JP6384679B2 - 熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板の製造方法に関し、具体的には、中心偏析が軽微な連続鋳造方法によって製造した鋳片を熱間圧延して、水素誘起割れ(HIC)が起こり難いラインパイプ用熱延鋼板を得ることができる熱延鋼板の製造方法に関するものである。
鋼の凝固過程では、炭素、燐、硫黄、マンガンなどの溶質元素が、凝固時の再分配によって未凝固の液相側に濃化され、その結果、デンドライト樹間には、ミクロ偏析が形成される。連続鋳造機で鋳造され、凝固しつつある連続鋳造鋳片(以降、単に「鋳片」ともいう)では、凝固収縮や熱収縮、連続鋳造機のロール間で発生する凝固シェルのバルジングなどによって、厚み中心部に空隙が形成されたり、負圧が生じたりすると、この部分に溶鋼が吸引される。しかし、凝固末期の未凝固層には十分な量の溶鋼が存在していないため、上述した溶質元素が濃縮したデンドライト樹間の溶鋼が鋳片の厚み中心部に流入して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶質元素の濃度が溶鋼の初期濃度に比べ格段に高い値となる。この現象は、一般に「マクロ偏析」と呼ばれており、その存在部位から「中心偏析」とも呼ばれている。
上記鋳片の中心偏析は、原油や天然ガスなどの輸送用ラインパイプ材の品質を著しく悪化させることが知られている。というのは、中心偏析部にMnSやNb炭化物等が生成すると、腐食反応により鋼内部に侵入した水素が上記MnSやNb炭化物等の周りに拡散・集積し、その内圧によって割れが発生する。また、中心偏析部は、高い濃度の溶質元素により硬質化しているので、上記割れはさらに周囲に伝播・拡張する。これが水素誘起割れ(HIC:Hydrogen Induced Cracking)である。従って、鋳片厚さ中心部の中心偏析を
低減することは、鋼製品の品質向上を図る上で、極めて重要である。
これに対処するべく、従来から、連続鋳造工程から圧延工程に至るまでの間で、鋳片の中心偏析を低減する、あるいは、無害化する技術が多数提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、連続鋳造機内において、未凝固層を有する凝固末期の鋳片を、鋳片支持ロールによって凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で徐々に圧下しながら鋳造する、「軽圧下」あるいは「軽圧下法」と呼ばれる技術が提案されている。この軽圧下技術は、鋳造方向に並んだ複数対のロールを用いて鋳片を引き抜く際、凝固収縮量と熱収縮量の和に見合った圧下量で鋳片を徐々に圧下して未凝固層の体積を減少させ、鋳片中心部における空隙あるいは負圧部の形成を防止すると同時に、デンドライト樹間への濃化溶鋼の流動を防止し、鋳片の中心偏析を軽減する技術である。
また、厚み中心部のデンドライト組織の形態と、中心偏析との間には、密接な関係があることから、例えば、特許文献3には、連続鋳造機の二次冷却帯の鋳込み方向における特定の位置の比水量を0.5L/kg以上に設定することで、凝固組織の微細化、等軸晶化を促進し、偏析を低減する技術が提案されている。
特開平08−132203号公報 特開平08−192256号公報 特開平08−224650号公報
しかしながら、上記従来技術には、以下の問題点があった。例えば、特許文献1や特許文献2に開示の技術は、軽圧下することにより偏析度をある程度低減することはできるが、近年のラインパイプ材に要求される偏析レベルの厳格化に対応するには十分ではない。また、特許文献3に開示の技術は、軽圧下に加えて二次冷却を強化し、凝固組織の微細化を図っているため、より偏析が改善されることが期待された。しかし、発明者らの研究によれば、HICは、ある特定の偏析度以上の偏析スポットが特定のサイズ以上になった場合に発生することが明らかになっているが、特許文献3には、デンドライト組織の微細化や、偏析低減に関する具体的な開示がないため、そのまま採用することができない。また、軽圧下を行う前に2次冷却を強め過ぎると、完全凝固した短辺部の温度が低下し過ぎて、鋳片の変形抵抗が増大し、圧下を付与することが困難となるため、却って偏析が悪化してしまうおそれもある。
本発明は、従来技術が抱える上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼の鋳片およびその鋳片を熱間圧延して得られる熱延鋼板の厚み中心部における中心偏析を軽減し、耐水素誘起割れ性(耐HIC性)に優れ、ラインパイプの素材に用いて好適な熱延鋼板の製造方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。その結果、鋳片中心部の偏析を改善するためには、鋳片に適正量のバルジングを起こさせるとともに、2次冷却帯の比水量や軽圧下帯の圧下勾配を適正範囲に調整して、鋳片に実績圧下速度で0.3〜1.0mm/minの軽圧下を付与する必要があること、また、鋳片中心部におけるHICの発生を防止するには、上記に加えてさらに、Mn偏析度が1.33以上で長軸径が500μm超えの偏析スポットを無くしてやる必要があり、そのためには、2次冷却帯における比水量の分布を調整して、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下とすることが重要であること、さらに、上記のようにして得た鋳片を圧下比10以上で熱間圧延して鋼板板厚中心部の偏析スポットの厚みを低減することが有効であることを見出し、本発明を開発するに至った。
