JPH0890182A - 広幅薄鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

広幅薄鋳片の連続鋳造方法

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JPH0890182A
JPH0890182A JP25459194A JP25459194A JPH0890182A JP H0890182 A JPH0890182 A JP H0890182A JP 25459194 A JP25459194 A JP 25459194A JP 25459194 A JP25459194 A JP 25459194A JP H0890182 A JPH0890182 A JP H0890182A
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slab
reduction
rolling
cast slab
unsolidified
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JP25459194A
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Takashi Kanazawa
敬 金沢
Tadashi Hirashiro
正 平城
Seiji Kumakura
誠治 熊倉
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面割れ等が無い高品質の広幅薄鋳片を高能
率で安定生産することができる鉄系金属の連続鋳造方法
を確立する。 【構成】 図1に示すように、鋳造中の未凝固層を有す
る鋳片を円弧配列部を持つローラーエプロン帯で連続的
に圧下して薄鋳片を製造する未凝固圧下連続鋳造法にお
いて、前記鋳片の圧下をローラーエプロン帯の一定円弧
配列部内で実施すると共に、短辺近傍100mm以内の鋳
片表面温度が900℃を下回らない温度域で圧下を完了
するか、あるいは更に、前記鋳片の圧下を“両端部に突
起を有した圧下ロ−ル”を用いて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面品質の良好な鉄
系金属広幅薄鋳片を高能率で生産するための未凝固圧下
方式の連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、“精錬技術や鋳造技術の著しい進
歩により品質性状の良好な鋳片の製造が容易化したこ
と”や“省力・省エネルギー思想の高まり”等を背景と
して、熱間圧延工程を大幅に省略したり、更には熱間圧
延を施すことなく溶湯から直接的かつ連続的に薄板材を
製造しようとの試みが、比較的融点の低い非鉄金属ばか
りでなく鉄系金属にまで行われるようになってきた。
【0003】そして、これまで、鉄系金属の薄鋳片を連
続的に鋳造する手段として次のような方法等が提案され
ている。 a) ベルト式壁面移動モールドを使用する連続鋳造法
(ベルト式連続鋳造法), b) 鋳型内断面積が漸減する異形断面モールドを使用す
る連続鋳造法(例えば特開昭60−158955号公報に記載さ
れている方法であってSMS方式とも呼ばれる), c) 双ロール式連続鋳造法。
【0004】しかしながら、これら従来の薄鋳片連続鋳
造法には未だ解決されない多くの問題があり、工業的に
汎用されるほどの域に達していないのが現状である。例
えば、「ベルト式連続鋳造法」の場合には、ベルト冷却
の困難さによるメンテナンス費用やランニングコストが
高いという問題のほか、この鋳造法では鋳片の表面品質
を維持することが非常に難しいという問題点がある。つ
まり、ベルト式連続鋳造法では浸漬ノズル給湯が困難な
ので鋳造用パウダ−が使えず、そのためベルト式連続鋳
造法特有の“鋳型内における湯面の表面積が広いこと”
より酸化が進みやすくてスケ−ル発生による表面品質の
