のローラーテーブル１５上に戻し（図７
（ｅ）参照）、その後、次のブルーム１１に備えるため
に、駆動モータＭ１Ａ、Ｍ１Ｂを逆回転させて、転回チ
ェーン２７の原点復帰を行なう（図７（ｆ）参照）。

【００２２】このように、第１の制御装置３８の同期制
御に基づいて、ブルーム１１を、油圧シリンダ２１Ａ、
２１Ｂにより昇降される転回チェーン２７により所定高
さまで吊り上げ、その高さ位置で、駆動モータＭ１Ａ、
Ｍ１Ｂにより特定方向に所定角度だけ回転させるように
したので、従来手段の長尺材料を受けるキッカ付きの台
車を移動させるものや、他の従来手段である、傾斜スラ
イドカムがガイドローラ上を走行することによりクラン
プ爪を起倒フレーム上に突出させて長尺材料をクランプ
し、これにより起倒フレームを水平支軸回りに回動させ
て起立させ、長尺材料を９０°回転させるものなどに比
べて、比較的周辺設備への制約が少なく、また装置の構
造も簡素化して製造が容易となり、さらに加熱炉１２の
入側コンベア群１３の一体構造が取り易く、ブルーム１
１の反転方向や反転角度の自由度も大きく取れる。そし
て、ブルーム１１の下面の幅と略同じ長さの転回リンク
２８を有する転回チェーン２７を採用したので、転回リ
ンク２８を一リンク分だけ回転しさえすれば、ブルーム
１１が９０°回転するので、ブルーム１１の特定の側面
を所定方向へ向ける制御がし易くなる。

【００２３】次に、図１１〜１５に基づいて、本発明の
第２の実施例に係る転回装置を説明する。図１１、１２
に示すように、本発明の第２の実施例の転回装置６０
は、第２のローラーテーブル１５（図２参照）の上、下
流側に配置された一対の転回ユニット２００を有してい
る。各転回ユニット２００は、４本脚の架台６１を本体
としており、架台６１のＹ方向の両端部側に配置された
一対の脚部６２には、その下部間および上部付近間に横
梁６３が横架されている。これらの上下側の横梁６３の
中間部付近間には、Ｚ方向へ延びる一対ずつのガイドロ
ッド６４が掛け渡されており、それぞれＸ方向に対向す
るガイドロッド６４間には、昇降台部６５が昇降可能に
取り付けられている。

【００２４】昇降台部６５の両端部にはブラケット６５
ａが突設されており、これらのブラケット６５ａ上に
は、架台６１の上部の各角部に取り付けられたガイドリ
ング６６に遊挿されて、先端部が上方へ突出したガイド
ロッド６７が立設されている。これらのガイドロッド６
７の先端部は、昇降補助台６８に連結されている。架台
６１の上部中央に取り付けられた第２の昇降手段の一例
である油圧シリンダ６９Ａ（もう一方は６９Ｂ）のロッ
ド６９ａを出し入れさせると、昇降補助台６８がガイド
リング６６にガイドされて昇降し、これにより昇降台部
６５がガイドロッド６４に沿って垂直に昇降する。この
ような昇降構造を採用したことにより、ブルーム１１を
回転させる環状回転体７０を、比較的入手し易い細いロ
ッドを用いて昇降させるようにしても、高い垂直度を保
持して昇降できる。

【００２５】昇降台部６５間には、軸芯方向をＸ方向に
向けた円筒形の環状回転体７０が、周方向に回転可能に
支持されている。図１１、１３、１４に示すように、各
昇降台部６５の対向側の面には、Ｚ方向へ長い正面視し
て円弧状をした一対の突片６５ｂが突設されており、各
突片６５ｂの上下端部間には、それぞれ対配置されて、
環状回転体７０の外周面の両縁部に当接されるサポート
ローラ７１が、ピン７２により軸着されている。また、
一方の突片６５ｂの上端部のピン７２Ａには、サポート
ローラ７１間に挟まれるようにピニオン７３が固着され
ており、環状回転体７０の外周面に、ピニオン７３に噛
合する軌道ラック７４が、凸条状態で設けられている。
なお、軌道ラック７４に代えて軌道チェーンを採用して
もよい。