すなわち、本発明は、連続鋳造機の鋳型通過後の鋳片に、鋳片厚さ方向にバルジングを起こさせた後、軽圧下帯で圧下を付与して製造したスラブ鋳片を熱間圧延して熱延鋼板を製造する方法において、前記バルジングによる鋳片厚みの増加量を3〜10mmとし、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量を0.15L/kg以上として前記軽圧下帯の直前位置における鋳片厚み変動量を0.2mm以下とし、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mより下流側の2次冷却帯の比水量と幅切り量を調整して軽圧下開始位置で完全凝固した鋳片短辺部の断面平均温度を1050℃以上とすることによって、鋳片凝固末期の実績圧下速度を0.3〜1.0mm/minとし、前記スラブ鋳片の厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下とすることによって、前記スラブ鋳片の厚み中心部における、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径を500μm以下に制御し、その後、前記スラブ鋳片に圧下比を10以上とする熱間圧延を施すことを特徴とする熱延鋼板の製造方法を提案する。ここで、上記圧下比とは、鋳片の厚みを熱延鋼板の厚みで除した値である。
本発明によれば、鋳片(スラブ)の厚さ方向に適正量のバルジングを起こさせ、鋳型直下における2次冷却帯の比水量を制御し、軽圧下帯直前位置における鋳片の厚み変動量を低減した上で、適正な圧下速度で軽圧下を付与するので、凝固末期における固液共存域の濃化溶鋼の流動を抑止し、鋳片厚み中心部のマクロ偏析を大幅に軽減することができる。また、本発明によれば、上記に加えて、2次冷却帯における比水量を調整し、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を低減することで、HICの発生原因となるMn偏析度が1.33以上、長軸径が500μm以上の鋳片厚み中心部の偏析スポットの発生を抑止し、さらに得られた鋳片に、圧下比10以上の熱間圧延を施して、鋼板の板厚中心部の偏析スポットの厚みを低減するので、耐HIC性に優れた熱延鋼板を製造することが可能となる。
湾曲型連続鋳造機の概要を示す模式図である。 鋳片の最終凝固位置を説明する図である。 鋳片厚み変動量を説明する図である。 偏析スポットおよび偏析スポットの長軸径を説明する図である。 熱延鋼板の板幅方向断面における偏析スポットの長軸径と熱間圧延の圧下比がHICの発生有無に及ぼす影響を示すグラフである。 デンドライト1次アーム間隔とMn偏析度1.33以上の偏析スポットの長軸径との関係を示すグラフである。
図1は、連続鋳造機の一形式である湾曲型連続鋳造機の概要を示したものである。連続鋳造機1には、溶鋼2を注入して凝固させ、鋳片の外殻形状を形成するための鋳型3が設置され、この鋳型の上方には、図示のない取鍋から供給される溶鋼2を鋳型3に中継供給するためのタンディッシュ4が設置されている。タンディッシュ4の底部には、溶鋼の流量を調整するための図示のないスライディングノズルが設置され、このスライディングノズルの下面には浸漬ノズル5が設置されている。
鋳型3の下方には、サポートロール、ガイドロールおよびピンチロール等、複数対の鋳片支持ロール6が配設され、鋳込み方向(鋳片の引抜方向)に隣り合う鋳片支持ロール6の間隔には、水スプレーノズルやエアーミストノズルなどのスプレーノズル7を設置した2次冷却帯が設けられており、2次冷却帯のスプレーノズル7から噴霧される冷却水(「2次冷却水」ともいう)によって鋳片8は引き抜かれながら冷却される。鋳片8の凝固完了位置8b付近と、その上流側には、鋳片を挟んで対向した複数対の鋳片支持ロール群から構成され、鋳片厚さ方向のロール間隔(この間隔を「ロール開度」という)を鋳込み方向下流に向かって順次狭くなるように設定して鋳片に軽圧下を付与する軽圧下帯9が設けられている。因みに、鋳込み方向下流に向かって順次狭くなるように設定したロール開度の状態は、鋳込み方向の単位長さ(m)当りのロール開度の減少量(mm)で定義される「圧下勾配」(mm/m)で表される。
なお、近年の連続鋳造機では、図1に示すように、上記複数対の鋳片支持ロール群を、複数のロール対を備えた複数のセグメント10で構成する方式のものが主流であり、軽圧下帯9も複数のセグメント10aから構成されている。軽圧下の付与は、ロール開度を、セグメントの入側よりも出側を小さく設定することで行われる。この際、ロール開度の調整は、セグメントの上面側あるいは内R側(湾曲部の内側)のロール群を構成する個々のロール位置を、鋳込み中あるいは鋳込み間に遠隔操作で調整することによって実施するのが望ましい。なお、セグメント毎に上面側あるいは内R側のロールを支持するフレームの位置と傾斜を鋳込み間で調整することで、複数のロールの開度を一括して調整してもよい。
また、鋳造方向最終の鋳片支持ロールの下流側には、完全に凝固した鋳片8を搬送するための複数の搬送ロール11が設置されており、この搬送ロールの上方には、鋳片8を所定の長さに切断する図示のない鋳片切断機が配置されている。なお、図中の8aは鋳片中心部の溶鋼の未凝固部を、12は連続鋳造機の下部矯正位置を示している。
ところで、連続鋳造機の軽圧下セグメント(以下、単に「セグメント」ともいう)に掛かる荷重は、主に鋳片のサイズや設定した圧下勾配、鋳片の引抜き速度、セグメント内にある鋳片の液相の割合(液相率)により決定される。マクロ偏析の原因となる、凝固末期での溶鋼流動を防止するには、凝固収縮量や熱収縮量に見合った量の軽圧下を鋳片に付与する必要があるが、設定した圧下勾配が大きい場合や、セグメント内での鋳片内部の液相率が少ない場合、あるいは、鋳片サイズが大きい等の場合には、セグメントに掛かる荷重は大きくなる。セグメントに掛かる荷重が大きくなると、セグメント内の鋳片厚さ方向のロール間隔は、ロールやセグメントフレームの撓みにより拡大する。そのため、鋳片サイズや圧下勾配の設定は同じでも、セグメントに掛かる荷重が増加すると、その荷重に応じてロール開度も変化するため、鋳片に付与される圧下速度(実績値)も設定値から変化してしまう。また、セグメントに掛かる過大な負荷は、セグメントの寿命の短命化を招くという問題もある。
