JP3283746B2 - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

連続鋳造用鋳型

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JP3283746B2 JP02875896A JP2875896A JP3283746B2 JP 3283746 B2 JP3283746 B2 JP 3283746B2 JP 02875896 A JP02875896 A JP 02875896A JP 2875896 A JP2875896 A JP 2875896A JP 3283746 B2 JP3283746 B2 JP 3283746B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、連続鋳造鋳片に
発生する縦割れやコーナー割れ等の表面割れ欠陥の原因
である初期凝固シェルを均一に生成せしめ、該表面割れ
欠陥を安定的・効率的かつ経済的に防止する連続鋳造用
鋳型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、連続鋳造法によって製造される鋳
片には、縦割れ、横割れあるいはコーナー割れ等種々の
割れ欠陥が発生しやすく、特に炭素量が0.1〜0.1
8%含有する、いわゆる亜包晶域の鋼種やAl,Nb,
TiあるいはV等の合金を含有する鋼種に多発すること
が良く知られており、これらの鋼種を直送圧延すると、
熱間圧延後の熱延コイルや厚板製品ではヘゲ疵や耳割れ
と称される欠陥が発生し易いうえに、該割れ欠陥はブレ
ークアウトの原因にもなることから、これら割れ欠陥の
防止が急がれていた。
【0003】そのためこれ等の割れ欠陥の発生機構や防
止方法については、従来より多くの研究がなされてお
り、それなりに効果を発揮している。
【0004】これ等割れ欠陥の中、縦割れやコーナー割
れ等は鋳型メニスカス近傍における初期凝固過程での凝
固の不均一に起因するものであり、凝固遅れ部に冷却過
程で歪が集中したり、あるいは曲げや曲げ矯正時(以下
には両者をまとめて曲げ矯正と略称する)の歪によって
発生することが、これらの研究によって明らかになって
きている。
【0005】従って、その防止策としては第1に該欠陥
の起点となる初期凝固シェルの均一化を促進することで
あり、第2はそこに集中する歪の緩和を図ることが重要
であることは言うまでもない。
【0006】このような観点から、まず初期凝固シェル
の均一生成のために、例えば、パウダーの粘度や融点を
制御し、均一流入性を確保することによって初期凝固シ
ェルの均一化を図る方法、あるいは鋳型内の電磁攪拌を
活用し、初期凝固シェルの均一化を向上する方法等シェ
ルの均一生成・成長を促進するために、様々な試みが行
われてきている。
【0007】一方、生成した凝固シェルが冷却中の熱収
縮歪および外的な拘束力や円弧型連鋳機故の曲げ矯正等
による歪が、該凝固遅れ部に歪集中として起こり表面割
れに至ることから、この歪発生の原因となる鋳片の冷却
速度を一定値以下に制御するために、連鋳機二次冷却帯
の冷却水の散水密度を内部割れが生じない範囲まで低減
・制御して緩冷却を行う方法や、あるいは歪を拘束しな
いために鋳型潤滑剤として使用されるパウダー物性の制
御によって回避する方法、あるいは脆化温度領域で曲げ
矯正を行わないように鋳片の温度管理を行う方法や、さ
らには加熱して回避する方法等が採用されてきている。
【0008】また、鋳型に各種の溝(スリットと略す)
を形成し、緩冷却化を促進して凝固シェルの均一化を図
り、縦割れやコーナー割れの発生を防止する技術が広く
用いられている。
【0009】該スリットを形成するに当たって各種の方
法が示されており、鋳型表面に形成する方法として、例
えば、鋳型のメニスカス近傍に深さ0.5〜1.0m
m、幅0.5〜1.0mmの該スリットを格子状に形成
したり、あるいはセラミック等を用いて熱抵抗比を規制
