JP3259270B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

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JP3259270B2 JP24709699A JP24709699A JP3259270B2 JP 3259270 B2 JP3259270 B2 JP 3259270B2 JP 24709699 A JP24709699 A JP 24709699A JP 24709699 A JP24709699 A JP 24709699A JP 3259270 B2 JP3259270 B2 JP 3259270B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼の連続鋳造方法に
関するもので、さらに詳しくは高C、高Si鋼の高速連続
鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造においては、鋳片の表面品
質を向上させるために次のような種々の提案がなされて
いる。
【0003】(1)モールドパウダーの粘性や凝固温度
を制御することにより初期凝固時の抜熱を緩冷却化し、
鋳片の表面欠陥を低減する(CAMP-ISIJ 9(1996)204、C
AMP-ISIJ6(1993)1175)。
【0004】(2)モールドの短辺側テーパーを調整す
ることにより鋳片の表面欠陥を低減する(特開昭56-538
49号公報)。
【0005】(3)モールド内にヒーターおよび熱電対
を設置し、メニスカス部の熱流速を制御することによ
り、凝固シェル成長の均一化を図る(特開平6-285606号
公報)。
【0006】(4)モールド内にスリットを設け、メニ
スカス部の熱流速および歪を制御することにより、鋳片
に生成する縦割れを低減する(特開平7-284880号公報、
特開平8-257695号公報)。
【0007】(5)モールドに電磁ブレーキおよび流速
計を設置し、メニスカス付近の溶鋼流速を制御すること
により初期凝固時の凝固シェル成長を均一化する(特開
平11-123514号公報)。
【0008】(6)モールド下流の2次冷却帯部の冷却
を緩冷却化させる(特開昭63-115657号公報、鉄と鋼 6
6(1980)S743)。
【0009】(7)スラブの連続鋳造において、モール
ドにおける長辺側の冷却を強化し、短辺側の冷却をモー
ルド直下で停止する(鉄と鋼 67(1981)1345)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の各技術
には、次のような問題があった。
【0011】(1)モールドパウダーによる表面庇調整
には限界がある。モールドパウダーの粘性あるいは凝固
温度を調整することによって抜熱速度、あるいは抜熱量
分布を変化させることは可能である。しかし、モールド
パウダーは4つの機能(溶鋼の保温、凝固シェルと水冷
銅板との潤滑、凝固シェルの冷却速度の調整、および溶
鋼酸化防止)を同時に果たしているため、一つの特性を
変化させるとその他の特性に悪影響を及ばし、ブレーク
アウトあるいはパウダーの巻き込みなど別の欠陥につな
がる。また、パウダーを緩冷却化側に調整することは、
高速鋳造には適用できない。
【0012】(2)モールドテーパーによる表面割れの
低減には限界がある。テーパーの角度を変えてモールド
内の溶鋼から水冷鋼板への熱伝達を均一にすることは可
能である。しかし、溶鋼の流動不均一によって引き起こ
される凝固シェル厚の不均一性はテーバーの変更によっ
ても回避することはできない。また、適正なテーパーは
鋼種によって変化し、多鋼種の鋳造を行う場合、すべて
の鋼種に最適なテーパーを見つけ出すことは不可能であ
る。
【0013】(3)モールド内に設置したヒーターによ
って高速鋳造における表面欠陥を防止することは不可能
である。モールド内にヒーターを設置することで緩冷却
化を行い凝固シェル成長の均一化を図ることは可能であ
る。しかし、高速鋳造においてモールド内でブレークア
ウトにならないためのシェル厚を確保するためには、冷