そこで、発明者らは、厚さ250mm×幅2100mmのサイズの鋳片(スラブ)を、鋳片の引抜速度(連続鋳造速度)や軽圧下帯における圧下勾配(設定値)を種々に変更し、様々な条件で鋳造した。その際、軽圧下前に内R側の支持ロールの位置調整によってロール間隔を調整して鋳片の長辺面にバルジングを起こさせ、幅方向中央部の厚さを増大させた後、軽圧下帯において元の鋳片厚み程度まで軽圧下する、いわゆるIB(Intentional Bulging)法を採用し、IB量(鋳片厚みの増大量)を2〜13mmの範囲で種々に変化させた。また、上記鋳造時には、予め伝熱計算によって求めた鋳片鋳込み方向で最も遅く凝固が完了する位置、すなわち、最終凝固位置(図1の8b)が存在するセグメントにおける鋳片厚さ方向のロール開度の鋳片鋳込み方向の変化を非接触のセンサーで測定し、鋳片に加わる実際の圧下速度を調査した。なお、鋳片の最終凝固位置は、鋳片幅方向によって異なり、一般には図2に示すようにW型を示すが、本発明の上記最終凝固位置は、鋳片幅方向で最も遅く凝固が完了する位置(図2に示した8bの位置)のことをいう。
その結果、IB量が3mm以下では、IB量が小さ過ぎて、セグメントを構成するロールが、完全凝固している鋳片の短辺側をも圧下するため、セグメント荷重が過大となり、鋳片に軽圧下をほとんど付与することができなかった。一方、IB量が10mmを超えると、鋳片内部に割れ(内部割れ)が発生した。したがって、IB法を採用する場合には、IB量は3〜10mmに設定する必要があることがわかった。
また、鋳片の引抜速度(m/min)と、上記非接触センサーで測定した最終凝固位置が存在するセグメントにおける鋳片鋳込み方向へのロール開度の変化率(圧下勾配)(mm/m)とを乗算して求めた実際に鋳片に付与される圧下速度(実績値)(mm/min)と、偏析形態との関係について調査した。その結果、圧下速度(実績値)が0.3mm/min未満では鋳片の厚さ中心部にV偏析が発生し、一方、1.0mm/minを超えると鋳片の厚さ中心部に逆V字偏析が発生するようになること、従って、V偏析や逆V偏析を防止するためには、凝固末期の鋳片に付与する圧下速度は0.3〜1.0mm/minの範囲に制御する必要があることがわかった。
上記のように、IB量と鋳片に加えられる圧下速度を適正範囲に制御することで、鋳片中心部の偏析は大きく改善されるが、これらの制御だけでは、昨今、要求されている偏析レベルには対応できない。そこで、発明者らは、さらに研究を重ねた結果、偏析レベルをさらに改善するには、軽圧下帯直前におけるスラブ厚み変動量を低減することが重要であることが明らかとなった。ここで、上記鋳片厚み変動量とは、軽圧下帯の直前のロール間中心部で、距離計を用いて鋳片厚みを鋳込み方向に100mm以下のピッチで50〜150点程度測定したときの、上記鋳片厚みの標準偏差のことをいう。なお、鋳片厚み変動量は、図3に示したように、非接触式の距離計を鋳片の厚み方向片側(図3の例では鋳片上面側(内R側))に設置して鋳片表面までの距離を測定し、鋳込み方向に100mm以下のピッチで50〜150点程度測定したときの、上記距離の標準偏差の2倍として求めてもよい。また、実際の鋳片表面からロールパスラインまでの距離を測定する場合には、ロールパスラインから鋳片表面までの距離の自乗平均値の正の平方根を2倍した値、あるいは、上記距離の絶対値の平均値を2倍した値を上記鋳片厚み変動量としてもよい。なお、鋳片表面からロールパスラインまでの距離を用いるときは、鋳片厚み変動量には定常バルジング分も含まれることになるが、軽圧下帯の直前位置では、定常バルジングの量は十分小さいため無視できる。ここで、上記ロールパスラインとは、図3に示したように、鋳造方向に隣り合う2つのロールの共通接線(直線あるいは予め設定された鋳片の曲率と等しい曲率の円弧)のことである。
上記軽圧下帯直前でのスラブ厚みの変動は、主に非定常バルジングによって生じることが知られている。ここで、上記非定常バルジングとは、鋳片が鋳込み方向に配設されたロール間を通過する際には、鋳片は静鉄圧によってロール間で膨らんだまま下流のロールに移動するが、上記膨らみが、下流のロール圧下によっても元の形に戻らなくなる現象のことをいう。一般に、メニスカスから近い位置では、膨らみが元に戻る「定常バルジング」であるが、上記定常バルジングは、鋳込み長の増加すなわち下流側にいくに従い、非定常バルジングに徐々に推移していくと考えられている。
発明者らは、実機の連続鋳造機において、最終凝固部が位置する軽圧下帯セグメントの直前のセグメント間、もしくは、その前のセグメント間と、鋳型直下から軽圧下帯までの鋳造方向の複数個所に、水柱を経由した超音波式の距離計を設置し、非定常バルジングの発生位置を調査した。その結果、従来の予想とは異なり、鋳型直下から2.5mの位置で、非定常バルジングは既に発生しており、この時点での非定常バルジング量によって、軽圧下帯直前における非定常バルジング量が決定されることが判明した。この結果から、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの間において十分なシェル厚を確保することが、非定常バルジングを抑制するためには重要であると考えられる。
そこで、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯における比水量と、軽圧下帯直前の非定常バルジング量との関係を調査した。その結果、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯における比水量を0.15L/kg以上に増大し、さらに、その後の2次冷却を通常の適正な条件で行うことで、軽圧下帯直前のスラブ厚み変動量を0.2mm以下に低減できることがわかった。そして、後述するが、スラブ厚み変動量を0.2mm以下に制御することは、HICの発生起点となる鋳片厚み中心部の偏析スポットを低減するためには必須である。鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯における比水量の上限は、特に制限しないが、鋳片曲げ時の鋳片表面温度を下げ過ぎないことが求められるような場合には、要求される条件に応じて、上記比水量の上限を設定してもよい。
