JP4723451B2 - 復熱由来の内部割れに係る高炭素鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

復熱由来の内部割れに係る高炭素鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高炭素鋼の連続鋳造方法に関し、より詳しくは、復熱に起因する内部割れを防止する技術に関する。
一般に、鉄鋼の連続鋳造の分野においては、鋳造された鋳片の品質上の欠陥である所謂内部割れが問題視されている。この内部割れは様々な態様のものが挙げられるが、その一は、凝固シェルの成長過程において該凝固シェルの凝固界面に何らかの外力などが作用することにより発生するとされる。
上記の内部割れは、下記(1)や(2)の不具合を招くとされる。(1)即ち、例えば、連続鋳造過程において凝固界面に内部割れ(亀裂)が生じると、その亀裂の中へ所謂濃化溶鋼(SやPなどの脆化元素)が吸い込まれて偏析し、鋳片が鋳造された直後においては該偏析が直ちに開口を伴う割れとなるわけではないが、例えば圧延時や製品段階となったときは該偏析は開口を伴う割れの発生の起点となり易い。
(2)また、上記亀裂の中へはSやTiなども吸い込まれて偏析する。このため、該亀裂には、MnSやTiNなどの介在物が生成され易くなってしまう。これらの介在物は、例えば該鋳片をタイヤコード用鋼として用いたときはその加工時における断線の原因となったり、或いは該鋳片を軸受鋼として用いたときはその使用時における所謂剥離の起点となり易い。
そこで、本願発明の発明者らは、鋭意試験研究を重ねた結果、上記の内部割れに関して、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)炭素含有量・・・炭素含有量C[wt%]が0.8以上である所謂高炭素鋼は、同じく0.8未満であるものと比較して内部割れを発生し易い。
(b)矯正経路部・・・一般に、連続鋳造の鋳造経路は、溶鋼を冷却し所定形状の凝固シェルを形成する鋳型の直下を起点する円弧状の円弧経路部と、円弧経路部の更に下流側であって略水平方向に延びる水平経路部と、前記の円弧経路部の曲率を漸増させることにより前記の円弧経路部と水平経路部とを滑らかに接続するために円弧経路部と水平経路部との間に設けられる矯正経路部と、から構成されている。この矯正経路部において凝固シェルに対して作用する矯正力(外力)が、該凝固シェルの凝固界面に内部割れを発生させる一因である。
(c) バルジング・・・上記複数のロール対は鋳造方向において適宜の間隔(以下、ロールピッチとも称する。)で並設されている。このため、これらのロール対に挟持される凝固シェルは、一のロール対で挟持されているときは鋳片厚みが該ロール対のロールギャップと一致しているが、鋳造方向に隣り合う二対のロール対の鋳造方向における中間近傍においては凝固シェル内の溶鋼の静圧により特に鋳片厚み方向において膨張(バルジング)する。このバルジングした凝固シェルがやがて下流側のロール対に挟持されるとき、増大した鋳片厚みを該ロール対のロールギャップとするよう、凝固シェルは、鋳片厚み方向に該ロール対から大きな圧力を受けて変形(矯正)される。この変形も、凝固シェルの凝固界面における内部割れの発生の一因である。
(d) ロールによる押し込み・・・例えば、鋳造方向において隣り合う二対のロール対のうち上流側のロール対のロールギャップと比較して下流側のロール対のロールギャップが極端に小さくなってしまっている場合や、これらのロールギャップが所望の程度に適宜に設定されていたとしても何れか一のロール対が鋳片厚み方向にズレている場合などは、凝固シェルが鋳片厚み方向に過度の外力を受ける(押し込まれる)。このズレによる外力も、凝固シェルの凝固界面における内部割れの発生の一因である。
そこで、本願発明の発明者らは、内部割れを生ずることなく高炭素鋼を鋳造することを目的として、上記の知見(a)〜(d)に基づいて、例えばロールの配置を適宜に調節したり、前記複数のロール対のアライメント(所謂ロールアライメント)の維持管理を徹底したりして、相当の成果を挙げてきた。
この種の技術として、特許文献1は、未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後に圧下することにより、鋳片の中心部におけるポロシティの発生を防止する鋼の連続鋳造方法を開示している。この特許文献1によると、鋳片の内質改善効果を十分に発揮させるためには、鋳片厚さの1.5〜4.0%の範囲でバルジングを起こさせるのが望ましいとされる。また、このバルジングを開始するメニスカス距離は、3250〜4800mmとされる。
特開2005−262269号公報(段落番号0033、表1)
上記特許文献1に記載の鋼の連続鋳造方法は、本願発明に係る鋼の連続鋳造方法と比較して、技術的思想が全く異なるのでバルジング量やバルジングを開始するメニスカス距離が大きく異なるが、その着眼点は興味深いものである。
本願発明の主な目的は、上記(a)〜(d)を踏まえ一層確実に内部割れを防止できる、高炭素鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、本願発明の発明者らは、鋼の連続鋳造における復熱時の凝固シェルの熱膨張に着目した。
以下、鋼の連続鋳造における復熱に関して説明する(適宜に図6を参照されたい。)。
前述したように鋳造経路は、上流側から下流側へ向けて順に、円弧経路部と矯正経路部と水平経路部とから構成されている。この円弧経路部においては、更なる成長を促すために、凝固シェルに対して適宜の冷却スプレーを用いて冷却水を噴射し冷却している。この意味で、前記鋳型は1次冷却帯と称されるのに対し、冷却スプレーが備えられる鋳造経路の部分は2次冷却帯と称されている。