却をむしろ強冷却側にする必要がある。
【0014】(4)モールド内に設けたスリットを調節
することにより高速鋳造における表面欠陥を防止するこ
とは不可能である。前記のヒーターと同様、スリットの
調整は主に緩冷却を目的として行われている。高速鋳造
のように大きな抜熱が必要な場合、スリットの調整のみ
で均一な凝固シェル成長を得ることは非常に困難であ
る。
【0015】(5)電磁ブレーキの使用では設備コスト
が高くつく。電磁ブレーキによる溶鋼流の制御は可能で
あるが、設備コストの面で不利であり、特にある限定さ
れた鋼種にのみ適用する場合、効率が非常に悪い。
【0016】(6)2次冷却帯を緩冷却化することでは
鋼線によっては鋳片割れを低減できない。高炭素鋼など
において、縦割れ発生はデンドライド間の溶質偏析領域
を起点として起っており、鋳片割れは粒界の部分溶解に
よるものといえる。これをもとに考えると鋳片表面部の
温度は低いほど好ましく、2次冷却帯を緩冷却化できな
い。
【0017】(7)モールド長辺の冷却強化および短辺
の冷却停止ではブルーム表面疵を低減することはできな
い。ブルームにおいて短辺側の冷却を停止することはバ
ルジングの増大にもつながり、スラブにおける方法をブ
ルーム等にそのまま適用することはできない。
【0018】従って、本発明の主目的は、高炭素鋼を高
速鋳造しても表面割れを低減できる連続鋳造方法を提供
することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明連続鋳造方法は、
浸漬管からモールド内に溶鋼を供給する連続鋳造方法に
おいて、鋼種はC:0.3(特に0.8)〜2.0wt%、Si:0.15
(特に0.8)〜3.5wt%、V:0.0001〜0.2wt%を含み、鋳
造速度を1.0m/min以上とし、モールド内でメニスカスか
ら400mmの深さにおいて凝固シェルの厚みの最小値を10m
m以上、かつ同水平断面(鋳片長手方向と直交する面)
内で凝固シェルの厚みの最大値と最小値の差を5mm以下
とすることを特徴とする。なお、通常凝固時には固相お
よび液相が共存する固液共存相が存在するが、本発明に
おける凝固シェルは固相が95%以上の部分を指すことと
する。
【0020】これまで鋳片の縦割れ防止は、おもに中炭
素鋼(C:0.15wt%付近)を対象に検討されてきた。こ
れは中炭素鋼の鋳片割れが包晶反応によるものであり大
きな縦割れを伴ったものであったからである。これらの
中炭素鋼の縦割れ防止については、モールド内の緩冷却
による凝固シェル厚の均一化を図る方向で対策が立てら
れてきた。炭素量が増加して高炭素鋼の領域になって
も、縦割れのメカニズムは凝固シェル厚の不均一性が大
きな原因であるという点は同じである。このメカニズム
において、鋳造速度を増加させた場合、緩冷却の方法で
鋳片表面割れを低減することはできない。これは高速鋳
造で緩冷却を行うとモールド内で凝固シェルを十分成長
させることができず、ブレークアウト等の操業トラブル
に繋がるためである。そこで、本発明では化学成分と凝
固シェル厚の最小値およびそのばらつきを限定すること
でブレークアウトすることなく高速鋳造を実現し、かつ
鋳片の表面割れを抑制している。特に、鋳造速度は1.3m
/min以上の高速とすることもできる。なお、この鋳造方
法において、表面割れの抑制に特に効果的な鋳片はブル
ームあるいは分塊圧延後のビレットが挙げられる。
【0021】ここで、上記凝固シェル厚の均一化を実現
する具体的な手段としては、次のいずれかの構成を単独
で又は組み合わせて用いることが望ましい。 a:モールドに電磁攪拌装置を設け、かつ浸漬管として
ストレートノズルを使用する。浸漬管には大きく分け
て、先端面に吐出孔を持つストレート型と、側壁の対向
位置に吐出孔を持つ横孔型(T型)の2種類の形状があ
る。横孔型浸漬管の場合、モールド内で過大な溶鋼の偏
流を生み出し、凝固シェルの不均一性を発生させる。一
方、ストレート型は横孔型のような偏流は発生させない
が、メニスカス付近の溶鋼流を停滞させることになり、
他の製品品質に悪影響を及ぼす心配がある。また、スト
レート型においても操業中の変化から溶鋼流の偏流を生
