JP6094368B2 - 連続鋳造鋳片及び連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽圧下による中心偏析対策を容易にする連続鋳造方法及び鋳造された連続鋳造鋳片に関するものである。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。中心偏析は、鋼材の靱性低下や水素誘起割れの原因となることがあるので、可能な限り抑制することが必要である。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。従って、中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造の二次冷却帯においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている(例えば特許文献1)。
鋳片の最終凝固部手前において、鋳片の幅中央部は厚み中心部に未凝固溶鋼が存在するため、軽圧下するに際しても圧下反力は溶鋼静圧のみであるが、鋳片の幅両端部(短辺部)については、短辺凝固シェルが存在するため、この短辺凝固シェルの圧下反力に抗して圧下を可能にする圧下力を負荷する必要がある。
特許文献2では、キャメル・クラウン・ロールと呼ばれる、大径ロール部を中央に突起状に設けた段付きロールで局部的に鋳片を圧下する方法が開示されている。しかし、スラブの連続鋳造においては、鋳造する鋳片幅は種々であり、大径ロール部の幅方向範囲が一定であるクラウン・ロールを用いることができない。
特許文献3には、連続鋳造中にガイドロール(サポートロール)の間隔を増加させて長辺面を強制的にバルジングさせ、凝固完了点直前で圧下ロールによりバルジング相当分を圧下する方法が開示されている。短辺凝固シェルを圧下することなく鋳片を圧下できるので、比較的小さい圧下荷重で圧下が可能であるとしている。しかしこの方法では、鋳片をバルジングさせる位置を正確に定める必要があるが、鋳造速度が変化すると凝固完了点の位置も変化するため、鋳造速度変動により効果がばらつく可能性がある。
特許文献4では、鋳片短辺部分をプラズマトーチを用いて加熱・昇温し、圧下抵抗を減らした上で軽圧下を行う技術が開示されている。しかしこの技術を適用するためには、プラズマトーチを用いた加熱装置を設ける必要があり、設備コストがかかる。
連続鋳造装置においては、鋳型下端より下方に二次冷却帯が設けられており、鋳片の長辺面については、鋳型直下から湾曲部を経て水平部にいたるまで二次冷却が行われる。一方、鋳片の短辺の二次冷却については、鋳型下端から所定の距離までについてスプレー冷却がなされて、それより下方については二次冷却されないことが多い。特許文献5にはメニスカスから約2m(従来例)、約6.5m(本発明例)の部分を水冷した条件が開示され、特許文献6には短辺スプレーの下流端をメニスカスから約2.4mとする例が開示されている。
特開昭63−252655号公報 特開昭61−132247号公報 特開平9−57410号公報 特開2011−56566号公報 特開平11−245009号公報 特開平10−34303号公報
本発明は、スラブ連続鋳造にも適用可能で、設備コスト負担を生じることなく、軽圧下による中心偏析対策を容易にする連続鋳造方法及び鋳造された連続鋳造鋳片を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)短辺面のバルジング量が4.5mm以上であり、長辺面の幅端部から50mmまでの領域におけるオッシレーションマーク深さが0.5mm以上であり、長辺面の幅中央部におけるオッシレーションマーク深さが0.3mm以下であることを特徴とする連続鋳造鋳片。
ただし、短辺面のバルジング量とは、鋳片の長手方向に垂直な断面において、厚み両端部での短辺表面を結ぶ直線を想定し、該直線と短辺表面との距離が最大となる位置における当該距離を意味する
)上記(1)に記載の連続鋳造鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、二次冷却水量密度w(L/m2・分)を鋳造速度VC(m/分)で除した値を水量密度比wV(L/m3)と定義し、短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における水量密度比wVを平均で300L/m3以下とし、
