JPH09170059A - 接着剤による接着性の優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

接着剤による接着性の優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板

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JPH09170059A
JPH09170059A JP34841395A JP34841395A JPH09170059A JP H09170059 A JPH09170059 A JP H09170059A JP 34841395 A JP34841395 A JP 34841395A JP 34841395 A JP34841395 A JP 34841395A JP H09170059 A JPH09170059 A JP H09170059A
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幸夫 内田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板の樹脂皮膜が
接着剤の種類に関係なく接着性に優れ、しかも、その樹
脂皮膜がアルカリ溶液で除去可能なものを提供する。 【構成】 亜鉛系めっき鋼板の表面にアクリル酸および
/またはメタクリル酸とアクリル酸エステルおよび/ま
たはメタクリル酸エステルとの共重合体で、酸価が40
〜100、ガラス転移温度が30℃〜60℃であるアク
リル樹脂の皮膜を0.5〜5μm形成するかまたは前記
皮膜に平均粒径0.1〜3μmの合成樹脂粉末を1〜2
5質量%含有させたものを形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂皮膜被覆亜鉛系め
っき鋼板の樹脂皮膜が接着剤の種類に関係なく接着性に
優れ、しかも、その樹脂皮膜がアルカリ溶液で除去可能
なものに関する。
【0002】
【従来技術】亜鉛系めっき鋼板の用途が自動車メ−カ−
でプレス加工により部材を製造するような場合、鉄鋼メ
−カ−では亜鉛系めつき鋼板に防錆油を塗布して、出荷
することがある。一方、自動車メ−カ−では、省力化の
ため鋼板の防錆油を脱脂せずに、防錆油をプレス加工の
際の潤滑油として利用する方法が採用されている。しか
し、防錆油の塗油は防錆を目的にするものであるため、
塗油量は鋼板全体に均一になっていない。このため、塗
油量の少ない部分では加工性が不充分となる場合があっ
た。
【0003】また、防錆油の潤滑性は必ずしも充分でな
いため、加工性の厳しい部位の存在する部材にプレス加
工した場合、加工部が損傷される場合があった。そこ
で、このような部材に使用する場合は亜鉛系めっき鋼板
の表面にFeまたはNi等のフラッシュめつきを施し
て、その上に防錆油を塗油した材料を用いていた。しか
しながら、フラッシュめっきの付加はコストを大幅に増
大させるという問題があった。
【0004】そこで、防錆油より亜鉛系めっき鋼板の加
工性を向上させる手段として、水分散性もしくは水溶解
性アクリル樹脂の皮膜を形成する方法が従来より種々提
案されている。この方法によれば、鋼板表面に樹脂皮膜
を均一に形成できるため、全体の加工性が均一であり、
また、フラッシュめっきを施す必要がないため、材料は
安価となる。さらに、樹脂皮膜は薄いので、スポット溶
接も可能である。
【0005】素材にこの樹脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板
を用いた部材は、樹脂皮膜を残存させたまま部品に組み
立てて、アルカリ脱脂した後、電着塗装しているが、部
品組み立ての際には、スポット溶接のほかに接着剤を用
いて、応力を分散させることが行われている。例えば、
フ−ド、トランクリッド等の部品は外板と補強材の内板
との接合をスポット溶接ばかりでなく走行中に生じる振
動音防止のため、塩化ビニル系接着剤を接合部に塗布し
ている。また、ドアパネルでもヘミング加工部の内外板
接合シ−ル性を高めるため、接合はエポキシ系や塩化ビ
ニル系樹脂の接着剤を塗布して、内外板を圧着させた
後、スポット溶接する方法で行われている。
【0006】しかし、従来の樹脂皮膜は、アクリル系、
オポキシ系、ウレタン系等の樹脂が適用されていたが、
電着塗装の下地として利用するために耐水性および耐ア
ルカリ性が要求され、架橋密度が高く、酸価の低い皮膜
にする必要があった。一方で接着剤塗布時の接着性には
接着剤中の溶剤で樹脂皮膜が膨潤し、接着剤用樹脂と物
理的に混合一体にすること、または、樹脂皮膜表面に接
着剤用樹脂との相互作用が可能な官能基を充分に有する
こと等が必要となる。そのため、アクリル樹脂皮膜のよ
うに酸価の低いものでは、エポキシ系樹脂のような極性
