JPH0947854A - 鋳片表面割れ抑制方法 - Google Patents
鋳片表面割れ抑制方法Info
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Abstract
直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する際、鋳型内溶鋼
のメニスカス部から鋳型下端までの引抜き所要時間を1
分以内とし、引抜いた後直ちに2次冷却を行い、1分以
内に表面温度をA3 変態温度以下まで冷却する方法。 Cp =C(%) + Mn(%)/33+ Ni(%)/25+ Cu(%)/44+N(%) /1.7 ・・ Cp <0.18 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ただし、Cp は炭素当量、(%) は質量% 上記に従いA3 変態温度以下まで冷却した後、複熱さ
せ、曲げ点及び矯正点での鋳片表面温度を850 ℃以上と
し、鋳型内溶鋼のメニスカス通過後20分以内に矯正を終
了してもよい。 【効果】表面に発生する横ひび割れなどの割れを抑制又
は防止することができる。
Description
おける鋳片の表面割れを抑制する方法に関する。
Ni、Cuなど種々の合金元素を含有させた低合金鋼の生産
量が増加している。しかしながら、これらの合金元素の
添加に伴い、連続鋳造時に鋳片の表面部分に横割れ、横
ひび割れと呼ばれる表面割れ(以下表面割れという)が
発生する場合があり、製造上の問題となっている。
鋳片の表面温度がγ→α変態温度近傍(約 600〜850
℃)になって熱間延性が低下し、このとき鋳片の矯正に
よる矯正応力を受けることにより発生することが知られ
ている。
間延性の低下する温度域(以下脆化温度域という)を低
温側もしくは高温側に回避することにより、割れを抑制
する方法が通常とられている。しかし、鋳片矯正時の表
面温度を制御するのみでは割れを防止することは不可能
であり、次のような種々の方法が提案されている。
は、前述の矯正点での表面温度が延性の低下する温度域
を低温側に回避できるような冷却パターンをとり、かつ
2次冷却帯の上部を強制冷却し、鋳片表面温度を 650〜
700 ℃として一旦変態させる方法が開示されている。
表層部を 350〜500 ℃の温度に1分以上冷却・保持する
方法が開示されている。
温度を低下させることにより、鋳片の大部分もしくは全
体において相変態を生じさせ、組織的に割れ感受性を鈍
くするものである。しかし、鋳片表面温度を一旦 700℃
以下にまで低下させると、その後、複熱させても脆化温
度域を高温側に回避することは熱的に困難である。一
方、合金含有量が多いために割れ感受性の高い鋼種では
冷却特性の変化により、鋳片の矯正時の脆化温度域を低
温側に回避することは困難である。
ことからγ粒径に着目し、これを微細化しようという提
案が数多くある。本出願人は、γ粒の成長を抑制するた
めに特開昭63−63559号公報において、オーステ
ナイト単晶化温度からの冷却速度を10℃/sec以上とする
方法、特開昭61−195742号公報において、鋳型
長さの関係式を規定し、早めに鋳片を引き出して直ちに
2次冷却する方法を提案した。しかし、鋳片表面近傍の
オーステナイト単晶化温度は通常、鋳型内にあり、冷却
速度の制御が困難であること、鋳型長さを通常より極端
に短くすることは操業上のトラブルを招きやすいことか
ら、いずれも実用化は困難であった。
出しており、これに伴う応力集中は割れを助長すること
が知られている。これに対して、鋼中のAlN 析出を抑制
するためにTiを添加し、TiN を析出させることがしばし
ば行われており、高い効果を得ている。また、特公昭5
5−7106号公報に示される表面の割れ防止方法で
は、冷却条件を制御することによりAlN 析出を制御して
いる。しかし、材料特性上の要求によりTiの添加が不可
能な鋼種も多く、冷却条件によるAlN 析出制御は安定性
を欠くという問題がある。
数多く提案されているが、いずれも一長一短があり、表
面割れが頻発しているのが現状である。
御に加え、鋳片のミクロ組織(粒界フェライトの生成状
況)と割れ感受性との関係に着目し、上記の問題点を解
決するためになされたものである。
組織を制御することにより、横ひび割れなどの表面割れ
を抑制する方法を提供することにある。