一方、凝固シェルは、脆化温度域と呼ばれる温度域(具体的には600〜800℃)に至るまで冷却されると脆化し、表面割れが発生し易くなってしまう。この問題は特に上記の矯正経路部において懸念される。即ち、上記の矯正経路部にまで搬送された凝固シェルの鋳片表面の温度が前記の脆化温度域内であると、矯正経路部内に配設されるロール対から受ける矯正力によって鋳片表面に表面割れが発生してしまう恐れがある。
従って、一般に、矯正経路部内に到達した鋳片の表面温度が脆化温度域に至るまで低下することのないよう(端的に言えば冷却し過ぎることのないよう)、上記の2次冷却帯の終点は、矯正経路部が開始するメニスカス距離よりも上流側のメニスカス距離に設定されている。これによれば、2次冷却帯において冷却水を噴霧されることにより凝固シェル内の未凝固部(即ち、溶鋼)の温度と比較して表面温度が相当低く上記脆化温度か或いはそれに近い温度になっている凝固シェルは、該2次冷却帯の終点を過ぎた後に高温の未凝固部によって加熱され、やがて、凝固シェルの表面温度は上記脆化温度より高い温度に至るまで上昇する。このように2次冷却帯における冷却をやめて凝固シェルの表面温度を上昇せしめることは一般に「復熱」と称されており、凝固シェルが復熱する経路部は復熱帯とも称されている。なお、この復熱は、2次冷却帯においての凝固シェルに対する冷却のムラを解消しようとするものでもある。
そこで本願発明の発明者らは、復熱時の凝固シェルの熱膨張に着目し、即ち、復熱(復熱による熱膨張)が鋳片の内部割れの一因となっていることを見出した。以下、復熱と内部割れとの関連に関して、図面を参照しつつ紹介する。
図1は、2次冷却帯の終点に配置されているロール対と該ロール対に挟持されている凝固シェルとが同時に描かれた、鋳造方向に対して垂直な断面での断面図である。図2は図1に類似する図である。
一般に、図1に示す如く上記の2次冷却帯の終点に配置されるロール対のロールギャップGと鋳片厚みとは略一致しており、該終点を過ぎると、凝固界面の温度は殆ど変化しないまま凝固シェルの表面温度のみが上昇して鋳片厚み方向に膨らむように熱膨張しようとする。
それなのに、従来の連続鋳造においては図2に示すように上記復熱帯に配置されているロール対のロールギャップGは何れも、2次冷却帯の終点に配置されているロール対のロールギャップGと実質的に同一の値に、或いは比して若干小さめの値に設定されていた。このため、熱膨張しようとする凝固シェルの鋳片厚み方向への熱膨張は妨げられるので(端的に言えば復熱時の凝固シェルが反り曲がるような変形が許容されないので)、鋳片凝固シェルは厚み全体が鋳片幅方向に膨張せざるを得ない。このため凝固シェル内側の凝固界面には鋳片幅方向に引張応力が作用してしまい、結果として、凝固界面において内部割れが発生し易い状況となっていた。
特に軸受鋼などの高炭素鋼を0.5〜0.65の鋳造速度Vc[m/min]で鋳造しようとする連続鋳造においては、上記の復熱に起因すると思われる内部割れが頻繁に発生していた。
次に、上述した課題を解決するための手段をその効果と共に説明する。ここで、本発明の技術的な思想の理解を一層容易とすべく、その説明の前に予め該手段を図面を参照しながら概説しておく。図3は、図1に類似する図である。即ち、本願発明は図3に示す如く復熱帯において凝固シェルが復熱したときに該凝固シェルが外側(鋳片厚み方向)へ膨らむように反り曲がる変形を許容できるようにするものである。換言すれば、復熱による凝固シェルの熱膨張を妨げないように、復熱帯におけるロールギャップを適宜に設定するものである。
本発明の観点によれば、炭素含有量C[wt%]が0.8〜1.1である高炭素鋼の連続鋳造は、以下のような方法で行われる。
即ち、所定の円弧半径を有し、円弧状に延びる円弧経路部と、該円弧経路部の下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部と、前記の円弧経路部及び水平経路部の間に設けられ、前記円弧半径を漸増させることにより前記の円弧経路部及び水平経路部を接続する矯正経路部と、を少なくとも含む鋳造経路に沿って並設された複数のロール対により鋳片を挟持しつつ、鋳造する。
溶鋼を冷却して所定の凝固シェルを形成する鋳型の下端のメニスカス距離としての第一メニスカス距離M1[m]から、所定の第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に至るまでの鋳造経路としてのA経路部IntAにおいては前記鋳片に対して冷却水を所定の冷却水量Wt[L/kgSteel]で直接的に噴霧する。
前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]から、前記矯正経路部の上流端のメニスカス距離としての第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのB経路部IntBにおいては前記鋳片に対して冷却水を直接的には噴霧しない。
鋳造速度Vc[m/min]を0.50〜0.65とし、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]を8〜15とし、前記冷却水量Wt[L/kgSteel]を0.25〜1.0とする。
