JP5381468B2 - 連続鋳造機内の二次冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶鋼の連続鋳造後に鋳片のサイジングを行う工程で発生する割れ防止とコスト削減を両立するための連続鋳造機内の二次冷却方法に関わるものである。
直近の鉄鋼需要の増加に伴い、鋼の連続鋳造における生産性向上は大きな課題の一つである。通常は、連続鋳造時の鋳造速度を増加させることで生産性向上を図っている。しかしながら鋳造速度を増加させた場合、連続鋳造において種々の課題が発生する。具体的には、鋳型と凝固シェル間の潤滑材として使用しているパウダーの巻込みに代表される清浄性の悪化や縦割れなどの鋳片割れ発生、ブレークアウトの危険性の増大などである。
一方、生産性向上のその他の手段として、鋳造幅、鋳造厚を大きくした大断面スラブを鋳造し、鋳造後に圧延工程で必要とされるサイズにサイジングする方法もある。大断面スラブを鋳造後にサイジングするメリットは、鋳造速度の大幅な増加もなく生産性を向上できる点である。このため、生産性向上のための鋳造速度増加に伴う上記の課題の影響が少なくなる。しかしながら、大断面スラブ鋳造後のサイジングの工程特有の課題が存在する。サイジング方法として、ロールを用いた幅及び厚みの圧延を行う場合、幅圧下時に形成されるドッグボーンと呼ばれる鋳片コーナー部近傍の膨らみを厚み圧下で厚み方向にならす際にロールと非接触となる鋳片幅中央部に引張応力が発生し、鋳片表面割れ(γ粒界割れ)が発生する場合がある。このような割れ発生防止のため、垂直曲げ型あるいは湾曲型連続鋳造機の水平帯で強冷却を行い鋳片表層の組織をオーステナイト(γ)からフェライト(α)に一旦変態させ、サイジング前の加熱炉で再加熱をしてαからγへ逆変態させることで鋳片表層のγ粒を微細化して割れ防止を図っている(例えば特許文献1参照)。
特開平11−290902号公報
しかしながら、大断面スラブ鋳造後に鋳片のサイジングを行う工程において上述した割れ対策を行う場合、連続鋳造機の機端から搬出された鋳片(以下、出片と呼ぶ)の温度が大幅に低下して加熱炉への装入温度が低くなるため、加熱炉内での在炉時間延長による生産性低下や加熱炉温度アップによるエネルギーコストの増大といった課題がある。
本発明の目的は、大断面スラブ鋳造後に鋳片のサイジングを行う工程において、サイジングに伴う割れ防止対策と加熱炉のエネルギー削減を両立し生産性を向上させることを可能とする連続鋳造機内の二次冷却方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために連続鋳造機内の二次冷却方法を検討し、鋳片表面割れ防止のための鋳片表層のγ粒の微細化と連続鋳造後の出片温度の向上を両立する二次冷却方法を考案した。
手段1は、C:0.02mass%以上0.2mass%以下、Si:0.005mass%以上0.1mass%以下、Mn:0.1mass%以上1mass%以下、P:0.02mass%以下、S:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるアルミキルド鋼であり、かつ鋳造幅1000mm以上の鋳片を連続鋳造した後サイジングを行う場合の連続鋳造機内の二次冷却方法において、凝固シェル厚が下記(1)式を満足する間に、鋳片の鋳造幅方向のセンター部を中心に少なくとも600mm幅の領域において、鋳片表層から10mm位置をγ相がα相に変態する変態終了温度まで冷却し、かつ連続鋳造機の矯正帯において鋳片のコーナー部から200mm以内の鋳片表面温度を850℃以上に保持することを特徴とする連続鋳造機内の二次冷却方法である。
d/D<0.5 ・・・・・・(1)
D:鋳造厚の半厚(mm)、d:凝固シェル厚(mm)