片の表面割れ発生部のミクロ組織を詳細に調査した。
イトの生成状況)と割れ感受性(割れの有無)との間に
は明白な相関があることを知見し、更に基礎試験および
実機鋳造試験を行い、本発明をなした。
の連続鋳造時における鋳片の表面割れの抑制方法にあ
る。
下記式およびを満足する鋼鋳片を湾曲型または垂直
曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する際に、鋳型内溶鋼
のメニスカス部から鋳型下端までの鋳片の引き抜き所要
時間(以下鋳型通過時間という)を1分以内とし、鋳型
から引き抜いた後、直ちに2次冷却を行い、1分以内に
鋳片表面温度をA3 変態温度以下まで冷却することを特
徴とする鋼の連続鋳造時における鋳片表面割れの抑制方
法。以下本発明の第1方法という。
で冷却した後、次いで、複熱させ、曲げ点および矯正点
における鋳片の表面温度を850 ℃以上とし、鋳型内溶鋼
のメニスカス通過後20分以内に鋳片の矯正を終了するこ
とを特徴とする鋼の連続鋳造時における鋳片表面割れの
抑制方法。以下本発明の第2方法という。
過程及び理論を説明する。
ェライトの生成状況)と割れ感受性(割れの有無)との
間には明白な相関がある。これを図1に基づいて説明す
る。
れ発生部および非発生部におけるミクロ組織の典型的な
例を示す写真の模写図である。図1(a) が割れが発生す
る場合、図1(b) が割れが発生しない場合であり、組織
はいずれもフェライト−パーライト組織である。
れが発生するときの組織はγ粒界が明瞭であるのに対し
て、割れが発生しないときにはγ粒界が不明瞭となる。
前述のように、この割れはγ粒界割れであり、γ粒界が
明瞭であるときに粒界部分への応力集中が顕著になり、
割れ感受性が高くなって発生したものと考えられる。
では、粒界のフェライトがフィルム状に生成しており、
かつ粗大であるという特徴がある。
ェライトの生成状況)を適正に制御すれば鋳片の割れ感
受性が低下し、鋳片の割れを低減することが可能と考え
た。
るときと比較して組織が細かくなっており、デンドライ
トの痕跡が残っている。すなわち、割れが発生しないと
きは高温での保持時間が少なく、組織を微細化するよう
な冷却を受けたことがわかる。
構を解明すべく、以下の基礎試験を行った。
400mm ×200mm の鋳片とし、この鋳片の完全凝固前に鋳
型から取り出し、制御されたスプレーにより冷却した。
あらかじめ鋳ぐるんだ熱電対あるいは放射温度計によ
り、鋳片表面部の温度履歴を測定し、種々の温度履歴に
対する鋳片の組織の変化を調査した。
形態とするためには、下記a.およびb.が重要であること
が判明し、本発明の第1方法を完成させた。
いこと。
限定理由を説明する。
れを抑制するためには、γ粒径の微細化が有効であるこ
とはよく知られている。γ粒径の微細化により割れを抑
制するためには、割れが問題となる鋳片の表層近傍でγ
粒径を著しく微細化し、1mm以下とする必要がある。
3−63559、特開昭61−195742の各号公報
に開示されている方法のように、実操業に適用するのが
困難な方法が必要であった。
は相関があるため、γ粒界フェライトの形態制御と組み
合わせることにより、γ粒径の極端な微細化を行わなく
とも割れ感受性の低い組織とすることが可能である。
(a) はセル状の例、図2(b) はネットワーク状の例であ
る。γ粒径が肥大化すると鋳片表層から図2(a) に示す
ようなセル状の形態となり、粒界の曲率半径が大きくな
る。このとき、粒界に生成した隣接する初析フェライト
同士の結晶方位が一致することから、初析フェライトは
成長の過程で合体して結果的にフィルム状となり、割れ
感受性を高める結果となるのである。
ば、γ粒界は鋳片表層から図2(b) に示すようなネット
ワーク状になり、粒界に生成したフェライト同士の結晶
方位の整合性が悪く、フィルム状にならない。すなわ
ち、粒界フェライトがフィルム状となるのを防止するた
めには、γ粒径が肥大化してセル状になることを防止す
る必要がある。
のを防止するためには、γ単晶化した後、高温で保持さ
れる時間を短縮する必要がある。すなわち、γ単晶化時
に微細なネットワーク状に生成した鋳片表層近傍のγ粒
が、高温で保持される間に成長してセル状になる。γ粒
の成長は、γ単晶化した後の鋼中の成分元素の拡散によ
り生じ、拡散はアレニウス型で表されるように高温域で
