JP4969808B2 - 磁気特性に優れた鉄系非晶質薄帯の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄系溶融金属を高速回転中の冷却ロールの表面で急冷凝固させて、磁気特性に優れた鉄系非晶質薄帯を製造する方法と装置に関するものである。
鉄系溶融金属を高速回転中の冷却ロールの表面で急冷凝固させて非晶質薄帯を製造する方法として、遠心急冷法、単ロール法、双ロール法等が知られているが、これらの方法により製造される非晶質合金薄帯の磁気特性や機械特性は、成分組成に依存することは勿論のこと、非晶質薄帯自身の冷却速度にも大きく依存する。
それ故、従来、冷却速度向上のために、冷却ロールによる冷却途中、又は、薄帯が冷却ロールから離れた後の薄帯搬送途中で、非晶質薄帯又は冷却ロールを、二次的手段を用いて冷却する方法が幾つか提案された(特許文献1〜4、参照)。
しかし、これらの方法は、冷却設備の制御が難しい、冷却設備コストが高い、又は、冷却能力が低い等の課題を抱えていた。
そこで、本出願人は、これらの課題を解決する二次冷却方法として、巻き取る前の薄板の温度をオンラインで測定し、薄帯温度が200℃超である場合に、気化温度200℃以下で、平均粒径500μm以下の微小粒液体(水、アルコール類、これらの混合体)を含有したガスを薄帯表面に直接吹付ける方法を、特許文献5で提案した。
この方法によれば、非晶質薄帯の冷却速度を、オンラインで適確に制御することができるので、磁気特性及び機械特性に優れた非晶質薄帯を生産性よく製造することができるが、別途、微小粒液体を完全に気化するオンライン制御装置や、微小粒液体を含むガスの飛散を防止するガス飛散防止設備等を必要とするので、冷却設備コストが増加する。
また、本出願人は、単ロール法による非晶質薄帯の製造において、巻き取り後の自己焼鈍による特性劣化(特に、割れや破断)を抑制するため、巻き取り直前の非晶質薄帯を250℃以下まで冷却する方法を、特許文献6で提案した。
非晶質薄帯の温度を250℃以下に冷却することで、該薄帯の自己焼鈍による特性劣化を防止することができる。しかしながら、例えば、凝固直後の非晶質薄帯を、冷却速度を大きくし100℃以下に冷却する場合、自己焼鈍による劣化は生じないが、冷却ロール上における非晶質薄帯の冷却速度が大きくなり過ぎ、該薄帯には、過冷却に起因する歪が生じ、逆に、磁気特性が悪化する。
上記方法の一態様においては、非晶質薄帯の剥離位置を調整し、非晶質薄帯を250℃以下まで冷却するが、非晶質帯の剥離位置が異なると、非晶質薄帯の巻取位置を変更する必要があり、製造した非晶質薄帯の巻き取りが難しくなる。
また、非晶質帯の剥離位置を一定とするために、二次的冷却手段(例えば、二次冷却ロール、冷却ガス噴きつけ装置等)を配置すれば、設備コストが上昇するだけでなく、非晶質薄帯の通板制御も困難となる。
また、本出願人は、特許文献7にて、非晶質薄帯の磁気特性の改善を図る方法として、溶融金属の融点から150℃以上320℃以下の温度範囲までは、少なくとも103℃/sec以上の平均冷却速度で冷却し、非晶質薄帯の温度が150℃以上320℃以下、好ましくは200℃以上250℃以下の範囲になった時に、冷却ロールから非晶質薄帯を剥離して巻き取る方法を提案した。
しかし、上記方法は、冷却速度が大きすぎる場合には、非晶質薄帯に、過冷却に起因する歪を与え、磁気特性を悪化させる。
特開昭55−33816号公報 特開昭56−126052号公報 特開昭56−160859号公報 特開昭58−176061号公報 特開平8−215817号公報 特開2002−361375号公報 特開平10−277710号公報
本発明は、上記課題の解決を図るため、二次的冷却手段を用いずに、所要の熱伝導率及び肉厚を有する冷却ロールを用い、急冷凝固後の非晶質薄帯の冷却において、非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さを適正化することにより、適正な冷却パターン及び冷却速度を確保し、磁気特性に優れた鉄系非晶質薄帯を製造する方法と装置を提供することを目的とする。
本発明者は、二次的冷却手段による薄帯冷却制御や、薄帯を巻き取る直前の薄帯温度制御が、優れた磁気特性の確保の点で必ずしも奏効しないことに鑑み、二次的冷却手段を用いずに、磁気特性の劣化を生じさせることなく非晶質薄帯を冷却する方法及び装置について鋭意研究した。