することにより、不均一凝固を抑制し縦割れを防止しつ
つ高速鋳造を実現する技術が特開平1−289542号
公報に、また、メニスカス近傍に深さ0.5〜1.0m
m、幅0.5〜1.0mm、溝の間隔5〜10mmの該
スリットを鋳造方向に平行に形成し、特定した条件で鋳
造することにより炭素量が0.10〜0.15%の、い
わゆる亜包晶域の鋼種の不均一凝固を解消し縦割れを防
止する技術が特開平2−6037号公報に開示されてい
る。
【0010】さらに、鋳型銅板内にスリットを形成する
方法として、例えば、鋳型表面に該スリットを形成した
後、表面をメッキで覆い空間を形成して抜熱を均一にし
て縦割れを防止する技術が特開平2−104445号公
報に、さらに、鋳型肉厚部に大気に開口した通気孔を設
け、この通気孔に空気を流入して冷却能力を調整するこ
とにより、緩冷却化を促進し縦割れの低減を図る技術が
特開平2−197352号公報に開示されている。
【0011】一方、コーナー割れを防止するためのスリ
ット形成方法としては、造塊用鋳型内面の下部のコーナ
ーにピッチ20〜50mm、深さ5〜20mmの縦スリ
ットを形成する方法が特公昭58−29177号公報に
開示されている。
【0012】しかし、これらに記載された方法を適用し
ても鋳片の縦割れやコーナー割れの発生率は一向に向上
せず、時にはむしろ縦割れやコーナー割れを誘発する原
因になったり、あるいは鋳型表面にスリットを形成する
方法を用いた場合において、鋳造中に鋳型の幅可変を行
いスリット位置が短辺銅板交差する位置に合致した場合
には、該スリットに溶鋼の差し込みが生ずるためにシェ
ル拘束を起こし、ブレークアウトを起こすことがこれま
での鋳造実験の結果判明している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、該表面
割れ欠陥が発生しやすい鋼種・鋳造条件で鋳造実験を行
い、その実態を調査した結果、鋳造初期からの縦割れ発
生率の推移を図4に、またコーナー割れの発生率の同様
な推移は図5に示すように、鋳造初期に最も多発し鋳造
中期には極めて安定していることが明確になった。な
お、図4中で鋳造中期に縦割れが発生している位置は、
鋳造ノズルが局部溶損したために、基準のメニスカス位
置を変更した位置に対応している。このように、縦割れ
やコーナー割れの発生のし易さは、鋳造初期の他操業変
動を生じた位置に発生し易いことが明確になった。
【0014】この原因を解明するために、本発明者らは
該割れ欠陥が発生し易い鋳造初期および操業条件を変更
した非定常部位における初期凝固シェルの均一性を評価
するために鋳造初期の鋳片表面の冷却速度の調査と、流
入したパウダーリムを採取し、その実態を調査・解析し
たところ、鋳造初期の冷却速度は幅方向で極めて不均一
である上に、また初期に流入したパウダーの厚みも極め
て不均一であることを見い出し、検討を加えたところ凝
固シェルの不均一はパウダーの不均一流入に起因してい
るとの結論を得るに至った。
【0015】本発明の目的は、鋳型−凝固シェル間に流
入するパウダーの流入の均一化を図り、鋳造初期等の非
定常部はもとより定常部位の凝固シェルの均一化を促進
する鋳型を提供することにあり、これによりブレークア
ウト等の操業異常を招かずに該割れ欠陥を低減すること
にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる知見に
基づき連続鋳造によって製造する鋳片の初期の凝固均一
性はもとより鋳造長全域にわたって凝固シェルの均一化
を促進、向上させ、該表面割れ欠陥の発生を抜本的に解
消する優れた手段を提供するもので、その特徴とすると
ころは、連続鋳造法で鋳片を製造するに際して、鋳型表
面のメニスカス位置よりも少なくとも20mm以上上部
からメニスカス下70mmまでの範囲に溝を形成するに
際して、第一には、深さ0.1〜0.3mmの溝を幅中
央部の少なくとも1/2幅以上の領域に幅1.0〜3.
