JPH09143640A - 電力トランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯 - Google Patents
電力トランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯Info
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- JPH09143640A JPH09143640A JP7302525A JP30252595A JPH09143640A JP H09143640 A JPH09143640 A JP H09143640A JP 7302525 A JP7302525 A JP 7302525A JP 30252595 A JP30252595 A JP 30252595A JP H09143640 A JPH09143640 A JP H09143640A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 磁気特性や熱的安定性、加工性等に優れるの
はいうまでもなく、製造性も良好な、電力トランス用鉄
心として実用的な広幅非晶質合金薄帯を安定して得る。 【解決手段】 実質的に化学式:Fea Bb Sic Cd ここで、a,b,c,dはそれぞれat%で、78.5≦a≦
81、 9.5≦b≦13、8≦c≦12.5、 0.4≦d≦1.5で示
される組成になる非晶質合金薄帯であって、該薄帯は、
鋳造ままの幅が70mm以上で、かつロールとの接触面の中
心線平均粗さRaを 0.7μm 以下とする。
はいうまでもなく、製造性も良好な、電力トランス用鉄
心として実用的な広幅非晶質合金薄帯を安定して得る。 【解決手段】 実質的に化学式:Fea Bb Sic Cd ここで、a,b,c,dはそれぞれat%で、78.5≦a≦
81、 9.5≦b≦13、8≦c≦12.5、 0.4≦d≦1.5で示
される組成になる非晶質合金薄帯であって、該薄帯は、
鋳造ままの幅が70mm以上で、かつロールとの接触面の中
心線平均粗さRaを 0.7μm 以下とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電力トランス鉄
心用の広幅非晶質合金薄帯に関し、特に安定した広幅化
を磁気特性の改善に併せて実現しようとするものであ
る。
心用の広幅非晶質合金薄帯に関し、特に安定した広幅化
を磁気特性の改善に併せて実現しようとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】今日、電力トランスの鉄心として、Fe−
B−Si系非晶質合金薄帯が使用されるようになってきて
いる。その代表組成としては、Fe:78at%(以下単に%
で示す)、B:13%、Si:9%が採用されている。
B−Si系非晶質合金薄帯が使用されるようになってきて
いる。その代表組成としては、Fe:78at%(以下単に%
で示す)、B:13%、Si:9%が採用されている。
【0003】この種Fe−B−Si系非晶質合金の組成につ
いては、これまでに数多くの改善が試みられ、例えば特
開昭57−137451号公報、特開昭61-558号公報、特開昭57
−116750号公報、特開昭54−148122号公報、特開平5−
503962号公報では、Fe,BおよびSiの成分の組み合わせ
により、特性の優れた非晶質合金薄帯が得られるとして
いる。また、特開昭58-42751号公報、特開昭55−158251
号公報、特開昭60-34620号公報では、特性組成範囲のFe
−B−Si合金に所定量のCを添加することによって、特
性の改善を図っている。
いては、これまでに数多くの改善が試みられ、例えば特
開昭57−137451号公報、特開昭61-558号公報、特開昭57
−116750号公報、特開昭54−148122号公報、特開平5−
503962号公報では、Fe,BおよびSiの成分の組み合わせ
により、特性の優れた非晶質合金薄帯が得られるとして
いる。また、特開昭58-42751号公報、特開昭55−158251
号公報、特開昭60-34620号公報では、特性組成範囲のFe
−B−Si合金に所定量のCを添加することによって、特
性の改善を図っている。
【0004】上記したように、これまで多くの成分系が
個別に提唱されてきたのであるが、その理由を推察する
と、各々の実施条件の違いによるものと考えられる。す
なわち、上記の従来技術はいずれも、20mm程度の狭い幅
の薄帯を作成して評価したものであり、しかも製造条件
がそれぞれ異なっている。この点に関する発明者らの調
査によると、薄帯の磁気特性は、その製造条件に強く影
響され、同一の成分組成でも異なる製造条件の下では、
得られる磁気特性に差異が生じることが明らかになっ
た。
個別に提唱されてきたのであるが、その理由を推察する
と、各々の実施条件の違いによるものと考えられる。す
なわち、上記の従来技術はいずれも、20mm程度の狭い幅
の薄帯を作成して評価したものであり、しかも製造条件
がそれぞれ異なっている。この点に関する発明者らの調
査によると、薄帯の磁気特性は、その製造条件に強く影
響され、同一の成分組成でも異なる製造条件の下では、
得られる磁気特性に差異が生じることが明らかになっ
た。
【0005】特に、配電用の電力トランス等に用いるべ
く、70mm以上の広幅薄帯を大量に長時間鋳造した場合に
は、実験室規模で得た狭幅薄帯とは磁気特性が異なる場
合が多いことが判明した。この理由としては、薄帯の幅
が広くなると幅方向への伝熱の割合が小さくなるため、
ロールの温度が高くなり、溶湯の冷却速度が低下するこ
とが考えられる。また、鋳造中にロールの表面粗さが劣
化し、熱伝達が阻害されて、冷却速度が低下することが
考えられる。さらに、鋳造設備の大型複雑化を避けるた
め、溶湯を1mm程度のスリット状ノズから射出する圧力
が実験室規模の装置の場合よりも小さいため、ノズルが
詰まり易く、また溶湯の流れも乱れ易いことから、表面
粗さの劣化を招く一因となっている。
く、70mm以上の広幅薄帯を大量に長時間鋳造した場合に
は、実験室規模で得た狭幅薄帯とは磁気特性が異なる場
合が多いことが判明した。この理由としては、薄帯の幅
が広くなると幅方向への伝熱の割合が小さくなるため、
ロールの温度が高くなり、溶湯の冷却速度が低下するこ
とが考えられる。また、鋳造中にロールの表面粗さが劣
化し、熱伝達が阻害されて、冷却速度が低下することが