その結果、本発明者は、特定の熱伝導率で、かつ、所要のロール肉厚を有する冷却ロールを用い、非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さを所定の長さ以上に制御すれば、(i)鉄系非晶質薄帯の磁気特性が良好となる冷却パターンを形成することができ、その結果、(ii)磁気特性に優れた鉄系非晶質薄帯を製造することができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)鉄系溶融金属を高速回転中の冷却ロールの表面で急冷凝固させて非晶質薄帯を製造する方法において
(a)熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用い、
(b)前記冷却ロールが、直径800mm以上、1500mm以下の冷却ロールであり、
(c)鉄系溶融金属が凝固し非晶質薄帯が形成される凝固開始点から、該薄帯が冷却ロー ルから剥離するまでの間の、上記薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを、
R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)
かつ、冷却ロール周長の1/3以下
に制御し、
(d)前記剥離直後の鉄系非晶質薄帯の温度が、100℃以上、250℃以下である
ことを特徴とする鉄系非晶質薄帯の製造方法。
(2)前記冷却ロールが、内部水冷構造の冷却ロールであることを特徴とする(1)に記載の鉄系非晶質薄帯の製造方法。
(3)前記急冷凝固の後、凝固点温度から250℃までを、平均冷却速度3.0×10〜6.0×10℃/secで冷却することを特徴とする(1)又は(2)に記載の鉄系非晶質薄帯の製造方法。
(4)鉄系溶融金属を、高速回転中の冷却ロールの表面で急冷凝固させて非晶質薄帯を製造する装置において、
(a)熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉
厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロール、及び、
(b)前記冷却ロールが、直径800mm以上、1500mm以下の冷却ロールであり、
(c)鉄系溶融金属が凝固し非晶質薄帯が形成される凝固開始点から、該薄帯が冷却ロー ルから剥離するまでの間の、上記薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを
R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)
かつ、冷却ロール周長の1/3以下
に制御し、前記剥離直後の鉄系非晶質薄帯の温度を、100℃以上、250℃以下に制御する制御装置
を備えることを特徴とする鉄系非晶質薄帯の製造装置。
(5)前記冷却ロールが、内部水冷構造の冷却ロールであることを特徴とする(4)に記載の鉄系非晶質薄帯の製造装置。
本発明によれば、特定の熱伝導率で、かつ、所要のロール肉厚を有する冷却ロールを用い、鉄系非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さを所定の長さ以上に制御すれば、二次的冷却手段を必要とせずに、磁気特性に優れた非晶質薄帯を製造することができる。したがって、本発明は、設備コストの低減、製造歩留まりの向上、生産性の向上等を達成し、前記課題を解決するものである。
本発明について、図面に基づいて説明する。図1に、単ロール法による本発明の一態様を示す。
図1に示す単ロール法では、冷却ロール2の円周面に近接して、鉄系溶融金属を収容するタンディッシュ3に接合されたノズル4を配置し、ノズル4から、鉄系溶融金属を、高速回転している冷却ロール2の周面に噴出して、急冷凝固させ、所定厚さの鉄系非晶質薄帯1を連続的に製造する。
鉄系非晶質薄帯1は、巻取装置5で連続的に巻き取られるが、この時、鉄系非晶質薄帯を、冷却ロール2の円周面の剥離点Z、即ち、急冷凝固後の鉄系非晶質薄帯1と冷却ロール2との接触長さLz(ノズル4の位置から剥離点Zまでの冷却ロール円弧長さ)を、下記式を満たすように制御する。
R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)
本発明においては、(i)熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用いる点、及び、該冷却ロールの採用と関連して、(ii)非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを、上記式に従って設定する点が特徴である。
本発明においては、上記特徴点が相俟って、鉄系非晶質帯において優れた磁気特性を確保することができる。
上記冷却ロールとして、好ましくは、直径800mm以上、1500mm以下の内部水冷構造の冷却ロール、更に好ましくは、1000mm以上、1500mm以下の内部水冷構造の冷却ロールを用いると、鉄系非晶質帯の磁気特性がより優れたものとなる。
