JP5380968B2 - 連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造鋳片の製造方法に関し、詳しくは、中心偏析の軽微な鋼の連続鋳造鋳片を製造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方法に関するものである。
鋼の凝固過程では、炭素、燐、硫黄などの溶質元素は、凝固時の再分配により未凝固の液相側に濃化される。これがデンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。連続鋳造機により鋳造されつつある鋳片の凝固収縮や、連続鋳造機のロール間で発生する凝固シェルのバルジング(以下、「ロール間バルジング」と記す)などによって、鋳片中心部に空隙が形成されたり負圧が生じたりすると、この部分に溶鋼が吸引されるが、凝固末期の未凝固相には十分な量の溶鋼が存在しないので、上記のミクロ偏析によって濃縮された溶鋼が流動し、鋳片中心部に集積して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶質元素の濃度が溶鋼の初期濃度に比べ格段に高濃度となっている。これを一般にマクロ偏析と呼び、その存在部位から、中心偏析と呼んでいる。
中心偏析は、鋼製品の品質を劣化させる。例えば、石油輸送用や天然ガス輸送用のラインパイプ材においては、サワーガスの作用により中心偏析を起点として水素誘起割れ(「HIC」ともいう)が発生する。また、飲料用の缶製品に用いられる深絞り材においては、成分の偏析により加工性に異方性が出現することもある。そのため、連続鋳造工程から圧延工程に至るまで、鋳片の中心偏析を低減する対策が多数提案されている。
そのなかで、効果的に且つ安価に鋳片の中心偏析を低減する手段として、連続鋳造機内において、未凝固相を有する凝固末期の鋳片をロールによって凝固収縮量程度の圧下速度で徐々に圧下しながら鋳造する方法(以下、「軽圧下」と呼ぶ)が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
この軽圧下技術は、鋳造方向に並んだ複数対のロールを用い、凝固収縮量に見合った圧下速度及び圧下量で鋳片を徐々に圧下して未凝固相の体積を減少させ、鋳片中心部における空隙或いは負圧部の形成を防止すると同時に、デンドライト樹間に形成される濃化溶鋼の流動を防止し、これによって鋳片の中心偏析を軽減するという技術である。従って、軽圧下技術においては、一般的に、鋳片の完全凝固位置を軽圧下帯の範囲内に制御することが行われている。ここで、軽圧下帯とは、鋳片に凝固収縮量に見合った量の圧下を付与する複数対のロール群のことである。
一方、非特許文献1は、軽圧下技術を詳細に検討し、鋳片に軽圧下を付与する時期として、鋳片中心部の固相率が0.3〜0.7の範囲が最適である、換言すれば、鋳片中心部の固相率が0.3未満及び0.7を超える時期は圧下する必要がないと報告している。これは、鋳片中心部の固相率が0.3未満の範囲は未凝固相に未だ十分な量の溶鋼が存在し、仮に鋳片中心部に空隙或いは負圧部が形成されたとしても、未凝固相からの溶鋼の補充が十分に行なわれることから中心偏析には至らず、一方、鋳片中心部の固相率が0.7を超えると粘性の関係から未凝固溶鋼は流動できず、仮に鋳片中心部に空隙或いは負圧部が形成されたとしても、中心偏析は形成されないという考えに基づくものである。
特開昭49−121738号公報 福島ら、材料とプロセス、vol.1(1988)p.202
近年の大量生産用の連続鋳造機は、湾曲型連続鋳造機及び垂直曲げ型連続鋳造機が主体であり、両者の連続鋳造機ともに鋳片を最終的には水平方向に搬出させるために、湾曲部における円弧状の鋳片を平板状の鋳片に矯正する矯正帯を有している。ここで、垂直曲げ型連続鋳造機とは、鋳型直下に2〜5m程度の垂直部を有し、その下方に湾曲部を有する連続鋳造機である。
中心偏析が問題となる鋼種については、未凝固鋳片を矯正することによる内部割れの発生を防止する、或いは、溶鋼静圧を小さくしてロール間バルジングを小さくするなどの観点から、従来、矯正帯に至るまでに凝固を完了させた操業が一般的であった。この場合、軽圧下帯も自ずと矯正帯よりも上流側に設置されていた。