中心固相率が0.2〜0.8までの領域を0.5〜2.0mm/分の速度で連続して圧下することを特徴とする連続鋳造方法
本発明は、短辺面のバルジング量が4.5mm以上の連続鋳造鋳片とし、これによって幅端部の鋳片厚みを薄くし、軽圧下に際して幅端部付近の短辺凝固シェルからの圧下反力を軽減し、十分な軽圧下を実現し、中心偏析を軽減することを可能にする。これにより、設備コスト負担を生じることなく、軽圧下による中心偏析対策を容易にすることができる。
連続鋳造において短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における水量密度比wVを平均で300L/m3以下とすることにより、短辺面のバルジング量が4.5mm以上の連続鋳造鋳片とすることができる。
連続鋳造装置の鋳型直下の短辺二次冷却状況を示す図である。 短辺バルジング量の定義について説明する図である。 短辺バルジングとそれに伴う幅端部の鋳片厚み状況を示す図であり、(a)は短辺バルジングしていない状況、(b)は短辺バルジングが少ない状況、(c)は短辺バルジングが多く幅端部の鋳片厚みが薄くなっている状況を示す。 短辺水量密度比wVと短辺バルジング量との関係を示す図である。 短辺バルジング量と軽圧下を行った鋳片厚みの関係を示す図である。 軽圧下を行った鋳片厚みと中心偏析指数との関係を示す図である。 本発明鋳片の幅端部付近における鋳片厚み分布を示す図である。
金属、例えば鋼の連続鋳造において、鋳型の下端より下方において、鋳造する鋳片の長辺側についてはサポートロールで鋳片の両側からサポートするとともに二次冷却水によって鋳片を冷却する。一方鋳片の短辺側については、図1に示すように、鋳型4から出た後の鋳片1の短辺2に若干の距離についてロールでサポートされるとともに二次冷却領域5において二次冷却水で冷却する。短辺側の二次冷却領域5の長さは、通常は鋳型4の下端から0.5〜1.5m程度の範囲である。鋳型下端から6m程度まで短辺二次冷却を行う例もある。短辺を冷却水で冷却することにより、鋳型から下方に引き出された鋳片の短辺凝固シェル3の温度を下げてシェル剛性を確保する。これにより、シェル内の溶鋼静圧によって短辺シェルが破壊されることを防止している。
鋳型直下の短辺二次冷却水量を低減すると、短辺シェルの剛性が低下するため、溶鋼静圧によって短辺シェルが外側に膨出する、いわゆる短辺バルジングが起こり、鋳造完了後の鋳片形状において短辺面が外側に膨出したバルジング形状を形成することがある(図3(b)参照)。通常の連続鋳造においては、短辺バルジングが起きないように短辺冷却がなされている(図3(a)参照)。短辺バルジングを起こさないための短辺冷却においては、鋳型下端から500mm程度までの二次冷却が重要であり、この範囲の冷却水の量の多寡によって短辺バルジングの程度が定まるといって良い。
以下、「リットル」を「L」と表記する。
鋳片二次冷却の程度については、鋳片の単位面積・単位時間当たりの冷却水量である二次冷却水量密度w(L/m2・分)によって表現される。長辺面の二次冷却については、鋳型直下で水量密度wが最も高く、鋳造長さ方向に順次水量密度wが低くなるような冷却パターンが採用される。一方、短辺面の二次冷却については、鋳型直下から所定の長さまでが二次冷却の対象であり、その対象範囲内において水量密度wを一定にする場合が多い。
鋳造速度が異なった場合でも鋳片の冷却能を一定に保持するため、例えば二次冷却水量密度wを鋳造速度に比例した関数とすることが行われる。そのため、鋳造速度によらない冷却能表現として、二次冷却水量密度w(L/m2・分)を鋳造速度VC(m/分)で除した値w/VCが用いられる。ここではw/VCを水量密度比wV(L/m3)と呼ぶこととする。
図2に基づいて短辺のバルジング量の定義を説明する。本発明において短辺面のバルジング量14とは、鋳片の長手方向に垂直な断面(図2)において、厚み両端部での短辺表面11を結ぶ直線13を想定し、該直線13と短辺表面10との距離が最大となる位置(バルジング頂点12)における当該距離(バルジング量14)を意味する。