考えられる。さらに、鋳造設備の大型複雑化を避けるた
め、溶湯を1mm程度のスリット状ノズから射出する圧力
が実験室規模の装置の場合よりも小さいため、ノズルが
詰まり易く、また溶湯の流れも乱れ易いことから、表面
粗さの劣化を招く一因となっている。
【0006】このように広幅薄帯では、鋳造条件が殊の
外厳しいため、狭幅薄帯と比べると磁気特性が劣化する
ことが多い。特に、薄帯の表面性状は、磁気特性に大き
な影響を及ぼす。例えば、薄帯の表面凹凸が大きいと、
反磁界が生じるため磁束密度の低下を招く。また、ロー
ルへの密着度が低下し、熱伝達が妨げられるため、冷却
速度が低下し、薄帯の熱的安定性が損なわれる。さら
に、溶湯の流動性など、薄帯性状や製造性に影響を及ぼ
す特性も合金組成によって変化する。そのため、広幅薄
帯の製造に際しては、合金組成の適正範囲は極めて小さ
い範囲に制限される。
外厳しいため、狭幅薄帯と比べると磁気特性が劣化する
ことが多い。特に、薄帯の表面性状は、磁気特性に大き
な影響を及ぼす。例えば、薄帯の表面凹凸が大きいと、
反磁界が生じるため磁束密度の低下を招く。また、ロー
ルへの密着度が低下し、熱伝達が妨げられるため、冷却
速度が低下し、薄帯の熱的安定性が損なわれる。さら
に、溶湯の流動性など、薄帯性状や製造性に影響を及ぼ
す特性も合金組成によって変化する。そのため、広幅薄
帯の製造に際しては、合金組成の適正範囲は極めて小さ
い範囲に制限される。
【0007】このように、電力トランス鉄心用の広幅非
晶質合金薄帯を大量に生産する場合、薄帯の磁気特性だ
けでなく、熱的安定性や加工性などの物性ならびに製造
される薄帯の性状や製造の容易さ等をも考慮しなければ
ならない。しかしながら、従来はこれらの点について検
討がなされてなく、実験室規模で狭幅薄帯を製造する場
合しか示されていないため、広幅薄帯としてはいかなる
成分組成が最適の物性および製造性を示すかは定かでは
なかった。
晶質合金薄帯を大量に生産する場合、薄帯の磁気特性だ
けでなく、熱的安定性や加工性などの物性ならびに製造
される薄帯の性状や製造の容易さ等をも考慮しなければ
ならない。しかしながら、従来はこれらの点について検
討がなされてなく、実験室規模で狭幅薄帯を製造する場
合しか示されていないため、広幅薄帯としてはいかなる
成分組成が最適の物性および製造性を示すかは定かでは
なかった。
【0008】一方、薄帯の表面性状は、製造する際の雰
囲気に影響されることが知られている。たとえば、Mate
rials Science and Engineering, A133 (1991), P.657
には、炭酸ガス雰囲気中で製造することによって、薄帯
の表面性状が改善されることが記載されている。また、
同誌、P.448 には、炭酸ガス雰囲気で製造された薄帯で
は、表面性状が改善される結果、薄帯の熱的安定性が向
上することが記述されている。しかしながら、これらの
文献では、Fe79B14Si7合金についてそれも板幅が10mmの
狭幅薄帯について言及されているだけで、広幅薄帯につ
いては何ら検討されていない。
囲気に影響されることが知られている。たとえば、Mate
rials Science and Engineering, A133 (1991), P.657
には、炭酸ガス雰囲気中で製造することによって、薄帯
の表面性状が改善されることが記載されている。また、
同誌、P.448 には、炭酸ガス雰囲気で製造された薄帯で
は、表面性状が改善される結果、薄帯の熱的安定性が向
上することが記述されている。しかしながら、これらの
文献では、Fe79B14Si7合金についてそれも板幅が10mmの
狭幅薄帯について言及されているだけで、広幅薄帯につ
いては何ら検討されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、板幅が70mm以上という実用
的な広幅薄帯としても、磁気特性や熱的安定性、加工性
等に優れるのはいうまでもなく、製造性も良好な電力ト
ランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯を提案することを目
的とする。
題を有利に解決するもので、板幅が70mm以上という実用
的な広幅薄帯としても、磁気特性や熱的安定性、加工性
等に優れるのはいうまでもなく、製造性も良好な電力ト
ランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯を提案することを目
的とする。
【0010】さて、発明者らは、上記の目的を達成すべ
く、合金薄帯の成分組成範囲については勿論、表面性状
さらには鋳造条件について数多い実験と検討を重ねた結
果、試行錯誤の末にこの発明を完成させるに至ったので
ある。
く、合金薄帯の成分組成範囲については勿論、表面性状
さらには鋳造条件について数多い実験と検討を重ねた結
果、試行錯誤の末にこの発明を完成させるに至ったので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、発明は、実質
的に化学式:Fea Bb Sic Cd ここで、a,b,c,dはそれぞれat%で、78.5≦a≦
81、 9.5≦b≦13、8≦c≦12.5、 0.4≦d≦1.5で示
される組成になる非晶質合金薄帯であって、該薄帯は、
単ロール式液体急冷法により炭酸ガスを40 vol%以上含
む雰囲気中にて鋳造され、鋳造ままの幅が70mm以上で、
かつロールとの接触面の中心線平均粗さRaが 0.7μm 以
下であることを特徴とする、電力トランス鉄心用の広幅
非晶質合金薄帯である。
的に化学式:Fea Bb Sic Cd ここで、a,b,c,dはそれぞれat%で、78.5≦a≦
81、 9.5≦b≦13、8≦c≦12.5、 0.4≦d≦1.5で示
される組成になる非晶質合金薄帯であって、該薄帯は、
単ロール式液体急冷法により炭酸ガスを40 vol%以上含
む雰囲気中にて鋳造され、鋳造ままの幅が70mm以上で、
かつロールとの接触面の中心線平均粗さRaが 0.7μm 以
下であることを特徴とする、電力トランス鉄心用の広幅
非晶質合金薄帯である。
【0012】また、この発明において、より好ましい組
成範囲は、添字a〜dで示したFe,B, SiおよびCの含
有量がそれぞれ、at%で78.5≦a≦81、10.5≦b≦12、
8≦c≦10.5、 0.5≦d≦1.0 の範囲を満足するもので
あり、さらに好ましい組成範囲は、at%で79≦a≦79.