しかしながら最近は、生産性向上の目的で高速鋳造が志向されており、中心偏析が問題となる鋼種であっても鋳造速度の高速化が行われている。鋳造速度の高速化にあたっては、多点矯正による矯正応力の分散やロールピッチの短縮によるロール間バルジングの低減化などが施されている。鋳造速度の高速化により、凝固完了位置は矯正帯よりも下流側に至り、これに応じて軽圧下帯も下流側に配置され、その結果、軽圧下帯が矯正帯の範囲に重なる場合が発生するようになった。
本発明者らは、軽圧下帯が矯正帯の範囲に重なった場合、或る条件下では鋳片を軽圧下しても中心偏析の改善効果が少ないことを確認した。これは、矯正帯における鋳片の矯正時に矯正応力によってデンドライト樹間の濃化溶鋼が流動し、この濃化溶鋼の流動が中心偏析に悪影響を与えていると考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳片の中心偏析を軽減するために設けた軽圧下帯が矯正帯の範囲に重なり合った場合であっても、矯正帯での鋳片矯正による中心偏析への悪影響を少なくし、軽圧下の効果を高め、近年の厳しい品質要求にも対処可能である、中心偏析の軽微な鋳片を製造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、円弧状の鋳片を平板状の鋳片に矯正するための矯正帯の範囲に、鋳片に凝固収縮量に見合った量の圧下を付与するための複数対のロール群が重なって設置された連続鋳造機を用いて連続鋳造鋳片を製造するにあたり、前記矯正帯を通過する時点の鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下または0.7以上となるように鋳造条件を調整するとともに、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上の時点まで、前記複数対のロール群を用いて0.5〜1.5mm/分の圧下速度で鋳片を圧下することを特徴とするものである。
第2の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、第1の発明において、前記矯正帯を通過する時点の鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下であり、且つ、前記複数対のロール群が、矯正帯の出側から鋳造方向下流側の5m以上の範囲まで設置されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、矯正帯の範囲に、鋳片に圧下力を付与するための複数対のロール群、つまり軽圧下帯が重なって設置された連続鋳造機を用いて鋳片を軽圧下しつつ鋳造する場合に、矯正帯を通過する時点での鋳片厚み中心部の固相率を0.3以下または0.7以上に調整するので、厚み中心部の固相率を0.3以下に調整した場合には、鋳片厚み中心部には未凝固相が十分に存在し、鋳片の矯正によって生ずるデンドライト樹間の濃化溶鋼は未凝固相により希釈され、該濃化溶鋼による中心偏析への影響を軽減することができ、一方、固相率を0.7以上に調整した場合には、鋳片を矯正してもデンドライト樹間の濃化溶鋼は粘性の関係から流動せず、従って、どちらの場合も鋳片矯正による中心偏析への悪影響を防止でき、軽圧下の効果を十分に発揮でき、中心偏析の軽微な鋳片を製造することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、矯正帯の範囲に軽圧下帯が重なって設置された連続鋳造機で鋳片を軽圧下しながら鋳造する際に、矯正帯における鋳片の矯正による中心偏析への悪影響を少なくすることを目的として、垂直曲げ型の連続鋳造機を用い、鋳造条件を変化させて鋳造条件と中心偏析との関係を調査する試験を実施した。そして、得られた鋳片を圧延して厚鋼板とし、この厚鋼板からUOE鋼管を製造し、鋳片の偏析度調査及びUOE鋼管のHIC試験(耐水素誘起割れ評価試験)を実施した。
用いた垂直曲げ型連続鋳造機の矯正帯は、鋳型内湯面からの距離が19.4m〜20.6mの範囲にあり、また、鋳型内湯面からの距離が15m〜32mの範囲の任意の位置に、鋳造速度に応じて軽圧下帯を設置できるように構成された連続鋳造機である。試験鋳造においては、軽圧下帯の長さを6mとし、この軽圧下帯内の後端部(鋳造方向下流側部)が鋳片の凝固完了位置となるように、鋳造速度に応じて軽圧下帯の設置位置を決定した。軽圧下帯における圧下速度は1.2mm/分とした。