上記のように、IB量と圧下速度を適正範囲に制御することに加えて、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量を適正化することによって、鋳片中心部の中心偏析はさらに低減される。しかし、上記の制御だけでは、鋳片厚み中心部におけるHICの発生を防止するには未だ不十分である。
そこで、発明者らは、さらに、実機の連続鋳造機で鋳造した厚さ250mmの鋳片を鋳込み方向を圧延方向として熱間でロール圧延して製造した各種板厚の厚板(熱延鋼板)から採取したサンプルを用いて、NACE STANDARD TM−0284に準拠し、pH3.0(HS飽和時)、温度25℃のNACE試験溶液(5%NaCl、0.5%CHCOOH、HS:2480ppm(HS飽和時))中に96hr浸漬するHIC試験を実施し、熱延鋼板の段階での偏析形態、具体的には、熱延鋼板の圧延方向に垂直な断面(板の幅方向断面)における偏析スポットのMn偏析度および長軸径と、鋳片の厚みを熱間圧延後の鋼板厚みで除して得られる圧下比が、HICの発生に及ぼす影響を調査した。
まず、厚板の厚み中心部でHICが発生している箇所のMnの偏析形態を調査したところ、HICの発生箇所では、Mn偏析度が1.33以上のスポット状になっていることが判明した。そこで、以下では厚み中心部のMn偏析度が1.33以上のスポット状の領域を「偏析スポット」と定義する。また、上記の調査結果から、HICの発生箇所では、上記偏析スポットの長軸径(板幅方向断面における幅方向径)が500μm以上になっていることも判明した。
ここで、上記Mn偏析度とは、板厚中心部から十分に離れた位置におけるMn濃度の平均値に対する、EPMAで分析した偏析スポットのMn濃度の比のことをいう。
また、上記偏析スポットは、鋳片の段階では、図4に示したように、鋳片厚み中心部の最終凝固段階で発生したスポット部(空隙)に、その周りの固液共存域の濃化溶鋼が流入した部分であり、流入した濃化溶鋼が凝固することで、その最終凝固位置のMn偏析度はさらに高まる。
また、熱間圧延後の厚板の段階におけるMnの偏析形態について、発明者らは、次のように考えている。
熱延薄鋼板(鋼帯)のように圧延方向と鋳造方向が一致している場合には、鋳片の偏析スポットは圧延方向に延ばされるだけであり、また、Mnは固相内での拡散速度が小さいため、熱延鋼板段階における偏析スポットの幅方向の径およびMnの偏析度は、鋳片段階からほとんど変化しない。従って、この場合には、鋳片段階での偏析スポットは、熱延鋼板段階での偏析スポットと同様、厚み中心部のMn偏析度が1.33以上のスポット状の領域として定義することができるので、逆に、鋳片段階での偏析スポットの長軸径は、熱延鋼板の幅方向断面におけるMn濃度の分布から求めた偏析スポットの長軸径と等しいとしても求めることができる。
一方、鋳片段階におけるMn偏析度は、EPMAで分析した、鋳片厚み中心部から十分に離れた位置、例えば、10mm以上離れた位置のMn濃度(平均値)に対する、偏析スポットのMn濃度の比のことをいう。また、鋳片段階における偏析スポットの長軸径とは、鋳片の鋳込み方向に垂直な断面における、Mn偏析度が1.33以上の領域が連続する偏析スポットの鋳片幅方向径のことをいう。
熱延鋼板における偏析スポットの長軸径および圧下比と、HICの発生状況との関係を調査した結果を図5に示した。この図から、熱延鋼板段階あるいは鋳片段階で、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径が500μm以下の場合には、熱間圧延における圧下比が10以上ではHICは発生しないが、圧下比が10未満では、軽微なHICの発生が認められた。これは、圧下比の増加によって、偏析スポット部が圧延方向に延ばされ、偏析スポットが薄くなるため、HIC試験に対して有利に働いたためと考えられる。
一方、熱延鋼板段階あるいは鋳片段階で、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径が500μmよりも大きい場合には、圧下比を10以上にしてもHICが発生する。この場合、HICの発生を抑えるためには、圧下比をさらに大きくすることが有効であると考えられるが、製品板厚が厚い場合には、圧下比を確保するための鋳片厚みが増大し、製造不可能な厚さになってしまう。
また、鋳片の鋳込方向、幅方向の2方向に熱間圧延する厚板圧延の場合についても、同様の調査を行ったところ、熱延鋼板段階における偏析スポットの長軸径は鋳片幅方向の圧延によって大きくなるが、圧延後の長軸径では、HICの発生挙動を説明することは難しく、鋳片段階の偏析スポットの長軸径で説明した方がHICの挙動を説明し易いことがわかった。すなわち、前述した1方向に圧延する熱延鋼板に関する図5の縦軸を、鋳片段階の偏析スポットの長軸径と読み替えて、鋳片段階でのMn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径を500μm以下とし、かつ、熱間圧延の圧下比を10以上にすることにより、HICの発生を効果的に抑制できることが確認された。
