JP5073356B2 - 最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けの熱間圧延用連鋳スラブ鋳片 - Google Patents

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Description

本発明は、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けの熱間圧延用連鋳スラブ鋳片に関する。
近年、連続鋳造機によって鋳造される連鋳スラブ鋳片は、その大きな冷却速度を特徴とする連鋳プロセスの寄与もあって、組織や析出物の観点のみならず、材料特性の観点においても著しい改良が為されてきた。そこで、この優れた連鋳スラブ鋳片を、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品にも利用しようと考えた。しかし、連鋳スラブ鋳片は周知の通り連鋳プロセスの都合上、鋳片厚みを大きくは確保し難いので、内部に存在するポロシティ乃至ザクを消失せしめるのに必要な圧下比(圧延や鍛造の際の圧下比を意味する。)が得難く、仕方なく、製造コストの高い造塊インゴットを利用せざるを得なかった。
この種の技術として、特許文献1は、「鋳片の短辺側内部の凝固の完了が幅方向中央部より遅くなるように鋳造」(段落番号0017)して成る連続鋳造鋳片が開示される。これによれば、「短辺側内部はポロシティが発生し易くなるが、その部分はこのように狭い幅の部分に限定され」(段落番号0020)る。従って、「この短辺側内部に対応する部分に局部的に大圧下をかけるが、その幅が狭いため圧延荷重やトルクの大幅な増加は起こらない」(段落番号0021)とされ、この着眼点は大変興味深いものである。
また、特許文献2は、「欠陥を有す連鋳鋳片厚み中心部の偏析やセンターポロシティーを解消する」(段落番号0008)とあるように「連鋳鋳片厚み中心部のセンターポロシティー」を問題視しており、「製品厚み方向の(Z方向)引張強度における引張強度との関係」において「鋳片厚み中心部近傍に存在するセンターポロシティーの最大径」(段落番号0026)を評価している。そして、「最大径が0.1mmを越えるセンターポロシティーが鋳片に存在すると・・・鋼材としての使用に耐えられない」旨の知見を得ている(段落番号0030)。
特開平11-701号公報 特許第3113995号公報
しかし、上記特許文献2において「連鋳鋳片厚み中心部」が何を意味しているのかは必ずしも明確ではない。即ち、「鋳片の厚み方向の中心」とは、当業者から見て二通りの解釈ができ、その一は「幾何学的に求められる厚み方向の中心」であり、他方は「軽腐食によって現出し得る凝固中心線」である。そして、これら「幾何学的に求められる厚み方向の中心」と「軽腐食によって現出し得る凝固中心線」とは、厚み方向で最大10mm程度、ズレることもあるから、上記特許文献2における「センターポロシティー」と本願における「ポロシティ」とは必ずしも一致した技術的ニュアンスを有するものではない。また、仮に、上記特許文献2における「センターポロシティー」と本願における「ポロシティ」とが同じ技術的ニュアンスのものであったとしても、本願発明の発明者が問題視するポロシティは概ね1000[μm]以上のものであるから、同じく100[μm]程度のセンターポロシティーについてのみ言及する上記特許文献2と比較して論じる余地はない。更に言えば、上記特許文献2ではセンターポロシティーと引張強度との関係に着目する一方、本願ではポロシティーとUT欠陥との関係に着目している。従って、上記特許文献2に記載の発明は、本願とは別個独立して、意義のあるものと言える。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、鋳型厚みD[mm]が280〜310である鋳型を採用する連続鋳造機を用いて鋳造される熱間圧延用連鋳スラブ鋳片であって、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けとして利用できるものを提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、以下の特徴を有する、C含有量C[wt%]が0.03〜0.60であり、鋳型厚みD[mm]が280〜310であって鋳型幅[mm]は1400〜2300である鋳型を採用する連続鋳造機を用いて鋳造される、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けの、熱間圧延用連鋳スラブ鋳片が提供される。