JP2008274329A - リジング特性に優れた低炭フェライト系ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低炭フェライト系ステンレス鋼の溶鋼を鋳型に鋳込みさらに凝固するまでの冷却過程にて凝固組織を微細化させ、等軸晶を増加させた低炭フェライト系ステンレス鋼、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】溶銑を脱炭精錬した後、脱ガス精錬を行ない、さらに脱酸剤を添加して脱酸し、得られた溶鋼を取鍋に収容するまでにBを添加して、C:0.01〜0.07質量%,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.3〜0.9質量%,P:0.05質量%以下,S:0.01質量%以下,Al:0.01質量%以下,Cr:14〜18質量%,Ni:0.6質量%以下,B:0.003〜0.08質量%およびN:0.01〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶鋼を得た後、溶鋼を取鍋に収容しさらに取鍋から鋳型に鋳込んで鋳片または鋼塊とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、凝固組織を微細化し、等軸晶率を高めることによって、リジングの発生を防止できる低炭フェライト系ステンレス鋼およびその製造方法に関するものである。
フェライト系ステンレス鋼は、耐食性に優れており、美しい光沢を長期間にわたり保ち続けること、および比較的安価であることから、板状に加工して厨房器具や家電製品等に広く使用されている。このフェライト系ステンレス鋼板は、転炉や電機炉等を用いてクロムを含有する溶鋼を溶製し、真空精錬を行なった後、連続鋳造あるいは造塊鋳造によって得られた鋳片あるいは鋼塊を圧延加工して薄い鋼板とし、その鋼板にプレス成形等の二次加工を施して上記した用途に用いられている。しかし、フェライト系ステンレス鋼板にプレス成形等の二次加工を施した場合、リジングと呼ばれる鋼板の結晶粒ごとの変形に起因した微小な凹凸(しわ)の表面欠陥が発生する。このリジングの程度が著しい場合は、表面の美観を損なうだけでなく、微小割れの起因となるので、研磨等を行なって除去しなければならない。
一般の凝固組織は、鋳型の一次冷却で最初に凝固するチル晶では比較的に小さい組織であるが、内部では冷却が緩慢となり大きいデンドライトの組織となる。この凝固組織は、プレス成形等の二次加工の際に、結晶粒ごとの伸びの差が発生して微小な表面の凹凸(すなわちリジング)が起きる。また、リジングは、オーステナイト系ステンレス鋼板に比べて、相変態がなく凝固組織が大きいフェライト系ステンレス鋼板に顕著に発生する。
そのリジングを防止する対策としては、凝固組織の等軸晶化、および圧延時の再結晶による組織の微細化の二つがあげられる。等軸晶化を達成する具体的な手段としては、TiNのような凝固時の析出物を利用して凝固組織を制御する、あるいは連続鋳造(または造塊鋳造)の過程において凝固が完了するまでに電磁攪拌を行ない、結晶生成核を増やし、等軸晶化を促進する等の技術が採用されている。また再結晶を達成する具体的手段としては、熱間圧延時に強圧下をかける、あるいは冷延工程において圧下回数を増やした後に、焼鈍を行なう技術が採用されている。
しかし、前者の析出物については、生成しすぎると、逆にヘゲと呼ばれる表面欠陥が発生しやすい。また後者の圧下については、フェライト系ステンレス鋼はスケールが薄いため、強圧下により圧延ロールと鋳片で焼付きが生じ、表面疵が発生しやすい。
そこで特許文献1には、リジング特性を改善するために、フェライト系ステンレス鋼においてMgを含有する酸化物を鋼板の断面に析出させる技術が提案されている。
また特許文献2によれば、TiおよびAlのうちの1種または2種とMgを含み、2種以上の組成からなる層構造を有する酸化物を析出させる技術が提案されている。しかしながら、Mgを鋼中に歩留まらせることが非常に難しいので、溶鋼を溶製する過程で溶鋼の成分を所定の範囲に制御することが難しいという問題があった。
そのため、場合によっては特許文献3に示されるようなワイヤでMgを溶融させ、連続鋳造の鋳型の中に注入する必要があった。