0mmの溝を、第二には、第一の溝に加えて鋳型端部か
ら少なくとも50mm以上の領域に幅1.0〜4.0m
mの溝を下記(1)式を満足する条件で付与した鋳型に
ある。 w/L=0.3〜0.7 ・・・(1) ここで、w=溝の幅(mm) L=溝の間隔(mm)
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記課題を解決す
るために各種形状の異なるスリットを形成した鋳型を、
パウダーを浮かべた溶鋼にオシレーションを与えながら
浸漬し、3秒間保持した後速やかに引き上げて、鋳型に
付着・成長した凝固シェルの厚みを測定し、凝固シェル
の均一性を向上させるスリット構造の検討を行った。こ
の浸漬実験に供した溶鋼の成分は、C:0.15%,M
n:0.80%,Si:0.25%,P:0.015
%,S:0.023%の表面割れ欠陥が最も発生し易い
一般的な炭素鋼である。
【0018】また、ここで前記スリットを形成した鋳型
について図1、図2を参照して説明する。1は鋳型で、
長辺側鋳型壁1aと短辺側の鋳型壁1bで構成してい
る。2は長辺側鋳型壁1a内面端部に設けたコーナー割
れ防止用スリット、3は同壁1a内面中央部に設けた縦
割れ防止用スリット、4はメニスカス位置を示した。図
2は長辺側鋳型壁1a内面に形成したコーナー割れ防止
および縦割れ防止スリット2,3とメニスカス4位置の
関係を示した図である。
【0019】
【表1】
【0020】その結果は表1に示すように、スリットの
幅が1mm未満の場合や深さが0.1mm未満の場合に
は効果がなく、また、3mmを越えるとスリット深さに
依存せず、また、スリットの深さが0.3mmを越える
とスリットの幅に依存せず、いずれも凝固シェルの均一
性が悪化することを見出した。
【0021】また、スリット内への溶鋼の差し込み状況
を観察したところ、スリットの幅が4mmを越えた場合
およびスリットの深さが0.3mmを越えるとスリット
の深さや幅に依存せず溶鋼の差し込みが生じることを見
出したのである。なお、スリットの先端形状についても
V状、図3(b)に示す矩形あるいは図3(a)に示す
円形等の各種形状の影響について調査したが、先端形状
の違いは凝固シェルの均一性や溶鋼の差し込み状況には
余り大きな影響は無いものの、パウダー充填の安定性か
らは円形状が、また緩冷却化を促進する上では矩形形状
が優れているとの知見を得た。
【0022】さらに、凝固均一性が確保できなかったサ
イズのスリットを付与した場合には、凝固遅れが発生し
た位置に凝固過程で生じたものと推定される微細な内部
割れが観察された。この内部割れは該表面欠陥の原因と
なることが従来知見で知られている。
【0023】以上示したように浸漬実験から適正なスリ
ットサイズは、幅は1〜3mmで深さは0.1〜0.3
mmであり、この条件を満足しなければ凝固シェルの均
一性を確保することはできず、不適切な場合にはスリッ
トによる緩冷却効果や凝固均一化等の効果を享受できな
いばかりでなく、時にはむしろ縦割れ等の表面割れ欠陥
を誘起する原因になる凝固不均一を拡大する原因になる
ことを知見した。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】この知見を基に、表2,3に示す各種サイ
ズのスリットを間隔や幅方向位置およびメニスカスから
の位置等を各種変更して形成した鋳型を製作し、連続鋳
造機による鋳造実験を行い、凝固シェルの均一性と表面
割れ欠陥の発生状況を調査した。この実験に供した溶鋼
成分は、C:0.10〜0.18%,Mn:0.40〜
1.60%、Si:0.08〜0.50%,P:0.0
02〜0.025%,S:0.001〜0.020%の
一般に該表面欠陥の発生し易い鋼種であり、鋳片サイズ
は1800mm×280mmである。
【0027】まず、縦割れの発生状況を観察した結果の
一例は図9,10に示すように、溶鋼浸漬実験の結果、
凝固シェルの均一化に有効であった幅2mm、深さ0.