手段2は、C:0.02mass%以上0.2mass%以下、Si:0.005mass%以上0.1mass%以下、Mn:0.1mass%以上1mass%以下、P:0.02mass%以下、S:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるアルミキルド鋼であり、かつ鋳造幅1000mm以上の鋳片を連続鋳造した後サイジングを行う場合の連続鋳造機内の二次冷却方法において、凝固シェル厚が下記(1)式を満足する間に、鋳片の鋳造幅方向のセンター部を中心に少なくとも600mm幅の領域において、鋳片表層から10mm位置を(2)式に示す温度Tまで冷却し、かつ連続鋳造機の矯正帯において鋳片のコーナー部から200mm以内の鋳片表面温度を850℃以上に保持することを特徴とする連続鋳造機内の二次冷却方法である。
d/D<0.5 ・・・・・・(1)
D:鋳造厚の半厚(mm)、d:凝固シェル厚(mm)
T=705−221×[%C]−67×[%Mn]−221×([%C]×[%Mn]×(CR−0.1))0.5 (2)
[%C]:C濃度(mass%)、[%Mn]:Mn濃度(mass%)
CR:冷却速度0.1〜3(℃/s)
本発明の連続鋳造機内の二次冷却方法を使用すれば、連続鋳造機内の矯正帯において鋳片コーナー部近傍の過冷却による割れを防止しつつ、鋳片表層のγ粒微細化と連続鋳造後の出片温度を向上させ、サイジングに伴う鋳片表面割れを防止し加熱炉のエネルギーコスト削減及び生産性向上を両立させることが可能である。
変態終了温度と冷却速度の関係を示すグラフ 変態終了温度の実測値と予測値の関係を示すグラフ 強冷却終了位置と出片温度の関係を示すグラフ サイジングに発生するγ粒界割れ発生位置の関係を示すグラフ
本発明者らは、γ粒を微細化するための冷却条件の検討、出片温度向上のための連続鋳造機内での強冷却ゾーン及び強冷却すべき鋳片部位の検討を行い、鋳片表層のγ粒微細化と出片温度向上を両立する連続鋳造機内の二次冷却方法を考案した。
以下に図表を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
大断面鋳造後に鋳片のサイジングを行った際に鋳片表面割れが発生しやすい鋼種は、アルミキルド鋼である。
鋳片表面割れの形態はγ粒界割れであり、γ粒界に析出する析出物や温度低下に伴いγ粒界にフィルム状に生成するα相が原因で発生する。γ粒界割れの原因となる析出物はAlNである。AlNの析出は温度低下により生成したα相に析出しやすい。そのため、サイジング工程で発生するγ粒界割れは、連続鋳造から加熱炉に装入するまでの間に鋳片の温度が下がりγ粒界に生成した初析α相にAlNが析出し再加熱時にもAlNが固溶できない場合か、サイジング中の温度低下によりγ粒界にフィルム状α相が生成する場合に発生する。γ粒界割れの感受性はγ粒の大きさに関係し、γ粒を微細化することで割れ感受性が大幅に低下する。そのため、γ粒界割れ防止の一般的な対策として、強冷却+復熱過程においてγ/α変態とα/γ変態を利用することによりγ粒が細かくなるという現象を利用している。なお、上記のγ粒細粒化による割れ防止では、γ粒が微細化していない鋳片内部で割れが発生する場合があるが、割れが存在する深さが10mm以上深ければ、その後の熱間圧延において圧着し表面への露出もないことが確認されている。
まず、アルミキルド鋼に関して、変態温度の冷却速度依存性をフォーマスター試験機を用いて調査した。ここで、アルミキルド鋼とは、C、Si、Mn、P、S、Alを主成分としSiが0.1mass%以下となる鋼を意味し、TiやNb,Vなどの強度強化元素を添加していない鋼である。変態温度に関しては、成分の影響が大きく、アルミキルド鋼の場合にはC濃度の影響が最も大きい。そこで、C=0.05%のいわゆる低炭アルミキルド鋼とC=0.16%のいわゆる中炭アルミキルド鋼について調査した。φ3mm×10mmの試験片を用いて、Ar雰囲気下で常温から加熱温度(低炭アルミキルド鋼:1350℃、中炭アルミキルド鋼:1400℃)まで20℃/sで昇温し3分保持後に1100℃まで10℃/sで冷却後、冷却速度を変えて300℃まで冷却したときの試験片の線膨張量を計測して変態温度を求めた。サンプルの温度は、サンプル底部に1mmφで深さ3mmの穴をあけ、そこに熱電対を電着し測定した。