JPH09260039A - 加熱体およびその製造方法 - Google Patents

加熱体およびその製造方法

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JPH09260039A
JPH09260039A JP8067803A JP6780396A JPH09260039A JP H09260039 A JPH09260039 A JP H09260039A JP 8067803 A JP8067803 A JP 8067803A JP 6780396 A JP6780396 A JP 6780396A JP H09260039 A JPH09260039 A JP H09260039A
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heating resistor
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照久 佐古
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保護膜表面粗さを所定以下に維持しつつ、そ
の絶縁耐圧をさらに高めた加熱体を提供する。 【解決手段】耐熱絶縁性基板上に帯状に延びるように形
成した発熱抵抗体12と、この発熱抵抗体を覆う保護膜
14とを備える加熱体であって、上記保護膜は、平均粒
径が0.5〜2.0μmのAl2 3 粉末を3〜40重
量%、好ましくは、30〜40重量%混合したガラスに
よって形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、電子写真プロセ
スにおいてトナーを記録紙に熱定着させるべく記録紙を
加熱する場合等に使用される加熱体およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】本願発明が前提とするこの種の加熱体
は、ハロゲンランプを内蔵した円筒部材からなる伝統的
な加熱部材に代え、瞬時にして所定温度まで昇温しうる
応答性能、および小型・薄型化を達成するべく開発され
たものであって、その基本的な構成は、たとえば特開平
2−59356号公報に示されている。すなわち、この
種の加熱体は、セラミック等の耐熱絶縁性の基板上に、
帯状の発熱抵抗体をたとえば厚膜印刷法によって形成
し、この発熱抵抗体の両端部に電極を形成した上で、上
記加熱抵抗体をガラス製の保護膜で覆った基本構成を有
する。
【0003】この加熱体をたとえば電子写真プロセスに
おいてトナーを記録紙に熱定着するための定着ヒータと
して使用する場合、発熱抵抗体にその長手方向全長にわ
たって相当なジュール熱を発生させるべく大電流を流す
ため、上記ガラス製の保護膜には、高い絶縁性が求めら
れる。しかしながら、このように絶縁性を高めるには、
保護膜の膜厚を厚くせねばならず、そうすると、発熱抵
抗体が発する熱が保護膜表面に伝達するまでの時間が長
くなり、すなわち、熱応答性が悪くなり、上記電子写真
プロセスの高速化の障害となる。
【0004】このような問題を解決するために、本願の
出願人は先に、上記保護膜の厚みを所定以上に上げるこ
となく、所定の絶縁性能が得られるようにした加熱体の
構成を提案している(特願平7−69305号)。すな
わち、この出願に提案された加熱体は、上記ガラス製の
保護膜に、粒径が5μm以下のAl2 3 粉末を3〜3
0重量%混合したものである。このようにすると、単位
厚み当たりの保護膜の絶縁耐圧値をAl2 3 粉末を混
合しない場合に比較して2倍以上に高めることができ
る。その結果、保護膜として、通常のガラスを使用する
場合に比較して、この保護膜を薄型化しつつ、所定の絶
縁性を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記出願に示された加
熱体において、その保護膜を形成するガラスに混合する
べきAl2 3 粉末の割合が3〜30重量%の範囲に規
定されているのは、普通に入手可能な粒径5μm以下の
Al2 3 粉末を用いる場合、その混合割合が3重量%
未満であっても、30重量%を超えても、所定の絶縁耐
圧値が得られないことが実験により示されたからであ
る。
【0006】ところで、前述の電子写真プロセスのさら
なる高速化に対応するには、上記加熱体において、保護
膜の厚みをさらに薄型化して、その伝熱応答性を高める
必要がある。ところが、上記出願に係る加熱体におい
て、5μm以下の粒径のAl23 粉末の混合割合を単
に30重量%より増やしても、絶縁耐圧値を上げること
ができないことが判明しているし、また、図6に示すよ