接着剤を使用した場合と塩化ビニル系樹脂のような無極
性接着剤を使用した場合とでは接着性が変化してしまう
という欠点があった。また、電着塗料には樹脂皮膜との
密着性が劣るものもあるため、電着塗料の種類が限定さ
れるという欠点もあった。さらに、樹脂皮膜だけでは潤
滑性が不充分な場合には、樹脂皮膜中にポリオレフィン
やフッ素樹脂等の合成樹脂粒子を添加して、潤滑性を向
上させる場合があるが、合成樹脂粒子によっては電着塗
膜が剥離するという欠点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの欠
点を解決した樹脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板を提供する
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、亜鉛系めっき
鋼板の表面にアクリル酸および/またはメタクリル酸と
アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステ
ルとの共重合体で、酸価が40〜100、ガラス転移温
度が30℃〜60℃であるアクリル樹脂の皮膜を0.5
〜5μm形成した。
【0009】
【作用】従来の樹脂皮膜は、亜鉛系めっき鋼板を部材に
プレス加工した後も付着したままにして、電着塗装の下
地として利用していたが、本発明者らは、部品に組み立
て後電着塗装前に通常実施されるアルカリ脱脂で樹脂皮
膜を溶解除去して、樹脂皮膜をプレス加工の時にのみ利
用する方法を案出した。このようにすれば、電着塗装は
亜鉛系めっき鋼板に直接塗装するので、電着塗料は限定
されず、また、樹脂皮膜に電着塗膜の密着性を阻害する
樹脂粒子が添加されていても、樹脂粒子は樹脂皮膜とと
もに電着塗装前に除去されてしまうので、電着塗膜の密
着性を向上させることができる。
【0010】しかし、上記のような方法を実施するに当
たっては、部品に組み立ての際に使用してある接着剤塗
布部分の樹脂皮膜がアルカリ脱脂の時に溶解されないよ
うに接着剤が樹脂皮膜に強固に接着して、接着剤と樹脂
皮膜との間にアルカリ脱脂剤の侵入を防止する必要があ
る。このため、樹脂皮膜は接着剤の極性、無極性に関係
なく接着性が良好なものにする必要がある。
【0011】そこで、本発明者らは、電着塗装前のアル
カリ脱脂で溶解除去可能で、接着剤の種類に関係なく接
着性の優れた樹脂皮膜を開発すべく種々検討した結果、
アクリル樹脂の酸価を調整すれば可能であることを見い
だした。すなわち、アクリル樹脂は酸価が大きい程分子
中のカルボキシル基量が多いので、アルカリ脱脂で樹脂
皮膜を溶解除去し易くなる。しかし、接着剤は極性、無
極性であるかにより樹脂皮膜の適性酸価の範囲が異な
り、極性接着剤の場合は接着剤の極性基と樹脂皮膜のカ
ルボキシル基の相互作用により接着性は良好になるの
で、樹脂皮膜の酸価は大きい方がよいが、無極性接着剤
の場合は酸価の大きい極性樹脂との接着性は劣るので、
樹脂皮膜の酸価は小さい方がよいのである。なお、酸価
とはアクリル樹脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和す
るのに必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
【0012】そこで、本発明者らは、アルカリ溶解性と
接着剤の極性、無極性に関係なく接着性の良好な酸価の
範囲を検討した結果、酸価を40〜100の範囲にすれ
ばよいことを見いだしたのである。酸価が40以上であ
れば、アルカリ脱脂で溶解除去可能で、極性接着剤の接
着性も良好であるが、100を超えると、無極性接着剤
の接着性が不充分となる。特に、アルカリ溶解性と接着
剤の接着性を調和させるには40〜60の範囲が望まし
い。
【0013】ところで、樹脂皮膜は、接着剤の接着性を
良好にしても、亜鉛系めっき鋼板との密着性が劣ると、
アルカリ脱脂の際に処理液が侵入して、接着剤とともに
剥離してしまう。亜鉛系めっき鋼板との密着性を良好に
するにはガラス転移温度を低くすればよいのであるが、
あまり低くすると、樹脂皮膜の粘着性が増加して、耐ブ
ロッキング性が低下し、プレス加工の際、潤滑性を発揮
しなくなる。このため、樹脂皮膜はガラス転移温度を調
整する必要があるが、30℃〜60℃にすれば、密着
性、耐ブロッキング性を調和させることができるのを見
いだした。ガラス転移温度が30℃未満であると、耐ブ
ロッキング性が不充分であり、60℃を超えると、鋼板
との密着性が低下して、プレス加工時の衝撃で樹脂皮膜
が剥離する場合がある。
【0014】アクリル樹脂は、分子中に(メタ)アクリ
ル酸および(メタ)アクリル酸エステルを50質量%以
上含有していることを必要とするものであるが、樹脂の
分子量、ガラス転移温度、樹脂粘度および酸価などの特