み出すこともあるため、補助的に溶鋼の流れを均一化さ
せる必要がある。そのため、本発明においてはモールド
電磁攪拌を補助的に使用する。モールドへの電磁攪拌の
適用は、モールド内溶鋼流の偏りを是正する一つの手段
であり、それによって凝固シェルの均一化を図ることが
できる。電磁攪拌装置は、種々の公知の装置を用いれば
良い。
【0022】b:浸漬管の最下部をメニスカスから130m
m以上深い位置に設置する。ストレート型の浸漬管を用
いて操業を行う場合でも、メニスカス近傍にノズル出口
が近づくほど溶鋼流の流れは不安定になり凝固シェル厚
の均一性は低下する。特に高速鋳造を行う場合、溶鋼の
吐出速度は非常に早く、できるだけその影響を抑える必
要があるが、そのためには浸漬管最下部の位置をメニス
カスから130mm以上深くすることが望ましい。
【0023】c:溶鋼中に含まれるPの濃度を0.01wt%
以下とする。デンドライト間に偏析する元素の内、Pの
み不純物で、その他の元素は添加元素である。Pの偏析
濃度はデンドライト間偏析部分の固相線温度を大きく左
右し、P濃度を0.01%以下にすることにより表面割れを
さらに低減することができる。
【0024】d:モールド下部に設置された2次冷却帯
の領域において、鋳片表面部から20mmまでの個所を1200
℃以下にする。高炭素鋼における鋳片表面割れの生成メ
カニズムは、モールド内で鋳片表面にバルジングによる
応力が作用することによって形成されたデンドライト間
の偏析部が2次冷却帯領域で更に大きなバルジングを伴
って割れることである。そのため、2次冷却帯において
表面部を1200℃以下に冷却することによりバルジングの
際に割れを防ぐことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に至る過程を含めて
実施の形態を説明する。 (A)高C、高Si鋼における表面疵発生のメカニズム解
明 高C、高Si鋼の表面割れ発生メカニズムを解明するた
め、図1に示す連続鋳造装置により鋳造を行った。この
装置は、水冷銅で構成されたモールド1内の上部に浸漬
管2を配置し、浸漬管2の先端から溶鋼3の供給を行う。
浸漬管2には、先端部の側壁の対向位置に溶鋼3の吐出孔
を具えた2孔型浸漬管を用いる。溶鋼3のメニスカス4上
にはモールドパウダー5が配される。モールド1内に供給
された溶鋼は冷却されて、表面側に凝固シェル6を形成
し、下方に引き抜かれて2次冷却帯(図示せず)でさら
に冷却されて鋳片として形成される。具体的な鋳造条件
は次の通りである。
【0026】モールド断面:256mm×164mm 鋳造速度:1.6m/min 浸漬管ノズル:2孔横孔型浸漬管 鋼種:表1参照(単位は全てwt%) タンディッシュ温度1480〜1500℃
【0027】
【表1】
【0028】a)表面割れの実態観察 各鋼種A〜Eについて表面割れの実態観察を行った。その
結果、図2に模式的に示されるごとくビレット10表面コ
ーナー部において鋳片表面割れ11が観察された。これら
の表面割れの程度を定量的に評価するため、表面からの
深さおよび存在個数をもとに算出した表面割れ評点を用
いた。表面割れ評点の評価基準は以下の通りである。そ
れぞれの供試材につき、ビレット(110×110mm角/1
t)を20本検査し、その中で各ビレットにつき最も大き
な割れの深さを調べる。その深さに応じて以下に示すよ
うな点数をつける。そして、これらの点数を20本分加算
したものを表面割れ評点とする。 1mm以下→0 1mmを超え、2mm以下→0.3 2mmを超え、3mm以下→0.8 3mmを超え、4mm以下→2 4mmを超え、5mm以下→4 5mmを超えるもの→10 鋼種による表面割れ程度の違いを図3のグラフに示す。
この図から推測されることはAとE、AとB、およびCとDを
比較した場合、それぞれC、Si、およびVの濃度の違いが
表面割れの違いにつながっていることである。すなわ
ち、C、Si,Vの濃度が高いほど割れは発生しやすいとい
える。
【0029】また、鋼種Eにおいて鋳造速度の表面割れ
に及ぼす影響を図4のグラフに示す。鋳造速度が0.7m/m