5、11≦b≦12、8≦c≦9.5 、 0.5≦d≦1.0 の範囲
を満足するものである。
成範囲は、添字a〜dで示したFe,B, SiおよびCの含
有量がそれぞれ、at%で78.5≦a≦81、10.5≦b≦12、
8≦c≦10.5、 0.5≦d≦1.0 の範囲を満足するもので
あり、さらに好ましい組成範囲は、at%で79≦a≦79.
5、11≦b≦12、8≦c≦9.5 、 0.5≦d≦1.0 の範囲
を満足するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】さて、発明者らはまず、大型鋳造
機で50〜300mm 幅の非晶質合金薄帯を製造し、好適な広
幅薄帯が得られる製造条件を明らかにすると共に、かか
る製造条件の下で最も優れた磁気特性が得られる成分組
成範囲について検討した。その結果、薄帯の製造特に板
幅が70mm以上の広幅薄帯の製造は、炭酸ガスを含む雰囲
気下で、単ロール式液体急冷法によって行うことが有効
であることが判明した。この時、特に雰囲気中の炭酸ガ
スの濃度が重要で、炭酸ガス濃度が40 vol%以上でなけ
れば、表面性状の優れた広幅薄帯を得ることはできなか
った。この点、板厚が50mm程度の場合は、ロール温度の
上昇が小さく、またスリットからの溶湯の流れも乱れを
生じないので、この発明の成分および雰囲気条件以外の
製造条件でも問題は生じなかった。
機で50〜300mm 幅の非晶質合金薄帯を製造し、好適な広
幅薄帯が得られる製造条件を明らかにすると共に、かか
る製造条件の下で最も優れた磁気特性が得られる成分組
成範囲について検討した。その結果、薄帯の製造特に板
幅が70mm以上の広幅薄帯の製造は、炭酸ガスを含む雰囲
気下で、単ロール式液体急冷法によって行うことが有効
であることが判明した。この時、特に雰囲気中の炭酸ガ
スの濃度が重要で、炭酸ガス濃度が40 vol%以上でなけ
れば、表面性状の優れた広幅薄帯を得ることはできなか
った。この点、板厚が50mm程度の場合は、ロール温度の
上昇が小さく、またスリットからの溶湯の流れも乱れを
生じないので、この発明の成分および雰囲気条件以外の
製造条件でも問題は生じなかった。
【0014】また、薄帯の成分組成によっても表面性状
が異なることが判明した。すなわち、C含有量が 0.4%
以上になると、比較的低い炭酸ガス濃度でも表面欠陥が
格段に減少し、表面粗さが効果的に低減された。この事
実は、従来の知見からは予想できないことであり、この
発明で初めて解明された事実である。なお、炭酸ガスに
よるリボンの表面粗さ低減効果は、溶湯がロール上に作
る湯溜まり(パドル)の後面の均一酸化による、振動抑
制によるものと考えられていた。しかしながら、炭酸ガ
スとの反応が過剰な場合、大気中の酸素によって酸化さ
れた場合と同様、反応による発熱量が大きすぎて、不均
一酸化が生じ、パドル振動の抑制効果が不十分になる。
特に、広幅薄帯の製造においては、ロール温度が高く、
冷却が遅れるため、パドル振動によるリボンの表面粗さ
の増大は大きくなり易い。これに対して、Cが溶湯中に
0.4%以上含まれると、炭酸ガスの溶湯への溶解が制限
されるため、過剰な反応が生じず、その結果十分なパド
ル振動抑制効果が発現するためと考えられる。
が異なることが判明した。すなわち、C含有量が 0.4%
以上になると、比較的低い炭酸ガス濃度でも表面欠陥が
格段に減少し、表面粗さが効果的に低減された。この事
実は、従来の知見からは予想できないことであり、この
発明で初めて解明された事実である。なお、炭酸ガスに
よるリボンの表面粗さ低減効果は、溶湯がロール上に作
る湯溜まり(パドル)の後面の均一酸化による、振動抑
制によるものと考えられていた。しかしながら、炭酸ガ
スとの反応が過剰な場合、大気中の酸素によって酸化さ
れた場合と同様、反応による発熱量が大きすぎて、不均
一酸化が生じ、パドル振動の抑制効果が不十分になる。
特に、広幅薄帯の製造においては、ロール温度が高く、
冷却が遅れるため、パドル振動によるリボンの表面粗さ
の増大は大きくなり易い。これに対して、Cが溶湯中に
0.4%以上含まれると、炭酸ガスの溶湯への溶解が制限
されるため、過剰な反応が生じず、その結果十分なパド
ル振動抑制効果が発現するためと考えられる。
【0015】ついで、発明者らは、炭酸ガスを40 vol%
以上含有する雰囲気中で、Cを 0.4%以上添加した合金
を種々作成し、薄帯の製造性と磁気特性ついて検討し
た。その結果、Fe−B−Si−C系において、ある特定の
組成範囲であれば、所望の効果が得られることが究明さ
れた。以下、この発明において成分組成を上記の範囲に
限定した理由について説明する。
以上含有する雰囲気中で、Cを 0.4%以上添加した合金
を種々作成し、薄帯の製造性と磁気特性ついて検討し
