JP4926743B2 - 高炭素高りん鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
・炭素含有量C[wt%]:0.30〜0.60
・りん含有量P[wt%]:0.035〜0.100
・添加成分(Si(シリコン)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)など)の含有量については特に限定しない。
・その他、不可避の不純物成分(硫黄など)を含む。
・上端における鋳型幅a(ただし、広面側のもの。)[mm]:300〜500
・上端における鋳型幅a(ただし、狭面側のもの。)[mm]:200〜400
・鋳型高さc[mm]:850〜1250
Tp=(a-b)/b/c・・・(1)
・測定地点:鋳型1の広面側の内壁面の幅方向における中央であり、鉛直方向において上記電磁コイルの中心と同じ高さであり、鋳型1の広面側の内壁面から15[mm]だけ離れた地点とする。
・測定機器:適宜のガウスメータによる。
そして、上記測定地点において上記測定機器により測定された複数の測定値(ただし、単位は[Gauss]である。)を平均し、その平均により求められた値を、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]とする。なお、鋳型内溶鋼に作用される磁場の周波数[Hz](ただし、「磁場の周波数」とは、鋳型内の電磁攪拌装置内のコイルに導通される電流が1秒の間に向きを変える度数を意味する。)は、1〜5が好ましい。
即ち、第一確認試験(表2、図3に対応する。)は、鋳造速度Vc[m/min]に関する。第二確認試験(表3、図4に対応する。)は、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]に関する。第三確認試験(表4、図5に対応する。)は、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]に関する。第四確認試験(表5、図6に対応する。)は、鋳型内テーパTp[%/m]に関する。
・鋳造対象としての鋼種は、下記表1に示す6通り検証する。
・上端における鋳型幅a(ただし、広面側のもの。図2参照。)[mm]:430
・上端における鋳型幅a(ただし、狭面側のもの。図2参照。)[mm]:300
・鋳型高さc[mm](図2参照。):1200
・以降、鋳型内テーパTp[%/m]は、狭面側の内壁面1a・1aに対して適用される鋳型内テーパTp[%/m]を指すものとする。
・溶鋼過熱度[℃]は、15〜50とする。
・垂直鋳造経路部Q1[m]は、3.2とする。
・円弧鋳造経路部Q2[m]の円弧半径は、10とする。
・二次冷却帯の長さ[m]は、6.9とする。
・二次冷却帯の上流側端のメニスカス距離M[m]は、1.3とする。なお、「メニスカス距離M[m]」とは、鋳型内の溶鋼の湯面を起点とし、鋳造経路Qに沿って観念する距離をいう。
・二次冷却帯の下流側端のメニスカス距離M[m]は、7.2とする。
・鋳型内溶鋼に作用される磁場の周波数[Hz]は、2とする。
本試験は、鋳造速度Vc[m/min]と、内部割れ長さ[mm]及び表面疵個数[個/本]と、の間の関係に着目するものである。以下、本試験の試験条件及び試験方法を説明し、その試験結果を図3に示す。
本試験において、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]及び鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]、鋳型内テーパTp[%/m]は夫々同一値に設定した。その他の条件については、下記表2を参照されたい。
上記表1に記載の鋼種のうち何れかの鋼種に成分調整が為された取鍋(取鍋内の溶鋼:90[ton])1チャージ分につき図3において1プロットを得た。内部割れ長さ[mm]及び表面疵個数[個/本]は以下のように測定するものとする。併せて、これら内部割れ長さ[mm]及び表面疵個数[個/本]の評価基準を説明する。
(i)図3によれば、鋳造速度Vc[m/min]を0.75以下とすると、内部割れ長さ[mm]についての評価を良好とできることが判る(表2において評価の欄に「○」又は「◎」が記載された試験を参照。)。これは、高炭素・高りんの鋼の脆性が悪化する溶鋼においても、成長したシェル厚みが内部割れを発生させない強度にまで到達したからだと考えられるからである。一方、生産性の観点から鋳造速度Vc[m/min]は0.45以上とすると良い。以上の考察から、内部割れ長さ[mm]に着目すれば、鋳造速度Vc[m/min]は0.45〜0.75とすることが望ましいことが判る。更に、(ii)(i)に加えて表面疵個数[個/本]にも着目すれば、鋳造速度Vc[m/min]は0.65〜0.75とすることが望ましいことが判る(表2において評価の欄に「◎」が記載された試験を参照。)。鋳造速度Vc[m/min]を0.65以上とすると表面疵個数[個/本]についての評価を良好とできるのは、疵個数が40を下回り、手入れにて救済可能な確率が大幅に向上すると考えられるからである。更には、鋳造速度Vc[m/min]を0.65以上として表面疵個数[個/本]が40を下回った理由としては、連鋳機において歪みを大きく発生させる部位(例えば矯正部)を通過する際の鋳片表面温度がその鋼の脆化温度域より高い温度であったためと考えられる。