化学成分が、C:0.05質量%(以下、「%」と記す)、Si:0.3%、Mn:1.3%、P:0.005%、S:0.005%、Ti:0.01%、sol.Al:0.04%、Nb:0.04%、Cu;0.15%である溶鋼を、鋳造速度(Vc)が1.05m/分(水準1)、1.25m/分(水準2)、1.40m/分(水準3)の3水準の鋳造速度で、幅1950mm、厚み250mmの鋳型に鋳造した。タンディッシュ内の溶鋼過熱度は38℃とした。二次冷却水量は、比水量で1.5〜1.8L/kgである。尚、比水量とは、鋳造される鋳片1kgあたりの冷却水量を表す数値である。
図1に、上記の鋳造条件で鋳造したときの鋳型内湯面からの距離と鋳片厚み中心部の固相率との関係を、二次元伝熱凝固計算により求めた結果を示す。図1において、固相率1.0の位置が凝固完了位置であり、この位置が軽圧下帯の後端部になるように、それぞれの鋳造速度に応じて軽圧下帯を設置した。図1に示すように、鋳造速度が1.05m/分である水準1では、矯正帯に至る以前に凝固が完了し、鋳造速度が1.25m/分である水準2では、鋳片厚み中心部の固相率が約0.4の時点で矯正帯を通過し、鋳造速度が1.40m/分である水準3では、矯正帯における鋳片厚み中心部の固相率が0.05以下となる条件である。軽圧下帯における総圧下量は、水準1で6.9mm(1.2×6/1.05)、水準2で5.8mm(1.2×6/1.25)、水準3で5.1mm(1.2×6/1.40)である。
鋳造後の鋳片から偏析検査用の試料を採取して偏析度を調査した。具体的には、スラブ鋳片の幅方向の1/2位置及び1/4位置から鋳造方向の断面試料を切り出し、この断面から鋳片厚み方向に1mmずつスライス加工して分析試料を採取した。この分析試料を燃焼ガス分析法により炭素分析した。鋳片の偏析度は、鋳片の厚み方向1/4位置の炭素分析値を偏析の無い基準値(CO)とし、各位置の炭素分析値(Ci)と前記基準値(CO)との比(Ci/CO)を偏析度として評価した。
また、製品段階での評価として実施したUOE鋼管におけるHIC試験は、試験溶液をNACE溶液(5%NaCl+0.5%CH3COOHの硫化水素飽和溶液、pH=3.7)とし、浸漬時間を96時間、試験溶液温度を25℃とした。表1に、鋳造条件及び鋳片の偏析度、UOE鋼管のHIC試験の結果を示す。
Figure 0005380968
表1に示すように、圧下速度が同一であっても、矯正帯での矯正時の鋳片厚み中心部の固相率が1.0である水準1及び固相率が最大で0.04である水準3では中心偏析が軽微であり、一方、矯正時の鋳片厚み中心部の固相率が0.4である水準2では中心偏析が悪化した。即ち、矯正帯における矯正時点での鋳片厚み中心部の固相率が適切でないと、鋳片の矯正によって生ずるデンドライト樹間の濃化溶鋼の流動が中心偏析へ悪影響を与えることが確認できた。鋳造条件を更に細分化した試験鋳造(後述の[実施例1]を参照)から、矯正帯における鋳片矯正時の鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下または0.7以上の場合には、中心偏析が軽減されることが分かった。
本発明は、上記検討結果に基づいてなされたものであり、鋳片を矯正するための矯正帯の範囲に軽圧下帯が重なって設置された連続鋳造機を用いて連続鋳造鋳片を製造するにあたり、矯正帯を通過する時点の鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下または0.7以上となるように鋳造条件を調整するとともに、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上の時点まで、前記軽圧下帯において0.5〜1.5mm/分の圧下速度で鋳片を圧下することを特徴とする。
鋳片の軽圧下は、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から開始し、少なくとも鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上となる時点まで行う。これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.4を越えてから軽圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生し、軽圧下の効果を十分に発揮することができず、また、溶鋼の流動は、固相率が0.7を超えるまで発生する可能性があり、それよりも早期に軽圧下を停止してしまうと、濃化溶鋼の流動が発生し、これにより中心偏析が発生して、軽圧下の効果を十分に発揮することができないからである。
