JP2018089644A - ばね用鋼の中心偏析改善方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ばね用鋼の中心偏析を抑制できるばね用鋼の中心偏析改善方法を提供する。【解決手段】炭素含有量C[wt%]を0.35〜0.70とし、ケイ素含有量Si[wt%]を0.10〜2.60とし、マンガン含有量Mn[wt%]を0.10〜1.00とし、クロム含有量Cr[wt%]を1.30〜2.00とし、バナジウム含有量V[wt%]を0.20〜0.30とするばね用鋼の中心偏析改善方法において、メニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4とする。【選択図】図2
Description
本発明は、連続鋳造機におけるばね用鋼の中心偏析改善方法に関する。
従来、ばね用鋼の鋳造において、最終凝固位置付近を圧下することで中心偏析を抑制できることが知られている(特許文献1参照)。
しかし、ばね用鋼の強度を向上するため例えばクロムなど合金元素の鋼への添加量を増加すると、特許文献1で記載された圧下位置と同じ位置で鋳片を圧下しても中心偏析を改善できない。
そこで発明者らは、鋳片を圧下する区間を変える実験を行った。この実験から、従来より鋳造経路の上流側で鋳片を圧下すると中心偏析を抑制できることを見出した。
本発明に係るばね用鋼の中心偏析改善方法は、
炭素含有量C[wt%]を0.35〜0.70とし、ケイ素含有量Si[wt%]を0.10〜2.60とし、マンガン含有量Mn[wt%]を0.10〜1.00とし、クロム含有量Cr[wt%]を1.30〜2.00とし、バナジウム含有量V[wt%]を0.20〜0.30とするばね用鋼の中心偏析改善方法において、
鋳型の上端における鋳型厚D[mm]を270〜310とし、
鋳造速度Vc[m/min]を0.80〜0.95とし、
比水量Wt[L/kgSteel]を0.20〜0.60とし、
溶鋼過熱度ΔT[℃]を15〜45とし、
メニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、
メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、
メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4とした。
炭素含有量C[wt%]を0.35〜0.70とし、ケイ素含有量Si[wt%]を0.10〜2.60とし、マンガン含有量Mn[wt%]を0.10〜1.00とし、クロム含有量Cr[wt%]を1.30〜2.00とし、バナジウム含有量V[wt%]を0.20〜0.30とするばね用鋼の中心偏析改善方法において、
鋳型の上端における鋳型厚D[mm]を270〜310とし、
鋳造速度Vc[m/min]を0.80〜0.95とし、
比水量Wt[L/kgSteel]を0.20〜0.60とし、
溶鋼過熱度ΔT[℃]を15〜45とし、
メニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、
メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、
メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4とした。
この発明では、従来よりクロムの添加量を増やした鋼であっても、鋳造経路の上流側、すなわちメニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1、メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2、およびメニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3で鋳片を圧下することで、ばね用鋼の中心偏析を抑制できる。