性や皮膜の溶解性、密着性、強度、伸度などの特性を調
整するのに他のモノマ−を重合させてもよい。
【0015】ここで、(メタ)アクリル酸エステルとし
ては、メチル(メタ)アクリレ−ト、エチル(メタ)ア
クリレ−ト、n(またはiso)−プロピル(メタ)ア
クリレ−ト、n(またはisoもしくはtert)−ブ
チル(メタ)アクリレ−ト、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレ−ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレ−
ト、ラウリル(メタ)アクリレ−トなどが挙げられる。
【0016】また、樹脂や皮膜の特性調整に共重合でき
るモノマ−としては、スチレン、α−メチルスチレン、
tert−ブチルスチレンなどのスチレン類、イタコン
酸、フマル酸、マレイン酸およびこれらの半エステル類
等の不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリルアミド、N
−メチロ−ルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレ−ト、ビニルピロリドン、β−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコ
−ル(メタ)アクリレ−トおよびそのメトキシ化物、多
価アルコ−ルの(メタ)アクリル酸モノエステル類等の
水酸基や極性基含有モノマ−類、酢酸ビニル、バ−サテ
ィック酸ビニル等のビニルエステル類。各種アルキル基
のビニルエ−テル類、エチレン、プロピレン等のα−オ
レフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニ
リデン等のハロゲン化物、ジビニルベンゼン、ジアリル
化合物、ジ(メタ)アクリレ−ト類、トリ(メタ)アク
リレ−ト類、ビニルシラン類等の架橋性モノマ−が挙げ
られる。
【0017】アクリル樹脂の合成方法は、特に制限がな
く、本発明の効果を損なわない限り溶液重合、乳化重
合、懸濁重合等公知慣用の方法でよい。形態について
も、特に制限はないものの、溶液、水分散、溶剤分散状
のものが塗装作業の観点から好ましく、樹脂粘度の観点
から分散状のものがより好ましい。
【0018】樹脂皮膜の厚みは、0.5μm未満である
と、一次防錆性が不充分であり、また、鋼板の粗度が大
きい場合には鋼板表面を充分被覆できないため、プレス
加工性が劣る。一方、5μmを超えると、部材を接着剤
で接着して、部品にした後のアルカリ脱脂で樹脂皮膜の
一部が処理液により侵食されて、接着性が低下する。こ
のため、樹脂皮膜の厚みは、0.5〜5μm、好ましく
は1〜3μmにする。
【0019】アルカリ脱脂で樹脂皮膜を短時間に溶解除
去するには、重量平均分子量を5000〜50000、
望ましくは5000〜20000の範囲に調整するとよ
い。重量平均分子量が5000未満であると、樹脂合成
の際にカルボキシル基含有モノマ−があまり共重合せ
ず、50000を超えると、酸価の低い場合、アルカリ
溶解性が劣ってしまう。
【0020】樹脂皮膜には、アクリル樹脂と相溶しない
合成樹脂粉末を潤滑剤として添加すると、潤滑性が向上
し、無塗油でプレス加工が可能になる。しかし、合成樹
脂粉末の添加量が樹脂皮膜の1質量%未満であると、潤
滑性が充分でなく、25質量%を超えると、処理液中へ
の安定な分散が困難になり、ゲル化してしまう。このた
め、樹脂皮膜への添加量は1〜25質量%にする。ま
た、合成樹脂粉末は平均粒径が0.1μm未満である
と、樹脂皮膜の摩擦係数は小さくなるが、潤滑性があま
り得られず、3μmを超えると、プレス加工時に合成樹
脂粉末が脱落し、潤滑性を発揮しない。このため、平均
粒径は0.1〜3μmにする。
【0021】合成樹脂粉末の種類としては、特に限定は
ないが、本発明の主旨からして溶融温度が60℃以上
で、表面張力の低いものが好ましい。このようなものと
しては、フッ素樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等
のようなポリオレフィン樹脂、ABSやポリスチレン等
のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂や塩化ビニリデン樹
脂等のようなハロゲン化樹脂が挙げられる。これらの樹
脂は1種または2種以上の混合物として使用してもよい
が、合成樹脂粒子の一部は樹脂皮膜より突出させて、潤
滑性が高くなるようにする。合成樹脂粒子の形態には特
に制限はなく、所定の粒子径に機械粉砕したもの、化学
的にあるいは機械的に媒体中に分散懸濁液にしたもので
もよい。
【0022】樹脂皮膜中には、着色性、隠ぺい性、硬さ
および防錆性等を向上させるため、必要に応じて公知慣