た。その結果、Fe−B−Si−C系において、ある特定の
組成範囲であれば、所望の効果が得られることが究明さ
れた。以下、この発明において成分組成を上記の範囲に
限定した理由について説明する。
【0016】Fe:78.5〜81% 狭幅薄帯の場合は、Feは75%から85%までの広い範囲に
わたって、性状のよい薄帯を得ることができたが、広幅
薄帯では適正値の上限が81%に減少した。すなわち、Fe
が81%を超えた場合には、板幅中央付近の抜熱が不十分
となり、薄帯の脆化が生じた。薄帯の脆化は、板の密着
曲げ試験で評価できるが、板の中央付近では密着以前に
折れてしまう例が多い。従って、板の強度が低下し、製
造した薄帯を巻取るために張力をかけて巻き取り装置ま
で誘導する過程で破断し易くなり、大量製造には向かな
い。また薄帯をトランス鉄心に加工するために、巻いた
り、切断する際にも、板の破断、微小な薄帯細片の発生
等のトラブルの発生が懸念される。さらに、81%を超え
ると熱的安定性が低下するため、結晶化温度の低下によ
り、特に表面における薄帯の結晶化が生じて鉄損の増大
を招く不利もある。一方、磁束密度はFeの増加に伴って
向上するため、Feの下限は78.5%とした。狭幅薄帯で
は、Fe:77〜78%程度の最も非晶質形成能が高く熱的安
定性に優れる領域で最も低い鉄損が得られ、また狭幅薄
帯では表面の平滑性も容易に得られるため、磁束密度が
高く、トランス鉄心として十分と考えられる。しかしな
がら、広幅薄帯では、Fe:77〜78%の範囲では表面粗度
劣化により磁束密度が低くなるため、Fe:78.5%以上よ
り好ましくはFe:79%以上が必要となる。とはいえ、Fe
量の増加と共に、薄帯のキュリー温度が低下し、電力ト
ランスの動作温度(90〜100 ℃付近)において、飽和磁
束密度が低下する傾向があるので、電力トランスとして
の使用を考えるとFe量は79.5%以下がより好ましい。
わたって、性状のよい薄帯を得ることができたが、広幅
薄帯では適正値の上限が81%に減少した。すなわち、Fe
が81%を超えた場合には、板幅中央付近の抜熱が不十分
となり、薄帯の脆化が生じた。薄帯の脆化は、板の密着
曲げ試験で評価できるが、板の中央付近では密着以前に
折れてしまう例が多い。従って、板の強度が低下し、製
造した薄帯を巻取るために張力をかけて巻き取り装置ま
で誘導する過程で破断し易くなり、大量製造には向かな
い。また薄帯をトランス鉄心に加工するために、巻いた
り、切断する際にも、板の破断、微小な薄帯細片の発生
等のトラブルの発生が懸念される。さらに、81%を超え
ると熱的安定性が低下するため、結晶化温度の低下によ
り、特に表面における薄帯の結晶化が生じて鉄損の増大
を招く不利もある。一方、磁束密度はFeの増加に伴って
向上するため、Feの下限は78.5%とした。狭幅薄帯で
は、Fe:77〜78%程度の最も非晶質形成能が高く熱的安
定性に優れる領域で最も低い鉄損が得られ、また狭幅薄
帯では表面の平滑性も容易に得られるため、磁束密度が
高く、トランス鉄心として十分と考えられる。しかしな
がら、広幅薄帯では、Fe:77〜78%の範囲では表面粗度
劣化により磁束密度が低くなるため、Fe:78.5%以上よ
り好ましくはFe:79%以上が必要となる。とはいえ、Fe
量の増加と共に、薄帯のキュリー温度が低下し、電力ト
ランスの動作温度(90〜100 ℃付近)において、飽和磁
束密度が低下する傾向があるので、電力トランスとして
の使用を考えるとFe量は79.5%以下がより好ましい。
【0017】B:9.5 〜13% Bは、非晶質を形成させる元素として不可欠な元素であ
る。Bを 9.5%以上含有しない合金は、非晶質形成能が
低く、広幅薄帯の場合、脆化や鉄損の増大といった問題
が生じる。従って、Bは 9.5%以上、より好ましくは1
0.5%以上が必要である。しかしながら、Bが多すぎで
も、歪取り焼鈍後の薄帯の脆化が激しくなり、トランス
加工時に問題が起きるので、Bは13%以下とした。な
お、歪取り焼鈍後の薄帯の加工性が最も良好なのは10.5
〜12%の範囲である。
る。Bを 9.5%以上含有しない合金は、非晶質形成能が
低く、広幅薄帯の場合、脆化や鉄損の増大といった問題
が生じる。従って、Bは 9.5%以上、より好ましくは1
0.5%以上が必要である。しかしながら、Bが多すぎで
も、歪取り焼鈍後の薄帯の脆化が激しくなり、トランス
加工時に問題が起きるので、Bは13%以下とした。な
お、歪取り焼鈍後の薄帯の加工性が最も良好なのは10.5
〜12%の範囲である。
【0018】Si:8〜12.5% 溶湯の流動性はSi含有量の増加に伴って向上する。幅:
70mm以上の薄帯を製造する場合には、Siを8%以上より
好ましくは9%以上とする必要がある。というのは、こ