また特許文献4には、連続鋳造の鋳型内もしくは鋳型直下で、Bを含有しかつCおよびNの1種以上を含有する物質を添加する技術が提案されている。Bはオーステナイト相をフェライト粒内に分散して析出させるために添加されるが、そのBの効果を得るためには熱間圧延や冷間圧延で大きい圧下をかける必要がある。
ところがフェライト系ステンレス鋼、特に炭素含有量が小さいフェライト系ステンレス鋼(以下、低炭フェライト系ステンレス鋼という)では、特許文献4のようなオーステナイト相はほとんど晶出しない。そのため、熱間圧延や冷間圧延で大きい圧下をかけても、再結晶によって組織が微細化されることは期待できない。つまり低炭フェライト系ステンレス鋼では、オーステナイト相はほとんど晶出しないので、鋳型に鋳込んだ溶鋼が凝固するまでの冷却過程にて凝固組織を微細化する技術を導入しなければならない。
また特許文献5には、Crを14〜25質量%,Cを0.12質量%以下,Mnを1.0質量%以下,Siを1.0質量%以下,Bを0.01〜0.1質量%,Tiを0.01〜0.5質量%含有したフェライト系ステンレス鋼が開示されている。この技術は、0.01〜0.03質量%程度含有されるNをBで固定してBNの生成を抑制すると同時に、Tiを添加して窒化物の生成を抑制する。そのため、Tiを含有しない鋼種にこの技術を適用することは困難である。
また特許文献6には、Crを14〜30質量%,Cを0.1質量%以下,Mnを1.0質量%以下,Siを1.0質量%以下,Bを0.005〜0.2質量%含有したフェライト系ステンレス鋼が開示されている。この技術は、フェライト結晶の粒界にBの化合物を析出させ、リジングを防止するとともに、降伏点を低下させるものである。しかしながら、凝固組織の微細化や等軸晶率の向上とリジングの発生との関係は考慮されていない。
特開平10-324956号公報 特開2001-254153号公報 特開平11-156503号公報 特開平11-192538号公報 特公昭44-736号公報 特公昭47-4786号公報
本発明は、低炭フェライト系ステンレス鋼の溶鋼を鋳型に鋳込みさらに凝固するまでの冷却過程にて凝固組織を微細化させ、等軸晶を増加させた低炭フェライト系ステンレス鋼、およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明を適用して得られる低炭フェライト系ステンレス鋼を用いれば、熱間圧延や冷間圧延の負荷を軽減でき、リジングの発生を防止して表面性状の優れた低炭フェライト系ステンレス鋼の鋼板を製造することが可能である。
本発明は、C:0.01〜0.07質量%,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.3〜0.9質量%,P:0.05質量%以下,S:0.01質量%以下,Al:0.01質量%以下,Cr:14〜18質量%,Ni:0.6質量%以下,B:0.003〜0.08質量%およびN:0.01〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する低炭フェライト系ステンレス鋼である。
また本発明は、溶銑を脱炭精錬した後、脱ガス精錬を行ない、さらに脱酸剤を添加して脱酸し、得られた溶鋼を取鍋に収容するまでにBを添加して、C:0.01〜0.07質量%,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.3〜0.9質量%,P:0.05質量%以下,S:0.01質量%以下,Al:0.01質量%以下,Cr:14〜18質量%,Ni:0.6質量%以下,B:0.003〜0.08質量%およびN:0.01〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶鋼を得た後、溶鋼を取鍋に収容しさらに取鍋から鋳型に鋳込んで鋳片または鋼塊とする低炭フェライト系ステンレス鋼の製造方法である。
本発明の低炭フェライト系ステンレス鋼の製造方法においては、脱ガス精錬をVODで行ない、脱酸剤としてSiまたはAlを使用することが好ましい。また、鋳型に鋳込んだ溶鋼が凝固を完了して鋳片または鋼塊となるまでの冷却過程にて、溶鋼に電磁攪拌を付与することが好ましい。