inから1.4m/minおよび1.6m/minと増加するに従い表面割
れ評点は増える傾向にある。この一つの原因は鋳造速度
が増加することにより、モールド内で生成する凝固シェ
ル厚が薄くなること、および薄くなったシェルに対して
より大きな歪速度で応力が加わるということが考えられ
る。もう一つの原因は下記にも述べるように浸漬管から
モールド内に流入する溶鋼流の速さが増加し、溶鋼の偏
流が増大したためと考えられる。
【0030】b)表面割れメカニズムの観察 表面割れメカニズムを解明するため、モールド内で凝固
中のシェルを取り出し(ブレークアウトさせた後)、そ
の断面について表面割れの形態を中心に観察を行った。
表1に示す鋼種Cを用い、鋳造速度および浸漬管共に上記
と同じ条件であった。その結果、高炭素鋼の高速鋳造下
におけるモールド内での表面割れ形成は模擬的に図5に
示されるようなものであり、次のことがわかった。
【0031】 モールド1上部で溶鋼流の流動偏りに
より、凝固シェル厚に不均一性が生じる。浸漬管2から
吐出する溶鋼流の速度は鋳造速度が速くなるほど大きく
なり、浸漬管2から出てくる温度の高い溶鋼3が凝固シェ
ル6に当たりやすくなる。
【0032】 最も薄いコーナー部がモールド1中間
部まで下がったとき、バルジングが生じ、そのコーナー
部に対し集中的に引張応力が加わる。凝固シェル6自体
はそれ自身の凝固により収縮するが、溶鋼3から受ける
圧力によりバルジングを起こす。
【0033】 引張応力を受けた最薄コーナー部にお
いて成長したデンドライト間に割れが生じる。デンドラ
イト間に溶質元素が偏析するため、凝固温度が低くなり
割れやすくなる。
【0034】 凝固シェル6と溶鋼3の界面付近にある
溶質濃度の高い溶鋼がデンドライト間の割れに流入し、
さらに大きな偏析として残存する。
【0035】 2次冷却帯で冷却される段階で、バル
ジングあるいは大きな熱応力によりで形成された偏析
部にさらに応力が加わり、完全な表面割れとなる。
【0036】凝固シェル厚の不均一性と表面部の割れと
の関係を詳しく調査した結果、割れ(あるいは表面の偏
析部)はメニスカスから400mm下のところで凝固シェル
厚の最小値が10mm未満、あるいは同水平断面内における
凝固シェル厚の最大値と最小値の差が5mmを超えるとき
に増加することがわかった。凝固シェル厚の最大値max
と最小値minの一例は図6に示す通りである。調査の結
果、メニスカスから400mmの所では溶鋼圧力による最も
大きなバルジングが起こることもわかった。図3にも示
したように、鋼種Cを前述と同様の条件(0026参照)で
鋳造した場合、表面割れ評点は1.9点であった。このと
き凝固シェル厚の最小値は9mm、最大値は15mmであっ
た。一方、鋼種Cを前述と同様の条件(0026参照)で鋳
造速度のみを1.0mm/minとした場合、表面割れ評点は0.3
点であった。このとき、凝固シェル厚は全周にわたって
均一でほぼ18mmであった。
【0037】図5に示される初期凝固段階で形成された
いわゆる表面部の偏析(極端な場合にはモールド内です
でに割れになる)についてEPMA(Electron Probe Mic
roAnalyzer)によるライン分析を行った結果、C、Si、C
r、P、Vが濃縮されていることがわかった。これらの溶
質が上記、およびの過程において偏析し、表面割
れにつながったと考えられる。つまり、これらの溶質が
濃縮した部分の液相線温度はバルク部と比較して非常に
低く、応力が作用したときに優先的に割れるものと思わ
れる。
【0038】表1のAとE鋼について、ビレットから取り
出した試片を用いてグリーブル試験を行った結果を図7
のグラフに示す。グリーブル試験においては各温度で歪
速度0.42/sを用いて引張応力を付加し、破断時の絞りを
測定した。絞り0%はいわゆる粒界破断であり、溶質の
偏析した粒界部が一部融解して破断に至ったものであ
る。また、このグラフからわかるようにC、Si濃度の高
い鋼種ほど低温域で割れることがわかる。この現象は上
述した表面割れにできた偏析部が割れる現象と同じもの
であると考えられる。
【0039】この明らかにされたメカニズムを基に考え