即ち、この熱間圧延用連鋳スラブ鋳片を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面に現出させた凝固中心線から鋳片厚み方向に±5[mm]以内であって、一の狭面から他の狭面へ向かって500[mm]以内である、一対の切断面端部に存在する一又は複数のポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さのうち最大の鋳片厚み方向長さDamax[mm]が下記式(1)又は式(2)を満足する。この熱間圧延用連鋳スラブ鋳片を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面に現出させた凝固中心線から鋳片厚み方向に±5[mm]以内であって、前記一対の切断面端部以外である、切断面中央部に存在する一又は複数のポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さのうち最大の鋳片厚み方向長さDbmax[mm]が下記式(3)又は式(4)を満足する。以上の特徴を有する熱間圧延用連鋳スラブ鋳片は、例え、鋳型厚みD[mm]が280〜310である鋳型を採用する連続鋳造機を用いて鋳造されたものであっても、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けとして利用したときに、UT欠陥の面で問題を発生しない。
Figure 0005073356
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以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1は、鋳造方向に対して垂直に切断された鋳片の斜視図である。
本実施形態に係る熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10は、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けであって、そのC含有量C[wt%]は0.03〜0.60であり、鋳型厚みD[mm]が240〜310である鋳型を採用する連続鋳造機(図4を併せて参照)を用いて鋳造されるものである。ここで、C含有量C[wt%]は連鋳スラブ鋳片10全体における平均値を指す。
本図に示される切断面11に対して例えば塩酸などの酸を用いて軽腐食させることで現出させた凝固中心線12から鋳片厚み方向Yに±5[mm]以内であって、一の狭面13から他の狭面13へ向かって(即ち、X方向に)500[mm]以内である、一対の切断面端部a・aに存在する一又は複数のポロシティp又はザクqの鋳片厚み方向長さDa・Da・・・[mm](後述する図2を併せて参照)のうち最大の鋳片厚み方向長さDamax[mm]は下記式(1)又は式(2)を満足する。
Figure 0005073356
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同様に、上記凝固中心線12から鋳片厚み方向Yに±5[mm]以内であって、前記一対の切断面端部a・a以外である、切断面中央部bに存在する一又は複数のポロシティp又はザクqの鋳片厚み方向長さDb・Db・・・[mm]のうち最大の鋳片厚み方向長さDbmax[mm]が下記式(3)又は式(4)を満足する。
Figure 0005073356
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次に、ポロシティp又はザクqの「鋳片厚み方向長さDa・Da・・・[mm]」及び「鋳片厚み方向長さDb・Db・・・[mm]」の測定方法を定義する。図2を参照されたい。図2は、熱間圧延用連鋳スラブ鋳片の切断面に現れたザクの形状を例示する写真である。本図に示されるように、切断面11に現れた凝固中心線12近傍においてザクqは、ある程度まとまりをもって発生する。そこで、前記の「鋳片厚み方向長さDa・Da・・・[mm]」及び「鋳片厚み方向長さDb・Db・・・[mm]」は、このまとまりをもって発生するザクqを一単位と捉え、この一単位のザクqの上端と下端とを観念することにより測定するものとする。ポロシティpの「鋳片厚み方向長さDa・Da・・・[mm]」及び「鋳片厚み方向長さDb・Db・・・[mm]」についても略同様とする。