悪化が著しい訳である。なお、一般には湯面の酸化は断
気鋳造を行うことによって防止できるものであるが、ベ
ルト式連続鋳造法では湯面の自由表面が鋳造装置の相当
奥にまで延びて広がるので実際には断気鋳造を実施する
ことも困難である。
【0005】また、「異形断面モールドによる連続鋳造
法」の場合には、漸次ではあるが鋳型内の断面積が減少
して行くので鋳型内面と鋳片表面との間に大きな摩擦力
が生じ、この摩擦抵抗による鋳型内面の摩耗が激しくて
鋳型寿命が短いという問題が指摘されている。そして、
「双ロール式連続鋳造法」の場合には、未凝固部でのロ
ール圧下時に溶湯の流動が激しくて介在物の浮上分離が
困難な上に、偏析が生じやすいという問題があった。
【0006】このように、従来の“鋳型厚みを目標とす
る薄鋳片の厚みと同じにした薄鋳片連続鋳造法”では何
れも十分に満足できる品質の薄鋳片を良好な作業性の下
で安定製造することは困難であり、特に鉄系金属薄板材
の工業的製造において“熱間圧延を伴う従来法”に代替
し得るほどの域には達していなかった。
【0007】そこで、これらの方法に代わるものとし
て、鋳型厚みは従来の“通常の連続鋳造”の場合と同等
にし、この鋳型から引き抜かれた“未凝固部が存在する
鋳片”を連続鋳造機内で連続的に圧下することにより薄
鋳片を製造する方法(未凝固圧下鋳造法)が提案された
(例えば特開昭51−128666号公報,特開昭61−9954号公
報,特開平2-52159号公報等を参照)。
【0008】しかし、この未凝固圧下鋳造法にも「鋳造
中の鋳片を圧下すると鋳片表面の短辺近傍に横ヒビ割れ
が発生しやすい」という問題があり、これが高品質の薄
鋳片を安定製造する上での大きな障害となっていた。こ
の鋳片表面の短辺近傍における横ヒビ割れ発生の原因
は、未凝固鋳片であっても鋳片短辺部は完全凝固してい
てこれを圧下(通常は10-2 sec-1程度の歪速度での圧
下が行われる)した場合には完全凝固している短辺部は
“圧延”となるため、これによって生じる圧下歪(鋳造
方向もしくは幅方向への伸びによる引張歪)が表面割れ
となって解消されることにあるものと考えられたが、こ
のような表面割れに対する有効な防止策は見出されてい
なかった。
【0009】そのため、本発明が目的としたのは、表面
割れ等が無い高品質の広幅薄鋳片を高能率で安定生産す
ることができる鉄系金属の連続鋳造方法を確立すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく特に広幅薄鋳片の製造法として工業的な有
為性の高い未凝固圧下鋳造法に着目して鋭意研究を行
い、まずこれに関連した次の事項を確認した。即ち、従
来の“未凝固圧下を行わない通常の湾曲型連続鋳造”の
場合でも、その矯正部において鋳片コーナー部の表面に
矯正歪(湾曲して凝固した鋳片を矯正するために通常は
歪速度で10-3〜10-4sec -1程度の矯正歪が加えられ
る)による横ヒビ割れが発生しやすいことは知られてい
た。これは、鋳片コーナー部の温度が当該鋼種の脆化温
度域となった時に矯正歪が作用して起きる現象であると
されている。そこで、この矯正歪による鋳片の割れを防
止するための対策として、矯正部位での鋳片表面温度が
脆化温度領域とならないように冷却制御を実施し、前記
矯正部位での鋳片表面温度が脆化温度領域よりも高温度
側もしくは低温度側に回避されるようにして横ヒビ割れ
の発生を防止することが行われていた。ただ、この場
合、“矯正部における温度が脆化温度領域よりも高温側
へ回避されるような冷却制御”を行おうとすると矯正部
へ至るまでの鋳造装置の冷却を極力緩和しなければなら
ず、鋳造装置の冷却不足によるロ−ラエプロン部のロー
ルの変形等といったトラブルが考えられるので、通常は
低温側への回避が行われる。しかし、低温側への回避で
は鋳片温度の低下によるエネルギーロスという問題があ
り、また、これにより鋳片短辺部が過冷却となることに
起因して表面割れが発生する傾向が強くなるとの懸念も