本発明によれば、凝固組織が微細化され、等軸晶の多い低炭フェライト系ステンレス鋼の鋳片あるいは鋼塊を製造できる。本発明を適用して得られる低炭フェライト系ステンレス鋼を用いれば、熱間圧延や冷間圧延の負荷を軽減でき、リジングの発生を防止して表面性状の優れた低炭フェライト系ステンレス鋼の鋼板を製造することが可能である。その結果、オーステナイト相を分散させることが難しい低炭フェライト系ステンレス鋼においても、熱間圧延や冷間圧延の後で鋼板を手入れする必要がなくなり、高品質の低炭フェライト系ステンレス鋼の鋼板を安定して製造することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
まず、本発明の低炭フェライト系ステンレス鋼の成分の限定理由を説明する。
C:0.01〜0.07質量%
CはCrと結合してCr炭化物を形成し、耐食性を向上させる固溶Cr量を低減する作用を有する。そのため、C含有量は後述するCr含有量とのバランスを考慮して決定する必要がある。本発明のCr含有量の範囲では、C含有量が0.01質量%未満では、鋼中のNを固定するCが不足し、低炭フェライト系ステンレス鋼の表面欠陥の発生や靭性の低下を招く。一方、0.07質量%を超えると、Cの濃度のむらが大きくなり、等軸晶率が低減してしまう。したがって、C量は0.01〜0.07質量%の範囲内とした。なお、C含有量を低減することによって、溶鋼の凝固温度を上昇させて凝固の過冷却を増やし、凝固組織の等軸晶化を促進する効果が得られる。
Si:0.1〜0.4質量%
Siは、溶鋼の精錬時に生成するCr酸化物の還元および溶鋼の脱酸に有用な元素である。Si含有量が0.1質量%未満では、その効果が得られない。一方、0.4質量%を超えると、低炭フェライト系ステンレス鋼の成形性が劣化する。したがって、Siは0.1〜0.4質量%の範囲内とした。
Mn:0.3〜0.9質量%
Mnは、溶鋼を脱酸し、さらに低炭フェライト系ステンレス鋼の強度を発現させる元素である。Mn含有量が0.3質量%未満では、この効果は得られない。一方、0.9質量%を超えると、MnSの析出量が増加して耐食性が劣化する。したがって、Mnは0.3〜0.9質量%の範囲内とした。
P:0.05質量%以下
Pは、低炭フェライト系ステンレス鋼の靱性,熱間加工性,耐食性を劣化させる元素である。P含有量が0.05質量%を超えると、低炭フェライト系ステンレス鋼の靱性,熱間加工性および耐食性が著しく劣化する。したがって、Pは0.05質量%以下とした。
S:0.01質量%以下
Sは、低炭フェライト系ステンレス鋼の靱性,熱間加工性,耐食性を劣化させる元素である。S含有量が0.01質量%を超えると、低炭フェライト系ステンレス鋼の靱性,熱間加工性および耐食性が著しく劣化する。したがって、Sは0.01質量%以下とした。
Al:0.01質量%以下
Alは、低炭フェライト系ステンレス鋼の溶製段階で脱酸のために必要な元素である。しかしAl含有量が0.01質量%を超えると、脱酸生成物としてAl23 が多量に生成して連続鋳造の際に浸漬ノズルの内部に付着し、ノズル詰まりを起こす惧れがある。また、Al23 は低炭フェライト系ステンレス鋼の表面欠陥の原因になる。したがって、Alは0.01質量%以下とした。
Cr:14〜18質量%
Crは、低炭フェライト系ステンレス鋼の耐食性および耐酸化性を確保するのに有効な元素である。Cr含有量が14質量%未満では、その効果が十分に得られない。一方、18質量%を超えると、Crの炭化物や窒化物を生成し易くなり、低炭フェライト系ステンレス鋼の靱性が著しく低下する。したがって、Crは14〜18質量%の範囲内とした。
Ni:0.6質量%以下
Niは、微量添加で耐食性を向上させる元素である。Ni含有量が0.6質量%を超えると、C含有量によっては熱間圧延工程でオーステナイト相が生成し易くなり、組織が2相化して耐食性が劣化する。したがって、Niは0.6質量%以下とする。
B:0.003〜0.08質量%
Bは、Nと化合してBNを析出させ、核生成の起点となるとともに、粒界を強化する作用を有する。B含有量が0.003質量%未満では、核生成の起点となる析出物が十分に生成しない。一方、0.08質量%を超えると、等軸晶率の向上には有効であるが、結晶粒界にBが偏析して、内部割れが発生する。したがって、Bは0.003〜0.08質量%の範囲内とした。
N:0.01〜0.06質量%