また、圧下速度は0.5〜1.5mm/分の範囲内とする。圧下速度が0.5mm/分未満の場合は圧下速度が凝固収縮量に対して小さ過ぎて、濃化溶鋼の流動を抑えることができない恐れがあり、一方、圧下速度が1.5mm/分を超える場合は、圧下速度が凝固収縮量よりも大きくなり、濃化溶鋼を絞り出すことによって、鋳片中心部に負偏析を形成する恐れがあるからである。また、総圧下量は2〜6mm程度とすれば十分である。
次に、本発明の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図2は、本発明を実施した垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。
図2に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼10を注入して凝固させるための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼10を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。一方、鋳型5の下方には、鋳型直下にクーリンググリッド6が設置され、このクーリンググリッド6の下方に複数対の鋳片支持ロール7が配置されている。鋳片支持ロール7には、鋳片11を引き抜くための駆動ロールであるピンチロールと、ガイドロールとが含まれるが、図面ではこれらを区別せずに表示している。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール7の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片11は引き抜かれながら冷却されるようになっている。尚、クーリンググリッド6とは、鋳片11を面で支持するプレート(図示せず)と、このプレートの隙間に設けられたスプレーノズル(図示せず)とで構成された鋳片支持装置である。
鋳型5の出口から1mないし4m程度離れた位置に配置される複数対の鋳片支持ロール7は、鋳片11の支持・案内方向が鉛直方向から湾曲方向へと方向を変える曲げ部15を構成している。つまり、鋳型5から鉛直方向に引き抜かれた平板上の鋳片11は曲げ部15で次第に円弧状に曲げられ、半径が一定の湾曲部へと矯正されるようになっている。同様に湾曲部が水平線に接触する位置の近傍に配置される複数対の鋳片支持ロール7は、鋳片11の支持・案内方向が湾曲方向から水平方向へと方向を変える矯正帯16を構成している。つまり、円弧状の鋳片11は矯正帯16で次第に平板上に曲げ戻され、水平部へと矯正されるようになっている。尚、湾曲型連続鋳造機の場合には曲げ部15は存在せず、鋳型から湾曲部を構成し、矯正帯16のみが存在する。また、図2では、曲げ部15及び矯正帯16ともに複数対の鋳片支持ロール7で構成されているが、一対の鋳片支持ロール7のみで構成してもよい。
タンディッシュ2の底部には、溶鋼10の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。また、鋳片支持ロール7の下流側には、鋳造された鋳片11を搬送するための複数の搬送ロール8が設置されており、この搬送ロール8の上方には、鋳造される鋳片11から所定の長さの鋳片11aを切断するための鋳片切断機9が配置されている。
矯正帯16を含み、矯正16の鋳造方向前後には、対向する鋳片支持ロール同士の間隔(「ロール間隔」と呼ぶ)を鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された、複数対の鋳片支持ロール群から構成される軽圧下帯17が設置されている。軽圧下帯17では、その全域または一部選択した領域で、鋳片11に軽圧下を行うことが可能である。軽圧下帯17の各鋳片支持ロール間にも鋳片11を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。尚、ロール間隔が鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された状態を、「ロール勾配」とも称している。
浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入された溶鋼10は、鋳型5で冷却されて凝固シェル12を形成し、内部に未凝固相13を有する鋳片11として、鋳型5の下方に設けたクーリンググリッド6及び鋳片支持ロール7に支持されつつ、ピンチロールの駆動力により鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。鋳片11は、クーリンググリッド6及び鋳片支持ロール7を通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル12の厚みを増大させつつ、軽圧下帯17で軽圧下されて徐々に厚みを減少させながら、凝固完了位置14で内部までの凝固を完了する。凝固を完了した鋳片11は、鋳片切断機9によって切断されて鋳片11aとなる。
このような連続鋳造操業において、予め伝熱計算などを用いて凝固シェル12の厚み並びに鋳片厚み中心部の固相率を求めておき、矯正帯16を通過する時点での鋳片11の厚み中心部の固相率が0.3以下となるように、鋳片厚み、鋳造速度、二次冷却水量などの鋳造条件を調整する。
未凝固相13を有する鋳片11を矯正すると、矯正応力によりデンドライト樹間の濃化溶鋼が流動するが、鋳片11の厚み中心部の固相率が0.3以下の時点で鋳片11に矯正応力が付与された場合には、濃化溶鋼の排出が多くない上に、多量の未凝固相13が存在することから排出した濃化溶鋼は希釈され、それ以降の軽圧下帯17における軽圧下によって中心偏析が改善される。
この場合、矯正帯16の出側から下流側に、軽圧下帯17を5m以上配置することが好ましい。軽圧下帯17が、矯正帯16の出側から下流側に5m以上配置されていないと、軽圧下帯17の出側でまだ未凝固のままとなり、軽圧下帯17を通過した以降に中心偏析が発生する恐れがあるからである。軽圧下帯17では、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から圧下を開始し、鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上の時点まで圧下する必要があり、軽圧下帯17を矯正帯16の出側から下流側に5m以上配置することで、この条件を満足することができる。
一方、これとは反対に、矯正帯16を通過する時点での鋳片11の厚み中心部の固相率が0.7以上となるように、鋳片厚み、鋳造速度、二次冷却水量などの鋳造条件を調整することも有効である。これは、鋳片11の厚み中心部の固相率が0.3を超え0.7未満の時点で鋳片11に矯正応力が付与されると、矯正によりデンドライト樹間の濃化溶鋼が流動し、軽圧下の効果を打ち消し、中心偏析を悪化させるが、矯正帯16を通過する時点での鋳片11の厚み中心部の固相率を0.7以上とすることで、矯正応力が付与されてもデンドライト樹間の濃化溶鋼は粘性の関係から流動せず、中心偏析を悪化させることがないからである。この場合、軽圧下帯17に入る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下になるように、軽圧下帯17の長さを設定する必要がある。具体的には、矯正帯16の入側に長さ5m以上の軽圧下帯17を設置すれば十分である。
尚、軽圧下帯の設置範囲が鋳造方向に長く、軽圧下帯の中でも軽圧下を付与するロール群と軽圧下を付与しないロール群が存在する場合には、実際に軽圧下を付与するロール群のみを上記の軽圧下帯17とみなして操業すればよい。
軽圧下帯17における圧下速度は、ロール勾配と鋳片11の鋳造速度との積で得られるので、圧下速度が0.5〜1.5mm/分の範囲内の所定の値になるように軽圧下帯17のロール勾配を設定すればよい。例えば、鋳造速度が1.5m/分の場合に圧下速度を1.2mm/分とするときには、ロール勾配は鋳造方向距離1mあたり0.8mm(0.8=1.2/1.5)となる。
以上説明したように、本発明では、矯正帯16の範囲に、鋳片11に圧下力を付与するための複数対のロール群、つまり軽圧下帯17が重なって設置された連続鋳造機を用いて鋳片11を軽圧下しつつ鋳造する場合に、矯正帯16を通過する時点での鋳片厚み中心部の固相率を0.3以下または0.7以上に調整するので、固相率を0.3以下に調整した場合には、鋳片11の矯正によって生ずるデンドライト樹間の濃化溶鋼の流動による中心偏析への影響を軽減することができ、一方、固相率を0.7以上に調整した場合には、鋳片11を矯正してもデンドライト樹間の濃化溶鋼は流動せず、従って、どちらの場合も鋳片矯正による中心偏析への悪影響を防止でき、軽圧下の効果を十分に発揮でき、中心偏析の軽微な鋳片11aを製造することが可能となる。