◆前記A経路部IntA内に配設される前記複数のロール対のロールギャップG[mm]の夫々は、(a)該A経路部IntAにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのA経路部ロール勾配GRDA[mm/m]が下記式(1)を満足するように、設定する。
◆前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対のロールギャップG[mm]の夫々は、下記(b)〜(d)の要件を満たすように設定する。
(b)前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に配置されるロール対のロールギャップGA/Last[mm]と、前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対のロールギャップG[mm]のうち最大のロールギャップGB/Max[mm]と、が下記式(2)を満足する。
(c)且つ、前記ロールギャップGA/Last[mm]と、前記ロールギャップGB/Max[mm]と、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]と、前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対のうちロールギャップG[mm]がロールギャップGB/Max[mm]であるロール対が配置されるメニスカス距離としての第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]と、が下記式(3)を満足する。
(d) 且つ、前記第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]から、前記第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのb経路部Intbにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのb経路部ロール勾配GRDb[mm/m]が下記式(4)を満足する。
GRDA≧0・・・(1)
0.5≦GB/Max-GA/Last≦5.0・・・(2)
0.4≦(GB/Max-GA/Last)/(M3(B/Max)-M2(A/Last))≦8.0・・・(3)
0.25≦GRDb≦0.8・・・(4)
これによれば、凝固シェルの復熱時に、該凝固シェルの熱膨張を拘束しないように(即ち、凝固シェルが自由に熱膨張できるように)ロール対のロールギャップが設定されるので、凝固界面における引張応力の発生が回避され、凝固界面における内部割れを防止できる。また、前記熱膨張が適度に抑制されるようにロール対のロールギャップが設定されるので、凝固シェルのコーナ部近傍における内部割れを防止できる。
(用語の定義:ロール勾配GRD・ロールギャップG)
先ず、本明細書中において用いる「ロール勾配GRD[mm/m]」を以下の如く定義する。図4は、ロール勾配の定義を説明するための模式図である。
即ち、鋳造経路に沿って複数で並設されるロール対のうち、任意のロール対と、該ロール対に対して前記鋳造経路の下流側に隣り合うように配設されるロール対と、の間のロール勾配GRD1-2[mm/m]は、前者ロール対のロールギャップG1[mm]と、後者ロール対のロールギャップG2[mm]と、両ロール対のロールピッチL1-2と、に基づいて下記式により求められるものとする。
GRD1-2=(G1−G2)/L1-2
なお、ロールギャップG[mm]とは、鋳片を挟んで一対で設けられる両ロールの鋳片幅中央部に対応する位置での面間最短距離[mm]のことである。
(用語の定義:メニスカス距離M)
次に、本明細書中において用いる「メニスカス距離M[m]」の定義に関して説明する。本明細書中において「メニスカス距離M[m]」とは、注湯された溶鋼を冷却して所定の形状の凝固シェルを形成する鋳型内に収容されている溶鋼の湯面を起点とし、鋳造経路に沿って観念する距離[m]を意味するものとする。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る高炭素鋼の連続鋳造に用いられる連続鋳造機の全体概略図である。
本図に示す如く本実施形態において連続鋳造機100は、注湯される溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成する鋳型1と、該鋳型1へ溶鋼を所定流量で注湯する図略のタンディッシュと、鋳型1の直下から鋳造経路に沿って複数で並設されるロール対2・2・・・と、を備えている。本実施形態において前記の鋳造経路は、(1)所定の円弧半径を有し、円弧状に延びる円弧経路部と、(3)該円弧経路部の下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部と、(2)前記の円弧経路部及び水平経路部の間に設けられ、前記円弧半径を漸増させることにより前記の円弧経路部及び水平経路部を滑らかに接続する矯正経路部と、から構成されている。要するに、本実施形態に係る連続鋳造機100は、所謂湾曲型連続鋳造機(湾曲半径=15m)である。
また、前記のロール対2・2・・・の夫々は、鋳造対象としての高炭素鋼を、両広面でもって挟持する一対のロール2a・2aから構成されている。この一対のロール2a・2aのロールギャップG(図1参照)は適宜の手段により調節可能に構成されている(例えば後述する図7参照)。
また、前記の円弧経路部に沿っては、前記の鋳型1内で形成され該鋳型1から引き抜かれる凝固シェルに対して所定の流量で冷却水を噴霧する冷却スプレー4・4・・・が適宜に設けられている。一般に、上記鋳型1が1次冷却帯と称されるのに対して、この意味で、これら冷却スプレー4・4・・・が設けられている経路部(円弧経路部全域ではない。)は2次冷却帯と称されている。