参考までに、熱間圧延用連鋳スラブ鋳片を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面の写真を図3に示すので参照されたい。図3には、複数のポロシティp乃至ザクqが凝固中心線12から鋳片厚み方向Yに±5[mm]以内の領域に存在していること、この領域から外れる領域には存在していないこと、が判る。
次に、本実施形態に係る熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10の製造方法を説明する。図4を参照されたい。図4は、本実施形態に係る熱間圧延用連鋳スラブ鋳片の製造に供される連続鋳造機の概略図である。
連続鋳造機100は、注湯される溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための鋳型1と、図略のタンディッシュに保持される溶鋼を鋳型1へ所定流量で滑らかに注湯するための浸漬ノズル2と、鋳型1の直下から鋳造経路Qに沿って複数で並設されるロール対3・3・・・と、を備える。本実施形態において前記の鋳造経路Qは、その上流側から順に、略鉛直方向に延びる垂直経路部と、この垂直経路部に接続され、円弧状に延びる円弧経路部(円弧半径=10[m])と、更にその下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部と、前記の円弧経路部及び水平経路部とを滑らかに接続するための矯正経路部と、から成る。
また、前記のロール対3・3・・・の夫々は、鋳造対象としての鋳片を、両広面でもって挟持する一対のロール3a・3aから構成される。この一対のロール3a・3aのロール面間の最短距離としてのロールギャップG[mm](図5を併せて参照)は適宜の手段により調節可能に構成される。
また、前記の鋳造経路Qの上流には、鋳型1内で形成され、該鋳型1から引き抜かれる凝固シェルに対して所定の流量で冷却水を噴霧する冷却スプレー4・4・・・が適宜に設けられる。一般に、前記の鋳型1が1次冷却帯と称されるのに対して、この意味で、冷却スプレー4・4・・・が配される経路部は2次冷却帯と称される。
鋳型1から引き抜かれ、鋳造経路Qに沿って搬送される凝固シェルは、自然放熱や、上記冷却スプレー4・4・・・などにより更に冷却されて収縮する。従って、上記のロール対3・3・・・のロールギャップG[mm]は、一般に、鋳造経路Qの下流側へ進むに連れて緩やかに狭くなるように設定される。
以上の構成で、スラブ鋳片の連続鋳造を開始するときは、鋳型1へ溶鋼を注湯する前に予め図略のダミーバーを前記の鋳造経路Q内に挿入しておき、浸漬ノズル2を介して鋳型1へ溶鋼を所定流量で注湯し始めると共に上記ダミーバーを下流側へ所定速度で引き抜く。そして、このダミーバーは、所定のメニスカス距離に到達したときに、適宜の手段により回収する。これで、スラブ鋳片が連続的に鋳造されるようになる。
次に、上記の連続鋳造機100の一般的な操業条件を簡単に紹介する。
・鋳型幅W[mm]は、1400〜2300とする。
・鋳型厚みD[mm]は、240〜310とする。
・鋳型高さH[mm]は、700〜1000とする。
・鋳造速度Vc[m/min]は、0.8〜1.4とする。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、2〜35とする。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、0.25〜1.5とする。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、0〜1000とする(銅板内面表面から15mm)。
・圧下勾配Ak[mm/m]は、鋳片の熱収縮のみを考慮した場合は、通常、0.05〜0.10とする。更に、ポロシティ・ザクの生成防止低減については後述するように大きな圧下勾配が採用される。
・溶鋼成分は、当事者間の協定に基づく。代表的な成分は、CやSi、Mnである。これに、CrやCuなどが適宜に添加される。P及びSは極力少なくなるように調整される。その他の不可避の不純物を含む。
ここで、各用語を簡単に説明する。
・鋳型幅W[mm]及び鋳型厚みD[mm]は、鋳型1の上端で観念される。
・鋳造速度Vc[m/min]は、鋳片の引抜速度であって、前記複数のロール対3・3・・・のうち最上流に配されるロール対3の周速度で観念される。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、鋳型1内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。詳細は、本明細書の末尾に記載する。