以下に、上記特徴点が相俟って、鉄系非晶質帯の磁気特性が向上する理由について説明する。
図3に、温度T2の鉄系溶融金属を冷却ロール上で急冷凝固せしめ、温度T1まで冷却した時の鉄系非晶質薄帯の冷却曲線Czを模式的に示す。
冷却曲線Czが図中のA領域にあれば、冷却速度が速いので、鉄系溶融金属は非晶質化し易いが、一方で、冷却過程で急冷却状態となり、鉄系非晶質薄帯に冷却による残留応力が入り、磁気特性が劣化する。したがって、冷却後の鉄系非晶質薄帯において、優れた磁気特性を確保するためには、冷却曲線Czを上限臨界冷却曲線Caより上に維持する必要がある。
また、冷却曲線Czが図中のB領域にあれば、緩冷却状態となり、鉄系溶融金属が完全に非晶質とならず、一部結晶質となる。非晶質状態の中に結晶質が混在すると、磁気特性が劣化するばかりでなく、脆性等の機械特性も劣化する。したがって、冷却後の鉄系非晶質薄帯において、優れた磁気特性を確保するには、冷却曲線Czを、下限臨界冷却曲線Cbより下に維持する必要がある。
結局、優れた磁気特性を確保するためには、冷却曲線Czを、上限臨界冷却曲線Caと下限臨界冷却曲線Cbの間に維持しなければならない。
さらに、優れた磁気特性を確保し、その磁気特性劣化を防止するためには、上記冷却曲線を、上限臨界冷却曲線Caと下限臨界冷却曲線Cbの間に維持した上で、冷却ロールから剥離した直後の鉄系非晶質薄帯の温度を、所定の温度範囲とする必要がある。
冷却曲線が適正範囲にあったとしても、剥離直後の鉄系非晶質薄帯の温度が、図3に示す上限臨界温度T0Hよりも高い温度となった場合は、冷却曲線が領域C(自己焼鈍領域)の範囲に入り、非晶質薄帯は自己焼鈍により特性が劣化する。
一方、剥離直後の非晶質薄帯の温度が、下限臨界温度T0Lより低い場合は、図中の領域A(急冷却領域)を通過することになり、残留応力により磁気特性が劣化する。
冷却ロールと冷却曲線及び剥離直後の温度の関係は一義的に決まらないので、本発明者は、冷却ロールの熱伝導率、冷却ロールの肉厚、非晶質薄帯の厚さ、冷却ロールの周速、接触長さ、鉄系溶融金属を冷却ロールに噴出する温度等を種々変えた実験を行い、製造条件と鉄系非晶質薄帯の磁気特性との関係を調査、解析した。
その結果、本発明者は、熱伝導が80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用いた場合、好ましくは、該肉厚で内部水冷構造の冷却ロールを用いた場合、非晶質薄帯の板厚、冷却ロールの速度、鉄系溶融金属を冷却ロールの噴出する温度等にかかわらず、非晶質帯において、良好な磁気特性を確保できることが判明した。
さらに、上記関係を詳細に整理、解析した結果、前述の上限臨界冷却曲線Caと下限臨界冷却曲線Cbの範囲は、急冷凝固の後、凝固点温度から250℃までの平均冷却速度として、3.0×103〜6.0×104℃/secの範囲であること、さらに、前記剥離直後の鉄系非晶質薄帯の温度が100℃以上、250℃以下の場合、良好な磁気特性に加え、良好な機械特性を示すことを見出した。
次に、上記範囲の熱熱伝導率を有する冷却ロールの採用に関連して、鉄系非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを、R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)とする点について、図3に基づいて説明する。
鉄系非晶質薄帯は、冷却ロールと接触して接触長さLz分回転して移動する間に、冷却曲線Czに従い温度T1まで冷却され、その後、冷却ロールの円周面から剥離されて巻き取られる。
前述したように、冷却ロール上で所定の冷却パターンで冷却して形成した磁気特性、機械特性とも良好な非晶質薄帯において、巻き取り後も、これら良好な特性を維持するためには、鉄系非晶質薄帯を冷却ロールの円周面から剥離した後、鉄系非晶質薄帯が、自己焼鈍を起こさないようにすることが必要である。
鉄系非晶質薄帯では、剥離直後の温度が250℃超となった場合、巻き取りまでに、二次的冷却等により、250℃以下に冷却しなければ、巻き取り後の自己焼鈍により、特性劣化(特には、脆化による割れや破断等)が生じる。
二次的冷却装置を用いるとは、前述したように、設備コストが上昇するだけでなく、非晶質薄帯の通板制御も困難となるため、本発明者は、これに代わる方法や、装置を検討したが、結局、冷却ロールのみで二次的冷却機能も付与するという考えに至った。