うに、保護膜の表面にAl2 3 粒Aが露出して無視で
きない凹凸が形成されてしまうという別の問題が生じて
しまう。
【0007】本願発明は、このような事情のもとで考え
出されたものであって、保護膜表面粗さを所定以下に維
持しつつ、その絶縁耐圧をさらに高めた加熱体を提供す
ることをその課題としている。
【0008】
【発明の開示】本願の発明者は、上記出願に係る加熱体
に関連して種々の検討をし、保護膜の形成に際して粒径
5μm以下のAl2 3 粉末をガラス材料に混合する場
合において、その混合割合が30%を超えると保護膜の
絶縁耐圧値が低下する理由は、Al2 3 粉末の粒径が
比較的大きいことと、焼成時における見掛け上のガラス
の流動性が悪化することとがあいまって、図6に示すよ
うに、保護膜の内部に比較的大きな気泡Bが混入するた
めであるとの知見を得た上で、本願発明に到達した。
【0009】すなわち、本願発明の第1の側面により提
供される加熱体は、耐熱絶縁性基板上に帯状に延びるよ
うに形成された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体を覆う保
護膜とを備える加熱体であって、上記保護膜は、平均粒
径が0.5〜2.0μmのAl2 3 粉末を3〜40重
量%混合したガラスによって形成したことに特徴づけら
れる。
【0010】平均粒径が0.5〜2.0μmのAl2
3 粉末は、普通に入手可能な粒径5μm以下のAl2
3 粉末をさらにボールミル等で粉砕することによって比
較的容易に得ることができる。ガラスに混合されるAl
2 3 粉末の粒径が上記出願の場合に比較して小さくな
る結果、焼成時に流動化するガラス成分に気泡が混入す
ることが少なくなり、その結果、Al2 3 粉末の混合
割合を40重量%まで増大させても、Al2 3 粉末に
よる絶縁耐圧値増加が得られる。ただし、混合割合が4
0重量%を超えると、焼成時の見掛け上の流動性が悪化
して気泡混入の可能性が増大し、むしろ絶縁耐圧値が低
下する傾向となるとともに、保護膜表面にAl2 3
子による微小な凹凸が露出する可能性が増大し、加熱対
象との摺動面である保護膜の表面粗さが増大する不具合
を招く。しかし、この傾向は、後述するように、焼成時
でのガラス成分の流動性を高めるべく手段を講じれば、
軽減される。なお、上記出願における加熱体によって得
られる絶縁耐圧に対する比較において、より絶縁耐圧
値、および熱伝導係数を高めるためには、上記Al2
3 粉末の混合割合は、30〜40重量%とすることが望
ましい。
【0011】このようなことから、本願発明の第1の側
面による加熱体によれば、保護膜の表面粗さの増大を招
くことなく、この保護膜の絶縁耐圧をさらに高めること
ができるので、この保護膜をより薄状とすることによ
り、この加熱体は、熱応答性と絶縁性において著しく優
れたものとなる。その結果、この加熱体を電子写真プロ
セスの熱定着ヒータとして使用する場合、電子写真プロ
セス機器のより高速化が可能となる。加えて、Al2
3 は、それ自体熱伝導性に優れているので、保護膜にこ
のAl2 3 をより高い割合で混合することができる本
願発明の加熱体は、上記のように保護膜を薄状とするこ
とができることとあいまって、さらに熱応答性の高いも
のとなる。
【0012】好ましい実施形態においては、上記ガラス
成分として、軟化点が580〜630℃のものが選ばれ
る。この種の保護膜に通常用いられるガラス成分の軟化
点が約650〜760℃であることに比較すると、上記
の場合の軟化点は相当に低い。たとえば、上記のAl2
3 粉末を含んだガラスペーストを上記発熱抵抗体の形
成を終えた絶縁基板上に印刷し、それをたとえば810
℃前後で焼成する場合、ガラス成分の軟化点が通常のガ
ラスに比較して低いが故に、ガラス成分はより流動化す
る。こうして流動性が促進されたガラス成分は、Al2
3 粉末粒子を容易に取り巻くことができ、したがって
焼成時に保護膜に気泡が混入する可能性を著しく減じる
ことができる。その結果、焼成時にガラス中に気泡が混
入してこれが保護膜の絶縁耐圧値を下げてしまうといっ
たことを回避することができる。同時に、焼成後の保護
膜の表面の平滑化が促進される。
【0013】上記のように軟化点を低めたガラスとして
は、PbOとB2 3 とをSiO2に適量混入したSi
2 −PbO−B2 3 系ガラスが使用される。PbO
とB 2 3 とはいずれもガラスの軟化点を下げる作用を
するが、PbOはガラスの線膨張率を上げ、B2 3
ガラスの線膨張率を下げる作用をするので、これらPb
OとB2 3 の双方をガラスに混入することにより、焼
成後に形成される保護膜の線膨張率を所望のように調整