・メニスカス距離M[m]は、鋳型1内の溶鋼の湯面(メニスカス)を起点とし、鋳造経路Qに沿って観念する距離[m]を意味する。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、鋼1kgに対して用いられる冷却水の容積を意味する。この冷却水は、鋳型直下〜メニスカスから30[m]の距離で観念される上記の2次冷却帯で鋳片に対して噴射/噴霧される。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。詳細は、本明細書の末尾に記載する。
・圧下勾配Ak[mm/m]は、鋳造方向に対するロール対3・3・・・のロールギャップG[mm]の減少勾配[mm/m]を意味する。図5は、圧下勾配の説明図である。本図に示されるように、メニスカス距離M(x)[m]〜メニスカス距離M(x+1)[m]間の圧下勾配Ak(x,x+1)[mm/m]は、メニスカス距離M(x)[m]に配されるロール対3(x)のロールギャップG(x)[mm]と、メニスカス距離M(x+1)[m]に配されるロール対3(x+1)のロールギャップG(x+1)[mm]と、を用いると、下記式で定義される。
Ak(x,x+1)=(G(x)-G(x+1))/(M(x+1)-M(x))
次に、本実施形態に係る連続鋳造機100の具体的な操業条件を説明する。本実施形態に係る連続鋳造では、溶鋼のC含有量C[wt%]を0.03〜0.60とする。
(1)鋳型厚みD[mm]は、240〜310とする。
(2)鋳造速度Vc[m/min]は、概ね、0.8〜1.4とする。
(3)比水量Wt[L/kgSteel]は、概ね、0.25〜1.5とする。
(4)下記式(5)で定められる圧下勾配Ak[mm/m]に基づく圧下を下記式(6)で定められるメニスカス距離Ls[m]から開始し、下記式(7)で定められるメニスカス距離Lf[m]に至るときに終了する。ただし、上記のメニスカス距離Ls[m]〜メニスカス距離Lf[m]の区間における圧下勾配Ak[mm/m]は、一定でなくてもよいし、或いは一定の割合で増減するものでなくてもよい。なお、好ましくは、下記式(5)中の下限は0.8、更に好ましくは、下記式(5)中の下限は1.0とするとよい。
Figure 0005073356
Figure 0005073356
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以下、本実施形態に係る熱間圧延用連鋳スラブ鋳片の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
先ず、各確認試験の評価に供される指標に関して説明する。
<UT欠陥>
これは、JIS 0901に規定される超音波探傷試験において検知され得る製品の内部欠陥の程度の指標である。詳細は、本明細書の末尾を参照されたい。ここで、末尾の説明中「一の試験片」は、厚みについては後述する表1の「Df mm」を参照されたい。板幅は2080[mm]とし、圧延方向長さは8400[mm]とする。また、末尾の説明中「UT欠陥判断基準値[%]」は25とする。この判断基準値は、JIS 0901で採用される判断基準値を4倍厳しくしたものであって、溶接部における探傷向けとして一般に採用される斜角探傷法での出荷判定基準としての《キズ高さ0.2mm以下》に相当する。
次に、各確認試験の試験方法について説明する。
(1)後述する表1に記載の「D mm」及び「C wt%」、「Vc m/min」、「Ls m」、「Lf m」、「Ak mm/m」に基づいて各試験No.ごとに1チャージ分、連造鋳造を行う。
(2)この連続鋳造により連続的に鋳造される鋳片を、前記鋳造経路Qの水平経路部において4800[mm]ごとに、鋳造方向に対して垂直に切断する(図1参照)。
(3)この切断により得られる切断面のうち、上記連続鋳造の定常期(上記1チャージ分の、対鋳型注湯の開始時刻をT0とし、同じく対鋳型注湯の終了時刻をT1としたときに、時刻(T0+(T1-T0)/4))〜時刻(T0+(T1-T0)3/4))で表される時期)に相当する切断面に対して前述した軽腐食などを経て鋳片厚み方向長さDamax[mm]及び鋳片厚み方向長さDbmax[mm]を測定する。なお、これら鋳片厚み方向長さDamax[mm]や鋳片厚み方向長さDbmax[mm]は、1つの「定常期に相当する切断面」に対するものではなく、5つの「定常期に相当する切断面」に対するものの更なる最大の値を試験結果として採用することとする(5つの「定常期に相当する切断面」に対するものの平均ではない。)。