れにより、ノズル詰まり等の操業トラブルが回避され、
さらに、射出圧力が低い場合でも、スリットからの流れ
が筋状になりにくくなるため、薄帯の自由面側の表面粗
さも改善され、ひいては板厚偏差が低減され、薄帯の冷
却速度が向上するため、磁束密度も増加するからであ
る。
70mm以上の薄帯を製造する場合には、Siを8%以上より
好ましくは9%以上とする必要がある。というのは、こ
れにより、ノズル詰まり等の操業トラブルが回避され、
さらに、射出圧力が低い場合でも、スリットからの流れ
が筋状になりにくくなるため、薄帯の自由面側の表面粗
さも改善され、ひいては板厚偏差が低減され、薄帯の冷
却速度が向上するため、磁束密度も増加するからであ
る。
【0019】C:0.4 〜1.5 % Cを 0.4%以上添加することにより、炭酸ガス雰囲気下
で製板した際の表面粗度改善効果を飛躍的に高めること
ができる。しかし、過度の添加は鉄損の増大および熱的
安定性の劣化を招くため、 1.5%以下好ましくは 1.0%
以下に止める必要がある。
で製板した際の表面粗度改善効果を飛躍的に高めること
ができる。しかし、過度の添加は鉄損の増大および熱的
安定性の劣化を招くため、 1.5%以下好ましくは 1.0%
以下に止める必要がある。
【0020】以上の理由により、電力トランスの鉄心と
して用いるためには、Fe:78.5〜81%、B:9.5 〜13
%、Si:8〜12.5%、C:0.4 〜1.5 %とする必要があ
る。また、磁気特性、表面性状および焼鈍後の加工性に
一層優れた薄帯を得るためには、B:10.5〜12%、C:
0.5 〜1%にするのが好ましい。さらに、最良の磁気特
性を得るためには、Fe:79〜79.5%、B:11〜12%とす
るのが望ましい。
して用いるためには、Fe:78.5〜81%、B:9.5 〜13
%、Si:8〜12.5%、C:0.4 〜1.5 %とする必要があ
る。また、磁気特性、表面性状および焼鈍後の加工性に
一層優れた薄帯を得るためには、B:10.5〜12%、C:
0.5 〜1%にするのが好ましい。さらに、最良の磁気特
性を得るためには、Fe:79〜79.5%、B:11〜12%とす
るのが望ましい。
【0021】なお、この発明で示された合金成分は、従
来行われてきた狭幅薄帯の評価で明らかとされた高特性
を示す成分範囲とは異なっている。すなわち、表1に示
すように、狭幅薄帯では、この発明の範囲の合金Aより
も、B,Dの方が低鉄損を示す。しかし、広幅薄帯では
逆によりB量が多くSi量が少ない組成B,Cは、薄帯の
表面粗度が劣るため、鉄損および磁束密度とも劣化し、
またよりFe量が少ない成分B,Dは磁束密度の不足が生
じ、この発明の合金成分の薄帯よりも劣っている。ま
た、Cが添加されていないEは薄帯の表面正常が改善さ
れないためB8 が低く、C添加量が過剰のFでは鉄損が
増加している。なお、広幅では製板性を重視してSiを増
すため相対的にBが減る。かかる知見は、これまでの公
知文献からは予想できないものであり、この発明で初め
て解明された事実である。
来行われてきた狭幅薄帯の評価で明らかとされた高特性
を示す成分範囲とは異なっている。すなわち、表1に示
すように、狭幅薄帯では、この発明の範囲の合金Aより
も、B,Dの方が低鉄損を示す。しかし、広幅薄帯では
逆によりB量が多くSi量が少ない組成B,Cは、薄帯の
表面粗度が劣るため、鉄損および磁束密度とも劣化し、
またよりFe量が少ない成分B,Dは磁束密度の不足が生
じ、この発明の合金成分の薄帯よりも劣っている。ま
た、Cが添加されていないEは薄帯の表面正常が改善さ
れないためB8 が低く、C添加量が過剰のFでは鉄損が
増加している。なお、広幅では製板性を重視してSiを増
すため相対的にBが減る。かかる知見は、これまでの公
知文献からは予想できないものであり、この発明で初め
て解明された事実である。
【0022】次に、この発明の合金薄帯の好適製造条件
について説明する。上記した好適成分組成範囲に調製し
た溶湯を、単ロール式液体急冷法により薄帯とする。単
ロール法によって製造される薄帯の性状は、主に、スリ
ットノズル形状、ノズルとロールとの間隙、溶湯の射出
圧力、ロール周速および溶湯温度により決定される。薄
帯の品質は、板厚と表面粗さの影響を大きく受け、板厚
を25±3μm、表面粗さをRa:0.7 μm 以下にするのが
好ましい。従って、前述の製造条件を適正範囲に制御す
る必要がある。特に、広幅薄帯を製造する場合は、溶湯
射出圧力がスリットノズルを取り付けたタンディッシュ
における溶湯液面高さで決定されるため、 0.1〜0.3 kg
f/cm2 程度の比較的低い射出圧力となるのが特徴であ
る。このとき、スリットノズルの開口部厚みを 0.7〜1.