Nは、B,Cを核として不均一核生成した介在物を生成させ、凝固組織を微細化して等軸晶率を高めるのに必須の元素である。N含有量が0.01質量%未満では、析出物がほとんど生成しないので核生成の起点にならない。一方、0.06質量%を超えると、核生成には有効であるが、その核となる析出物を起点として表面欠陥が発生するとともに、靱性の著しい低下を招く。したがって、Nは0.01〜0.06質量%の範囲内とした。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としてはOが代表的な元素であり、極低炭フェライト系ステンレス鋼を溶製する段階や圧延する段階で不可避的に混入する。
次に、本発明の低炭フェライト系ステンレス鋼を製造する方法を説明する。
溶銑の溶製は、特定の技術に限定せず、高炉や電気炉,溶融還元炉等を用いて従来から知られている方法で行なう。ただし溶銑にCrを含有させる必要があるので、Cr鉱石を電気炉に装入して溶銑を溶製する、あるいはCr鉱石粉を溶融還元炉に装入して溶銑を溶製することが好ましい。
得られた溶銑の精錬は、脱炭精錬(いわゆる1次精錬)と脱ガス精錬(いわゆる2次精錬)に大別される。脱炭精錬は、特定の技術に限定せず、転炉や平炉等を用いて従来から知られている方法で行なう。脱ガス精錬は、特定の技術に限定せず、RH法,DH法,VAD法,VOD法等の従来から知られている真空精錬技術で行なう。ただしVOD法を採用して脱ガス精錬を行なうことが好ましい。その理由は、本発明の成分は低炭素であり、脱炭を効率良く進める必要があるからである。RH法等では、酸素がCrと結合し易いので、脱炭の効率が低下する惧れがある。そのため、VOD法を採用することが好ましい。
脱ガス精錬では、真空精錬を行なった後、さらに脱酸材を添加して酸素(O)を除去する。脱酸材は、SiまたはAlを使用することが好ましい。その理由は、酸素との結合力が強いので、少量で脱炭を効率良く進めることができるからである。
脱ガス精錬を終了した後、得られた溶鋼を脱ガス精錬容器から排出して取鍋に収容するまでにBを添加する。Bを脱炭精錬の段階で添加すると、脱ガス精錬によってBが除去され、歩留りが低下する。Bは高価な金属であるから、歩留りを向上して原料コストを削減するために、脱ガス精錬を終了した後で溶鋼に添加する。
このようにして成分を調整して得た溶鋼を取鍋に収容して、連続鋳造設備あるいは造塊鋳造設備へ運搬する。次いで、溶鋼を取鍋から連続鋳造用鋳型(いわゆるモールド)に鋳込んで鋳片を得る、あるいは造塊鋳造用鋳型(いわゆるインゴット)に鋳込んで鋼塊を得る。以下では連続鋳造用鋳型と造塊鋳造用鋳型を総称して鋳型と記す。なお連続鋳造では、溶鋼を取鍋からタンディッシュを経て鋳型に鋳込むが、詳細な説明を省略する。
リジングを防止するためには、凝固組織を等軸晶にすることが有効である。そこで、鋳型に鋳込む溶鋼の温度を低く(いわゆる低温鋳造)する、あるいは溶鋼に電磁攪拌を付与することによって等軸晶率を高める技術が実用化されている。
低温鋳造は、液相線温度より低温で鋳込んで等軸晶を生成させる技術であり、溶鋼の温度を液相線温度より15℃以内に制御しなければならない。その理由は、溶鋼の温度を大幅に低くすると、溶鋼中を浮遊する介在物が浮上し難くなり溶鋼中に残留することによって、低炭フェライト系ステンレス鋼の表面欠陥を誘起するからである。
ただし溶鋼を鋳型に鋳込む際に、溶鋼の温度を液相線温度より15℃以内に制御することは困難である。そのため電磁攪拌を採用することが好ましい。
電磁攪拌は、鋳込んだ溶鋼を電磁力で攪拌して結晶生成核を増加させ、微細な等軸晶を多量に生成させる技術である。ただし、鋳型内の溶鋼に電磁攪拌を付与しても、最終凝固点に到達するまで長時間を要するので、鋳型内で生成した等軸晶が溶解して最終凝固点ではデンドライトが生成する。一方、最終凝固点の近傍の溶鋼に電磁攪拌を付与しても、そのときには既にデンドライトが生成しているので、等軸晶率の向上を達成できない。したがって、鋳型に鋳込んだ溶鋼が凝固して鋳片あるいは鋼塊となるまでの冷却過程で、溶鋼に電磁攪拌を付与することが好ましい。電磁攪拌によって鋳型内の溶鋼が揺動し、凝固部を鋳型から剥離させる。その結果、微細な凝固物が溶鋼内に分散して結晶生成核となるので、微細な凝固組織が得られる。
等軸晶率が60%以上であれば、低炭フェライト系ステンレス鋼のリジングを防止できる。ここで等軸晶率は、低炭フェライト系ステンレス鋼の任意の断面において等軸晶が占める面積の比率を百分率で示した値である。
以上に説明した通り、本発明を適用して得た低炭フェライト系ステンレス鋼は、凝固組織が微細化され、等軸晶が増加する。したがって、熱間圧延や冷間圧延の負荷を軽減でき、リジングの発生を防止して表面性状の優れた低炭フェライト系ステンレス鋼板を製造することが可能である。