以下の条件で鋼スラブの連続鋳造を行った。鋳造品種は造船用厚板向け490MPa鋼であって、鋳片サイズは幅:2200mm、厚さ:240mmである。鋳型長は900mm、でメニスカス位置から鋳型下端までの長さは800mm、短辺二次冷却は鋳型下端から1600mmまでの領域についてスプレー水を噴霧する冷却を行っている。短辺二次冷却領域における水量密度、水量密度比は均一としている。鋳造中の凝固完了点付近において鋳片の軽圧下を行った。目標とする軽圧下量は4mmである。軽圧下を行わない場合の鋳片厚みは242mmと想定され、軽圧下を行った鋳片厚み目標は238mmである。軽圧下は、中心固相率0.2以上から流動限界固相率までを圧下しており、0.9mm/分の速度とした。
鋳造速度を1.35m/分として、短辺二次冷却領域における水量密度比を400L/m3から180L/m3まで変化させ、鋳造後の鋳片短辺バルジング量の評価を行った。結果を図4に示す。短辺二次冷却領域の水量密度比を低くするほど、短辺バルジング量が増大することがわかる。なお、短辺二次冷却領域を、鋳型下端から500mm、1000mm、1600mmの3種類とし、いずれも水量密度比を270L/m3として同一とし、バルジング量の評価を行った。その結果、3水準でバルジング量の差異はほとんど生じなかった。この結果から、短辺バルジング量は鋳型直下から500mmまでの水量密度比によって定まっていることがわかる。
次に、鋳片幅中央部における鋳片の厚みを測定し、短辺バルジング量との関係を調査した。結果を図5に示す。短辺バルジング量が4.5mmより大きいか小さいかによって鋳片厚が変化し、短辺バルジング量が4.5mmよりも小さいと鋳片厚は239.5mm程度であって目標としていた厚み(238mm)よりも厚くなるのに対し、短辺バルジング量が4.5mmより大きいと鋳片厚が238mm程度と小さくなり、目標鋳片厚みを実現していることが分かった。
連続鋳造鋳片の表面にはオッシレーションマークが形成されている。鋳型内のメニスカス近傍における凝固シェルと鋳型との相互運動の結果として生じるものであり、鋳型から出たときには鋳片表面にオッシレーションマークが形成されている。鋳片が鋳型から下方に移動し、軽圧下領域でサポートロールの圧下力によって鋳片が圧下されると、圧下された部分で長辺面オッシレーションマークはつぶれてその深さが浅くなる。従って、長辺面オッシレーションマークの深さを観察すれば、鋳片のその部位が軽圧下領域で実際に圧下されたか否かを判別することができる。
短辺の水量密度比を変化させて短辺バルジング量に変化が生じた上記鋳片(軽圧下を実施している)について、長辺面のオッシレーションマークの深さを、長辺面のうちの端部付近と幅中央部のそれぞれについて観察した。その結果、幅中央部のオッシレーションマークは、短辺バルジング量の多い少ないに関係なく、いずれも0.3mm以下の浅い深さであり、鋳片が圧下されていることが明らかであった。一方、幅端部付近の長辺オッシレーションマークは、幅端部から幅中央に向けて50mm以上の範囲にわたって、短辺バルジング量が4.5mm以下の場合には幅中央部と同様に0.3mm以下の浅い深さであって軽圧下されているのに対して、短辺バルジング量が4.5mm以上の場合には0.5mm以上の深さであって軽圧下されていない特徴を有していた。
このことから、軽圧下を行った鋳片の幅端部付近については、短辺バルジング量の多い少ないによって軽圧下量が異なっていることが示唆される。即ち、短辺バルジング量が少ない場合は鋳片の幅端部付近も幅中央部と同様に軽圧下されるのに対して、短辺バルジング量が4.5mmよりも多くなると、鋳片の幅中央部は軽圧下されているのに幅端部付近が端部から50mm以上にわたって軽圧下されないのである。
そしてこの現象から、鋳造中の軽圧下直前における鋳片の形状を推定することができる。短辺バルジング量が少ない場合は、図3(a)(b)に示すように軽圧下直前において幅中央部も幅端部も同じ厚みであるのに対し、短辺二次冷却を低減して短辺バルジング量を4.5mm以上に増大させた鋳片の場合は、軽圧下直前において、図3(c)に示すように鋳片の幅端部付近の厚みが、端部から50mm以上にわたって幅中央部に比較して薄く、幅端部の鋳片厚みが薄い部分15を形成しており、軽圧下ゾーンにおいてもサポートロールが幅端部付近を圧下していないということである。