本試験は、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]と、内部割れ長さ[mm]及び表面疵個数[個/本]と、の間の関係に着目するものである。以下、本試験の試験条件及び試験方法を説明し、その試験結果を図4に示す。
本試験において、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]、鋳型内テーパTp[%/m]は夫々同一値に設定した。その他の条件については、下記表3を参照されたい。
上記の第一確認試験と同様である。
(i)図4によれば、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]を0.24以上とすると、内部割れ長さ[mm]についての評価を良好とできることが判る(表3において評価の欄に「○」又は「◎」が記載された試験を参照。)。これは、二次冷却帯比水量の増加により冷却能が増し、凝固シェル厚みの成長が適正となるだと考えられるからである。一方、鋼の脆化温度域まで表面温度を低下させないようにして表面疵の発生を防止する観点からは二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]は0.54以下とすると良い。以上の考察から、内部割れ長さ[mm]及び表面疵個数[個/本]の両方に着目すれば、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]は0.24〜0.54とすることが望ましいことが判る。更に、(ii)(i)に加えて表面疵個数[個/本]にも着目すれば、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]は0.24〜0.50とすることが望ましいことが判る(表3において評価の欄に「◎」が記載された試験を参照。)。二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]を0.50以下とすると表面疵個数[個/本]についての評価を良好とできるのは、先述同様、疵個数が40を下回り、手入れにて救済できる確率が大幅に向上すると考えられるからである。更には、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]を0.50以下として、表面疵個数[個/本]が40を下回った理由としては、連鋳機において歪みを大きく発生させる部位(例えば矯正部)を通過する際の鋳片表面温度がその鋼の脆化温度域より高い温度であったためと考えられる。
本試験は、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]と、内部割れ長さ[mm]及び中心偏析度と、の間の関係に着目するものである。以下、本試験の試験条件及び試験方法を説明し、その試験結果を図5に示す。
本試験において、鋳造速度Vc[m/min]及び二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]、鋳型内テーパTp[%/m]は夫々同一値に設定した。その他の条件については、下記表4を参照されたい。
上記表1に記載の鋼種のうち何れかの鋼種に成分調整が為された取鍋(取鍋内の溶鋼:90[ton])1チャージ分につき図5において1プロットを得た。中心偏析度は以下のように測定するものとする。併せて、中心偏析度の評価基準を説明する。
(i)図5によれば、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]を300以下とすると、内部割れ長さ[mm]についての評価を良好とできることが判る。これは、鋳型内において凝固シェル内の溶鋼に過度な流速が付与されることなく該凝固シェルが十分に成長できたので、鋳型から下方へ抜けた直後のバルジングの程度が抑えられ、もって、バルジングに起因する内部割れの発生を防げたからだと考えられる。一方、中心偏析度の観点から鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]は140以上とすると良い。これは、凝固シェル内の溶鋼に対する攪拌の程度が十分に確保されることで、軸芯部における濃化溶鋼による偏析が抑制されたからだと考えられる。以上の考察から、内部割れ長さ[mm]及び中心偏析度の双方に着目すれば、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]は140〜300とすることが望ましいことが判る(表4において評価の欄に「◎」が記載された試験を参照。)。