することができる。これにより、保護膜の線膨張率を基
板材料の線膨張率と対応させ、駆動時での昇温によって
加熱体に反りが発生することを効果的に回避することが
できる。
【0014】また、PbOとB2 3 とは、いずれも、
焼成時にガラスの結晶化を促進するアルカリ土類ではな
いので、焼成過程におけるガラス結晶の成長によって保
護膜の表面が荒れが生じるといったこともない。
【0015】本願発明の第2の側面によって提供される
加熱体の製造方法は、耐熱絶縁性基板上に帯状に延びる
発熱抵抗体を形成するステップと、上記発熱抵抗体を覆
うように保護膜を形成するステップとを含む加熱体の製
造方法であって、上記保護膜を形成するステップは、固
体成分中、平均粒径が0.5〜2.0μmのAl2 3
粉末を3〜40重量%混合したガラスペーストを用いて
印刷を行うステップ、および、上記印刷されたガラスペ
ーストを焼成するステップ、を含んでいることを特徴と
に特徴づけられる。上記ガラスペーストに含まれるガラ
ス成分として、軟化点が580〜630℃のものを選択
することができ、また、そのためには、PbOとB2
3 を混入したガラスを用いることができることも、上述
と同様である。
【0016】かかる方法によって製造される加熱体は、
本願発明の第1の側面について上述したのと同様の利点
を有することは明らかである。
【0017】本願発明の第3の側面により提供される加
熱体の製造方法は、耐熱絶縁性基板上に帯状に延びる発
熱抵抗体を形成するステップと、上記発熱抵抗体を覆う
ように保護膜を形成するステップとを含む加熱体の製造
方法であって、上記保護膜の形成は、軟化点が580〜
630℃のガラス成分と、粒径が5μm以下のAl2
3 粉末とを含むガラスペーストを印刷・焼成することに
より行うことに特徴づけられる。この場合、軟化点を上
記のように低めるために、PbOとB2 3 を混入した
ガラスを用いることができることは、上記と同様であ
る。ガラスペースト中のAl2 3 粉末の混合割合は、
3〜40重量%、好ましくは、30〜40重量%とされ
る。
【0018】上述したように、軟化点を低めたガラス成
分を含むガラスペーストを用いると、たとえば、810
℃で焼成する場合、ガラス成分の流動性が大いに高めら
れる。そうすると、かりに粒径5μm以下のAl2 3
粉末が混入していても、流動性が高められたガラスが容
易にAl2 3 粒子を取り巻くことができ、相対的に流
動性の低いガラスが用いられていた従来に比較し、焼成
後の保護膜中に大きな気泡が混入する可能性が少なくな
り、その結果、保護膜に、Al2 3 粉末による所定の
絶縁耐圧値を与えることができる。
【0019】本願発明のその他の特徴および利点は、図
面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明ら
かとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本願発明に係る加熱体1
0の外形の一例を示し、図2は図1のII−II線断面を示
している。所定幅および所定厚みをもった長矩形状をし
た耐熱絶縁性基板11の上面に、その一端から長手方向
に延び、他端でUターンして一端側まで戻るように延び
る帯状の発熱抵抗体12が形成されており、この発熱抵
抗体12の両端部には、電極13,13が形成されてい
る。上記絶縁性基板11としては、たとえば、アルミナ
セラミックが用いられる。上記発熱抵抗体12は、たと
えば銀・パラジウムペースト、あるいは酸化ルテニウム
ペーストなどの抵抗体ペーストを用いた厚膜印刷法によ
って形成することができる。また、上記電極13は、導
電性ペーストを用いた厚膜印刷法によって形成すること
ができる。たとえば、上記基板11の表面または裏面に
配設した温度センサ(図示略)によって表面温度を監視
しながら、この表面温度が所定の温度となるように、上
記発熱抵抗体12が駆動制御される。なお、帯状発熱体
12の形態は、図示したものの他にも種々のものがあ
る。
【0021】上記基板11には、各電極13を除く発熱
抵抗体12を覆うようにして、保護膜14が形成され
る。この保護膜14として要求される機能は、優れた絶
縁性能と、表面平滑性と、良好な熱伝導性能である。絶
縁性能は、上記帯状発熱抵抗体12の全長にわたって大
きなジュール熱を発生させるべく、比較的大きな電流を
流す必要故に求められる。表面平滑性は、加熱対象との
相対摺動を円滑にするために求められる。良好な熱伝導
性能は、発熱抵抗体12の駆動を開始してから保護膜表
面の温度が所定の温度まで上昇するまでの時間、すなわ
ち、熱応答性を高めるために求められる。