あった。
【0011】これに対して、未凝固圧下鋳造法の場合に
は鋳造装置内の一般に湾曲したロ−ラエプロンの一定円
弧配列部(ロ−ルの配列半径が一定の部位)内で鋳片に
圧下が加えられるが、この場合に通常の冷却制御(矯正
部位で低温側への温度回避がなされるような冷却制御)
を行ったのでは前記一定円弧配列部内での圧下時に鋳片
表面温度が脆化温度域に入ることとなるため、この圧下
時の歪によって横ヒビ割れが発生し易くなる。従って、
未凝固圧下鋳造法においては、“矯正部位における鋳片
温度が脆化温度領域よりも低温側へ回避されるような冷
却制御”を実施することはできない。また、“矯正部位
における温度が脆化温度領域よりも高温側へ回避される
ような冷却制御”を実施しようとすると、先にも述べた
ように鋳造装置への熱負荷が増大して装置トラブルを引
き起こすおそれが出てくる。
【0012】このようなことから、本発明者等は、未凝
固圧下鋳造法を実施する際に生じがちな鋳片の圧下時や
矯正時おける表面割れを適切に防止できる手段を求めて
更に研究を重ねた結果、次のa及びb項、更にはc項に
示すような新しい知見を得ることができた。
【0013】a) 鉄系金属の未凝固圧下鋳造法を実施す
ると、従来の“未凝固圧下を行わない通常の湾曲型連続
鋳造”の場合では歪のかからないロ−ラエプロンの一定
円弧配列部内において鋳片に未凝固圧下による歪が加わ
る(特に短辺近傍の横ヒビ割れの発生しやすい表層部部
分に歪が加わる)ことになり、そのため歪が加わった部
位で鉄系金属に含まれるAlNやNbCの析出粗大化が起き
る。そして、このAlNやNbCの析出粗大化が起きると、
その後に歪が加わったとしても該部位における横ヒビ割
れの発生は抑制される。
【0014】図2は、未凝固圧下により鋳片に発生する
歪を計算によって推定した模式図であるが、この図2か
らも分かるように、未凝固圧下を行うと特に鋳片の短辺
近傍表層部に歪が発生する(図2の濃度が濃い領域ほど
発生歪のレベルは高い)。
【0015】従って、ロ−ラエプロンの一定円弧配列部
内で未凝固鋳片の圧下を行う未凝固圧下鋳造法を適用し
た場合には、矯正部における鋳片表面の温度が脆化温度
領域に入ったとしても矯正による割れの発生は抑制され
る。
【0016】b) そのため、前記一定円弧配列部内での
圧下を鋳片表面の脆化温度域よりも高い温度で完了する
ようにすれば、まず“第1の効果”としてこの圧下時に
おける割れが防止される。更に“第2の効果”として、
前述の如く圧下によって鋳片の短辺近傍表層部にAlNや
NbCの析出粗大化が起きるので、続く冷却の進行と共に
矯正部に至った鋳片の表面温度が脆化温度領域に入って
も矯正歪による割れが生じなくなる。しかも“第3の効
果”として、矯正部を高温に保持することがないので鋳
造装置の熱負荷が過大になるという問題が生じることも
ない。
【0017】c) ただ、上述のように特定の冷却制御下
においてロ−ラエプロンの一定円弧配列部内で未凝固鋳
片の圧下を行うことは高品質薄鋳片を製造する上で多大
な効果をもたらすものではあるが、内部割れ発生の防止
という観点からすると未凝固圧下の圧下量には限界があ
り、本発明者等のこれまでの知見では50mm程度が上限
であると考えられる。従って、より一層薄い鋳片を得る
ためには鋳型の鋳込み厚(元の鋳片厚)もある程度薄く
せざるを得ないことになる。しかし、このように元の鋳
片厚を薄くすると未凝固圧下部位での“鋳片の短辺近傍
における完全凝固した部分の厚み”も少なくなる訳で、
そのため圧下による歪の発生する範囲が小さくなる。即
ち、前記図2で示したように、未凝固圧下により鋳片の
短辺近傍表層部に歪が発生するが、元の鋳片厚を薄くし
かつ早い段階で未凝固圧下すると、その短辺近傍の凝固
シェル厚も薄いために歪発生領域が少なくなり、割れが
発生しやすい部位の全域に歪を発生させることが困難に
なる。ところが、使用する圧下ロ−ルの両端部に突起を