鋳片の軽圧下を行う凝固完了直前の領域において、短辺凝固シェルの厚みは鋳片厚の半分程度まで厚くなっている。鋳片厚が240mmであれば短辺凝固シェル厚は120mm前後である。そして、軽圧下実施時点での短辺凝固シェルの幅方向温度分布を検討すると、短辺表面に近くなるほど温度が低くなっている。軽圧下時の圧下反力は、圧下する鋳片の温度が低いほど高い反力となる。従って、軽圧下で短辺凝固シェルを圧下する際、幅方向で短辺に近い部分ほど圧下反力が高いこととなる。そうとすると、上記のように短辺バルジング量が多い場合には少なくとも幅端部から50mm以上の範囲で幅圧下直前における鋳片厚が薄く、軽圧下に際して圧下反力がかからないとすれば、特に圧下反力が大きくなる領域で圧下反力がかからないのであるから、軽圧下の圧下反力が大幅に軽減していることとなる。従来の、短辺バルジング量が少なく幅端部の鋳片厚が幅中央と等しい場合には、軽圧下時の鋳片圧下反力が大きいために十分な圧下量の軽圧下を行うことができなかったのに対して、短辺バルジング量が大きく幅端部の鋳片厚が幅中央よりも薄い場合には、軽圧下時の圧下反力が小さいために十分な圧下量の軽圧下を行える可能性がある。
そこで、再度図5に着目する。なお、軽圧下を行わない場合の幅中央部鋳片厚は242mmとなることがわかっており、目標としている軽圧下量は4mmである。短辺バルジング量が小さい場合には軽圧下後の幅中央部鋳片厚が239.5mm程度であったのに対し、短辺バルジング量が大きい場合には軽圧下後の幅中央部鋳片厚が238mm程度であり、圧下量が増大している。従って、短辺バルジング量が小さい場合には軽圧下量が2.5mm(=242−239.5)であって目標軽圧下量に足りていないのに対し、短辺バルジング量が大きい場合には軽圧下量が4mm(=242−238)となり、目標軽圧下量を達成しているのである。これらの事実から、短辺バルジング量が小さい従来の方法では、軽圧下において短辺シェルの圧下反力が強すぎて十分な軽圧下ができなかったのに対し、短辺バルジング量を大きくすることによって軽圧下時の短辺シェルの圧下反力を軽減し、目標どおりの軽圧下量を達成できることがわかった。
次に、軽圧下を行った鋳片の中心偏析の評価を行った。評価対象は、短辺バルジング量が少なく軽圧下後の鋳片厚みが239mm前後と厚かった従来例と、短辺バルジング量が多く軽圧下後の鋳片厚みが238mm以下となった本発明例である。鋳片厚みを横軸に取り、鋳片の中心偏析指標を縦軸としてプロットしたのが図6である。ここで中心偏析指標とは、鋳造と垂直方向の鋳片断面の中心部と周辺部のMn濃度をEPMAで測定し、周辺部とのMn濃度の比をMn中心偏析度と算出し、指標化したものである。図6から明らかなように、鋳片厚みが薄くなるほど中心偏析が改善していることが明らかである。
以上から明らかなように、短辺面のバルジング量が4.5mm以上であり、長辺面の幅端部から50mmまでの領域におけるオッシレーションマーク深さが0.5mm以上であり、長辺面の幅中央部におけるオッシレーションマーク深さが0.3mm以下の連続鋳造鋳片であれば、軽圧下による中心偏析改善効果が良好であり、中心偏析が改善されていることがわかる。幅中央が幅端部に比較してオッシレーションマークが浅いという事実から、鋳片が軽圧下されていること、幅端部に比較して幅中央の軽圧下量が大きくなっていることがわかる。そして、短辺面のバルジング量が4.5mm以上であることから、短辺面のバルジングに呼応して、軽圧下前の鋳片厚みに特徴が生じ、幅中央部に比較して少なくとも幅端部から50mmまでの鋳片厚が薄くなり、軽圧下に際して幅端部が軽圧下されず、軽圧下反力が軽減されるので十分な軽圧下が実施できることがわかる。
連続鋳造機ごとに、軽圧下ロールに負荷することのできる圧下力の上限がある。軽圧下ロールは上下のセグメントに設置されており、上下セグメントは油圧シリンダーによって押しつけあう構造となっている。このときの押し付け力上限から、ロールごとの圧下力上限が定まる。また、セグメントの剛性からも軽圧下力の上限が定まる。このようにして定まる軽圧下力の上限が十分に高くない連続鋳造機において、短辺凝固シェルの圧下反力と溶鋼静圧に基づく圧下反力に対抗できる十分な圧下力が付与できない場合、本発明はその効果を発揮することができる。圧下前において鋳片の幅端部の厚みが薄く圧下反力がかからないので、このように軽圧下力が十分でない連続鋳造機においても軽圧下を行い、中心偏析の品質を改善することができる。