つまり、冷却パターンを適正化するために、熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用い、好ましくは、該肉厚の内部水冷構造の冷却ロールを用い、さらに、鉄系非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを、二次的冷却機能が不要となるまでの冷却を確保できる接触長さとすることで、二次的冷却手段を用いることなく、鉄系非晶質薄帯の剥離直後の温度を250℃以下とすることができる可能性を見出した。
そこで、本発明者は、前述の実験結果において、鉄系非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さと、剥離直後の温度の観点から整理を行い、接触製造条件と鉄系非晶質薄帯の磁気特性及び機械特性との関係を詳細に解析した。
その結果、鉄系非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを、R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)とすることで、二次的冷却手段を用いることなく、非晶質薄帯の板厚、冷却ロールの速度、鉄系溶融金属を冷却ロールの噴出する温度等にかかわらず、鉄系非晶質薄帯の剥離直後の温度を250℃以下にできることが判明した。
また、熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用いることにより、下限臨界冷却速度〜上限臨界冷却速度の範囲が、3.0×103〜6.0×104℃/secで維持され、かつ、鉄系非晶質薄帯の剥離直後温度が100℃以上となり、その結果、良好な磁気特性を維持することができることが判明した。
製造時間が長い場合には、非晶質薄帯の製造進行に伴い、冷却ロールが溶融金属により加熱されるので、安定した特性を得るためには、冷却ロールの温度を一定とすることができる内部水冷構造の冷却ロールを用いることが好ましい。
冷却ロールの直径が小さいと、物理的に接触長さLzが短くなり、冷却ロール周速等の条件によっては、冷却速度が小さくなり、冷却曲線を、磁気特性が良好となる温度領域内に制御することが難しくなるので、冷却ロールの直径は、800mm以上とすることが好ましく、さらに、1000mm以上とすることが好ましい。
また、冷却ロールの直径が大きくなると、冷却速度や、剥離直後温度の制御幅が広がるが、冷却ロールの素材として一般に銅合金を使用しているため、冷却ロールの直径が大きくなればなるほど高価となり、実用的ではない。冷却速度や、剥離直後温度の制御において充分な余裕をもち、かつ、冷却ロールの価格を抑制するためには、1500mm以下の冷却ロールが好ましい。
非晶質薄帯を巻き取る場合、巻取ロールを、例えば、図1のように、冷却ロールを挟んで、ノズル4と対角の位置に設置すると、非晶質薄帯の巻き太りにより接触長さLzが変動した場合でも、冷却ロールのみで二次的冷却機能を維持することが可能となり、設備上の制約が生じない。
図2に、タンディッシュ3が冷却ロール2の頂上に配置されている別の態様を示すが、基本的には、図1に示す態様と同じである。なお、Lzは、冷却ロールの周長の1/2を超えてもよい。
鉄系溶融金属としては、Feを主成分とし、他に、Si、B、C、の少なくとも1種又は2種以上、P、S、Mn、Ni、Cu、Crの少なくとも1種又は2種以上、及び、不可避的不純物を含むものが知られているが、本発明では、熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用い、非晶質帯と冷却ロールとの接触長さLzを、R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)に維持する限り、凝固組織を非晶質化できるので、上記組成の鉄系溶融金属であれば特に問題は発生しない。
次に、本発明の実施例について説明するが、本実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明はこの一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例)
図1に示す態様の装置を用い、原子%で、Fe:80.5%、Si:6.5%、B:12%、C:1%の鉄系溶融金属を、熱伝導率λが129W/(m・K)、ロール肉厚dが19mm、ロール直径1198mm、ロール幅250mmの冷却ロールの表面に、170mm×0.85mmの矩形スリット状のノズル開口から噴出し、薄帯接触長さ(Lz)を変えて、急冷凝固させて鉄系非晶質薄帯を製造し、その磁気特性を測定した。