設けておくと、圧下による歪の発生範囲を“短辺近傍の
割れが発生しやすい部位”の全域にまで広げることが可
能となり、目標鋳片厚がより薄い場合でも十分な表面割
れ防止効果を得ることができる。
【0018】本発明は、上記知見事項等に基づいてなさ
れたものであり、「図1に示すように、 鋳造中の未凝固
層を有する鋳片を円弧配列部を持つローラーエプロン帯
で連続的に圧下して薄鋳片を製造する未凝固圧下連続鋳
造法において、 前記鋳片の圧下をローラーエプロン帯の
一定円弧配列部内で実施すると共に、 短辺近傍100mm
以内の鋳片表面温度が900℃を下回らない温度域で圧
下を完了するか、 あるいは更に、 前記鋳片の圧下を“両
端部に突起を有した圧下ロ−ル”を用いて行うことによ
り、 表面品質及び内質が共に良好な鉄系金属広幅薄鋳片
を高能率で生産できるようにした点」に大きな特徴を有
している。
【0019】
【作用】上述のように、本発明では連続鋳造装置を構成
するローラーエプロン帯の一定円弧配列部内で鋳片の未
凝固圧下が行われるが、従来の鉄系金属連続鋳造で使用
される一般的な浸漬ノズルを挿入することができる鋳込
み厚の鋳型(鋳込み厚が100〜150mm厚程度の鋳
型)を組み込んだ連続鋳造装置によって例えば50mm厚
の薄スラブを得ようとすると、連続鋳造装置ピンチロー
ル出側での鋳片厚が50mmとなるように鋳造装置内で未
凝固圧下することが必要である。
【0020】この際、鋳片中央部には未凝固層が存在す
るので50mm厚にまでは格別な抵抗なく圧下することが
できるが、短辺部は完全凝固しているので、この部分は
所謂“圧延”となる。そのため、この鋳片短辺部の圧延
によって前記図2で示したように該部分に歪が発生す
る。
【0021】ここで、上記未凝固圧下は、本発明におい
ては圧下による歪によって鋳片に割れが生じることがな
いように鋳片の脆化領域よりも高い温度領域(900℃
を下回らない温度域)で実施されるので、“発生する
歪”と“高温度であること”のために鋳片の凝固部位で
はAlN,NbC等の炭窒化物の粗大化が進行し、従ってこ
れらAlN,NbC等の結晶粒界への連続析出が抑えられ
る。そのため、その後の冷却により脆化領域に至った鋳
片に矯正歪が加わったとしても表面割れを起こすことは
なくなる。
【0022】つまり、既述の如く湾曲して凝固した鋳片
を矯正する際には歪速度で10-3〜10-4 sec-1程度の
矯正歪が加わるが、そのため、図3から分かるように、
格別な手立てを講じなければ矯正時に脆化領域に入るこ
とを回避すべく矯正部での鋳片の表面温度を1000℃
以上とすることが必要となる。従って、二次冷却(モ−
ルドを出た後のロ−ラエプロン帯でのスプレ−冷却)の
条件を“超弱冷条件”とすることが必要となり、鋳造装
置への過大な熱負荷が避けられない。しかるに、本発明
の如く高温域において鋳片に未凝固圧下歪が予め付与さ
れていると、析出物の粗大化が進んで結晶粒界の脆化が
抑えられ、その後の湾曲矯正時に鋳片表面の温度が脆化
領域に入ったとしても横ヒビ割れを発生することがなく
なる訳である。従って、二次冷却条件を前述した“超弱
冷条件”とする必要はなく、鋳造装置への熱負荷が高ま
ることもない。
【0023】なお、本発明において鋳片の未凝固圧下を
ローラーエプロン帯の一定円弧配列部内で実施するの
は、圧下の均一性を確保して偏析や表面割れを極力防止
するためである。更に、短辺近傍100mm以内の鋳片表
面温度が900℃を下回らない温度域で未凝固圧下を完
了するようにしたのは次の理由による。即ち、未凝固圧
下では既述の如く歪速度で10-2 sec-1程度の歪が付与
されるが、この際の鋳片表面温度が900℃を下回る
と、前記図3からも明らかなように脆化領域に入ってし
まって表面にヒビ割れが生じるおそれが出てくる上、析
出物の析出・粗大化が不十分となってその後の湾曲矯正
時の横ヒビ割れ防止効果にも悪影響が懸念されるように
なる。また、未凝固圧下時や湾曲矯正時に横ヒビ割れが