また、鋳型1から引き抜かれ鋳造経路に沿って搬送される凝固シェルは、自然放熱や上記冷却スプレー4・4・・・などにより更に冷却されて収縮する。従って、上記のロール対2・2・・・のロールギャップGの夫々は、一般に、鋳造経路の下流側へ進むに連れて緩やかに小さく(即ち、狭く)なるように調節されている。換言すれば、前記のロール勾配GRDは、原則として、鋳造経路の全域に亘って、常に、ゼロ以上となるように設定されている。
次に、上記の連続鋳造機100の作動について概説する。
1.高炭素鋼の連続鋳造を開始する前に予め図略のダミーバーを前記の連続鋳造機100内に適宜に挿入しておく。
2.前述した図略のタンディッシュから鋳型1へ所定の流量で溶鋼を注湯する。
3.鋳型1内に所定量の溶鋼が注湯されたら、前記のダミーバーを鋳造経路の下流側へ向かって所定の速度で引き抜く。
4.所定のメニスカス距離において上記ダミーバーを適宜の手段により回収し、もって、高炭素鋼は連続的に鋳造され始める。
本実施形態において、高炭素鋼を鋳造する速度としての鋳造速度Vc[m/min]は0.50〜0.65としている。また、上記の2次冷却帯に設けられている複数の冷却スプレー4・4・・・によって噴霧される冷却水の量としての所謂比水量(冷却水量)Wt[L/kgSteel]は、0.25〜1.00としている。
なお、所謂溶鋼過熱度ΔT[℃]は20〜45としている(定義・測定方法については後述(資料1)する。)。また、所謂鋳型内溶鋼攪拌強度M-EMS[gauss]は100〜800としている(定義・測定方法については後述(資料2)する。)。また、前記の鋳型1の上端における鋳型厚D[mm]は、300〜400としている(ただし、該鋳型1の上端における鋳型厚D[mm]と鋳型幅[mm]とで決まるアスペクト比は2以下とする(即ち、所謂ブルーム鋳片である。)。)。
次に、本実施形態において連続鋳造の対象たる高炭素鋼の主要な成分(主要元素)について詳細に説明する。即ち、この高炭素鋼のC含有量C[wt%]は0.8〜1.1とする(所謂過共析鋼と称される場合がある。)。
なお、参考のために、上記高炭素鋼の他の成分(添加元素)を以下に簡単に例示する。
・Si[wt%]:0.15〜0.70
・Mn[wt%]:0.3〜1.15
・Cr[wt%]:0〜1.60
更に参考のために、上記高炭素鋼が一般に含有してしまう他の成分(不純物元素)についても以下に紹介する。
・P[wt%]:0〜0.025
・S[wt%]:0〜0.025
次に、前記の円弧経路部や矯正経路部について更に詳しく説明する。図6は、メニスカス距離とロールギャップとの関係などを示す模式図である。以下の説明においては、適宜に図6を参照されたい。
即ち、本実施形態においては、溶鋼を冷却して所定の凝固シェルを形成する鋳型1の下端のメニスカス距離としての第一メニスカス距離M1[m]から、所定の第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に至るまでの鋳造経路としてのA経路部IntA(即ち、2次冷却帯)おいては前記鋳片に対して冷却水を所定の(前述した)冷却水量Wt[L/kgSteel]で直接的に噴霧することとする。
また、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]から、前記矯正経路部の上流端のメニスカス距離としての第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのB経路部IntBにおいては前記鋳片に対して冷却水を直接的には噴霧しないこととする。なお、「直接的には〜しない」は、即ち、ロール対2・2・・・に対して冷却水を噴霧し、冷えたロールを介して間接的に鋳片を冷却するか否か任意であることを意味する。
前記の第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]は、8~20とする。
前記A経路部IntA内に配設される複数のロール対2・2・・・夫々のロールギャップG[mm]は、下記(a)の要件を満たすように設定することとする。
(a)即ち、該A経路部IntAにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのA経路部ロール勾配GRDA[mm/m]が下記式(1)を満たすようにする。
GRDA≧0・・・(1)
また、前記B経路部IntB内に配設される複数のロール対2・2・・・夫々のロールギャップG[mm]は、下記(b)〜(d)の要件を満たすように設定することとする。
(b)前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に配置されるロール対2のロールギャップGA/Last[mm]と、前記B経路部IntB内に配置される複数のロール対2・2・・・のロールギャップG[mm]のうち最大のロールギャップGB/Max[mm]と、が下記式(2)を満足することとする。
0.5≦GB/Max-GA/Last≦5.0・・・(2)
(c)前記ロールギャップGA/Last[mm]と、前記ロールギャップGB/Max[mm]と、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]と、前記B経路部IntB内に配設される複数のロール対2・2・・・のうちロールギャップG[mm]がロールギャップGB/Max[mm]であるロール対が配置されるメニスカス距離としての第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]と、が下記式(3)を満足することとする。