(4)更に、後述する表1に記載の「Df mm」に基づいて各試験No.ごとに採用する任意の一の試験片を熱間圧延し、圧延後の厚板製品が常温に至るまで自然放熱するのを待って、上記のUT欠陥について評価した。
次に、各確認試験の試験条件とその試験結果を下記表1に示す。
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以上説明したように、上記実施形態において、C含有量C[wt%]が0.03〜0.60であり、鋳型厚みD[mm]が240〜310である鋳型1を採用する連続鋳造機100を用いて鋳造される、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けの、熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10は、以下の特徴を有する。即ち、この熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面11に現出させた凝固中心線12から鋳片厚み方向Yに±5[mm]以内であって、一の狭面13から他の狭面13へ向かって500[mm]以内である、一対の切断面端部a・aに存在する一又は複数のポロシティp又はザクqの鋳片厚み方向長さDa・Da・・・[mm]のうち最大の鋳片厚み方向長さDamax[mm]が下記式(1)又は式(2)を満足する。この熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面11に現出させた凝固中心線12から鋳片厚み方向Yに±5[mm]以内であって、前記一対の切断面端部a・a以外である、切断面中央部bに存在する一又は複数のポロシティp又はザクqの鋳片厚み方向長さDb・Db・・・[mm]のうち最大の鋳片厚み方向長さDbmax[mm]が下記式(3)又は式(4)を満足する。以上の特徴を有する熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10は、例え、鋳型厚みD[mm]が240〜310である鋳型1を採用する連続鋳造機100を用いて鋳造されたものであっても、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けとして利用したときに、UT欠陥の面で問題を発生しない。
Figure 0005073356
Figure 0005073356
Figure 0005073356
Figure 0005073356
次に、上記の式(1)〜(4)の技術的な意義の更なる理解を図るべく、図6及び図7を参照されたい。図6及び図7は、最終製品厚みDf[mm]と、所定のUT欠陥についての品質を担保するために許容され得るポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さの上限[mm]と、の関係を示す図である。図6は切断面端部に係り、図7は切断面中央部に係るものであり、双方とも上記の表1に基づいて作成されたものである。これら図6及び図7からも判る通り、上記の式(1)〜(4)は、いわば、鋳造時に発生するポロシティ又はザクに関する欠陥が所定の圧延により解消されるか否かの境界乃至臨界を意味するものである。
そして、これら図6及び図7を比較することで判る通り、所定のUT欠陥についての品質を担保するために許容され得るポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さの上限[mm]は、概ね、切断面端部よりも切断面中央部に係るものの方が大きい。これは、熱間圧延工程における鋳片狭面近傍の側面による影響を考慮すると説明できる。即ち、鋳片狭面近傍においては側面の存在により鋳片厚み方向への圧下効率(圧延による圧下がポロシティ又はザクに関する欠陥の解消に寄与する程度)が低下するからである。
更に、これら図6及び図7から判る通り、最終製品厚みDf[mm]を90〜110とする場合は、所定のUT欠陥についての品質を担保するために許容され得るポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さは、概ね4.1[mm]である。この鋳片厚み方向長さは、特別な圧下を為さなくても十分達成できることが上記表1から判る。従って、最終製品厚みDf[mm]を90〜110とする場合は、特別な圧下を為さなくてもUT欠陥についての品質が十分に確保されるといっても過言ではないだろう。