変態温度としては、γ相が完全に変態を完了した温度(以下、変態終了温度と呼ぶ)を以下のように求めた。1000〜950℃の線膨張量を直線近似しγ相の線膨張線と仮定し、500〜400℃の線膨張量を直線近似しα相の線膨張線と仮定する。γ相及びα相の近似した線膨張線を各温度で線形に足し合わせて測定した膨張曲線を再現するようにγ相とα相の分率を求めた。α相の分率が99%を超えた温度を変態終了温度とした。なお、本発明で言うα相とは、フェライトだけではなく、ベイナイトも含む。したがって、「γ相がα相に変態する」とは、γ相がフェライトに変態する場合の他、γ相がフェライトとベイナイトに変態する場合も含む。
変態終了温度と冷却速度の関係を図1に示す。図1に示すように低炭アルミキルド鋼より中炭アルミキルド鋼では変態終了温度が低くなる。また冷却速度依存性は、いずれも冷却速度が大きくなるほど変態終了温度は低くなる。このようにγ粒の細粒化のためには冷却速度に応じて冷却温度を変化させないとγ相の完全な変態はできないことがわかる。
次に、アルミキルド鋼において、鋼成分と冷却速度から変態終了温度の予測を検討した。アルミキルド鋼は、Cが0.02mass%以上0.2mass%以下、Siが0.005mass以上0.1mass%以下、Mnが0.1mass%以上1mass%以下、P及びSが0.02mass%以下、Alが0.05mass%以下の成分のものを対象とした。なお、上記以外の成分は、溶鋼を溶製するに当たり不可避的に混入するものが含まれる。鋳片表層から10mm位置での冷却速度であるため、最大でも3℃/sが現実的であるため、冷却速度の範囲は3〜0.1℃/sとした。前記と同様の方法で、冷却速度を種々変えて変態終了温度を測定した。冷却速度が0.1℃/sの場合の変態終了温度を基準温度として、C濃度とMn濃度で変態終了温度を回帰した。その結果、(3)式に示す回帰式が得られた。なお、アルミキルド鋼におけるC濃度とMn濃度以外の影響は非常に小さいため、C濃度とMn濃度のみで表記することができる。
変態終了温度(0.1℃/s)=715−211×[%C]−67×[%Mn] (3)
[%C]:C濃度(mass%)、[%Mn]:Mn濃度(mass%)
冷却速度を大きくしていくと変態終了温度は低下していくが、冷却速度を大きくしたときの変態終了温度と上記の変態終了温度の基準温度との差ΔTを取り、C濃度、Mn濃度、冷却速度との関係を調査した。γ相からα相への相変態は元素の拡散律速である。一般的に元素の拡散現象は時間の1/2乗に比例するため、連続冷却中の変態終了温度と基準温度との差は、基準温度を下回った時間の1/2乗の逆数と正の相関があると推定される。時間の1/2乗の逆数は、冷却速度の1/2乗に比例するため、変態終了温度と平衡温度との差は最終的に冷却速度の1/2乗に比例することが推定される。前述と同様に変態終了温度と基準温度との差は、C濃度やMn濃度の影響を強く受けると推定される。C濃度及びMn濃度の拡散現象を簡易な式で定式化するのは困難なため、(4)式で示す形式で回帰した結果、今回の測定範囲内では良好な相関が得られた。
ΔT=211×([%C]×[%Mn]×(CR−0.1))0.5 (4)
CR:冷却速度(℃/s)
(3)式と(4)式を合わせて成分及び冷却速度から変態終了温度T’は(5)式のように表される。(5)式で推定した変態終了温度と実測の変態終了温度の関係を図2に示す。図2に示すように推定値と実測値は±10℃の精度で一致しており、推定値としては十分な精度を有している。
T’=715−221×[%C]−67×[%Mn]−221×([%C]×[%Mn]×(CR−0.1))0.5 (5)
表層から10mm位置をγ相からα相に確実に変態させるためには、(5)式で得られる温度T’よりも10℃低い温度、即ち(2)式で表す温度Tまで冷却すればよい。
T=705−221×[%C]−67×[%Mn]−221×([%C]×[%Mn]×(CR−0.1))0.5 (2)