発生しやすいのは鋳片の短辺近傍100mm以内であり
(この部分は長辺・短辺両側からの冷却や上流部からの
垂れ水等の影響で長辺中央部より低温になりやすく、 ま
た通常は長辺中央部の表面温度を適正化するよう冷却コ
ントロ−ルをするので短辺側は過冷になり歪により脆化
しやすい)、従ってこの部位における割れ対策が十分で
あれば表面性状の良好な鋳片が安定して得られることか
ら、本発明では「短辺近傍100mm以内の鋳片表面温度
が900℃を下回らない温度域で未凝固圧下を完了する
こと」と限定した。
【0024】上述のように、本発明に従ってローラーエ
プロン帯の一定円弧配列部内で短辺近傍における表面温
度が900℃以上(好ましくは1000〜1100℃)
の鋳片に未凝固圧下(歪速度10-2 sec-1程度)を施す
と、前記図3のYで示す領域(非脆化領域)での圧下と
なるので、未凝固圧下で生じる歪によっては鋳片の割れ
は発生せず、しかも凝固表層部に高温で歪が加えられる
のでAlN,NbC等の炭窒化物の粗大化が進行するため、
その後の冷却で矯正部における温度が700〜800℃
{図3のJ1で示す領域(脆化領域)}となっても矯正歪
による割れ発生が防止されることになる。
【0025】ところで、本発明者等は、種々寸法の鋳片
について圧下歪の発生状況を更に詳細に解析したとこ
ろ、前記図2に示した「表層部における歪発生領域」は
短辺近傍約50〜70mm程度にしかならないことが多い
(幅広がりは17mm程度)ことが分かった。しかるに、
横ヒビ割れの発生しやすい領域は鋳片の短辺近傍100
mm程度に及ぶため、未凝固圧下での歪付加によるその後
の割れ防止効果は割れ発生が懸念される領域の全範囲に
及ばない場合が多いことになる。
【0026】しかしながら、この問題は、図4で示した
ように圧下ロ−ルの両端部(好ましくは鋳片の短辺近傍
100mmに対応する部分)に適宜の突起を設けることで
解決することができる。なぜなら、これによって圧下歪
の発生する範囲を割れ発生が懸念される領域の全域とす
ることができるためである。つまり、圧下ロ−ルの両端
部に円周方向へ並ぶ例えば高さが5mm程度の円錐形状等
の突起を設けておき、この圧下ロ−ルによって未凝固圧
下時に鋳片の短辺近傍を圧下すると、突起部による押圧
歪も加わるため、通常の円筒ロ−ルを用いた際には十分
に生じなかった部位にまで容易に歪を発生させることが
できる訳である。このように両端部に突起を有した圧下
ロ−ルを用いれば、鋳片短辺近傍の横ヒビ割れの発生し
やすい全領域に歪を確実に発生させることができ、これ
により該部位におけるAlNやNbCの析出粗大化を促進さ
せることで“矯正時における短辺近傍の横ヒビ割れの発
生”をより一層安定して抑制することが可能となる。
【0027】なお、圧下ロ−ルの両端部に設ける突起の
条件は特に制限されるものではないが、例えば次の条件
が好ましいと言える。 a) 突起を設ける範囲 鋳片幅1600〜900mmの範囲で幅替えできるような
鋳造装置の場合、最狭幅の場合でも鋳片の短辺近傍10
0mm程度にまで歪が発生するように、鋳片厚とは無関係
に圧下ロ−ル両端部の100mm以上の範囲に突起を設け
るのが良い。 b) 突起の形状 円錐,半球,円柱,直方体等の形状が採用できる(但
し、 余りに角が先鋭な形状は突起自身が壊れやすい)。 c) 突起の寸法 高さが2〜8mm(より望ましくは3〜5mm)で底部の直
径又は辺長が2〜10mm(より望ましくは3〜5mm)の突
起が良好であると言える。これは、発生する横ヒビ割れ
は表皮下5mm程度までの範囲が最も多いため、これを防
止するには発生歪の範囲を表皮下5mmに及ばせるのが良
いとの理由からである。勿論、突起の寸法が大きくなれ
ばなるほど壊れやすくなるので注意を要する。 d) 突起の配列ピッチ 突起の配列ピッチは20〜30mm程度が好ましいと言え
る。これは、前述した好ましい形状,寸法の突起を用い
るとその周り15〜20mm程度の範囲に歪が発生するの