連続鋳造機の軽圧下能力が十分に高く、短辺凝固シェルの圧下反力と溶鋼静圧に打ち勝つだけの圧下力を有している場合でも、十分な軽圧下が実現できない場合がある。
連続鋳造における凝固末端の位置は、鋳片幅方向で一定の場合もあるが、鋳片幅方向で場所によって凝固末端位置が異なる場合がある。鋳片幅両端付近に比較し、鋳片幅中央部の凝固末端位置が上流側に位置する場合があり、上から見た凝固末端位置の形状から「W型」と呼ばれる。凝固末端形状がW型の場合、凝固が最も遅れる鋳片幅両端付近を軽圧下するための圧下ロール領域において、鋳片幅中央部は凝固が完了しており、その部分は圧下反力が溶鋼静圧よりも大きな圧力となる。この場合、短辺凝固シェルの部分と鋳片幅中央部の凝固完了部の部分から圧下反力を受けるので、合計の圧下反力が増大し、連続鋳造機の軽圧下能力が十分に高く、短辺凝固シェルの圧下反力と溶鋼静圧に打ち勝つだけの圧下力を有している場合でも、十分な軽圧下が実現できないこととなる。このような場合において、本発明はその効果を発揮することができる。強い圧下反力が生まれる短辺凝固シェルと幅中央部凝固完了部位のうち、短辺凝固シェル部分については圧下前において鋳片の幅端部の厚みが薄く圧下反力がかからないので、トータルの圧下反力を軽減できる。その結果、たとえW型の凝固完了部を有している場合であっても、凝固完了直前の必要な部位に軽圧下を行い、中心偏析の品質を改善することができる。
本発明の連続鋳造鋳片を製造するための連続鋳造方法について説明する。
前述のとおり、短辺面のバルジング量を4.5mm以上とするためには、二次冷却水量密度wを鋳造速度VCで除した値を水量密度比wVと定義し、短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における水量密度比wVを平均で300L/m3以下とするとよい。短辺面のバルジングは、短辺側の凝固シェルが薄い鋳型直下において、溶鋼静圧によって凝固シェルが外側に膨れることによって形成される。そして、短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における水量密度比wVを平均で300L/m3以下とすることによって、短辺凝固シェルの温度を高温に保持し、凝固シェルの剛性を低く保つことにより、溶鋼静圧により短辺はバルジングし、短辺面のバルジング量を4.5mm以上とすることができる。短辺面のバルジング量を4.5mm以上とすることにより、図3(c)に示すように鋳片の幅端部付近の厚みが、端部から50mm以上にわたって幅中央部に比較して薄くなり、幅端部の鋳片厚みが薄い部分15が形成される。その結果、鋳片を軽圧下ロールで軽圧下するに際しても、幅端部の鋳片厚みが薄い部分15は軽圧下がなされず、温度が低下した短辺凝固シェルからの圧下反力を受けずに済むことになる。なお、短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における水量密度比wVを平均で300L/m3以下でさえあれば、鋳型下500mm以降の冷却水量密度比を大きくしても小さくしても短辺バルジング量への影響は小さい。従って、短辺冷却のために必要な場合は、鋳型下500mm以降について短辺二次冷却を継続してもよい。
また、上記短辺面のバルジング量が4.5mm以上となった鋳片を連続鋳造中に軽圧下することにより、長辺面の幅端部から50mmまでの領域におけるオッシレーションマーク深さが0.5mm以上であり、長辺面の幅中央部におけるオッシレーションマーク深さが0.3mm以下である本発明の連続鋳造鋳片とすることができる。
本発明において、好適な軽圧下方法として、中心固相率が0.2〜0.8までの領域を0.5〜2.0mm/分の速度で連続して圧下する方法を適用するとよい。この条件で軽圧下を行うことにより、中心偏析に影響を及ぼす未凝固領域において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することができる。