【００２６】昇降台部６５側には、第２の回転手段の一
例である駆動モータＭ２Ａ（下流側の転回ユニット２０
０用はＭ２Ｂ）が取り付けられており、カップリング７
５を介してピン７２Ａに連結されている。なお、駆動モ
ータＭ２Ａには出力軸の回転数を検出するエンコーダ７
６Ａ（下流側の転回ユニット２００用は７６Ｂ）が付い
ている。駆動モータＭ２Ａによりピニオン７３を回転さ
せると、サポートローラ７１に支えられながら環状回転
体７０が周方向に回転する。

【００２７】図１３に示すように、環状回転体７０の内
部には、９０°毎にブルーム１１の支持手段７７が配設
されている。それぞれの支持手段７７は、環状回転体７
０の内方に配置された支持板７８と、支持板７８の両端
部裏面から突出したガイドロッド７９と、環状回転体７
０の内周部から内方へ突出したガイドリング８０と、環
状回転体７０の内周部のガイドリング８０間に取り付け
られた短尺な油圧シリンダ８１とを有しており、油圧シ
リンダ８１のロッド８１ａを出し入れさせることによ
り、ガイドリング８０にガイドされながら、支持板７８
が環状回転体７０の内外方向へ移動される。これによ
り、ガイドローラ９０上に載置されたブルーム１１が、
各支持手段７７の支持板７８により四方から挟持または
挟持解除される。次に、図１５を参照して上下流側の転
回ユニット２００に用いられている一対の油圧シリンダ
６９Ａ、６９Ｂおよび駆動モータＭ２Ａ、Ｍ２Ｂを同期
制御させる制御系８２を説明する。

【００２８】図１５に示すように、制御系８２は、各油
圧シリンダ６９Ａ、６９Ｂの油圧制御系の途中に接続さ
れた電磁弁８３Ａ、８３Ｂの同期弁切り換え操作、エン
コーダ７６Ａ、７６Ｂからの検出信号に基づく駆動モー
タＭ２Ａ、Ｍ２Ｂの回転数の同期制御、各油圧シリンダ
８１を用いての支持板７８の接離によるブルーム１１の
支持操作を行なう第２の制御装置８４を有している。こ
の第２の制御装置８４は、油圧シリンダ８１を操作して
の支持板７８によるブルーム１１の支持後、予め設定さ
れたブルーム１１の回転プログラム（ここでは搬送方向
に対して９０°右回転させるプログラム）に基づいて、
順次、電磁弁８３Ａ、８３Ｂの同期弁切り換えによるブ
ルーム１１の所定高さまでの吊り上げ、駆動モータＭ２
Ａ、Ｍ２Ｂによる９０°同期回転、それをエンコーダ７
６Ａ、７６Ｂにより検出しての回転停止、さらに電磁弁
８３Ａ、８３Ｂの同期弁切り換えによるブルーム１１の
第２のローラーテーブル１５への載置、油圧シリンダ８
１を操作しての支持板７８によるブルーム１１の支持解
除などを指令する。

【００２９】図１１、１２において、符号８５は手摺、
符号８６は作業床、符号８７は梯子である。

【００３０】続いて、本発明の第２の実施例に係る転回
装置６０の動作を説明する。搬送されてきたブルーム１
１が、第２のローラーテーブル１５上で停止されると、
ブルーム１１の両端部が、上、下流側の転回ユニット２
００の環状回転体７０の内側のガイドローラ９０上に載
置される（図１１、１２参照）。次いで、支持手段７７
の油圧シリンダ８１により支持板７８を、環状回転体７
０の内側へ突出させてブルーム１１を四方から挟持し、
次いで第２の制御装置８４の指令により電磁弁８３Ａ、
８３Ｂがロッド突出側へ同期弁切り換えされ、油圧シリ
ンダ６９Ａ、６９Ｂのロッド６９ａが同時に同じ長さだ
け突出する。これにより、昇降補助台６８、ガイドロッ
ド６７を介して環状回転体７０が上昇し、ブルーム１１
が吊り上げられる。なお、油圧シリンダ８１を位置検出
器付きとすれば、多種サイズに対応でき、コンパクトに
納めることができる。