矯正帯の前後にわたって長さ14mの軽圧下帯を有する垂直曲げ型スラブ連続鋳造機を用いて、鋳片を軽圧下しつつ鋳造し、得られた鋳片を厚鋼板に圧延し、この厚鋼板からUOE鋼管を製造し、鋳片の偏析度調査及びUOE鋼管のHIC試験を実施した。
化学成分が、C:0.05%、Si:0.3%、Mn:1.3%、P:0.005%、S:0.005%、Ti:0.01%、sol.Al:0.04%、Nb:0.04%、Cu;0.15%である溶鋼を、1.05〜1.60m/分の鋳造速度で、幅1950mm×厚み250mmまたは幅1950mm×厚み220mmの鋳型に鋳造した。タンディッシュ内の溶鋼過熱度は35〜48℃とした。二次冷却水量は、比水量で1.48〜1.77L/kgである。
表2に、それぞれの鋳造条件及び鋳片の偏析度、UOE鋼管のHIC試験の結果を示す。尚、表2に示す固相率は二次元伝熱凝固計算により算出した値であり、また、鋳片の偏析度及びUOE鋼管のHIC試験は前述した方法と同一である。
Figure 0005380968
本発明例1〜3及び比較例1,2では、鋳片厚みを250mm、圧下速度を1.2mm/分の一定として鋳造速度を変化させ、矯正帯での鋳片厚み中心部の固相率を変化させた。本発明例1〜3及び比較例1,2の結果からも明らかなように、矯正帯での鋳片厚み中心部の固相率を0.3以下または0.7以上とすることで、鋳片の偏析度は1.1以下となり、HIC試験は、割れが発生せずに合格であった。
本発明例4及び比較例3,4では、鋳片厚みを220mmとし、鋳造速度を1.60m/分の一定として圧下速度を変化させた。比較例3では圧下速度が本発明の範囲よりも小さく、逆に比較例4では圧下速度が本発明の範囲よりも大きい。比較例3では中心偏析は低減されず、一方、比較例4では負偏析が発生した。比較例4では、負偏析に起因して板厚中心部に硬度差が生じ、この硬度差によってHIC試験で割れが発生した。
このように、軽圧下帯が矯正帯の前後にわたって配置された連続鋳造機において、矯正帯を通過する時点での鋳片厚み中心部の固相率を適切に調整することで、軽圧下の効果が有効に発現し、中心偏析の軽微な鋳片の製造が可能となる。
試験水準1〜3における鋳型内湯面からの距離と鋳片厚み中心部の固相率との関係を示す図である。 本発明を実施した垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。
符号の説明
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 クーリンググリッド
7 鋳片支持ロール
8 搬送ロール
9 鋳片切断機
10 溶鋼
11 鋳片
12 凝固シェル
13 未凝固相
14 凝固完了位置
15 曲げ部
16 矯正帯
17 軽圧下帯

Claims (2)

  1. 円弧状の鋳片を平板状の鋳片に矯正する矯正帯を含み、該矯正帯の鋳造方向前後に、鋳片に凝固収縮量に見合った量の圧下を付与するための、対抗する鋳片支持ロール同士の間隔を鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定された、複数対のロール群から構成される軽圧下帯が設置された連続鋳造機を用いて連続鋳造鋳片を製造するにあたり、前記矯正帯を通過する時点の鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下または0.7以上となるように鋳造条件を調整するとともに、前記軽圧下帯において、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上の時点まで、0.5〜1.5mm/分の圧下速度で鋳片を圧下することを特徴とする、連続鋳造鋳片の製造方法。
  2. 前記矯正帯を通過する時点の鋳片厚み中心部の固相率が0.3以下であり、且つ、前記複数対のロール群から構成される軽圧下帯が、矯正帯の出側から鋳造方向下流側の5m以上の範囲まで設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造鋳片の製造方法。
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