なお、実際の鋳造の際の変態終了温度を予測するためには、冷却速度を精度よく見積もる必要がある。冷却速度の見積もりは、後述する伝熱計算と実測の鋳片表面温度との合わせ込みにより行っている。また、実際の鋳造では、冷却速度は温度域により変化するが、変態開始温度近傍の900℃以下の平均冷却速度を使用する。伝熱計算から鋳片10mm位置においては、現実的な冷却条件の範囲(10℃/s未満)において900℃以下での冷却速度の温度依存性が小さいことを確認している。
次にこれまで求めた冷却条件を連続鋳造時のどのタイミングで行なうかを検討した。通常は、連続鋳造機の水平部において強冷却を行なっていたが、出片直前での強冷却のため、出片温度が非常に低くなってしまう。連続鋳造機内の上流側で強冷却を行うことにより未凝固の溶鋼が多く残存している状態で復熱させるために出片温度が高くなることが予想される。そこで、鋳型を引き抜かれた直後から強冷却を行い連続鋳造機端までの範囲のどの位置まで強冷却して表層10mmまでのγ相の変態を完了させることで、1000℃以上の出片温度を得ることができるのかを検討した。1次元の伝熱モデルを用いた伝熱計算で表層10mmまでのγ相のα相への変態を完了させることと連続鋳造機内で凝固を完了させることを両立し、かつできるだけ出片温度が高くなる条件で、連続鋳造機内での冷却条件を変更し連続鋳造機を出た後の出片温度を比較した。なお、連続鋳造機の曲げ戻し部(以下、矯正部と呼ぶ)においては、過冷却状態になると割れが発生する可能性があるため、矯正部においては850℃以上に復熱させることを前提条件とした。鋳造条件としては、280mm厚、鋳造速度1.5mpmとした。
鋳造速度を一定とし連続鋳造機内の強冷却終了位置とで鋳片温度の関係を図3に示す。
図3中の横軸は強冷却終了時点を鋳造厚みの半厚(D)と凝固シェル厚(d)の比で示す。縦軸の出片温度は、連続鋳造機を出てきた鋳片の表面温度である。
連続鋳造機内の凝固シェル厚(d)は、1次元の伝熱計算により(6)式で示す時間の1/2乗に比例する形で示される。
d=k×t0.5 (6)
k:凝固定数、t:時間
実際の鋳造時の凝固シェル厚を実験的に求めて、凝固定数kを算出する。凝固シェル厚の測定方法としては、鋳造中にS等の元素を添加して凝固シェル厚を測定する方法や鋳片に鋲を打ち込み鋲の溶解状態から凝固シェル厚を測定方法などが挙げられる。一定の冷却条件であれば凝固定数は不変であるが、実際の冷却条件で厳密に凝固シェル厚を求める場合は、伝熱計算と上記で示した実際の凝固シェル厚測定結果とを組み合わせて推定する方法が有効である。
図3において、強冷却終了時点がd/D<0.5の場合は、鋳型直下から湾曲部において強冷却を行っており、強冷却開始時点はd/Dが約0.1の時点である。強冷却終了時点がd/D>0.5の場合は、鋳型直下から水平部まで強冷却を行なっているが、矯正部(d/D=0.5〜0.55)において一度復熱させている。図3に示すように、d/Dが0.5未満の領域で強冷却を終了することで、40〜50℃の出片温度の向上が見られることがわかる。つまり鋳型直下から湾曲部にかけて強冷却を行うことにより1000℃以上の出片温度が確保でき、再加熱時の加熱炉のエネルギーコストを低減することができる。水平部において強冷却する場合は、凝固シェル厚が厚くなり未凝固部(高温の溶鋼量)が減少するために、強冷却して温度が低下している鋳片表面付近の復熱温度が低くなる。本検討結果から、復熱を十分行なうために必要な未凝固の溶鋼量は50%以上必要であると考えられる。また、実際の鋳造において強冷却を行い出片温度を測定した結果も、図3にあわせて示す。実際の鋳造における表面温度と計算値は異なるもののほぼ同じ傾向であることがわかる。なお、実際の鋳造における表面温度は、連続鋳造機端から3mの地点において鋳片幅方向のセンター部を放射温度計で測定した結果である。実際に鋳造した鋳片の表層組織を観察し、表層下10mm位置まで微細な組織に変化していることを確認し、サイジングによる割れについても表層下10mm以内には発生していないことが確認できた。