JP2009142876A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モールドパウダーの物性および鋳片の冷却条件を総合して鋳造条件を適正化することにより、鋳片表面の横ひび割れを防止することのできる連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとし、かつ、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて表される下記(1)式により定義されるモールドパウダー指数Wの値を10〜35の範囲として鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)
【選択図】図1
【解決手段】鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとし、かつ、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて表される下記(1)式により定義されるモールドパウダー指数Wの値を10〜35の範囲として鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)
【選択図】図1
Description
この発明は、連続鋳造により製造される鋳片の横ひび割れやコーナー割れなどの表面割れを防止する鋳造方法に関し、さらに詳しくは、鋳造に際して使用するモールドパウダーの物性値および鋳型の一次冷却条件を総合して鋳造条件を適正化することにより、鋳片表面におけるオシレーションマークの深さを低減し、連続鋳造鋳片の表面割れを防止する鋼の連続鋳造方法に関する。
鋳型を上下方向に振動させながら、鋳型内にモールドパウダーを添加しつつ鋳型から鋳片を引抜く連続鋳造においては、鋳型の上下方向の振動(以下、「オシレーション」とも記す)に伴って、鋳片表面にオシレーションマークと称される凹凸が発生する。このオシレーションマークを起点として、鋳片表面に横ひび割れと称する表面割れが発生する場合がある。これは、オシレーションマークの谷部がノッチとして作用し、前記谷部に応力集中が起こって、割れが発生することによるものである。したがって、横ひび割れを防止する手段の一つとして、オシレーションマーク深さの低減が挙げられている。
横ひび割れは、粒界近傍部分あるいは粒界の初析フェライト部分に発生している。そして、この横ひび割れは、二次冷却時に、鋳片の表面温度が熱間延性の低下するγ鉄→α鉄変態温度の近傍(600〜850℃)に達し、この温度領域において、鋳片の曲げや矯正を受けることにより生じる応力に起因して、発生すると考えられている。この対策として、鋳片の曲げや矯正時の表面温度が、熱間延性の低下する前記温度域(以下、「脆化温度域」とも記す)を回避してその温度域の低温側または高温側を通過するように冷却することにより、表面割れを抑制する方法が採用されている。しかし、合金元素を含む割れ感受性の高い鋼種では、鋳造時に鋳片表面に発生する酸化物スケールの不均一な固着による温度の不均一が生じやすく、鋳片の曲げや矯正時に鋳片幅方向全体にわたり脆化温度域を回避することは困難である。
従来、オシレーションマークの深さを低減する方法として、例えば、特許文献1には、低粘度のモールドパウダーを使用し、かつオシレーションストロークをショートストローク化するとともに高サイクル化する方法が開示されている。しかし、この方法を適用すると、オシレーションの1サイクル当たりのパウダーの消費量が減少し、鋳型と凝固シェルとの間での拘束が発生しやすくなり、ブレークアウトが発生する可能性が高くなる。したがって、特許文献1に開示された方法は、安定した鋳造操業を確保する観点から、好ましくない。
別の方法として、例えば、特許文献2には、ブレークポイント(結晶が晶出し、ニュートン流体でなくなる温度よりも10℃高い温度)が1000℃以下の低凝固温度のモールドパウダーを使用する方法が開示されている。同文献で開示された方法は、凝固温度が低温のモールドパウダーを使用するので、鋳型と凝固シェルとの間における抜熱が促進され、これに起因してシェルの凝固が鋳片の幅方向において不均一となりやすく、その結果、鋳片表面の縦割れが発生しやすくなる。
一方、モールドパウダーの多量の流入を抑制する方法として、特許文献3には、1300℃における粘度および凝固温度が所定の関係式を満足し、粘度および凝固温度が比較的高いモールドパウダーを使用するステンレス鋳片の連続鋳造方法が開示されている。同文献に開示された方法によれば、オシレーションマークは浅くなる。しかし、モールドパウダーの粘度および凝固温度が高いため、モールドパウダーの流入が不均一となりやすく、流入量が過大となった場合には、鋳片表面に窪み欠陥が発生し、一方、流入量が過少な場合には、ブレークアウトや鋳片表面の肌荒れが発生する場合がある。