で、20〜30mm間隔で突起を設けると短辺近傍の鋳片
全面にわたって歪を付与できることになるためである。
【0028】以下、本発明を実施例によって説明する。
【実施例】
〔実施例1〕図1で示したような湾曲型連続鋳造装置を
用い、そのローラーエプロン帯の一定円弧配列部内(1
セグメントから5セグメントの3m長さの間)で内で未
凝固部を有する鋳片に未凝固圧下を行いながら、下記成
分組成の低炭素アルミキルド鋼を鋳造速度3.0m/minで連
続鋳造した。 C:0.05%(以降、 成分割合を表す%は重量%とする),
Si:0.03%, Mn:0.20%, P:0.01%, S: 0.0
08%,Al:0.04%, Nb: 0.035%, Fe及び不純物:
残り。
【0029】ここで、目標スラブサイズは「50mm厚×
1500mm幅」であったが、モ−ルドは「鋳込み厚10
0mm×鋳込み幅1500mm」の寸法ものを使用し、連続
鋳造装置内での未凝固圧下により鋳片厚を50mm厚に圧
下して鋳造した。圧下パターンとしては、各セグメント
当たり10mmの均等圧下とした。
【0030】また、浸漬ノズルとしては外形が60mm×
150mmの偏平型ノズルを使用したが、凝固シェルとの
ブリッジング(鋳型内の湯面でメニスカスが凝固して浸
漬ノズルと凝固シェルがくっつく現象)等といった操業
上のトラブルが発生することもなく安定鋳造が可能であ
った(なお、 モ−ルドの鋳込み厚を50mmにすると浸漬
ノズルをモ−ルド内に挿入できないために従来の浸漬ノ
ズル給湯は不可能であるが、 この意味でも、 スラブサイ
ズ50mm厚の鋳片を製造する場合における鋳造装置内で
の未凝固圧下技術は非常に有効であると言える)。そし
て、この際、二次冷却条件として表1に示す3条件で冷
却を実施し、鋳片の横ヒビ割れ発生状況を比較し、その
結果を図5に示した。なお、図5における「横ヒビ割れ
発生コ−ド」とは、“鋳造スラブ100mm長さ当りに発
生する横ヒビ割れの総長さ(総和)”を“スラブ長さ
(100mm)”で除した値をコ−ド化したもののことで
ある。また、この際、未凝固圧下部および矯正部におい
て、短辺から約50mm位置での鋳片表面温度を放射式温
度計で測定し、その結果を図6に示した。
【0031】
【表1】
【0032】図5及び図6に示される結果から、次のこ
とが分かる。即ち、比較的強冷却パターンである「ケー
ス1」では、短辺近傍表面温度は未凝固圧下部で890
℃,矯正部で800℃となった。この未凝固圧下部での
鋳片表面温度は、本発明で規定する範囲から外れていて
前記図3で示した脆化領域に入っており、また矯正部
(歪速度10-3 sec-1で歪付与)での鋳片表面温度も脆
化領域に入っているので、図5から分かるように横ヒビ
割れが発生している。
【0033】一方、比較的弱冷却パターンである「ケー
ス2」では、短辺近傍表面温度は未凝固圧下部で105
0℃,矯正部で900℃となった。このように、「ケー
ス2」は未凝固圧下部での鋳片表面温度が非脆化領域に
入っている上、十分なAlN,NbC等の析出・粗大化がな
されるので矯正部での割れも起きにくくなり、図5から
分かるように横ヒビ割れの発生は殆ど見られない。
【0034】また、超弱冷パターンの例である「ケース
3」では、短辺近傍表面温度は未凝固圧下部で1150
℃,矯正部で980℃となった。この場合、図5から分
かるように横ヒビ割れの発生はなかったが、鋳造装置冷
却の温度上昇が認められ鋳造装置への熱負荷の大きいこ
とを確認した。そして、鋳造終了時の圧下用ロールの熱
変形が 「ケース1」, 「ケース2」 と比較して大きいこと
も確認された。
【0035】〔実施例2〕図1で示したような湾曲型連
続鋳造装置を用い、そのローラーエプロン帯の一定円弧
配列部内(1セグメントから5セグメントの3m長さの
間)で内で未凝固部を有する鋳片に未凝固圧下を行いな
がら、下記成分組成の低炭素アルミキルド鋼を鋳造速度
3.0m/minで連続鋳造した。 C:0.16%, Si:0.29%, Mn:1.50%, P: 0.0