2mmのスリットを間隔10mmで、鋳型の幅中央10
00mmの間に形成した場合、図9の鋳片幅方向の縦割
れ発生分布は、スリットを形成しなかった鋳型を使用し
た場合の図10に比し、縦割れの発生率は明らかに高
く、またスリットを形成した全域で発生するとの知見を
得た。この結果は、表2,3に併せて示すように、一個
のスリットサイズが適正であってもその間隔やスリット
を形成する幅方向および鋳造方向の位置も併せて適正で
なければ、縦割れを防止するには到らないことを意味す
るものである。
【0028】つまり、スリット幅に対してスリットの間
隔が広すぎた場合(例えば、前記したスリット幅=2m
m、深さ=0.2mm、スリット間隔=10mm、スリ
ット幅/スリット間隔=0.2)には、図7に示すよう
に、鋳片表面近傍の凝固組織から求めた冷却速度の幅方
向のばらつき、すなわち凝固均一性が劣りスリット相当
位置で凝固遅れが発生する。また、冷却速度の値は小さ
く緩冷却効果が得られているものの、スリットを形成し
ていない位置では大きく均一化効果のないことが判る。
一方、一例としてスリット幅=2mm、深さ=0.2m
m、スリット間隔=4mm、スリット幅/スリット間隔
=0.5の場合には、図6に示すように極めて良好な均
一性が得られると共に、緩冷却効果も得られており表
2,3および図8に示すように縦割れの発生も抑制でき
ることを知見したのである。
【0029】すなわち、単にスリット幅や深さ等だけが
凝固均一性を支配するのではなく、それらの組み合わせ
も適正でなければ、場合によっては凝固均一性を阻害
し、むしろ縦割れを誘発することを知見したのである。
【0030】そこで、該スリットの効果を一層向上させ
るために鋳型幅方向の形成位置についても検討した結
果、表2,3に併記するように、縦割れ防止の観点から
は鋳型全幅に形成してもよいが、鋳型幅の中央部に少な
くとも鋳型幅の半分以上に形成すれば、鋳型全幅に形成
した場合と同等の効果が得られることを解明したのであ
る。このことは、加工費用の軽減にも繋がり経済的効果
は計り知れない。
【0031】さらに、メニスカスからの形成位置につい
ても検討を進めた結果、凝固不均一によって割れの起点
である微小内部割れやミクロ偏析を生成する位置は、凝
固開始時点(メニスカス)から高々2秒以内であること
を見出したのである。従って、スリットの形成位置は鋳
造速度によって異なるものの一般的に用いられている2
m/分以下の速度程度ではメニスカスから70mmまで
の間に形成すれば充分である。一方、スリットの上端位
置はパウダーの溶融層よりも上方まで形成することによ
り、溶融パウダーがスリット内に均一に浸潤することか
ら、より一層凝固シェルの均一化に有効なことを見出し
たのである。従って、通常の操業ではこの溶融層厚は2
0mm程度であることからスリット上端位置は20mm
以上を確保すれば良いことになる。
【0032】かかる適正スリットを形成した鋳型を用い
た鋳造中に、いわゆる非定常鋳造時に鋳型−シェル間に
流入したパウダーリムを採取し調査したところ、幅方向
の厚みの均一性も極めて改善されている知見を得た。つ
まり、スリット形成に伴う緩冷却効果のみならず、流入
パウダーの均一性改善との相乗効果により、凝固の均一
性が一層向上、その結果として縦割れ防止が可能になっ
たのである。
【0033】次に、コーナー割れの発生状況を観察した
結果の一例は図11に示すように、凝固均一性を向上せ
しめる幅2mm、深さ0.2mmのコーナー割れ防止用
のスリットを間隔4mm(スリット幅/スリット間隔=
0.5)で、鋳型の端部から40mmまでの間に形成し
た場合、図12のコーナー割れの発生率は、鋳型の端部
から200mmまでの間に形成した場合、図11のそれ
に比べて明らかに高いことが判る。この結果は、先に縦
割れの項で詳述したように一個のスリットサイズが適正
であっても、その形成位置によっては異なる結果が得ら
れることになる。つまり、幅方向の形成位置も適正でな
ければコーナー割れも防止し得ないことを意味してい
る。
【0034】そこで、特に幅方向のスリット形成位置に
ついて種々検討するために表4,5に示すように鋳型の
端部から異なる位置まで各種条件のスリットを形成し、
実験を行った結果、表に示すように鋳型の端部から少な
くとも50mm以上の範囲に該スリットを形成する必要