用の顔料を併用してもよいが、樹脂皮膜の溶解性を維持
する観点から、その使用量は樹脂皮膜総量の30質量%
以下に止めるのが好ましい。顔料の種類には特に制限は
なく、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、例え
ば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物、シ
リカ類、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレ−、硫
酸バリウム等の体質顔料、メタホウ酸バリウム、リン酸
水素アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、ストロン
チウムクロメ−ト等の防錆顔料、カ−ボン、フタロシア
ニンブル−等の各種有機顔料が挙げられる。
【0023】亜鉛系めっき鋼板表面への樹脂皮膜の形成
は、処理液を塗布することにより行うが、処理液中には
樹脂皮膜を均一にするため、増粘剤、消泡剤、レベリン
グ剤、湿潤剤、架橋剤、防腐防ばい剤、チクソ化剤、撥
水剤、顔料分散剤、凍結安定剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、皮張り防止剤、難燃剤、ワックス等の公知慣用の
各種添加剤を状態に応じて適宜添加することも可能であ
る。
【0024】亜鉛系めっき鋼板表面への樹脂皮膜形成方
法は、特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂のエマル
ジョン処理液を刷毛、ロ−ラ−、ロ−ルコ−タ−、フロ
−コ−タ−、シャワ−リング、スプレ−のような塗装方
法から経済性と生産性を考慮して塗装方法を選択し、鋼
板に均一皮膜が得られるように塗装した後、常温乾燥、
加熱強制乾燥等で乾燥すればよい。
【0025】
【実施例】
実施例1 メチルメタクリレ−ト,ブチルアクリレ−ト,アクリル
酸、メタクリル酸の各成分を変化させて、共重合させる
ことにより酸価、ガラス転移温度、重量平均分子量を調
整したアクリル樹脂のエマルジョン処理液をまず準備し
た。そして、次に、それらの処理液を合金化溶融亜鉛め
っき鋼板(母材;Ti添加極低炭素鋼、板厚;0.7m
m、片面めっき付着量;65g/m2)の表面にバ−コ
−タ−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、厚さの異なる樹
脂皮膜を形成した。表1に得られた樹脂皮膜被覆亜鉛系
めっき鋼板を示す。次に、この鋼板について下記の特性
を調査した。この結果を表2に示す。
【0026】(1)皮膜の溶解性試験 試験片をNaOH溶液(pH;12、液温;40℃)に
浸漬して、溶液中で30秒間軽くゆすった後静置して、
皮膜を溶解除去できるまでに要する時間が1分未満のも
のを記号◎、1分以上、2分未満のものを記号○、2分
以上、5分未満のものを記号△、5分以上のものを記号
×で評価した。
【0027】(2)接着性試験 (A)エポキシ系接着剤塗布時の接着性 2枚の試験片(30mm×100mm)の片方の試験片
の樹脂皮膜形成面にエポキシ系接着剤を一定面積(30
mm×50mm)塗布して、他方の試験片の樹脂皮膜形
成面と合わせた後、硬化させて、接着した。次に、接着
した試験片を上記皮膜の溶解性試験で使用したNaOH
溶液に2分間浸漬した後、接着面の引張せん断強度を測
定して、強度が4.0kN以上のものを記号◎、3.5k
N以上、4.0kN未満のものを記号○、3.0kN以
上、3.5kN未満のものを記号△、3.0kN未満のも
のを記号×で評価した。
【0028】(B)塩化ビニル系接着剤塗布時の接着性 2枚の試験片(25mm×200mm)の片方の試験片
の樹脂皮膜形成面に塩化ビニル系接着剤を一定面積(2
5mm×125mm)塗布して、他方の試験片の樹脂皮
膜形成面と合わせた後、硬化させて、試験片の先端を両
側に直角に折り曲げて、T字型にした。次に、接着した
試験片を前記皮膜の溶解性試験で使用したNaOH溶液
に2分間浸漬した後、折り曲げた試験片先端を互いに反
対方向に引張る方法でT型剥離接着強度を測定して、強
度が120N以上のものを記号◎、100N以上、12
0N未満のものを記号○、80N以上、100N未満の
ものを記号△、80N未満のものを記号×で評価した。
【0029】(3)皮膜密着性 デュポン衝撃試験(重り落下高さ;500mm、重りの
重量;500g)を行い、凸部をセロテ−プで強制剥離
して、皮膜残存率が80%以上のものを記号◎、60%
以上、80%未満のものを記号○、40%以上、60%
未満のものを記号△、40%未満のものを記号×で評価
した。
【0030】(4)耐ブロッキング性 樹脂皮膜面同士が合わさるように試験片を重ねて、温度
40℃、加圧力1200N/cm2の状態で24時間放