極端に早くなることが知られている。したがって、連続
鋳造プロセスにおいてγ単晶化した後、高温で保持され
る時間を短縮すればγ粒の成長を抑制することができ
る。
間を種々変化させてγ粒の変化を調査した結果、実製造
プロセスにおいて鋳型通過時間を1分以内とし、鋳型か
ら引き抜いた後直ちに後述する条件で2次冷却を行え
ば、いずれの鋼種においてもγ粒のセル状化を防止でき
ることが判明した。上記の鋳型通過時間は1分以内であ
れば、速いほど望ましいが、現実的な望ましい下限は1
0秒程度である。
により、鋳型内鋳片の温度履歴が多少異なり、これに伴
いγ粒の成長挙動も変化する。しかしその変化は小さ
く、上記条件はいずれの鋳型条件においても適用可能で
ある。
て述べる。
模式的に示す図である。図3(a) は炭素当量Cp と温度
との関係で示すFe−C系の状態図、図3(b) は炭素当量
CpがA、B、CおよびDのときの凝固過程を模式的に
示す図である。図3(b) のCおよびDに示すように、包
晶組成より右側の過包晶あるいはγ単晶凝固に当たる組
成では、完全凝固直前には液相(L)とγ相が共存する
形態となり、最終凝固位置がγ粒界と一致する。したが
って、γ粒界への成分元素の偏析および析出などのため
にピン留め効果が大きく、凝固後のγ粒径の成長が小さ
い。すなわち、鋳型下端における2次冷却開始までの所
要時間が変化しても、γ粒径はほとんど変化せず、鋳型
下端までの所要時間などを規定する必要はない。
びNの各含有量から包晶反応の炭素当量を求める式とし
て知られるものである。この式で求められるCp 値が
0.18よりも小さいとき、例えば図3(b) に示すように炭
素当量Cp がAおよびBのときには、δ凝固または亜包
晶凝固となり、完全凝固後のγ粒径の成長が重要とな
る。よって、式のように炭素当量Cp は0.18未満と限
定した。
生との間には相関があることが判明しており、Cp <0.
10のときにはほとんど表面割れが発生しない。したがっ
て、本発明の方法による割れ抑制の効果が実質的な意味
を持つのは、Cp 値が0.10以上の場合である。
べる。
のようにγ粒界が確認可能かどうかは、γ粒界フェライ
トの形態により決まる。γ粒界フェライトは鋳片の冷却
過程で析出する初析フェライトが残ったものである。一
連の基礎試験の結果、γ粒界フェライトの形態は鋳型か
ら引き抜いた後の鋳片温度履歴により変化することが判
明した。図4に鋳片表面の温度履歴、図5にこれらと対
応する組織の形態を示す。
片表面の温度履歴の一例を示す図である。図5は、鋳片
を鋳型から引き抜いた後、2次冷却で強冷却した場合と
徐冷した場合との鋳片表層近傍の組織を示す写真の模写
図である。図5(a) が、高温での保持時間が短くなるよ
うに鋳型から引き抜いた後、強冷却した場合、図5(b)
が徐冷の場合である。
場合には、図5(a) に示すようにγ粒界のフェライトは
フィルム状にならず、γ粒界も不明瞭である。一方、鋳
型から引き抜いた後に徐冷した場合には、図5(b) に示
すようにフィルム状の粒界フェライトが生成しており、
明瞭なγ粒界となる。
却条件のみの変更であり、この部分での冷却が粒界フェ
ライト形態を決定することが明らかとなった。冷却開始
から5分以上経過した後半の冷却パターンを変更して
も、同様の効果が得られることを確認した。ここでいう
2次冷却方法は特に限定されない。
る組織の変化を調査した結果を示す図である。この図6
は、鋳型から引き抜いた後の復熱までの最低温度、およ
び鋳型から引き抜いた後、最低温度になるまでの所要時
間に対する組織の形態をまとめたものである。組織の評
価は、γ粒界が明瞭である場合、部分的に不明瞭である
場合および不明瞭である場合の3段階で行った。対象鋼
種は、A3 変態温度が約805 ℃となる2鋼種とし、鋳造
した後、鋳型から引き抜くまでの所要時間はいずれも1
分以内とした。
後、1分以内に鋳片表面温度をA3変態温度以下まで急
速に冷却すれば、γ粒界が不明瞭となることが明らかと
なった。さらに、他の鋼種でも同様の調査を行い、鋳片
を鋳型から引き抜いた後、1分以内に鋳片表面温度をA
3 変態温度以下まで冷却すれば、いずれもγ粒界が不明
瞭となることを確認した。従って、前述の特公昭58−
3790号公報の方法のように、鋳片表面温度を 650〜
700 ℃という低温まで冷却する必要はない。
式的に示す図である。図7(a) は鋳型から引き抜いた