【0022】上記保護膜14に求められる機能を高度に
達成するため、本願発明では、上記保護膜14は次のよ
うに形成されている。
【0023】すなわち、上記保護膜14は、平均粒径が
0.5〜2.0μmのAl2 3 粉末を3〜40重量
%、好ましくは30〜40重量%含むガラスによって形
成される。上記保護膜14の形成成分のうち、上記Al
2 3 粉末を除くガラス成分は、好ましくは軟化点が5
80〜630℃である、この種の保護膜として用いられ
る通常のガラスよりも軟化点が低められたガラス成分が
用いられる。より具体的には、このガラス成分は、Si
2 −PbO−B2 3 系の低軟化点ガラスを使用する
ことができる。
【0024】上記保護膜14はまた、厚膜印刷法によっ
て形成される(図4参照)。より具体的には、ガラスフ
リットと、上記Al2 3 粉末とを溶剤成分中に混練し
てなるガラスペーストを用い、スクリーン印刷法によっ
て上記基板11上の上記発熱抵抗体12を覆う領域に付
着させる。こうして付着させるガラスペーストの厚み
は、焼成後の保護膜の目的厚みにみあった適当な厚みに
設定される。この場合、ガラスフリットに対するAl2
3 粉末の割合は、ガラスフリットとAl2 3粉末の
総和に対するAl2 3 の割合が、上記のように、3〜
40重量%、好ましくは30〜40重量%となるように
する。
【0025】上記のようにガラスペーストが印刷された
基板11は次に、焼成炉内に装填され、たとえば810
℃の焼成温度によって保護膜14の焼成を行う(図4参
照)。このとき、次のような過程を経て、高い絶縁耐圧
値と、良好な熱伝導性と、高い表面平滑性をもつ保護膜
14が形成される。
【0026】すなわち、焼成炉における熱により、ガラ
スペースト中の溶剤成分が蒸発してゆくとともに、ガラ
ス成分が軟化して流動化する。上述のように、ガラス成
分として軟化点の低いものが採用されている場合、焼成
温度におけるガラス成分の流動性は高められる。これに
加えて、混入されるAl2 3 粉末の粒径が0.5〜
2.0μmと比較的小さいため、流動性が高められたガ
ラス成分がAl2 3 粒子を容易に取り巻くことができ
るとともに、溶剤の気化等によって発生する気泡もまた
容易に外部に逃げることができるので、Al2 3 粒子
とガラス成分との境界に大きな気泡が混入されてしまう
といったことがなくなる。また、保護膜14の表層付近
のAl2 3 粒子もまた、上記流動性が高められたガラ
ス成分によって取り巻かれるので、Al2 3 粒子が保
護膜14の表面に露出して表面平滑性が阻害されるとい
ったこともなくなる。なお、上記のように流動化された
ガラス成分がAl2 3 粒子を取り巻く作用は、前述の
ように軟化点が低められたガラス成分を使用するとより
良く発揮するが、Al2 3 粉末の平均粒径を0.5〜
2.0μmといった小径に設定するだけでも発揮され
る。
【0027】また、ガラス成分の軟化点を低下させるた
めに、PbOおよびB2 3 という、非アルカリ土類の
成分を混入したガラスを使用すると、焼成過程において
ガラス成分が結晶化してこれが保護膜14の表面を荒ら
すといったこともなくなる。PbOおよびB2 3 は、
いずれもガラスの軟化点を下げる作用をするが、PbO
はガラスの線膨張率を上げる作用をし、B2 3 はガラ
スの線膨張率を上げる作用をするので、これらの混合比
率を調整することにより、保護膜14の線膨張率を所望
のように調整することができる。このように調整される
保護膜14の線膨張率をセラミックからなる基板11の
線膨張率と対応させておくと、加熱体10の駆動時に発
生する熱によってこの加熱体10に反りが発生すること
を効果的に回避することができる。
【0028】以上の過程によって形成される保護膜14
は、図3に示されるように、大きな割合のAl2 3
含まれていることになるので、単位厚み当たりの絶縁耐
圧値が高まる。しかも、焼成過程において気泡が混入す
る可能性が少なくなるので、気泡の混入に起因する絶縁
耐圧値の低下もなく、その結果、保護膜の絶縁耐圧値は
高いレベルで安定する。しかも上述のように保護膜14
の表面平滑性が確保されるので、加熱対象との摺動円滑
性が得られる。
【0029】さらに、上記保護膜14は、その単位厚み
当たりの絶縁耐圧値が高められるので、その結果保護膜
14の厚みを従来よりも薄くすることができ、そうする
と、発熱抵抗体からの熱が保護膜14の表面まで到達す
るまでの時間、すなわち、熱応答性も高まる。この点に
ついてはまた、伝熱性の良好なAl2 3 が比較的高い
密度で保護膜中に含まれることになるから、このことに
よっても保護膜14の伝熱性が高まる。たとえば、上記