なお、鋳片の表層組織は、γ粒が微細化するとその後の冷却過程で変態するフェライトが微細粒になることを利用して、ナイタール腐食を行なった後のフェライト粒で評価を行った。また、サイジング時のγ粒界割れについては、鋳片表面を1mmピッチで10mm深さまで研削していき、割れの有無を確認した。なお、連続鋳造機の設備仕様によっては、矯正部を含む領域で強冷却を行うことにより目的とする出片温度と鋳片表層のγ粒微細化を達成できる場合はあるが、矯正部での割れを防止するために矯正部では復熱させるのが一般的であり、矯正部での復熱後に水平部で再度強冷却を行うと、出片温度向上に対する十分な効果は見込めない。
上記の検討では、鋳片の全幅を強冷却しており、鋳片コーナー部の過冷却された領域でコーナー割れが発生する場合があった。そのため、連鋳機内での過冷却による鋳片コーナー部の割れを回避するための鋳片コーナー部の温度条件とサイジングの時に割れが発生しないために必要な強冷却すべき鋳片幅方向の位置を特定する検討を行なった。なお、強冷却する鋳片幅方向の範囲を狭めることができれば、出片温度のさらなる向上も期待できる。まず、サイジングの際に表面割れが発生する鋳片幅方向の領域の特定を行なった。大断面鋳造後に鋳片をサイジングする際に表面割れが発生する条件は、鋳片幅方向のサイジング量が大きい場合である。これは、サイジング量が大きいほど、鋳片センター部で作用する引張応力が大きくなるためであり、引張応力が作用する範囲を検討した。鋳片表面割れが発生するメカニズムは、幅方向にサイジングする際に鋳片コーナー部が盛り上がり、厚み方向のサイジングの際に鋳片幅センター付近がロールと接触せず引張応力が働くためである。このため、鋳造幅とサイジング後の表面割れが発生する領域との対比を行った。鋳造速度及び鋳造幅は一定とし、サイジング時の幅圧下量との関係を調査した。鋳造幅は1900mmとし幅圧下量も最大1000mmとした。鋳造幅が1900mm及び幅圧下量が1000mmの条件は、通常のサイジングで最も割れ領域が広くなる条件に相当し、この条件よりも割れ領域が広がることはない。なお、二次冷却条件は、欠陥の有無がわかりやすいように強冷却は実施しなかった。図4の横軸はサイジング時の幅圧下量で、縦軸は鋳造後鋳片に換算した場合の幅センター部から欠陥が発生している範囲までの距離とした。図4に示すように鋳造幅のセンター部から片側300mm、つまり幅センターを中心に少なくとも600mm幅を対象とすれば良いことがわかった。
即ち、通常のサイジングで最も割れ領域が広くなる条件(鋳造幅:1900mm、幅圧下量:1000mm)においても、幅センターを中心に少なくとも600mmの幅の領域を強冷却すれば、サイジングする際の表面割れを回避できる。但し、鋳造幅と幅圧下量の条件によっては、強冷却によって表面割れを回避する領域を600mm幅よりも狭くすることも可能である。例えば、鋳造幅が1900mmよりも小さい鋳片であれば、あるいは、幅圧下量が1000mmよりも小さい鋳片であれば、サイジングする際の表面割れが発生する領域は、幅センターを中心とする600mmの幅の領域よりも小さくなる。鋳造幅と幅圧下量の条件に応じて、強冷却によって表面割れを回避する領域を適宜調整すれば良い。
次に、鋳片コーナー部の過冷却に伴う割れに関して検討した。表層10mmまでのγ相の変態を完了させる強冷却条件で鋳片の全幅を冷却した場合、連続鋳造機の矯正部での鋳片コーナー部の表面温度は650〜750℃程度であり、矯正部で割れを生じたものと推定される。鋳型を出た後に強冷却を行う技術はこれまでにも多数存在し、過冷却に伴う割れを回避する目的で連続鋳造機の矯正部前に復熱させることが提案されている。これらの技術は、連続鋳造機の矯正部での表面割れを防止するために実施されており、強冷却により割れを抑制する鋳片厚み方向の深さは5mm程度で、本発明で対象とする鋳片厚み方向の深さに比べて浅い。そのため、強冷却の程度が小さく、鋳片コーナー部においても十分復熱できるものと推定される。