後、1分以内に鋳片表面温度をA3 変態温度以下まで急
冷した場合、図7(b) はA3 変態温度までの所要時間を
1分以上として徐冷した場合である。鋳片を鋳型から引
き抜いた後、急冷する場合には、図7(a) に示すように
隣接するγ粒の結晶方位と関係なく粒界にフェライトが
生成する。したがって、粒界フェライトとγ粒との整合
性が悪く、粒状に成長するため、γ粒界が不明瞭にな
る。一方、鋳型から引き抜いた後、上記のように徐冷す
ると、図7(b) に示すように冷却の過程でγ粒の結晶方
位に見合う方位のγ粒界フェライトが析出するため、接
触する他のγ粒側にはフェライトの成長が進行せず、も
とのγ粒界が残存し、明瞭なγ粒界になる。
以下に冷却した後、復熱により再びγ単晶温度となる
が、いずれも良好な組織が得られた。これは、一旦A3
変態温度以下に冷却すれば、復熱によりγ単晶となって
も、粒界部分に初析フェライトの何らかの痕跡が残るた
め、後の冷却条件には依存しないからであると考えられ
る。
的に計算可能な関係式が報告されており、これらの関係
式を使用してもよいし、基礎試験などにより実測しても
かまわない。以上が本発明の第1方法である。
従いA3 変態温度以下まで冷却した後、次いで鋳片表面
温度を複熱させ、曲げ点および矯正点における鋳片表面
温度を850 ℃以上とし、さらに鋳型内溶鋼のメニスカス
通過後20分以内に鋳片の矯正を終了するものである。
片の割れ感受性を低下させる方法が明らかになった。し
かし、前述のように合金成分含有量の多い低合金鋼で
は、冷却特性の変化により、鋳片曲げおよび矯正時の脆
化温度域を低温側に回避することは困難である。このた
め、脆化温度域を高温側に回避させることができる具体
的方法が必要となる。
鋳片の表面温度を限定することである。鋼種により異な
るが、多くの鋼種では高温延性は850 ℃程度でほぼ回復
することから、鋳片の曲げおよび矯正点で表面温度850
℃以上を確保すればよい。この温度の望ましい上限は10
50℃程度である。
面と短辺面との2方向からの冷却を受けるため、特に矯
正点において850 ℃以上の確保が困難である。この鋳片
コーナー部分の過冷を防止するために、2次冷却では
「幅切り」と呼ばれる方法が通常行われている。これ
は、2次冷却で鋳片コーナー部の過冷を防止するため
に、コーナー部分にスプレー水が当たらないようにする
方法であり、これに関して例えば特開平4−11291
号公報などに数多くの装置および方法が提案されてい
る。しかし「幅切り」を行ってもなお、ロールによる冷
却および放射冷却などのため、コーナー部分の冷却は他
の部分より速くなる。
検討した結果、「幅切り」などの対策を行っても、鋳型
内溶鋼のメニスカス通過後から鋳片の矯正までの所要時
間が20分を超えて長くなると、コーナー部分の過冷を防
止できず、脆化温度域を高温側に回避させることができ
ないことが判明した。
調査した結果、鋳片の矯正点におけるコーナー部分と幅
中央部分との表面温度の差が大きくなると、熱応力によ
り表面割れを助長するという知見も得た。すなわち、鋳
片の表面温度を実測した結果、いずれの操業条件におい
ても、時間とともにコーナー部分と幅中央部分との表面
温度の差が大きくなり、上記所要時間が20分を超えると
表面割れが発生しやすくなる。以上の二つの理由によ
り、メニスカスの通過後20分以内に鋳片の曲げおよび矯
正を終えることとした。
化により、鋳片の曲げおよび矯正時の脆化温度域を低温
側に回避することは困難である。一方、脆化温度域を高
温側に回避させる方法には、このような鋼種による制約
はない。脆化温度域を高温側に回避させる場合には、鋳
片温度が高温で保持されることから連続鋳造機の熱負荷
が大きいという問題がある。しかし、予め熱負荷に対処
できるよう設計を行っておけば問題はない。従って、本
発明の第2方法は、前記式およびを満足する全ての
鋼種に適用可能な連続鋳造方法である。
生するものであるから、本発明方法は、鋳片の矯正部を
持つ湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造
する際に有効となる。しかし、鋳片の矯正部を持たない
連続鋳造機においても鋳片組織の割れ感受性を低減する
ことは、製造過程で発生する疵の抑制に効果があること
は言うまでもない。
続鋳造機を使用し、鋳型内通過時間を変化させるため