Al2 3 粉末の混合割合を30重量%以上とすると、
保護膜14の熱伝導率を3.0〜6.0×10-3cal/cm
・sec ・℃、好ましくは3.8〜6.0×10-3cal/cm
・sec ・℃まで高めることができる。なお熱伝導率は、
ガラス単体では1.5〜2.5×10-3cal/cm・sec ・
℃であることを考慮すれば、その増加は著しい。
【0030】ところで、高い絶縁耐圧値と、良好な熱伝
導性と、高い表面平滑性をもつ保護膜14は、ガラス成
分の軟化点をたとえば580〜630℃に下げ、Al2
3粒子の粒径を5μm以下としただけであっても、あ
る程度は達成される。すなわち、焼成時におけるガラス
成分の流動性により、このガラス成分がAl2 3 粒子
を取り巻く作用を発揮し、気泡の残存を回避することが
できる。なお、この場合についても、Al2 3 粒子の
混合比率は、3〜40重量%、好ましくは30〜40重
量%としておくのがよい。
【0031】〔実施例〕固体成分中、中心径が0.8〜
1.3μmであるAl2 3 粉末を35重量%含むとと
もに、ガラス成分として、PbOおよびB2 3 の添加
量を調節することにより軟化点を約600℃に設定した
ものを含むガラスペーストを用い、焼成後の厚みが45
μmとなるようにして印刷・焼成して保護膜14を形成
した。焼成温度は810℃とした。なお、ガラス成分
中、PbOとB2 3 の添加比率は、保護膜の線膨張率
が55〜70×10-7/℃となるように設定した。こう
して保護膜14を形成した加熱体10の保護膜表面と電
極間に図5に示すように1.5kVの交流電圧を3秒印
加する耐圧試験を行ったところ、不良率は約2%であっ
た。また、表面粗さRzは0.6μmであった。
【0032】〔比較例〕固体成分中、中心径が5μmで
あるAl2 3 粉末を30重量%含むガラスペーストを
用い、焼成後の厚みが45μmとなるようにして印刷・
焼成して保護膜を形成した加熱体の保護膜表面と電極間
に図5に示すように1.5kVの交流電圧を3秒印加す
る耐圧試験を行ったところ、不良率は約10%であっ
た。
【0033】なお、本願発明は上記した実施形態に限定
されるものではなく、ガラスとしての基本的組成は、S
iO2 を主成分として含む種々なものが採用されること
はいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の加熱体の一実施形態の外観斜視図で
ある。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】保護膜の拡大断面図である。
【図4】保護膜形成工程の説明図である。
【図5】保護膜の絶縁耐圧試験の説明図である。
【図6】従来の問題点の説明図である。
【符号の説明】
10 加熱体 11 基板 12 発熱抵抗体 14 保護膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱絶縁性基板上に帯状に延びるように
    形成した発熱抵抗体と、この発熱抵抗体を覆う保護膜と
    を備える加熱体であって、 上記保護膜は、平均粒径が0.5〜2.0μmのAl2
    3 粉末を3〜40重量%混合したガラスによって形成
    されていることを特徴とする、加熱体。
  2. 【請求項2】 上記保護膜のガラス成分は、軟化点が5
    80〜630℃のものである、請求項1に記載の加熱
    体。
  3. 【請求項3】 上記保護膜のガラス成分は、SiO2
    PbO−B2 3 系のガラスである、請求項2に記載の
    加熱体。
  4. 【請求項4】 耐熱絶縁性基板上に帯状に延びる発熱抵
    抗体を形成するステップと、上記発熱抵抗体を覆うよう
    に保護膜を形成するステップとを含む加熱体の製造方法
    であって、 上記保護膜を形成するステップは、 固体成分中、平均粒径が0.5〜2.0μmのAl2
    3 粉末を3〜40重量%混合したガラスペーストを用い
    て印刷を行うステップ、および、 上記印刷されたガラスペーストを焼成するステップ、 を含んでいることを特徴とする、加熱体の製造方法。
  5. 【請求項5】 耐熱絶縁性基板上に帯状に延びるように
    形成した発熱抵抗体と、この発熱抵抗体を覆う保護膜と
    を備える加熱体の製造方法であって、 上記保護膜の形成は、軟化点が580〜630℃のガラ
    ス成分と、粒径が5μm以下のAl2 3 粉末とを含む
    ガラスペーストを印刷・焼成することにより行うことを
    特徴とする、加熱体の製造方法。
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