置した後、試験片が自然に離れたものを記号◎、試験片
を強制的に引き剥がし、樹脂皮膜表面に剥離が認められ
ないものを記号○、一部剥離が認められたものを記号
△、全面にブロッキングによる皮膜剥離が認められたも
のを記号×で評価した。
【0031】(5)一時防錆性 試験片(70mm×150mm)に塩水噴霧試験(塩
水;5質量%NaCl溶液、温度;35℃)を2時間実
施した後、試験片の表面を観察して、白錆が認められな
いものを記号◎、白錆発生面積が20%未満のものを記
号○、白錆発生面積が20%以上のものを記号×で評価
した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】実施例2 メチルメタクリレ−ト,ブチルアクリレ−ト,アクリル
酸、メタクリル酸を共重合させて、酸価が90、ガラス
転移温度が45℃、重量平均分子量が12000のアク
リル樹脂を合成して、そのエマルジョン処理液にポリエ
チレン樹脂粉末および/またはフッ素樹脂粉末を添加し
た後、ガラス容器に密封して、40℃の雰囲気中に10
〜20日間放置した。そして、この樹脂のエマルジョン
処理液を実施例1と同一の亜鉛系めっき鋼板表面にバ−
コ−タ−で塗布して、オ−ブンで乾燥し、樹脂皮膜を形
成した。表3にエマルジョン処理液と得られた樹脂皮膜
被覆亜鉛系めっき鋼板に下記試験を実施したときの結果
を示す。
【0035】(1)処理液の安定性 処理液をガラス容器中に密封して、40℃の雰囲気中に
放置する方法で増粘やゲル化の認められる日数を観察
し、20日間放置しても増粘やゲル化の認められないも
のを記号◎、10日間までは増粘やゲル化が生じないも
のを記号○、10日間経過以前に増粘やゲル化の生じた
ものを記号×で評価した。
【0036】(2)加工性 円板試験片を用いて、円筒絞り加工試験(ポンチ径;4
0φ、絞り比;2.40、しわ押さえ力;1.0×104
N)を行い、加工前の試験片径をL1、加工後の試験片
平均径をL2とした場合のL2/L1が0.88未満のもの
を記号◎、0.88〜0.90未満のものを記号○、0.
90〜0.94のものを記号△、0.94超のものを記号
×で評価した。
【0037】
【表3】 (注1)合成樹脂粉末の種類はAがポリエチレン樹脂粉
末、Bがフッ素樹脂粉末、Cが両樹脂粉末の混合物(A
/B=9/1)である。 (注2)合成樹脂粉末の添加量は質量%であり、平均粒
径はμmである。 (注3)比較例21および27は処理液ゲル化のため、
塗布困難であった。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明の樹脂皮膜被覆亜
鉛系めっき鋼板は、接着剤が極性、無極性であっても接
着性に優れており、また、樹脂皮膜は電着塗装前のアル
カリ溶液で、溶解除去されるので、樹脂皮膜に合成樹脂
粉末を添加しても、電着塗装の塗膜密着性は損なわれ
ず、しかも、電着塗装の塗料が限定されることがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 幸夫 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所表面処理研究部内 (72)発明者 宮垣 敦志 大阪府泉大津市東助松町3−3−31

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛系めっき鋼板の表面にアクリル酸お
    よび/またはメタクリル酸とアクリル酸エステルおよび
    /またはメタクリル酸エステルとの共重合体で、酸価が
    40〜100、ガラス転移温度が30℃〜60℃である
    アクリル樹脂の皮膜を0.5〜5μm形成したことを特
    徴とする接着剤による接着性の優れたアルカリ可溶型樹
    脂皮膜被覆亜鉛系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 アクリル樹脂の重量平均分子量が500
    0〜50000であることを特徴とする請求項1に記載
    の接着剤による接着性の優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜
    被覆亜鉛系めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1の亜鉛系めっき鋼板のアクリル
    樹脂皮膜が平均粒径0.1〜3μmの合成樹脂粉末を1
    〜25質量%含有していることを特徴とする接着剤によ
    る接着性の優れたアルカリ可溶型樹脂皮膜被覆亜鉛系め
    っき鋼板。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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