さらに、特許文献4には、オシレーションマーク深さの低減を目的として、鋳型の内側に高周波コイルを配置し、鋳型の振動周期に同期させて、外部から印加する交番磁界の強度を変化させる連続鋳造方法が開示されている。この方法は、鋳型内メニスカス部に高周波磁界を印加し、鋳片と鋳型間のモールドパウダー中に発生する正、負の圧力によって初期凝固シェルが鋳型の振動により変形することを防止し、オシレーションマーク深さを低減させるものである。しかし、同文献に開示された方法では、設備が大がかりとなるため、設備の製作および設置が容易ではなく、また、設備コストの負担も増大する。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、鋳造に際して使用するモールドパウダーの粘度および凝固温度、ならびに鋳型の一次冷却水による冷却条件を総合して鋳造条件を適正化することにより、オシレーションマークの深さを低減させ、鋳片表面横ひび割れを防止することのできる連続鋳造方法を提供することにある。
本発明は、上記のとおり、モールドパウダーの物性値の適正範囲を明確にし、鋳型と鋳片凝固シェルとの間へのパウダーの流入量を必要最小限に抑制するとともに、凝固シェルの厚さを鋳片の幅方向にわたって均一化することにより、オシレーションマークに代表される鋳片表面の肌荒れや窪みによる欠陥を軽減するものである。また、同時に、鋳片表面の縦割れを抑制し、無手入れまたは軽微な手入れにより圧延が可能な鋳片を安定して製造することのできるモールドパウダーおよびそれを用いた連続鋳造方法に関するものである。
本発明者らは、前記の課題を解決するために、モールドパウダーの粘度、凝固温度および鋳型の一次冷却水による冷却条件を総合した鋳造条件の適正化を検討し、下記の(a)および(b)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)オシレーションマークの深さを低減し、鋳片表面のひび割れの発生を防止するためには、モールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとした上で、さらに、下記(b)に示されるとおり、鋳型の一次冷却条件の影響を反映させたパウダー指数Wの値を適正範囲に調整し、鋳造する必要がある。
(b)鋳片表面のひび割れの発生を防止するためには、上記(a)の条件に加えて、さらに、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて下記(1)式により表されるモールドパウダー指数Wの値が10〜35の範囲となるように鋳造する必要がある。
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記に示される鋼の連続鋳造方法にある。すなわち、
「鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとし、かつ、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて表される下記(1)式により定義されるモールドパウダー指数Wの値を10〜35の範囲として鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)」である。
「鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとし、かつ、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて表される下記(1)式により定義されるモールドパウダー指数Wの値を10〜35の範囲として鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)」である。
本発明において、「局所熱流束Q」とは、鋳型内に設置した熱電対による温度測定値と鋳型冷却水の温度との温度差に、冷却部分における総括熱伝達係数を乗じて算出される熱流束の値を意味し、その詳細については後述するとおりである。
本発明の連続鋳造方法を用いれば、鋳造時に使用するモールドパウダーの粘度および凝固温度、ならびに鋳型の一次冷却水の冷却条件を総合して鋳造条件を適正化することにより、オシレーションマーク深さを低減させ、局部的な鋳片表面の窪みやブレークアウト、さらには鋳片表面の横ひび割れを防止することができる。
本発明は、前記のとおり、鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとし、かつ、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて表される前記(1)式により定義されるモールドパウダー指数Wの値を10〜35の範囲として鋳造する鋼の連続鋳造方法である。
以下に、本発明を前記のように規定した理由および好ましい範囲について説明する。
1.モールドパウダー指数Wの値の適正範囲
本発明者らは、鋳片の横ひび割れに影響する因子として、モールドパウダーの1300℃における粘度ηおよび凝固温度Tc、ならびに鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Qが大きく影響していることを知見した。そして、さらに、横ひび割れは、上記の物理量を用いて統計的処理により求めた前記(1)式により算出されるモールドパウダー指数Wとの間に良好な相関関係を有することを見出した。