0.4≦(GB/Max-GA/Last)/(M3(B/Max)-M2(A/Last))≦8.0・・・(3)
(d)前記第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]から、前記第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのb経路部Intbにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのb経路部ロール勾配GRDb[mm/m]が下記式(4)を満足することとする。
0.0≦GRDb≦0.8・・・(4)
なお、ロール勾配GRD[mm/m]の上限又は下限につき特記のない鋳造経路においては、原則として、該ロール勾配GRD[mm/m]は0.000以上0.5以下とする。
次に、本実施形態における前記ロール勾配GRD[mm/m]の設定の仕方について、図7を参照しつつ詳細に説明する。図7は、ロール勾配の一設定方法を例示する図である。
ここでは、本図に示す如く前記複数のロール対2・2・・・が、所定対毎にロールスタンドに回転自在に支持されている場合における前記ロール勾配GRD[mm/m]の設定方法について説明する。なお、この場合、一のロールスタンドに支持されている複数のロール2a・2a・・・のロールアライメントは可及的に均一であることが好ましい。
説明の都合上、本図において上流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対2・2・・・のうち最も下流側のロール対2をロール対2iと称し、同じく下流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対2・2・・・をロール対2i+1、2i+2、・・・、2i+j-1、2i+jと称する。そして、この下流側のロールスタンドに支持されているロール対2・2・・・(2i+1〜2i+j)の対の数をn対とする。つまり、(i+j)-(i+1)+1=nである。
同様に、説明の都合上、上記夫々のロール対2・2・・・(2iや2i+jなど)のメニスカス距離Mは、各ロール対2・2・・・の符号に付される添え字を伴って表記することとする。例えば、上記のロール対2iのメニスカス距離Mはメニスカス距離Miと表記し、ロール対2i+jのメニスカス距離Mはメニスカス距離Mi+jと表記する、である。
以下、ロール勾配GRDの設定方法を、本図に示す如くSTEP1とSTEP2に分けて説明する。一例として、メニスカス距離M[m]がMi〜Mi+jである経路部のロール勾配GRD[mm/m]を設定してみる。なお、上流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対2・2・・・のうち最も下流側のもの(ロール対2i)がメニスカス距離Mi[m]に配置され、下流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対2・2・・・のうち最も下流側のもの(ロール対2i+j)がメニスカス距離Mi+j[m]に配置されているものとする。
<STEP1:(1)〜(3)>
(1) メニスカス距離Mi[m]に配置されているロール対2iのロールギャップGiを測定する。
例:Gi[mm]=376
(2) メニスカス距離Mi+j[m]に配置されているロール対2i+jと、前記のロール対2iと、の間の距離(Mi+j−Mi)[m]を測定する(設計図面から予め(Mi+j−Mi)[m]がわかっている場合には、測定は省略できる。)。
例:Mi+j−Mi[m]=1.6
(3) 下記式に示す如く、前記のロール対2i+jのロールギャップGi+jを求める。そして、鋳片を挟むように一対で設けられる前記のロールスタンドのうち少なくとも一方を適宜の手段により移動操作することにより、求められたロールギャップGi+jを前記のロール対2i+jに対して適用する。
Gi+j=Gi−GRD×(Mi+j−Mi)
例:GRD[mm]=1.1、Gi+j[mm]=376−1.1×1.6=374.24
<STEP2:(4)〜(5)>
(4) メニスカス距離Mi+j[m]に配置されているロール対2i+jと、下流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対2・2・・・のうち最も上流側のロール対2i+1と、の間の距離(Mi+j−Mi+1)[m]を求める。
例:(Mi+j−Mi+1)[m]=0.96
(5) 下記式に示す如く、前記のロール対2i+1に対して適用すべきロールギャップGi+1を求める。そして、鋳片を挟むように一対で設けられる前記のロールスタンドのうち少なくとも一方を同様に適宜の手段により移動操作することにより、求められたロールギャップGi+1を前記のロール対2i+1に対して適用する。
Gi+1=Gi+j+GRD×(Mi+j−Mi+1)
例:Gi+1[m]=374.24+1.1×0.96=375.296
次に、本実施形態に係る高炭素鋼の連続鋳造方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
先ず、下記各確認試験に共通する試験条件について説明する。
・鋳型1の上端における鋳型厚D[mm]は380とし、同じく鋳型幅W[mm]は600とした。