があることを知見した。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】なお、前記浸漬実験結果や縦割れ防止の観
点からはスリット幅は1〜3mmを確保することにより
良好な凝固シェルの均一性と緩冷却化が達成でき、その
結果、縦割れ防止が可能になる結果を得たが、該コーナ
ー割れに関しては表に示すように4mmまでは良好な結
果が得られる知見を得た。これは、鋳型短辺の冷却効果
によりシェルが強固になることと短辺シェルの拘束によ
りシェルの変形が長辺に比べて小さくなることによるも
のと推察される。つまり、端部に形成するコーナー割れ
防止用のスリットは幅1mmから4mmまでが適正なサ
イズである。なお、幅5mm以上の場合には短辺鋼板と
の間に溶鋼が浸潤し拘束の原因となって、ブレークアウ
ト等の操業異常を招くことから好ましくない。
【0038】以上には縦割れとコーナー割れを別々に防
止する条件について個別に記載したが、両欠陥を同時的
に解決するにはこれらを組み合わせたスリットを形成す
ればよい。なお、幅中央部と端部にスリットを形成する
場合において、鋳造幅が狭い場合には幅中央部と端部の
スリットで適正条件が異なる場合が生じることもある
が、このような場合には許容範囲の狭い幅中央部の条件
を採用する必要があることは言うまでもない。
【0039】なお、いずれの場合においても鋳造方向の
形成位置に関しては、湯面変動やノズル溶損に伴う湯面
レベルの変更を行う場合には、これらの変動や偏向量を
考慮して形成位置を決定すべきである。本発明は、以上
の知見に基づいてなされたものである。
【0040】
【実施例】以下に本発明について具体的に説明する。表
6,7に示すスリット形成条件で、下記に示す鋳造条件
で鋳造を行った鋳片表面割れ欠陥の発生状況および鋳片
表面の手入れ状況を、表6,7に併せて示す。表6は、
縦割れに関するものであり、表7はコーナー割れに関す
る実施例である。
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】なお、この実験に供した溶鋼成分は、C:
0.10〜0.18%,Mn:0.4〜1.6%、S
i:0.08〜0.50%,P:0.002〜0.02
5%,S:0.001〜0.020%を基本成分とし
て、一般的に用いられる程度の微量Nb,V,Cu,C
rおよびTi等の合金が必要に応じて添加された該表面
割れ欠陥の発生し易い鋼種である。
【0044】まず、縦割れに関して調査した結果は表6
に示すように、本発明例1〜10は縦割れ発生が少な
く、あっても軽微であり、一方、比較例No.11はス
リット幅とスリット間隔の比(w/L)が0.2と本発
明範囲より小さいために縦割れをむしろ誘発した例であ
り、No.12は鋳造方向の形成位置が、また、No.
13およびNo.14は幅方向の形成位置が不適切な例
であり、さらにNo.15は従来例であって、比較例、
従来例ともに鋳片に欠陥が発生したため鋳片手入れを余
儀なくされ、さらには熱間圧延後にも一部のものには疵
が残存し鋼板手入れが必要なものも発生した。
【0045】次に、コーナー割れに関して調査した結果
は表7に示すように、本発明例1〜7はコーナー割れお
よび縦割れの発生が少なく、あっても軽微であり、一
方、比較例No.8およびNo.11はスリット幅とス
リット間隔の比(w/L)が0.2あるいは0.8と本
発明範囲外の例であり、No.9は鋳造方向の形成位置
が、また、No.10は幅方向の形成位置が不適切な例
であり、さらにNo.12は従来例であって、比較例、
従来例ともに鋳片に欠陥が発生したため鋳片手入れを余
儀なくされ、また鋼板の端部に疵が残存し鋼板手入れを
行った例も発生した。
【0046】一方、本発明によって製造した連続鋳造鋳
片には、縦割れおよびコーナー割れとも発生は実質的に
皆無であり、熱間圧延後の製品も無欠陥であった。この
ことより、本発明の適用により極めて効率よく該割れ欠
陥を防止することができることが判る。
【0047】上記連続鋳造鋳片の製造方法は以下の通り
である。 連続鋳造鋳片寸法;厚み200/300mm×幅1
300/2000mm 鋳造速度 ;1.0m/min〜2.0m/
min 連鋳機の型式 ;単円弧型および垂直・曲げ型連
続鋳造機(垂直・曲げ型連鋳機の垂直部は2.5m) スリット鋳型構造;縦割れおよびコーナー割れ対策
のために図2に示す、幅中央および端部にスリット3,
2を形成した鋳型を使用。
【0048】
【発明の効果】本発明は前述の作用・実施例で紹介した