本発明者らは、鋳片の横ひび割れに影響する因子として、モールドパウダーの1300℃における粘度ηおよび凝固温度Tc、ならびに鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Qが大きく影響していることを知見した。そして、さらに、横ひび割れは、上記の物理量を用いて統計的処理により求めた前記(1)式により算出されるモールドパウダー指数Wとの間に良好な相関関係を有することを見出した。
図1に、鋳片の横ひび割れ発生率と上記パウダー指数との関係を示す。同図は、5種類のモールドパウダーを用いてパウダー指数Wを変化させて行った基礎試験の結果、および後述する実施例の表1および表2に示す試験のうち、特に割れ感受性の高い高Ni鋼を除いた試験結果を整理したものである。なお、用いたモールドパウダーの1300℃における粘度は、いずれも0.40〜0.85poiseの範囲内である。
同図の結果から下記のことが判明した。すなわち、モールドパウダーの1300℃における粘度ηが0.40〜0.85poiseの範囲内であっても、パウダー指数Wの値が10未満の場合、すなわち、局所熱流束Qの値が低すぎるか、またはパウダーの凝固温度が高すぎる場合には、モールドパウダーの溶融が不十分となる。その結果、鋳片と鋳型内面との間へのモールドパウダーの流入量が不足して鋳型内面と鋳片の凝固シェルとの間の潤滑が不良となり、ブレークアウトを引き起こすおそれが大きくなる。
一方、モールドパウダーの1300℃における粘度ηが0.40〜0.85poiseの範囲内であっても、パウダー指数Wの値が35を超えて高い場合、つまり局所熱流束Qの値が高すぎるか、またはパウダーの凝固温度が低すぎる場合には、鋳片凝固シェルから鋳型への抜熱速度が必要以上に大きくなる。その結果、鋳片幅方向における凝固の不均一が助長され、鋳片表面に割れが発生しやすくなる。
上述の理由から、前記(1)式により定義されるパウダー指数Wの値の適正範囲を10〜35とした。
2.モールドパウダーの1300℃における粘度の適正範囲
パウダー指数Wの値が10〜35の範囲内に存在する場合であっても、モールドパウダーの1300℃における粘度ηが0.40poise未満では、鋳片と鋳型内面との間へのモールドパウダーの流入量が増加しすぎて、鋳片と鋳型内面との間の伝熱抵抗が増大しやすい。その結果、凝固シェルから鋳型への抜熱が阻害されて、シェルの凝固が鋳片幅方向において不均一となり、鋳片表面に割れが発生しやすくなる。
パウダー指数Wの値が10〜35の範囲内に存在する場合であっても、モールドパウダーの1300℃における粘度ηが0.40poise未満では、鋳片と鋳型内面との間へのモールドパウダーの流入量が増加しすぎて、鋳片と鋳型内面との間の伝熱抵抗が増大しやすい。その結果、凝固シェルから鋳型への抜熱が阻害されて、シェルの凝固が鋳片幅方向において不均一となり、鋳片表面に割れが発生しやすくなる。
一方、パウダー指数Wの値が10〜35の範囲内に存在していても、モールドパウダーの1300℃における粘度ηが0.85poiseを超えて高くなると、オシレーションマークの深さが深くなり、これが鋳片表面におけるノッチ作用を演じて鋳片表面の横ひび割れの発生を助長することとなる。上述の理由から、1300℃における粘度の適正範囲を0.40〜0.85poiseとした。
上記1.および2.にて述べた適正条件を同時に満足させるように鋳造操業を行うことにより、鋳片表面の横ひび割れを防止することができる。
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、下記のとおりの連続鋳造試験を行って、その結果を評価した。
1.試験方法
連続鋳造機として、全機長が28.4mであり、垂直部がメニスカスから0〜2.5mの範囲、曲げ部が2.5〜4.1mの範囲、湾曲部が4.1〜16.6mの範囲、矯正部が16.6〜19.4mの範囲、および水平部が19.4〜28.4mの範囲であって、鋳型幅が2300mmであり、かつ厚さが235〜300mmの鋳型を備えた連続鋳造機を用いて、鋳造試験を行った。
連続鋳造機として、全機長が28.4mであり、垂直部がメニスカスから0〜2.5mの範囲、曲げ部が2.5〜4.1mの範囲、湾曲部が4.1〜16.6mの範囲、矯正部が16.6〜19.4mの範囲、および水平部が19.4〜28.4mの範囲であって、鋳型幅が2300mmであり、かつ厚さが235〜300mmの鋳型を備えた連続鋳造機を用いて、鋳造試験を行った。
鋳造試験に際しては、鋳型を、オシレーションストロークが4.2mm、振動数が80〜200cpm(サイクル/分)の条件にて上下方向に振動させ、鋳造速度は、0.6〜1.2m/minの範囲内で一定速度とした。鋳型内に供給するモールドパウダーの1300℃における粘度および凝固温度を変化させるとともに、鋳型の一次冷却条件を変化させることにより、前記(1)式により定義されるパウダー指数Wを変化させて、また、さらに二次冷却水の比水量も変化させて連続鋳造を行った。
前記(1)式中の局所熱流束Qは、鋳型内に設置した熱電対による温度測定値と鋳型冷却水の温度との温度差に、冷却部分における総括熱伝達係数を乗じて算出される熱流束の値を意味し、下記(2)式により算出した。
Q=H×ΔT ・・・・(2)
Q=H×ΔT ・・・・(2)
ここで、Qは局所熱流束(MW/m2)、Hは、鋳型の熱伝導度および鋳型と冷却水との間の境膜熱伝達係数を用いて計算される総括熱伝達係数(W/m2/℃)を、そしてΔTは、鋳型内に設置した熱電対による温度測定値と鋳型冷却水の温度との温度差(℃)をそれぞれ表す。