ここで、鋳片のMn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径が500μm以下であるということは、鋳片の鋳込み方向に垂直な断面において観察されるMn偏析度が1.33以上の領域が連続する偏析スポットの鋳片幅方向の長軸径が500μm以下であることを意味するが、このような偏析スポットは、連続鋳造条件に応じて、鋳片幅方向の広い範囲にわたって生じ得るので、観察視野は少なくとも鋳片の1/2幅以上とすることが望ましく、全幅とすることがより望ましい。なお、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径は、鋳片幅方向の1断面について測定すれば十分に信頼性のある結果が得られるが、複数断面について測定し、そのうちの最大値をその鋳片の代表値とすることで、より信頼性を高めることができる。
次いで、発明者らは、Mn偏析度が1.33以上で長軸径が500μm以上の偏析スポット(重偏析スポット)の発生を防止するため、実機の連続鋳造機において、2次冷却帯の比水量を種々に変化させて、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を変える実験を行い、デンドライト1次アーム間隔とMn偏析度1.33以上の偏析スポットの長軸径との関係を調査し、その結果を図6に示した。
ここで、上記デンドライト1次アーム間隔とは、鋳片の鋳込み方向に垂直な断面内で凝固が最も遅く完了する幅方向位置(一般には図2に8bで示すW型の底部)における鋳片厚み中心部を、幅方向に50mm以上、厚さ方向に厚み中心部(最終凝固位置)から鋳片の上面側に10mmに亘って腐食して組織を現出させ、該組織を投影機で5倍に拡大して撮像した後、画像処理して、少なくとも30本のデンドライトの1次アーム間隔を測定したときの平均値のことをいう。
図6から、鋳片への軽圧下の付与を適正な条件で行ったとしても、Mn偏析度1.33以上の偏析スポットの長軸径の最大値が500μmを超えてしまう場合があり、その場合には、HICの発生を完全に防止することはできないことがわかる。また、Mn偏析度1.33以上の偏析スポットの長軸径を500μm以下とする、すなわち、重偏析スポットを無くすには、適正な条件の軽圧下の付与と軽圧下帯直前でのスラブ厚み変動量の制限に加えて、厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下に制御することが必須であることもわかる。
上記の結果から、HICの発生を防止するためには、軽圧下の付与やスラブ厚み変動量の抑制に加えて、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下に制御して、重偏析スポットの発生を防止する必要があることが明らかとなった。
また、図6から、鋳片への軽圧下の付与やスラブ厚み変動量の制限を行わずに、デンドライト1次アーム間隔を小さくすることによって偏析スポットの長軸径を制御しようとした場合、凝固の最終段階で発生する濃化溶鋼のスポットのサイズが同じでも、スポット部の濃化溶鋼のMn濃度が、軽圧下の付与やスラブ厚み変動量の制限を行った場合に比べて高くなるため、Mn偏析度1.33以上の偏析スポットの長軸径は500μmを大きく超えてしまう。なお、このような場合でも、極端にデンドライト1次アーム間隔を短くすれば、偏析スポットの長軸径を500μm以下とすることができると推測されるが、そのためには実現不可能なアーム間隔が必要となり、現実的ではない。
次に、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下に制御する方法について説明する。
デンドライトの1次アームの間隔は、主に溶鋼中の成分と、デンドライトの成長方向(鋳片厚さ方向)の温度勾配と、鋳片厚さ方向の凝固速度によって決定されるが、鋼の成分は、製品に要求される機械特性等から決められ、凝固速度は、鋳片厚さ方向の温度勾配と、鋳片の引抜速度によって決定される。したがって、連続鋳造時に制御可能なパラメーターは、厚み中心部の凝固初期から中期における鋳片厚さ方向の温度勾配である。
鋳片厚さ方向の温度勾配は、主に2次冷却帯の比水量で決定される。上記温度勾配を大きくするには、熱抵抗となる凝固シェルの厚さに応じて冷却水量を増加させることが有効であり、デンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下にする有効な手段となる。しかし、前述したように、HICを引き起こす重偏析スポットの発生を防止するには、鋳片への最適な軽圧下の付与が必須であるが、凝固シェルが厚くなる凝固末期に冷却水量を増やして冷却すると、鋳片表面の温度低下が大きくなり、鋳片の全厚が完全に凝固した鋳片短辺部の温度低下が過大になると、該部分の変形抵抗が増大して軽圧下セグメントに掛かる荷重も増大するため、適正量の軽圧下付与が困難となるおそれがある。
そこで、発明者らは、実機の連続鋳造機を用いて、2次冷却帯の比水量と幅切り量を種々に変えた実験を行い、伝熱・凝固計算により求めた、軽圧下開始直前位置での鋳片の全厚が完全に凝固した鋳片短辺部の断面平均温度と、実際に鋳片に付与された圧下速度(実績値)との関係を調査した。ここで、上記の鋳片の全厚が完全に凝固した鋳片短辺部には、IB法によって鋳片厚みが部分的に増大している箇所も含まれる。なお、この際、IB量は5mm、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量は0.20L/kgに設定し、圧下速度を0.6mm/minに制御した。その結果、鋳片短辺の断面平均温度が1050℃を下回ると、軽圧下セグメントに掛かる荷重が過大となり、鋳片に設定通りの軽圧下を付与することが困難となるので、例えデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下としても、圧下不足のために、偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径が500μmを超える重偏析スポットが発生してしまうことが判明した。なお、軽圧下セグメントに掛かる荷重を低減するには、IB量を増加することも考えられるが、前述したように、IB量を増加し過ぎると、内部割れの可能性が高まるので好ましくない。