付言するならば、試験No.11(C含有量C[wt%]は0.14)と試験NO.12(C含有量C[wt%]は0.03)を比較することにより、同一の圧下条件であれば、鋳片厚み方向長さDamax[mm]や鋳片厚み方向長さDbmax[mm]に対してC含有量C[wt%]の相違は殆ど影響しないことが判る。同様に、試験No.16(C含有量C[wt%]は0.03)と試験NO.17(C含有量C[wt%]は0.56)を比較することにより、同一の圧下条件であれば、鋳片厚み方向長さDamax[mm]や鋳片厚み方向長さDbmax[mm]に対してC含有量C[wt%]の相違は殆ど影響しないことが判る。そして、試験No.21(C含有量C[wt%]は0.03)と試験NO.22(C含有量C[wt%]は0.14)を比較することにより、特別な圧下を為さないときも、鋳片厚み方向長さDamax[mm]や鋳片厚み方向長さDbmax[mm]に対してC含有量C[wt%]の相違は殆ど影響しないことが判る。更に、試験No.53(C含有量C[wt%]は0.14)と試験NO.58(C含有量C[wt%]は0.56)を比較することにより、同一の圧下条件であれば、鋳片厚み方向長さDamax[mm]や鋳片厚み方向長さDbmax[mm]に対してC含有量C[wt%]の相違は殆ど影響しないことが判る。そして、試験No.43(C含有量C[wt%]は0.14)と試験NO.44(C含有量C[wt%]は0.56)を比較することにより、特別な圧下を為さないときも、鋳片厚み方向長さDamax[mm]や鋳片厚み方向長さDbmax[mm]に対してC含有量C[wt%]の相違は殆ど影響しないことが判る。以上の考察によれば、C含有量C[wt%]が0.03〜0.56である鋼種は、発生するポロシティ又はザクの大きさや、高温での変形能に関しては殆ど差がないと考えられる。
(付記)
鋳型厚みD[mm]が240〜310である鋳型1を採用する連続鋳造機100を用いて鋳造された熱間圧延用連鋳スラブ鋳片10の厚みは、鋳型1内での凝固収縮、自然放熱や強制冷却による熱収縮、ポロシティp又はザクqの解消のための圧下、などを考慮すると、最小値で、225〜295[mm]とされる。
以下、参考資料である。
溶鋼過熱度ΔT[℃]
定義:鋳型内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。
(1)『測定時刻』は、「タンディッシュ内の溶鋼の流動が定常状態に至った時刻、より詳しくは、転炉から該タンディッシュへ溶鋼を搬送するための取鍋内に収容されている溶鋼の1/4〜1/3程度が該タンディッシュへ注湯された時刻」とする。
(2)『測定地点』は、以下の通りとする。即ち、「水平位置」はタンディッシュの底面に備え付けられる浸漬ノズルの軸心とし、「鉛直位置」はタンディッシュ内に保持されている溶鋼の湯面を基準として深さ100mmとする。
(3)『測定器具』は、消耗型熱電対を用いる構成とする。上記の通り、深さ100mmの地点に消耗型熱電対を浸漬させることから、適宜に用意した棒の先端に消耗型熱電対を取着した構成が適する。
(4)上記の『測定時刻』及び『測定地点』、『測定器具』に準じて測定した溶鋼の温度から、溶鋼の溶鋼成分により唯一に求められる液相線温度と、を比較する。そして上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]は、前者から後者を除いた(引いた)残りとして求めることとする。
(5)なお、種々の観点から、上記溶鋼過熱度ΔT[℃]は、10〜45が好ましい。
鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]
定義:鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。
(1)『測定時刻』は、任意である。
(2)『測定地点』は、以下の通りとする。即ち、「水平位置」は、(i)鋳型幅方向においては中央とし、(ii)鋳型厚み方向においては鋳型内壁面から中心へ向かって15[mm]とし、(iii)鋳型高さ方向においては鋳型に埋設される電磁コイルのコイル中心と揃えるものとする。
(3)『測定器具』は、適宜のガウスメータを用いる。
(4)上記の『測定時刻』及び『測定地点』、『測定器具』に準じて複数回測定する。そして上述した鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、上記複数の測定値を平均化して求めることとする。
(5)なお、種々の観点から、上記鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は0〜1000が好ましいとされ、鋳型内の溶鋼に作用される磁場の周波数[Hz](「磁場の周波数」とは、上記電磁コイルに導通される電流が1秒間に向きを変える回数を意味する。)は1〜5が好ましいとされ、一般に、この磁場の周波数[Hz]として2が採用される。