に、鋳型のメニスカス以下の長さと鋳造速度を種々変化
させた鋳造試験を行った。鋳片の表面温度の制御は鋳型
直下の2次冷却水量を種々変化させる方法とし、鋳片の
表面温度の測定は鋳型直下部で鋳片の表面にかみ込ませ
た熱電対を用いた。
例)表1に、用いた鋼の化学組成およびA3 変態温度を
示す。
抑制の効果を明白にするために、割れ感受性の高い鋼種
とした。A3 変態温度は鋼の組成から従来知られている
算出式により求めた。表2に鋳造条件および評価を示
す。
生の程度により行った。鋳片の組織は、γ粒界が不明瞭
である場合を○、明瞭である場合を×、部分的に不明瞭
である場合を△とした。割れの発生は、鋳片の表面にス
カーフをかけ表層の酸化皮膜を取り除いた上、目視観察
により評価した。得られた結果を、割れが発生しなかっ
た場合を0、深さ30mm以上の割れが存在した場合を5と
した6段階の割れ発生コードに指数化した。
は、曲げ点および矯正点における鋳片の表面温度が脆化
温度域を回避できる条件としなければならない。表2中
の本発明例および比較例では、いずれも脆化温度域は回
避されており、鋳造条件の影響を明白にするために、矯
正点における鋳片の表面温度がほぼ等しくなるよう2次
冷却を制御している。
内とし、鋳型通過後1分以内にA3変態温度以下とした
本発明例1では、鋳片の表面に深さ5mm程度の割れがほ
ぼ全長にわたって点在しており、割れ発生コードでは2
の評価であった。鋳型長さを短く、鋳造速度を速くして
鋳型通過時間を著しく短縮した本発明例2では、鋳片の
表面に深さ5mm以下の割れが数個発生する程度で、割れ
発生コードでは1の評価となり、さらに表面割れが軽減
した。
較例1、および鋳型直下の冷却を著しく弱めた比較例2
は、いずれも深さ10mm程度の表面割れが全面にわたり発
生し、割れ発生コードでは4の評価となり、明らかに本
発明例1より悪化した。鋳片の表層部のミクロ組織も、
本発明例1ではγ粒界が不明瞭であるのに対して、比較
例1および2ではいずれもγ粒界が明瞭に観察された。
め、A3 変態温度にわずかに達しない程度の冷却とした
比較例3は、表面割れ発生コードでは3の評価となり、
比較例2よりも幾分改善された。しかし、組織および表
面割れの程度のいずれにおいても、本発明例1とは大き
な差があり、鋳型直下においてA3 変態温度以下にまで
冷却することが重要であることがわかる。
例)表3に、用いた鋼の化学組成およびA3 変態温度を
示す。
下における冷却特性が変化するため、脆化温度域を低温
側に回避するのが困難な鋼種である。A3 変態温度は表
1の場合と同様の方法で求めた。表4に鋳造条件、矯正
点における鋳片の表面温度および評価を示す。
ナー部分を対象として接触式の熱電対あるいは放射温度
計により行った。評価は、前記試験1に準じて行った。
おける鋳片表面温度を850 ℃以上、矯正点までの所要時
間を20分以内と短くした結果、割れ発生コードでは0と
なり、表面割れの抑制に極めて高い効果が認められた。
した比較例4は、表面割れ発生コードでは2の評価とな
った。比較例4では、矯正点におけるコーナー温度は本
発明例3とほぼ等しいにもかかわらず矯正点までの所要
時間が長かったため、コーナー部分と幅中央部分の表面
温度の差が大きく、熱応力により割れが助長されたので
ある。上記の本発明3と比較により、矯正点までの所要
時間の短縮は高い効果を示すことが明白である。
温度を脆化温度域の低温側へ回避できるように、矯正点
における鋳片表面温度を690 ℃とした。しかし、前述の
ように本鋼種は合金成分により冷却特性が変化してしま
い、鋳片表面の温度むらが大きく、割れ発生コードでは
5の重度の割れが発生した。したがって、本鋼種では脆
化温度域を高温側へ回避させる必要がある。
度を820 ℃とした結果、割れ発生コードでは4の評価と
なった。これは、矯正点における鋳片の表面温度が脆化
温度域を十分回避できていなかったためと考えられる。
したがって、矯正点における鋳片の表面温度が脆化温度
域を確実に回避できることが必要であり、表面温度は85
0 ℃以上を確保することが必須となる。
時間を1分以内とし、鋳型通過後1分以内に鋳片表面温
度をA3 変態温度以下まで冷却していることから、組織
的にはいずれもγ粒界が不明瞭であった。このように、
鋳型〜鋳型直下部の諸条件を規定することにより割れ感
受性の低い組織としても、鋳片の表面温度が脆化温度域