また、鋳型直下から強冷却するときには、以下の問題点がある。
軽圧下付与の効果は、厚み中心部の固相率が0.3未満(液相率が0.7超え)の位置から圧下を付与しないと十分に得られない。しかし、該位置から軽圧下を付与する場合、鋳片の凝固完了位置は、軽圧下帯の範囲内に位置することになる。そのため、凝固シェルが薄い鋳型直下から2次冷却帯の比水量を上げると、軽圧下帯直前の位置での厚み中心部の固相率が大きくなり過ぎてしまうため、軽圧下を効果的に付与することができず、HICを引き起こす偏析スポットが発生してしまう。そのため、デンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下に制御するための、2次冷却帯における強冷却は、鋳型直下からではなく、鋳片の中心位置において固相が晶出し始める位置よりも前で、軽圧下開始位置よりも前の湾曲部から行うのが望ましい。
また、デンドライト1次アーム間隔は、溶鋼中の成分、成長方向(鋳片厚み方向)の液相温度勾配、凝固速度、冷却速度などの影響を受けることが知られており、これらを関連付ける種々の理論式や実験式が提案されている。従って、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下に制御するには、上記公知の関係式に、鋼の成分などの操業上必要な条件を入力して、必要とされる液相温度勾配、凝固速度、冷却速度などの条件を導出し、この必要条件を満たし得る2次冷却水量などの調整可能な連続鋳造の操業条件を、伝熱・凝固計算などによって確認あるいは導出して調整する方法を用いることができる。
例えば、製品の板厚から上記の圧下比の条件を満たす鋳片厚みを算出しておき、公知の関係式と伝熱・凝固計算とによって、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔が1.6mm以下となる2次冷却や鋳造速度などの操業条件を決定して、連続鋳造を実施すればよい。また、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔が1.6mm以下となる2次冷却条件やその他の連続鋳造条件は、過去の連続鋳造条件と、そのときの鋳片の調査結果との実績に基づいて経験的に決定することもできる。
なお、デンドライト1次アーム間隔算出式としては、例えば、下記のKurz-Fisherの式がある。
Figure 0006384679
ここで、λ:デンドライト1次アーム間隔(m)
ΔT:固液共存温度範囲(K)
D:溶質の液相中拡散係数(m/s)
Γ:Gibbs-Thomson係数(m/K)
k:溶質の平衡分配係数(−)
R:凝固速度(m/s)
G:固液界面での液相中温度勾配(K/m)
上記式を用いてデンドライト1次アーム間隔が1.6mm以下となる冷却条件を導く方法としては、例えば、連続鋳造条件から、伝熱・凝固計算によって厚み中心部の凝固速度や液相中の温度勾配などを求め、それらの値を上記のKurz-Fisherの式に入力して、デンドライト1次アーム間隔が1.6mm以下となるか否かを判定することによって、試行錯誤的に連続鋳造条件を決定することができる。伝熱・凝固計算を行う鋳片厚み中心部の範囲としては、鋳片厚み中心から15mm程度以内の範囲であればよく、この範囲の固相率が0より大きくなった時から、0.3程度となる時までの時間における凝固速度や液相中の温度勾配を使用すればよい。
メニスカスから19〜21mの位置にあるNo.7セグメント、メニスカスから21〜23mの位置にあるNo.8セグメント、メニスカスから23〜25mの位置にあるNo.9セグメントの3つの軽圧下セグメントから構成される軽圧下帯を有し、下部矯正位置(図1の符号12)がメニスカスから20mの位置にある連続鋳造機で低炭素アルミキルド鋼(C:0.040〜0.045mass%、Si:0.29〜0.31mass%、Mn:1.28〜1.32mass%、P:0.003〜0.004mass%、S:0.0004〜0.0005mass%)を連続鋳造し、厚さ220〜300mm×幅2100mmの連続鋳造鋳片を、引抜速度1.1m/minで製造した。この際、鋳片の厚みや鋳造速度、2次冷却条件などから、例えば特開平4−231158号公報に開示されているような伝熱・凝固計算によって凝固完了位置を予め求めておき、その凝固完了位置を含むセグメントで軽圧下を付与した。
また、上記連続鋳造においては、鋳片厚み、IB量、軽圧下帯における圧下速度の設定値、鋳型直下から鋳込長2.5mまでの比水量、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mより下流側の2次冷却帯の比水量および二次冷却帯における幅切量を、表1に示すように種々に変化させて、各条件につき1チャージ分(約250t)の溶鋼を連続鋳造して複数枚の鋳片(スラブ)を製造し、軽圧下帯直前位置での鋳片厚み変動量(各チャージにおける定常鋳込み時のスラブ厚み変動量の最大値)、および、鋳片に付与された実績圧下速度を測定し、その結果を表1に併記した。
ここで、上記のスラブ厚み変動量は、軽圧下帯最初のセグメントであるNo.7セグメント入側フレームの鋳片の内R側に、水柱を経由した超音波式の距離計を設置して、鋳片表面までの距離を鋳片の引抜き長0.1m毎に50点測定し、その測定した距離の標準偏差を2倍した値を用いた。
また、上記の軽圧下開始位置における完全凝固した鋳片短辺部の断面平均温度は、各チャージの定常鋳込み時の温度であり、上記の凝固完了位置の算出と同様、伝熱・凝固計算手法を用いて算出し、その結果を表1に示した。
また、上記の鋳片に付与された実績圧下速度は、鋳片幅方向の最終凝固位置を伝熱・凝固計算によって求めたとき、最終凝固位置が存在する、最も下流側のセグメントにおける実際のロール開度を非接触のセンサーで測定し、測定したロール開度の変化率から圧下速度を求めたときの、各チャージの定常鋳込み部における測定値の平均値である。