18%,S: 0.010%, Al: 0.050%, Nb: 0.096
%, Fe及び不純物:残り。
【0036】ここで、目標スラブサイズ,モ−ルド寸
法,浸漬ノズル,圧下パターン(各セグメント当たりの
圧下量)は実施例1と同様とし、また二次冷却条件は前
記表1に示す「ケ−ス2」と同じとしたが、圧下セグメ
ントのロールとして「両端部各100mmの範囲に“高さ
5mm×底部直径5mm”の円錐形の突起を円周方向に15
mmピッチで千鳥に設置したもの」を使用した。
【0037】また、比較として、「未凝固圧下を実施せ
ず」及び「圧下セグメントのロールとして通常の円筒ロ
ールを使用」の2条件によっても連続鋳造を実施した。
そして、これらの条件で得られた鋳片の横ヒビ割れ発生
状況を比較し、その結果を図7に示した。なお、図7に
おける「横ヒビ割れ発生コ−ド」とは、“鋳造スラブ1
00mm長さ当りに発生する横ヒビ割れの総長さ(総
和)”を“スラブ長さ(100mm)”で除した値をコ−
ド化したものを指す。
【0038】図7に示される結果からは次のことが窺え
る。即ち、未凝固圧下しなかった鋳片には矯正歪によっ
て短辺近傍の30〜120mmの範囲に横ヒビ割れが多発
する。一方、通常の円筒ロールを使用して未凝固圧下を
行った鋳片には、その短辺〜短辺近傍70mm位置に割れ
発生は認められないが、短辺近傍70〜120mmの範囲
で短い横ヒビ割れが発生する。これに対して、本発明に
係る突起付与ロールにより未凝固圧下を行った鋳片に
は、全範囲にわたって横ヒビ割れの発生は認められな
い。
【0039】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、表面品質が良好な鉄系金属の広幅薄鋳片を生産性良
く安定して製造することができる連続鋳造法を提供する
ことができるなど、産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法を実施するための湾曲型連続鋳造装置
の概要説明図である。
【図2】未凝固圧下により鋳片に発生する歪を計算によ
って推定した模式図である。
【図3】鉄系金属の変形温度及び歪速度と脆化領域,非
脆化領域の関係を示したグラフである。
【図4】両端部に突起を設けた圧下用ロールの概要説明
図である。
【図5】種々冷却パターンによる鋳片横ヒビ割れ発生状
況の調査結果を示したグラフである。
【図6】種々冷却パターンによる鋳造装置内鋳片の表面
温度履歴に関する調査結果を示したグラフである。
【図7】本発明に係る突起付設圧下用ロールを用いた場
合の鋳片横ヒビ割れ防止効果を示したグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造中の未凝固層を有する鋳片を円弧配
    列部を持つローラーエプロン帯で連続的に圧下して薄鋳
    片を製造する未凝固圧下鋳造法において、前記鋳片の圧
    下をローラーエプロン帯の一定円弧配列部内で実施する
    と共に、短辺近傍100mm以内の鋳片表面温度が900
    ℃を下回らない温度域で圧下を完了することを特徴とす
    る、鉄系金属広幅薄鋳片の連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】 鋳造中の未凝固層を有する鋳片を円弧配
    列部を持つローラーエプロン帯で連続的に圧下して薄鋳
    片を製造する未凝固圧下鋳造法において、前記鋳片の圧
    下を“両端部に突起を有した圧下ロ−ル”を用いてロー
    ラーエプロン帯の一定円弧配列部内で実施すると共に、
    短辺近傍100mm以内の鋳片表面温度が900℃を下回
    らない温度域で圧下を完了することを特徴とする、鉄系
    金属広幅薄鋳片の連続鋳造方法。
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