クロムの鋼への添加量を増加すると凝固点が降下し、連鋳機内における適正圧下位置は、図12に示す従来の最終凝固位置から、下流側の予想最終凝固位置に移動すると考えられていた。従って、従来より下流側を圧下すると中心偏析を改善できると考えられる。しかし本発明により、従来より鋳造経路の上流側で鋳片を圧下することで中心偏析を改善できることが分かった。このことから、クロムの添加量を増加させると、最終凝固位置(適正圧下位置)が上流側に移動する(図12の本発明の最終凝固位置参照)という知見を得た。
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
〔連続鋳造機〕
連続鋳造機100は、図1に示すように、垂直曲げ型連続鋳造機であって、タンディッシュ1と、タンディッシュ1の底部に取り付けられた浸漬ノズル2と、浸漬ノズル2の下部が配置された鋳型3と、鋳型3の直下から鋳造経路Qに沿って設けられた複数のロールとを備えている。鋳型3には、平面視において略矩形状の開口が形成されており、スラブ鋳片が鋳造可能となっている。
連続鋳造機100は、図1に示すように、垂直曲げ型連続鋳造機であって、タンディッシュ1と、タンディッシュ1の底部に取り付けられた浸漬ノズル2と、浸漬ノズル2の下部が配置された鋳型3と、鋳型3の直下から鋳造経路Qに沿って設けられた複数のロールとを備えている。鋳型3には、平面視において略矩形状の開口が形成されており、スラブ鋳片が鋳造可能となっている。
鋳造経路Qには、鋳型3直下から下流側に向かって、垂直部11、曲げ部12、円弧部13及び矯正部14が順に設けられている。ここで、本実施形態では、鋳造経路Qに沿って鋳型3に近い側を上流側と呼び、鋳型3に遠い側を下流側と呼ぶ。なお、図1では、連続鋳造機100の構成を模式的に示し、垂直部11〜矯正部14等の各経路部に数個のロールだけを図示しているが、実際は複数のロールが配置されている。
図1に示すように、垂直部11は、鋳型3直下から垂直下方向に延在し、複数のフットロール21が配置されている。曲げ部12は、曲率半径Rが徐々に小さくなるように曲がった部分であり、鋳片7を円弧状に曲げる複数のサポートロール22が配置されている。また、円弧部13は、曲率半径Rが一定の円弧状に形成され、複数のサポートロール23が配置されている。そして、矯正部14は、曲率半径Rが徐々に大きくなるように曲がった部分であり、鋳片を矯正する複数のサポートロール24が配置されている。また、矯正部14の下流側には、水平方向に延在した水平部15が設けられている。水平部15には、鋳片を下流側へ移送する複数の移送ロール25と、鋳片を引き抜くピンチロール26が配置されている。なお、ピンチロール26は、垂直部11、曲げ部12、円弧部13及び矯正部14に配置されていてもよい。また、鋳造方向に隣り合うロール間にはスプレーズル5が配置されており、これらのスプレーノズル5によって2次冷却帯が構成されている。
水平部15には、メニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1と、メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2と、メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3とがある。ここで、メニスカス距離M[m]とは、注湯された溶鋼を冷却して所定の形状の凝固シェルを形成するための鋳型3内に収容されている溶鋼の湯面(メニスカス位置)を起点とし、鋳造経路Qに沿った距離[m]を意味する。
図2に、第1経路部Int1に配置された移送ロール25(図中、単にロールと示す)の概略図を示す。鋳造経路Qに沿って並設される複数対のロール対のうち、上流側のロール対と、このロール対に対して鋳造経路Qの下流側に隣り合うロール対との間のロール勾配GRD1-2[mm/m]は、上流側ロール対のロールギャップG1[mm]と、下流側ロール対のロールギャップG2[mm]と、両ロール対のロールピッチL1-2[m]とに基づいて下記式により求められる。
GRD1-2=(G1−G2)/L1-2
なお、ロールギャップG[mm]とは、鋳片を挟んで一対で設けられる両ロールの面間最短距離[mm]のことである。
GRD1-2=(G1−G2)/L1-2
なお、ロールギャップG[mm]とは、鋳片を挟んで一対で設けられる両ロールの面間最短距離[mm]のことである。