【００３１】ブルーム１１を回転させる場合には、第２
の制御装置８４からの指令により駆動モータＭ２Ａ、Ｍ
２Ｂが同期回転して、両環状回転体７０を回転させる
と、内部で支持手段７７により挟持されていたブルーム
１１が、環状回転体７０の軸芯を中心に回転する。その
後、油圧シリンダ６９Ａ、６９Ｂのロッド６９ａを引き
込ませて、環状回転体７０を下降させることにより、ブ
ルーム１１を第２のローラーテーブル１５上に戻し、支
持手段７７によりブルーム１１の挟持状態を解除する。
このように、第２の実施例の転回装置６０は、第２の制
御装置８４による制御により、第２のローラーテーブル
１５上のブルーム１１を支持手段７７により支持し、環
状回転体７０を油圧シリンダ６９Ａ、６９Ｂにより上昇
させてから、その場で駆動モータＭ２Ａ、Ｍ２Ｂにより
環状回転体７０と一体的にブルーム１１を任意角度だけ
転回するようにしたので、同様に比較的周辺設備への制
約がなく、装置の構造も比較的簡単で、ブルーム１１の
搬送路の一体構造が取り易く、ブルーム１１の反転方向
や反転角度も大きな自由度が得られ、しかも上昇位置で
のブルーム１１の落下が防止できて、反転角度も微細な
角度調整ができる。

【００３２】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではなく、要旨を
逸脱しない範囲での設計変更などがあっても本発明に含
まれる。例えば、実施例では、長尺材料としてブルーム
を採用したが、これに限定しなくても、例えばビレット
や形鋼などの他の鋼片、その他どのような用途の長尺材
料でもよい。

【００３３】また、実施例では、長尺材料を吊り上げる
第１、２の昇降手段として油圧シリンダを示したが、こ
れに限定しなくても、この長尺材料を吊り上げ可能なも
のであれば、その他どのような昇降手段でもよい。さら
に、第１の実施例では、転回部材として、転回チェーン
を示したが、これに限定しなくても、長尺材料を吊り上
げ可能な可撓性の部材でれば、その他どのような素材か
らなるものでもよい。

【００３４】さらにまた、長尺材料を回転させる第１、
２の回転手段として、駆動モータを示したが、これに限
定しなくても、例えば油圧シリンダなど、長尺材料を回
転可能なものであればその他どのようなものでもよい。
そして、第１、２の制御装置は、実施例に記載された制
御機能の他に、各種の付属的な制御機能が付加されたも
のでもよい。

【００３５】また、第２の実施例では、支持手段として
長尺材料を四方から支持するものを採用したが、これに
限定しなくても、長尺材料を環状回転体内で支持できる
ものであれば、何方向からの支持でもよい。さらにま
た、この支持手段として、油圧シリンダのロッドの出し
入れにより、長尺材料の側面に押接される支持板を移動
させるものを採用したが、これに限定しなくても、長尺
材料を支持できれば、その他どのような構造の支持手段
でもよい。それから、環状回転体は実施例の形状や構造
のものに限定しなくても、その他どのような形状および
構造のものでもよい。

【００３６】

【発明の効果】請求項１〜３記載の転回装置において
は、このように第１の制御装置による同期制御を前提と
して、搬送路上の長尺材料を、複数の第１の昇降手段を
介して転回チェーンにより吊り上げて、その場で複数の
第１の回転手段により任意角度だけ転回できるようにし
たので、比較的周辺設備への制約がなく、装置の構造も
比較的簡単で、長尺材料の搬送路の一体構造が取り易
く、長尺材料の反転方向や反転角度も大きな自由度が得
られる。

【００３７】特に、請求項２記載の転回装置において
は、長尺材料の下面の幅と略同じ長さの転回リンクを有
する転回チェーンを採用したので、転回リンクを一リン
ク分だけ回転しさえすれば、長尺材料が所定角度だけ回
転するので、長尺材料の特定の側面を所定方向へ向ける
制御がし易くなる。

【００３８】また、請求項３記載の転回装置において
は、転回部材として、長尺材料の下面の幅より短いリン
グを連結したリングチェーンか、ベルトとしたので、寸
法の異なる長尺材料でも回転でき、転回部材を交換しな
くても多品種の長尺材料を回転できる。

【００３９】請求項４記載の転回装置においては、この
ように第２の制御装置による同期制御を前提として、搬
送路上の長尺材料を支持手段により支持し、その支持手
段が配置された環状回転体を第２の昇降手段により上昇
させてから、その場で第２の回転手段により環状回転体
と一体的に長尺材料を任意角度だけ転回するようにした
ので、同様に比較的周辺設備への制約がなく、装置の構
造も比較的簡単で、長尺材料の搬送路の一体構造が取り
易く、長尺材料の反転方向や反転角度も大きな自由度が
得られ、しかも上昇位置での長尺材料の落下が防止でき
て、反転角度も微細な角度調整ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係る転回装置の正面図
である。