なお、上記の伝熱・凝固計算で求めた鋳片厚み中心部の温度は、凝固完了後の鋳込み長30mの位置で、鋳片厚み方向に縦波の超音波を透過し、その伝播時間から鋳片厚み中心部の温度を推定した結果とほぼ一致することを確認している。
Figure 0006384679
次いで、上記条件で製造した連続鋳造鋳片から調査用スラブ鋳片を切断して採取し、偏析や内部割れの有無、Mn偏析度が1.33以上で長軸径が500μm以上の偏析スポットの個数およびデンドライト1次アーム間隔を以下の方法で測定し、その結果を表1に併記した。
<偏析、割れの評価>
上記調査用スラブ鋳片の鋳込み方向に垂直な断面あるいは鋳片幅方向に垂直な断面を塩酸で腐食し、V偏析や逆V偏析など比較的粗大なマクロ偏析の有無、内部割れの有無を、目視で観察し、偏析、割れの評価を行った。
<偏析スポットの個数および長軸径の大きさ>
上記調査用スラブ鋳片の鋳込み方向に垂直な断面から、幅が25mmで中心部に中心偏析部を含み、長さが約880mm(幅中心から片側の3重点(短辺側と長辺側の凝固殻が成長して出会った点)までの長さ)のサンプルを採取し、小分割した後、EPMAを用いて電子ビーム径100μmでMn濃度を全面に亘って面分析し、Mn偏析度の分布を求め、上記Mn偏析度が1.33以上のMnスポットが鋳片幅方向に500μm以上に亘って繋がっている箇所(重偏析スポット)の数をカウントした。ここで、上記MnスポットのMn偏析度とは、厚み中心部から10mm離れた位置におけるMn濃度Aに対するMnスポットのMn濃度Bの比(B/A)のことをいう。
<デンドライト1次アーム間隔>
上記調査用スラブ鋳片の鋳込み方向に垂直な断面で、凝固が最も遅く完了した幅方向位置(一般には、図2に8bで示したW型の底部である)の厚み中心部を、幅方向に50mm以上、厚さ方向に、厚さ中心部(最終凝固部)から鋳片の上面側に10mmに亘って、ピクリン酸で腐食して凝固組織を現出させ、該凝固組織を投影機で5倍に拡大して撮像した後、画像処理して、少なくとも30本のデンドライト1次アームの間隔を測定し、その平均値をその鋳片のデンドライト1次アーム間隔とした。
次いで、各鋳造チャージにおける定常鋳込み部の複数のスラブ鋳片を、表1に示した圧下比で熱間圧延して厚板とし、HIC試験に供し、その結果を表1に併記した。
ここで、上記HIC試験用の試験片は、寸法が、鋳造方向長さL:100mm×幅方向長さW:20mm×板厚tのもので、上記のようにして製造した複数の厚板から、無作為に3枚の厚板を抽出し、凝固が最も遅く完了する幅方向位置(図2に8bで示したW型の底部)に近い、鋳片幅の1/4に相当する位置から採取した。
また、HIC試験は、NACE STANDARD TM−0284に準拠し、pH3.0(HS飽和時)、温度25℃のNACE試験溶液(5%NaCl、0.5%CHCOOH、HS:2480ppm(HS飽和時))中に96hr浸漬した後、超音波探傷でCスキャンし、割れが発生した面積率(CAR;Crack Area Ratio)を測定し、3枚の厚板より採取した試験片のうちの最も高い値のCARを、その鋳造条件の代表値とした。なお、3枚の試験片のうち1枚でもCARが2%以上であったときは、その試験片を採取したチャージから製造した厚板は全て不合格とした。
以下、表1に記載された実験結果について説明する。
表1に示したNo.1〜6は、本発明に適合する発明例1〜6であり、鋳片の最終凝固部に対応する軽圧下セグメントにおいて鋳片に付与される実際の圧下速度が0.3〜1.0mm/minになるように、予めセグメントの荷重と変位を数値計算し、その結果から、200〜300mmの鋳片厚みに対してIB量を3〜9mmの範囲、圧下速度の設定値を0.55〜0.95mm/minの範囲に設定するとともに、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mより下流側の2次冷却帯の比水量および幅切り量を、軽圧下開始位置での鋳片厚み方向全長(全厚)にわたって完全凝固した鋳片短辺部の断面平均温度が1050℃以上となるよう、伝熱・凝固計算の結果に基づいて調整した。その結果、発明例1〜6では、上記断面平均温度は1050〜1150℃の範囲に調整され、上記の軽圧下セグメントにおいて付与された圧下速度の実績値は0.48〜0.94mm/minの範囲となった。
また、上記の比水量は、過去に、同じ鋼種で、鋳片厚み、引抜き速度や2次冷却水量パターンなどの連続鋳造条件とデンドライト1次アーム間隔との関係を調査した実績に基づいて、鋳片厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔が1.6mm以下となる範囲で設定した。その結果、上記デンドライト1次アーム間隔は1.45〜1.58mmの範囲となった。さらに、発明例1〜6では、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量を0.15〜0.22L/kgの範囲で調整したことにより、軽圧下帯のセグメントの直前位置における上記のスラブ厚み変動量は0.10〜0.16mmの範囲となった。 その結果、上記No.1〜6の発明例1〜6は、適切なIB量と圧下速度設定で、かつ、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mより下流側の2次冷却帯の比水量および幅切り量の調整によって、軽圧下開始位置での鋳片短辺部の断面平均温度を1050℃以上としたため、鋳片に付与された実績圧下速度は0.3〜1.0mm/minの範囲に入っており、また鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量を0.15L/kg以上としたので、スラブ厚み変動量も0.2mm以下であり、熱間圧延における圧下比は10以上であった。その結果、V偏析も逆V偏析も観察されず、また、厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔は1.6mm以下で、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径を500μm以下とすることができ、重偏析スポットは鋳片全幅において皆無であった。また、HICも発生はなく、全て合格となった。また、表面割れや内部割れも発生していなかった。