図3を参照しながら、ロール勾配GRDの設定の仕方をSTEP1とSTEP2に分けて説明する。一例として、メニスカス距離M[m]がMi〜Mi+jである経路部のロール勾配GRD[mm/m]を設定する。なお、上流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対25のうち最も下流側のもの(ロール対25i)がメニスカス距離Mi[m]に配置され、下流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対25のうち最も下流側のもの(ロール対25i+j)がメニスカス距離Mi+j[m]に配置されているものとする。
<STEP1:(1)〜(3)>
(1)メニスカス距離Mi[m]に配置されているロール対25iのロールギャップGiを測定する。
(2)メニスカス距離Mi+j[m]に配置されているロール対25i+jと、(1)のロール対25iとの間の距離(Mi+j−Mi)[m]を測定する。
(3)下記式に基づいて、(2)のロール対25i+jのロールギャップGi+jを求める。そして、鋳片を挟むように一対で設けられるロールスタンドのうち少なくとも一方を適宜の手段により移動操作することにより、求められたロールギャップGi+jを前記のロール対25i+jに対して適用する。
Gi+j=Gi−GRD×(Mi+j−Mi)
(1)メニスカス距離Mi[m]に配置されているロール対25iのロールギャップGiを測定する。
(2)メニスカス距離Mi+j[m]に配置されているロール対25i+jと、(1)のロール対25iとの間の距離(Mi+j−Mi)[m]を測定する。
(3)下記式に基づいて、(2)のロール対25i+jのロールギャップGi+jを求める。そして、鋳片を挟むように一対で設けられるロールスタンドのうち少なくとも一方を適宜の手段により移動操作することにより、求められたロールギャップGi+jを前記のロール対25i+jに対して適用する。
Gi+j=Gi−GRD×(Mi+j−Mi)
<STEP2:(4)〜(5)>
(4)メニスカス距離Mi+j[m]に配置されているロール対25i+jと、下流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対25のうち最も上流側のロール対25i+1との間の距離(Mi+j−Mi+1)[m]を求める。
(5)下記式に基づいて、ロール対25i+1に対して適用すべきロールギャップGi+1を求める。そして、鋳片を挟むように一対で設けられるロールスタンドのうち少なくとも一方を同様に適宜の手段により移動操作することにより、求められたロールギャップGi+1をロール対25i+1に対して適用する。
Gi+1=Gi+j+GRD×(Mi+j−Mi+1)
(4)メニスカス距離Mi+j[m]に配置されているロール対25i+jと、下流側のロールスタンドに支持されている複数のロール対25のうち最も上流側のロール対25i+1との間の距離(Mi+j−Mi+1)[m]を求める。
(5)下記式に基づいて、ロール対25i+1に対して適用すべきロールギャップGi+1を求める。そして、鋳片を挟むように一対で設けられるロールスタンドのうち少なくとも一方を同様に適宜の手段により移動操作することにより、求められたロールギャップGi+1をロール対25i+1に対して適用する。
Gi+1=Gi+j+GRD×(Mi+j−Mi+1)
次に、連続鋳造機100を用いた鋳造方法を説明する。
タンディッシュ1内に収容された溶鋼6を、浸漬ノズル2を介して鋳型3内に注入する(鋳造開始)。ここで、鋳型3底部には、予めダミーバーが設置されている。鋳型3内の溶鋼6は冷却され、表面部(鋳型3と接する部分及びダミーバー上端部と接する部分)が凝固することにより、凝固シェルが形成された鋳片となる。その後、ダミーバーを下流側へ引き抜くと、鋳片は、ダミーバーに付随して鋳型3から引き出され、鋳型3直下に配置されたフットロール21に支持されながら垂直部11を通過し、曲げ部12でサポートロール22に支持されながら円弧状に曲げられる。そして、円弧部13でサポートロール23に保持されながら下流側へ移送された後、矯正部14でサポートロール24によって水平方向に向くように矯正される。その後、水平部15において、移送ロール25によって下流側に移送され、内部まで凝固したスラブ鋳片が鋳造される。