【図２】加熱炉へのブルーム搬入系を示す概略平面図で
ある。

【図３】同側面図である。

【図４】架台の上部平面図である。

【図５】図１のＳ５−Ｓ５拡大断面図である。

【図６】同制御系のブロック図である。

【図７】（ａ）ブルームのローラテーブル載置状態を示
す概略正面図である。（ｂ）ブルームの吊り上げ状態を示す概略正面図であ
る。（ｃ）ブルームの回転途中状態を示す概略正面図であ
る。（ｄ）ブルームの９０°回転状態を示す概略正面図であ
る。（ｅ）回転されたブルームの下降終了状態を示す概略正
面図である。（ｆ）ブルームの待機状態を示す概略正面図である。

【図８】他の転回部材の使用状態を示す拡大正面図であ
る。

【図９】さらに他の転回部材の使用状態を示す拡大正面
図である。

【図１０】同全体斜視図である。

【図１１】本発明の第２の実施例に係る転回装置の正面
図である。

【図１２】同側面図である。

【図１３】同要部拡大断面図である。

【図１４】同要部拡大側面図である。

【図１５】同制御系のブロック図である。

【符号の説明】

１０転回装置１１ブルーム１２加熱炉１３入側コンベア群１４第１のローラーテーブル１５第２のローラーテーブル１６炉内コンベア１７架台１８手摺１９梯子２０作業床２１Ａ油圧シリンダ２１Ｂ油圧シリンダ２１ａロッド２１ｂスライドロッド２１ｃスライドリング２２昇降台２３スプロケット２４回転軸２５軸受２６スプロケット２７転回チェーン２８転回リンク３０減速機３１出力軸３２スプロケット３３スプロケット３４チェーン３５Ａパルスジェネレータ３５Ｂパルスジェネレータ３６チェーンガイド３７制御系３８第１の制御装置３９Ａ電磁弁３９Ｂ電磁弁４０スケールコンベア４１逆止弁５０リングチェーン５０ａリング５２ベルト６０転回装置６１架台６２脚部６３横梁６４ガイドロッド６５昇降台部６５ａブラケット６５ｂ突片６６ガイドリング６７ガイドロッド６８昇降補助台６９Ａ油圧シリンダ６９Ｂ油圧シリンダ６９ａロッド７０環状回転体７１サポートローラ７２ピン７２Ａピン７３ピニオン７４軌道ラック７５カップリング７６Ａエンコーダ７６Ｂエンコーダ７７支持手段７８支持板７９ガイドロッド８０ガイドリング８１油圧シリンダ８１ａロッド８２制御系８３Ａ電磁弁８３Ｂ電磁弁８４第２の制御装置８５手摺８６作業床８７梯子９０ガイドローラ１００転回ユニット２００転回ユニットＭ１Ａ駆動モータＭ１Ｂ駆動モータＭ２Ａ駆動モータＭ２Ｂ駆動モータ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】搬送路上の長尺材料を挿通可能に配置さ
れた複数本の可撓性の転回部材と、該転回部材を上昇さ
せて、挿通された前記長尺材料を吊り上げ可能な複数の
第１の昇降手段と、前記転回部材を回転させて、吊り上
げられた前記長尺材料を所定角度だけ回転させる複数の
第１の回転手段と、前記複数の第１の昇降手段および前
記複数の第１の回転手段を各々同期制御させる第１の制
御装置とを備えたことを特徴とする転回装置。
【請求項２】前記転回部材が、前記長尺材料の下面の
幅と略同じ長さの転回リンクを有する転回チェーンであ
る請求項１記載の転回装置。
【請求項３】前記転回部材が、前記長尺材料の下面の
幅より短いリングを連結したリングチェーンまたはベル
トであることを特徴とする請求項１記載の転回装置。
【請求項４】搬送路上の長尺材料を挿通可能に配置さ
れて、前記長尺材料の複数の支持手段が設けられた環状
回転体と、該環状回転体を上昇させて、前記搬送路上の
長尺材料を吊り上げ可能な複数の第２の昇降手段と、前
記環状回転体を回転させて、吊り上げられた前記長尺材
料を所定角度だけ回転させる複数の第２の回転手段と、
前記複数の第２の昇降手段および前記複数の第２の回転
手段をそれぞれ同期制御させる第２の制御装置とを備え
たことを特徴とする転回装置。