2 mmとして、ノズルとロールの間隙を0.05〜0.15mmの範
囲で制御し、ロール周速を18〜28 m/sの範囲で制御する
のが、薄帯の板厚、表面粗さを適正にするのに好適であ
る。このとき、溶湯が薄帯進行方向に対して 100〜130
°の傾きを持つように射出されるように湯道をロール法
線方向から傾けて配置すると、溶湯のノズル後方への漏
出(パドルブレイク)を防ぎ易い。また、溶湯温度は、
スリットノズル内で溶湯の液相線温度より50〜150 ℃程
度高い温度になるように、取鍋またはタンディッシュ内
の温度を制御することが望ましい。
について説明する。上記した好適成分組成範囲に調製し
た溶湯を、単ロール式液体急冷法により薄帯とする。単
ロール法によって製造される薄帯の性状は、主に、スリ
ットノズル形状、ノズルとロールとの間隙、溶湯の射出
圧力、ロール周速および溶湯温度により決定される。薄
帯の品質は、板厚と表面粗さの影響を大きく受け、板厚
を25±3μm、表面粗さをRa:0.7 μm 以下にするのが
好ましい。従って、前述の製造条件を適正範囲に制御す
る必要がある。特に、広幅薄帯を製造する場合は、溶湯
射出圧力がスリットノズルを取り付けたタンディッシュ
における溶湯液面高さで決定されるため、 0.1〜0.3 kg
f/cm2 程度の比較的低い射出圧力となるのが特徴であ
る。このとき、スリットノズルの開口部厚みを 0.7〜1.
2 mmとして、ノズルとロールの間隙を0.05〜0.15mmの範
囲で制御し、ロール周速を18〜28 m/sの範囲で制御する
のが、薄帯の板厚、表面粗さを適正にするのに好適であ
る。このとき、溶湯が薄帯進行方向に対して 100〜130
°の傾きを持つように射出されるように湯道をロール法
線方向から傾けて配置すると、溶湯のノズル後方への漏
出(パドルブレイク)を防ぎ易い。また、溶湯温度は、
スリットノズル内で溶湯の液相線温度より50〜150 ℃程
度高い温度になるように、取鍋またはタンディッシュ内
の温度を制御することが望ましい。
【0023】このとき、雰囲気中の炭酸ガス濃度は40 v
ol%以上とする必要がある。というのは、炭酸ガス濃度
が40 vol%に満たないと、薄帯の表面(ロール面)に気
泡を巻き込んで形成された凹み(エアーポケット)が大
量に生じ、表面粗さが増大するためである。このとき、
エアーポケットは、薄帯からロールへの伝熱を低下させ
るため、冷却速度が低下し、特に広幅薄帯の場合は、薄
帯中央部付近で脆化等の問題が生じ易くなる。ここで、
炭酸ガスは、ノズル後方(薄帯の進行方向の上流側)か
らノズルとロールの間に向けて吹き付けるのが良い。ま
た、急冷凝固後に 350〜400 ℃の範囲において磁場中焼
鈍を施すことは、薄帯の冷却時の歪を除去し、磁気特性
を向上させる上でより有利である。なお、この発明に示
された各合金元素の組成範囲は、工業的製造条件の変動
および分析精度の不確定性により、若干の増減があり得
る。また、この発明の明示されていない微量な不純物元
素は、一般的な工業規模で製造される原料の純度に依存
する。
ol%以上とする必要がある。というのは、炭酸ガス濃度
が40 vol%に満たないと、薄帯の表面(ロール面)に気
泡を巻き込んで形成された凹み(エアーポケット)が大
量に生じ、表面粗さが増大するためである。このとき、
エアーポケットは、薄帯からロールへの伝熱を低下させ
るため、冷却速度が低下し、特に広幅薄帯の場合は、薄
帯中央部付近で脆化等の問題が生じ易くなる。ここで、
炭酸ガスは、ノズル後方(薄帯の進行方向の上流側)か
らノズルとロールの間に向けて吹き付けるのが良い。ま
た、急冷凝固後に 350〜400 ℃の範囲において磁場中焼
鈍を施すことは、薄帯の冷却時の歪を除去し、磁気特性
を向上させる上でより有利である。なお、この発明に示
された各合金元素の組成範囲は、工業的製造条件の変動
および分析精度の不確定性により、若干の増減があり得
る。また、この発明の明示されていない微量な不純物元
素は、一般的な工業規模で製造される原料の純度に依存
する。
【0024】
【実施例】表1に示すA〜Dの組成になる合金溶湯か
ら、下記の条件に従う単ロール式液体急冷法により、
幅:70〜300 mm、厚み:24〜26μm の合金薄帯を製造し
た。得られた薄帯を、単板あるいはトロイダルコアとし
て磁場中焼鈍を施した後、表面粗さ、鉄損及び磁束密度
を測定した。 製造条件 ・溶解;合金インゴットを誘導加熱式溶解炉で溶解、50
0kg /ヒート ・冷却ロール;銅合金製、内部水冷式:φ500mm ×370m
m ・射出ノズル;耐火物製ノズルの先端にセラミックス製
スリットノズル、スリットは70〜300mm 幅×0.8 mm ・製板条件;ノズルスリット底面とロール表面間の隙間
0.1mm ・雰囲気制御;ノズル出口部分をチャンバーで覆い、ノ
ズル後方より炭酸ガスを吹き付ける、ノズル直近にて炭
酸ガス濃度測定 ・巻き取り;リールにより巻き取り ・焼鈍条件;窒素雰囲気中、焼鈍温度は 300〜420 ℃で
変化させ最適条件を探索、1.5 時間等温保持、薄帯の長
手方向に直流磁場20Oeを印加 ・磁気測定;単板磁気測定装置で薄帯を90℃(電力トラ