しかしながら、今回のように鋳片表面下10mm位置まで完全に変態させる場合、鋳片コーナー部での表面温度が著しく低下し矯正前に復熱できないと推定される。そこで、上記で検討した鋳片幅方向の位置(幅センター部を中心に600mm幅)のみを強冷却し、その外側はこれまで通りの通常の冷却として鋳造した結果、連続鋳造機の矯正部での鋳片コーナー部の表面温度が850℃以上となり割れが発生しないことが確認できた。鋳片センター部の強冷却する幅を変えていき、鋳片コーナー部の表面温度が850℃以上を確保する条件を調査した結果、強冷却を行なっている散水領域が鋳片コーナー部より200mm位置よりもコーナー側にならなければ良いことがわかった。したがって、鋳片広面側の鋳片コーナーより200mm以内の鋳片コーナー部を強冷却しないことにより、鋳片コーナーより200mm以内の鋳片コーナー部での表面温度が連続鋳造機の矯正帯において850℃以上となり、鋳片コーナー部での割れが防止できる。
以下、実施例および比較例を示しながら、本発明に係る連続鋳造機内の二次冷却方法について、詳細に説明する。
表1に示す溶鋼を用いて、表2に示した二次冷却条件で連続鋳造し、出片温度の測定及びサイジング時のγ粒界割れの有無について調査した。連続鋳造の形態を以下に記載する。まず、転炉で脱炭した溶鋼を取鍋に受けて、RH(真空脱ガス装置)を用いて脱炭処理を行った。脱炭後、Alを添加して脱酸し、所定時間の攪拌を加えた後に、成分調整のための合金類を添加した。成分調整が終了した溶鋼は、取鍋から中間容器であるタンディッシュに耐火物製ノズルを介して供給した。鋳造条件は、鋳造幅1800mm、鋳造厚280mm、鋳造速度1.5m/minである。また、サイジング後の鋳片サイズは、鋳片幅1000mm、鋳片厚み250mmである。強冷却を行なっている鋳造方向位置は、強冷却終了時点での鋳造厚みの半厚(D)と凝固シェル厚(d)の比であるd/Dを用い、強冷却を行なっているゾーン長とあわせて表2に示す。また、平均水量密度は強冷却帯での平均的な水量密度(単位時間・単位表面積当たり)を示している。調査結果を表3に示す。出片温度は、連続鋳造機の機端から3mの位置で鋳片全幅をサーモトレーサーを用いて2次元で測定し、全幅の平均温度及びセンター部600mm幅の平均温度を算出した。サイジング時のγ粒界割れについては、鋳片長さ方向に500mm、幅センター部を中心に500mm幅の範囲の表面を研削し割れがあるかどうかで評価した。幅センター部を中心に500mm幅の範囲は、サイジング後の割れ発生位置に対応する。また、表面の研削は1mmピッチで行い、γ粒界割れが表層下10mm以内に存在するかどうかで割れ有無を判定した。鋳片コーナー部の過冷却による割れの有無と連続鋳造機内の矯正帯での鋳片コーナー部の表面温度の測定もあわせて実施した。表3には、強冷却終了時点での鋳片センター部での鋳片表層下10mm位置での1次元モデルで計算した冷却温度及び900℃以下の領域での平均冷却速度、溶鋼成分及び冷却速度から推定される変態終了温度をあわせて示している。出片温度は、1000℃以上を良好とした。なお、実施例1〜4は鋼種A系で低炭アルミキルド鋼であり、実施例5〜8は鋼種B系で中炭アルミキルド鋼である。
Figure 0005381468


Figure 0005381468
Figure 0005381468
実施例1は、鋳型直下からd/D=0.3(湾曲部)までの間で強冷却を行っている。この時の強冷却終了地点での鋳片表層下10mm位置での冷却温度は600℃と推定され、冷却速度及び成分から推定される変態終了温度以下となっている。このため鋳片表層下10mmまでにサイジング時のγ粒界割れはなく、鋳片全幅の平均出片温度も1000℃以上となっている。
実施例2では、実施例1の冷却条件と同一であるが全幅で強冷却を実施している。鋳片表層下10mmまでにサイジング時のγ粒界割れは認められなかったが、鋳造後の鋳片のコーナー部の過冷却による割れが散見された。
実施例3では、実施例1及び2よりも強冷却ゾーンを長くしているが、強冷却終了地点での鋳片表層下10mmの冷却温度が冷却速度及び成分から推定した変態終了温度よりも高い。このため、サイジング後のγ粒界割れが存在した。