通り、炭素量が0.1〜0.18%の表面割れ欠陥が発
生し易い、いわゆる中炭素鋼を連続鋳造により鋳造して
鋳片を製造するに際して、鋳片表面に発生する縦割れや
コーナー割れ欠陥を確実に抑制して、良鋳片を製造する
ことができるために高速化、無手入れ化を可能とするも
のであり、さらには凝固の均一性を確保できることから
ブレークアウト等の操業トラブルをも抑制できることか
ら得られる経済的効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスリットを形成した鋳型を説明する図
【図2】縦割れとコーナー割れを同時に解消するための
スリット形成状況を示す図
【図3】スリットの断面構造の例を説明する図
【図4】連続鋳造方法によって製造された連続鋳造鋳片
の鋳造方向の縦割れの連々鋳の鍋毎に発生状況が変化す
ることを説明する図
【図5】連続鋳造鋳片の鋳造方向のコーナー割れの鋳片
ボトムからの割れ発生状況の変化を説明する図
【図6】凝固組織から求めた初期凝固層の冷却速度の幅
方向分布を説明するもので、幅2mm、深さ0.2m
m、間隔4mmの本発明のスリットを形成した例を示し
た図
【図7】図6と同一サイズのスリットを間隔10mmで
形成した比較例を示した図
【図8】1800mm幅の鋳片サイズを鋳造した際の鋳
片表面の幅方向の縦割れ発生分布を説明するもので、図
3(a)のスリットを鋳型全幅に形成した本発明例を示
した図
【図9】図7のスリットを形成した鋳型を用いた場合の
比較例を示した図
【図10】スリットの無い鋳型を用いた従来例を示した
【図11】前記鋳造実験の際の鋳造方向のコーナー割れ
の発生率の変化を説明するもので本発明例を示した図
【図12】前記鋳造実験の際の鋳造方向のコーナー割れ
の発生率の変化を説明するもので比較例を示した図
【符号の説明】
1 鋳型 1a 長辺側鋳型壁 1b 短辺側鋳型壁 2 コーナー割れ防止用スリット 3 縦割れ防止用スリット 4 メニスカス位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小森 俊也 東京都千代田区大手町2−6−3 新日 本製鐵株式会社内 (72)発明者 奥原 圭介 東京都千代田区大手町2−6−3 新日 本製鐵株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−178526(JP,A) 特開 平6−304710(JP,A) 特開 平7−6037(JP,A) 特開 昭61−180649(JP,A) 特開 昭56−136258(JP,A) 特開 昭56−136257(JP,A) 特開 昭51−50819(JP,A) 特開 平1−289542(JP,A) 特開 平2−104445(JP,A) 特開 平2−197352(JP,A) 特公 昭58−29177(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/04 311

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造法で鋳片を製造するに際して、
    鋳型表面のメニスカス位置よりも少なくとも20mm以
    上上部からメニスカス下70mmまでの範囲に、鋳造幅
    に対して少なくとも1/2幅以上の範囲の幅中央部に深
    さ0.1〜0.3mmで幅1.0〜3.0mmの溝を下
    記(1)式を満足する条件で付与することを特徴とする
    連続鋳造用鋳型。 w/L=0.3〜0.7 ・・・(1) ここで、w=溝の幅(mm) L=溝の間隔(mm)
  2. 【請求項2】 連続鋳造法で鋳片を製造するに際して、
    鋳型表面のメニスカス位置よりも少なくとも20mm以
    上上部からメニスカス下70mmまでの範囲に、鋳造幅
    に対して少なくとも1/2幅以上の範囲の幅中央部に深
    さ0.1〜0.3mmで幅1.0〜3.0mmの溝と、
    鋳型のコーナーから少なくとも50mm以上の範囲に深
    さ0.1〜0.3mmで幅1.0〜4.0mmの溝を下
    記(1)式を満足する条件で付与することを特徴とする
    連続鋳造用鋳型。 w/L=0.3〜0.7 ・・・(1) ここで、w=溝の幅(mm) L=溝の間隔(mm)
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