本実施形態において連続鋳造の対象たるばね用鋼の成分は、以下の通りとする。
・炭素含有量C[wt%]:0.35〜0.70
・ケイ素含有量Si[wt%]:0.10〜2.60
・マンガン含有量Mn[wt%]:0.10〜1.00
・クロム含有量Cr[wt%]:1.30〜2.00
・バナジウム含有量V[wt%]:0.20〜0.30
・炭素含有量C[wt%]:0.35〜0.70
・ケイ素含有量Si[wt%]:0.10〜2.60
・マンガン含有量Mn[wt%]:0.10〜1.00
・クロム含有量Cr[wt%]:1.30〜2.00
・バナジウム含有量V[wt%]:0.20〜0.30
本実施形態では、ばね用鋼を鋳造する速度としての鋳造速度Vc[m/min]を0.80〜0.95としている。また、鋳型3の上端における鋳型厚D[mm]を270〜310としている。上記の2次冷却帯に設けられている複数のスプレーノズル5によって噴霧される冷却水の量としての比水量Wt[L/kgSteel]を0.20〜0.60としている。溶鋼過熱度ΔT[℃]を15〜45としている。なお溶鋼過熱度ΔTは、タンディッシュ内の溶鋼についての溶鋼過熱度ΔTを意味する。
また、第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4としている。
以下、本実施形態に係るばね用鋼の中心偏析改善方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
<評価方法とその根拠>
まず、各試験における技術的効果の評価の方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、中心偏析の評価方法の手順を説明するための図である。
まず、各試験における技術的効果の評価の方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図4は、中心偏析の評価方法の手順を説明するための図である。
本評価の対象は、鋳片の中心偏析の程度である。特に、C偏析に着目する。以下、下記(1)〜(4)においてはC偏析の評価方法を詳細に説明する。
(1)小鋳片の採取
第1に、鋳造された鋳片から鋳造方向において400mm分だけ鋳片の部分を抜き出す。第2に、前記鋳片の部分を、その鋳片幅方向において半分とするように狭面と平行に切断して小鋳片を得る(図4上、参照)。
第1に、鋳造された鋳片から鋳造方向において400mm分だけ鋳片の部分を抜き出す。第2に、前記鋳片の部分を、その鋳片幅方向において半分とするように狭面と平行に切断して小鋳片を得る(図4上、参照)。
(2)切粉試料の採取
第3に、上記切断により得られた小鋳片を穿孔して切粉試料を採取する。具体的には、上記切断により得られた小鋳片を、図4中“L断面”及び星印で示す断面側より、φ5mmのドリル刃を用いて、鋳片厚み方向略中央に視認される線上で、鋳造方向に沿って所定間隔p(p=10mm)で、当該断面に対して垂直に所定深さdp(dp=4〜6mm)で穿孔し、合計38箇所の切粉試料を採取する。
第3に、上記切断により得られた小鋳片を穿孔して切粉試料を採取する。具体的には、上記切断により得られた小鋳片を、図4中“L断面”及び星印で示す断面側より、φ5mmのドリル刃を用いて、鋳片厚み方向略中央に視認される線上で、鋳造方向に沿って所定間隔p(p=10mm)で、当該断面に対して垂直に所定深さdp(dp=4〜6mm)で穿孔し、合計38箇所の切粉試料を採取する。
(3)成分分析
第4に、上記穿孔で得られた38箇所分の切粉試料のそれぞれを、所定の成分分析方法(例えば、燃焼赤外線吸収法など)により成分分析する。
第5に、成分分析の対象たる鋳片(凝固シェル)を鋳型内で形成している時にタンディッシュから予め採取しておいた溶鋼試料を、第4と同様、所定の成分分析方法により成分分析する。
上記の第4及び第5の成分分析においては共に、試料の炭素含有量C[wt%]を測定する。
第4に、上記穿孔で得られた38箇所分の切粉試料のそれぞれを、所定の成分分析方法(例えば、燃焼赤外線吸収法など)により成分分析する。