本試験は、鋳型内テーパTp[%/m]と、内部割れ長さ[mm]と、の間の関係に着目するものである。以下、本試験の試験条件及び試験方法を説明し、その試験結果を図6に示す。
本試験において、鋳造速度Vc[m/min]及び二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]、鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]は夫々同一値に設定した。その他の条件については、下記表5を参照されたい。
上記の第一確認試験と同様である。なお、鋳造速度Vc[m/min]を上述した鋳造速度Vc[m/min]の範囲の上限値である0.75としているのは、鋳造速度Vc[m/min]の全範囲における包括的に調査とするために、敢えて内部割れが発生し易い条件を選択したことによる。即ち、二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]及び鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]を同一とし鋳造速度Vc[m/min]を0.75よりも小さい値へ変更した場合、内部割れ長さ[mm]は、鋳型内テーパTp[%/m]を如何に設定しようとも、一様に短くなるものと推測される。なぜなら、内部割れ長さを決定する因子としての凝固シェル厚みが、鋳造速度に反比例しており、鋳造速度が小さくなるにつれシェル厚みが厚くなってゆくと考えられるからである。
(i)図6によれば、鋳型内テーパTp[%/m]を0.47〜1.20とすると、内部割れ長さ[mm]についての評価を良好とできることが判る(表5において評価の欄に「◎」が記載された試験を参照。)。鋳型内テーパTp[%/m]を0.47以上とすると内部割れ長さ[mm]についての評価を良好とできたのは、鋳型1の内壁面1a・1aが凝固シェルの凝固収縮及び熱収縮に適切に追従し、もって、鋳型1内における凝固シェルのバルジングが抑制されたからだと考えられる。一方、鋳型内テーパTp[%/m]を1.20以下とすると内部割れ長さ[mm]についての評価を良好とできたのは、内部割れの他の発生原因として考えられる、凝固シェルに対する鋳型1の内壁面1a・1aの物理的な押し込みが発生しない、即ち、鋳型1の内壁面1a・1aの狭窄の程度が凝固シェルの凝固収縮及び熱収縮を超えることがないからだと考えられる。以上の考察から、内部割れ長さ[mm]に着目すれば、鋳型内テーパTp[%/m]は0.47〜1.20とすることが望ましいことが判る。
さて、上述した溶鋼過熱度[℃]の測定基準を詳説する。即ち、『測定する時刻』は、「タンディッシュ内の溶鋼の流動が定常状態に至った時刻、より詳しくは、転炉から該タンディッシュへ溶鋼を搬送するための取鍋内に収容されている溶鋼の1/4〜1/3程度が該タンディッシュへ注湯された時刻」とする。また、『測定する方法』は、以下第1及び第2の如くである。即ち、第1に、上記『測定する時刻』において、タンディッシュ内に保持されている(入れ替わっている、流出入している)溶鋼の温度を適宜の温度測定器を用いて測定する。(例)この温度測定器とは例えばその先端部に温度感知部を備える熱電対型のものが挙げられ、この場合、この温度感知部をタンディッシュ内に保持されている溶鋼の中へ深さ100mm以上浸漬させて該溶鋼の温度を測定することとする。なお、熱電対は測定対象の温度に応じてその出力電圧を昇降させる特性を有するのは周知の通りであるから、溶鋼の温度を測定することは、熱電対が出力する電圧を適宜の手段により読み取ることと換言できる。第2に、第1で測定された溶鋼の温度と、該溶鋼の溶鋼成分により唯一に決まる所謂凝固開始温度と、を比較する。そして上述した溶鋼過熱度[℃]は、前者から後者を除いた(引いた)残りとして求めることとする。
2 ロール
4 スプレー
Q 鋳造経路
100 連続鋳造機
Claims (2)
- 炭素含有量C[wt%]が0.30〜0.60であり、りん含有量P[wt%]が0.035〜0.100である鋼の連続鋳造方法において、
鋳造速度Vc[m/min]を0.45〜0.75とし、
鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[Gauss]を140〜300とし、
二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]を0.24〜0.54とし、
広面側の内壁面又は狭面側の内壁面のうち少なくとも何れか一方に対して適用する鋳型内テーパTp[%/m]を0.47〜1.20とする、
ことを特徴とする鋼の連続鋳造方法 - 鋳造速度Vc[m/min]を0.65〜0.75とし、
二次冷却帯比水量Wt[L/kgSteel]を0.24〜0.50とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法
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