ると、表面割れを防止する手段としては次の方法が考え
られる。 I(に対する対策) 溶鋼流の偏流をなくすことによ
り凝固シェル成長を均一化する。 II(に対する対策) バルジングによってデンドライ
ト間に割れが生じないように、デンドライト間に偏析す
る元素の濃度を低下させる。 III(に対する対策) 凝固シェル内に溶質元素濃度
の高い溶鋼が流入しても、その後に割れにつながらない
程度に溶質元素濃度を低下させる。 IV(に対する対策) 溶質元素濃度の高い偏析部がモ
ールドを出て2次冷却帯を通過するとき、応力がかかっ
ても完全な割れにならないように処置する。
【0040】これらの対策において、IIおよびIIIは対
策を施す過程に違いはあるものの、取りうる手段として
は溶鋼の溶質濃度を低下させるものであるという点で同
じであるため、同一のものとして取り扱う。
【0041】(B)高C、高Si鋼における初期凝固制御
テスト 上記の対策方針Iに基づき表面割れ低減を図るべく初期
凝固制御テストを行った。偏流をなくす一つの手段とし
て、上記調査結果からも示されたように浸漬管にストレ
ートノズルを使う方法が考えられる。しかし、ストレー
トノズルのみの使用は介在物の浮上等に不利なこと、メ
ニスカス付近の保温に不利なことが考えられるため何ら
かの手段を併せて用意する必要がある。本発明ではモー
ルド電磁攪拌を適用してストレートノズルの弱点を補っ
た。
【0042】図8に試験設備の概略図を示す。この装置
は、先端部に溶鋼3の吐出孔を有するストレートノズル
を浸漬管2としたこと、モールド1の周囲に電磁コイル7
を設けて電磁攪拌装置としたこと以外は図1の装置と同
じものである。また、浸漬管の浸漬深さの表面割れ形成
に及ばす影響も見るため、浸漬深さを変化させて試験を
行った。試験内容は鋼種Eに対して鋳造速度1.4m/minを
用いた。その結果を図9のグラフに示す。
【0043】これからわかるようにストレートノズルお
よびモールド電磁攪拌の適用は表面割れ低減に効果があ
ったと考えられる。電磁攪拌の効果はストレートノズル
のゆがみや経時的に変化するノズル詰まりなどから生じ
るわずかな溶鋼流の偏流をも均一化するのに役だったと
考えられる。また、浸漬管の浸漬深さも表面割れに影響
することがわかる。ストレート型の浸漬管を使用する場
合でも、メニスカス近傍にノズル出口が近づくほど溶鋼
流の流れは不安定になり凝固シェル厚の均一性は低下す
ると考えられ、特に高速鋳造を行う場合、溶鋼の吐出速
度は非常に早く、できるだけその影響を抑える必要があ
る。そのためには浸漬管最下部の位置をメニスカスから
130mm以上深い位置にすればよい。
【0044】(C)2次冷却帯の強冷却テスト 鋳片がモールドを出た後、2次冷却帯でのバルジングに
より表面偏析部が大きな割れにつながると仮定して上記
方針IVを基に対策を検討した。割れは偏析部が部分融解
することを大きな原因としているため、2次冷却帯で冷
却を強化し、鋳片表面部の温度を変化させるテストを繰
り返し行った。テストでは鋼種Eを用い、鋳造速度1.4m/
min、電磁攪拌装置なし、浸漬ノズルは2孔横孔型を用
いた。
【0045】その結果、2次冷却帯全域において鋳片表
面から20mmまでの部分を1200℃以下に保つことにより表
面割れが低減されることがわかった。1200℃以下では上
述したグリーブル試験結果(図7)と同様、融解による
割れは起こらないと考えられる。
【0046】(D)操業因子の影響(不純物低減の効
果) 上記方針IIおよびIIIを基に考えられるのは偏析部の液
相線温度を低下させることである。高炭素鋼の偏析元素
において、添加元素でなく不純物として取り扱えるもの
はPのみである。そこで、Pの濃度を低減させてそれによ
る表面割れ低減が可能かどうかを検討した。鋳造条件
は、鋳造速度1.4m/min、鋼種Dおよび鋼種DのうちPのみ
0.009wt%としたもの、電磁攪拌装置なし、浸漬ノズル
は2孔横孔型として調査した。
【0047】結果を図10のグラフに示す。このグラフか
らわかるように、P濃度を0.012wt%→0.009wt%に抑え
ることにより表面割れレベルを約20%削減することがで
きた。