鋳片表面の品質評価は、鋳造後の鋳片の表面を片面当たり深さ1.5mmにわたって溶削後、目視により割れ疵の有無を観察することにより行った。割れ感受性のより高い、例えば高Ni鋼などの鋼種については、鋳造後の鋳片の表面を片面当たり深さ1.5mmにわたってラインダーを用いて研削後、JIS Z 2343で規定される浸透探傷法により疵の有無を調査した。そして、横ひび割れが発生した鋳片の本数を、試験を行った鋳片の全本数により除して、横ひび割れ発生率(%)を求めた。
2.鋳造試験結果
表1に、各試験における鋳造速度、二次冷却比水量、鋳造鋼種、鋼の成分組成、モールドパウダーの物性および局所熱流束を、また、表2に、パウダー指数および鋳片の横ひび割れ発生率をまとめて示した。
表1に、各試験における鋳造速度、二次冷却比水量、鋳造鋼種、鋼の成分組成、モールドパウダーの物性および局所熱流束を、また、表2に、パウダー指数および鋳片の横ひび割れ発生率をまとめて示した。
同表において、試験番号1−1、2−1、3−1、4−1、5−1、6−1、7−1、8−1、9−1および10−1は、本発明で規定する条件を満たす本発明例であり、また、試験番号1−2、2−2、3−2、4−2、5−2、6−2、7−2、8−2、9−2および10−2は、本発明で規定する条件を満たさない比較例についての試験である。
表1および表2に示された結果から、いずれの鋼種の鋳造においても、モールドパウダーの粘度η、および前記(1)式により算出されるモールドパウダー指数Wの値が本発明で規定される範囲を満足する本発明例では、比較例に比して、鋳片の横ひび割れ発生率が大幅に低減しており、良好な表面品質の鋳片が得られることが確認された。
図2に、本発明例と比較例とにおけるオシレーションマーク深さを比較して示した。同図は、上記の試験とは別に、鋳造鋼種として前記の試験番号10で使用した高Ni鋼を用い、モールドパウダーの1300℃における粘度が0.40〜0.85poiseの範囲のパウダーを使用して、パウダー指数Wの値を100とした場合と、Wの値を20とした場合の鋳造試験を行い、鋳片のオシレーションマークの深さを測定して、両者の値を比較したものである。
同図の結果から、Wの値を本発明で規定する範囲を外れる100とした試験の場合に比較して、Wの値を本発明で規定する範囲を満足する20とした試験の場合においては、鋳片のオシレーションマークの深さが大幅に低減することが確認された。この結果は、Wの値を適正範囲に調整することにより、オシレーションマークの深さが低減し、その結果、横ひび割れの発生のない鋳片を得ることができることを示すものである。
さらに、割れ感受性の特に高い高Ni鋼の鋳造を対象として、鋳片の二次冷却水の比水量と設備トラブルによるロスタイムとの関係を調査した。
図3は、設備トラブルによるロスタイムに及ぼす二次冷却水比水量の影響を示す図である。同図の関係は、試験番号10で用いた高Ni鋼と同一の鋼種を用い、1300℃における粘度が0.40〜0.85poiseの範囲のパウダーを使用して、一次冷却水の比水量を変化させることによりパウダー指数Wの値を変化させ、さらに、二次冷却水の冷却水量を変化させて鋳造試験を行った結果を整理したものである。ここで、設備トラブルとは、熱負荷による冷却スプレー配管の脱落や各種ロールのベアリングの破損などを意味する。
同図の結果、下記のことが確認できた。すなわち、割れ感受性の高い高Ni鋼については、従来、二次冷却の比水量を0.24リットル/kg程度とし、極めて弱い冷却条件で鋳造を行っていたが、比水量を0.28〜0.40リットル/kg程度に増加し、冷却条件を強化しても、鋳片に横ひび割れを生じることなく、且つ連続鋳造設備への熱負荷を軽減し、設備トラブルを減少させることが可能であることが確認された。これは、本発明の方法の適用による付加的な顕著な効果である。
本発明の連続鋳造方法によれば、鋳造時に使用するモールドパウダーの粘度および凝固温度、ならびに鋳型の一次冷却水の冷却条件を総合して鋳造条件を適正化することにより、オシレーションマーク深さを低減させ、鋳片表面横ひび割れを防止することができる。
したがって、本発明の方法は、パウダーの物性および簡便なモールドパウダー指数Wの値を適正範囲内に調整することにより鋳片の表面性状を改善できる連続鋳造方法として、広範に活用できる実用的価値の高い鋳造方法である。
Claims (1)
- 鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーの1300℃における粘度を0.40〜0.85poiseとし、かつ、モールドパウダーの1300℃における粘度η(poise)と凝固温度Tc(℃)と、鋳型内表面と鋳片との間の局所熱流束Q(MW/m2)とを用いて表される下記(1)式により定義されるモールドパウダー指数Wの値を10〜35の範囲として鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
W=1000×η2×Tc-0.5×Q3.5 ・・・・(1)
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