第5に、成分分析の対象たる鋳片(凝固シェル)を鋳型内で形成している時にタンディッシュから予め採取しておいた溶鋼試料を、第4と同様、所定の成分分析方法により成分分析する。
上記の第4及び第5の成分分析においては共に、試料の炭素含有量C[wt%]を測定する。
(4)評価
第6に、一の小鋳片から採取された前記複数箇所分の切粉試料のうち最も炭素含有量C[wt%]の高い切粉試料の炭素含有量C[wt%]をCmax[wt%]として記録する。
第7に、第6で記録されたCmax[wt%]を、第5で得られた炭素含有量C[wt%]としてのCo[wt%]で除して得られる比Cmax/Coを算出して記録する。
第8に、当該比Cmax/Coが1.2以下だった試験を良好「○(中心偏析少)」と、1.2を超えた試験を「×(中心偏析顕著)」と評価した。
第6に、一の小鋳片から採取された前記複数箇所分の切粉試料のうち最も炭素含有量C[wt%]の高い切粉試料の炭素含有量C[wt%]をCmax[wt%]として記録する。
第7に、第6で記録されたCmax[wt%]を、第5で得られた炭素含有量C[wt%]としてのCo[wt%]で除して得られる比Cmax/Coを算出して記録する。
第8に、当該比Cmax/Coが1.2以下だった試験を良好「○(中心偏析少)」と、1.2を超えた試験を「×(中心偏析顕著)」と評価した。
以上に、各試験における技術的効果の評価の方法を説明した。次に、上記の(4)に記載の評価の閾値(C偏析:1.2)の根拠を以下[A]〜[D]に詳説する。
[A]本願発明の対象鋼種たるばね用鋼(例えば弁ばね用鋼や懸架ばね用鋼など)は、例えばコールドヘッダーなどに用いられる他の鋼種と比較して、中心偏析の程度の大小が極めて重要である。何故なら、加工度が大きく中心偏析の程度の如何によっては、伸線時に破断してしまうからである。
[B]一般に、ばね用鋼としての鋳片は、下記(a)及び(b)の工程を経て所定の寸法の最終製品に成形する。
(a)上記の連続鋳造機100によって連続的に鋳造されたブルーム鋳片は、適宜の加熱炉で加熱(1230〜1310度・1〜5時間)した後、適宜の分塊圧延設備にて断面155mm×155mmのビレットに分塊圧延する。
(b)上記(a)で得られた所定断面のビレットは、熱処理(800〜1100度・30〜120分)を行い、適宜の圧延を経て、所定の寸法の製品とする。
(a)上記の連続鋳造機100によって連続的に鋳造されたブルーム鋳片は、適宜の加熱炉で加熱(1230〜1310度・1〜5時間)した後、適宜の分塊圧延設備にて断面155mm×155mmのビレットに分塊圧延する。
(b)上記(a)で得られた所定断面のビレットは、熱処理(800〜1100度・30〜120分)を行い、適宜の圧延を経て、所定の寸法の製品とする。
[C]上記(b)における「圧延」は、数回に分けて段階的に行われる。その複数の段階のうち一の段階(φ5.5mm)における鋼材を下記の様に評価した。
(a)φ5.5mmに至るまで圧延した鋼材を、熱処理(660〜720度・1〜2時間)し、所定の被膜処理し、冷間で減面率70〜80%で伸線した。
(b)この伸線の際に鋼材に断線が発生したか否かを記録し、この鋼材のCmax/Coと対応させながら図5に示す通り集計した。図5においてグラフの縦軸は、上記の伸線の際に破断した回数を鋼材10000tonあたりに換算したもの(以下、伸線の断線率とも称する)である。図5より、Cmax/Coを1.2以下とすれば断線率が低位で安定し、伸線に係る鋼材の評価を極めて良好とすることができる。
(a)φ5.5mmに至るまで圧延した鋼材を、熱処理(660〜720度・1〜2時間)し、所定の被膜処理し、冷間で減面率70〜80%で伸線した。
(b)この伸線の際に鋼材に断線が発生したか否かを記録し、この鋼材のCmax/Coと対応させながら図5に示す通り集計した。図5においてグラフの縦軸は、上記の伸線の際に破断した回数を鋼材10000tonあたりに換算したもの(以下、伸線の断線率とも称する)である。図5より、Cmax/Coを1.2以下とすれば断線率が低位で安定し、伸線に係る鋼材の評価を極めて良好とすることができる。
以下、偏析形態の評価方法について説明する。