・下記表1中、炭素含有量C[wt%]を0.7〜0.9として行われる試験においてはタイヤコード用鋼を用いた。なお、このタイヤコード用鋼の成分(単位はすべて[wt%])は次の通りである。C: 0.7〜0.9, Si: 0.20, Mn: 0.5, P: 0.01, S: 0.005
・下記表1中、炭素含有量C[wt%]を1.0又は1.1として行われる試験においては軸受鋼を用いた。なお、この軸受鋼の成分(単位はすべて[wt%])は次の通りである。C: 1.0, Si: 0.35, Mn: 0.5, P: 0.01, S: 0.005, Cr: 1.45
・所謂溶鋼過熱度ΔT[℃]は20〜45とした。
・なお、矯正経路部の起点たるメニスカス距離M[m]は22.0、終点たるメニスカス距離M[m]は26.0であり、第一メニスカス距離M1[m]は1.0である。
◆次に、下記表1中「内部割れ」の評価方法について説明する。
即ち、各確認試験において鋳造された鋳片の鋳造方向長さ250mm分を評価対象とした。この鋳片の切断面(鋳造方向に垂直な切断面)を研磨し、温塩酸による腐食試験を行い、目視ですべての内部割れの長さを測定し記録した。次に、この鋳片を幅方向中央において切断し、その切断面(鋳片狭面に平行な切断面)に対して同様の腐食試験を行い、目視ですべての内部割れの長さを測定し記録した。そして、これら二の切断面において記録された内部割れの長さを総計して、1サンプルあたりの内部割れの長さの総計が50mm未満の場合の評価を「○」とし、50mm以上の場合の評価を「×」とした。
各確認試験の試験条件とその試験結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、「参考例」とあるのは、C含有量C[wt%]が、本実施形態に係る高炭素鋼の連続鋳造の対象とするC含有量C[wt%]の範囲外であることを意味する。また、下記表1において「GB(1)」「GB(2)」「GB(3)」とあるのは、前述のB経路部IntB内に配置される第一番目のロール対2のロールギャップG[mm]、同第二番目、同第三番目を意味し、このB経路部IntB内に配設されている複数のロール対2・2・・・のうちロールギャップG[mm]が最大のロール対2は、第一〜第三番目のロール対2・2・2のうち何れかとなるようにした。
Figure 0004723451
上記表1によれば、前述した要件(0.5≦GB/Max-GA/Last[mm]≦5.0・・・(2))に係る数値範囲は、例えば試験番号6、11(以上、範囲の下限に関する。)及び17、18(以上、範囲の上限に関する。)などにより合理的に裏付けられている。
即ち、例えば試験番号6に示すようにGB/Max-GA/Last[mm]を0.5未満に設定したところ、内部割れに関する評価が良好ではなかった。これは、鋳片の表面が復熱した際に、その自由な変形が拘束されていたから、凝固界面に引張応力が作用して、凝固界面に内部割れが発生してしまったものと考えられる。
また、例えば試験番号18に示すようにGB/Max-GA/Last[mm]を5.0よりも大きく設定したところ、内部割れに関する評価が良好ではなかった。これは、鋳片の表面が復熱する経路部で溶鋼静圧によるバルジングを過度に許容してしまったため、鋳片コーナ近傍部にモーメントが作用して、鋳片コーナ近傍部に内部割れが発生してしまったものと考えられる。実際、鋳片コーナ近傍部に多くの内部割れが観測された。
一方、例えば試験番号11や17に示すようにGB/Max-GA/Last[mm]を0.5以上5.0以下と設定したところ、内部割れに関する評価が良好となった。これは、凝固界面に引張応力が作用することもなかったし、鋳片コーナ近傍部にモーメントが作用することもなかったからだと考えられる。
同様に、上記表1によれば、前述した要件(0.4≦(GB/Max-GA/Last)/(M3(B/Max)-M2(A/Last))[mm/m]≦8.0・・・(3))に係る数値範囲は、例えば試験番号23,26,17,18などにより合理的に裏付けられている。
即ち、例えば試験番号23や18に示すように(GB/Max-GA/Last)/(M3(B/Max)-M2(A/Last))[mm/m]を0.4未満に又は8.0よりも大きく設定したところ、内部割れに関する評価が良好ではなかった。これは、凝固シェルの復熱によるバルジングの程度とロールギャップG[mm]の拡大の程度との間にズレがあり、そのせいで、バルジングが十分には許容されなかったり、過度にバルジングが許容されてしまったからだと考えられる。
同様に、上記表1によれば、前述した要件(0.0≦GRDb[mm/m]≦0.8・・・(4))に係る数値範囲は、例えば試験番号27や28などにより合理的に裏付けられている。
即ち、GB/MaxをIntB内の最大ロールギャップとしているので、必然的に0.0≦GRDb[mm/m]となる。
また、例えば試験番号28のようにGRDb[mm/m]を0.8よりも大きく設定したところ、内部割れに関する評価が良好ではなかった。これは、復熱がほぼ完了した後、過大に押し込まれた事により内部割れが生じやすくなったものと考えられる。
同様に、上記表1によれば、第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]は8.0以上が好ましいことが判る。なお、前述した復熱は、その目的からして少なくとも鋳片が矯正経路部に到達する前に済ませておく必要がある。この点、本願出願人が所有する連続鋳造機100は前記矯正経路部の起点のメニスカス距離M[m]が22となっているので、復熱に要する距離として見積もった約2[m]を考慮して前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]の上限は20ということができる。