ンスの動作温度)にし、50Hzにおいて、1.3T励磁時の鉄
損(W13/50)、および磁場800A/m下における磁束密度
(B8)を測定 ・表面粗さ測定;接針式粗さ計により、薄帯のロール面
および自由面の中央部および両端部を5点ずつ測定した
平均値(ばらつき:±0.05μ) ・脆化評価方法;薄帯を曲げ、2枚の平衡板によって、
曲げ直径を小さくしていき、割れが生じたときの平行板
の間隔で評価
ら、下記の条件に従う単ロール式液体急冷法により、
幅:70〜300 mm、厚み:24〜26μm の合金薄帯を製造し
た。得られた薄帯を、単板あるいはトロイダルコアとし
て磁場中焼鈍を施した後、表面粗さ、鉄損及び磁束密度
を測定した。 製造条件 ・溶解;合金インゴットを誘導加熱式溶解炉で溶解、50
0kg /ヒート ・冷却ロール;銅合金製、内部水冷式:φ500mm ×370m
m ・射出ノズル;耐火物製ノズルの先端にセラミックス製
スリットノズル、スリットは70〜300mm 幅×0.8 mm ・製板条件;ノズルスリット底面とロール表面間の隙間
0.1mm ・雰囲気制御;ノズル出口部分をチャンバーで覆い、ノ
ズル後方より炭酸ガスを吹き付ける、ノズル直近にて炭
酸ガス濃度測定 ・巻き取り;リールにより巻き取り ・焼鈍条件;窒素雰囲気中、焼鈍温度は 300〜420 ℃で
変化させ最適条件を探索、1.5 時間等温保持、薄帯の長
手方向に直流磁場20Oeを印加 ・磁気測定;単板磁気測定装置で薄帯を90℃(電力トラ
ンスの動作温度)にし、50Hzにおいて、1.3T励磁時の鉄
損(W13/50)、および磁場800A/m下における磁束密度
(B8)を測定 ・表面粗さ測定;接針式粗さ計により、薄帯のロール面
および自由面の中央部および両端部を5点ずつ測定した
平均値(ばらつき:±0.05μ) ・脆化評価方法;薄帯を曲げ、2枚の平衡板によって、
曲げ直径を小さくしていき、割れが生じたときの平行板
の間隔で評価
【0025】得られた結果を表1に併記する。
【表1】
【0026】同表より明らかなように、この発明の成分
組成を満足するA鋼は、狭幅薄帯の場合はともかく、広
幅薄帯とした場合に、鉄損および磁束密度とも優れた値
が得られた。
組成を満足するA鋼は、狭幅薄帯の場合はともかく、広
幅薄帯とした場合に、鉄損および磁束密度とも優れた値
が得られた。
【0027】次に図1に、Fe79B11.5Si9 C0.5(発明
例)およびFe79B11.9Si9 C0.1(比較例)組成の製板時
における雰囲気中CO2 濃度と表面粗さとの関係について
調べた結果を示す。同図から明らかなように、Cを添加
した合金を炭酸ガス濃度40%以上の雰囲気で製板した場
合には、Raが0.7 μm 以下となり、ロールとの接触面積
が増し、薄帯の冷却が促進されている。
例)およびFe79B11.9Si9 C0.1(比較例)組成の製板時
における雰囲気中CO2 濃度と表面粗さとの関係について
調べた結果を示す。同図から明らかなように、Cを添加
した合金を炭酸ガス濃度40%以上の雰囲気で製板した場
合には、Raが0.7 μm 以下となり、ロールとの接触面積
が増し、薄帯の冷却が促進されている。
【0028】図2〜4にはそれぞれ、Fe79B10.5Si
10.5-XCX 組成の合金について、表面粗さ、鉄損W
13/50 および磁束密度B8 に対するC添加量の適正範囲
について調査した結果を示す。 同図に示したとおり、
Cの適正添加量は 0.4〜1.5 %好ましくは 0.5〜1.0 %
であることが判明した。これにより、Raが 0.7μm 以下
となり、磁束密度および鉄損とも大幅に向上する。
10.5-XCX 組成の合金について、表面粗さ、鉄損W
13/50 および磁束密度B8 に対するC添加量の適正範囲
について調査した結果を示す。 同図に示したとおり、
Cの適正添加量は 0.4〜1.5 %好ましくは 0.5〜1.0 %
であることが判明した。これにより、Raが 0.7μm 以下
となり、磁束密度および鉄損とも大幅に向上する。
【0029】図5には、Fe79B20.5-ySiy C0.5 組成の
合金について、Si含有量とRaとの関係について調べた結
果を示すが、同図によれば、Si含有量が8%よりも多い
ほうが薄帯の自由面の表面粗さが小さくなる。この理由
は、溶湯の流動性が向上し、薄帯の自由面に発生する筋
状の凹凸が減少したためである。
合金について、Si含有量とRaとの関係について調べた結
果を示すが、同図によれば、Si含有量が8%よりも多い
ほうが薄帯の自由面の表面粗さが小さくなる。この理由
は、溶湯の流動性が向上し、薄帯の自由面に発生する筋
状の凹凸が減少したためである。
【0030】図6,7にはそれぞれ、FeZ B10.5Si89-Z
C0.5 組成の合金について、Fe含有量とB8 およびW
13/50 との関係について調べた結果を示すが、同図によ
れば、Fe含有量の増加と共に磁束密度も増加し、78.5〜
81%で最も高い値を示す。特に、Fe含有量79〜79.5%
で、鉄損が最も小さく、磁束密度が最も高い薄帯が得ら
れる。
C0.5 組成の合金について、Fe含有量とB8 およびW
13/50 との関係について調べた結果を示すが、同図によ