を十分回避できない場合、あるいは鋼種により重度の表
面割れが発生する場合がある。これを防止し、より確実
に表面割れの抑制効果を得ようというのが、本発明の第
2方法である。
の表面に発生する横ひび割れなどの割れを抑制あるいは
防止することが可能となる。
ミクロ組織の典型的な例を示す写真の模写図である。
(a) が割れが発生する場合、(b) が割れが発生しない場
合である。
例、(b) はネットワーク状の例である。
図である。(a) は炭素当量Cpと温度との関係で示すFe
−C系の状態図、(b) は炭素当量Cp がA、B、Cおよ
びDのときの凝固過程を模式的に示す図である。
履歴の一例を示す図である。
却した場合と徐冷した場合との鋳片表層近傍の組織を示
す写真の模写図である。(a) が高温での保持時間が短く
なるように鋳型から引き抜いた後、強冷却した場合、
(b) が徐冷の場合である。
査した結果を示す図である。
である。(a) は鋳型から引き抜いた後、1分以内に鋳片
表面温度をA3 変態温度以下まで急冷した場合、(b) は
A3 変態温度までの所要時間を1分以上として徐冷した
場合である。
Claims (2)
- 【請求項1】C、Mn、Ni、CuおよびNの各含有量が下記
式およびを満足する鋼鋳片を湾曲型または垂直曲げ
型の連続鋳造機を用いて製造する際に、 鋳型内溶鋼のメニスカス部から鋳型下端までの鋳片の引
き抜き所要時間を1分以内とし、 鋳型から引き抜いた後、直ちに2次冷却を行い、 1分以内に鋳片表面温度をA3 変態温度以下まで冷却す
ることを特徴とする鋼の連続鋳造時における鋳片表面割
れの抑制方法。 Cp =C(%) + Mn(%)/33+ Ni(%)/25+ Cu(%)/44+N(%) /1.7 ・・ Cp <0.18 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ただし、Cp は炭素当量、(%) は質量%を表す。 - 【請求項2】C、Mn、Ni、CuおよびNの各含有量が下記
式およびを満足する鋼鋳片を湾曲型または垂直曲げ
型の連続鋳造機を用いて製造する際に、 鋳型内溶鋼のメニスカス部から鋳型下端までの鋳片の引
き抜き所要時間を1分以内とし、 鋳型から引き抜いた後、直ちに2次冷却を行い、 1分以内に鋳片表面温度をA3 変態温度以下まで冷却
し、 その後、複熱させ、曲げ点および矯正点における鋳片の
表面温度を850 ℃以上とし、 鋳型内溶鋼のメニスカス通過後20分以内に鋳片の矯正を
終了することを特徴とする鋼の連続鋳造時における鋳片
表面割れの抑制方法。 Cp =C(%) + Mn(%)/33+ Ni(%)/25+ Cu(%)/44+N(%) /1.7 ・・ Cp <0.18 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ただし、Cp は炭素当量、(%) は質量%を表す。
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---|---|---|---|
JP7202202A JP3008825B2 (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | 鋳片表面割れ抑制方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP7202202A JP3008825B2 (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | 鋳片表面割れ抑制方法 |
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JPH0947854A true JPH0947854A (ja) | 1997-02-18 |
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JP7202202A Expired - Lifetime JP3008825B2 (ja) | 1995-08-08 | 1995-08-08 | 鋳片表面割れ抑制方法 |
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Cited By (11)
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