前述したCmax/Co評価方法における図4中”L断面”と相対する面を、JIS G0553「鋼のマクロ組織試験方法」に従い、所定の腐食方法にて組織観察を行う。図6に示す軸心線と偏析線が成す角θ<90℃の場合を「V偏析」、図7に示すθ>90℃の場合を「逆V偏析」とする。
前述したCmax/Co評価方法における図4中”L断面”と相対する面を、JIS G0553「鋼のマクロ組織試験方法」に従い、所定の腐食方法にて組織観察を行う。図6に示す軸心線と偏析線が成す角θ<90℃の場合を「V偏析」、図7に示すθ>90℃の場合を「逆V偏析」とする。
偏析形態についてはV偏析を良好とする。逆V偏析、つまり過剰圧下となると、鋳造方向に対し逆側に濃化溶鋼が流動するが、軸心部だけでなく軸心部近傍まで濃化溶鋼が残り、製品に悪影響を及ぼす。従って、V偏析とするほうが伸線に係る鋼材の評価を極めて良好とすることができる。また、逆V偏析は圧下量が適正でない場合にも発生しうる。ただし、この場合にはCmax/Coを1.2以下とすることができない。以上より、適正な圧下量によりCmax/Coを1.2以下とし、且つV偏析とすれば、伸線に係る鋼材の評価を極めて良好とすることができる。
<実施例>
次に、本発明の実施例及び比較例の結果を説明する。
水平部15の第1経路部Int1と第2経路部Int2と第3経路部Int3とのロール勾配を変えたときの中心偏析の偏析形態およびCmax/Coを調べた。
次に、本発明の実施例及び比較例の結果を説明する。
水平部15の第1経路部Int1と第2経路部Int2と第3経路部Int3とのロール勾配を変えたときの中心偏析の偏析形態およびCmax/Coを調べた。
図8から、本発明のロール勾配の条件を満たす実施例1〜20では、偏析形態がV字偏析であり、かつCmax/Coが1.2以下であり、良好な鋼材が得られた。一方、本発明のロール勾配の条件を満たさない比較例21〜41では、偏析形態が逆V字偏析であることが多く、またCmax/Coが1.2よりも大きく、良好な鋼材が得られなかった。なお比較例42では、クロムCrの含有量が少ない本発明の範囲外である溶鋼を本発明に係るロール勾配で圧下した。
具体的には、比較例21および22では、第1経路部Int1のロール勾配のみが本発明の範囲(ロール勾配GRD[mm/m]が1.8〜2.3)を外れていた。比較例23および24では、第2経路部Int2のロール勾配のみが本発明の範囲(ロール勾配GRD[mm/m]が1.8〜2.3)を外れていた。比較例25から28では、第3経路部Int3のロール勾配のみが本発明の範囲(ロール勾配GRD[mm/m]が0.3〜0.4)を外れていた。比較例29から33では、第1経路部Int1と第2経路部Int2とのロール勾配が本発明の範囲を外れていた。比較例34から39では、第1経路部Int1と第3経路部Int3とのロール勾配が本発明の範囲を外れていた。比較例40および41では、第1経路部Int1から第3経路部Int3の全てのロール勾配が本発明の範囲を外れていた。比較例42では本発明に係るロール勾配で溶鋼を圧下したにも関わらず、クロムCrの含有量が少ないため所望のCmax/Coの値を得られなかった。
ここで、中心偏析の改善に係る本発明の技術的効果を一層明瞭に把握できるよう、図10〜図11を参照されたい。図10は、本発明の実施例におけるCmax/Co分布を示すグラフである。図11は、比較例におけるCmax/Co分布を示すグラフである。なお、これら図10〜図11の横軸はC偏析の度合い(Cmax/Co)を表し、縦軸は度数を表す。ここで、「度数」とは具体的には、一の取鍋(溶鋼収容量=250ton)分に対して一のサンプルを採取し、これを所定回繰り返して採取された複数のサンプルの成分分析結果を各偏析度合いごとに積算したものである。
図10では、Cmax/Coが1.2以下に度数が分布している。一方、図11では、Cmax/Coが1.2以上に度数が分布している。このことから、本発明は比較例に対し、中心偏析を改善する点において極めて有用な効果を発揮することが分かる。
[本実施形態のばね用鋼の中心偏析改善方法の特徴]
本実施形態のばね用鋼の中心偏析改善方法には以下の特徴がある。