以上説明したように上記実施形態において、炭素含有量C[wt%]が0.8〜1.1である高炭素鋼の連続鋳造は、以下のような方法で、行われる。
即ち、所定の円弧半径を有し、円弧状に延びる円弧経路部と、該円弧経路部の下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部と、前記の円弧経路部及び水平経路部の間に設けられ、前記円弧半径を漸増させることにより前記の円弧経路部及び水平経路部を接続する矯正経路部と、を少なくとも含む鋳造経路に沿って並設された複数のロール対2・2・・・により鋳片を挟持しつつ、鋳造する。
溶鋼を冷却して所定の凝固シェルを形成する鋳型1の下端のメニスカス距離としての第一メニスカス距離M1[m]から、所定の第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に至るまでの鋳造経路としてのA経路部IntAにおいては前記鋳片に対して冷却水を所定の冷却水量Wt[L/kgSteel]で直接的に噴霧する。
前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]から、前記矯正経路部の上流端のメニスカス距離としての第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのB経路部IntBにおいては前記鋳片に対して冷却水を直接的には噴霧しない。
鋳造速度Vc[m/min]を0.50〜0.65とし、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]を8〜15とし、前記冷却水量Wt[L/kgSteel]を0.25〜1.0とする。
◆前記A経路部IntA内に配設される前記複数のロール対2・2・・・のロールギャップG[mm]の夫々は、(a)該A経路部IntAにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのA経路部ロール勾配GRDA[mm/m]が下記式(1)を満足するように、設定する。
◆前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対2・2・・・のロールギャップG[mm]の夫々は、下記(b)〜(d)の要件を満たすように設定する。
(b)前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に配置されるロール対2のロールギャップGA/Last[mm]と、前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対2・2・・・のロールギャップG[mm]のうち最大のロールギャップGB/Max[mm]と、が下記式(2)を満足する。
(c)且つ、前記ロールギャップGA/Last[mm]と、前記ロールギャップGB/Max[mm]と、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]と、前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対2・2・・・のうちロールギャップG[mm]がロールギャップGB/Max[mm]であるロール対2が配置されるメニスカス距離としての第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]と、が下記式(3)を満足する。
(d) 且つ、前記第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]から、前記第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのb経路部Intbにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのb経路部ロール勾配GRDb[mm/m]が下記式(4)を満足する。
GRDA≧0・・・(1)
0.5≦GB/Max-GA/Last≦5.0・・・(2)
0.4≦(GB/Max-GA/Last)/(M3(B/Max)-M2(A/Last))≦8.0・・・(3)
0.25≦GRDb≦0.8・・・(4)
これによれば、凝固シェルの復熱時に、当該凝固シェルの熱膨張を拘束しないように(即ち、凝固シェルが自由に熱膨張できるように)ロール対2・2・・・のロールギャップGが設定されるので、凝固界面に引張応力が発生することを回避できるから、凝固界面における内部割れを防止できる。
また、前記熱膨張が適度に抑制されるようにロール対2・2・・・のロールギャップGが設定されるので、凝固シェルのコーナ部近傍における内部割れを防止できる。
(変形例)
上記実施形態において連続鋳造機100は所謂湾曲型連続鋳造機としたが、これに代えて、鋳型1と円弧経路部との間に鉛直方向に延びる垂直経路部を有する所謂垂直逐次曲げ型連続鋳造機としてもよい。
<資料1>
上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]の測定方法を下記第1〜2に詳説する。
即ち、第1に、前述のタンディッシュ内に保持されている(入れ替わっている、流出入している)溶鋼の温度を適宜の温度測定器を用いて測定する。