測定した結果を表1に示す。他の条件として、表1に示すように、熱伝導率λが358W/(m・K)、ロール肉厚dが16mm、ロール直径1192mm、ロール幅250mmの冷却ロールを用い、前述のノズルを用い、薄帯接触長さを変えて、急冷凝固させて鉄系非晶質薄帯を製造した。なお、鉄系溶融合金の温度は1320℃とした。
Figure 0004969808
鉄系非晶質薄帯の剥離直後の温度測定は、図1に示すY点にて、低放射率測定型の非接触温度計にて行った。磁気特性の測定は、巻き取り後の鉄系非晶質薄帯を展開し300m毎にサンプルを採取し、360℃×1時間の熱処理後、SST(Single Sheet Tester)装置で鉄損(1.3T、50Hz)を測定した。表1に示す値は、チャージ毎の全サンプルについての平均値である。
本発明例のNo.1〜6は、いずれも、冷却ロールから剥離直後の鉄系非晶質合金の温度が100〜250℃の間にあり、鉄損も0.1W/kg以下となっており、良好な磁気特性を有する鉄系非晶質薄帯が得られていることが解る。
一方、比較例のNo.7〜12では、冷却速度が大きく、剥離直後の鉄系非晶質合金の温度がいずれも100℃を下回り、残留応力が発生したため、鉄損が劣化し、0.15W/kgを超えてしまっている。
表1から、本発明例においては、優れた磁気特性を有する非晶質薄帯が得られていることが解る。
前述したように、本発明によれば、特定の熱伝導率で、かつ、所要のロール肉厚を有する冷却ロールを用い、鉄系非晶質薄帯と冷却ロールとの接触長さを所定の長さ以上に制御すれば、二次的冷却手段を必要とせず、磁気特性に優れた非晶質薄帯を製造することができる。
したがって、本発明は、設備コストの低減、製造歩留まりの向上、生産性の向上を達成し、前記課題を解決するものである。よって、本発明は、産業上の利用可能性の高いものである。
本発明の一態様を示す図である。 本発明の別の態様を示す図である。 温度T2の鉄系溶融金属を冷却ロールで急冷凝固せしめ、温度T1まで冷却した時の鉄系非晶薄帯の冷却曲線を模式的に示す図である。
符号の説明
1 鉄系非晶質薄帯
2 冷却ロール
3 タンディッシュ
4 ノズル
5 巻取ロール
Rz 接触長さ
Y 剥離直後温度測定点
Z 剥離点

Claims (5)

  1. 鉄系溶融金属を高速回転中の冷却ロールの表面で急冷凝固させて非晶質薄帯を製造する方法において
    (a)熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロールを用い、
    (b)前記冷却ロールが、直径800mm以上、1500mm以下の冷却ロールであり、
    (c)鉄系溶融金属が凝固し非晶質薄帯が形成される凝固開始点から、該薄帯が冷却ロー ルから剥離するまでの間の、上記薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを、
    R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)
    かつ、冷却ロール周長の1/3以下
    に制御し、
    (d)前記剥離直後の鉄系非晶質薄帯の温度が、100℃以上、250℃以下である
    ことを特徴とする鉄系非晶質薄帯の製造方法。
  2. 前記冷却ロールが、内部水冷構造の冷却ロールであることを特徴とする請求項1に記載の鉄系非晶質薄帯の製造方法。
  3. 前記急冷凝固の後、凝固点温度から250℃までを、平均冷却速度3.0×10〜6.0×10℃/secで冷却することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄系非晶質薄帯の製造方法。
  4. 鉄系溶融金属を、高速回転中の冷却ロールの表面で急冷凝固させて非晶質薄帯を製造する装置において、
    (a)熱伝導率λが80W/(m・K)≦λ≦260W/(m・K)で、かつ、ロール肉
    厚dが5mm≦d≦25mmの冷却ロール、及び、
    (b)前記冷却ロールが、直径800mm以上、1500mm以下の冷却ロールであり、
    (c)鉄系溶融金属が凝固し非晶質薄帯が形成される凝固開始点から、該薄帯が冷却ロー ルから剥離するまでの間の、上記薄帯と冷却ロールとの接触長さLzを
    R/4≦Lz(Rは冷却ロールの直径)
    かつ、冷却ロール周長の1/3以下
    に制御し、前記剥離直後の鉄系非晶質薄帯の温度を、100℃以上、250℃以下に制御する制御装置
    を備えることを特徴とする鉄系非晶質薄帯の製造装置。
  5. 前記冷却ロールが、内部水冷構造の冷却ロールであることを特徴とする請求項4に記載の鉄系非晶質薄帯の製造装置。
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