これに対して、No.7の比較例1は、No.1の発明例1において、IB量を2mmに設定した例であり、IB量が少な過ぎたため、セグメントに掛かる荷重が過大となり、ロール開度が拡がって実測の圧下速度が小さくなり過ぎたため、V偏析が観察された。また、デンドライト1次アーム間隔は1.6mm以下であったものの、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径が500μm以上である重偏析スポットが多数存在したため、HICが発生し、CARは最大で10.8%にも達したため不合格となった。
また、No.8の比較例2は、No.1の発明例1において、IB量を7mmに、圧下勾配を1.30mm/minに設定した例であり、IB量は十分であったが、圧下勾配が大き過ぎたため、鋳片に付与された圧下速度が過大となり、逆V偏析が観察された。また、デンドライト1次アーム間隔は1.6mm以下であったものの、重偏析スポットが多数存在したため、HICが発生し、CARは最大で8.4%にも達して不合格となった。
また、No.9の比較例3は、No.1の発明例1において、2次冷却帯の比水量を調整し、軽圧下開始位置での短辺部の断面平均温度が1050℃以下になるようにした例である。この例では、IB量を適正範囲に設定し、厚み中心部の1次アーム間隔が1.6mm以下であるが、軽圧下開始位置での短辺部の断面平均温度が低過ぎるため、軽圧下セグメントに掛かる荷重が過大となり、0.3mm/min以上の軽圧下を付与することができず、重偏析スポットが発生してHICが発生し、CARは最大で4.8%にも達して不合格となった。
また、No.10の比較例4は、No.1の発明例1において、鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量を0.08L/kgに設定した例である。この例では、上記比水量が少な過ぎたため、軽圧下帯直前のスラブ厚み変動量が0.2mm以上となり、デンドライト1次アーム間隔は1.6mm以下であったものの、重偏析スポットが多数存在してHICが発生し、CARは最大で7.1%にも達したため不合格となった。
また、No.11の比較例5は、No.1の発明例1において、厚み中心部の1次アーム間隔が1.6mm以上になるように、2次冷却帯の比水量を調整した例である、この例では、IB量や鋳片に付与される圧下速度を適正範囲に設定しているため、V偏析も逆V偏析も観察されなかったが、1次アーム間隔が1.6mm以上であったために、重偏析スポットが発生してHICが発生し、CARは2.3%で、不合格となった。
また、No.12の比較例6は、No.1の発明例1において、熱間圧延における圧下比を10未満とした例である。この例では、重偏析スポットの発生はなかったが、熱間圧延での圧下比が小さかったため、より軽微なスポット状の偏析に起因してHICが発生し、CARは2.1%で、不合格となった。
また、No.13の比較例7は、No.5の発明例5に近い条件において、熱間圧延における圧下比を10未満とした例である。この例でも、重偏析スポットの発生はなかったが、熱間圧延での圧下比が小さかったため、より軽微なスポット状の偏析に起因してHICが発生し、CARは2.5%で、不合格となった。
また、No.14の比較例7は、No.3の発明例3に近い条件において、IB量を10mm超えに増大した例である。この例では、IB量を大きくしたため、鋳片内部に多数の内部割れが発生したため、不良材となった。ただし、1次アーム間隔は1.6mm以下で、重偏析スポットの発生もなく、熱間圧延後のHIC試験は合格となった。
1:連続鋳造機
2:溶鋼
3:鋳型
4:タンディッシュ
5:浸漬ノズル
6:鋳片支持ロール
7:スプレーノズル
8:鋳片
8a:鋳片内の固相率1未満の未凝固部
8b:凝固完了位置
9:軽圧下帯
10:セグメント
10a:軽圧下セグメント
11:搬送ロール
12:下部矯正位置

Claims (1)

  1. 連続鋳造機の鋳型通過後の鋳片に、鋳片厚さ方向にバルジングを起こさせた後、軽圧下帯で圧下を付与して製造したスラブ鋳片を熱間圧延して熱延鋼板を製造する方法において、
    前記バルジングによる鋳片厚みの増加量を3〜10mmとし、
    鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mまでの2次冷却帯の比水量を0.15L/kg以上として前記軽圧下帯の直前位置における鋳片厚み変動量を0.2mm以下とし、
    鋳型直下から鋳片引抜き方向に沿って2.5mより下流側の2次冷却帯の比水量と幅切り量を調整して軽圧下開始位置で完全凝固した鋳片短辺部の断面平均温度を1050℃以上とすることによって、鋳片凝固末期の実績圧下速度を0.3〜1.0mm/minとし、
    前記スラブ鋳片の厚み中心部のデンドライト1次アーム間隔を1.6mm以下とすることによって、
    前記スラブ鋳片の厚み中心部における、Mn偏析度が1.33以上の偏析スポットの長軸径を500μm以下に制御し、
    その後、前記スラブ鋳片に圧下比を10以上とする熱間圧延を施すことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。ここで、上記圧下比とは、鋳片の厚みを熱延鋼板の厚みで除した値であり、上記スラブ鋳片の厚み中心部とは、スラブ鋳片厚み方向の最終凝固位置から鋳片の表面側に±10mmの範囲のことをいう
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