(例)この温度測定器とは例えばその先端部に温度感知部を備える熱電対型のものが挙げられ、この場合、この温度感知部をタンディッシュ内に保持されている溶鋼の中へ深さ50mm以上浸漬させて該溶鋼の温度を測定することとする。なお、熱電対は測定対象の温度に応じてその出力電圧を昇降させる特性を有するのは周知の通りであるから、溶鋼の温度を測定することは、熱電対が出力する電圧を適宜の手段により読み取ることと換言できる。
第2に、第1で測定された溶鋼の温度と、該溶鋼の溶鋼成分により唯一に決まる所謂凝固開始温度と、を比較する。そして上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]は、前者から後者を除いた(引いた)残りとして求めることができる。
<資料2>
上述した鋳型内溶鋼攪拌強度M-EMS[gauss]の測定方法を説明する。
即ち、この鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、鋳型1の幅方向中央であって、鉛直方向にはM-EMSの鉄芯の中心と同じ高さ位置で、且つ、鋳型の広面側内壁面から15mmだけ離れた地点において適宜のガウスメータにより測定される平均値(単位は[gauss]とする。)とするものとする。尚、M-EMSの磁場の周波数は1〜4Hzとした。
鋳片の断面図 図1に類似する図 図1に類似する図 ロール勾配の説明図 本発明の一実施形態に係る連続鋳造機の全体概略図 メニスカス距離とロールギャップとの関係などを示す模式図 ロール勾配の一設定方法を例示する図
符号の説明
1 鋳型
2 ロール対
100 連続鋳造機

Claims (1)

  1. 所定の円弧半径を有し、円弧状に延びる円弧経路部と、
    該円弧経路部の下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部と、
    前記の円弧経路部及び水平経路部の間に設けられ、前記円弧半径を漸増させることにより前記の円弧経路部及び水平経路部を接続する矯正経路部と、
    を少なくとも含む鋳造経路に沿って並設された複数のロール対により鋳片を挟持しつつ、
    溶鋼を冷却して所定の凝固シェルを形成する鋳型の下端のメニスカス距離としての第一メニスカス距離M1[m]から、所定の第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に至るまでの鋳造経路としてのA経路部IntAにおいては前記鋳片に対して冷却水を所定の冷却水量Wt[L/kgSteel]で直接的に噴霧し、
    前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]から、前記矯正経路部の上流端のメニスカス距離としての第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのB経路部IntBにおいては前記鋳片に対して冷却水を直接的には噴霧しない、
    炭素含有量C[wt%]が0.8〜1.1である高炭素鋼の連続鋳造方法において、
    鋳造速度Vc[m/min]を0.50〜0.65とし、
    前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]を8〜15とし、
    前記冷却水量Wt[L/kgSteel]を0.25〜1.0とし、
    ◆前記A経路部IntA内に配設される前記複数のロール対のロールギャップG[mm]の夫々は、
    (a)該A経路部IntAにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのA経路部ロール勾配GRDA[mm/m]が下記式(1)を満足するように、設定し、
    ◆前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対のロールギャップG[mm]の夫々は、
    (b)前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]に配置されるロール対のロールギャップGA/Last[mm]と、前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対のロールギャップG[mm]のうち最大のロールギャップGB/Max[mm]と、が下記式(2)を満足するように、
    (c)且つ、前記ロールギャップGA/Last[mm]と、前記ロールギャップGB/Max[mm]と、前記第二メニスカス距離M2(A/Last)[m]と、前記B経路部IntB内に配設される前記複数のロール対のうちロールギャップG[mm]がロールギャップGB/Max[mm]であるロール対が配置されるメニスカス距離としての第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]と、が下記式(3)を満足するように、
    (d) 且つ、前記第三メニスカス距離M3(B/Max)[m]から、前記第四メニスカス距離M4(B/Last)[m]に至るまで、の鋳造経路としてのb経路部Intbにおけるロール勾配GRD[mm/m]としてのb経路部ロール勾配GRDb[mm/m]が下記式(4)を満足するように、設定する、
    ことを特徴とする高炭素鋼の連続鋳造方法
    GRDA≧0・・・(1)
    0.5≦GB/Max-GA/Last≦5.0・・・(2)
    0.4≦(GB/Max-GA/Last)/(M3(B/Max)-M2(A/Last))≦8.0・・・(3)
    0.25≦GRDb≦0.8・・・(4)
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