溶銑を転炉に装入して脱炭精錬を行ない、さらにVODを用いて脱ガス精錬を行なった後、Siを添加して脱酸した。次いでBを添加して、得られた溶鋼を取鍋に収容して造塊鋳造設備へ運搬した。そこで取鍋から鋳型に溶鋼を鋳込んで鋼塊とした。得られた鋼塊の成分は表1に示す通りである。表1中の発明例は成分が本発明の範囲を満足する例であり、比較例はBが本発明の範囲を外れる例である。
Figure 2008274329
厚み220mmのスラブを35mmまでリバース圧延で粗圧延してバーとした後に、タンデム仕上圧延機で厚み4.0mmまで圧延した。得られた熱延鋼板を950℃で連続焼鈍した後、酸洗して熱延焼鈍板を作成し、これを1.0mmまで冷間圧延した。この冷延鋼板をさらに900℃で連続焼鈍して冷延焼鈍板とした。
得られた冷延焼鈍板の任意の断面における等軸晶が占める面積を測定した。等軸晶の面積を測定するにあたって、冷延焼鈍板の断面をVILELLA試薬や飽和第2鉄に塩酸または硝酸を加えた腐食液で腐食し、結晶粒のアスペクト比が1/2以下のものを等軸晶として、その面積を測定した。そして断面の面積に対する等軸晶の面積の比率を百分率で算出し、等軸晶率とした。その結果を表1に併せて示す。
また、冷延焼鈍板の表面を目視で観察して、表面性状,リジング性を調査した。表面性状は、ヘゲと呼ばれる表面欠陥が冷延焼鈍板1000mあたり2個以下を良(○)、3〜5個を可(△)、6個以上を不良(×)として評価した。これら3段階の評価のうち、良(○)と可(△)を合格レベルとする。リジング性は、以下のようにして評価した。標点間幅25mm,標点間長さ50mmの引張試験片を、引張方向が圧延方向と平行になるように作成し、20%の歪みを与えた。このとき、圧延方向に平行に生じたうねりをリジングとし、粗さ計を用いて圧延方向と垂直な方向のうねりを測定した。このうねりの高さをリジング高さとし、リジング高さが5μm以下をリジング無し(○),5μm超え15μm以下を軽リジング(△),15μm超えを高リジング(×)として評価した。その結果を表1に併せて示す。
表1から明らかなように、発明例は全て等軸晶率が60%であった。また、発明例はいずれも優れた表面性状およびリジング性が得られたのに対して、比較例は表面性状またはリジング性が劣っていた。

Claims (4)

  1. C:0.01〜0.07質量%、Si:0.1〜0.4質量%、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.05質量%以下、S:0.01質量%以下、Al:0.01質量%以下、Cr:14〜18質量%、Ni:0.6質量%以下、B:0.003〜0.08質量%およびN:0.01〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする低炭フェライト系ステンレス鋼。
  2. 溶銑を脱炭精錬した後、脱ガス精錬を行ない、さらに脱酸剤を添加して脱酸し、得られた溶鋼を取鍋に収容するまでにBを添加して、C:0.01〜0.07質量%、Si:0.1〜0.4質量%、Mn:0.3〜0.9質量%、P:0.05質量%以下、S:0.01質量%以下、Al:0.01質量%以下、Cr:14〜18質量%、Ni:0.6質量%以下、B:0.003〜0.08質量%およびN:0.01〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶鋼を得た後、前記溶鋼を前記取鍋に収容しさらに前記取鍋から鋳型に鋳込んで鋳片または鋼塊とすることを特徴とする低炭フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
  3. 前記脱ガス精錬をVODで行ない、前記脱酸剤としてSiまたはAlを使用することを特徴とする請求項2に記載の低炭フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
  4. 前記鋳型に鋳込んだ前記溶鋼が凝固を完了して鋳片または鋼塊となるまでの冷却過程にて、前記溶鋼に電磁攪拌を付与することを特徴とする請求項2または3に記載の低炭フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
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