実施例4は、連続鋳造機の水平部つまり最下流部で強冷却している条件であり、鋳片全幅の平均出片温度が970℃と低い。
実施例5は、鋳型直下からd/D=0.3(湾曲部)までの間で強冷却を行っている。この時の強冷却終了地点での鋳片表層下10mm位置での冷却温度は530℃と推定され、冷却速度及び成分から推定される変態終了温度以下となっている。このため鋳片表層下10mmまでにサイジング時のγ粒界割れはなく、鋳片全幅の平均出片温度も1000℃以上となっている。
実施例6では、実施例5と同一区間での強冷却で若干水量を低減しているが、強冷却終了地点での鋳片表層下10mm位置での冷却温度は、冷却速度及び成分から推定される変態終了温度以下となっているため、サイジング時のγ粒界割れはない。実施例5よりも冷却が若干弱いために、鋳片全幅の平均出片温度はやや高くなっている。
実施例7では、実施例5及び6と同一区間での強冷却ではあるが、水量を低減しているため強冷却終了地点での鋳片表層下10mmの冷却温度が冷却速度及び成分から推定した変態終了温度よりも高い。このため、サイジング後のγ粒界割れが存在した。
実施例8は、連続鋳造機の水平部つまり最下流部で強冷却している条件であり、鋳片全幅の平均出片温度が955℃と低い。
以上のように、本発明に係る連続鋳造機内の二次冷却方法を実施することにより、大断面鋳造後に行うサイジング時の割れを抑制するとともに出片温度向上による再加熱時のエネルギーコスト削減の両立が可能である。

Claims (2)

  1. C:0.02mass%以上0.2mass%以下、Si:0.005mass%以上0.1mass%以下、Mn:0.1mass%以上1mass%以下、P:0.02mass%以下、S:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるアルミキルド鋼であり、かつ鋳造幅1000mm以上の鋳片を連続鋳造した後サイジングを行う場合の連続鋳造機内の二次冷却方法において、
    凝固シェル厚が下記(1)式を満足する間に、鋳片の鋳造幅方向のセンター部を中心に少なくとも600mm幅の領域において、鋳片表層から10mm位置をγ相がα相に変態する変態終了温度まで冷却し、かつ連続鋳造機の矯正帯において鋳片のコーナー部から200mm以内の鋳片表面温度を850℃以上に保持することを特徴とする連続鋳造機内の二次冷却方法。
    d/D<0.5 ・・・・・・(1)
    D:鋳造厚の半厚(mm)、d:凝固シェル厚(mm)
  2. C:0.02mass%以上0.2mass%以下、Si:0.005mass%以上0.1mass%以下、Mn:0.1mass%以上1mass%以下、P:0.02mass%以下、S:0.02mass%以下、Al:0.05mass%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるアルミキルド鋼であり、かつ鋳造幅1000mm以上の鋳片を連続鋳造した後サイジングを行う場合の連続鋳造機内の二次冷却方法において、
    凝固シェル厚が下記(1)式を満足する間に、鋳片の鋳造幅方向のセンター部を中心に少なくとも600mm幅の領域において、鋳片表層から10mm位置を(2)式に示す温度Tまで冷却し、かつ連続鋳造機の矯正帯において鋳片のコーナー部から200mm以内の鋳片表面温度を850℃以上に保持することを特徴とする連続鋳造機内の二次冷却方法。
    d/D<0.5 ・・・・・・(1)
    D:鋳造厚の半厚(mm)、d:凝固シェル厚(mm)
    T=705−221×[%C]−67×[%Mn]−221×([%C]×[%Mn]×(CR−0.1))0.5 (2)
    [%C]:C濃度(mass%)、[%Mn]:Mn濃度(mass%)
    CR:冷却速度0.1〜3(℃/s)
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