本実施形態のばね用鋼の中心偏析改善方法には以下の特徴がある。
本実施形態のばね用鋼の中心偏析改善方法では、炭素含有量C[wt%]を0.35〜0.70とし、ケイ素含有量Si[wt%]を0.10〜2.60とし、マンガン含有量Mn[wt%]を0.10〜1.00とし、クロム含有量Cr[wt%]を1.30〜2.00とし、バナジウム含有量V[wt%]を0.20〜0.30とするばね用鋼の中心偏析改善方法において、鋳型の上端における鋳型厚D[mm]を270〜310とし、鋳造速度Vc[m/min]を0.80〜0.95とし、比水量Wt[L/kgSteel]を0.20〜0.60とし、溶鋼過熱度ΔT[℃]を15〜45とし、メニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4とした。
本発明では、従来よりクロムの添加量を増やした鋼であっても、鋳造経路の上流側、すなわちメニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4とすることで、中心偏析を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
ばね用鋼の成分に関して、炭素含有量C[wt%]を0.35〜0.70とし、ケイ素含有量Si[wt%]を0.10〜2.60とし、マンガン含有量Mn[wt%]を0.10〜1.00とし、クロム含有量Cr[wt%]を1.30〜2.00とし、バナジウム含有量V[wt%]を0.20〜0.30とする限り、具体的な値は特に限定されない。
鋳造条件に関して、炭鋳型の上端における鋳型厚D[mm]を270〜310とし、鋳造速度Vc[m/min]を0.80〜0.95とし、比水量Wt[L/kgSteel]を0.20〜0.60とし、溶鋼過熱度ΔT[℃]を15〜45とする限り、具体的な値は特に限定されない。
ロール勾配に関しては、第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とする限り、具体的な値は特に限定されない。
1 タンディッシュ
2 浸漬ノズル
3 鋳型
5 スプレーノズル
25 移送ロール
100 連続鋳造機
Q 鋳造経路
2 浸漬ノズル
3 鋳型
5 スプレーノズル
25 移送ロール
100 連続鋳造機
Q 鋳造経路
Claims (1)
- 炭素含有量C[wt%]を0.35〜0.70とし、ケイ素含有量Si[wt%]を0.10〜2.60とし、マンガン含有量Mn[wt%]を0.10〜1.00とし、クロム含有量Cr[wt%]を1.30〜2.00とし、バナジウム含有量V[wt%]を0.20〜0.30とするばね用鋼の中心偏析改善方法において、
鋳型の上端における鋳型厚D[mm]を270〜310とし、
鋳造速度Vc[m/min]を0.80〜0.95とし、
比水量Wt[L/kgSteel]を0.20〜0.60とし、
溶鋼過熱度ΔT[℃]を15〜45とし、
メニスカス距離M[m]が22.6〜24.2である第1経路部Int1におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、
メニスカス距離M[m]が24.2〜25.9である第2経路部Int2におけるロール勾配GRD[mm/m]を1.8〜2.3とし、
メニスカス距離M[m]が25.9〜27.5である第3経路部Int3におけるロール勾配GRD[mm/m]を0.3〜0.4とする、
ことを特徴とするばね用鋼の中心偏析改善方法。
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JP2016233808A JP2018089644A (ja) | 2016-12-01 | 2016-12-01 | ばね用鋼の中心偏析改善方法 |
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-
2016
- 2016-12-01 JP JP2016233808A patent/JP2018089644A/ja active Pending
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