造船向け490MPa鋼として、鋳片厚み240mm、鋳片幅2200mmの連続鋳造鋳片を垂直曲げ型連続鋳造装置で連続鋳造するに際し、本発明を適用した。鋳造速度は1.35m/minであった。
短辺の二次冷却は、鋳型直下から鋳型下1600mmまでの範囲について、位置によらず同一の二次冷却水量密度比wVで冷却を行う。従って、短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における平均水量密度比も同じwVとなる。本発明例ではwV=271L/m3、比較例ではwV=345L/m3とした。
軽圧下については、中心固相率が0.2〜0.8となる領域(鋳造長さ範囲で6m)について、ロール15本を軽圧下ロールとして軽圧下を行う。目標軽圧下量は5mmである。軽圧下領域における圧下速度は平均で1.1mm/分となる。軽圧下なしのときの鋳片厚みは242mmと想定しているので、軽圧下を行った鋳片厚み目標は237mmとなる。
本発明例と比較例について、それぞれ約2000tの鋳造を行い、結果を評価した。短辺面のバルジング量については、鋳片の長手方向に垂直な断面において、厚み両端部での短辺表面を結ぶ直線を想定し、該直線と短辺表面との距離が最大となる位置における当該距離として測定した。オッシレーションマーク深さは、長辺面の幅端部から50mmまでの深さと、幅中央部における深さとを計測した。なお、オッシレーションマーク深さ計測可能範囲は0.1mm以上である。中心偏析指数は、鋳造方向と垂直な断面の中心部と周辺部のMn濃度をEPMAで分析し、中心部と周辺部の比率を指標化して評価した。中心偏析指数10以下を目標としている。
Figure 0006094368
結果を表1に示す。本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
表1から明らかなように、本発明例については、短辺面のバルジング量、長辺面の幅端部から50mmまでと幅中央部それぞれのオッシレーションマーク深さが本発明範囲内となり、軽圧下量実績が目標と同じ5mmであり、中心偏析指数が「7」と良好であった。
本発明例の幅端部から100mmまでの鋳片厚み分布を図7に示す。図7から明らかなように、幅端部から70mm付近まではそれよりも幅中央部側に比較して鋳片厚みが薄く、軽圧下ロールによる圧下がなされておらず、軽圧下前から厚みが薄かったことを示している。
比較例については、短辺バルジング量が少なく、オッシレーションマーク深さは、幅中央部・幅端部ともに計測可能範囲下限未満であり、幅端部付近も含めて軽圧下が行われたことが明らかであり、軽圧下量が3mmと目標未達であり、中心偏析指数も12と不良であった。
1 鋳片
2 短辺
3 凝固シェル
4 鋳型
5 短辺二次冷却領域
6 長辺
10 短辺表面
11 厚み両端部での短辺表面
12 バルジング頂点
13 厚み両端部での短辺表面を結ぶ直線
14 バルジング量
15 幅端部の鋳片厚みが薄い部分

Claims (2)

  1. 短辺面のバルジング量が4.5mm以上であり、長辺面の幅端部から50mmまでの領域におけるオッシレーションマーク深さが0.5mm以上であり、長辺面の幅中央部におけるオッシレーションマーク深さが0.3mm以下であることを特徴とする連続鋳造鋳片。
    ただし、短辺面のバルジング量とは、鋳片の長手方向に垂直な断面において、厚み両端部での短辺表面を結ぶ直線を想定し、該直線と短辺表面との距離が最大となる位置における当該距離を意味する。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、二次冷却水量密度w(L/m2・分)を鋳造速度VC(m/分)で除した値を水量密度比wV(L/m3)と定義し、短辺の鋳型直下から鋳型下500mmまでの短辺における水量密度比wVを平均で300L/m3以下とし、
    中心固相率が0.2〜0.8までの領域を0.5〜2.0mm/分の速度で連続して圧下することを特徴とする連続鋳造方法。
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