れば、Fe含有量の増加と共に磁束密度も増加し、78.5〜
81%で最も高い値を示す。特に、Fe含有量79〜79.5%
で、鉄損が最も小さく、磁束密度が最も高い薄帯が得ら
れる。
【0031】図8,9にはそれぞれ、Fe79B20.5-ySiy
C0.5 組成の合金について、B量と脆化度Df および鉄
損W13/50 との関係について調べた結果を示すが、同図
によれば、B含有量が12%を超えると、歪み取り焼鈍後
の非晶質薄帯の脆化が大きくなっている。
C0.5 組成の合金について、B量と脆化度Df および鉄
損W13/50 との関係について調べた結果を示すが、同図
によれば、B含有量が12%を超えると、歪み取り焼鈍後
の非晶質薄帯の脆化が大きくなっている。
【0032】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、磁気特性、
熱的安定性および加工性に優れ、かつ製造性にも優れた
広幅非晶質合金薄帯を安定して得ることができ、電力ト
ランス用の磁心材料として極めて有用である。
熱的安定性および加工性に優れ、かつ製造性にも優れた
広幅非晶質合金薄帯を安定して得ることができ、電力ト
ランス用の磁心材料として極めて有用である。
【図1】炭酸ガス濃度と薄帯のロール面の表面粗さとの
関係を示した図である。
関係を示した図である。
【図2】C含有量と薄帯のロール面の表面粗さとの関係
を示した図である。
を示した図である。
【図3】C含有量と薄帯の鉄損との関係を示した図であ
る。
る。
【図4】C含有量と薄帯の磁束密度との関係を示した図
である。
である。
【図5】Si含有量と薄帯の自由面の表面粗度との関係を
示した図である。
示した図である。
【図6】Fe含有量と薄帯の磁束密度との関係を示した図
である。
である。
【図7】Fe含有量と薄帯の鉄損との関係を示した図であ
る。
る。
【図8】B含有量と歪取り焼鈍の薄帯の脆化との関係を
示した図である。
示した図である。
【図9】B含有量と歪取り焼鈍の薄帯の鉄損との関係を
示した図である。
示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 実質的に化学式:Fea Bb Sic Cd ここで、a,b,c,dはそれぞれat%で、78.5≦a≦
81、 9.5≦b≦13、8≦c≦12.5、 0.4≦d≦1.5で示
される組成になる非晶質合金薄帯であって、該薄帯は、
単ロール式液体急冷法により炭酸ガスを40 vol%以上含
む雰囲気中にて鋳造され、鋳造ままの幅が70mm以上で、
かつロールとの接触面の中心線平均粗さRaが 0.7μm 以
下であることを特徴とする、電力トランス鉄心用の広幅
非晶質合金薄帯。 - 【請求項2】 請求項1において、添字a〜dで示した
Fe, B, SiおよびCの含有量がそれぞれ、at%で78.5≦
a≦81、10.5≦b≦12、8≦c≦10.5、 0.5≦d≦1.0
の範囲を満足するものである、電力トランス鉄心用の広
幅非晶質合金薄帯。 - 【請求項3】 請求項1において、添字a〜dで示した
Fe, B, SiおよびCの含有量がそれぞれ、at%で79≦a
≦79.5、11≦b≦12、8≦c≦9.5 、 0.5≦d≦1.0 の
範囲を満足するものである、電力トランス鉄心用の広幅
非晶質合金薄帯。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7302525A JPH09143640A (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 電力トランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7302525A JPH09143640A (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 電力トランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09143640A true JPH09143640A (ja) | 1997-06-03 |
Family
ID=17910020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7302525A Pending JPH09143640A (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 電力トランス鉄心用の広幅非晶質合金薄帯 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09143640A (ja) |
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-
1995
- 1995-11-21 JP JP7302525A patent/JPH09143640A/ja active Pending
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