【0048】尚、本発明の連続鋳造方法は上例にのみ限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0049】
【発明の効果】以上、説明したように本発明連続鋳造方
法によれば、表面割れを抑制して高炭素鋼を高速鋳造す
ることができる。また、電磁ブレーキを用いる必要もな
く、設備的にも簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造装置におけるモールド付近の概略図で
ある。
【図2】ビレットの縦割れを示す模式図である。
【図3】鋼種と表面割れ評点との関係を示すグラフであ
る。
【図4】鋳造速度と表面割れ評点との関係を示すグラフ
である。
【図5】連続鋳造における表面割れのメカニズムを示す
説明図である。
【図6】凝固シェル厚さの最大値および最小値を示す説
明図である。
【図7】温度と絞りの関係を示すグラフである。
【図8】本発明方法に用いる鋳造装置の概略図である。
【図9】浸漬管の構造および浸漬深さと表面割れ評点と
の関係を示すグラフである。
【図10】P濃度と表面割れ評点との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 モールド 2 浸漬管 3 溶鋼 4 メニスカス 5 モールドパウダー 6 凝固シェル 7 電磁コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B22D 11/124 B22D 11/124 L 11/20 11/20 A 11/22 11/22 B // C22C 38/12 C22C 38/12 (56)参考文献 特開 平5−337619(JP,A) 特開 平4−274843(JP,A) 特開 昭56−53849(JP,A) 特開 平6−285606(JP,A) 特開 平7−284880(JP,A) 特開 平8−257695(JP,A) 特開 平11−123514(JP,A) 特開 昭63−115657(JP,A) 特開 平10−80749(JP,A) 特開 平7−204811(JP,A) 特開 平6−246414(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/00 B22D 11/20 C22C 38/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬管からモールド内に溶鋼を供給する
    連続鋳造方法において、 鋼種はC:0.3〜2.0wt%、Si:0.15〜3.5wt%、V:0.000
    1〜0.2wt%を含み、 鋳造速度を1.0m/min以上とし、 モールド内でメニスカスから400mmの深さにおいて凝固
    シェルの厚みの最小値を10mm以上、かつ同水平断面内で
    凝固シェルの厚みの最大値と最小値の差を5mm以下とす
    ることを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 鋳造速度を1.3m/min以上としたことを特
    徴とする請求項1記載の連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 モールドに電磁攪拌装置を設け、かつ浸
    漬管としてストレートノズルを使用することを特徴とす
    る請求項1記載の連続鋳造方法。
  4. 【請求項4】 浸漬管の最下部をメニスカスから130mm
    以上深い位置に設置することを特徴とする請求項3記載
    の連続鋳造方法。
  5. 【請求項5】 溶鋼中に含まれるPの濃度を0.01wt%以
    下としたことを特徴とする請求項1記載の連続鋳造方
    法。
  6. 【請求項6】 モールド下部に設置された2次冷却帯の
    領域で鋳片表面部から20mmまでの個所を1200℃以下にす
    ることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造方法。
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