UT欠陥F/B[%]
定義:JIS 0901に規定される超音波探傷試験において検知され得る製品の内部欠陥の程度の指標である。
(1)『探傷方式』:垂直探触子を用いたパルス反射法とする。
(2)『探傷時期』:鋳片を圧延して所定の最終製品厚みDf[mm]とした時点以降とする。
(3)『探傷面』:厚板製品の肌面とする。
(4)『探傷条件』:垂直探触子の公称周波数、振動子の寸法及び探傷感度についてのJIS 0901の規定に準ずる。
(5)『探傷箇所』:前記探傷面上で板幅方向に200[mm]ピッチで観念する圧延方向に平行な線としての探傷線とする。
(6)『走査速度』:自動探傷装置の探触子送り速度(走査速度)は、探傷に支障をきたさない速度とする。
(7)上記(1)〜(6)に準じて測定して得られる、底面エコー高さB[%]に対する欠陥エコー高さF[%](ただし、超音波探傷試験器の表示部に表示される時間軸に基づいて観念され得る鋳片厚み方向略中央の位置に対応するものに限る。図8参照。)の比をUT欠陥F/B[%]とし、一の試験片におけるUT欠陥F/B[%]の最大値を、その試験片の代表的なUT欠陥F/B[%]として記録する。このUT欠陥F/B[%]が所定のUT欠陥判断基準値[%]未満であるとき、その試験片を「○(UT欠陥なし)」と評価し、一方、このUT欠陥F/B[%]が所定のUT欠陥判断基準値[%]以上であるとき、その試験片を「×(UT欠陥あり)」と評価する。
鋳造方向に対して垂直に切断された鋳片の斜視図 熱間圧延用連鋳スラブ鋳片の切断面に現れたザクの形状を例示する写真 熱間圧延用連鋳スラブ鋳片を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面の写真 本実施形態に係る熱間圧延用連鋳スラブ鋳片の製造に供される連続鋳造機の概略図 圧下勾配の説明図 最終製品厚みDf[mm]と、所定のUT欠陥についての品質を担保するために許容され得るポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さの上限[mm]と、の関係を示す図 最終製品厚みDf[mm]と、所定のUT欠陥についての品質を担保するために許容され得るポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さの上限[mm]と、の関係を示す図 超音波探傷試験器の表示部に表示される内容の一例を示す図
符号の説明
1 鋳型
10 熱間圧延用連鋳スラブ鋳片
11 切断面
12 凝固中心線
13 狭面
100 連続鋳造機
p ポロシティ
q ザク
Damax 鋳片厚み方向長さ
Dbmax 鋳片厚み方向長さ
Df 最終製品厚み

Claims (1)

  1. C含有量C[wt%]が0.03〜0.60であり、鋳型厚みD[mm]が280〜310であって鋳型幅[mm]は1400〜2300である鋳型を採用する連続鋳造機を用いて鋳造される、最終製品厚みDf[mm]が90以上である厚板製品向けの、熱間圧延用連鋳スラブ鋳片において、
    この熱間圧延用連鋳スラブ鋳片を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面に現出させた凝固中心線から鋳片厚み方向に±5[mm]以内であって、一の狭面から他の狭面へ向かって500[mm]以内である、一対の切断面端部に存在する一又は複数のポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さのうち最大の鋳片厚み方向長さDamax[mm]が下記式(1)又は式(2)を満足し、
    この熱間圧延用連鋳スラブ鋳片を鋳造方向に対して垂直に切断したときに得られる切断面に現出させた凝固中心線から鋳片厚み方向に±5[mm]以内であって、前記一対の切断面端部以外である、切断面中央部に存在する一又は複数のポロシティ又はザクの鋳片厚み方向長さのうち最大の鋳片厚み方向長さDbmax[mm]が下記式(3)又は式(4)を満足する、
    ことを特徴とする熱間圧延用連鋳スラブ鋳片。
    Figure 0005073356
    Figure 0005073356
    Figure 0005073356
    Figure 0005073356
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